以下、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例1である電池パックについて説明する。ここで、本実施例の電池パックは、車両に搭載されている。この車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。
ハイブリッド自動車は、電池パックの他に、車両の走行に用いられるエネルギを出力する、内燃機関や燃料電池といった他の動力源を備えた車である。また、電気自動車は、電池パックの出力だけを用いて走行する車である。電池パックは、放電によって車両の走行に用いられるエネルギを出力したり、車両の制動時に発生する運動エネルギを回生電力として充電したりする。なお、車両の外部から電力を供給することにより、電池パックを充電することもできる。
図1は、本実施例の電池パックを示す斜視図であり、図2は、電池パックの内部に配置される電池モジュールの構成を示す斜視図である。図1に示すように、電池パック1は、電池モジュール(蓄電装置)100と、電池モジュール100を収容するパックケース200とを有している。
電池モジュール100は、一方向に並んで配置された複数の単電池(蓄電素子)10を有している。複数の単電池10に対して配列方向の両端には、一対のエンドプレート101が配置されている。一対のエンドプレート101には、単電池10の配列方向に延びる拘束ロッド102が接続されている。これにより、複数の単電池10には、隣り合って配置された単電池10が互いに近づく方向に作用する拘束力が与えられる。なお、本実施例では、エンドプレート101および拘束ロッド102を用いて上述した拘束力を与えているが、これに限るものではなく、拘束力を与えることができる構成であれば、いかなる構成であってもよい。また、エンドプレート101および拘束ロッド102を省略して、拘束力を与えない構成とすることもできる。
単電池10の上面には、負極端子11および正極端子12が設けられている。負極端子11は、単電池10の内部に配置された発電要素の負極素子と電気的に接続されており、正極端子12は、上記発電要素の正極素子と電気的に接続されている。発電要素とは、充放電を行うことができる要素であり、例えば、負極素子、正極素子および電解質で構成することができる。
単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。なお、本実施例では、単電池10を一方向に並べて配置しているが、これに限るものではない。具体的には、複数の単電池を電気的に直列に接続したものを1つの電池モジュールとして構成し、複数の電池モジュールを一方向に並べて配置することができる。これにより、本願発明の蓄電装置に相当する電池スタックが構成される。この場合において、各電池モジュールには、正極端子および負極端子が設けられ、各電池モジュールが本願発明の蓄電素子に相当する。
各単電池10の負極端子11は、隣り合って配置された他の単電池10の正極端子12と電気的に接続される。同様に、各単電池10の正極端子12は、隣り合って配置された他の単電池10の負極端子11と電気的に接続される。これにより、電池モジュール100を構成する複数の単電池10が電気的に直列に接続されることになる。なお、電池モジュール100において、電気的に並列に接続された単電池10が含まれていてもよい。
複数の単電池10のうち、配列方向における一端に位置する単電池10の負極端子11には、総マイナスケーブル(不図示)が接続されている。また、配列方向における他端に位置する単電池10の正極端子12には、総プラスケーブル(不図示)が接続されている。総プラスケーブルおよび総マイナスケーブルは、車両に搭載された機器に接続されている。
この機器としては、例えば、電池モジュール100の出力電圧を昇圧したり、電池モジュール100に対する入力電圧を降圧したりするためのDC/DCコンバータや、電池モジュール100から出力された直流電流を交流電流に変換したり、モータ・ジェネレータから出力された交流電流を直流電流に変換したりするためのインバータがある。モータ・ジェネレータは、車両の走行に用いられる運動エネルギを発生させたり、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換したりする。
次に、隣り合って配置された単電池10を電気的に接続するための接続機構について、図3および図4を用いて説明する。ここで、図3は、本実施例における接続機構を上方から見たときの図であり、図4は、接続機構の一部を示す外観斜視図である。
単電池10の上部には、図3および図4に示す接続機構が配置されている。第1の導電部材20は、金属といった導電性材料で形成された導電部と、樹脂といった絶縁性材料で形成され、導電部の表面を覆う絶縁部とを有している。第1の導電部材20は、支持プレート(支持部材)60に固定されている。また、第1の導電部材20における導電部は、支持プレート60を貫通した正極端子12と接触しており、第1の導電部材20および正極端子12は、導通状態となっている。第1の導電部材20は、腕部21を有しており、腕部21の先端からは、上述した導電部の一部である接触ピン22が突出している。ここで、支持プレート60は、ネジ等の締結部材によって、単電池10の上面に固定されている。
第2の導電部材(本願発明の導電部材)30は、第1の導電部材20と同様に、金属といった導電性材料で形成された導電部と、樹脂といった絶縁性材料で形成され、導電部の表面を覆う絶縁部とを有している。第2の導電部材30は、開口部32を有しており、開口部32の内側には、負極端子11が位置している。すなわち、負極端子11の先端部11aは、支持プレート60を貫通して、第2の導電部材30の開口部32内に位置している。
負極端子11の先端部11aには、ネジ溝が形成されており、このネジ溝には、ナット53が係合する。ここで、ナット53および支持プレート60の間には、座金54が配置されている。このように、負極端子11の先端部11aにナット53を締結することにより、単電池10に対して支持プレート60等を位置決めした状態で固定することができる。本実施例では、ナット53に、絶縁性材料で形成されたカバー51が装着されるようになっており、カバー51は、第2の導電部材30の開口部32内に位置している。
第2の導電部材30は、第1腕部31および第2腕部33を有しており、第1腕部31の先端からは、上述した導電部の一部である接触ピン34が突出している。接触ピン34は、単電池10における電極端子11,12の並ぶ方向(図3の左右方向)において、第1の導電部材20における接触ピン22と向かい合っている。ここで、図3に示す状態では、接触ピン22,34が離れており、接触ピン22,34は、絶縁性材料で形成されたカバー52で覆われている。
また、第2腕部33には、配線40の一端が接続されており、配線40は、第2の導電部材30における導電部と接触している。第2の導電部材30は、支持プレート60の表面上で、一方向(図3の左右方向)に移動できるようになっている。第2の導電部材30をスライドさせる具体的な構造としては、支持プレート60に一方向に延びるガイド面(例えば、レール)を設けておき、このガイド面に沿って第2の導電部材30を移動させることができる。なお、第2の導電部材30をスライドさせる構造は、上述した構造に限るものではなく、第2の導電部材30を一方向にスライドさせることができればよい。一方、第2の導電部材30が移動することに応じて、配線40の一端に対する第2腕部33の位置が変化するようになっている。ここで、配線40の一端に対する第2腕部33の位置が変化しても、配線40および第2の導電部材30は、電気的に接続されたままとなっている。
第2の導電部材30は、図3に示す状態において、矢印Aで示す方向に移動可能となっている。すなわち、負極端子11の先端部11aが開口部32内で移動できる範囲内において、第2の導電部材30は、矢印Aで示す方向に移動できるようになっている。
図3に示す状態において、負極端子11は、第2の導電部材30における導電部に接触している。すなわち、開口部32における一部の領域では、導電部が露出しており、この露出した導電部が負極端子11と接触している。これにより、負極端子11および第2の導電部材30は、電気的に接続されている。そして、各単電池10の負極端子11は、第2の導電部材30、配線40および第1の導電部材20を介して、隣り合って配置された他の単電池10における正極端子12と電気的に接続されている。ここで、図3に示す点線は、電流の流れる経路を示している。
図3に示す状態では、隣り合って配置された単電池10が、上述した接続機構を介して電気的に直列に接続されている。ここで、図5には、図3に示す状態を回路図として示している。図5に示す矢印は、電流が流れる方向を示している。
図5において、スイッチ71の状態は、接触ピン22,34の接触状態を示している。すなわち、接触ピン22,34が図3に示すように非接触状態であれば、スイッチ71がオフ状態となり、接触ピン22,34が接触状態であれば、スイッチ71がオン状態となる。また、スイッチ72の状態は、負極端子11および第2の導電部材30の接触状態を示している。すなわち、負極端子11および第2の導電部材30が図3に示すように接触状態であれば、スイッチ72がオン状態となり、負極端子11および第2の導電部材30が非接触状態であれば、スイッチ72がオフ状態となる。
電池モジュール100を構成する各単電池10が正常状態であれば、図5に示すように、スイッチ71がオフ状態になるとともに、スイッチ72がオン状態となる。これにより、すべての単電池10が電気的に直列に接続される。
次に、電池モジュール100を構成する複数の単電池10のうち、いずれかの単電池10が劣化した場合について説明する。ここで、単電池10が劣化した状態としては、例えば、単電池10の容量が基準値(容量)よりも小さくなった状態や、単電池10の内部抵抗が基準値(抵抗値)よりも高くなった状態があり、単電池10の特性に関するパラメータに基づいて、単電池10の劣化状態を判別することができる。
単電池10が劣化しているか否かを判別する手段としては、例えば、単電池10の電圧値を検出するための電圧センサと、この電圧センサの出力に基づいて単電池10の劣化状態を判別するコントローラとで構成することができる。具体的には、コントローラが、電圧センサの出力に基づいて、電池モジュール100を構成する各単電池10の電圧値を検知し、検知した電圧値が所定の閾値よりも低くなったときに、この電圧値を示す単電池10が劣化状態であると判別することができる。
図3に示す2つの単電池10のうち、下側に位置する単電池10が劣化状態であると判別したときには、第2の導電部材30を図3の矢印Aで示す方向にスライドさせる。これにより、図6に示すように、第2の導電部材30における接触ピン34は、第1の導電部材20における接触ピン22と接触するようになる。ここで、本実施例では、上述したように、接触ピン22,34がカバー52で覆われているとともに、負極端子11と係合するナット53がカバー51で覆われているため、第2の導電部材30をスライドさせる前に、カバー51,52、ナット53および座金54を取り外しておく必要がある。
また、接触ピン22,34の接触状態を維持するために、本実施例では、支持プレート60に形成されたネジ部61に座金およびナットを取り付けて、座金およびナットによって接触ピン22,34を上方から押さえつけるようにしている。具体的には、座金をネジ部61に取り付けると、座金の一部が、接触ピン22,34に接触するようになっている。この状態で、ナットをネジ部61に締結すれば、座金によって、接触ピン22,34を押さえつけることができる。この座金およびナットとしては、第2の導電部材30をスライドさせる前に、負極端子11から取り外した座金54およびナット53を用いることができる。なお、接触ピン22,34の接触状態を維持できる構造であれば、いかなる構造でもよく、本実施例で説明した構造に限るものではない。例えば、接触ピン22,34の先端を互いに係合可能なフック形状とすることもできる。
図6に示す状態において、負極端子11は、第2の導電部材30における開口部32の一部に接触しているが、負極端子11および第2の導電部材30は非導通状態となっている。すなわち、負極端子11は、第2の導電部材30の表面に形成された絶縁部と接触しており、開口部32における一部の領域で露出する導電部から離れている。そして、第2の導電部材30においては、図6の点線で示す経路で電流が流れるようになっている。
これにより、互いに接触した接触ピン22,34が設けられている単電池10、言い換えれば、劣化状態と判別された単電池10には、電流が流れないことになる。すなわち、劣化状態の単電池10においては、充放電が禁止されることになる。
図7には、図6に示す状態を回路図として示している。本実施例の接続機構が、図3に示す状態から図6に示す状態に変化すると、図5に示す回路構成において、スイッチ71がオフ状態からオン状態に切り替わるとともに、スイッチ72がオン状態からオフ状態に切り替わる。これにより、図7に示す状態となる。
ここで、劣化状態の単電池10が2つの単電池10の間に位置している場合には、上述した第2の導電部材30の移動によって、劣化状態の単電池10がバイパスされ、劣化状態の単電池10を挟む2つの単電池10が電気的に直列に接続される。このように第2の導電部材30を移動させることによって、劣化状態の単電池10をバイパスさせることを、本実施例では「バイパス処理」という。この場合には、第2の導電部材30に接続された配線40の一端部が、本願発明における第1の通電ラインとなり、第1の導電部材20および第1の導電部材20に接続された配線40の他端部が、本願発明における第2の通電ラインとなる。
また、劣化状態の単電池10が、配列方向における一端に位置する単電池10である場合には、上述した第2の導電部材30の移動によって、劣化状態の単電池10がバイパスされ、劣化状態の単電池10と隣り合う単電池10および総プラスケーブルが電気的に接続される。この場合には、第2の導電部材30に接続された配線40の一端部が、第1の通電ラインとなり、正極端子12に接続された総プラスケーブルが第2の通電ラインとなる。
次に、第2の導電部材30をスライドさせる駆動機構(一例)について、図8を用いて説明する。図8は、第2の導電部材30をスライドさせる駆動機構を示す概略図である。
第2の導電部材30には、リング形状のベルト81,82が固定されており、各ベルト81,82は、支持軸83に接触しているとともに、モータ90の回転軸91と係合している。モータ90は、第1および第2の導電部材20,30が取り付けられた支持プレート60に固定されている。図8に示す構成では、支持プレート60は、単電池10の上面および側面に沿って配置されており、単電池10の側面と対向する面にモータ90が固定されている。
モータ90の電源としては、車両に搭載された補機バッテリを用いたり、電池モジュール100を用いたりすることができる。補機バッテリとは、例えば、ライトや空調装置といった、車両に搭載された電装品を駆動するために用いられるものである。
モータ90の駆動によって、回転軸91を図8の矢印Bで示す方向に回転させると、各ベルト81,82が矢印Cで示す方向に移動する。これにより、第2の導電部材30を、第1の導電部材20に近づける方向に移動させることができる。すなわち、第2の導電部材30における接触ピン34を第1の導電部材20における接触ピン22に接触させることができる。
モータ90の駆動は、コントローラ(不図示)によって制御することができる。例えば、単電池10が劣化状態にあることをコントローラが検知した場合には、この単電池10に取り付けられた第2の導電部材30をモータ90の駆動によってスライドさせることができる。これにより、劣化状態にある単電池10の充放電を禁止することができる。
図8に示す構成では、モータ90の駆動力を用いて第2の導電部材30をスライドさせているが、これに限るものではない。具体的には、電池モジュール100のメンテナンスを行う作業者が、手動によって第2の導電部材30をスライドさせることもできる。
本実施例によれば、劣化状態の単電池10に設けられている第2の導電部材30をスライドさせるだけで、劣化状態にある単電池10の充放電を禁止することができる。しかも、劣化状態ではない単電池10(正常状態の単電池10)は、使用し続けることができるため、劣化状態の単電池10を電池モジュール100から取り外したりするといった手間を省くことができる。
なお、本実施例では、第2の導電部材30をスライドさせることにより、負極端子11との間で電気的な接続を許容したり、遮断したりしているが、これに限るものではない。具体的には、本実施例で説明した第2の導電部材30に相当する導電部材を用いて、正極端子12との間における電気的な接続を許容したり、禁止したりすることができる。また、正極端子12および負極端子11のそれぞれに対して、本実施例で説明した第2の導電部材30に相当する導電部材を設けることもできる。この場合には、正極端子12および負極端子11のそれぞれに対応して設けられた導電部材をスライドさせることにより、本実施例で説明したように、電流の移動経路を切り替えるようにすればよい。
一方、電流の移動経路を確保するために、図9および図10に示す構成とすることもできる。図9は、本実施例の変形例である接続機構を示す概略図であり、単電池が正常状態にあるときの接続機構の状態を示している。また、図10は、単電池が劣化状態にあるときの接続機構の状態を示す図である。図9および図10において、本実施例で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。以下、本実施例と異なる点について、主に説明する。
本実施例では、第1の導電部材20に1つの腕部21を設けているが、本変形例では、第1の導電部材20に2つの腕部21を設けている。そして、各腕部21の先端からは、導電性材料で形成された接触ピン22が突出している。また、本変形例では、配線40の一端側の領域が分岐した状態で第1の導電部材20に接続されている。同様に、配線40の他端側の領域も分岐した状態で第2の導電部材30に接続されている。
さらに、本変形例において、第2の導電部材30からは2つの腕部31が延びており、各腕部31の先端からは、導電性材料で形成された接触ピン34が突出している。各接触ピン34は、第2の導電部材30のスライド移動によって、第1の導電部材20における各接触ピン22に接触する。
本変形例の接続機構が取り付けられた単電池10が正常状態にあるときには、図9に示すように、各接触ピン34,22が互いに離れており、非接触状態となっている。このとき、第2の導電部材30は、負極端子11と電気的に接続されており、単電池10の充放電が許容される。図9に示す点線は、電流の流れる経路を示している。
一方、単電池10が劣化状態になると、図10に示すように、第2の導電部材30を第1の導電部材20に近づける方向にスライドさせることにより、各接触ピン34を各接触ピン22に接触させる。これにより、第2の導電部材30および負極端子11は、電気的に接続されておらず、劣化状態の単電池10において、充放電が禁止されるようになっている。図10に示す点線は、電流の流れる経路を示している。
なお、本実施例では、単電池10の上面に負極端子11および正極端子12を配置しているが、これに限るものではない。例えば、複数の単電池を電気的に直列に接続して1つの電池モジュールを構成する場合では、電池モジュールのうち、相反する方向に面する2つの側面に、正極端子および負極端子がそれぞれ設けられている。そして、複数の電池モジュールは、一方向に並んで配置されているとともに、バスバーを介して電気的に直列に接続されている。このような構成であっても、本発明を適用することができる。すなわち、バスバーをスライドさせる機構を設けることにより、本実施例と同様の原理で、特定の電池モジュールに対する充放電を禁止することができる。
本発明の実施例2である電池モジュールについて説明する。ここで、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。本実施例の電池パックは、実施例1と同様に、第2の導電部材30をスライドさせることにより、単電池10のバイパス処理を行ったり、行わなかったりすることができる。以下、実施例1と異なる点について、主に説明する。
図11に示すように、電池モジュール100の上面には、電池カバー(カバー部材)110が配置されている。電池カバー110は、単電池10の上面に配置される第1および第2の導電部材20,30を覆っており、樹脂といった、絶縁性を有する材料で形成されている。また、電池モジュール100の上方から見たときに、電池カバー110は、電池モジュール100と略等しい大きさに形成されている。なお、電池カバー110は、第1および第2の導電部材20,30を覆うことができればよく、電池カバー110の形状は適宜設定することができる。
図12は、電池カバー110の一部の構成を示す概略図であり、具体的には、電池カバー110のうち、各単電池10の上面と向かい合う面における構造を示している。ここで、単電池10の上面とは、本実施例において、負極端子11および正極端子12が設けられている面である。電池カバー110のうち、単電池10の上面と向かい合う面には、第1および第2の導電部材20,30を収容する溝部111が形成されている。溝部111は、単電池10の数だけ設けられており、複数の溝部111は、単電池10の配列方向に沿って配置されている。
溝部111は、第1領域R1および第2領域R2を有しており、第1領域R1には、突状に形成された一対の抜け止め部111aが設けられている。溝部111の第1領域R1は、図13に示すように、幅L1を有する空間部と、幅L1よりも狭い幅L2を有する空間部とで構成されている。ここで、図13は、第1領域R1を、溝部111の長手方向と直交する面で切断したときの図である。
一方、溝部111の第2領域R2は、溝部111のうち、抜け止め部111aが設けられていない領域である。そして、溝部111の第2領域R2は、図14に示すように、幅L1を有する空間部で構成されている。ここで、図14は、第2領域R2を、溝部111の長手方向と直交する面で切断したときの図である。
第2の導電部材30は、図15に示すように、溝部111の第1領域R1の形状に沿った形状に形成されている。具体的には、第2の導電部材30には、一対のフランジ部35が設けられている。ここで、第2の導電部材30のうち、フランジ部35を含む幅(最大幅)W1は、溝部111の幅L1よりも狭く、溝部111の幅L2よりも広くなっている。最大幅W1は、第2の導電部材30のうち、フランジ部35が形成された部分における幅を示す。
図15に示すように、第2の導電部材30が溝部111の第1領域R1内に位置しているときには、フランジ部35が抜け止め部111aと接触することにより、電池カバー110が第2の導電部材30から外れてしまうのを阻止している。言い換えれば、フランジ部35および抜け止め部111aを用いることにより、電池モジュール100の上面に電池カバー110を固定することができる。なお、第1および第2の導電部材20,30が取り付けられた支持プレート60は、締結部材(不図示)を用いて単電池10に固定されている。
第2の導電部材30は、単電池10の負極端子11と電気的に接続されている状態(図3参照)にあるときに、溝部111の第1領域R1内に位置するようになっている。ここで、第2の導電部材30は、実施例1で説明したように、負極端子11と電気的に接続される状態(図3参照)と、負極端子11との電気的な接続が遮断される状態(図6参照)との間で切り替わるようになっている。
第2の導電部材30は、負極端子11との電気的な接続が遮断される位置にあるとき、溝部111の第2領域R2内に位置するようになっている(図16参照)。第2領域R2には、抜け止め部111aが設けられていないため、第2の導電部材30を溝部111から外すことができる。
一方、第1の導電部材20は、支持プレート60に固定されており、溝部111の第2領域R2内に位置するようになっている。図17に示すように、第1の導電部材20の最大幅W2は、溝部111の最大幅L1よりも小さいため、第1の導電部材20は、溝部111から出すことができるようになっている。
本実施例では、各単電池10に対して第1および第2の導電部材20,30が設けられており、電池カバー110には単電池10の数だけ溝部111が設けられている。このため、電池モジュール100を構成するすべての単電池10において、第2の導電部材30を溝部111の第1領域R1から第2領域R2に移動させないと、電池カバー110を電池モジュール100から取り外すことができない。言い換えれば、すくなくとも1つの第2の導電部材30が溝部111の第1領域R1内に位置していれば、電池カバー110を電池モジュール100から取り外すことができない。
第2の導電部材30を、溝部111の第1領域R1から第2領域R2にスライドさせれば、実施例1で説明したように、単電池10のバイパス処理を行うことができる。ここで、電池モジュール100を構成するすべての単電池10において、第2の導電部材30を第1領域R1から第2領域R2にスライドさせれば、すべての単電池10の電気的な接続を遮断することができる。この状態で電池カバー110を取り外すことができるようにすれば、電池モジュール100を取り扱う際の安全性を確保することができる。
なお、第2の導電部材30の移動は、実施例1で説明したように、作業者の操作(手動)によって行うこともできるし、モータ90の駆動(電動)によって行うこともできる。ここで、第2の導電部材30を手動で移動させる構成としては、例えば、以下に説明する構成が考えられる。
第2の導電部材30が単電池10の負極端子11と電気的に接続されているときには、第2の導電部材30の第2腕部33(図3参照)を、電池カバー110の外側に突出させておく。このとき、外部からの振動等によって、第2の導電部材30がずれてしまわないように、第2の導電部材30を位置決めしておくことが好ましい。例えば、第2腕部33および電池カバー110を互いに係合させて、第2の導電部材30を所定位置に保持させておくことができる。また、締結部材を用いて、第2の導電部材30を所定位置に保持させておくことができる。
第2の導電部材30および負極端子11の電気的な接続を遮断するときには、電池カバー110から突出している第2腕部33を押し込むことにより、第2の導電部材30を図3の矢印Aで示す方向にスライドさせることができる。第2の導電部材30をスライドさせた後は、第2の導電部材30がずれてしまわないように、第2の導電部材30を位置決めしておくことが好ましい。
一方、第2の導電部材30の形状や、溝部111の第1領域R1における形状は、図15に示す形状に限るものではない。すなわち、第2の導電部材30および溝部111に対して、互いに接触して、電池カバー110が第2の導電部材30から外れるのを阻止する面をそれぞれ形成しておけばよい。
本発明の実施例3におけるハイブリッドシステムについて説明する。図18は、本実施例のハイブリッドシステムの構成を示す概略図である。ここで、実施例1,2で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。
電圧検出回路301は、電池モジュール100を構成する各単電池10の電圧を検出し、この検出結果を電池ECU(Electronic Control Unit)302に出力する。また、電流センサ303は、電池モジュール100の電流値を検出し、この検出結果を電池ECU302に出力する。電池ECU302は、電圧検出回路301および電流センサ303の出力に基づいて、電池モジュール100の状態を判別する。電池モジュール100の状態としては、例えば、電池モジュール100の充電状態(SOC;State Of Charge)や単電池10の劣化状態がある。
電池モジュール100は、リレー304a,304bを介してDC/DCコンバータ305に接続されている。DC/DCコンバータ305は、電池モジュール100からの出力電圧を昇圧して、インバータ306に供給したり、インバータ306からの出力電圧を降圧して、電池モジュール100に供給したりする。インバータ306は、DC/DCコンバータ305からの出力電力(直流電力)を交流電力に変換して、モータ(三相交流モータ)307に供給する。また、インバータ306は、モータ307で発生した交流電力を直流電力に変換して、DC/DCコンバータ305に供給する。
モータ307で発生した運動エネルギを車輪308に伝達することにより、車両を走行させることができる。また、モータ307は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギに変換してインバータ306に供給する。また、エンジン309で生成された運動エネルギは、車輪308を駆動するために用いられたり、電池モジュール100の充電に用いられる電気エネルギを生成するために用いられたりする。
ハイブリッド(HV)−ECU(コントローラ)310は、電池ECU302との間で通信を行い、電池モジュール100の充放電を制御する。また、HV-ECU310は、DC/DCコンバータ305、インバータ306およびエンジン309の動作を制御する。表示部311は、HV−ECU310からの制御信号を受けて、後述するように複数種類の情報を表示する。表示部311としては、例えば、車両に搭載されたナビゲーションシステムで用いられるディスプレイや、車両の走行速度等を表示するためのディスプレイがある。
次に、本実施例におけるHV−ECU310の動作について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。
HV−ECU310は、イグニッションスイッチ(不図示)のオフからオンへの切り替わりを受けることにより、エンジンを始動する(S400)。そして、アクセル開度の情報等に基づいて、HV−ECU310は、エンジン309の駆動を制御したり、電池モジュール100の充放電を制御したりする(S401)。
電池ECU302は、車両を走行させている間、電池モジュール100の状態を監視し、この監視結果をHV−ECU310に供給する(S402)。電池ECU302は、例えば、各単電池10の電圧、電池モジュール100の電流値、各単電池10の内部抵抗を監視する。
ステップS403において、HV−ECU310は、ステップS402の監視結果に基づいて、電池モジュール100を構成する各単電池10が劣化状態にあるか否かを判別する。単電池10が劣化状態にあるか否かの判断は、例えば、単電池10の電圧値が所定値よりも低いか否かで行うことができる。所定値としては、例えば、単電池10の充放電を制御するときの下限電圧とすることができる。
ステップS403において、劣化状態の単電池10が存在していると判別したときには、ステップS404において、劣化状態の単電池10を特定する。劣化状態にある単電池10の情報は、メモリ(不図示)に格納され、後述する単電池10のバイパス処理を行う際に用いられる。なお、劣化状態の単電池10が存在していない場合には、ステップS402,S403の処理を繰り返して行う。
ステップS405において車両の走行が停止されると、ステップS406において、HV−ECU310は、劣化状態の単電池10に対してバイパス処理を行うか否かを判別する。具体的には、単電池10のバイパス処理を行うか否かの情報を、表示部311を用いてユーザに提供しておき、HV−ECU310は、ユーザの選択結果を受けてバイパス処理を行うか否かを判別することができる。ユーザがバイパス処理を行うか否かを選択する手段としては、例えば、タッチパネル式のディスプレイを用いることができる。なお、バイパス処理を行うか否かの情報を、ユーザに提供したり、ユーザが選択したりする手段としては、音声を用いて行うこともできる。
ステップS406において、バイパス処理を行わないと判別した場合には、ステップS407に進み、そうでない場合には、ステップS409に進む。ステップS407において、HV−ECU310は、電池パック1を交換するか否かを判別する。具体的には、電池パック1を交換するか否かの情報を、表示部311を用いてユーザに提供しておき、HV−ECU310は、ユーザの選択結果を受けて電池パック1を交換するか否かを判別することができる。ユーザが電池パック1を交換するか否かを選択する手段としては、例えば、タッチパネル式のディスプレイを用いることができる。なお、電池パック1を交換するか否かの情報を、ユーザに提供したり、ユーザが選択したりする手段としては、音声を用いて行うこともできる。
ステップS407において、電池パック1を交換すると判別した場合には、ステップS408に進み、そうでない場合には、本処理を終了する。ステップS408において、HV−ECU310は、すべての単電池10に対してバイパス処理を行うか否かを判別する。具体的には、すべての単電池10に対してバイパス処理を行うか否かの情報をユーザに提供しておき、HV−ECU310は、ユーザの選択結果(入力)を受けて、すべての単電池10に対してバイパス処理を行うか否かを判別することができる。ここで、すべての単電池10に対してバイパス処理を行うと判断した場合には、ステップS409に進み、そうでない場合には、本処理を終了する。
ステップS409において、HV−ECU310は、単電池10のバイパス処理を電動で行うか、手動で行うかを判別する。具体的には、バイパス処理を、電動および手動のいずれで行うかの情報を、表示部311を用いてユーザに提供しておき、HV−ECU310は、ユーザの選択結果を受けて、電動又は手動の判別を行うことができる。ユーザが電動又は手動を選択する手段としては、例えば、タッチパネル式のディスプレイを用いることができる。なお、バイパス処理の動作方法(電動又は手動)に関する情報を、ユーザに提供したり、ユーザが選択したりする手段としては、音声を用いることもできる。
ステップS409において、バイパス処理を電動で行うと判別すれば、ステップS410に進み、手動で行うと判別すれば、ステップS411に進む。ステップS410において、HV−ECU310は、実施例1(図8)で説明したように、モータ90を駆動することにより、第2の導電部材30をスライドさせる。具体的には、第2の導電部材30を、単電池10の負極端子11と電気的に接続された状態から、電気的な接続が遮断された状態に切り替えることにより、単電池10のバイパス処理を行う。
ここで、劣化状態の単電池10に対してバイパス処理を行う場合には、ステップS404で得られた情報に基づいて、劣化状態の単電池10に対応した第2の導電部材30をスライドさせる。また、電池パック1を交換する場合(ステップS407,S408)には、すべての単電池10に対応した第2の導電部材30をスライドさせる。
一方、手動によるバイパス処理を行うときには、イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わるのを待ってから(S411)、バイパス処理の対象となる単電池10に対応した第2の導電部材30をスライドさせる(S412)。
ここで、劣化状態の単電池10に対してバイパス処理を行う場合には、作業者は、ステップS404で得られた情報を取得することにより、バイパス処理の対象となる単電池10を特定する。作業者は、例えば、表示部311の表示を介して、ステップS404で得られた情報を取得することができる。そして、作業者は、バイパス処理の対象となる単電池10に取り付けられた第2の導電部材30をスライドさせる。ここで、単電池10のバイパス処理を行うときには、サービスプラグを操作することにより、電池モジュール100における電気的な接続を遮断しておくことが好ましい。
一方、電池パック1を交換する場合(ステップS407,S408)には、すべての単電池10に取り付けられた第2の導電部材30を手動でスライドさせる。ここで、実施例2で説明した構成を用いれば、すべての単電池10に対してバイパス処理を行うことで、電池モジュール100の上面から電池カバー110を取り外すことができる。これにより、電池パック1を交換する際の安全性を向上させることができる。
ステップS414において、HV−ECU310は、単電池10のバイパス処理が正常に行われたか否かを確認する。ここで、手動によるバイパス処理を行ったときには、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わることにより(S413)、ステップS414の処理が行われる。
ステップS414の具体的な処理としては、電池モジュール100に対して検査用の電流を流し、電圧検出回路301の出力に基づいて、劣化状態の単電池10と他の単電池10との電気的な接続が遮断されているか否かを確認することができる。そして、HV−ECU310は、単電池10のバイパス処理が正常に行われているのを確認した上で、単電池10のバイパス処理を完了させる(S415)。
本実施例によれば、単電池10のバイパス処理を適切に行うことができる。これにより、電池モジュール100のうち、正常状態の単電池10を継続して使用することができ、電池モジュール100(電池パック1)の寿命を延ばすことができる。
なお、本実施例では、劣化状態の単電池10が存在しているときに、単電池10のバイパス処理を行うようにしているが、これに限るものではない。例えば、電池モジュール100から電池カバー110を取り外して、電池モジュール100の状態を確認しようとする場合にも、単電池10のバイパス処理を行うことができる。電池モジュール100の状態を確認する場合としては、例えば、電池モジュール100および電池カバー110の間に異物が侵入してしまった場合が考えられる。また、電池モジュール100の状態確認を行う者には、車両の点検等を行うディーラやユーザが含まれる。
電池モジュール100の状態を確認しようとする場合には、まず、電池モジュール100の状態確認に関する情報を入力する。具体的には、表示部311等に入力画面を設けておくことにより、状態確認に関する情報を入力することができる。電池モジュール100の状態確認に関する情報が入力されると、HV−ECU310は、ステップS409の処理と同様に、単電池10のバイパス処理を電動で行うか、手動で行うかを判別する。
そして、バイパス処理を電動で行う場合には、ステップS410の処理と同様の処理を行うことにより、すべての単電池10に対してバイパス処理を行う。また、バイパス処理を手動で行う場合には、ステップS411,S412の処理と同様の処理を行うことにより、すべての単電池10に対してバイパス処理を行う。これにより、電池カバー110を電池モジュール100から取り外すことができ、電池モジュール100の状態を確認することができる。このとき、すべての単電池10に対してバイパス処理が行われているため、電池モジュール100の状態確認を安全な状態で行うことができる。
一方、実施例1(図4参照)で説明したように、接触ピン22,34の接触状態を維持するために、ネジ部61に座金およびナットを取り付ける場合には、電池カバー110を電池モジュール100から取り外す必要がある。この場合には、本実施例で説明したように、電動(ステップS410)又は手動(ステップS412)によって、すべての単電池10に対するバイパス処理を行う。これにより、電池モジュール100から電池カバー110を取り外すことができる。
電池カバー110を取り外した後は、ネジ部61に対して、座金およびナットを取り付けることができる。このとき、すべての単電池10に対してバイパス処理が行われているため、ネジ部61に対するナット等の取り付け作業を安全に行うことができる。ここで、ネジ部61にナット等が取り付けられた単電池10においては、バイパス処理が行われた状態に保持させることができる。一方、ネジ部61にナット等が取り付けられていない単電池10においては、電池カバー110を電池モジュール100に取り付けた後に、電動又は手動によって、元の状態にスライドさせることができる。これにより、電池カバー110を電池モジュール100に固定することができる。
本発明の実施例4におけるハイブリッドシステムについて説明する。ここで、実施例1〜3で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。本実施例では、電池モジュール100のうち、劣化状態の単電池10を特定するための方法を説明する。この方法について、図20に示すフローチャートを用いて説明する。図20に示す処理は、HV-ECU310(図18参照)によって行われる。
イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると(S500)、HV-ECU310は、電池モジュール100を構成するすべての単電池10の容量を一致させる処理(容量合わせ)を行うか否かを判別する(S501)。具体的には、容量合わせを行うか否かの情報を、表示部311を用いてユーザに提供しておき、HV−ECU310は、ユーザの選択結果を受けて、容量あわせを行うか否かを判別することができる。ユーザが容量合わせを行うか否かを選択する手段としては、例えば、タッチパネル式のディスプレイを用いることができる。なお、容量合わせを行うか否かの情報を、ユーザに提供したり、ユーザが選択したりする手段として、音声を用いることもできる。
ステップS501において、容量あわせを行うと判断した場合には、ステップS502に進み、そうでない場合には、本処理を終了する。ステップS502において、HV-ECU310は、容量合わせの処理として、外部充電器を用いた充電を行うか、オンボードによる充電を行うかを判別する。
具体的には、容量合わせを、外部充電およびオンボード充電のいずれで行うかを示す情報を、表示部311を用いてユーザに提供しておき、HV−ECU310は、ユーザの選択結果を受けて、容量合わせの方法を判別することができる。ユーザが容量合わせの方法を選択する手段としては、例えば、タッチパネル式のディスプレイを用いることができる。なお、容量合わせの方法に関する情報を、ユーザに提供したり、ユーザが選択したりする手段として、音声を用いることもできる。
ステップS502において、外部充電を行う場合には、ステップS503に進み、オンボード充電を行う場合には、ステップS506に進む。ステップS503では、電池モジュール100に外部充電器(不図示)が接続されることにより、電池モジュール100の充電が開始される。そして、各単電池10が満充電の状態になるまで、充電を行う(S504)。
一方、ステップS505では、エンジン309で生成された運動エネルギを電気エネルギに変換して電池モジュール100に供給することにより、電池モジュール100の充電を行う。そして、各単電池10が満充電の状態になるまで、充電を行う(S506)。ステップS505,S506の処理は、HV−ECU310によって行われる。
ステップS507において、HV-ECU310は、外部充電又はオンボード充電を行った後における電池モジュール100の状態を、電池モジュール100の正常状態と比較する。ここでいう正常状態とは、電池モジュール100(単電池10)が劣化していない状態を示し、単電池10が劣化しているか否かを判断する際の基準となる。電池モジュール100の正常状態を示す情報は、予めメモリ(不図示)に格納しておくことができる。
ステップS507の処理としては、例えば、満充電状態における単電池10の電圧値を比較することができる。具体的には、外部充電等によって満充電させたときの単電池10の電圧値を検出しておき、検出された電圧値と、メモリに格納された単電池10の電圧値(満充電状態)とを比較する。ここで、単電池10が劣化状態にあれば、満充電状態の単電池10の電圧値が互いに異なることになるため、電圧値のズレ量に基づいて、単電池10が劣化しているか否かを判別することができる。すなわち、電圧値のズレ量が許容範囲内であれば、単電池10が劣化していないと判断し、電圧値のズレ量が許容範囲を超えていれば、単電池10が劣化していると判断することができる。
HV−ECU310は、ステップS507において単電池10が劣化していると判断したときには、この単電池10に関する情報をメモリに格納する(ステップS508)。この情報は、単電池10のバイパス処理を行うときに用いられる。なお、ステップS507において単電池10が劣化していると判断したときには、この処理に続けて、劣化状態の単電池10に対するバイパス処理を行わせることができる。具体的には、図19のステップS406以降の処理を行うことができる。
HV−ECU310は、ステップS509において、電池モジュール100の充電状態(SOC:State Of Charge)を100%に設定し、ステップS510において、容量あわせの処理を完了させる。ここで、容量合わせの処理が完了した直後において、HV−ECU310は、電池モジュール100の充電を禁止する。また、HV−ECU310は、電池モジュール100のSOCが基準値(例えば、60%)に到達するまでは、電池モジュール100の放電だけを行わせる。
ここで、電池モジュール100を放電させる際に、各単電池10の状態を監視することにより、単電池10が劣化状態にあるか否かを判別することができる。例えば、電池モジュール100を放電させたときに、劣化状態の単電池10における電圧変化量は、正常状態の単電池10における電圧変化量と異なるため、この違いに基づいて、劣化状態の単電池10を検出することができる。
本実施例によれば、電池モジュール100のうち、劣化状態の単電池10を容易に検出することができる。言い換えれば、バイパス処理を行う単電池10を容易に特定することができる。
本発明の実施例5であるハイブリッドシステムについて説明する。ここで、実施例1〜4で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いる。
本実施例は、単電池10のバイパス処理を行ったことに応じて、電池モジュール100の充放電を制御するために用いられる制御パラメータを変更するものである。制御パラメータを変更する処理について、図21を用いて説明する。図21に示す処理は、HV-ECU310(図18参照)によって行われる。
ステップS600において、HV-ECU310は、バイパス処理が行われた単電池10の数に関する情報を取得する。具体的には、電圧検出回路301の出力に基づいて、バイパス処理された単電池10の数を特定することができる。なお、バイパス処理の際にスライドさせる第2の導電部材30の位置を検出するための構造を設けておき、この検出結果に基づいて、バイパス処理された単電池10の数を特定することもできる。
ステップS601において、HV-ECU310は、ステップS600で得られた単電池10の数が所定数よりも大きいか否かを判別する。ここで、所定数とは、本実施例のハイブリッドシステムを動作させるための最小限の出力が得られる単電池10の数(下限値)であり、適宜設定することができる。なお、所定数は、電池パック1が搭載される車両の種類や、単電池10の種類に応じて異ならせることができる。単電池10の種類としては、例えば、電池容量や、電池構造(ニッケル水素電池およびリチウムイオン電池)がある。そして、所定数を示す情報は、メモリ(不図示)に格納しておくことができる。
ステップS601において、バイパス処理された単電池10の数が所定数よりも大きい場合には、ステップS602に進み、そうでない場合には、ステップS603に進む。
ステップS602において、HV-ECU310は、電池パック1(電池モジュール100)の交換が必要であると判断する。この場合には、電池パック1の交換が必要であることを示す情報を表示部311に表示させたり、音声で出力したりすることにより、車両を使用するユーザや、車両の点検等を行うディーラに知らせることができる。
ステップS603において、HV-ECU310は、バイパス処理されていない単電池10の数に基づいて、電池モジュール100の充放電で用いられる制御パラメータを演算する。演算によって得られた制御パラメータは、表示部311に表示することにより、ユーザ等に確認させることができる。制御パラメータの具体的な内容については、後述する。
なお、制御パラメータの演算を行う前後における2つの制御パラメータを、表示部311等を用いることにより、ユーザ等に提供することもできる。これにより、ユーザ等は、演算を行う前後における制御パラメータの変化を確認することができる。
ステップS604において、HV-ECU310は、ステップS603で演算された制御パラメータを、実際の充放電で用いられる制御パラメータとして更新するか否かを判別する。具体的には、演算結果としての制御パラメータを更新するか否かを示す情報を、表示部311を用いてユーザに提供しておき、HV−ECU310は、ユーザの選択結果を受けて、演算結果としての制御パラメータを更新するか否かを判別することができる。制御パラメータを更新するか否かを選択する手段としては、例えば、タッチパネル式のディスプレイを用いることができる。なお、制御パラメータを更新するか否かの情報を、ユーザに提供したり、ユーザが選択したりする手段として、音声を用いることもできる。
ステップS604において、演算結果としての制御パラメータを更新する場合には、ステップS605に進み、そうでない場合には、本処理を終了する。ステップS605において、HV−ECU310は、ステップS603で求められた制御パラメータをメモリに格納することにより、制御パラメータの更新を完了させる。これにより、更新された制御パラメータに基づいて、電池モジュール100の充放電が制御されることになる。
次に、上述した制御パラメータを更新する処理について、具体的に説明する。
制御パラメータとしては、例えば、電池モジュール100の充放電を制御する際に用いられる許容電圧の範囲を規定する上限値および下限値がある。ここで、図22には、許容電圧の上限値および下限値を変更する一例を示している。許容電圧とは、充放電を許容することができる電池モジュール100の電圧値である。そして、許容電圧の上限値および下限値は、電池モジュール100の劣化を抑制するために設定された限界値である。
車両の走行を開始させる前の初期状態では、図22(a)に示すマップ(イニシャルマップ)がメモリに格納されている。この状態では、電池モジュール100の電圧値が、初期値(上限値)Vtm1および初期値(下限値)Vtmnの間の範囲内に位置するように、電池モジュール100の充放電が制御される。ここで、実際に車両を走行させたときには、電池モジュール100の使用環境(例えば、温度)に基づいて、イニシャルマップを補正することができる。
図22(b)は、図22(a)に示すイニシャルマップを補正した後のマップを示している。この状態では、電池モジュール100の電圧が、走行値(上限値)Vam1および走行値(下限値)Vamnの間の範囲内に位置するように、電池モジュール100の充放電が制御される。図22(b)に示す例では、走行値Vam1が初期値Vtm1よりも低い値に補正され、走行値Vamnが初期値Vtmnよりも高い値に補正されている。
図22(c)は、単電池10のバイパス処理が行われた後の充放電制御で用いられる許容電圧のマップを示している。図22(c)に示すマップは、図22(b)に示すマップと、バイパス処理されていない単電池10の数とに基づく演算によって求められる。電池モジュール100のうち、少なくとも1つの単電池10に対してバイパス処理を行うと、バイパス処理された単電池10の分だけ、電池モジュール100の電圧値が低下することになる。この点を考慮して、本実施例では、単電池10の数が少なくなった分だけ、バイパス処理後における許容電圧の範囲ΔVsmをバイパス処理前における許容電圧の範囲ΔVamよりも狭くしている。
演算値(上限値)Vsm1は、走行値(上限値)Vam1よりも低い値となる。ここで、演算値(上限値)Vsm1は、例えば、走行値Vam1から、バイパス処理された各単電池10の電圧値を減じた値とすることができる。各単電池10の電圧値としては、走行値Vam1を、電池モジュール100を構成する単電池10の数で割った値とすることができる。演算値(下限値)Vsmnは、走行値(下限値)Vamnよりも高い値である。なお、演算値Vsmnを走行値Vamnと同じ値に設定することもできる。
図22(c)に示すマップが得られた場合には、図21で説明した制御パラメータの更新によって、図22(c)に示すマップがメモリに格納される。そして、HV-ECU310は、電池モジュール100の電圧が、演算値(上限値)Vsm1および演算値(下限値)Vsmnの間の範囲内に位置するように、電池モジュール100の充放電を制御する。これにより、電池モジュール100の充放電を、バイパス処理された単電池10の数に応じて、言い換えれば、入出力が可能な状態にある単電池10の数に応じて、適切に行うことができる。
一方、単電池10のバイパス処理に応じて、電池モジュール100の許容出力の範囲を変更することができる。図23には、許容出力の範囲を変更するときの一例を示している。
車両の走行を開始させた直後の初期状態では、図23(a)に示すように、放電制御時の上限値(Wout−max0)と充電制御時の上限値(Win−max0)とがメモリに格納されている。この状態では、電池モジュール100の入出力が、放電制御時の上限値(Wout−max0)と充電制御時の上限値(Win−max0)との間の範囲内に位置するように、電池モジュール100の充放電が制御される。ここで、出力電力がプラスの値であれば放電を示し、出力電力がマイナスの値であれば充電を示す。また、図23(a)に示す実線は、電池モジュール100の入出力の挙動(一例)を示す。
実際に車両を走行させたときには、電池モジュール100の使用環境等に基づいて、図23(a)に示す上限値(Wout−max0,Win−max0)を補正することができる。図23(b)は、図23(a)に示す上限値を補正した後における電池モジュール100の入出力を示している。ここで、補正後における放電制御の上限値(Wout−max1)は、初期状態における放電制御の上限値(Wout−max0)よりも低くなっている。また、補正後における充電制御の上限値(Win−max1、絶対値)は、初期状態における充電制御の上限値(Win−max0、絶対値)よりも低くなっている。
図23(c)は、単電池10のバイパス処理が行われた後における電池モジュール100の入出力を示している。ここで、各上限値(Wout−max2,Win−max2)は、図23(b)に示す各上限値(Wout−max1,Win−max1)と、バイパス処理された単電池10の数とに基づく演算によって求められた値であり、図21で説明した更新処理によりメモリに格納されている。
電池モジュール100のうち、少なくとも1つの単電池10に対してバイパス処理を行うと、バイパス処理された単電池10の分だけ、電池モジュール100の入出力値が変化することになる。この点を考慮して、本実施例では、単電池10の数が少なくなった分だけ、充放電制御の各上限値(Wout−max2,Win−max2)を変更している。ここで、バイパス処理後における放電制御時の上限値(Wout−max2)は、バイパス処理前における放電制御時の上限値(Wout−max1)よりも低くなっている。また、バイパス処理後における充電制御時の上限値(Win−max2、絶対値)は、バイパス処理前における充電制御時の上限値(Win−max1、絶対値)よりも低くなっている。
このように上限値(Wout−max2,Win−max2)を用いることにより、電池モジュール100の充放電を、バイパス処理された単電池10の数に応じて、言い換えれば、入出力が可能な状態にある単電池10の数に応じて、適切に行うことができる。
一方、充放電制御における許容出力の上限値は、図24に示すように、電池モジュール100の温度に応じて異ならせることができる。図24において、縦軸は電池モジュール100の出力を示し、横軸は電池モジュール100の温度を示す。
マップWout1〜Wout3は、放電制御において、電池モジュール100の温度に対する放電電力の上限値を示しており、Wout1,Wout2,Wout3の順で上限値が小さくなっている。ここで、バイパス処理された単電池10の数が増えるほど、放電電力の上限値を、Wout1,Wout2,Wout3の順で変更することができる。
マップWin1〜Win3は、充電制御において、電池モジュール100の温度に対する充電電力の上限値を示しており、Win1,Win2,Win3の順で上限値(絶対値)が小さくなっている。ここで、バイパス処理された単電池10の数が増えるほど、充電電力の上限値を、Win1,Win2,Win3の順で変更することができる。
本発明の実施例6について説明する。ここで、実施例1〜5で説明した部材等と同一の機能を有する部材については同一符号を用いている。
本実施例は、単電池10のバイパス処理に関する情報(以下、バイパス処理情報という)を複数の対象者に提供するシステムに関するものである。ここで、バイパス処理情報とは、バイパス処理に付随した情報であり、具体例については後述する。また、複数の対象者には、ユーザ、ディーラおよびメーカが含まれており、本実施例では、提供するバイパス処理情報の内容を対象者に応じて異ならせている。以下、本実施例について具体的に説明する。
バイパス処理情報を複数の対象者に提供するとき、対象者の要求する内容が互いに異なることがある。そこで、本実施例では、単電池10のバイパス処理を行う際に、各対象者に対して有益な情報を提供するために、対象者に応じてバイパス処理情報の内容を異ならせている。
各対象者に対応したバイパス処理情報は、車両に搭載されたメモリに格納したり、車両の外部に配置されたデータベースに格納したりすることができる。そして、メモリ等に格納されたバイパス処理情報を読み出すことにより、バイパス処理情報を対象者に提供することができる。例えば、車両に搭載された表示部311(図18参照)や、外部機器としての端末のディスプレイにバイパス処理情報を表示させれば、対象者はバイパス処理情報を確認することができる。
ここで、バイパス処理情報を読み出すときの条件を、対象者に応じて異ならせることができる。これにより、各対象者に対して、対応するバイパス処理情報を適切に提供することができる。例えば、各対象者に割り当てられた識別情報を入力することにより、対象者に対応したバイパス処理情報を読み出すことができる。
また、電池パック1に取り付けられるサービスプラグの操作状態と、バイパス処理の状態(言い換えれば、第2の導電部材30の操作状態)とを用いて、バイパス処理情報を読み出すときの条件を設定することができる。
例えば、サービスプラグが電池パック1に装着されており、かつ、第2の導電部材30がバイパス処理の位置に移動していない場合には、ユーザに提供するバイパス処理情報を読み出すようにすることができる。また、サービスプラグが電池パック1から外されており、かつ、第2の導電部材30がバイパス処理の位置に移動していない場合には、ディーラに提供するバイパス処理情報を読み出すようにすることができる。さらに、サービスプラグが電池パック1から外されており、かつ、第2の導電部材30がバイパス処理の位置に移動している場合には、メーカに提供するバイパス処理情報を読み出すようにすることができる。
上述した処理は、HV−ECU310(図18参照)によって行うことができる。ここで、HV−ECU310は、電池パック1の入出力を監視することにより、サービスプラグが電池パック1に装着されているか否かを判別することができる。また、HV−ECU310は、電圧検出回路301の出力に基づいて、第2の導電部材30がバイパス処理の位置に移動しているか否かを判別することができる。なお、第2の導電部材30の位置を検知するためのセンサを別途設けておき、このセンサの出力に基づいて、第2の導電部材30がバイパス処理の位置に移動しているか否かを判別することができる。
図25には、ユーザに提供されるバイパス処理情報の内容(一例)を示している。ここで、図25(a)〜(e)に示す内容は、矢印に示す順序で表示部311に表示される。具体的には、まず、ユーザ向けのバイパス処理情報であることを示す画面が表示される(a)。図25に示す例では、ユーザに分かり易いように、単電池10のバイパス処理を「電池パックの改善」として説明している。
次に、チェック項目1として、バイパス処理の内容と、バイパス処理に伴う燃費の変化に関する内容が表示される(b)。また、チェック項目2として、バイパス処理に伴う電池パック1の使用期間に関する内容が表示される(c)。そして、チェック項目3として、電池パック1の交換に関する内容(費用等)が表示される(d)。最後に、バイパス処理を行うか否かの確認画面が表示される(e)。
なお、ユーザに提供するバイパス処理情報の内容は、図25に示す内容に限るものではなく、バイパス処理に対してユーザが求める内容を適宜提供するようにすればよい。また、ユーザに提供される内容によっては、バイパス処理の状態に基づいて、演算が行われる。例えば、図25(c)に示す電池パック1の使用期間は、バイパス処理される単電池10の数に応じて変化するため、バイパス処理された単電池10の数に基づいて、使用期間を求める必要がある。
図26には、ディーラに提供されるバイパス処理情報の内容(一例)を示している。ここで、図26(a)〜(g)に示す内容は、矢印に示す順序で表示部311に表示される。
具体的には、まず、ディーラ向けのバイパス処理情報であることを示す画面が表示される(a)。次に、チェック項目1として、バイパス処理に伴う単電池10の数の変化に関する情報が表示され(b)、チェック項目2として、バイパス処理に伴う燃費の変化に関する情報が表示される(c)。そして、チェック項目3として、バイパス処理の作業に関する情報(作業時間や費用等)が表示される(d)。
また、チェック項目4として、バイパス処理に伴う電池パック1の寿命に関する情報が表示され(e)、チェック項目5として、電池パック1の交換に関する情報(費用等)が表示される(f)。最後に、バイパス処理の内容を確認したか否かを示す情報が表示される(g)。
ディーラは、提供されたバイパス処理情報の内容に基づいて、ユーザへの説明を行ったり、ユーザの車両に関する管理を行ったりすることができる。なお、ディーラに提供するバイパス処理情報の内容は、図26に示す内容に限るものではなく、バイパス処理に対してディーラが求める内容を適宜提供するようにすればよい。また、ディーラに提供される内容によっては、バイパス処理の状態に基づいて、演算が行われる。例えば、図26(e)に示す電池パック1の寿命は、バイパス処理される単電池10の数に応じて変化するため、バイパス処理された単電池10の数に基づいて、電池パック1の寿命を求める必要がある。
図27には、メーカに提供されるバイパス処理情報の内容(一例)を示している。ここで、図27(a)〜(g)に示す内容は、矢印に示す順序で表示部311に表示される。
具体的には、まず、メーカ向けのバイパス処理情報であることを示す画面が表示される(a)。次に、チェック項目1として、バイパス処理に伴う単電池10の数の変化に関する情報が表示され(b)、チェック項目2,3として、電池モジュール100の充放電の制御に用いられるパラメータの変更に関する情報が表示される(c、d)。チェック項目2,3で表示される内容は、実施例5(図22,23)で説明した内容と同様である。
次に、チェック項目4では、バイパス処理に伴う電池パック1の寿命に関する情報が表示され(e)、チェック項目5では、電池パック1を交換する場合において、新しい電池パック1の納期に関する情報が表示される(f)。最後に、バイパス処理の内容を確認したか否かを示す情報が表示される(g)。
メーカは、提供されたバイパス処理情報の内容に基づいて、ディーラやユーザへの説明を行うことができる。なお、メーカに提供するバイパス処理情報の内容は、図27に示す内容に限るものではなく、バイパス処理に対してメーカが求める内容を適宜提供するようにすればよい。また、メーカに提供される内容によっては、バイパス処理の状態に基づいて、演算が行われる。例えば、図27(c、d)に示す制御パラメータや図27(e)に示す寿命は、バイパス処理される単電池10の数に応じて変化するため、バイパス処理された単電池10の数に基づいて、制御パラメータや寿命を求める必要がある。
本実施例によれば、対象者に応じてバイパス処理情報の内容を異ならせることにより、各対象者に対して必要なバイパス処理情報を提供することができる。これにより、対象者は、バイパス処理を行うときの必要な情報を得ることができる。