以下、本発明に係る燃料電池システムの第1の実施形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは、箱状の筐体11、燃料電池モジュール20、排熱回収システム30を備えている。
筐体11は、筐体11内を区画して収納室を形成する仕切部材12を備えている。仕切部材12は、筐体11を上下に区画する(仕切る)板状部材である。筐体11内には、仕切部材12より上方および下方に第1室R1および第2室R2が形成される。第1室R1が収納室である。
燃料電池モジュール20は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて収納されている。本実施の形態では、燃料電池モジュール20は、ケース21、改質器26、および燃料電池24を備えている。改質器26は蒸発部22および改質部23からなる。
ケース21は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケース21は、第1室R1内に該第1室R1の内壁面から空間をおいて図示しない支持構造により支持されている。ケース21内には、改質器26および燃料電池24が配設されている。このとき、改質器26を構成する蒸発部22、改質部23が燃料電池24の上方に位置するように配設されている。
蒸発部22は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部22は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部23に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
この蒸発部22には、一端(下端)が水タンク13内に配設された給水管41の他端が接続されている。給水管41には、改質水ポンプ41aが設けられている。改質水ポンプ41aは、蒸発部22に改質水を供給するとともにその改質水供給量を調整するものである。
また、蒸発部22には、燃料供給源(図示省略)からの改質用原料が改質用原料供給管42を介して供給されている。改質用原料供給管42には、上流から順番に一対の原料バルブ(図示省略)、脱硫器42a、および原料ポンプ42bが設けられている。原料バルブは改質用原料供給管42を開閉する電磁開閉弁である。脱硫器42aは改質用原料中の硫黄分(例えば、硫黄化合物)を除去するものである。原料ポンプ42bは、燃料供給源からの燃料供給量を調整するものである。
改質部23は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部22から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部23内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池24の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応であり、一酸化炭素シフト反応は発熱反応である。
燃料電池24は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなり、複数のセル24aが積層されて構成されている。第1の実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池24の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は700〜1000℃程度である。水素だけではなく天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることが可能である。
セル24aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路24bが形成されている。セル24aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路24cが形成されている。
燃料電池24は、マニホールド25上に設けられている。マニホールド25には、改質部23からの改質ガスが改質ガス供給管43を介して供給される。燃料流路24bは、その下端(一端)がマニホールド25の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ44a(カソードエア送出(送風)手段)によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管44を介して供給され、空気流路24cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
燃料電池24においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスとによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路24bおよび空気流路24cからは、発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)が導出する。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
そして、燃料流路24bおよび空気流路24cから導出した、発電に使用されなかった改質ガス(アノードオフガス)は、燃料電池24と蒸発部22(改質部23)の間の燃焼空間R3にて、発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気)によって燃焼され、その燃焼ガスによって改質器26を構成する蒸発部22および改質部23が加熱される。さらには、燃料電池モジュール20内を動作温度に加熱している。その後、高温の燃焼ガスはケース21に1箇所以上設けられる(本実施形態においては1箇所)導出口21aから導出口21aに配設された後述する熱交換器33を介して燃焼排ガスとして燃料電池モジュール20の外に排気される。
排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン32と、燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器33と、が備えられている。
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽31の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽31に貯留された高温の温水が貯湯槽31の柱状容器の上部から導出されるようになっている。
貯湯水循環ライン32の一端は貯湯槽31の下部に、他端は貯湯槽31の上部に接続されている。貯湯水循環ライン32上には、一端から他端に向かって順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ32a、熱交換器33、および温度センサ32bが配設されている。貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環ライン32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、その流量(送出量)が制御されるようになっている。温度センサ32bは、貯湯水の貯湯槽31の入口温度を検出するものであり、その検出結果を制御装置(図示省略)に送信するようになっている。
熱交換器33は、燃料電池モジュール20から排気される高温の燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽31からの低温の貯湯水が供給され燃焼排ガスと貯湯水が熱交換する熱交換器であるとともに、水蒸気を含む高温の燃焼排ガスを凝縮して凝縮水(回収水)を生成するための凝縮器も兼ねる。この熱交換器33は、筐体11内に配設されている。本実施の形態では、熱交換器33は、燃料電池モジュール20の下部に接続され設けられており、少なくとも熱交換器33の下部は仕切部材12を貫通して第2室R2に突出されて配設されている。
熱交換器33は、ケーシング33aを備えている。ケーシング33aには、高温の燃焼排ガスが導入される導入口33b、低温の貯湯水と熱交換され温度が低下した燃焼排ガスが導出される導出口33c、および凝縮された回収水が導出される導出口33dが設けられている。ケーシング33a内には、貯湯水循環ライン32に接続されている熱交換部(凝縮部)33eが配設されている。導入口33bは、燃料電池モジュール20のケース21の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される導出口21aに連通するようになっている。燃焼排ガスの導出口33cは、排気管45を介して第1排気口11aに接続されている。回収水の導出口33dは、ケーシング33aの底部に形成されている。燃焼排ガスの導出口33cは、回収水が燃焼排ガスの導出口33cから導出するのを防止するため、回収水の導出口33dより上方に形成されている。
このように構成された熱交換器33においては、燃料電池モジュール20から排出される高温の燃焼排ガスは、導入口33bからケーシング33a内に導入され、低温の貯湯水が流通する熱交換部33eを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは導出口33cおよび排気管45を通って筐体11の第1排気口11aから外部に排出される。また、凝縮されるとともに温度が低下した回収水は、回収水の導出口33dおよび回収水通路である回収水供給管46を介して純水器14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部33eに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。また、このように構成された排熱回収システム30においては、貯湯水循環ポンプ32aは、温度センサ32bの検出温度(貯湯水の貯湯槽31の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、送出量が制御されるようになっている。
燃料電池システムは、水タンク13および純水器14を備えている。水タンク13および純水器14は第2室R2内に配設されている。水タンク13は、純水器14から導出された純水を貯めておくものである。純水タンク13には、純水タンク13内の純水量を検出する図示しない水量センサ(水位センサ)が設けられている。水量センサは例えばフロート式、静電容量式などの水位計である。水量センサは制御装置に検出信号を送信するようになっている。
純水器14は、活性炭とイオン交換樹脂を内蔵しており、例えばフレーク状の活性炭と粒状のイオン交換樹脂を充填している。また被処理水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器14は、熱交換器33からの回収水を活性炭とイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器14は、配管47を介して純水タンク13に連通しており、純水器14内の純水は配管47を通って純水タンク13に導出される。
本発明に係る回収水通路が形成される回収水供給管46は、熱交換器33の直近である直下に配管継手によって着脱可能に接続され配置される。回収水供給管46は、熱交換器33と接続された部分から重力方向において下方に延在され、純水器14の上方と略同じ高さまで延在された後、純水器14の方向に向って直角方向に屈曲され純水器14の上方部と当接した位置で純水器14の接続部14aと接続される。回収水供給管46は、熱交換器33の導出口33dと接続されるための入口側接続部46aと、純水器14の接続部14aと接続されるための出口側接続部46bと、通路内を介して回収水を熱交換器33から純水器14に導入するための配管46cとからなる。
回収水供給管46の入口側接続部46aおよび出口側接続部46bは、それぞれ図2の破線に示すように市販の配管継手の雌部(または雄部)形状で形成されている。そして配管継手の各雌部(または雄部)が接続の相手側である熱交換器33の導出口33d、および純水器14の接続部14aに設けられた各配管継手の雄部(または雌部)に差し込まれ、配管46cの通路内に充填された粒状の抗菌剤53を漏出させないための所定の目の粗さを備えた、配管継手に内蔵されたフィルタ51を介して接続される。
配管46cはゴムまたは樹脂によって形成される。図2に示すように配管46cの通路内には、通路内全域に亘る粒状の抗菌剤を充填するための抗菌剤充填部46dが形成されている。抗菌剤はその粒径によって、大径である例えば粒径3〜4mmの第1抗菌剤53と、小径である例えば粒径0.5〜2mmの第2抗菌剤54とに分けられ、大径の第1抗菌剤53は回収水供給管46の抗菌剤充填部46dの両端部46e、46fに所定厚さでそれぞれ充填される。そして第1抗菌剤53に隣接し、第1抗菌剤53より両端部46e、46fから離れた側である位置、つまり本実施形態においては両端部46e、46fに充填された各第1抗菌剤53の間に、第1抗菌剤53よりも粒径の小さな第2抗菌剤54が充填されている。なお、本実施形態においては大径の第1抗菌剤53を抗菌剤充填部46dの両端部46e、46fに充填したが、これに限らず少なくとも一方の端部46e又は46fに充填すればよい。
また、このとき第1抗菌剤53が充填される所定厚さは、薄い方がより好ましい。しかし第1抗菌剤53の充填厚さが薄すぎる場合には小径の第2抗菌剤54が第1抗菌剤53と混在し、やがては第1抗菌剤53の端面より外側に出てしまう虞がある。よって第1抗菌剤53の充填厚さは、燃料電池システムを所定時間運転した後に、第2抗菌剤54が若干混在してもよいが、第1抗菌剤53の外側までは出ない厚さとし、評価によって求められる。例えば、第1抗菌剤53が充填される所定の厚さは、第1抗菌剤53の平均粒径の3〜10倍の厚さであることが好ましく、第1抗菌剤53の平均粒径の3〜5倍の厚さであることがより好ましい。
フィルタ51は、回収水供給管46の抗菌剤充填部46dの両端部46e、46f近傍に配設される。フィルタ51は、抗菌剤充填部46dの両端部46e、46fに充填された大径の各第1抗菌剤53の漏出を抑制するためのものである。しかし、これに限らずフィルタ51は、第1抗菌剤53および第2抗菌剤54から発生する酸素や炭酸ガスを通水抵抗としないために滞留させず、通過させて外部に排出する機能を併せ持つ。よっていずれの機能をも満足させるようにフィルタ51の目の粗さは例えば8メッシュ(開口径2mm)以上で、かつ大径の各第1抗菌剤53の粒径よりも小さい目の粗さで形成されるのが好ましい。なお、本実施形態においてフィルタ51は、抗菌剤充填部46dの両端部46e、46fの近傍に配設されたが、これに限らず少なくとも一方の端部近傍に配設されればよい。このときフィルタ51は、回収水供給管46内の抗菌剤充填部46dにおいて、重力方向における下方側に設けられることが望ましい。また回収水供給管46内を流通する回収水の流れにおいて下流側に設けられることが望ましい。
各抗菌剤53、54は、抗菌作用を有する粒状に形成されたものであり、本実施形態においては、粒状の基材である活性炭に抗菌作用を有する金属を担持させて構成されている。活性炭は多孔質の材料であるため、樹脂や金属と比較して単位体積あたりの表面積が大きい。そのためより多くの抗菌作用を有する金属を表面に担持でき、担持した金属からのイオン溶出量が多くなるので抗菌性能が向上する。また活性炭は多孔質であり、かつ吸着効果が大きいため、その微小な孔に抗菌作用によって死滅した雑菌を吸着させたり、微生物の栄養源となる有機物を吸着させることによって微生物の増殖を効果的に抑制することができる。なお、抗菌作用を有する金属は活性炭の微小孔を閉塞しないように担持されるのが望ましい。これは活性炭の吸着効果を減少させないためである。実施形態においては、具体的には、各抗菌剤53、54は活性炭に銀を担持して形成されている。
このように構成された回収水供給管46においては、図2に示すように熱交換器33の導出口33dから導出された回収水が自重によって落水し、熱交換器33の直下に配置された回収水供給管46の入口側接続部46aに設けられたフィルタ51を介して回収水供給管46に導入される。そして回収水はまず大径の第1抗菌剤53と接して抗菌される。このとき、フィルタ51の目の粗さは第1抗菌剤53の粒径より小さく設定されているので第1抗菌剤53はフィルタ51によって外部への漏出が抑制される。その後、回収水は粒径の小さな第2抗菌剤54の充填部に流入する。第2抗菌剤54は第1抗菌剤53よりも粒径が小さいため、回収水と接する表面積は大きくなり、より効果的に抗菌が行なわれる。その後、出口側に設けられた大径の第1抗菌剤53によって抗菌されながら、フィルタ51および回収水供給管46の出口側接続部46bを通って純水器14に導入される。なお、出口側においてもフィルタ51の目の粗さは出口側の第1抗菌剤53の粒径より小さく設定されているので第1抗菌剤53はフィルタ51によって外部への漏出が抑制される。
そして、フィルタ51は各抗菌剤53、54の抗菌剤充填部46dで発生する酸素や炭酸ガスを通過させ外部への排出を許容する十分な大きさの目の粗さを持つので、酸素や炭酸ガスを滞留させずに良好に排出する。よって通路内を流れる回収水は通水抵抗を受けずスムーズに流れることができる。また、フィルタ51から排出された酸素や炭酸ガスは熱交換器33の導出口33dを介して、熱交換器33の下部に設けられた燃焼排ガスが導出される導出口33cに到達し、排気管45を介して第1排気口11aから外部に排気される。
第1室R1は、第1室R1内に外部からの空気を導入する空気導入口12aと、第1室R1内の空気を外部に導出する空気導出口(第2排気口)11bと、空気導入口12aから空気導出口11bまでの空気が流通する流通路上に設けられ該空気(換気用空気)を送出するための換気用空気ブロワ15と、を備えている。
空気導入口12aは、仕切部材12に形成されている。なお、空気導入口12aは、第1室R1を形成する筐体11に形成するようにしてもよい。第2排気口11bは、第1室R1を形成する筐体11に形成されている。換気用空気ブロワ15は、空気導入口12aに設けられている。換気用空気ブロワ15は、第2室R2内の空気を吸い込んで、空気導入口12aを通して第1室R1内に送出している。また、第2室R2は、第2室R2内に外部からの空気を導入する空気導入口11cを備えている。
これにより、換気用空気ブロワ15の駆動によって、第2室R2内の空気が空気導入口12aを通して第1室R1内に送出される。第1室R1内に導入された換気用空気は、第1室R1の内壁面とケース21との間を燃料電池モジュール20との間で熱交換を行いながら(すなわち燃料電池モジュール20の排熱を回収しながら)第2排気口11bに向かって流通する。このとき、換気用空気は燃料電池モジュール20の排熱により加熱される(例えば、60〜80℃)。なお、換気用空気ブロワ15の駆動によって、第2室R2内の空気が空気導入口12aを通して第1室R1内に送出されるのと同時に、第2室R2内には外部の空気が空気導入口11cを通って流入する。
さらに、燃料電池システムは、温度センサ21bを備えている。温度センサ21bは、燃料電池モジュール20のケース21の外壁面温度または該外壁面温度を反映する部位の温度を検出するセンサである。温度センサ21bの検出結果は制御装置に送信されている。
そして、換気用空気ブロワ15は、温度センサ21bの検出温度に基づいて制御されるようになっている。すなわち、換気用空気ブロワ15は、温度センサ21bの検出温度が所定温度(例えば60℃)以上となれば駆動されるように制御されるようになっている。また、換気用空気ブロワ15は、温度センサ21bの検出温度と所定温度との温度差に基づいて制御されるようにしてもよい。この場合、換気用空気ブロワ15は、温度差が大きいほど換気用空気ブロワ15の送出(送風)量が大きくなるように制御されればよい。
なお、上記第1の実施形態においては、回収水供給管46の通路内において、抗菌剤充填部46dは該通路内の略全域に亘って配置されている。しかし、これに限らず抗菌剤充填部46dを通路内の一部だけに配置するようにし、該抗菌剤充填部46dの両端または一端にフィルタ51を設けるようにしても良い。ただし回収水供給管46の回収水の入口側部においては、雑菌の繁殖を効果的に抑制するために熱交換器33の直近である直下に抗菌剤充填部46d端面が配置されるものとする。
また、第1の実施形態においては、回収水供給管46は回収水の流れにおける下流側が、重力方向における下方側と一致するように構成されている。しかし、この構成に限らず抗菌剤充填部46dの配置の仕方によっては回収水の流れにおいて上流側となる位置が重力方向において下方側になるよう構成される場合もあり、このときにも本発明は適用できる。
さらに、第1の実施形態においては、ケース21内に改質器26を配置するシステム構成としたが、これに限らず改質器26をケース21の外に配置するシステム構成においても本発明は適用できる。
上述した説明から明らかなように、第1の実施形態においては、回収水通路内には抗菌剤充填部46dが設けられている。これにより、抗菌作用をもつ銅や亜鉛等の金属によって配管を構成した従来に比し、回収水と抗菌剤との接触面積を大幅に向上させることができるため効率よく抗菌できる。さらに、従来は抗菌剤としての配管材通路内面から溶出する金属イオンのイオン濃度が、接液している配管材の腐食等による表面状態の変化や配管の中に残った回収水の滞留時間等によってばらつき、雑菌の繁殖の抑制が安定してできなかった。しかし、回収水と抗菌剤53、54との接触面積を大幅に向上させることができたため、ばらつきの度合いは低減され、よって安定して雑菌の繁殖の抑制が可能になった。また、従来のように抗菌作用をもつ銅や亜鉛等の金属によって配管を構成し配管通路内面を抗菌部としなくてもよいので例えばゴムや樹脂等によって配管を構成でき軽量化や装置の簡素化を図ることができる。
また第1の実施形態においては、抗菌剤53、54は粒状を呈した多孔質の材料である活性炭と、該活性炭の表面に担持される抗菌部材である銀とによって構成される。これにより抗菌剤53、54は単位体積あたりの表面積が大きくなり、より多くの抗菌作用を有する銀を表面に担持できるため、担持した銀からのイオン溶出量が多くなり抗菌性能が向上する。
また第1の実施形態においては、抗菌剤充填部46dの両端には、抗菌剤の漏出を抑制し、かつ回収水に含まれるガスの通過を許容する目の粗さのフィルタ51がそれぞれ設けられている。これにより抗菌剤53、54が抗菌剤充填部46dから漏出することを抑制できるとともに、抗菌剤充填部46dで発生した炭酸ガスおよび酸素等のガスをフィルタ51から良好に逃がすことができるので、フィルタ部にガスが滞留せず通路内の回収水の移動を妨げない。
また第1の実施形態においては、該抗菌剤充填部46dの両端部46e、46fには、粒径の大きな第1抗菌剤53が所定の厚さで配置され、各第1抗菌剤53の間には第1抗菌剤53よりも粒径の小さな第2抗菌剤54が充填される。これにより抗菌剤を回収水通路から漏出させないためのフィルタ51の目の粗さは、フィルタ51に近接して設けられている粒径の大きな各第1抗菌剤53の粒径に合わせて粗くできるため抗菌剤充填部46dで発生した炭酸ガスおよび酸素等のガスをフィルタ51から良好に逃がすことができ、通路内の回収水の移動はさらにスムーズになる。また粒径の小さな第2抗菌剤54を各第1抗菌剤53に隣接して設けることができるため抗菌剤53、54と回収水との接触面積をより多く取ることができ、さらに効果的に抗菌できる。
さらに、第1の実施形態においては、燃料電池モジュールの高温の燃焼排ガスが排気されるケース21の導出口21aに、燃焼排ガスと貯湯槽の貯湯水との間で熱交換をする熱交換器33が接続され、回収水通路内の抗菌剤充填部46dは、この熱交換器33の出口直近に配置される。熱交換器33内においては、高温の燃焼排ガスと貯湯槽の低温の貯湯水との間で熱交換がされ、熱交換器33内の燃焼排ガス温度および凝縮水温度は該熱交換によって急激に低下し熱交換器33の出口近傍では雑菌が繁殖しやすい温度まで低下する。しかし、抗菌剤充填部46dが熱交換器33の出口直近に配置されているので、熱交換器33から排出された回収水は効率よく抗菌されて雑菌の繁殖が効果的に防止される。よって純水器14の負荷がさらに軽減でき、純水器14の寿命や通水困難等に対する信頼性が一層向上する。
次に、本発明による燃料電池システムの第2の実施形態について図3を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態に対し燃料電池60の構造が異なる。第2の実施形態においては、燃料電池60は固体高分子型電解質燃料電池であり、第1の実施形態に対し構成される電解質63の材質が異なる。そして電解質63が異なることにより供給される燃料、発電方法および配管等が異なるため、変更点のみ説明し、それ以外は同一符号を付し説明を省略する。
図3は、第2の実施形態の燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは燃料電池60と、この燃料電池60に必要な水素ガスを含む燃料ガスを生成する改質器70とを備えている。
燃料電池60は、燃料極61と空気極62と両極61,62間に介装された電解質63を備えており、電解質63は固体高分子型のイオン交換膜(例えば、フッ素樹脂系イオン交換膜等)である。
燃料電池60の燃料極61においては、供給された燃料ガス(水素ガス)が下記(化1)のように反応し、生成物である水素イオンが電解質63を通って空気極62に供給されるとともに未反応の水素ガスを含んだ燃料ガスオフガスが排出される。また空気極62においては、供給された空気中の酸素および燃料極61から電解質63を介して供給された水素イオンが下記(化2)のように反応し、水(水蒸気)が生成されその水蒸気を含んだ酸化剤ガスオフガスが排出される。
(化1)
H2 → 2H++2e−
(化2)
2H++1/2O2+2e− → H2O
ここで、燃料極61で生成された電子は外部に接続された回路(インバータ回路)を通って空気極62に到達し、空気極62にてその電子を使用して上記(化2)に示す反応が生じこれにより燃料電池60は発電する。
なお、燃料電池60の空気極62には、酸化剤ガスを供給する供給管81および酸化剤ガスオフガスを排出する排出管82が接続されており、これら供給管81および排出管82には、酸化剤ガスを加湿するための加湿器74が設けられている。この加湿器74は水蒸気交換型であり、排出管82において空気極62から排出される気体中の水蒸気を除湿し、その水蒸気を供給管81において空気極62へ供給される酸化剤ガスに供給して加湿するものである。
改質器70は、天然ガス、LPガス、灯油、メタノールなどの燃料を水蒸気改質し、水素リッチな燃料ガスを燃料電池60に供給するものであり、オフガス用燃焼器65を兼用する改質器用燃焼器66、改質部72、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)73および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)75から構成されている。
改質器用燃焼器66は、起動時に外部から燃焼用燃料および燃焼用空気が供給され、供給されたガスを燃焼して燃焼ガスを改質部72に導出するものである。
改質器用燃焼器66と一体で兼用されるオフガス用燃焼器65は、定常運転時に、燃料電池60の燃料極61から、燃料電池に供給されたが使用されずに排出された燃料ガスである燃焼ガスオフガス(アノードオフガス)が供給され、供給された燃焼ガスオフガスを燃焼して水蒸気を生成し、水蒸気を含んだ燃焼排ガスを改質部72に導出するものである。
改質器用燃焼器66またはオフガス用燃焼器65によって燃焼された燃焼ガスまたは燃焼排ガスは改質部72を(同改質部72の触媒の活性温度域となるように)加熱し、その後、第5凝縮器76または、第5凝縮器76と一体で兼用されるオフガス用燃焼器65用の第3凝縮器77を通ってその燃焼ガスまたは燃焼排ガスに含まれている水蒸気が凝縮されて外部に排気される。
第5凝縮器76(または第3凝縮器77)は、本発明に係る回収水通路を備える回収水供給管55を介して純水器14に連通し接続されている。
回収水供給管55は第1の実施形態における回収水供給管46と同様の構成で形成されている。回収水供給管55は通路内の図略の抗菌剤充填部に大径の第1抗菌剤53と、小径の第2抗菌剤54とが回収水供給管46と同様に充填されている。そして回収水供給管55は第5凝縮器76(または第3凝縮器77)および純水器14と図略の配管継手によって配管継手に内蔵されるフィルタ51を介して接続されている。フィルタ51は抗菌剤充填部に充填された抗菌剤53、54の漏出を抑制し、かつ回収水に含まれるガスの通過を許容する目の粗さをもつ。また回収水供給管55の抗菌剤充填部の回収水入口側部端面は第5凝縮器76(または第3凝縮器77)の直近側面に配置されている。抗菌剤充填部で発生した酸素や炭酸ガスは第5凝縮器76(または第3凝縮器77)に向って上昇し配管継手に内蔵されるフィルタ51を通過し、第5凝縮器76(または第3凝縮器77)に入り、第5凝縮器76(または第3凝縮器77)もしくは第5凝縮器76(または第3凝縮器77)の上流に設けられた外気通気口から外部に排出される。これによって純水器14には雑菌の繁殖が抑制された回収水がスムーズに供給されることとなる。
改質部72は、外部から供給された燃料に蒸発部(図示省略)からの水蒸気を混合した混合ガスを改質部72に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる燃料ガス)はCOシフト部73に導出される。
COシフト部73は、この燃料ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素ガスとに変成している。これにより、燃料ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部75に導出される。
CO選択酸化部75は、燃料ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO浄化用の空気とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、燃料ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池60の燃料極61に導出される。
改質器70のCO選択酸化部75と燃料電池60の燃料極61とを連通する配管64の途中には、凝縮器80が設けられている。この凝縮器80は燃料ガス用凝縮器である第4凝縮器83、燃焼ガスオフガス用凝縮器である第1凝縮器84および酸化剤ガスオフガス用凝縮器である第2凝縮器85が一体的に接続された一体構造体である。第4凝縮器83は配管64を流れる燃料電池60の燃料極61に供給される燃料ガス中の水蒸気を凝縮する。第1凝縮器84は、燃料電池60の燃料極61とオフガス燃焼器65とを連通する配管68の途中に設けられており、その配管68を流れる燃料電池60の燃料極61から排出される燃料ガスオフガス中の水蒸気を凝縮する。第2凝縮器85は、排出管82に設けられた加湿器74の下流に設けられており、排出管82を流れる燃料電池60の空気極62から排出される酸化剤ガスオフガス中の水蒸気を凝縮する。なお、凝縮器76、77、83、84、85には、図示しない貯湯槽の低温液体またはラジエータおよび冷却ファンによって冷却された液体が供給されるようになっており、この液体との熱交換によって各ガス中の水蒸気を凝縮している。
これら各凝縮器83、84、85は燃料電池60より下方となり、かつ純水器14より上方となるように配設されている。また、これら各凝縮器83、84、85は本発明に係る回収水通路を備える回収水供給管56、57、58を介して純水器14に連通して接続されている。回収水供給管56、57、58は純水器14に至る途中で合流し、配管69を形成し共有して純水器14までの各通路としている。回収水供給管56、57、58は内部を流れる回収水が配管69を介して純水器14まで溜まることなく自重によって落水するような構造となっている。回収水供給管56、57、58(配管69を含む)は回収水供給管46と同様の構成にて形成されており、各通路内の略全域に亘って図略の抗菌剤充填部を備え、通路内の抗菌剤充填部の両端部に大径の第1抗菌剤53が充填され、各第1抗菌剤53の間に小径の第2抗菌剤54が充填されている。
そして回収水供給管56、57、58は各凝縮器83、84、85と図略の配管継手によって配管継手に内蔵される所定の目の荒さのフィルタ51を介して接続されている。また配管69と純水器14とが、図略の配管継手によって配管継手に内蔵される所定の目の荒さのフィルタ51を介して接続されている。フィルタ51は抗菌剤充填部に充填された抗菌剤53、54の漏出を抑制し、かつ回収水に含まれるガスの通過を許容する目の粗さをもつ。そして回収水供給管56、57、58の抗菌剤充填部の回収水入口側部端面は各凝縮器83、84、85の直近である直下に配置されている。抗菌剤充填部で発生した酸素や炭酸ガスは各凝縮器83、84、85に向って上昇し配管継手に内蔵されるフィルタ51を通過して各凝縮器83、84、85に入り、各凝縮器83、84、85もしくは各凝縮器83、84、85の上流に設けられた各外気通気口から外部に排出される。これによって純水器14には雑菌の繁殖が抑制された回収水がスムーズに供給されることとなる。
なお、第2の実施形態においては、燃料電池システム内の全ての凝縮器76、77、83、84、85に対して回収水供給管55、56、57、58(配管69を含む)を配置する構成としたが、これに限らず少なくとも1個以上の凝縮器に配置する構成としてもよい。これによっても効果は得られ、純水器14の負荷は設けられた回収水供給管55、56、57、58の個数に応じて軽減できる。
また、上記第2の実施形態においては、回収水供給管55および56、57、58(配管69を含む)の通路内において、抗菌剤充填部は該通路内の略全域に亘って配置されている。しかし、これに限らず通路内の一部だけに配置し、該抗菌剤充填部の両端にフィルタ51を設けるようにしても良い。ただし回収水供給管55および56、57、58(配管69を含む)の回収水の入口側部においては、雑菌の繁殖を効果的に抑制するために凝縮器76、77、83、84、85の直近に抗菌剤充填部端面が配置されるものとする。
また、上記第2の実施形態においては、各抗菌剤充填部において大径の第1抗菌剤53を各抗菌剤充填部の両端部に充填したが、これに限らず第1の実施形態と同様に、大径の第1抗菌剤53は少なくとも一方の端部に充填すればよい。またフィルタ51は、抗菌剤充填部の両端部の近傍に配設されたが、第1の実施形態と同様に、少なくとも一方の端部近傍に配設されればよい。このときフィルタ51は、回収水供給管55および56、57、58(配管69を含む)内の各抗菌剤充填部において、重力方向における下方側に設けられることが望ましい。またフィルタ51は、回収水供給管55および56、57、58(配管69を含む)内を流通する回収水の流れにおいて下流側に設けられることが望ましい。
さらに、第2の実施の形態においては、回収水供給管55および56、57、58(配管69を含む)は回収水の流れにおける下流側が、重力方向における下方側と一致するように構成されている。しかし、この構成に限らず抗菌剤充填部の配置の仕方によっては回収水の流れにおいて上流側となる位置が重力方向において下方側になるよう構成される場合もあり、このときにも本発明は適用できる。
上述した説明から明らかなように、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果が期待できる。
なお、第1、第2の実施形態において、回収水供給管46、55、56、57、58(56、57、58は配管69を含む)の回収水通路内の各抗菌剤充填部には、大径の第1抗菌剤53と、小径の第2抗菌剤54とが充填された。しかしこの構成に限らず回収水供給管46、55、56、57、58の通路内の抗菌剤充填部には、同じ粒径を持つ抗菌剤が充填されてもよい。