JP2001239253A - 浄水装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 残留塩素だけでなくＴＨＭ等の消毒副生成物
や２−ＭＩＢ等の臭気物質や色度成分を効率的に除去で
きる浄水装置の提供。 【解決手段】 貯水タンク６から、浄水カートリッジ４
及び通水ポンプ９の順に接続され受水部へ通水する浄水
装置において、比重及び粒径の異なる小粒径活性炭１と
大粒径活性炭２の少なくとも２種類の活性炭を、水流で
活性炭１，２が移動可能な密度で浄水カートリッジ４に
充填し、浄水カートリッジ４の通水路をほぼ垂直方向と
するとともに水流の向きが下部から上部に流れる構成と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、冷水サーバーや自
動製氷装置に使用される貯水タンクを内蔵した冷蔵庫に
使われる用水を浄化する浄水装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、冷蔵庫の貯水タンク内に供給され
た用水のカルキ臭の元となる残留塩素を除去するため、
たとえば特開平６−２１３５４４号公報に記載のよう
に、タンク内に不織布に包まれた抗菌活性炭カートリッ
ジを浸漬し浄化する構造が提案されている。図４〜図６
に先の公報に記載の浄化装置の概要を示す。図４は従来
の浄水装置を示す図、図５は従来の浄水装置の概略斜視
図である。

【０００３】図４及び図５に示すように、上側に貯水タ
ンク１２及び下側に水受皿１３が配置され、用水は貯水
タンク１２の下端部の水注出口４１から水受皿１３に一
定量ずつ注入される構成となっている。水受皿１３は予
備室１５と計量室１６とを仕切り壁１７により区画した
もので、貯水タンク１２の水は最初は予備室１５側に給
水される。そして、用水は予備室１５内に配置された浄
水器１８を通過してカルキ臭を除去された後、仕切り壁
１７に開けたオリフィス１９から計量室１６に供給され
るようになっている。この場合、貯水タンク１２の注出
口４１から流出される水が必ず浄水器１８を通過するよ
うに、流水路用ガイドを設けておけば、予備室１５内か
らオリフィス１９を経由して計量室１６内に通水された
水は、全て浄水器１８により浄化抗菌されて、ポンプに
より製氷皿に送られる。

【０００４】図６は従来の浄水装置における浄水器の構
造を示す縦断面図であり、図示のように、収納ケース２
３ａと蓋２３ｂからなるカートリッジケース２３を備え
ている。このカートリッジケース２３の内部には、銀入
繊維状活性炭２４ａを親水性の良い不織布２４ｂで包ん
だ銀入繊維状活性炭パック品２４が組み込まれている。
繊維状活性炭２４ａは親水性が有るので、初期段階より
水とのなじみが良く、浄水器１８の機能を十分に発揮す
ることができるとされている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】水中のカルキやかび臭
を効率良く除去するためには、活性炭と水との接触機会
をいかに向上させるかが課題となる。しかしながら、図
６に示した従来の浄水器１８では、水は浄水器１８の収
納ケース２３ａの表面に沿って流れるだけで、圧力損失
が生じる銀入繊維状活性炭パック品２４の内部を通り抜
けにくい。しかも、通水圧力は貯水タンク１２の水面と
浄水器１８と間の水頭１０〜２０ｃｍ程度しかなく、水
流を活性炭内部に通すためには活性炭の粒径を大きく
し、充填量を粗にせざるをえず、性能面では大きなマイ
ナス要因となっていた。

【０００６】このため、水道水が有機物で汚染されてい
るような水を次亜塩素酸で酸化分解及び殺菌処理をした
用水の場合、付随して生成されてしまうＴＨＭ等の有機
塩素系の物質の浄化に対しては対応できないものであっ
た。

【０００７】本発明は、残留塩素だけでなくＴＨＭ等の
消毒副生成物や２−ＭＩＢ等の臭気物質や色度成分を効
率的に除去できる浄水装置を提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、貯水タンクか
ら、浄水カートリッジ及び通水ポンプの順に接続され受
水部へ通水する浄水装置において、比重及び粒径の異な
る少なくとも２種類以上の活性炭を、水流で活性炭が移
動可能な密度で前記浄水カートリッジに充填し、前記浄
水カートリッジの通水路をほぼ垂直方向とするとともに
水流の向きが下部から上部に流れる構成としたことを特
徴とする。

【０００９】本発明によれば、残留塩素だけでなくＴＨ
Ｍ等の消毒副生成物や２−ＭＩＢ等の臭気物質や色度成
分を効率的に除去できる浄水装置が得られる。

【００１０】

【発明の実施の形態】請求項１に記載の発明は、貯水タ
ンクから、浄水カートリッジ及び通水ポンプの順に接続
され受水部へ通水する浄水装置において、比重及び粒径
の異なる少なくとも２種類以上の活性炭を、水流で活性
炭が移動可能な密度で前記浄水カートリッジに充填し、
前記浄水カートリッジの通水路をほぼ垂直方向とすると
ともに水流の向きが下部から上部に流れる構成としたこ
とを特徴とする浄水装置であり、表面積を高めるために
粒径サイズを小さくした活性炭を使用しても、圧力損失
を高めることなく水流が流れるため、水中の残留塩素や
ＴＨＭ等の消毒副生成物を効果的に除去できるという作
用を有する。

【００１１】請求項２に記載の発明は、前記貯水タンク
から前記浄水カートリッジを通して前記受水部へ一定量
の水を通水した後、前記通水ポンプの回転を逆転させ、
配管内の水及び空気を送り込むことにより前記浄水カー
トリッジ中の活性炭を移動させる構成としたことを特徴
とする請求項１記載の浄水装置であり、逆転による活性
炭の移動により、次の通水時には水流に対して異なった
表面が現れているため水中の残留塩素やＴＨＭ等の消毒
副生成物を効果的に除去でき、比重の軽い大粒径の活性
炭が上部の活性炭の流出防止に用いているメッシュの面
に集まるため、圧力損失が高くならず効率的な除去がで
きるという作用を有する。

【００１２】以下、自動製氷装置に使用される貯水タン
クを内蔵した冷蔵庫に使われる用水を浄化する装置につ
いて説明する。

【００１３】図１（ａ）は本発明の一実施の形態による
浄水装置の正転時の浄水装置の概略図、図１（ｂ）は本
発明の一実施の形態による浄水装置の逆転時の浄水装置
の概略図である。

【００１４】図１において、貯水タンク６の上に貯水タ
ンク蓋７を一体化したものとして浄水装置が構成されて
いる。貯水タンク６の内部には浄水カートリッジ４を下
端に取り付けた給水管５をほぼ鉛直姿勢に設けられ、貯
水タンク蓋７には通水ポンプ９を中途に備えた送水チュ
ーブ８が接続されている。この送水チューブ８は自動製
氷装置の製氷室に通水ポンプ９を経由して接続したもの
である。そして、浄水カートリッジ４はその上下両端に
網状のメッシュシート３を備え、これらのメッシュシー
ト３によって小粒径活性炭１と大粒径活性炭２とが保持
されている。

【００１５】小粒径活性炭１は、フェノール樹脂基材で
真球状に加工され、その粒径を３００μｍ〜５００μｍ
としたものである。大粒径活性炭２は、同じくフェノー
ル樹脂を基材とし、真球状で粒径が８００μｍ〜１２０
０μｍ程度としたもの、或いは同じくフェノール樹脂基
材で粉末状活性炭を成型し円柱状に加工したもので、粒
径が８００μｍ〜１２００μｍ程度であって長さが１ｍ
ｍ〜３ｍｍ程度のものを用いる。活性炭の表面特性は、
小粒径活性炭１及び大粒径活性炭２ともに、比表面積１
０２０ｍ²／ｇ、細孔容積をＶ、細孔半径をＲとした時
ｄＶ／ｄｌｏｇＲの値が細孔直径０．６〜０．８ｎｍで
ピークを持つものを用いる。なお、活性炭表面の化学的
性質は、カルボニル基（＞Ｃ＝Ｏ）やカルボキシル基
（−ＣＯＯＨ）などの親水性官能基を少なくし、疎水性
表面が優位になることにより、ＴＨＭ等の疎水性有機塩
素系化合物を吸着しやすい構造となっている。

【００１６】浄水カートリッジ４の内部において上下に
配置したメッシュシート３どうしの間には、小粒径活性
炭１を８０％で大粒径活性炭２を２０％の容積比率で充
填する。メッシュシート３は開口径５０μｍ〜２００μ
ｍであり、小粒径活性炭１及び大粒径活性炭２の流出を
抑える。また、浄水カートリッジ４の容積は５０ｍｌと
し小粒径及び大粒径の活性炭１，２の総充填量を４５ｍ
ｌとして、これらの小粒径及び大粒径の活性炭１，２が
浄水カートリッジ４内で移動できるように充填する。こ
の浄水カートリッジ４は円形ないしは楕円形の柱状と
し、水流が底部から上部へと平行に流れる構成としたも
ので、上側配置のメッシュシート３より上は給水管５に
接続できるように先細りした形状を持つ。なお、小粒径
及び大粒径の活性炭１，２の寿命が尽きたとき、浄水カ
ートリッジ４ごと交換できるよう、その上端をネジ式或
いはＯ−リングを介した圧着式として給水管５に接続す
るものとする。

【００１７】なお、小粒径及び大粒径の活性炭１，２に
よる細菌の増殖を抑制するため、これらの活性炭１，２
に銀あるいは銅などの抗菌剤を担持させるようにしても
よい。或いは、活性炭１，２に銀や銅を担持したゼオラ
イト顆粒を混合することも可能である。更に浄水カート
リッジ４のケース，貯水タンク６，給水管５，送水チュ
ーブ８は、細菌の発生やぬめりの付着を抑制するため抗
菌性プラスチックないしは磨かれたステンレス材として
おくことが必要である。

【００１８】給水管５は貯水タンク蓋７と一体成型さ
れ、給水管５に浄水カートリッジ４が取付けられた状態
で貯水タンク６から取り外しできるようにする。貯水タ
ンク蓋７を貯水タンク６に取付けたとき、給水管５の先
端に取付けられた浄水カートリッジ４の最下端は貯水タ
ンク６の底にできるだけ近い位置たとえば底面から５ｍ
ｍ程度の位置に配置できるようにする。これにより、通
水ポンプ９で水を吸い上げるとき、貯水タンク６の底面
から５ｍｍに近いレベルまでの水を吸引することができ
る。

【００１９】以上の構成において、図１の（ａ）に示す
ように、貯水タンク６に給水した水は製氷皿の容積分の
水たとえば１００ｍｌが通水ポンプ９により吸い上げら
れる。このとき、浄水カートリッジ４底面から吸い上げ
られた水は小粒径活性炭１と大粒径活性炭２の層を通
り、残留塩素が分解処理されるとともに、ＴＨＭ等の消
毒副生成物や２−ＭＩＢ等の臭気成分及び色度成分等が
吸着される。これにより、浄化された水となって送水チ
ューブ８から製氷皿に供給される。なお、製氷皿で氷が
生成されると、センサー（図示せず）が働いて、製氷皿
が回転してアイスボックス内に氷が自動的に供給され
る。また、製氷皿が空になると再度センサーが働き、通
水ポンプ９が作動して補給タンク（図示せず）から水が
浄水カートリッジ４を経由して供給される。

【００２０】貯水タンク６内において、水が浄水カート
リッジ４の上面より上のレベルにある場合は、水と浄水
カートリッジ４は接触していることになる。しかしなが
ら、水の移動が無い場合は、拡散のみで浄水効果を得る
ことになり非常に効率は低い。図２にＴＨＭ及び残留塩
素の除去効果を示す図を示す。この場合の、ＴＨＭの初
期濃度は１００μｇ／リットル、残留塩素の初期濃度は
およそ２ｍｇ／リットルである。一日(２４時間)経過し
ても自然に揮発する場合、容器のみはＴＨＭ及び残留塩
素は６０％程度の減少しかなく、初期の４０％程度は残
存していることがわかる。逆に言えば、２４時間経過し
ても残留塩素が残っており、殺菌効果を維持していると
いえる。図２のデータのように、貯水タンク６中の残留
塩素は失われずに保持されているため細菌の発生は少な
い。

【００２１】一方、通水ポンプ９はＤＣ駆動のギアポン
プであり、製氷皿に水が供給されると通水ポンプ９は停
止し、この停止に引き続きいて図１の（ｂ）に示すよう
に逆転し、給水管５内の水を補給タンクに戻し、さらに
空気を送り込む。この一連の動作により、浄水カートリ
ッジ４中の小粒径及び大粒径の活性炭１，２は攪拌され
る。このため、小粒径及び大粒径の活性炭１，２内に一
定の通水路ができることにより浄化能力が著しく低下す
る現象を防止するのみならず、小粒径と大粒径の活性炭
１，２が移動して新しい吸着サイトが水の通り道に露出
することになり、これらの活性炭１，２の吸着能力の低
下を防止する。また、浄水カートリッジ４の中には比重
及び粒径の異なる２種類の活性炭１，２が充填されてい
るので、比重が軽く粒径の大きい大粒径活性炭２が活性
炭層の上部に偏ることになる。このため、通水時には上
側配置のメッシュシート３側に大粒径活性炭１が集まり
圧力損失を減らす。したがって、通水ポンプ９への負荷
の増大や流速の低下を防止することができ、常に安定し
た圧力で水を供給することができる。なお、具体的な動
作としては、ＤＣ１０Ｖで１リットル／分の水が約４秒
間送られ、停止後の約４秒間では逆転モードで動作す
る。

【００２２】前述の図２は本発明の浄水装置による除去
効果を示している。この図２から明らかなように、ＴＨ
Ｍ及び残留塩素ともに、経過時間に関係なく９０％以上
の除去率が可能であることが判る。

【００２３】図３に給水ポンプの負荷状況を示す。図３
は通水ポンプの圧力損失を説明する図である。図から判
るように、活性炭はＴＨＭの除去率を向上させるため強
い疎水性となっており、水に対する濡れ性が悪く小粒径
の活性炭のみを充填した場合は活性炭層による圧力損失
が高くなりポンプへの負荷も増大する結果となる。一
方、小粒径のみの活性炭に比べ大粒径の活性炭を混合し
た場合は、同じ電圧でも流量が４０％以上増えることが
示されている。

【００２４】

【発明の効果】本発明の浄水装置は、残留塩素だけでな
くＴＨＭ等の消毒副生成物や２−ＭＩＢ等の臭気物質、
色度成分を良く吸着除去できるだけでなく、圧力損失が
少ないためポンプにかかる負荷が少ないので長期間にわ
たって安定した性能を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）本発明の一実施の形態による浄水装置の
正転時の浄水装置の概略図 （ｂ）本発明の一実施の形態による浄水装置の逆転時の
浄水装置の概略図

【図２】ＴＨＭ及び残留塩素の除去効果を示す図

【図３】通水ポンプの圧力損失を説明する図

【図４】従来の浄水装置を示す図

【図５】従来の浄水装置の概略斜視図

【図６】従来の浄水装置における浄水器の構造を示す縦
断面図

【符号の説明】

１ 小粒径活性炭 ２ 大粒径活性炭 ３ メッシュシート ４ 浄水カートリッジ ５ 給水管 ６ 貯水タンク ７ 貯水タンク蓋 ８ 送水チューブ ９ 通水ポンプ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】貯水タンクから、浄水カートリッジ及び通
   水ポンプの順に接続され受水部へ通水する浄水装置にお
   いて、比重及び粒径の異なる少なくとも２種類以上の活
   性炭を、水流で活性炭が移動可能な密度で前記浄水カー
   トリッジに充填し、前記浄水カートリッジの通水路をほ
   ぼ垂直方向とするとともに水流の向きが下部から上部に
   流れる構成としたことを特徴とする浄水装置。
2. 【請求項２】前記貯水タンクから前記浄水カートリッジ
   を通して前記受水部へ一定量の水を通水した後、前記通
   水ポンプの回転を逆転させ、配管内の水及び空気を送り
   込むことにより前記浄水カートリッジ中の活性炭を移動
   させる構成としたことを特徴とする請求項１記載の浄水
   装置。