JP5428453B2 - 紙製液体容器 - Google Patents

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Description

本発明は、果汁飲料、お茶、液体スープなどの内容物を収納した紙製液体容器に関し、易開封性を有する紙製液体容器に関するものである。さらには、ストロー等をもちいて飲用する際に適した飲み口部を有する紙製液体容器に関するものである。
近年、果汁飲料、お茶、液体スープなどの液体食品の分野で使用後における廃棄処理の簡便さなどの理由から、飲み口部が開封用タブ材で覆われた紙製容器が広く使用されている。この紙製容器の形状としては、例えば図4に示す円筒状、図5に示す角筒状のものなどがある。
これら紙製容器は天板(2)に設けられた飲み口部となる開口部(3)から殺菌された果汁や液体飲料食品を充填し、その後開口部(3)の上面にタブ材(4)で密封することにより、内容物が充填された紙製液体容器が得られる。
開封はタブ材(4)を容器から引き剥がして飲み口部を露出させるプルトップ方式で行い、タブ材を剥がした後内容液を注ぎ出すように構成されている(例えば、特許文献1および2)
しかしながら、上記従来技術による紙製液体容器は、タブ材を天板の中央から周縁に向けて引き剥がして開口部を露出させる方法をとっているため、タブ材のつまみ部が短く狭くなってタブ材をつまみにくく、さらにこれを持って開封するという作業は、特に高齢者や小児にとって容易とは言い難く、易開封性に劣るという問題があった。
さらには、開封時に天板からタブ材を引き剥がすと、タブ材が天板から完全に分離してしまうため、ゴミとして散乱しやすく廃棄物の分別回収が面倒になり、環境衛生上好ましくない。
このような天板上面へのタブ材密封方式による紙製容器では、転倒や落下による物理的衝撃、あるいは輸送などによる流通時の振動衝撃などが加えられるような状況下においても、内容物がこぼれたりしないよう、タブ材を十分な強度で貼着させる必要があった。この結果、開封が困難でかつプルトップ方式であるため、開封時にタブ材を引き剥がす動作をすることによって内容物がこぼれたり周囲に飛散してしまったりすることがあり衛生上も好ましくない。
特開平08−143031号公報 特許第04161567号
本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたものであり、易開封性を備えるとともに開封後の廃棄物の散乱を防止したステイオン機能を付したタブ材を有する紙製液体容器を提供することを課題とする。
本発明の請求項1の発明の紙製液体容器は、紙を主体とした積層材料からなる底板、側壁および開口部を有する天板を備えた容器本体と、前記開口部を覆って接着して密封するタブ材とを具備し、内容物を密封充填するための紙製液体容器において、前記容器の開口部を外側から覆って、該容器を密封する前記タブ材が略短冊状の形状であって、開口部の周縁がシール部として天板と貼着され、かつ、開口部以外の箇所につまみ部を形成する孔が設けられ、さらに前記孔部から外縁部まで開封時のガイドとなる切れ込みが設けられた
ものであって、さらに、開口部およびつまみ部以外の一部であって開口部から離れた位置にあるものをシール部として天板と貼着されており、前記つまみ部を持ち上げ開口部を完全に露出させた後、該つまみ部を天板に残存しているタブ材に引っ掛けることで、該タブ材を容器本体から離脱させないことを特徴とする紙製液体容器である。
請求項1に係る発明によれば、タブ材の開口部以外の箇所に孔を穿ち、つまみ部を形成しているので、持ちやすく、かつ少ない力で開封することが可能となり、高齢者や小児においても容易に開封が可能になる。
また請求項に係る発明によれば、つまみ部を持ってタブ材を引き上げて開口部を露出させた後、開口部およびつまみ部以外の一部をシール部として天板と貼着した部分につまみ部を引っ掛けることで天板上に固定化することが可能となり、結果タブ材が紙製液体容器から分離して散乱することがない。
したがって本発明は、清涼飲料水等液体食品を収納する紙製容器として、易開封性を有し、かつ、飲用時に廃棄物の散乱を生じないよう考慮されたタブ材を付した点で、優れた実用上の効果を発揮する
本発明に係る紙製液体容器の一例を示す図である。 本発明に係る紙製液体容器の一例を示す図である。(a)タブ材を装着した天板の俯瞰図である。(b)つまみ部を持ち、切り込みに沿って開封する状態を示した俯瞰図である。(c)開口部が露出した状態を示す俯瞰図である。(d)タブ材のつまみ部を引っ掛け、容器上にステイオンせしめた状態を示す俯瞰図である。 本発明に係る紙製液体容器の形成方法の一例を示す図である。(a)円筒状に成型した側壁を形成する工程である。(b)開口部を形成した天板と底板を側壁に接着させて容器を形成する工程である。(c)開口部から内容物を充填する工程である。(d)タブ材をシールする工程である。 従来の円筒状紙製液体容器の一例を示す図である。 従来の角筒状紙製液体容器の一例を示す図である
本発明の易開封性タブ材を具備した紙製液体容器を実施の形態に沿って以下詳細に説明する。なお、本発明に係る紙製液体容器の形状は図示したような円筒状に限定されるものではなく、角筒状、カップ状、円錐状など各種形状の容器を用いることが出来る。
本発明の紙製液体容器は、例えば図1に示すように、紙を主体とした積層材料からなる底板(5)、側壁(6)および天板(2)からなる紙製液体容器(1)であり、あらかじめ天板(2)に形成された開口部(3)を覆うようにタブ材(4)が外側から装着されている。
次に、本発明の請求項1に係る紙製液体容器の一実施形態に関して、図2に基づいて詳細に説明する。
この紙製液体容器は、例えば、容器の天板(2)に形成された開口部(3)を覆うように外部からタブ材(4)が貼着されてなり、開口部の周縁シール部(41)、開口部(3)以外の部分に設けられた孔(42)により形成されたつまみ部(43)が設けられている(図2(a))。
開口部(3)以外の箇所に設けられるつまみ部(43)を形成する孔(42)の位置と形状はつまみ部(43)を指で持つきっかけが容易に出来ることと持ち上げたつまみ部を上記の天板(2)とタブ材(4)の開口部の周縁シール部およびつまみ部以外のシール部近辺で天板とタブ材の空隙にはさみこませやすい形であればよく、好ましくは開口部の反対側に向けて凸のゆるやかな形状が適当である。
開封時には、まずつまみ部(43)を持ち、切れ込み部(44)に沿って切断するように上部に引き上げる(図2(b))。
孔(42)から外縁部までの開封時のガイドとなる切れ込み部(44)は少ない力で予定された方向にタブ材(4)を開封してゆくことが目的であり、孔(42)の位置と形状によって決まる適切な場所に設けられる。
さらに、つまみ部(43)を上部に引き上げることによって、開口部の周縁シール部(41)よりタブ材(4)が引き剥がされて開口部(3)が露出する(図2(c))。
最後に、つまみ部(43)の先端部を開口部(3)およびつまみ部(43)を形成するための孔(42)以外の箇所に設けたシール部(45)に引っ掛けることで、タブ材(4)のつまみ部(43)が、天板の飲み口の邪魔にならない場所に容易に固定される(図2(d))。
タブ材のつまみ部(43)の固定の仕方は、先端を飲み口から離れたシール部(45)近辺のタブ材(4)に引っ掛ければよいが、タブ材を旋回させて出来た空隙に差込むと容易には外れない形で先端を係止できる。
開口部(3)およびつまみ部(43)以外のシール部(45)はタブ材(4)を天板(2)の上に挟み込んで飲み口の邪魔にならないようにすることと天板(2)からタブ材(4)が分離して別の廃棄物にならないようにすることが目的であり、開口部(3)からタブ材を剥がすときに天板自体から一緒に剥がれてしまうことのないように開口部から離れたところ、たとえば、図2に示したような開口部(3)の反対側のタブ材の角等の位置が好適である。
請求項1に係る紙製液体容器の形成方法の一例について、図3に基づいて説明する。
まず、紙を主体とした積層材料を成型機で円筒状に成型を行い側壁(6)を形成する(図3(a))。
次に、紙を主体とした積層材料に飲み口部となる開口部(3)を形成した天板(2)と同じく紙を主体とした積層材料からなる底板(5)を側壁(6)に完全に接着させる(図3(b))。
この状態で、内容物となる果汁飲料、お茶、液体スープなどの液体食品を充填し(図3(c))、最後に飲み口部の全体を覆うように、タブ材4を容器外部より貼着することで、円筒状の紙製液体容器を作成する(図3(d))。
ここで、本発明で使用される天板、底板および側壁について説明する。天板、底板および側壁に用いる材料は紙を主体とした積層材料であり、紙以外に用いる構成材料としてはポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムなどの合成樹脂層、ガスバリア性フィルムなどが挙げられ、これらを接着剤により複数層積層したものを用いる。
前記の紙としては液体用容器に通常使われる紙であれば用いることが出来るが、加工性と保形性からみて坪量が50〜500g/mの板紙が望ましい。
前記合成樹脂は、前記紙材の含有水分安定のため、外部からの汚れ防止や衝撃緩和のため、さらには、内容物の紙材への浸透を妨げるために用いられ、たとえば10〜100μmの合成樹脂層および/またはフィルムが多用される。合成樹脂としては好ましくはポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートや2,6−ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂が挙げられる。
ガスバリア性フィルムは、内容物の保存性を高めるために用い、例えばプラスチックフィルムに酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの無機酸化物を蒸着した蒸着フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムなどが挙げられる。
ガスバリア性フィルムの前記蒸着フィルムに用いるプラスチックフィルムとしては10〜100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが、無機酸化物蒸着層の厚みとしては10〜100nmが好ましい。
上記の積層材料の層構成は、天板、底板、および側壁ともに共通した構成であっても、異なった構成であってもよく、内容物の保存性や容器形状などの実情に応じて使用すればよい。
また、タブ材は天板、底板および側壁と同様に紙を主体とした積層材料であることには変わりないが、天板と貼着可能で、かつ適度な強度で天板とはがれるピール層が必要であり、例えばポリプロピレン樹脂に高密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂を適量ブレンドした低剥離強度タイプの無延伸ポリプロピレン樹脂を用い、加熱による貼着方法とすることが望ましい。
以下、本発明にかかる紙製液体容器について具体的に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
<実施例1>
<天板、底板および側壁用積層材料>
積層用材料として
紙材:坪量320g/m
合成樹脂層1:厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
合成樹脂層2:密度0.920g/cmの低密度ポリエチレン
ガスバリア性フィルム:合成樹脂1上に酸化ケイ素薄膜を蒸着したポリエステルフィルム
各層間を接着する接着剤にポリウレタン系接着剤を用い、(容器外側)合成樹脂層2/紙材/合成樹脂層1/ガスバリアフィルム/合成樹脂層2(容器内側)の構成からなる積層材料(A)を得た。
<タブ材用積層材料>
積層用材料として
紙材:坪量83g/m2
合成樹脂層1:厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム
ガスバリア性フィルム:合成樹脂1上に酸化ケイ素薄膜を蒸着したポリエステルフィルムピール層:高密度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂とをブレンドした、厚さ35μmの無延伸ポリプロピレンフィルム
各層間を接着する接着剤にポリウレタン系接着剤を用い、ピール層/ガスバリアフィルム/紙材/合成樹脂層1の構成からなる積層材料(B)を得た。
<紙製液体容器の作成>
上記にて得られた積層材料(A)および積層材料(B)を用いて、紙容器製造機および液体充填機により、図3のような工程で図1に示した本発明の請求項1に係る、直径53mm、内容量235mlの円筒状紙容器に、水を200ml充填した紙製液体容器(C)を得た。
評価>
実施例1で得られた紙製液体容器(C)にて、開封性を評価したところ、つまみ部を持つことにより容易に開封でき、かつ、つまみ部をそのまま引っ掛けることで容器から離脱することなく、廃棄物の散乱もなかった。
1…紙製液体容
…天板
3…開口部
4…タブ材
5…底板
6…側壁
41…シール部
42…孔
43…つまみ部
44…切れ込み部
45…シール部

Claims (1)

  1. 紙を主体とした積層材料からなる底板、側壁および開口部を有する天板を備えた容器本体と、前記開口部を覆って接着して密封するタブ材とを具備し、内容物を密封充填するための紙製液体容器において、前記容器の開口部を外側から覆って、該容器を密封する前記タブ材が略短冊状の形状であって、開口部の周縁がシール部として天板と貼着され、かつ、開口部以外の箇所につまみ部を形成する孔が設けられ、さらに前記孔部から外縁部まで開封時のガイドとなる切れ込みが設けられたものであって、さらに、開口部およびつまみ部以外の一部であって開口部から離れた位置にあるものをシール部として天板と貼着されており、前記つまみ部を持ち上げ開口部を完全に露出させた後、該つまみ部を天板に残存しているタブ材に引っ掛けることで、該タブ材を容器本体から離脱させないことを特徴とする紙製液体容器。
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