JP5427454B2 - 光透過性基材及びその製造方法、光学フィルム、偏光板、並びに画像表示装置 - Google Patents

光透過性基材及びその製造方法、光学フィルム、偏光板、並びに画像表示装置 Download PDF

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本発明は、表面に凹凸を有する光透過性基材、その製造方法、光学フィルム、偏光板、および画像表示装置に関する。
近年、液晶表示装置(LCD)は、薄型で、軽量で、且つ消費電力が小さいことから広く使用されてきている。液晶表示装置は、液晶セル及び偏光板を含む。偏光板は、通常、保護膜と偏光膜とからなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護膜にて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。また、反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート及び偏光板の順に配置する。
LCDは自発光型の表示装置ではないため、面光源が必要である。面光源の態様としては、液晶セルと発光光源との間に拡散シートやプリズムシートなどの光拡散能を持つ部材などを介在させて一様な面光源とするバックライト型が広く用いられており、その発光光源として冷陰極管(CCFL)やLEDが使用されている。また一部のLCDでは、導光板のエッジ部分に光源を配置し、拡散シートやプリズムシートなどと組み合わせで、面光源化している形態(エッジライトタイプ)も知られている。これらは上述の様に一般的に線光源あるいは点光源から面光源に変換をするため、拡散シート又は拡散フィルム(光拡散シート又は光拡散フィルム)を用いて均一な面光源化をしている。
面光源を得るためのバックライトの部材のなかで、拡散シートは、一般的に、バックライトとバックライト側偏光板との間に配置される。拡散シートを配置することで、光源による輝度ムラの低減と表示特性の面均一化が達成されるとともに(特許文献1)、入射光が液晶セル中の画素と干渉して、モアレ等の干渉縞を生じるのを抑制することができる。
しかし近年、液晶表示装置の部材数を削減や、低消費電力化のため光源に利用される蛍光灯数を減少することが試みられている。またLCDの薄型化のため、バックライト光源と拡散シートとの距離が近くなり、そのため、従来の拡散フィルムでは、均一な光拡散を達成することが困難になってきている。そこで可能な限り距離を稼ぐため、拡散シート代替として、バックライト側偏光板の表面に拡散性を有するものが使用されてきている。
例えば、特許文献1は、多孔質不定形粒子と球状粒子とを分散含有する、所定の特性の光拡散層を有する光拡散偏光板が提案され、これによって光拡散シートを省略できることが開示されている。また、特許文献2及び3には、微粒子を含有するドープを支持体上に流延することを含む光拡散フィルムの製造方法が提案され、この方法によれば、光学的等方性等に優れる光拡散フィルムが作製できることが開示されている。
また、光拡散性を有するフィルムに、楕円状の粒子を使用できることが提案されている。
例えば特許文献4は、熱可塑性樹脂中に、扁平状粒子(回転楕円体形状、円盤状、ラグビーボール形状等の粒子)を含有する前方散乱フィルムが開示され、反射型液晶表示装置に組み込んだ際の前方散乱機能及び視認性の著しい向上が見られることが示されている。特許文献5には透明支持体上に防眩層が形成され該防眩層表面の頂角を規定した防眩フィルムにおいて、扁平状の粒子を用いた態様が開示され、白味の少なく、透過画像鮮明性の高い防眩フィルムが得られることが示されている。特許文献6には、硬化性樹脂からなるハードコート層に扁平状の透光性粒子を用い、凝集性の無機粒子と併用することで、防眩性、正面コントラスト、ギラツキがない防眩性フィルムが得られることを示している。
特開2000−75134号公報 特開2001−172403号公報 特開2003−25504号公報 特開2000−258612号公報 特開2001−281402号公報 特開2008−287072号公報
しかし、上記文献に記載の光拡散フィルムは、全光透過率が低いので、画像表示装置に用いると、正面白輝度の低下の一因になる場合がある。また、十分な拡散性を確保するために多量の微粒子を膜中に含有させる必要があるため、微粒子の凝集による2次粗大粒子の発生故障が起こり易い場合があり得る。また、正面コントラスト低下抑制のため、ヘイズを下げる、つまり全光透過率を上げると、表示画面の均一性の悪化(バックライトのムラ等)やモアレ等の干渉縞を生じるのを抑制できなくなる場合がある。また、微粒子を用いた光拡散フィルムをバックライトに用いると、バックライトの点灯時と消灯時の温度変化が繰り返された場合の耐久性に問題を生じることがあった。
本発明は、液晶表示装置等の画像表示装置の表示性能の均一化及び薄型化に寄与し、耐久性に優れた、新規な偏光板保護用の光透過性基材、光学フィルム及び偏光板、ならびに前記光透過基材を簡易に製造可能な方法を提供することを課題とする。
また本発明は、正面白輝度が高く且つ画面内において均一且つモアレなどの干渉縞抑制が可能であり、しかも薄型化に対応可能な、画像表示装置を提供することを課題とする。
以下の構成により上記課題は達成された。
〔1〕
熱可塑性樹脂、架橋性の真球状の透光性粒子及び溶剤を含むドープを支持体に流延し、剥離後乾燥させて、該架橋性の透光性粒子を膜厚方向に厚みを減少させるように変形させる光透過性基材の製造方法であって、
該透光性粒子が、単官能モノマーと架橋性モノマーの共重合体からなり、全モノマーに対する架橋性モノマーの比率が1質量%以上25質量%以下であり、
該光透過性基材中の該透光性粒子の平均アスペクト比が1.2以上50以下であり、
該光透過性基材が少なくとも一方の表面に凹凸形状を有してなる、光透過性基材の製造方法。
〔2〕
前記透光性粒子のトルエン中での膨潤率が20体積%以上100体積%以下である、〔1〕に記載の光透過性基材の製造方法。
〔3〕
前記光透性基材の前記少なくとも一方の表面の凹凸形状の傾斜角が以下の分布を有し、該凹凸形状の凹凸の平均間隔Smが10μm以上300μm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の光透過性基材の製造方法。
(a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が25%未満
(b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が60%以上100%未満
(c)10°以上の頻度の積分値が0%以上25%未満
〔4〕
前記光透過性基材の散乱角度分布が以下の条件を満たす〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法。
(g) I(4°)/I0=0.02〜0.06
ここで、I(4°)及びI0は光透過性基材の法線方向から光を入射させた際に該光透過性基材を透過してくる出射光の強度であって、I(4°)は光透過性基材が前記透光性粒子を含有する場合の該光透過性基材の法線から4°傾いた位置における出射光強度、I0は光透過性基材が前記透光性粒子を含有しない場合の該光透過性基材の法線方向の出射光強度である。
〔5〕
内部に起因するヘイズ値が0.1〜35%であり、表面に起因するヘイズ値が3〜40%である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法。
〔6〕
前記透光性粒子を形成する前記単官能モノマーが、芳香族モノビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、モノ又はジカルボン酸及びジカルボン酸の酸無水物、アミド系モノマー、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、又はヒドロキシブチルビニルエーテルである〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法。
〔7〕
前記透光性粒子を形成する前記架橋性モノマーが、芳香族系モノマー、酸素含有モノマー、硫黄含有モノマー、脂肪族モノマー、又は多価アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステル化合物である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法。
〔8〕
〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法であって、
該光透過性基材は、少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時または逐次流延した後、剥離乾燥させて光透過性基材を作製し、
少なくとも一方のドープに熱可塑性樹脂と架橋性の透光性粒子とを含有することを特徴とする光透過性基材の製造方法。
〔9〕
熱可塑性樹脂、架橋性の透光性粒子及び溶剤を含むドープを支持体に流延し、剥離後乾燥させて、該架橋性の透光性粒子を膜厚方向に厚みを減少させるように変形させる光透過性基材の製造方法であって、
該透光性粒子が、単官能モノマーと架橋性モノマーの共重合体からなり、全モノマーに対する架橋性モノマーの比率が1質量%以上25質量%以下であり、
該光透過性基材中の該透光性粒子が、ラグビーボール状、円盤状又は楕円盤状粒子であり、該透光性粒子の平均アスペクト比が1.2以上50以下であり、
該光透過性基材が少なくとも一方の表面に凹凸形状を有してなる、光透過性基材の製造方法。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法によって製造された光透過性基材。
〔11〕
〔10〕に記載の光透過性基材の上に、0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を有する光学フィルム。
〔12〕
偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の側に保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムが〔10〕に記載の光透過性基材または〔11〕に記載の光学フィルムである偏光板。
〔13〕
〔10〕に記載の光透過性基材、〔11〕に記載の光学フィルム、または〔12〕に記載の偏光板のいずれかを有する画像表示装置。
本発明は、上記〔1〕〜〔13〕に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記(1)〜(14))についても記載している。
(1)
少なくとも一方の表面に凹凸形状を有してなる光透過性基材であって、
該光透過基材は、熱可塑性樹脂から形成され、かつ平均アスペクト比が1.2以上50以下の架橋性扁平状の透光性粒子を含有し、
該光透性基材の前記少なくとも一方の表面の凹凸形状の傾斜角が以下の分布を有し、
(a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が25%未満
(b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が60%以上100%未満
(c)10°以上の頻度の積分値が0%以上25%未満
更に、該凹凸形状の凹凸の平均間隔Smが10μm以上300μm以下であり、
該扁平状の透光性粒子は、単官能モノマーと架橋性モノマーの共重合体からなり、全モノマーに対する架橋性モノマーの比率が1質量%以上25質量%以下であることを特徴とする光透過性基材。
(2)
少なくとも一方の表面に凹凸形状を有してなる光透過性基材であって、
該光透過基材は、熱可塑性樹脂から形成され、かつ平均アスペクト比が1.2以上50以下の架橋性扁平状の透光性粒子を含有し、
該光透性基材の前記少なくとも一方の表面の凹凸形状の傾斜角が以下の分布を有し、
(a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が25%未満
(b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が60%以上100%未満
(c)10°以上の頻度の積分値が0%以上25%未満
更に、該凹凸形状の凹凸の平均間隔Smが10μm以上300μm以下であり、
該扁平状の透光性粒子は、単官能モノマーと架橋性モノマーの共重合体からなり、トルエン中での膨潤率が20体積%以上100体積%以下であることを特徴とする光透過性基材。
(3)
少なくとも一方の表面に凹凸形状を有してなる光透過性基材であって、
該光透過基材は、熱可塑性樹脂から形成され、かつ平均アスペクト比が1.2以上50以下の架橋性扁平状の透光性粒子を含有し、
該光透性基材の前記少なくとも一方の表面の凹凸形状の傾斜角が以下の分布を有し、
(a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が25%未満
(b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が60%以上100%未満
(c)10°以上の頻度の積分値が0%以上25%未満
更に、該凹凸形状の凹凸の平均間隔Smが10μm以上300μm以下であり、
該扁平状の透光性粒子は、単官能モノマーと架橋性モノマーの共重合体からなり、全モノマーに対する架橋性モノマーの比率が1質量%以上25質量%以下で、かつトルエン中での膨潤率が20体積%以上100体積%以下であることを特徴とする光透過性基材。
(4)
前記光透過性基材の散乱角度分布が以下の条件を満たす上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光透過性基材。
(g) I(4°)/I0=0.02〜0.06
ここで、I(4°)及びI0は光透過性基材の法線方向から光を入射させた際に該光透過性基材を透過してくる出射光の強度であって、I(4°)は光透過性基材が前記透光性粒子を含有する場合の該光透過性基材の法線から4°傾いた位置における出射光強度、I0は光透過性基材が前記透光性粒子を含有しない場合の該光透過性基材の法線方向の出射光強度である。
(5)
内部に起因するヘイズ値が0〜30%であり、表面に起因するヘイズ値が3〜30%である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の光透過性基材。
(6)
単官能モノマーが、芳香族モノビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、モノ又はジカルボン酸及びジカルボン酸の酸無水物、アミド系モノマー、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、又はヒドロキシブチルビニルエーテルである上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の光透過性基材。
(7)
架橋性モノマーが、芳香族系モノマー、酸素含有モノマー、硫黄含有モノマー、脂肪族モノマー、又は多価アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステル化合物である上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の光透過性基材。
(8)
上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光透過性基材の上に、0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を有する光学フィルム。
(9)
熱可塑性樹脂、架橋性の透光性粒子及び溶剤を含むドープを支持体に流延し、剥離後乾燥させて、該架橋性の透光性粒子を扁平粒子に変形させる光透過性基材の製造方法において、光透過性基材中の扁平粒子の平均アスペクト比を1.2以上50以下とする光透過性基材の製造方法。
(10)
上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法であって、熱可塑性樹脂、架橋性の透光性粒子及び溶剤ドープを支持体に流延し、剥離後乾燥させることを特徴とする光透過性基材の製造方法。
(11)
上記(10)に記載の光透過性基材の製造方法であって、
該光透過性基材は、少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時または逐次流延した後、剥離乾燥させて光透過性基材を作製し、
少なくとも一方のドープに熱可塑性樹脂と架橋性の透光性粒子とを含有することを特徴とする光透過性基材の製造方法。
(12)
上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法であって、熱可塑性樹脂と架橋性の透光性粒子とを混合させ、溶融押出しし、延伸することを特徴とする光透過性基材を製造する製造方法。
(13)
偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の側に保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムが上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光透過性基材または上記(8)に記載の光学フィルムである偏光板。
(14)
上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の光透過性基材、上記(8)に記載の光学フィルム、または上記(13)に記載の偏光板のいずれかを有する画像表示装置。
本発明の光透過性基材を液晶表示装置のバックライト側偏光板保護フィルムとして使用することにより、正面での白輝度の低下とモアレが生じることがなく、輝度の均一性の高い画像表示を得ることができる。また、本発明により得られる光透過性基材、光学フィルム、偏光板及び画像表示装置は良好な耐久性を有する。
従来の液晶表示装置の一例を表す模式図である。 本発明の液晶表示装置の一例を表す模式図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明は、光透過性基材の中に製膜過程で架橋性の扁平状の粒子を形成することにより、光透過性基材の表面凹凸の形状を特定の形態を与え、光散乱性を制御した光透過性基材である。特に、液晶表示装置のバックライト側の偏光板保護フィルムとして用いた際に、正面白輝度が高く且つ画面内において均一且つモアレなどの干渉縞抑制が可能であり、しかも薄型化に対応可能な、画像表示装置を提供できる。以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
従来の液晶表示装置の構成の一例においては、図1(a)に示すように、光源側から、〔光源1/導光板(蛍光管)2/下拡散シート3/集光シート4(プリズムシートなど)/上拡散シート5/液晶パネル(下偏光板6/基板8/液晶セル7/基板8/上偏光板6)〕となっている。下拡散シートは主にバックライトユニットの面内輝度ムラを低減するための光拡散性の強い光学シートであり、集光シートは拡散光を液晶表示装置の正面方向(表示装置平面の法線方向)に集光させるための光学シートであり、上拡散シートは集光シートであるプリズムシートや液晶セル中の画素など周期的構造により発生するモアレを低減するための、および下拡散シートで除去しきれない面内輝度ムラをさらに低減するために用いられる光学シートである。
本発明の液晶表示装置においては、図1(b)に示すように、上拡散シートの代わりに、下偏光板の保護フィルムに光拡散性を付与し(表面凹凸を有する光透過性基材9)、上拡散シートと同様以上の性能を発揮させるものであり、上記構成とすることで、モアレや面内輝度ムラを軽減するだけでなく、上拡散シートや従来技術では弊害となっていた、正面輝度や正面コントラストの低下を抑える効果をもたらす。さらに上拡散シートを除去することで、液晶表示装置全体の厚みを薄くすることができ、上拡散シートを複数枚使用する場合はより効果的である。原理的には除去した拡散シートの厚み分だけ薄くすることができる。
具体的には、上拡散シートや従来技術では必要以上に広角の範囲まで入射光を拡散させており、これにより相対的に正面方向への出射光量を低下させていた。本発明の構成、即ち下偏光板に付与した光拡散性保護フィルムの光拡散プロファイルを最適化させた液晶表示装置においては、正面方向への出射光量を低下させることなく、モアレや輝度ムラ軽減に必要十分な拡散性を付与しているため、この問題を解決できる。また、バックライト、下拡散シートの特性を変えたり、これら部材を複合化したりすることで、本発明に用いる光拡散性を有する光学フィルムの最適光散乱プロファイルも変化はするが、上述の構成範囲内であれば概ね目的の性能を発揮することが可能である。
さらに、一部の液晶表示装置では、輝度向上フィルム(例えば、DBEF;3M社製)を下偏光板の直下に使用するものがあり、下偏光板の保護フィルムに光散乱性フィルムを配すると偏光解消が起こり輝度向上性能の低下を招くことがあるが、本発明の液晶表示装置では偏光解消の大きい広角散乱成分が少ない光学フィルムを用いているため、輝度向上性能の低下を極めて少なくすることができる。
<光透過性基材の表面形状>
以下本発明の光透過性基材について説明する。
本発明の光透過性基材は少なくとも一方の表面に凹凸形状(傾斜面)を有し、光の散乱性能を有するものである。以下の説明において、光散乱性の制御のために凹凸形状を制御する側の表面をA面と定義し、別の表面をB面と定義する。まず以下A面の形状について説明する。本発明において、A面の傾斜角およびその割合は以下の方法で決定される。
まず、面積が0.5乃至2平方マイクロメートルである三角形の頂点を透明支持体上に仮定し、その3つの頂点から鉛直上向きに法線を伸ばす(支持体上の3つの法線)。この支持体上の3つの法線がフィルム表面(A面)と交わる3点によって三角形を形成する。このようにして形成された三角形の面の法線が、支持体から鉛直上向きに伸ばした法線となす角を傾斜角と定義する。
次に、傾斜角の割合の求め方を説明する。支持体上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上の面積を先に述べた三角形に分割し、それぞれの三角形全てについて傾斜角の測定を行う。各測定点での傾斜角度を求め、全測定点の数に対する、各傾斜角度の数(頻度)の割合を求める。この割合を傾斜角の頻度と定義する。本発明においては、0°以上1.0°未満、1.0°以上10.0°未満、および10.0°以上の範囲の傾斜角の頻度の積分値を求める。測定方法の詳細は、特開2007−108724号公報の6頁第12段落に記載されている方法を採ることができる。
本発明においては、測定面積は支持体上で250000平方マイクロメートル(0.25平方ミリメートル)以上が好ましく、0.25平方ミリメートル以上、1.0平方ミリメートル以下が測定精度と測定効率を両立させる上で好ましい。測定単位の三角形の面積は0.5乃至2平方マイクロメートルが測定精度を保証する上で好ましい。
測定する装置はいくつかあるが、本発明においてはマイクロマップ社(米国)製SXM520−AS150型を用いる。本装置は、光源に中心波長560nmの干渉フィルターを挿入したハロゲンランプ、倍率2.5倍〜50倍の対物レンズを内蔵している。データの取り込みは画素数640×480の2/3インチの標準装備のCCDによって行う。本発明においては、対物レンズが10倍傾斜角の測定単位は0.8平方マイクロメートル、測定面積は500000平方マイクロメートル(0.5平方ミリメートル)に設定する。所望によっては、対物レンズの倍率を大きくし、それに合わせて測定単位と測定面積は小さくすることもできる。測定データはMath Works, Inc.(米国)製、MAT−LAB等のソフトを用いて解析し、傾斜角分布を算出することができる。本発明では、傾斜角の刻みは0.01°程度に設定する。
本発明においては、光透過性基材のA面の傾斜角が以下の分布を有することが必要である。
(a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が0%以上25%未満
(b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が60%以上100%未満
(c)10°以上の頻度の積分値が0%以上25%未満
また、好ましい傾斜角分布としては、
(a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が2%以上20%以下
(b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が60%以上95%以下
(c)10°以上の頻度の積分値が1%以上20%以下
であり、更に好ましい傾斜角分布としては
(a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が3%以上15%以下
(b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が65%以上90%以下
(c)10°以上の頻度の積分値が1%以上16%未満
であり、特に好ましい傾斜角分布としては
(a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が3%以上15%以下
(b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が65%以上80%以下
(c)10°以上の頻度の積分値が5%以上16%未満
である。
傾斜角が0°以上1.0°未満の頻度の積分値が25%以上になると、平滑な面の割合が多すぎて十分な散乱性を得ることができない。また、1.0°以上10°未満の頻度の積分値が60%未満になると、正面コントラスト低下の影響の少ない適度な散乱角度をもった散乱成分が減少してしまう。また、10°以上の頻度の積分値が25%以上になると広角側の散乱成分が増えすぎて正面コントラストの低下を引き起こす。
本発明において、正面コントラストの低下が少なく適度の散乱性を付与するためには、上記に加え更に以下の傾斜角度分布を満たすことが特に好ましい。
(d)0°以上0.5°未満の頻度の積分値が0%以上11%未満
(e)3°以上8.0°未満の頻度の積分値が25%以上60%以下
また、一層好ましい傾斜角度分布としては、
(d)0°以上0.5°未満の頻度の積分値が1%以上8%以下
(e)3°以上8.0°未満の頻度の積分値が30%以上55%以下
である。
本発明において、光透過性基材のA面の平均山谷間隔(Sm)は、10μm〜300μmであることが必要であり、好ましくは20μm〜200μm、最も好ましくは30μm〜150μmである。また、Smの値が300μmを超えると凹凸の間隔が広くなりすぎて、バックライトの均一性の向上やモアレの解消が困難になる。また、本願の扁平粒子を用いて光透過性基材表面に凹凸を付与する際には、Smが10μm未満の表面形状が得られ難い。液晶表示装置のモアレの解消には、Smとしてはバックライト側のプリズムシートのピッチ以下、又は液晶セルの画素ピッチの2倍以下であることが好ましい。平均山谷間隔(Sm)は、JIS−B0601に準じて測定することができる。
本発明においては、光透過基材のA面の傾斜角度分布により光散乱の角度を適切に制御することに加えて、更に凹凸の間隔(Sm)を一定の範囲にすることで正面コントラストとモアレや輝度ムラ軽減を両立することができる。
本発明において、光透過性基材のA面の表面の算術平均粗さ(Ra)は、0.03μm〜0.80μmであるのが好ましく、更に好ましくは0.05μm〜0.70μmであり、最も好ましくは0.05μm〜0.50μmである。本願の算術平均荒さ(Ra)の範囲にすることで、本願の光学特性を満たすと共に、表示装置のバックライト側に用いた際の隣接する部品との接着故障等を回避することができる。中心線平均粗さ(Ra)は、JIS−B0601(1994・2001)に準じて測定することができる。
<光透過性基材の光学特性>
光透過性基材の法線方向から光を入射させた際に該光透過性基材を透過してくる出射光強度(入射光の強度に対する出射光の強度)を考えた場合、透光性粒子を含有していないときの該基材の法線方向における出射光強度をI0、透光性粒子を含有しているときの該基材の表面の法線方向における出射光強度をI(0°)とすると、I0に対する比I(0°)/I0が0.4〜1.0であることが好ましく、0.45〜0.80であることが更に好ましく、0.50〜0.70であることが最も好ましい。0.40〜0.98の場合は白発色時の白輝度の低下が小さく、表示画面が暗くならず、好ましい。
正面白輝度および正面コントラストを維持しながら、モアレや面内の輝度ムラ抑制を両立するためには、光散乱フィルムとしては、低角側への光散乱強度比が大きい(前方散乱性の強い)ものが好ましく、フィルム法線から入射する直線光に対し、2°〜6°付近への散乱光強度が他の角度への散乱光と比べ相対的に大きいフィルムが好ましいことを見出した。本発明の光透過性基材の場合、具体的には、該光透過性基材の法線方向から4°傾いた位置における出射光強度I(4°)のI0に対する比I(4°)/I0が0.02〜0.06であることが好ましく、更に好ましくは0.03〜0.05であり、最も好ましくは0.035〜0.045である。I(4°)/I0の値が0.02〜0.06であると、コントラスト低下が少なく、モアレの発生が抑制できる。この値が0.02以上ではモアレ解消能が向上し、0.06以下になると正面コントラストの低下が少なくなる。
光透過性基材の内部に起因する内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は0.1%〜35%であることが好ましく、更に好ましくは1%〜25%であり、最も好ましくは2%〜15%である。この範囲であれば、表面凹凸による表面散乱に加えて、適度な内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラなどを見難くすることができる。
光透過性基材の表面に起因する表面ヘイズ値は3%〜40%であることが好ましく、更に好ましくは5%〜35%、最も好ましくは8%〜28%である。
本発明において、ヘイズはJIS−K7136に準じて、例えば、日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH2000を用いて以下の様に測定することができる。
[1]JIS−K7136に準じて、得られた光透過性基材の全ヘイズ値(H)を測定する。
[2]光透過性基材の表面および裏面に顕微鏡用イマージョンオイル(ニコン(株)製イマージョンオイルTYPE A、屈折率n=1.515)を数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られた光透過性基材を密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hin)として算出する。
[3]上記[1]で測定した全ヘイズ(H)から上記[2]で算出した内部ヘイズ(Hin)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hout)として算出する。
光透過性基材のスリット幅が2.0mmの光学櫛を用いて測定した透過画像鮮明度は10〜65%が好ましく、更に好ましくは15%〜60%であり、最も好ましくは15%〜55%である。この範囲であれば、正面コントラストの低下が少なく、かつ、液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、モアレなどを見難くできる。透過画像鮮明度の測定は、JIS K7105(1999)に準拠し、スガ試験機(株)社製ICM-1Tを使用して測定することができる。
本発明において、光透過性基材B面の形態に関しては特に制限はない。しかしながら、偏光板作製時の偏光膜との密着性付与や、上記で述べた本願の表面凹凸形状に基づく光散乱特性への影響を少なくする点で、別の表面は平滑な面であることが好ましい。B面の算術平均粗さ(Ra)は、0.001μm〜0.10μmであるのが好ましく、更に好ましくは0.001μm〜0.05μmであり、最も好ましくは0.001μm〜0.03μmである。
<扁平状の透光性粒子>
本発明の特定の表面形状(凹凸形状)は、扁平状の透光性粒子を光透過性基材中に含有することで達成することができる。本発明において、扁平状の粒子の具体的な形態としては、ラグビーボール状、円盤状、楕円板状などの形状が挙げられる。本発明おいてこれら扁平状の透光性粒子の形状は、互いに直交する3軸(x軸、y軸、z軸)を用いて表現する。すなわち、互いに直交する3軸を扁平状粒子に適用し、最も長い方向をx軸とし、最も短い方向をz軸として、その軸に沿って長さを計測する。本願において、[長軸長さ/短軸長さ]の比率を扁平状粒子のアスペクト比と定義する。(ここで、長軸長さは扁平状粒子のx軸に沿った長さであり、短軸長さは扁平状粒子のz軸に沿った長さである。)
本発明者らは、熱可塑性樹脂からなる光透過性基材中に粒子を含有させ基材表面に凹凸を形成させ光散乱性を制御する検討を行った結果、熱可塑性樹脂中に透光性粒子を含有させて表面凹凸を形成する場合と硬化性モノマー中に透光性粒子を含有させて表面凹を形成する場合で大きな違いがあることを見出した。すなわち、硬化性モノマー中に透光性粒子を含有させた場合には、膜形成時に硬化性モノマーが流動しレベリングして表面を平滑にする能力が高く、形成される光透過性基材の表面凹凸は透光性粒子の形状が緩やかにレベリングされた形状になりやすい。一方、熱可塑性樹脂に透光性粒子を含有させた場合には、膜形成時に熱可塑性樹脂が速やかに流動性の低い状態になり、透光性粒子の形状を直接的に反映した表面形状を与えやすい。本願は、特定の架橋性を用いることで、熱可塑性樹脂からなる光透過性基材の作製時に架橋性粒子を扁平状に変形させることにより、光透過性基材の表面の凹凸を半球面状の凸でなく曲率の緩い楕円状に近づけ光拡散性を制御するものであり、従来の技術から容易に予想されるものではない。
本発明の光透過性基材中に含まれる扁平状の透光性粒子(扁平粒子又は扁平状粒子とも呼ぶ)は、数平均の平均アスペクト比が1.2以上50以下であることが好ましく、より好ましくは1.3以上30以下であり、更に好ましくは1.5以上10以下であり、最も好ましくは1.5以上2.5以下である。また、長軸長さは1.5μm〜50μmが好ましく、更に好ましくは3.5μm〜30μm、最も好ましくは5.0μm〜30μmである。
光透過性基材面内における光拡散性を等しくするために、透光性粒子の面内方向での形状異方性がほとんどない(x軸に沿った長さ≒y軸に沿った長さ)様に変形させることができる。また逆に光透過性基材の光拡散性に異方性を持たせるために粒子に形状異方性を持たせるように変形させることもできる。
本発明の扁平状粒子の屈折率は1.40〜1.65が好ましく、更に好ましくは1.45〜1.60であり、最も好ましくは1.45〜1.56である。基材自身の屈折率との差は0.00〜0.15が好ましく、更に好ましくは0.00〜0.10、最も好ましくは0.005〜0.05である。基材自身との屈折率差を大きくしすぎると内部散乱性が大きくなり過ぎ、ヘイズが上昇し、正面コントラストの低下を招きやすい。また、扁平状粒子の形状は1種の凸レンズ状態と見ることができ、この形状を利用して正面の白輝度の低下を防ぐためには、基材自身と扁平粒子の屈折率の差は0.01〜0.15が好ましく、更に好ましくは0.02〜0.13である。
本発明の扁平状粒子の使用量は、単位面積あたり0.1g/m〜5.0g/mが好ましく、更に好ましくは、0.2g/m〜3.0g/m、最も好ましくは0.3g/m〜2.0g/mである。この範囲の使用量にすることで、所望の表面形状を得ることができる。
本発明において、基材中で製膜中に架橋性粒子を扁平状に変形させるために、該架橋性粒子は単官能のモノマーと架橋性のモノマーの共重合体からなる架橋性粒子であり、粒子の架橋率は、粒子が耐溶解性を保持できる範囲でなるべく低いことが好ましい。従来、樹脂粒子を溶剤とともに電離放射線硬化樹脂中に分散した組成物を塗布して光散乱フィルムを形成する際には、樹脂粒子の架強度が高く溶媒への膨潤が少ないものが光拡散性制御に適した粒子して用いられていた。しかしながら、本願は製膜中に粒子を扁平状にすることが必要であり、従来は用いられていなかった低架橋の樹脂粒子を使用して光透過性基材を形成することで初めて理想的な光散乱フィルムの表面形状を与えることができたのである。
本発明に係る粒子の架橋率は粒子形成に与る全モノマーに対する架橋性モノマーの含有率を指標にすることができる。架橋性モノマーの含有率が、1質量%以上25質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%〜20質量%、更に好ましくは3質量%〜10質量%である。この範囲にすることで、耐溶剤性と製膜時の適度な変形性を付与することが可能となる。また、光透過性基材のなかで架橋性粒子と架橋性粒子を取り巻く熱可塑性樹脂との熱膨張率差を減少させることができ、扁平粒子を含む光透過性基材をバックライト側に使用する場合の耐久性が向上できる。
本発明においては、透光性粒子が溶剤に膨潤することが好ましい。膨潤率は透光性粒子を30質量%の濃度でトルエンに分散し、分散終了後3時間以内に測定した粒子径(r1)と、その分散液を室温(25℃)下、静置状態で経時して粒子径の増加が停止し平衡状態になったときの粒径(r2)から次式にて求めた。
膨潤率(体積%)={(r2/r1)−1}×100
膨潤率は20体積%以上100体積%以下が好ましく、25体積%以上80体積%以下がより好ましく、25体積%以上70体積%以下が更に好ましい。膨潤率が上記範囲では、光透過性基材の製膜時に扁平状に変形することが容易であり、粒子自身が製膜時に溶解や破壊してしまうことがない。
また本発明に係る透光性粒子のゲル分率は、適度な製膜時の変形性を付与するために40質量%〜90質量%が好ましい。ゲル分率は、以下の方法で求められる。
粒子粉体を5質量%のトルエン分散液とし48時間25℃で攪拌した後、ろ過法で粒子を分離し、ろ過後液を、乾涸して残渣質量を求め、この値から元の質量に対してトルエン中へ溶出せずに残った分の固形分の比率を算出する。
本発明に係る粒子の構成成分である重合性の単官能モノマー(以下、単に“重合性モノマー”とも呼ぶ)には芳香族モノビニル化合物としてスチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチルスチレン、フルオロスチレン、ビニルピリジン等がある。またシアン化ビニル化合物としてアクリロニトリル、メタクリロニトリル等、アクリル酸エステルモノマーとしてメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート等、メタクリル酸エステルモノマーとしてメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N′−ジメチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等、モノ又はジカルボン酸及びジカルボン酸の酸無水物としてアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等、アミド系モノマーとしてアクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、ターシャリーブチルアクリルアミド、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、ターシャリーブチルメタクリルアミド等、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。これらの重合性モノマーのうち、芳香族モノビニル化合物、アクリル酸エステルモノマーおよびメタクリル酸エステルモノマーが好ましく、特にスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルが好ましい。また、重合性モノマーは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本願において、扁平状粒子を含有する光透過性基材の温度や湿度の変化に対する耐久性を向上させるためには、架橋性扁平状粒子とそれを取り巻く熱可塑性樹脂の飽和含水率を近づけることが好ましい。熱可塑性樹脂にセルロースアシレート系樹脂を用いる場合には、架橋性粒子に極性の高い官能基や親水性基を導入することが好ましく、重合性モノマー成分として例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリルアミド、ターシャリーブチルアクリルアミド等を使用することができる。これらモノマーは、架橋性粒子を形成する共重合体のなかで0.1質量%以上20質量%以下使用することが好ましく、更に好ましくは1質量%以上15質量%である。
本発明において、光透過性基材形成時に扁平状粒子を形成しやすくするためには、架橋性粒子が熱可塑性樹脂に近い可塑性を有していることが好ましい。架橋性粒子を変形しやすくするためには、重合性モノマーを分子量10万以上の単一ポリマーとしたときのガラス転移温度が−80〜100℃のモノマーを少なくとも1種使用することが好ましく、更に好ましくは−60〜80℃であり、最も好ましくは−20〜60℃である。架橋性粒子の可塑性を制御するために、上記ガラス転移温度が異なる重合性モノマーを他のモノマーと混合して用いることも好ましい。上記ガラス転移温度を有する重合性モノマーは、架橋性粒子中5質量%〜99質量%使用することが好ましく、更に好ましくは、20質量%以上80質量%以下である。
本発明においては、架橋性粒子が上記ガラス転移温度を有する重合性モノマーを含有することで、架橋性粒子を取り巻く熱可塑性樹脂との熱膨張率差を減少させることができ、扁平粒子を含む光透過性基材をバックライト側に使用する場合の耐久性が向上できる。
本発明に係る粒子を構成する架橋性モノマーとしては、具体的には、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、エチルジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルアルキルベンゼン類、ジビニルフェナンスレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルベンジル、ジビニルフェニルエーテル、ジビニルジフェニルスルフィド等の芳香族系モノマー、ジビニルフラン等の酸素含有モノマー、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の硫黄含有モノマー、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン等の脂肪族モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、テトラアリロキシエタン、並びにヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ソルビトールなどの多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化合物などが例示できる。これらは、1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
これらの中で、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等が好ましい。
本発明に係る粒子の具体例としては、例えば架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アクリレート−スチレン共重合粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子等が好ましい。
本発明に係る架橋性粒子の製造法は、懸濁重合、乳化重合、ソープフリー乳化重合、分散重合、シード重合等のいずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁および146頁から147頁の記載、「合成高分子」1 246〜290、同3 1〜108等に記載の方法、および特許番号第2543503号、同第3508304号、同第2746275号、同第3521560号、同第3580320号、特開平10−1561号、特開平7−2908号、特開平5−297506号、特開2002−145919号等に記載の方法を参考にすることができる。
例えば、乳化重合、懸濁重合では水媒体中でモノマーを微細化して重合する方法が一例として挙げられる。分散安定の界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレート等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。さらに分散安定剤として、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体の加水分解物、アルギン酸ナトリウム、水溶性セルロース誘導体等のポリマーやオリゴマー類を挙げることもできる。また、無機塩類および/または分散安定剤の存在下で、水を分散媒体として油溶性重合開始剤により開始された付加重合反応で行う方法では、水溶性塩類として例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等を用いこともできる。重合開始剤としてはアゾビス化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス[シクロヘキサン−1−カルボニトリル]等)、過酸化物類(過酸化ベンゾイル、過酸化−t−ブチル等)などが挙げられる。
さらに、あらかじめ微小重合体を作っておき、これにモノマーを含浸させて粒子を太らせるような、所謂多段重合法も好ましい。
架橋性粒子の形状は、真球あるいは不定形のいずれも使用できるが、拡散性の制御性、塗布面状の均質性の点から真球状の単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つ粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の粒子を得ることができる。
本願の光透過性基材の表面の凹凸形状を達成するためには、扁平状粒子の長軸(x軸)が光透過性基材の平面方向に対してなす角度の絶対値が0°からずれていないことが好ましい。このずれ角度の絶対値は、平均値として30°以下が好ましく、更に好ましくは20°以下、最も好ましくは10°以下である。本発明において、扁平状の透光性粒子を上記のように光透過性基材の平面方向に並べる方法としては、第1の態様としては、熱可塑性樹脂と架橋性粒子とを混合分散させ、溶融押し出しし、延伸して内部に扁平粒子を含む透光性基材を作製する製造方法が挙げられる。第2の態様としては、ポリマー(熱可塑性樹脂)と架橋性粒子とを溶剤に分散したドープを支持体に流延し、剥離後溶剤を乾燥させて内部に扁平状粒子を含む光性基材を作製する製造方法が挙げられる。これら方法はいずれも、初期状態に対して、膜厚方向に厚みを減少させる製造方法であり、これにより扁平状の透光性粒子の長軸を光透過性基材の平面方向に並べることが可能となる。これら製造法の詳細については、後に述べる。
また、本願の光透過性基材の表面凹凸の範囲を満たす限りにおいては、製膜過程で扁平状に変形しない粒子を併用することもできる。これにより、光透過性基材内部の細かい散乱性制御が可能となる。これら粒子は、0.3μm〜20μmが好ましく、更に好ましくは1.5μm〜15μm、最も好ましくは3.0μm〜10μmである。また、粒子の形状に特に制限はないが、球状が入手が容易で好ましい。屈折率は1.40〜1.65が好ましく、更に好ましくは1.45〜1.60であり、最も好ましくは1.45〜1.53である。基材自身の屈折率との差は0.01〜0.15が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.10、最も好ましくは0.02〜0.05である。製膜過程で扁平状に変形しない粒子は、具体的には、架橋性モノマーの含率が高く膨潤しにくい樹脂粒子やシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン、スズ等の元素の酸化物を含む無機酸化物粒子などが挙げられる。これら粒子は、扁平状の粒子と共に用いても良いが、共流延で別ドープに用いることも好ましく、A面側の最上部を形成しないドープに添加することが表面形態への影響が少なく好ましい。
<光透過性基材の材料>
次に本発明に係る透光透過性基材の材料について説明する。本発明の光透過性基材を構成する主成分(51質量%以上99質量%以下の材料)は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、具体例には、セルロースアシレート(例えばトリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例えばシンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリシクロアルカン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン社製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)等が含まれる。トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
偏光板に用いるのに好ましい透明保護フィルムとしては、フィルムの疎水性/親水性のバランス、偏光膜のビニルアルコール系膜との貼合性やフィルム面内全体の光学特性の均一性が重要であり、特に、セルロースの脂肪酸エステル(セルロースアシレート)が好ましく、さらにはトリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロースであるのが好ましい。
本発明の光透過性基材を製造するには、共流延法(重層同時流延)、逐次流延法、塗布法等の積層流延する方法を用いることができる。共流延法および逐次流延法により製造する場合には、先ず、複数のドープを調製する。共流延法は、流延用支持体(バンドまたはドラム)の上に、複数ドープ(3種あるいはそれ以上でも良い)を別のスリットなどから同時に押出す流延用ギーサから押出して複数ドープを同時に流延し、適当な時期に支持体から剥ぎ取り、乾燥させて光透過性基材を成形する流延法である。
逐次流延法は、流延用支持体の上に先ず第1の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延し、乾燥あるいは乾燥させることなく、その上に第2の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延し、以後、同様に第3以降のドープを逐次流延し、適当な時期に支持体から剥ぎ取り、乾燥させて光透過性基材を成形する流延法である。
塗布法は、一般的には、基層のフィルムを溶液製膜法により成形し、表層を形成するために塗布する塗布液を調製し、適当な塗布機を用いて、片面ずつまたは両面同時に基材に塗布液を塗布・乾燥して基材を成形する方法である。
また、本発明の別の形態では、溶融押出し製膜法により光透過性基材を形成することもできる。すなわち、上記の熱可塑性樹脂と扁平粒子を混合し溶融押出し成型し延伸して光透過性基材を作製するものである。本発明においては一定方向の延伸倍率が1.0〜2.0倍、それと直交する方向の延伸倍率が1.5倍〜7.0倍に2軸延伸することが好ましく、更に好ましくは縦方向の延伸倍率が1.1〜1.8倍、横方向の延伸倍率が3.0〜5.0倍である。この範囲の延伸倍率にすることで、扁平状粒子が光透過性基材の平面上に並びやすくすることができる。
(延伸処理)
本発明の光透過性基材は、延伸処理によりその基材内部に形成する扁平状粒子の形状を制御することができる。基材フィルムの延伸は、加熱条件下で実施することが好ましい。大きな変形を粒子に与えるためには基材フィルムを高い延伸倍率で延伸することが必要であり、そのためには延伸時の膜面温度は、延伸時の基材フィルムの見かけ上のガラス転移温度Tgよりも高くすることが好ましい。セルロースアシレートフィルムでは130〜180℃で延伸することが好ましい。140〜180℃で延伸することがより好ましく、150〜180℃で延伸することが更に好ましい。
高い延伸倍率を実施するためには、延伸時の膜面温度を高くする代わりに、延伸時の基材フィルムの残留溶剤量を高くしてもよい。延伸時の残留溶剤量は具体的には、支持体からのウェブの剥ぎ取り時(二軸延伸前)の残留溶剤量または延伸終了時の残留溶剤で定義できる。剥ぎ取り時の残留溶剤量は50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%が更に好ましく、80〜100質量%が最も好ましい。延伸終了時の残留溶剤量は15〜30質量%が好ましく、20〜30質量%が更に好ましい。残留溶剤量は、(A−B)/B×100%で定義する。ここで、Aはウェブの質量、Bはウェブを140℃で60分間乾燥させた後の質量である。
溶液製膜において、基材フィルムの延伸は、同時あるいは逐次2軸延伸で行うことができる。大きな変形を粒子に与えるには、フィルムを高い延伸倍率で延伸することが必要であり、縦延伸は0.1〜100%の延伸を行うことができる。好ましくは10〜80%の延伸が、特に好ましくは20〜60%延伸を行う。横延伸は3〜100%の延伸を行うことができ、好ましくは5〜100%の延伸が、特に好ましくは20〜80%延伸を行う。
基材フィルムの延伸時に光学異方性発現する場合があるが、その他の部材と合わせた設計で対処することができる。また、光学異方性を小さくするためには、延伸速度を遅くし、基材内での熱可塑性樹脂の配向性を低下することが挙げられる。また、延伸により発生する光学異方性をキャンセルする光学異方性調整剤を添加したり、異方性が発生しにくい熱可塑性樹脂を選択することもできる。
また、扁平粒子を含む光透過性基材の耐久性を向上させるためには、延伸後に緩和工程を設けることもできる。緩和工程では緩和前のフィルムの幅に対して緩和後のフィルムの幅を100〜70%の範囲(緩和率0〜30%)に調節することが好ましい。緩和工程における温度はフィルムの見かけ上のガラス転移温度Tg−10〜Tg+20℃であることが好ましい。
ここで、延伸工程におけるフィルムの見かけ上のTgは、残留溶剤を含んだフィルムをアルミパンに封入し、示差走査熱量計(DSC)で25℃から150℃まで20℃/分で昇温し、吸熱曲線をもとめることによりTgを求めた。
以上のように、光透過性基材を製造するには、共流延法、逐次流延法、塗布法及び溶融押出し製膜法のどの方法を用いてもよい。しかし、一般的に、塗布法では塗布後の乾燥負荷が増大し、逐次流延法では工程が複雑になり、フィルムの平面性を維持することが困難であるが、共流延法では工程が単純で、生産性が高いため、共流延法で製造することが好ましい。溶融製膜は、原材料を溶剤の使用なく溶解させ製膜するため、基材によっては部分的に溶解不良による異物故障をひきおこすことがある。
光透過性基材中では、基材の深さ方向で粒子の存在量の異なる領域が形成されていることが好ましい。粒子存在量が多い領域は、光透過性基材のA面側に存在することが好ましく、A面側の表面から基材の厚み方向深さでA面側表面から90%まで深さに存在することが好ましく、更に好ましくはA面側表面から75%まで深さ、最も好ましくはA面側表面から50%までの深さに存在することが好ましい。また、A面側表面から5%までの深さの領域には、粒子を含有しないこともできる。これら範囲に扁平粒子を存在させることで、本願の表面形態を与えることができる。粒子を特定の深さ方向に偏析させるには、粒子含率の異なる複数のドープを同時または逐次に流延したり、粒子含率の異なる複数の溶解した樹脂を共押し出しして光透過性基材を形成したりすることができる
光透過性基材の膜厚は、20〜200μmであることが好ましく、より好ましくは、20〜80μm、最も好ましくは25〜50μmである。共流延で複数のドープを用いて光透過性基材を形成する場合には、表層ドープ(両面にある場合は合計厚み)と基層ドープの厚み比は、0.25%〜50%が好ましく、0.6%〜40%がより好ましい。表層ドープの厚み比が0.25%未満であると、均一な層を形成することが困難である。また、表層ドープの厚み比が50%を越えると、ドープの界面が安定せず面状が損なわれる場合がある。ここで、ドープの厚みとは溶剤が揮発した後の厚みをいう。また、表層ドープ、基層ドープという言葉は、熱可塑性樹脂が溶剤に溶解したドープ状態で、流延ダイを通して相互に隣接して表層と基層を成している状態を表しており、溶剤が蒸発した後に光透過性基材において界面が存在することを表すものではない。
本発明において光透過性基材の材料として好ましく用いることのできる材料は、セルロースアシレートであり、特にセルロースアシレートとしてはセルロースの総炭素数2〜22のカルボン酸エステルが好ましい。例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、シクロアルキルカルボニルエステル、あるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪
族アシル基でも芳香族アシル基でもよく、特に限定されない。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、シクロヘキサンカルボニル、アダマンタンカルボニル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、(メタ)アクリロイル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、より好ましいアシル基は、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサンカルボニル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニルなどである。
本発明に好適に用いられるセルロースアシレートとしては、セルロースの水酸基への置換度が下記数式(7)および(8)を満足するものが好ましい。
数式(7):2.3≦SA’+SB’≦3.0
数式(8):0≦SA’≦3.0
ここで、SA’はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB’はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化したものである。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、水酸基がエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA’+SB’)は、より好ましくは2.6〜3.0であり、特に好ましくは2.70〜3.00である。また、SAの置換度(SA’)はより好ましくは1.4〜3.0であり、特には2.3〜2.9である。
また、本願においては、上記SBであるセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアシル基の炭素原子数が3または4であることが好ましい。これら炭素原子数のアシル基により置換された置換度は、上記数式(7)及び(8)に加え、更に、下記数式(9)を同時に満足することが好ましい。
数式(9): 0≦SB’≦1.2
尚、置換度はセルロース中の水酸基に結合した脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTM−D817−91、ASTM−D817−96に準拠して測定することができる。また、水酸基へのアシル基の置換の状態は、13C NM
R法によって測定される。
上記セルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に前記の数式(7)および(8)を満足するセルロースアシレートからなることが好ましい。「実質的に」とは、全ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。セルロースアシレートは単独若しくは2種類以上の併用であってもよい。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは230〜550、更に好ましくは230〜350であり、特に好ましくは粘度平均重合度240〜320である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
またセルロースアシレートの数平均分子量Mnは、好ましくは7〜25×104の範囲、より好ましくは、8〜15×104の範囲にあることが望ましい。また、該セルロースアシレートの質量平均分子量Mwとの比、Mw/Mnは、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、セルロースアシレートの平均分子量および分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定でき、これを用いて上記MnおよびMwを算出し、Mw/Mnを計算することができる。
[可塑剤]
本発明で用いられる可塑剤は、光透過性基材に柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために添加される成分である。
セルロースアシレートを基材の材料とする場合には、オクタノール/水分配係数(logP値)が0ないし10である可塑剤が特に好ましく用いられる。化合物のlogP値が10以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性が良好で、フィルムの白濁や粉吹きなどの不具合を生じることがなく、またlogP値が0よりも大きければ、親水性が高くなりすぎることがないのでセルロースアシレートフィルムの耐水性を悪化させるなどの弊害が生じにくいので、上記範囲内のものを用いることが好ましい。logP値として、さらに好ましい範囲は1ないし8であり、特に好ましい範囲は2ないし7である。
オクタノール/水分配係数(logP値)の測定は、日本工業規格(JIS)Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール/水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法[J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27巻21頁(1987)]、Viswanadhan’s fragmentation法[J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29巻163頁(1989)]、Broto’s fragmentation法[Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19巻71頁(1984)]などが好ましく用いられるが、中でもCrippen’s fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が、測定方法または計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
好ましく添加される可塑剤としては、上記の物性の範囲内にある分子量190〜5000程度の低分子〜オリゴマー化合物が挙げられ、例えばリン酸エステル、カルボン酸エステル、ポリオールエステル等が用いられる。好ましくはリン酸エステルである。
リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が含まれる。
カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート等が挙げられる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
これらの好ましい可塑剤は、25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなどがある。
また、特開平5−194788号、特開昭60−250053号、特開平4−227941号、特開平6−16869号、特開平5−271471号、特開平7−286068号、特開平5−5047号、特開平11−80381号、特開平7−20317号、特開平8−57879号、特開平10−152568号、特開平10−120824号の各公報などに記載されている可塑剤も好ましく用いられる。これらの公報によると可塑剤の例示だけでなくその利用方法あるいはその特性についての好ましい記載が多数あり、本発明においても好ましく用いられるものである。
その他の可塑剤としては、特開平11−124445号記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号記載の置換フェニルリン酸エステル類、特開2003−165868号等記載の芳香環とシクロヘキサン環を含有するエステル化合物などが好ましく用いられる。
また、分子量1000〜10万の樹脂成分を有する高分子可塑剤も好ましく用いられる。例えば、特開2002−22956号公報に記載のポリエステルおよびまたはポリエーテル、特開平5−197073号公報に記載のポリエステルエーテル、ポリエステルウレ
タンまたはポリエステル、特開平2−292342号公報に記載のコポリエステルエーテル、特開2002−146044号公報等記載のエポキシ樹脂またはノボラック樹脂等が挙げられる。
これらの可塑剤は単独もしくは2種類以上を混合して用いてもよい。可塑剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して2〜30質量部、特に5〜20質量部が好ましい。また、本発明に係る透光性粒子を含有するドープは、セルロースアシレートと透光性粒子の親和性改良、脆性改良のために、可塑剤含率を高めることが好ましい。
また、本願の製造方法においては、上記可塑剤を架橋性粒子(膨潤性粒子)とともに溶媒に分散して経時させ膨潤性粒子が製膜時に変形しやすくすることが好ましい。溶剤と可塑剤とともに分散した状態では、架橋性粒子の内部に可塑剤が含侵されやすくなり、光透過性基材の製膜時に架橋性粒子の変形が容易となる。可塑剤としては、上記の光透過性基材の頁で述べた可塑剤を用いることができるが、好ましくは、分子量1500以下のリン酸エステル、カルボン酸エステルである。
<紫外線吸収剤>
上記光透過性基材には、フィルム自身の耐光性向上、或いは偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線吸収剤(紫外線防止剤)を添加することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。このような紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、前記のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等があげられるが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
本発明において紫外線吸収剤の使用量は、光透過性基材に用いられる熱可塑性樹脂100質量部に対し0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜4.0質量部、より好ましくは0.8〜2.5質量部である。
<他の添加剤>
更に、光透過性基材を形成する組成物には、各調製工程において用途に応じた他の種々の添加剤(例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、光学異方性コントロール剤、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。さらにまた、赤外吸収剤としては例えば特開平2001−194522号公報に記載のものが使用できる。
これらの添加剤の添加する時期は、ドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、光透過性基材が多層から形成される場合、各層の熱可塑性樹脂・添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。上記の紫外線吸収剤を含めてこれらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)16〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
これらの添加剤の使用量は、光透過性基材を構成する全組成物中、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
<溶媒>
次に、光透過性基材を形成する材料を溶解する有機溶媒について記述する。用いる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup、E.H等の「PolymerHandbook(4th.edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3から12までのケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報 段落番号[0020]、同11−60807号公報 段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
本発明で用いられる溶剤は、単独でも併用でもよいが、良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが面状安定性を付与するために好ましく、更に好ましくは、良溶剤と貧溶剤の混合比率は良溶剤が65〜95質量%であり、貧溶剤が35〜5質量%である。本発明において、良溶剤とは使用する樹脂を単独で溶解するもの、貧溶剤とは使用する樹脂を単独で膨潤するかまたは溶解しないものをいう。本発明に用いられる良溶剤としては、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類が挙げられる。また、本発明に用いられる貧溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン等が好ましく用いられる。
光透過性基材を形成する材料は、有機溶媒に10〜30質量%溶解していることが好ましく、より好ましくは13〜27質量%であり、特には15〜25質量%である。これらの濃度に調製する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように調製してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度の光透過性基材を形成する材料の溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度の溶液としてもよい。
本願においては、架橋性粒子を含有するドープが乾燥する過程で基材の厚み方向で収縮することにより架橋性粒子を圧縮する力が働き、粒子を扁平状にすることができる。これにより所望の表面形状を得ることが容易になる。
<ドープの調製>
セルロースアシレート等の光透過性基材を形成する材料の溶液(ドープ)の調製について、その溶解方法は、上記のように特に限定されるものではなく、室温溶解法、冷却溶解法または高温溶解方法により実施され、さらにはこれらの組合せで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。これらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても、その範囲内であればこれらの技術を適宜適用できるものである。これらの詳細、特に非塩素系溶媒系については、前記の公技番号2001−1745号の22〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。さらにセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮、濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
<光学フィルム>
本発明の光学フィルムは、本発明の光透過性基材のA面の上に、0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を設けることができる。また、本発明の光学フィルムは、該硬化性樹脂層の上には本発明で規定する表面形状を損ねない様に、帯電防止層、高屈折率層、低屈折率層等の光学機能層を設けることもできる。また、硬化性樹脂層が帯電防止層や高屈折率層を兼ねることもできる。
硬化性樹脂層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を光透過性基材上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、硬化性樹脂層には、公知のレベリング剤、防汚剤、帯電防止剤、屈折率調節用無機フィラー、散乱粒子、チキソトロピー剤等の添加剤を用いることができる。
また、上記硬化性樹脂層を設けた光学フィルムの表面凹凸形状及び光学特性の好ましい範囲は、硬化性樹脂層を設けない本発明の光透過性基材で述べた値の範囲と同様である。また、硬化性樹脂層を設けた光学フィルムの強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましい。
本発明の光透過性基材又は光学フィルムを、偏光板の保護フィルムとして使用し、偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理、アルカリ処理、プラズマ処理、コロナ処理等の表面を親水的にする処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、光透過性基材のB面側の表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
<偏光板>
[偏光板の構成]
本発明の光透過性基材は、偏光膜とその少なくとも一方の側に配置された保護フィルムとを有する偏光板において、その保護フィルムとして使用することができる。本発明の光透過性基材を用いて偏光板を作製するときは、A面を偏光板の表面側に使用し、B面を偏光膜側に使用することで、本願の目的である光学特性を得ることができる。本発明の光透過性基材が保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本願の光透過性基材をバックライト側の表面に使用することにより、正面コントラストとモアレや輝度ムラ軽減を両立することができる。
また偏光板の構成として、偏光膜の両面に保護フィルムを配置する形態においては、一方の保護フィルムとして本発明の光透過性基材を用い、他方の保護フィルムには、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいし、他方の保護フィルムには、位相差フィルムを用いることもできる。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の光透過性基材であるのに対して、他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることも好ましい態様である。
[偏光膜]
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。
また偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作製される。
すなわち、連続的に供給されるポリビニルアルコール系フィルムなどのポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸して、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内で、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するように、フィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
(光学補償フィルム)
偏光膜の2枚の保護フィルムのうち、本発明の光透過性基材(光学フィルムを含む)以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい態様である。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
<本発明の使用形態>
〔画像表示装置〕
本発明の、光透過性基材、または光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いられる。
[液晶表示装置]
本発明の光透過性基材、光学フィルム、及び偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、バックライト側の最表層に用いることが好ましい。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
[透光性粒子の作製]
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、水600質量部を充填し、これにポリビニルアルコール 0.7質量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 2.7質量部を加えて溶解した。次に、これに単官能モノマーとしてメタクリル酸メチル 95.0質量部と架橋性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート5.0質量部、更に、過酸化ベンゾイル 2.0質量部の混合液を加え撹拌した。この混合液をホモジナイザーを用いて4500rpmで15分間分散して均一にした。次いで窒素ガスを吹き込みながら75℃で4時間撹拌を続けた。その後遠心分離法で軽く脱水し、生成物を水で洗浄したあと乾燥した。得られた架橋性メタクリル酸メチル系樹脂粒子(Z−1)は真球状であり平均粒径は5μm、屈折率は1.50であった。
透光性粒子Z−1に対して、単官能モノマーの種類や量(単位:質量部)、架橋性モノマーの種類や量を変えて架橋性樹脂粒子を調製した。粒子の粒径はホモジナイザーの回転数を変えて調節した。
モノマー類の種類と量、調製した粒子の特性値を表1に示す。
表1中、膨潤率はトルエン30質量%分散液を調製し、経時で粒径変化がなくなった時点での膨潤率を示す。計算式は前記本文記載のとおりである。
尚、粒子Z−1及びZ−4は膨潤率の評価で粒子が溶解したため、これら粒子は以降のドープ作製・光透過性機材作製の評価を行わなかった。
Figure 0005427454
[光透過性基材の作製]
表2に示したドープ処方にて、各ドープを作製し、表3に示した構成になるように同時に流延し、光透過性基材101〜光透過性基材123を作製した。ここで基材105〜115及び117〜123については、流延時に架橋性粒子を変形させた。基材側−1のドープが鏡面仕上げした冷却ドラム側になるように流延し、溶剤を揮発させながら冷却でゲル化させ、ウェブを剥ぎ取った。100℃の熱風にて残留溶剤量が10質量%になるまで乾燥し、その後140℃の熱風にて10分間乾燥させた。光透過性基材の屈折率はいずれも1.48だった。
また、光透過性基材122と123は、それぞれ光透過性基材120及び121の作製において、ウェブを剥ぎ取ったのち、残留溶剤量が30質量%の時点から100℃で縦方向・横方向にそれぞれ1.22倍に延伸し、その後100℃の熱風にて残留溶剤量が10質量%になるまで乾燥し、その後140℃の熱風にて10分間乾燥させた。これら光透過性基材はこの延伸により、膜厚を40μmとした。
Figure 0005427454
Figure 0005427454
使用した材料を以下に示す。
セルローストリアセテート:アセチル置換度2.86、粘度平均重合度310
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(TINUVIN326/TINUVIN328/TINUVIN329の20/40/40質量%の混合物、それぞれチバ・ジャパン(株)製)
シリカ粒子:一次粒径約16nm、AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製
尚、基層ドープの固形分濃度は22質量%、表層ドープの固形分濃度は17質量%になるように、メチレンクロライド:メタノールの90:10質量比の混合溶剤で調整した。
[光学フィルム124の作製]
[硬化性樹脂層用塗布液の作製]
下記に示す各々の成分をミキシングタンクに投入し、攪拌したのち、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して調製した。
硬化性樹脂層用塗布液(HCL−1)
PET−30 48.5質量部
イルガキュア127 1.5質量部
メチルイソブチルケトン 35.0質量部
メチルエチルケトン 15.0質量部
上記の各成分は以下の通りである。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
イルガキュア127:光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製
[硬化性樹脂層の塗設]
特開2003−211052号公報の図1に記載されたスロットダイコーターを用いて、上記の光透過性基材試料106の上に、硬化性樹脂層用塗布液(HCL−1)を、不揮発成分量が1.0g/mになるように塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照射量70mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させた光学フィルム124を作製した。硬化性樹脂層は空気側-1のドープにより形成した面に塗設した。
[画像表示装置の作製]
LG Display社製ノートPC(R700-XP50K)を分解し、バックライトと液晶パネルの間にある上拡散シートを取り外し、更に液晶セルに貼られたバックライト側の偏光板の保護フィルムを剥がして、その代わりに光透過性基材101〜123、及び光学フィルム124を粘着材で貼り付けた。
〔光透過性基材、光学フィルム、及びそれを用いた画像表示装置の評価〕
作製した光透過性基材(基材101)〜(基材123)、及び光学フィルム124に対して、以下の評価を実施した。
(1)傾斜角分布プロファイルの測定
マイクロマップ社(米国)製SXM520-AS150型を用い、得られた光透過性基材のA面表面、及び光学フィルムの硬化性樹脂層塗布面の表面を測定した。光源には中心波長560nmの干渉フィルターを挿入したハロゲンランプを使用した。対物レンズの倍率は10倍であり、画素数640×480の2/3インチのCCDによりデータを取り込んだ。これより、縦および横方向の測定ピッチは1.3マイクロメートルであり、傾斜角度の測定単位は0.8平方マイクロメートル、測定範囲は500000平方マイクロメートル(0.5平方ミリメートル)となった。
測定単位である3点の高さデータから傾斜角度を算出し、全測定データから、傾斜角の0°以上1.0°未満、1.0°以上10.0°未満、及び10°以上の傾斜角成分の頻度の積分値を求めた。
(2)凹凸の平均間隔Smの測定
JIS−B0601(1982)に準じて、小坂研究所(株)製、サーフコーダー MODEL SE−3Fを用いて凹凸の平均間隔Smを測定した。
(3)光散乱プロファイルの測定
フォトゴニオメータ(GP−5(株)村上色彩技術研究所製)を用い測定した。光源は角度1.5°の収斂光、検出器の受光角は2°の条件とした。得られた光透過性基材及び光学フィルムの法線方向から光を入射し、基材(フィルム)法線を含む平面内で角度を連続的に変えながら透過散乱光量を測定し、光散乱プロファイルを得た。透過散乱光量は、基材(フィルム)がない状態での光源の光量を1とした。
(4)モアレ
作製した液晶表示装置にビデオ信号ジェネレーター(VG−848;アストロデザイン(株)製)より信号を入力し、全面ベタ表示で128/256階調の灰色表示とし、暗室下で様々な方向から画面を目視観察し、モアレ発生の有無を評価した。
◎:モアレが観察されない。
○:モアレが僅かに観察されるがほとんど気にならない。
△:モアレが弱く観察され、やや気になる。
×:モアレが明瞭に観察される。
(5)正面白輝度
モアレ評価と同様の方法で液晶表示装置を全面ベタ表示で256/256階調の白色表示とし、暗室下において液晶表示装置平面の法線(正面)方向から輝度計(BM5−A;(株)トプコン製)にて輝度を測定した。画面の中央の点から3cmの間隔で上下各1点、左右各1点の合計5点を測定し、平均値を算出した。バックライト側偏光板の表面に光散乱性フィルムを使用しない場合を基準として、以下の3段階で評価した。
◎:全く低下していない(基準値の99%以上)
○:ほとんど低下していない(基準値の98%以上99%未満)
△:やや低下している(基準値の95%以上98%未満)
×:低下している(基準値の95%未満)
(6)輝度不均一性
モアレ評価と同様の方法で液晶表示装置を全面ベタ表示で128/256階調の灰色表示とし、暗室下において液晶表示装置平面の法線(正面)方向から輝度計(BM5−A;(株)トプコン製)にて輝度を測定した。画面の中央の点から左右方向に0.5cm刻みで各8cmを測定し、[隣接する3cm内での輝度の極大値と極小値の差]÷[隣接する3cm内での輝度の平均値]×100を輝度不均一性(%)とした。この輝度不均一性は、3%以下であるとほとんどの人が不均一性を感じず、3%を超え6%以下では一部の人が不均一性を感じる程度であり、10%を超えるとほとんどの人が不均一であると感じる指標である。商品的には10%以下が必要である。
各試料の評価結果、および、それを液晶表示装置のバックライト側偏光板保護フィルムとして使用したときの表示性能を表4に示す。
Figure 0005427454
表4より、扁平粒子を含む本発明の光透過性基材を液晶表示装置のバックライト側偏光板保護フィルムとして使用することにより、正面での白輝度の低下とモアレが生じることがなく、輝度の均一性の高い画像表示装置が得られた。光透過性基材106の切片より、扁平粒子の長軸と光透過性基材の平面のなす角度の絶対値を評価した結果平均値で約5度程度であり、大部分が光透過性基材の平面方向に並んでおり、本願の好ましい表面形態の形成に有効に作用していることがわかった。
また、本発明の光透過性基材のなかでもモアレ解消能や輝度不均一性の解消に特に優れる基材105、109及び111の傾斜角の分布とヘイズを評価した結果、下記表5に示すように、0°以上0.5°未満の頻度の積分値が低く、3°〜8°未満の頻度の積分値が高く、適度なヘイズを有することがわかった。
Figure 0005427454
また、扁平状粒子を空気側の上から2層目のドープに用いて作製した光透過性基材(基材118、119)や扁平状粒子を含有する光透過性基材の上に硬化性樹脂層を設けた光学フィルム124は、表面の傾斜角度分布が10°以上の頻度を下げることができ、特に性能が優れることが分る。
また、光透過性基材を耐久性評価として、90℃に800時間保存前後のヘイズを測定した。架橋性モノマー含有率が40%と高い粒子を用いた基材103はヘイズが5%上昇していたが、架橋性モノマー含有率が8%の粒子を用いた基材108は1%程度と少なく、架橋性モノマー含有率が8%でかつガラス転移温度が65℃のメタクリル酸エチルを併用した粒子を使用した基材109はヘイズの変化は1%未満であり、良好な耐久性を示した。
本発明は、特に、液晶表示装置のバックライト側の偏光板保護フィルムとして用いることができ、正面白輝度が高く且つ画面内において均一且つモアレなどの干渉縞抑制が可能であり、しかも薄型化に対応可能である。
1 光源
2 蛍光管
3 下拡散シート
4 集光シート
5 上拡散シート
6 偏光板
7 液晶セル
8 基板
9 表面凹凸を有する光透過性基材

Claims (13)

  1. 熱可塑性樹脂、架橋性の真球状の透光性粒子及び溶剤を含むドープを支持体に流延し、剥離後乾燥させて、該架橋性の透光性粒子を膜厚方向に厚みを減少させるように変形させる光透過性基材の製造方法であって、
    該透光性粒子が、単官能モノマーと架橋性モノマーの共重合体からなり、全モノマーに対する架橋性モノマーの比率が1質量%以上25質量%以下であり、
    該光透過性基材中の該透光性粒子の平均アスペクト比が1.2以上50以下であり、
    該光透過性基材が少なくとも一方の表面に凹凸形状を有してなる、光透過性基材の製造方法。
  2. 前記透光性粒子のトルエン中での膨潤率が20体積%以上100体積%以下である、請求項1に記載の光透過性基材の製造方法。
  3. 前記光透性基材の前記少なくとも一方の表面の凹凸形状の傾斜角が以下の分布を有し、該凹凸形状の凹凸の平均間隔Smが10μm以上300μm以下である、請求項1又は2に記載の光透過性基材の製造方法。
    (a)0°以上1.0°未満の頻度の積分値が25%未満
    (b)1.0°以上10°未満の頻度の積分値が60%以上100%未満
    (c)10°以上の頻度の積分値が0%以上25%未満
  4. 前記光透過性基材の散乱角度分布が以下の条件を満たす請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法。
    (g) I(4°)/I0=0.02〜0.06
    ここで、I(4°)及びI0は光透過性基材の法線方向から光を入射させた際に該光透過性基材を透過してくる出射光の強度であって、I(4°)は光透過性基材が前記透光性粒子を含有する場合の該光透過性基材の法線から4°傾いた位置における出射光強度、I0は光透過性基材が前記透光性粒子を含有しない場合の該光透過性基材の法線方向の出射光強度である。
  5. 内部に起因するヘイズ値が0.1〜35%であり、表面に起因するヘイズ値が3〜40%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法。
  6. 前記透光性粒子を形成する前記単官能モノマーが、芳香族モノビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸エステルモノマー、メタクリル酸エステルモノマー、モノ又はジカルボン酸及びジカルボン酸の酸無水物、アミド系モノマー、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、又はヒドロキシブチルビニルエーテルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法。
  7. 前記透光性粒子を形成する前記架橋性モノマーが、芳香族系モノマー、酸素含有モノマー、硫黄含有モノマー、脂肪族モノマー、又は多価アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸とのエステル化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法であって、
    該光透過性基材は、少なくとも2種以上のドープを使用し、該ドープを支持体上に同時または逐次流延した後、剥離乾燥させて光透過性基材を作製し、
    少なくとも一方のドープに熱可塑性樹脂と架橋性の透光性粒子とを含有することを特徴とする光透過性基材の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂、架橋性の透光性粒子及び溶剤を含むドープを支持体に流延し、剥離後乾燥させて、該架橋性の透光性粒子を膜厚方向に厚みを減少させるように変形させる光透過性基材の製造方法であって、
    該透光性粒子が、単官能モノマーと架橋性モノマーの共重合体からなり、全モノマーに対する架橋性モノマーの比率が1質量%以上25質量%以下であり、
    該光透過性基材中の該透光性粒子が、ラグビーボール状、円盤状又は楕円盤状粒子であり、該透光性粒子の平均アスペクト比が1.2以上50以下であり、
    該光透過性基材が少なくとも一方の表面に凹凸形状を有してなる、光透過性基材の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光透過性基材の製造方法によって製造された光透過性基材。
  11. 請求項10に記載の光透過性基材の上に、0.1μm以上15μm以下の厚みの硬化性樹脂層を有する光学フィルム。
  12. 偏光膜と該偏光膜の少なくとも一方の側に保護フィルムを有する偏光板であって、該保護フィルムが請求項10に記載の光透過性基材または請求項11に記載の光学フィルムである偏光板。
  13. 請求項10に記載の光透過性基材、請求項11に記載の光学フィルム、または請求項12に記載の偏光板のいずれかを有する画像表示装置。
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