以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る反射装置が適用される基板処理装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る反射装置が適用される基板処理装置の概略構成を示す断面図である。
図1において、半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」という。)に反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)(以下、「RIE」という。)処理を施すエッチング処理装置として構成される基板処理装置10は、金属、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼からなる、大小2つの円筒が重ねられた形状を呈するチャンバ11を備える。
該チャンバ11内には、直径が例えば200mmのウエハWを載置し、該載置されたウエハWと共にチャンバ11内を上下降するウエハステージとしての下部電極12と、上下降する下部電極12の側部を覆う円筒状のカバー13とが配置され、チャンバ11の側壁と、下部電極12の側部又はカバー13とにより、チャンバ11内の気体をチャンバ11の外へ排出する流路として機能する排気路14が形成される。
該排気路14の途中には、該排気路14を上流側部14aと下流側部14bに分ける環状のバッフル板15が配置され、下流側部14bは、排気マニホールド16(連通管)及び可変式スライドバルブである自動圧力制御弁(Automatic Pressure Control)(以下、「APC」という。)バルブ17を介して真空引き用の排気ポンプであるTMP18に連通する。なお、APCバルブ17はバタフライバルブであってもよい。TMP18はチャンバ11内をほぼ真空状態になるまで減圧し、APCバルブ17はチャンバ11の減圧の際にチャンバ11内の圧力を制御する。ここで、バッフル板15は排気路14の上流側部14aと下流側部14bを連通する複数の円孔状の通気孔を有する。
上述した排気路14、バッフル板15、排気マニホールド16、APCバルブ17及びTMP18は排気システムを構成する。
下部電極12には下部高周波電源19が下部整合器20を介して接続されており、下部高周波電源19は、所定の高周波電力を下部電極12に印加する。また、下部整合器20は、下部電極12からの高周波電力の反射を低減して該高周波電力の下部電極12への入射効率を最大にする。
下部電極12の内部上方には、ウエハWを静電吸着力で吸着するためのESC21が配置されている。ESC21には直流電源(図示しない)が電気的に接続されている。ESC21は、直流電源からESC21に印加された直流電圧により発生するクーロン力又はジョンソン・ラーベック(Johnsen-Rahbek)力によってウエハWをその上面に吸着保持する。また、ESC21の周縁にはシリコン(Si)等から成る円環状のフォーカスリング22が配置され、該フォーカスリング22は下部電極12の上方に発生したイオンやラジカルをウエハWに向けて収束させる。また、フォーカスリング22の周囲は環状のカバーリング23によって覆われている。
また、下部電極12の下方には、該下部電極12の下部から下方に向けて延設された支持体24が配置されている。該支持体24は下部電極12を支持し、不図示のボールネジを回転させることによって下部電極12を昇降させる。また、支持体24は、周囲をベローズカバー25によって覆われてチャンバ11内の雰囲気から遮断される。
この基板処理装置10では、チャンバ11内へウエハWが搬出入される場合、下部電極12がウエハWの搬出入位置まで下降し、ウエハWにRIE処理が施される場合、下部電極12がウエハWの処理位置まで上昇する。
また、チャンバ11の天井部には、チャンバ11内に後述する処理ガスを供給するシャワーヘッド26が配置されている。シャワーヘッド26は、下部電極12上方の空間である処理空間Sに面した多数のガス通気孔27を有する円板状の上部電極(CEL)28と、該上部電極28の上方に配置され且つ上部電極28を着脱可能に支持する電極支持体29とを有する。
上部電極28には、上部高周波電源30が上部整合器31を介して接続されており、上部高周波電源30は、所定の高周波電力を上部電極28に印加する。また、上部整合器31は、上部電極28からの高周波電力の反射を低減して該高周波電力の上部電極28への入射効率を最大にする。
電極支持体29の内部にはバッファ室32が設けられ、このバッファ室32には処理ガス導入管33が接続されている。処理ガス導入管33の途中にはバルブ34が配置され、さらに、バルブ34の上流にはフィルタ35が配置されている。また、バッファ室32には、例えば、処理ガス導入管33から四フッ化ケイ素(SiF4),酸素ガス(O2),アルゴンガス(Ar)及び四フッ化炭素(CF4)の単独、又は組み合わせからなる処理ガスが導入され、該導入された処理ガスはガス通気孔27を介して処理空間Sに供給される。
この基板処理装置10のチャンバ11内では、上述したように、下部電極12及び上部電極28に高周波電力が印加され、該印加された高周波電力によって処理空間Sにおいて処理ガスから高密度のプラズマが発生し、イオンやラジカルが生成される。これら生成されたラジカルやイオンは、フォーカスリング22によってウエハWの表面に収束され、ウエハWの表面を物理的又は化学的にエッチングする。
図2は、本実施の形態に係る反射装置の概略構成を示す断面図であり、図2(A)は当該反射装置、並びに図1における排気マニホールド、APC及びTMPの位置関係を示す断面図であり、図2(B)は図2(A)における反射装置の変形例を示す断面図である。なお、図2(A)では、図中上方を「上側」と称し、図中下方を「下側」と称する。
図2(A)において、反射装置36は、排気マニホールド16の内部にAPCバルブ17を介してTMP18に対向するように配置される。具体的には、排気マニホールド16における、APCバルブ17と接続するためのフランジ部16aの内側に配置される。
反射装置36は、上下方向に沿って配置された円筒から成る反射板支持体37と、反射板支持体37の上側端部に配置された反射板38とを備える。
反射板支持体37は、上側端部を塞ぐ上板37a(対向面)と、側面に開口する開口部39と、下側端部において上記円筒の内部に向けて屈折するフランジ状の接合部40とを有する。該接合部40はフランジ部16aと接合することによって反射装置36を排気マニホールド16内部に接合する。また、開口部39の開口面積は、排気マニホールド16からAPCバルブ17への排気のコンダクタンスを低下させない大きさに設定される。
反射板38は、TMP18に対向するように反射板支持体37の上板37aの下面に接合された円板状の第1の反射面部材41と、該第1の反射面部材41の周縁に配置され且つTMP18、特に、TMP18における回転軸43を指向するように面角度が設定された円環状の第2の反射面部材42とから成る。
TMP18は、図中上下方向、すなわち排気流の方向に沿って配置された回転軸43と、該回転軸43を収容するように回転軸43と平行に配置される円筒状の本体44と、回転軸43から直角に突出する複数のブレード状の回転翼45と、本体44の内周面から回転軸43に向けて突出する複数のブレード状の静止翼46とを備える。
複数の回転翼45は回転軸43から放射状に突出して回転翼群を形成し、複数の静止翼46は、本体44の内周面の同一円周上において等間隔に配置され、且つ回転軸43に向けて突出して静止翼群を形成する。TMP18では回転翼群と静止翼群とが複数存在し、各回転翼群は回転軸43に沿って等間隔に配置され、各静止翼群は隣接する2つの回転翼群の間に配置される。
一般的に、TMP18では最上の回転翼群が最上の静止翼群より上側に配置される。すなわち、最上の回転翼群が最上の静止翼群よりチャンバ11側に配置される。また、TMP18は、回転翼45を回転軸43を中心に高速回転させることにより、回転翼45前方のガスをTMP18の下側に高速排気するが、上述したように、最上の回転翼群が最上の静止翼群よりチャンバ11側に配置されているため、チャンバ11から排出されたパーティクルの一部は、TMP18へ到達すると、高速回転する回転翼45に衝突して上側、すなわち排気マニホールド16へ向けて反跳する。
この反跳したパーティクルは排気マニホールド16へ侵入し、反射装置36の反射板38に接触する。反射板38の第1の反射面部材41はTMP18に対向し、第2の反射面部材42はTMP18の回転軸43を指向するので、反射板38に接触して反射するパーティクルは、TMP18へ向けて下降する。すなわち、反射装置36は回転翼45によって反跳したパーティクルをTMP18に向けて反射させる。
本実施の形態に係る反射装置によれば、反射装置36は排気マニホールド16内に配置され、TMP18に対向する第1の反射面部材41とTMP18の回転軸43を指向する第2の反射面部材42とから成る反射板38を備えるので、回転翼45によって反跳したパーティクルをTMP18に向けて反射させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。その結果、基板処理装置10がRIE処理を施すウエハWへのパーティクルの付着を防止してウエハWの歩留まりを向上することができる。また、反射装置36は、反跳したパーティクルだけでなく、TMP18の回転翼45から剥離した付着物も反跳したパーティクルと同様にTMP18に向けて反射させることができる。さらに、反跳したパーティクルの反射によって、排気マニホールド16の内壁へのパーティクル付着速度を低下させて、排気マニホールド16の清掃頻度も低下させることができる。
上述した本実施の形態に係る反射装置では、反射板38が円板状の第1の反射面部材41と円環状の第2の反射面部材42とによって構成されたが、反射板の形状はこれに限られず、例えば、図2(B)に示すように球面部材47によって構成されてもよく、特に、該球面部材はTMP18を指向する球面によって形成されるのが好ましい。ここで、本発明者等により、パーティクルは反射面に対して鏡面反射することが確認されている。したがって、反射板がTMP18を指向する球面によって形成される球面部材47によって構成される場合には、反跳したパーティクルを回転翼45に向けて効率よく反射させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を確実に防止することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る反射装置について説明する。
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第1の実施の形態と基本的に同じであり、反射板を備えない点で上述した第1の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図3は、本実施の形態に係る反射装置の概略構成を示す断面図であり、図3(A)は当該反射装置、並びに図1における排気マニホールド、APC及びTMPの位置関係を示す断面図であり、図3(B)は図3(A)におけるIII部の拡大断面図である。なお、図3(A)では、図中上方を「上側」と称し、図中下方を「下側」と称する。
図3(A)において、反射装置48は、図2(A)の反射装置36と同様に、排気マニホールド16におけるフランジ部16aの内側に配置され、反射板支持体37と、反射板支持体37の上板37aに配置された凸状部材群49(運動エネルギー低下機構)とを備える。
凸状部材群49は、TMP18に向けて突出するように配置された複数の円錐部材50から成り、各円錐部材50は、隣接する円錐部材50との間に存在する平面部が極小となるように配置される。また、円錐部材50は、金属(例えば、ステンレスやアルミ)、樹脂、ゴム等のいずれから形成されてもよい。
この反射装置48では、図3(B)に示すように、排気マニホールド16へ向けて反跳したパーティクルPが、隣接する2つの円錐部材50の間に侵入し、該2つの円錐部材50の間において各円錐部材50の側面と複数回衝突を繰り返す。パーティクルPは側面と複数回衝突を繰り返す間に運動エネルギーを消耗し、やがてTMP18へ向けて落下する。すなわち、反射装置48は反跳したパーティクルPの運動エネルギーを低下させる。
本実施の形態に係る反射装置によれば、反射装置48は排気マニホールド16内に配置され、TMP18に向けて突出するように配置された複数の円錐部材50から成る凸状部材群49を備えるので、回転翼45によって反跳したパーティクルPの運動エネルギーを、凸状部材群49における円錐部材50に複数回衝突させることによって確実に低下させ、反跳したパーティクルPをTMP18へ向けて落下させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。
上述した本実施の形態に係る反射装置では、凸状部材群49が複数の円錐部材50からによって構成されたが、凸状部材群49が他の凸形状の凸状部材、例えば、角錐、円柱、角柱及び半球のいずれかの形状を呈する凸状部材よって構成されてもよい。これにより、凸状部材を容易に成形することができ、反射装置の製造コストを低減することができる。
上述した本実施の形態に係る反射装置は、凸状部材群49でなく、複数の凹状部材からなる凹状部材群を備えていてもよく、この場合、回転翼45によって反跳したパーティクルPを凹状部材の凹形状に侵入させ、該侵入したパーティクルPの運動エネルギーを、凹状部材に複数回衝突させることによって確実に低下させることができる。また、凹状部材の凹形状は、円錐、角錐、円柱、角柱及び半球のいずれから成ってもよく、この場合、凹状部材を容易に成形することができ、反射装置の製造コストを低減することができる。
また、上述した本実施の形態に係る反射装置が、複数の凸状部材からなる凸状部材群ではなく、反射板支持体37の上板37aに、TMP18に対向するように配置された衝撃吸収材、例えば、軟質ゴムから成る衝撃吸収部(図示しない)(運動エネルギー低下機構)を備えていてもよい。この場合、衝撃吸収部が反跳したパーティクルの運動エネルギーを吸収し、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を確実に防止することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る連通管について説明する。
図4は、本実施の形態に係る連通管としての排気マニホールドの概略構成を示す断面図である。本実施の形態に係る連通管は、図1における排気マニホールド16と構成が基本的に同じであり、内部において後述する反射板52を備える点で異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。なお、図4では、図中上方を「上側」と称し、図中下方を「下側」と称する。
図4において、排気マニホールド51は、その内部において反射板52(内壁の少なくとも1部)を備え、該反射板52は、TMP18の上側を覆うように排気マニホールド51の内壁から突出し、且つTMP18を指向する球面によって形成される球面部材53から成る。また、反射板52の大きさは、チャンバ11からAPCバルブ17への排気のコンダクタンスを低下させない大きさに設定される。
チャンバ11から排出されたパーティクルの一部は、TMP18へ到達すると、高速回転する回転翼45に衝突して排気マニホールド51へ向けて反跳する。この反跳したパーティクルは排気マニホールド51へ侵入し、排気マニホールド51内の反射板52に接触する。反射板52はTMP18を指向する球面によって形成される球面部材53から成るので、反射板52に接触して反射するパーティクルは、TMP18へ向けて下降する。すなわち、反射板52は回転翼45によって反跳したパーティクルをTMP18に向けて反射させる。
本実施の形態に係る連通管によれば、排気マニホールド51は内部に反射板52を備え、該反射板52はTMP18を指向する球面によって形成される球面部材53から成るので、回転翼45によって反跳したパーティクルをTMP18に向けて反射させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態に係る連通管について説明する。
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第3の実施の形態と基本的に同じであり、反射板を備えない点で上述した第3の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図5は、本実施の形態に係る連通管としての排気マニホールドの概略構成を示す断面図である。
図5において、排気マニホールド54は、内壁におけるTMP18に対向する対向面に配置された凸状部材群55(運動エネルギー低下機構)を備える。
凸状部材群55は、排気マニホールド54の内壁からTMP18に向けて突出するように配置された複数の円錐部材56から成り、各円錐部材56は、隣接する円錐部材56との間に存在する面が極小となるように配置される。また、円錐部材56は、金属(例えば、ステンレスやアルミ)、樹脂、ゴム等のいずれから形成されてもよい。
この排気マニホールド54では、該排気マニホールド54へ向けて反跳したパーティクルが、隣接する2つの円錐部材56の間に侵入し、該2つの円錐部材56の間において各円錐部材56の側面と複数回衝突を繰り返す。パーティクルは側面と複数回衝突を繰り返す間に運動エネルギーを消耗し、やがてTMP18へ向けて落下する。すなわち、排気マニホールド54は反跳したパーティクルの運動エネルギーを低下させる。
本実施の形態に係る連通管によれば、排気マニホールド54は、その内壁からTMP18に向けて突出するように配置された複数の円錐部材56から成る凸状部材群55を備えるので、回転翼45によって反跳したパーティクルの運動エネルギーを、凸状部材群55における円錐部材56に複数回衝突させることによって確実に低下させ、反跳したパーティクルをTMP18へ向けて落下させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。
上述した本実施の形態に係る連通管では、凸状部材群55が複数の円錐部材56からによって構成されたが、凸状部材群55が他の凸形状の凸状部材、例えば、角錐、円柱、角錐及び半球のいずれかの形状を呈する凸状部材よって構成されてもよい。これにより、凸状部材を容易に成形することができ、連通管の製造コストを低減することができる。
また、上述した本実施の形態にかかる連通管では、凸状部材群55が内壁におけるTMP18に対向する対向面に配置されたが、凸状部材群が内壁におけるTMP18に対向しない面に配置されてもよい。回転翼45によって反跳したパーティクルの多くは、連通管の内壁においてTMP18に対向する対向面に衝突するが、衝突したパーティクルは鏡面反射してTMP18に対向しない面にも衝突する。これにより、TMP18に対向しない面に配置された凸状部材群によってもパーティクルの運動エネルギーを低下させることができる。
上述した本実施の形態に係る連通管は、凸状部材群55でなく、複数の凹状部材からなる凹状部材群を備えていてもよく、この場合、回転翼45によって反跳したパーティクルを凹状部材の凹形状に侵入させ、該侵入したパーティクルの運動エネルギーを、凹状部材に複数回衝突させることによって確実に低下させることができる。また、凹状部材の凹形状は、円錐、角錐、円柱、角柱及び半球のいずれから成ってもよく、この場合、凹状部材を容易に成形することができ、連通管の製造コストを低減することができる。
また、上述した本実施の形態に係る連通管が、複数の凸状部材からなる凸状部材群ではなく、連通管の内壁におけるTMP18に対向する対向面に配置された衝撃吸収材、例えば、軟質ゴムから成る衝撃吸収部(図示しない)(運動エネルギー低下機構)を備えていてもよい。この場合、衝撃吸収部が反跳したパーティクルの運動エネルギーを吸収し、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を確実に防止することができる。
なお、衝撃吸収部は内壁におけるTMP18に対向しない面に配置されてもよい。上述したように、回転翼45によって反跳したパーティクルはTMP18に対向しない面にも衝突する。これにより、TMP18に対向しない面に配置された衝撃吸収部によってもパーティクルの運動エネルギーを吸収することができる。
次に、本発明の第5の実施の形態に係る連通管について説明する。
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第4の実施の形態と基本的に同じであり、凸状部材群の代わりにフィン状部材群を備える点で上述した第4の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図6は、本実施の形態に係る連通管としての排気マニホールドの概略構成を示す断面図である。
図6において、排気マニホールド57は、内壁におけるTMP18に対向する対向面に配置されたフィン状部材群58(運動エネルギー低下機構)を備える。
フィン状部材群58は、排気マニホールド57の内壁からTMP18に向けて突出するように配置された複数のフィン状部材59から成る。また、フィン状部材59は、金属(例えば、ステンレスやアルミ)、樹脂、ゴム等のいずれから形成されてもよい。
この排気マニホールド57では、該排気マニホールド57へ向けて反跳したパーティクルが、隣接する2つのフィン状部材59の間に侵入し、該2つのフィン状部材59の間において各フィン状部材59の側面と複数回衝突を繰り返す。パーティクルは側面と複数回衝突を繰り返す間に運動エネルギーを消耗し、やがてTMP18へ向けて落下する。すなわち、排気マニホールド57は反跳したパーティクルの運動エネルギーを低下させる。
本実施の形態に係る連通管によれば、排気マニホールド57は、その内壁からTMP18に向けて突出するように配置された複数のフィン状部材59から成るフィン状部材群58を備えるので、回転翼45によって反跳したパーティクルの運動エネルギーを、フィン状部材群58におけるフィン状部材59に複数回衝突させることによって確実に低下させ、反跳したパーティクルをTMP18へ向けて落下させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。
なお、フィン状部材群は内壁におけるTMP18に対向しない面に配置されてもよい。上述したように、回転翼45によって反跳したパーティクルはTMP18に対向しない面にも衝突する。これにより、TMP18に対向しない面に配置されたフィン状部材群によってもパーティクルの運動エネルギーを低下させることができる。
次に、本発明の第6の実施の形態に係る連通管について説明する。
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第4の実施の形態と基本的に同じであり、凸状部材群の代わりに綿状体を備える点で上述した第4の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図7は、本実施の形態に係る連通管としての排気マニホールドの概略構成を示す断面図である。
図7において、排気マニホールド74は、内壁におけるTMP18に対向する対向面に配置された綿状体75(パーティクル捕捉機構)を備える。
綿状体75は、線状金属(例えば、ステンレスフェルトやスチールウール)や化学繊維(例えば、フッ素樹脂のフェルト(具体的にはテフロン(登録商標)フェルト)やポリウレタン繊維)等の集合体であり、接着剤や排気マニホールド74から突出するフック(図示しない)によって排気マニホールド74の内壁面に接合される。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、又はポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が該当する。
この排気マニホールド74では、該排気マニホールド74へ向けて反跳したパーティクルが綿状体75内に侵入し、綿状体75の綿状構造によって捕捉される。
図13は、本実施の形態に係る連通管を適用した基板処理装置のチャンバ内におけるパーティクルの発生状況を確認した結果を示すグラフである。
図13のグラフにおいて、縦軸はチャンバ内におけるパーティクル散乱光強度を示し、横軸は時間を示す。パーティクル散乱光強度はチャンバ11内において観測されるパーティクルに起因する発光の強度であるため、該強度は回転翼45によって反跳してチャンバ11へ侵入したパーティクルの数に比例する。また、同グラフにおいて、対策前の散乱光強度は従来の排気マニホールドが適用される基板処理装置10のチャンバ11において観測される散乱光強度であり、対策後の散乱光強度は上述した排気マニホールド74が適用される基板処理装置10のチャンバ11において観測される散乱光強度である。なお、散乱光強度は後述する図22のICPM(In-chamber particle monitor)システムによって計測された。
図13のグラフに示すように、対策前では、APCバルブ17のOPEN動作時及びCLOSE動作時において強い散乱光強度が観測されている。これはAPCバルブ17のスライドバルブの開閉動作に伴い該バルブに付着しているデポが剥離して、TMP18へ落下し、さらに、TMP18において回転翼45によって反跳され、排気マニホールドを逆流してチャンバ内にパーティクルとして侵入するためである。一方、対策後では、APCバルブ17のOPEN動作時及びCLOSE動作時においても散乱光強度は殆ど変化せず、弱いままである。これは回転翼45によって反跳されて排気マニホールドを逆流するパーティクルが綿状体75の綿状構造によって捕捉されるため、チャンバ内に侵入しないためである。
本実施の形態に係る連通管によれば、排気マニホールド74は、内壁におけるTMP18に対向する対向面に配置された綿状体75を備えるので、回転翼45によって反跳したパーティクルの運動エネルギーを、綿状体75の綿状構造によって捕捉することができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。また、排気マニホールド74は、綿状体75によってパーティクルを捕捉するので、TMP18へ落下するパーティクルを減少させることができ、TMP18の回転翼45等へのパーティクルの付着速度を低下させることができる。これにより、排気マニホールド74はTMP18の交換頻度や分解整備頻度を低下させることができる。
なお、綿状体は内壁におけるTMP18に対向しない面に配置されてもよい。上述したように、回転翼45によって反跳したパーティクルはTMP18に対向しない面にも衝突する。これにより、TMP18に対向しない面に配置された綿状体によってもパーティクルを捕捉することができる。
また、上述した本実施の形態に係る連通管では、パーティクル捕捉機構として綿状体が内面に配置されたが、パーティクル捕捉機構はこれに限られず、例えば、メッシュ状体の積層構造体やスポンジ等の多孔質体であってもよい。
次に、本発明の第7の実施の形態に係る排気ポンプについて説明する。
図8は、本実施の形態に係る排気ポンプとしてのTMPの概略構成を示す断面図である。本実施の形態に係る排気ポンプは、図1におけるTMP18と構成が基本的に同じであり、後述する吸気部61において反射板62を備える点で異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。なお、図8では、図中上方を「上側」と称し、図中下方を「下側」と称する。
図8において、TMP60は、円筒状の本体44の上側、すなわち最上の回転翼群よりもチャンバ11側に配置される円筒状の吸気部61と、該吸気部61内に配置された反射板62(反射装置)とを備える。吸気部61の直径は本体44の直径より小さく設定されるので、吸気部61はTMP60による排気量を制御する。また、反射板62は、TMP60の最上の回転翼群に対向するように吸気部61内の上側に配置された円板状の第1の反射面部材63と、該第1の反射面部材63の周縁に配置され且つTMP60の回転翼45、特に、回転軸43を指向するように面角度が設定された円環状の第2の反射面部材64とから成る。
このTMP60では、回転翼45によって吸気部61へ反跳したパーティクルが反射板62に接触する。反射板62の第1の反射面部材63はTMP60の回転翼群に対向し、第2の反射面部材64はTMP60の回転軸43を指向するので、反射板62に接触して反射するパーティクルは、回転翼45へ向けて下降する。すなわち、反射板62は回転翼45によって反跳したパーティクルを回転翼45に向けて反射させる。
本実施の形態に係る排気ポンプによれば、反射板62はTMP60の吸気部61内に配置され、TMP60の回転翼群に対向する第1の反射面部材63とTMP60の回転軸43を指向する第2の反射面部材64とから成るので、回転翼45によって反跳したパーティクルを回転翼45に向けて反射させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。
上述した本実施の形態に係る排気ポンプでは、反射板62が円板状の第1の反射面部材63と円環状の第2の反射面部材64とによって構成されたが、反射板の形状はこれに限られず、断面が円弧状の円環状部材によって構成されてもよい。
図9は、本実施の形態に係る排気ポンプの変形例を示す図であり、図9(A)は当該排気ポンプを示す断面図であり、図9(B)は図9(A)中の矢視方向における反射板の平面図である。
図9(A)において、排気ポンプとしてのTMP65は、吸気部61の上側に配置された断面が円弧状の円環部材からなる反射板66と、図9(A)中の矢視方向に関する平面視において、反射板66の中心穴位置に対応するように配置された反射部材67とを備える。該反射部材67は、円錐状部材であり、その先端が下側を指向するように配置されると共に、反射板66から所定の距離だけ下側に配置される。
反射板66及び反射部材67は、回転翼45によって反跳したパーティクルを回転翼に反射するが、反射板66と反射部材67とは所定の距離だけ離れているので、TMP60内の排気のコンダクタンスを低下させることがない。したがって、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができるだけでなく、パーティクルの排出効率の低下を防止することができる。
次に、本発明の第8の実施の形態に係る排気ポンプについて説明する。
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第7の実施の形態と基本的に同じであり、反射板を備えない点で上述した第7の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図10は、本実施の形態に係る排気ポンプとしてのTMPの概略構成を示す断面図である。
図10において、TMP68は、吸気部61の内壁に配置された凸状部材群69(運動エネルギー低下機構)を備える。
凸状部材群69は、吸気部61の内壁から吸気部61の中心軸に向けて突出するように配置された複数の楔状部材70から成り、各楔状部材70は、TMP68の回転軸43を指向する反射面を有し、隣接する楔状部材70との間に存在する面が極小となるように配置される。また、楔状部材70は、金属(例えば、ステンレスやアルミ)、樹脂、ゴム等のいずれから形成されてもよい。
このTMP68では、回転翼45によって吸気部61へ反跳したパーティクルのうち、凸状部材群69の楔状部材70の反射面に接触したパーティクルは回転軸43に向けて反射する。また、凸状部材群69において隣接する2つの楔状部材70の間に侵入したパーティクルは、該2つの楔状部材70の間において各楔状部材70の側面と複数回衝突を繰り返して運動エネルギーを消耗し、やがてTMP68へ向けて落下する。すなわち、凸状部材群69は、回転翼45によって反跳したパーティクルを回転軸43に向けて反射させると共に、反跳したパーティクルの運動エネルギーを低下させる。
本実施の形態に係る排気ポンプによれば、TMP68は、吸気部61の内壁から吸気部61の中心軸に向けて突出するように配置された複数の楔状部材70から成り、各楔状部材70はTMP68の回転軸43を指向する反射面を有するので、回転翼45によって反跳したパーティクルの運動エネルギーを、凸状部材群69における楔状部材70に複数回衝突させることによって確実に低下させ、反跳したパーティクルをTMP18へ向けて落下させることができると共に、反跳したパーティクルを回転軸43へ向けて反射させることができる。これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。
上述した本実施の形態に係る排気ポンプでは、凸状部材群69が複数の楔状部材70からによって構成されたが、凸状部材群69が他の凸形状の凸状部材、例えば、円錐、角錐、円柱、角柱及び半球のいずれかの形状を呈する凸状部材よって構成されてもよい。これにより、凸状部材を容易に成形することができ、排気ポンプの製造コストを低減することができる。
上述した本実施の形態に係る排気ポンプは、凸状部材群69でなく、複数の凹状部材からなる凹状部材群を備えていてもよく、この場合、回転翼45によって反跳したパーティクルを凹状部材の凹形状に侵入させ、該侵入したパーティクルの運動エネルギーを、凹状部材に複数回衝突させることによって確実に低下させることができる。また、凹状部材の凹形状は、円錐、角錐、円柱、角柱及び半球のいずれから成ってもよく、この場合、凹状部材を容易に成形することができ、排気ポンプの製造コストを低減することができる。
また、上述した本実施の形態に係る排気ポンプが、複数の楔状部材からなる凸状部材群ではなく、吸気部61の内壁に配置された衝撃吸収材、例えば、軟質ゴムから成る衝撃吸収部(図示しない)(運動エネルギー低下機構)を備えていてもよい。この場合、衝撃吸収部が反跳したパーティクルの運動エネルギーを吸収し、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を確実に防止することができる。
次に、本発明の第9の実施の形態に係る排気ポンプについて説明する。
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第7の実施の形態と基本的に同じであり、反射板を備えず、回転翼群と静止翼群の配置が変更されている点で上述した第7の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図11は、本実施の形態に係る排気ポンプとしてのTMPの概略構成を示す断面図である。なお、図11では、図中上方を「上側」と称し、図中下方を「下側」と称する。
TMP71は、回転軸43と、本体44と、吸気部61と、回転軸43から直角に突出する複数のブレード状の回転翼72と、本体44の内周面から回転軸43に向けて突出する複数のブレード状の静止翼73とを備える。
複数の回転翼72は回転軸43から放射状に突出して回転翼群を形成し、複数の静止翼73は、本体44の内周面の同一円周上において等間隔に配置され、且つ回転軸43に向けて突出して静止翼群を形成する。TMP71は複数の回転翼群と静止翼群とを有し、各静止翼群は回転軸43に沿って等間隔に配置され、各回転翼群は隣接する2つの静止翼群の間に配置される。また、TMP71では最上の静止翼群が最上の回転翼群より上側に配置される。すなわち、最上の静止翼群が最上の回転翼群よりチャンバ11側に配置される。
ここで、チャンバ11から排出されたパーティクルの一部は、TMP71へ到達すると、高速回転する回転翼72に衝突して上側へ反跳するが、TMP71では最上の回転翼群の上側には最上の静止翼群が配置されているため、反跳したパーティクルは静止翼73に衝突して回転翼72に向けて反射される。
本実施の形態に係る排気ポンプによれば、TMP71は複数の回転翼群と静止翼群とを有し、最上の静止翼群が最上の回転翼群よりチャンバ11側に配置されるので、回転翼72によって反跳したパーティクルを静止翼73によって回転翼72に向けて反射させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を確実に防止することができる。
なお、上述したTMP71は、単独ではなく、図8における反射板62、図9における反射板66又は図10における凸状部材群69と容易に併用することができるため、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入防止の観点から、TMP71は反射板62、反射板66又は凸状部材群69と併用するのが好ましい。
次に、本発明の第10の実施の形態に係る反射装置について説明する。なお、本実施の形態に係る反射装置が適用される基板処理装置は、その構成や作用が上述した第1の実施の形態に係る反射装置が適用される基板処理装置と基本的に同じであるため、説明を省略する。
図14は、本発明の第10の実施の形態に係る反射装置が適用される基板処理装置の概略構成を示す断面図である。
図14において、基板処理装置76は、排気マニホールド16内に配置された反跳パーティクル防止板77(反射装置)を有する。
反跳パーティクル防止板77は、樹脂から成る板状体であり、平面によって形成される反射面78を有し、該反射面78はTMP18における回転翼45の回転面と鋭角をなす、すなわち、反射面78はTMP18を指向する。また、反跳パーティクル防止板77の大きさは、チャンバ11からAPCバルブ17への排気のコンダクタンスを低下させない大きさに設定される。
チャンバ11から排出されたパーティクルの一部は、TMP18へ到達すると、高速回転する回転翼45に衝突して排気マニホールド16へ向けて反跳する。この反跳したパーティクルは排気マニホールド16へ侵入し、排気マニホールド16内の反跳パーティクル防止板77に接触する。反跳パーティクル防止板77はTMP18を指向する反射面78を有するので、反跳パーティクル防止板77に接触したパーティクルは、TMP18へ向けて反射される。
本実施の形態に係る反射装置によれば、排気マニホールド16内に配置された反跳パーティクル防止板77は、回転翼45の回転面と鋭角をなしてTMP18を指向する反射面78を有するので、回転翼45によって反跳したパーティクルをTMP18に向けて確実に反射させることができ、これにより、反跳したパーティクルのチャンバ11への侵入を防止することができる。また、反射面78は平面によって形成されるので、反跳したパーティクルの反射方向を容易に制御することができると共に、該反跳パーティクル防止板77を容易に製作することができ、これにより、反跳パーティクル防止板77の製造コストを低減することができる。
上述した各実施の形態に係る反射装置、連通管又は排気ポンプが適用される基板処理装置10の排気システムでは、バッフル板15の通気孔の形状が円孔であったが、バッフル板15の通気孔の形状はこれに限られず、排気路14の下流側部14bから上流側部14aへのパーティクルの逆流を防止することができる形状であるのが好ましい。
具体的には、図12(A)乃至(D)に示すように、排気路14の上流側部14aから下流側部14b、すなわち、チャンバ11から排気マニホールド16(51,54,57)に向けて断面積が縮小する形状であってもよい。これにより、チャンバ11からの排気のコンダクタンスを低下させることなく、チャンバ11へのパーティクルの逆流を防止することができる。
また、具体的には、図12(E)乃至(H)に示すように、通気孔の中心軸が図中上から下へ向けて流れる排気流に対して平行ではなく、排気流の方向に対して斜めに開口する形状であってもよい。これにより、反跳したパーティクルと通気孔の内面を接触し易くし、通気孔の内面によってパーティクルを排気路14の下流側部14bへ反射させ、チャンバ11へのパーティクルの逆流を防止することができる。
また、上述した各実施の形態に係る反射装置、連通管及び排気ポンプは個別に基板処理装置10に適用されたが、上記反射装置、連通管及び排気ポンプは自由に組み合わせることができ、例えば、基板処理装置10に図2(A)における反射装置36、図5における排気マニホールド54及び図10におけるTMP68を適用する等してもよい。
また、上述した各実施の形態では、排気マニホールドやTMPがパーティクルの反射装置、運動エネルギー低下機構又はパーティクル捕捉機構を有していたが、排気路14の下流側部14bが上述した各実施の形態における反射装置、運動エネルギー低下機構又はパーティクル捕捉機構を備えていてもよい。
また、図1の基板処理装置10において、本発明者等がチャンバ11内に大量のパーティクルを発生させると共に、TMPの回転翼45を高速回転させることによって意図的にパーティクルを反跳させたところ、パーティクルが排気マニホールドの内壁全面に付着しているのを確認した。これは反跳したパーティクルの動きがランダムであるためと考えられた。したがって、排気マニホールドの内壁全面に上述した運動エネルギー低下機構又はパーティクル捕捉機構を配置するのが好ましく、さらに、排気マニホールドだけでなくTMPや排気路の下流側部の内壁全面に上述した運動エネルギー低下機構又はパーティクル捕捉機構を配置するのが好ましい。また、排気システムが反射装置を有する場合には、該反射装置の全面に上述した運動エネルギー低下機構又はパーティクル捕捉機構を配置するのが好ましい。
排気マニホールド、TMP及び排気路の下流側部の内壁全面に配置される運動エネルギー低下機構及びパーティクル捕捉機構は上述したものに限られず、以下に列挙するものから成っていてもよい。
1)繊維状物質がランダムに絡み合った材料、繊維状物質が特定のパターンで織り込まれた材料又は多数の小空間を有する材料(以下、「パーティクル捕捉材」という。)
2)パーティクルの衝突による衝撃を吸収することが可能な柔軟性を有する材料(以下、「衝撃吸収材」という。)
3)パーティクルが粘着可能な材料(以下、「粘着材」という。)
4)パーティクルが反跳する空間に向けて開口する複数の小部屋の集合体(図15(A)参照)や複数の溝の集合体(以下、「パーティクル導入構造体」という。)
パーティクル捕捉材では、該パーティクル捕捉材に侵入したパーティクルが繊維状物質や小空間の境界面との衝突を繰り返す。また、衝突の繰り返しによってパーティクルの飛行経路が延びるため、パーティクルとガス分子との摩擦が増加する。これにより、パーティクルの運動量を低下させることができ、結果としてパーティクルを捕捉することができる。
衝撃吸収材では、パーティクルの衝突による衝撃を吸収することによってパーティクルの運動量を低下させることができ、結果としてパーティクルを捕捉することができる。また、衝撃吸収材を用いて繊維状物質がランダムに絡み合った構造又は多数の小空間を有する構造を構成することにより、該構造においてパーティクルと衝撃吸収材との衝突回数を増加させることができ、これにより、パーティクルの運動量を確実に低下させることができる。
粘着材では、パーティクルが粘着材に粘着することによって直接的にパーティクルを捕捉することができる。
パーティクル導入構造体では、小部屋や溝の内部に導入されたパーティクルと小部屋や溝の壁面との衝突を繰り返させる(図15(B)参照。)ことによってパーティクルの運動量を低下させることができる。特に、パーティクル導入構造体をパーティクル捕捉材、衝撃吸収材又は粘着材の表面に設けた場合、パーティクルがパーティクル捕捉材、衝撃吸収材又は粘着材に到達する前に、当該パーティクルの運動量を低下させることができ、もって、パーティクル捕捉材、衝撃吸収材又は粘着材が容易にパーティクルを捕捉することができる。さらには、小部屋や溝の表面にパーティクル捕捉材、衝撃吸収材又は粘着材を設けてもよい。
パーティクル導入構造体の小部屋の形状としては、図15(A)に示すような開口部が四角形状のものに限られず、壁面及び開口部を有するものであればよく、例えば、開口部が三角形状や六角形状のものであってもよい。開口部が六角形状であれば、パーティクル導入構造体はハニカム構造を有する。
また、上述したパーティクル捕捉材、衝撃吸収材、粘着材及びパーティクル導入構造体の構成材料が耐熱性、耐プラズマ腐食性(耐ラジカル腐食性、耐イオン腐食性)、耐酸性及び排気システム内を流れる排気流に対する十分な剛性を有しているのが好ましい。構成材料の具体例としては、金属(ステンレス、アルミニウム、シリコン)、セラミックス(アルミナ(Al2O3)、イットリウム(Y2O3))、石英、有機化合物(PI,PBI,PTFE,PTCFE,PEI,CF系ゴム若しくはシリコン系ゴム)が挙げられる。また、所定の心材に酸化又は溶射等の表面処理を施したもの(イットリウム溶射物、アルミナ溶射物、アルマイト処理物)を用いてもよい。
上述したパーティクル捕捉材、衝撃吸収材、粘着材及びパーティクル導入構造体のうち、パーティクルの捕捉効率が最も高いのは繊維状物質がランダムに絡み合った材料からなるパーティクル捕捉材である。したがって、パーティクルのチャンバ11内への侵入防止の観点からは、図16及び図17に示すように、TMP60の吸気部61、反射板62、排気マニホールド16、及び排気路14の下流側部14bの内壁全面に、例えば、ステンレスフェルト又はフッ素樹脂のフェルトからなるパーティクル捕捉機構79を設けるのが好ましい。
また、反跳するパーティクルはTMPの回転翼から発生することから、パーティクル捕捉機構はTMPの吸気部に設けるのが好ましく、特に、パーティクル捕捉材としてステンレスフェルト又はフッ素樹脂のフェルトを用いる場合、該ステンレスフェルト又はフッ素樹脂のフェルトからなるパーティクル捕捉機構は、TMPの吸気部だけでなく、TMPの本体内側面及び回転翼を離間させてTMPの本体内側面に設けてもよい。
本発明者等が、上述したパーティクル捕捉機構を設けた場合の効果を確認するために、まず、パーティクル捕捉機構を設けることなく基板処理装置10において、下部電極12上にウエハWを載置し、TMPの回転翼45を高速回転させた上で排気マニホールドに多数の疑似パーティクル(粒径1μmのSiO2微粒子)を導入した後、ウエハWの表面に付着していたパーティクルの数を計測したところ、その数は202個であった。これに対して、ステンレスフェルトからなるパーティクル捕捉機構を排気マニホールドの内壁全面に設けた後、下部電極12上にウエハWを載置し、TMPの回転翼45を高速回転させた上で排気マニホールドに多数の疑似パーティクルを導入した後、ウエハWの表面に付着していたパーティクルの数を計測したところ、その数は6個であった。これにより、ステンレスフェルトからなるパーティクル捕捉機構を排気マニホールドの内壁全面に設けるだけで、十分にパーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができるのが分かった。
次に、本発明の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法について説明する。
本発明者等が、本発明に先立ち基板処理装置10を用いてTMPに流入するパーティクルの発生原因を確認したところ、以下に述べる大気開放が主要因であることを見出した。
具体的には、チャンバ11の蓋(図示しない)を開放してチャンバ11内を清掃する前に、該チャンバ11内にN2ガスをシャワーヘッド26から導入してチャンバ11を大気開放する際、N2ガスの粘性流によって巻き上げられたチャンバ11内のパーティクル(内壁から剥離したデポ等)が排気路14及び排気マニホールド16を経由してAPCバルブ17に到達する。このとき、APCバルブ17は排気マニホールド16からTMP18への排気経路を閉鎖している(閉じている)ため、APCバルブ17に到達したパーティクルはAPCバルブ17上(チャンバ11側表面上)に堆積・付着する。チャンバ11内の清掃が終了してチャンバ11の蓋が閉じられた後、チャンバ11内が排気路14及び排気マニホールド16を経由してRP(Rotary Pump)(図示しない)によって粗真空引きされ、さらに、チャンバ11内が所定の圧力まで減圧された後、APCバルブ17が開いて排気マニホールド16とTMP18とが連通するが、このとき、APCバルブ17上に堆積・付着したパーティクルがAPCバルブ17から剥離してTMP18へ流入する。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。なお、APCバルブ17上に堆積・付着するパーティクルの発生原因は上述した大気開放に限られず、例えば、排気マニホールド16の内表面に付着したパーティクルの剥離も該当する。また、上記知見ではAPCバルブ17上にパーティクルが堆積・付着したが、パーティクルが堆積・付着するバルブは、APCバルブ17に限られず、パーティクルはチャンバ11内にN2ガスを導入する際にチャンバ11からTMP18への排気流路を遮断する、チャンバ11に最も近いバルブに堆積・付着するものと考えられた。すなわち、上記排気流路を流れるガスの流量を制限するバラフライバルブ(図示しない)や後述するアイソレーションバルブ等にもパーティクルが堆積・付着する可能性があると考えられた。
まず、本発明の第11の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法について説明する。なお、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法は基板処理装置10に適用される。
図18は、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理のフローチャートである。本処理は基板処理装置10のチャンバ11内壁等にデポが付着して該チャンバ11内を清掃する必要がある場合、所定の枚数のウエハWにエッチング処理を施す、或る生産ロットとこれに続く生産ロットとの間、又は基板処理装置10のアイドリング状態が長時間続いた場合等に実行される。
図18において、まず、APCバルブ17が閉じてチャンバ11からTMP18への排気流路を閉鎖してチャンバ11及びTMP18の連通を遮断する(ステップS10)。このとき、APCバルブ17上にパーティクルが堆積・付着する。また、APCバルブ17が閉じた後、所定のタイミングでTMP18(の回転翼45の回転)は停止する。
次いで、RPがチャンバ11内及び排気システムの粗真空引きを開始する(ステップS11)。ここで、RPはTMP18の下流に配置されている。
次いで、APCバルブ17が開閉を少なくとも1回以上、好ましくは20回以上繰り返す(ステップS12)。このとき、APCバルブ17上に堆積・付着したパーティクルは該APCバルブ17の開閉の繰り返しによって発生する振動等によって剥離する。また、このとき、TMP18は回転していないため、APCバルブ17から剥離したパーティクルはTMP18の回転翼45と衝突しても運動エネルギーを与えられることなく、該パーティクルは反跳することがない。そして、パーティクルはRPが発生させる粗真空引きの排気流に乗ってTMP18内を通過していく。
次いで、チャンバ11内が所定の圧力まで減圧されて粗真空引きが終了した(ステップS13)後、APCバルブ17が開状態を維持し(ステップS14)、次いで、TMP18が高速回転を開始してチャンバ11内及び排気システムの高真空引きを開始する(ステップS15)。
次いで、チャンバ11内の圧力が所定の低圧力まで低下された後、チャンバ11内にウエハWを搬入し(ステップS16)、本処理を終了する。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理によれば、APCバルブ17がチャンバ11及びTMP18の連通を遮断し、RPがチャンバ11内及び排気システムを粗真空引きし、その後、APCバルブ17が開閉を繰り返す。チャンバ11及びTMP18の連通を遮断したAPCバルブ17に堆積・付着したパーティクルはAPCバルブ17の開閉の繰り返しによって発生する振動等によってAPCバルブ17から剥離し、粗真空引きの排気流によって除去される。これにより、粗真空引き後、TMP18が高速回転を開始したときにAPCバルブ17からTMP18へ流入するパーティクルを無くすことができるため、反跳するパーティクルの発生を防止してパーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができる。
上述したウエハ搬送前処理のステップS12において、APCバルブ17からのパーティクルの剥離を促進するために、以下に列挙する剥離促進手法を採用するのが好ましい。1)放射ヒータ等を設け、該放射ヒータによってAPCバルブ17を加熱する
2)排気流路へ進退自在なブラシを設け、該ブラシによってAPCバルブ17をクリーニングする
3)APCバルブ17及び周辺部に加振する加振機構を設け、該加振機構によってAPCバルブ17を振動させる
4)APCバルブ17及び周辺部に電圧を印加可能な電源を設け、該電源によってAPCバルブ17に電磁応力を発生させる
5)APCバルブ17近傍に開口し且つRPに連通するバイパス排気ラインを設けると共
に、チャンバ11からAPCバルブ17への排気流路内にN2ガス導入に起因する衝撃波及びN2ガスによる粘性流を発生させ、衝撃波によってAPCバルブ17に堆積・付着するパーティクルを剥離させ、剥離したパーティクルを粘性流によってバイパス排気ラインを経由して排出する
上述した剥離促進手法を少なくとも1つ採用することにより、粗真空引き後、TMP18が高速回転を開始したときにAPCバルブ17からTMP18へ流入するパーティクルを確実に無くすことができる。
また、APCバルブ17が開閉を繰り返している間にTMP18を低回転数で回転させてもよい。このとき、APCバルブ17から剥離したパーティクルはTMP18の回転翼45と衝突しても運動エネルギーを殆ど与えられることなく、TMP18内を通過していく。また、TMP18の低速回転によって発生する負圧によってAPCバルブ17から剥離したパーティクルをTMP18へ確実に引き込むことができ、結果として、APCバルブ17にパーティクルが残るのを防止することができる。
また、APCバルブ17が開閉を繰り返している間に、APCバルブ17から剥離したパーティクルの一部がチャンバ11からAPCバルブ17までの排気流路を逆流し、チャンバ11内の圧力が所定の低圧力まで低下した後も該排気流路内を漂い、さらには排気マニホールド16等の内壁に堆積する可能性がある。これに対応して、ステップS11の後且つステップS15の前においてRPによる粗真空引きを維持しつつ、大量のN2ガスをチャンバ11内に導入することによって排気流路内に衝撃波及び粘性流を発生させるのが好ましい。衝撃波は排気マニホールド16等の内壁に堆積するパーティクルを剥離させ、粘性流は剥離したパーティクルを巻き込み、該パーティクルは粗真空引きの排気流によって排気流路から除去される。これにより、APCバルブ17の開閉繰り返しに起因して排気流路内を漂うパーティクル等を確実に除去することができる。ここで、衝撃波を確実に発生させるためにはN2ガスを、該N2ガス導入時のチャンバ11内の圧力の約2倍の圧力で導入する必要があり、さらに、粘性流を確実に発生させるためにはN2ガス導入後のチャンバ11内の圧力を約50Pa以上に維持する必要がある。
さらに、APCバルブ17が開閉を繰り返している間に、APCバルブ17から剥離したパーティクルの一部がチャンバ11の処理空間Sまで逆流する可能性があるため、ステップS12において処理空間Sを排気路14の下流側部14b、排気マニホールド16及びAPCバルブ17からなる排気流路から隔離するのが好ましい。処理空間Sを排気流路から隔離する手法としては、バッフル板15の通気孔を開閉自在に構成し、ステップS12において該通気孔を閉鎖してもよく、排気流路においてAPCバルブ17及び処理空間Sの間に介在する開閉自在な開閉弁を設け、ステップS12において該開閉弁を閉じてもよい。これにより、APCバルブ17から剥離したパーティクルの一部が処理空間Sまで逆流するのを確実に防止することができる。
上述した排気システムの洗浄方法が適用される排気システムではAPCバルブ17がTMP18の上方に配置され、APCバルブ17から剥離したパーティクルはRPによる粗真空引きの排気流及び重力によってTMP18へ流入し、その後、排気システムから排出されたが、APCバルブ17及びTMP18が水平方向に沿って縦列に配置されていてもよい。この場合、ステップS12において、APCバルブ17が閉じるとRPの粗真空引きによってAPCバルブ17の下流側の圧力が同上流側の圧力より低下し、APCバルブ17が開くとAPCバルブ17の下流側及び上流側の間の圧力差により、APCバルブ17から剥離したパーティクルがTMP18へ向けて輸送される。輸送されたパーティクルはRPによる粗真空引きの排気流によって排気システムから排出される。また、このとき発生する圧力差によってAPCバルブ17からのパーティクルの剥離が促進される。
また、上述した本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法では、開閉を繰り返すバルブがAPCバルブ17であったが、N2ガスを導入する際にチャンバ11からTMP18への排気流路を遮断する、チャンバ11に最も近いバルブがAPCバルブ17以外のバルブ、例えば、アイソレーションバルブやバタフライバルブであれば、アイソレーションバルブやバタフライバルブの開閉を繰り返すのは言うまでもない。
次に、本発明の第12の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法について説明する。なお、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムは、APCバルブの近傍にN2導入ライン及びバイパス排気ラインが開口する点で基板処理装置10の排気システムと異なるのみであり、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法はAPCバルブの開閉を繰り返さない点で第11の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法と異なるのみである。したがって、第11の実施の形態と重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図19は、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムの概略構成を示す断面図である。
図19において、排気システムは排気路14、バッフル板15、排気マニホールド16、APCバルブ17及びTMP18に加え、APCバルブ17のスライドバルブの近傍且つ側方に開口するN2導入ライン80と、APCバルブ17のスライドバルブの近傍且つ側方においてN2導入ライン80の開口部と対向するように開口するバイパス排気ライン81とを備える。具体的には、N2導入ライン80及びバイパス排気ライン81は共にAPCバルブ17のスライドバルブの上流側(チャンバ11側)表面に向けて開口する。
N2導入ライン80はN2ガス供給部(図示しない)に接続され、所定の圧力でN2ガスをAPCバルブ17のスライドバルブの上流側表面に向けて導入する。また、バイパス排気ライン81はRPに接続され、特に、APCバルブ17のスライドバルブの上流側表面上に存在するガスを排気システムから排出する。
また、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理では、上述した図18の処理におけるステップS12の代わりに、N2導入ライン80が所定の圧力でN2ガスをAPCバルブ17のスライドバルブの上流側表面に向けて導入すると共に、バイパス排気ライン81がAPCバルブ17のスライドバルブの上流側表面上に存在するガスを排気システムから排出する。このとき、N2導入ライン80から導入されたN2ガスによってAPCバルブ17のスライドバルブの上流側表面に粘性流(図中白抜きの矢印で示す。)が発生し、該粘性流はAPCバルブ17に堆積・付着したパーティクルを剥離させ、さらに剥離したパーティクルを巻き込む。また、粘性流に巻き込まれたパーティクルはRPの粗真空引きの排気流によってバイパス排気ライン81を介して排気システムから排出される。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理によれば、APCバルブ17がチャンバ11及びTMP18の連通を遮断し、RPがチャンバ11内及び排気システムを粗真空引きし、その後、N2導入ライン80がスライドバルブの上流側表面において粘性流を発生させ、バイパス排気ライン81がスライドバルブの上流側表面上のガスを排気システムから排出する。チャンバ11及びTMP18の連通を遮断したAPCバルブ17のスライドバルブの上流側表面に堆積・付着したパーティクルは粘性流によってAPCバルブ17から剥離され、粗真空引きの排気流によって除去される。これにより、TMP18が高速回転を開始したときにAPCバルブ17から該TMP18へ流入するパーティクルを無くすことができるため、反跳するパーティクルの発生を防止してパーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができる。
次に、本発明の第13の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法について説明する。なお、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムは、APCバルブの上流に排気流路から進退自在であって、パーティクルを捕捉して保持するバルブを備える点で基板処理装置10の排気システムと異なるのみであり、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法はAPCバルブの開閉を繰り返さない点等で第11の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法と異なるのみである。したがって、第11の実施の形態と重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図20は、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムの概略構成を示す断面図である。
図20において、排気システムは排気路14、バッフル板15、排気マニホールド16、APCバルブ17及びTMP18に加え、APCバルブ17の上流にチャンバ11からAPCバルブ17までの排気流路から進退自在なパーティクル捕捉バルブ82と、該パーティクル捕捉バルブ82を収容可能なクリーニングチャンバ83とを備える。パーティクル捕捉バルブ82は、排気流路に進入した場合、APCバルブ17のスライドバルブの上流側表面をほぼ覆う一方、排気流路から退出した場合、クリーニングチャンバ83に収容される。また、パーティクル捕捉バルブ82は、パーティクル保持機構としてその周縁部において上流側に突出する壁部84を備える。
また、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理では、APCバルブ17がチャンバ11及びTMP18の連通を遮断する前に、パーティクル捕捉バルブ82が排気流路に進入してチャンバ11及びTMP18の連通を遮断する。ここで、パーティクル捕捉バルブ82はその周縁部において上流側に突出する壁部84を備えるので、排気流路をチャンバ11からTMP18へ向けて流れるパーティクルを捕捉して保持する。また、図18の処理におけるステップS12の後且つステップS15の前においてパーティクル捕捉バルブ82が排気流路から退出する。このとき、パーティクル捕捉バルブ82に保持されたパーティクルはクリーニングチャンバ83にパーティクル捕捉バルブ82と共に搬入されることによって排気経路から退出し、さらに、クリーニングチャンバ83が備える洗浄機構(図示しない)によって排気システムの外部へ排出される。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理によれば、パーティクル捕捉バルブ82がチャンバ11及びTMP18の連通を遮断し、パーティクル捕捉バルブ82がチャンバ11からTMP18へ向けて流れるパーティクルを捕捉して保持し、さらに、パーティクル捕捉バルブ82はパーティクルを保持したまま排気流路から退出する。これにより、TMP18が高速回転を開始したときにAPCバルブ17から該TMP18へ流入するパーティクルを無くすことができるため、反跳するパーティクルの発生を防止してパーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができる。
上述した本実施の形態では、パーティクル捕捉バルブ82が、パーティクル保持機構として周縁部において上流側に突出する壁部84を備えたが、パーティクル保持機構はこれに限られず、例えば、パーティクル捕捉バルブ82の上流側表面に配置された、図15(A)に示すような、複数の小部屋の集合体や、パーティクル捕捉バルブ82の上流側表面を覆う摩擦係数の高い部材も該当する。また、パーティクル捕捉バルブ82そのものを摩擦係数の高い部材で構成してもよい。
次に、本発明の第14の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法について説明する。なお、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムは、APCバルブ及びTMPの間にアイソレートバルブを備える点で基板処理装置10の排気システムと異なるのみである。したがって、第11の実施の形態と重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図21は、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムの概略構成を示す断面図である。
図21において、排気システムは排気路14、バッフル板15、排気マニホールド16、APCバルブ17(処理室側に配置された開閉弁)及びTMP18に加え、APCバルブ17及びTMP18の間に配置されたアイソレートバルブ85(排気ポンプ側に配置された開閉弁)を備える。アイソレートバルブ85はAPCバルブ17及びTMP18の連通を遮断可能なスライドバルブを有する。また、排気システムはアイソレートバルブ85のスライドバルブの近傍且つ側方に開口するバイパス排気ライン86も備える。バイパス排気ライン86はRPに接続され、アイソレートバルブ85のスライドバルブの上流側表面上に存在するガスを排気システムから排出する。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理では、上述した図18の処理におけるステップS12の前にアイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の連通を遮断し、バイパス排気ライン86がAPCバルブ17からアイソレートバルブ85までの排気流路の粗真空引きを開始する。このとき、開閉を繰り返すAPCバルブ17から剥離したパーティクルは重力や粗真空引きの排気流によってTMP18へ向けて流れるが、アイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の連通を遮断しているため、アイソレートバルブ85のスライドバルブがパーティクルがTMP18へ流入するのを阻止する。また、TMP18への流入を阻止されたパーティクルは粗真空引きの排気流によってバイパス排気ライン86を介して排気システムから排出される。次いで、ステップS13の後且つステップS15の前においてアイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の連通を回復する。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理によれば、APCバルブ17がチャンバ11及びTMP18の連通を遮断し、アイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の連通を遮断し、バイパス排気ライン86がAPCバルブ17からアイソレートバルブ85までの排気流路を粗真空引きし、その後、APCバルブ17が開閉を繰り返す。チャンバ11及びTMP18の連通を遮断したAPCバルブ17上に堆積・付着したパーティクルはAPCバルブ17が開閉を繰り返すことによってAPCバルブ17から剥離する。剥離したパーティクルは粗真空引きの排気流によってバイパス排気ライン86を介して排気システムから排出される。これにより、TMP18が高速回転を開始したときにAPCバルブ17から該TMP18へ流入するパーティクルを無くすことができる。
また、APCバルブ17から剥離したパーティクルは、粗真空引きの排気流によってTMP18へ向けて流れるが、アイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の連通を遮断しているため、アイソレートバルブ85のスライドバルブがパーティクルがTMP18へ流入するのを阻止する。これにより、パーティクルのTMP18への流入を確実に防止してパーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができる。
なお、上述した本実施の形態では、排気システムにおいてアイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の間に配置されたが、APCバルブ17がアイソレートバルブ85及びTMP18の間に配置されてもよい。この場合、パーティクルがアイソレートバルブ85に堆積・付着し、アイソレートバルブ85が開閉を繰り返す。また、APCバルブ17はアイソレートバルブ85が開閉を繰り返す間、アイソレートバルブ85及びTMP18の連通を遮断する。
次に、本発明の第15の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法について説明する。なお、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムはN2導入ラインを有する点で第14の実施の形態における排気システムと異なるのみであり、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法はAPCバルブの開閉を繰り返さない点で第14の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法と異なるのみである。したがって、第14の実施の形態と重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図22は、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムの概略構成を示す図であり、図22(A)は同排気システムの断面図であり、図22(B)は同排気システムの変形例の断面図である。
図22(A)において、排気システムは排気路14、バッフル板15、排気マニホールド16、APCバルブ17、アイソレートバルブ85、TMP18及びバイパス排気ライン86に加え、APCバルブ17のスライドバルブの近傍に開口するN2導入ライン87を備える。
N2導入ライン87はAPCバルブ17のスライドバルブの上流側(チャンバ11側)表面に向けて開口する。また、N2導入ライン87はN2ガス供給部(図示しない)に接続され、所定の圧力でN2ガスをAPCバルブ17のスライドバルブの上流側表面に向けて導入する。
また、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理では、上述した図18の処理におけるステップS12の前にアイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の連通を遮断する。また、図18の処理におけるステップS12の代わりに、APCバルブ17が開いてチャンバ11及びアイソレートバルブ85の連通を回復し、N2導入ライン87が所定の圧力でN2ガスをAPCバルブ17のスライドバルブに向けて導入すると共に、バイパス排気ライン86がアイソレートバルブ85のスライドバルブの上流側表面上に存在するガスを排気システムから排出する。APCバルブ17が開いたとき、APCバルブ17上に堆積・付着したパーティクルが剥離して粗真空引きの排気流によってアイソレートバルブ85へ向けて流れる。また、このとき、N2導入ライン87から導入されたN2ガスによってAPCバルブ17を通過し且つアイソレートバルブ85のスライドバルブの上流側表面上を流れる粘性流が発生し、該粘性流はAPCバルブ17から剥離したパーティクルを巻き込む。また、粘性流に巻き込まれたパーティクルは粗真空引きの排気流によってバイパス排気ライン86を介して排気システムから排出される。次いで、ステップS13の後且つステップS15の前においてアイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の連通を回復する。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理によれば、APCバルブ17がチャンバ11及びTMP18の連通を遮断し、アイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の連通を遮断し、RPがチャンバ11内及び排気システムを粗真空引きする。その後、APCバルブ17が開いてチャンバ11及びアイソレートバルブ85の連通を回復し、N2導入ライン87がAPCバルブ17を通過し且つアイソレートバルブ85のスライドバルブの上流側表面上を流れる粘性流を発生させ、バイパス排気ライン86がAPCバルブ17からアイソレートバルブ85までの排気流路を粗真空引きする。チャンバ11及びTMP18の連通を遮断したAPCバルブ17が開いたときに該APCバルブ17から剥離したパーティクルは粘性流に巻き込まれ、粗真空引きの排気流によって除去される。これにより、TMP18が高速回転を開始したときにAPCバルブ17から該TMP18へ流入するパーティクルを無くすことができるため、反跳するパーティクルの発生を防止してパーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができる。
また、図22(A)に示す排気システムの変形例である排気システムは、図22(B)に示すように、アイソレートバルブ85のスライドバルブの近傍且つ側方に開口するN2導入ライン87aを備える。このN2導入ライン87aはアイソレートバルブ85のスライドバルブの上流側表面に向けて開口し、所定の圧力でN2ガスをアイソレートバルブ85のスライドバルブの上流側表面に向けて導入する。したがって、N2導入ライン87はアイソレートバルブ85のスライドバルブの上流側表面上を流れる粘性流を発生させる。
上述した本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法は、図22(B)に示す排気システムにも適用可能であり、これにより、TMP18が高速回転を開始したときにAPCバルブ17から該TMP18へ流入するパーティクルを無くすことができるため、反跳するパーティクルの発生を防止してパーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができる。
なお、上述した本実施の形態では、排気システムにおいてアイソレートバルブ85がAPCバルブ17及びTMP18の間に配置されたが、APCバルブ17がアイソレートバルブ85及びTMP18の間に配置されてもよい。この場合、バイパス排気ライン86及びN2導入ライン87はAPCバルブ17のスライドバルブの近傍に開口する。また、パーティクルがアイソレートバルブ85に堆積・付着し、アイソレートバルブ85が開いたときにパーティクルが剥離する。剥離したパーティクルはAPCバルブ17のスライドバルブの上流側表面上を流れる粘性流に巻き込まれ、粗真空引きの排気流によってバイパス排気ライン86を介して排気システムから排出される。
次に、本発明の第16の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法について説明する。なお、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法が適用される排気システムはアイソレートバルブが図20におけるパーティクル捕捉バルブ82と同様に構成されている点で第14の実施の形態における排気システムと異なるのみであり、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法はAPCバルブの開閉を繰り返さない点等で第14の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法と異なるのみである。したがって、第14の実施の形態と重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理では、上述した図18の処理におけるステップ10をスキップし、アイソレートバルブが排気流路に進入してチャンバ11及びTMP18の連通を遮断する。ここで、アイソレートバルブはその周縁部において上流側に突出する壁部を備えるので、排気流路をチャンバ11からTMP18へ向けて流れるパーティクルを捕捉して保持する。また、図18の処理におけるステップS12の後且つステップS15の前にアイソレートバルブが排気流路から退出する。このとき、アイソレートバルブに保持されたパーティクルはパーティクル捕捉バルブ82と共に排気経路から退出し、さらに、クリーニングチャンバが備える洗浄機構によって排気システムの外部へ排出される。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理によれば、アイソレートバルブがチャンバ11及びTMP18の連通を遮断し、アイソレートバルブがチャンバ11からTMP18へ向けて流れるパーティクルを捕捉して保持し、さらに、アイソレートバルブはパーティクルを保持したまま排気流路から退出する。これにより、TMP18が高速回転を開始したときにAPCバルブ17から該TMP18へ流入するパーティクルを無くすことができるため、反跳するパーティクルの発生を防止してパーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができる。
上述した本実施の形態では、アイソレートバルブが周縁部において上流側に突出する壁部84を備えたが、アイソレートバルブが、図15(A)に示すような、複数の小部屋の集合体や、その上流側表面を覆う摩擦係数の高い部材を備えてもよいことは言うまでもない。
なお、上述した第11の実施の形態乃至第16の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法は、APCバルブやアイソレートバルブだけでなく、チャンバ11からTMP18まの排気流路に存在する全てのバルブに適用可能である。さらに、上述した第11の実施の形態乃至第16の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法は、上述した各実施の形態に係る反射装置、連通管及び排気ポンプと組み合わせて用いてもよい。
本発明者等が、上述した図18のウエハ搬入前処理を実行した場合の効果を確認するために、基板処理装置10において同処理を実行した。このとき、ステップS11の前においてAPCバルブ17のスライドバルブ上流側表面に多数の疑似パーティクル(粒径1μmのSiO2微粒子)を散布した。
その後、TMP18の高速回転を開始し、APCバルブ17の開閉を繰り返す度に、後述するICPM(In-Chamber Particle Monitor)によってチャンバ11の処理空間Sまで反跳するパーティクルの数を計測した。なお、パーティクルの数の計測は2回行われた。
図23は、チャンバの処理空間に存在するパーティクルを観測可能なICPMの概略構成図である。
図23において、ICPM90は、チャンバ11の側壁に下部電極12を挟んで対称に配置された一対のレーザ光透過窓91a,91b、及びレーザ光透過窓91aからレーザ光透過窓91bまで照射されるレーザ光を側方から観察可能な、チャンバ11の側壁に配置された観察窓92を備えるチャンバ11と、レーザ光透過窓91a,91bと直線上に配置された反射ミラー93と、該反射ミラー93に向けてレーザ光を照射するSHG−YAGレーザ光発振器94と、該SHG−YAGレーザ光発振器94が照射するレーザ光のパルスを決定するパルス発生器95と、観察窓92を介してレーザ光透過窓91aからレーザ光透過窓91bまで照射されるレーザ光の画像を撮影するCCDカメラ96と、ICPMの各構成要素の動作を制御するPC97と、レーザ光透過窓91bを通過してチャンバ11外に照射されたレーザ光を吸収するビームダンパ98とを備える。
ICPM90では、レーザ光透過窓91aからレーザ光透過窓91bまで照射されるレーザ光を、反跳して処理空間Sに侵入したパーティクルが通過すると、散乱光が発生する。このときの散乱光強度はレーザ光を通過するパーティクルの数に比例する。
図24は、ICPMによって測定されたチャンバの処理空間に存在するパーティクルの数を示すグラフである。
図24のグラフにおいて、横軸はAPCバルブ17の開閉回数を示し、縦軸は散乱光強度を示す。1回目の計測結果を「◆」で示し、2回目の計測結果を「▲」で示す。
このグラフから、APCバルブ17の開閉を2回以上繰り返すと反跳するパーティクルが発生しないことが分かった。したがって、チャンバ11にウエハを搬入する前に、APCバルブ17の開閉を繰り返すことにより、APCバルブ17上に堆積・付着したパーティクルを除去することができ、もって、パーティクルのチャンバ11の処理空間Sへの侵入を防止することができるのが分かった。
次に、本発明の第17の実施の形態に係る基板処理装置について説明する。なお、本実施の形態に係る基板処理装置は、反射装置の代わりにパーティクル捕捉部品を備える点で第1の実施の形態に係る反射装置が適用される基板処理装置と異なるのみである。したがって、第1の実施の形態と重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図25は、本発明の第17の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す断面図である。
図25において、基板処理装置100は、チャンバ11内を上下降する下部電極12の側部を覆う円筒状の上部カバー101と、排気路14の下流側部14bの底面から立設されてベローズカバー25の周囲を覆う下部カバー102とを備える。なお、下部カバー102は上部カバー101と同心に配置される。下部カバー102の外径は上部カバー101の内径より所定値だけ小さく設定され、下部電極12が下降したときに、上部カバー101が下部カバー102と干渉するのを防止する。
また、上述したように、下部カバー102の外径は上部カバー101の内径より所定値だけ小さく設定されるため、下部カバー102と上部カバー101との間には所定の隙間が生じ、処理空間Sにおいて発生し且つ排気路14の下流側部14bに流入したパーティクルPが該所定の間隙を通過してベローズカバー25(パーティクル発生源)に付着することがある。該ベローズカバー25に付着したパーティクルPは下部電極12の上下降に伴い、ベローズカバー25から剥離し、さらに所定の間隙を再び通過して下流側部14bに飛散する(図中の矢印参照。)。
本実施の形態では、これに鑑みてベローズカバー25の周り、より具体的には下部カバー102の周りにパーティクル捕捉部品103を配置する。パーティクル捕捉部品103は排気路14の下流側部14bの底面から立設されて下部カバー102の周囲を覆う円筒状の心材104と、該心材104の表面を覆うように配置されたステンレスフェルト105(又はフッ素樹脂のフェルト)とから成る。また、心材104の高さは下部カバー102の高さより高く設定されているので、パーティクル捕捉部品103は所定の間隙を通過して下流側部14bに飛散するパーティクルPの飛散経路上に存在する。また、ステンレスフェルトは繊維状物質がランダムに絡み合った材料であるため、パーティクルを物理的に捕捉することができ、さらに、上述したように、パーティクルの捕捉効率が高い。したがって、パーティクル捕捉部品103は飛散したパーティクルPを該パーティクルPが帯電している、帯電していないに拘わらず効率良く捕捉することができる。
パーティクル捕捉部品103における心材104を覆う要素の構成材料は、ステンレスフェルトに限られず、以下に列挙するものから成っていてもよい。
1)パーティクル捕捉材
2)衝撃吸収材
3)粘着材
パーティクル捕捉材では、該パーティクル捕捉材に侵入したパーティクルPが繊維状物質や小空間の境界面との衝突を繰り返す。また、衝突の繰り返しによってパーティクルPの飛行経路が延びるため、パーティクルPとガス分子との摩擦が増加する。これにより、パーティクルPの運動量を低下させることができ、結果としてパーティクルPを捕捉することができる。
衝撃吸収材では、パーティクルPの衝突による衝撃を吸収することによってパーティクルPの運動量を低下させることができ、結果としてパーティクルPを捕捉することができる。また、衝撃吸収材を用いて繊維状物質がランダムに絡み合った構造又は多数の小空間を有する構造を構成することにより、該構造においてパーティクルPと衝撃吸収材との衝突回数を増加させることができ、これにより、パーティクルPの運動量を確実に低下させることができる。
粘着材では、パーティクルPが粘着材に粘着することによって直接的にパーティクルPを捕捉することができる。
また、上述したパーティクル捕捉材、衝撃吸収材及び粘着材の構成材料が耐熱性、耐プラズマ腐食性、耐酸性及び排気システム内を流れる排気流に対する十分な剛性を有しているのが好ましく、構成材料の具体例としては、金属(ステンレス、アルミニウム、シリコン)、セラミックス(アルミナ(Al2O3)、イットリウム(Y2O3))、石英、有機化合物(PI,PBI,PTFE,PTCFE,PEI,CF系ゴム若しくはシリコン系ゴム)が挙げられること、さらに、所定の心材に酸化又は溶射等の表面処理を施したもの(イットリウム溶射物、アルミナ溶射物、アルマイト処理物)を用いてもよいことは、上述した排気マニホールド、TMP及び排気路の下流側部の内壁全面に配置される運動エネルギー低下機構及びパーティクル捕捉機構と同じである。
本実施の形態に係る基板処理装置によれば、ベローズカバー25から飛散するパーティクルPの飛散経路上に、心材104と該心材104の表面を覆うステンレスフェルト105とから成るパーティクル捕捉部品103が配置されるので、帯電したパーティクルPだけでなく帯電していないパーティクルPも捕捉することができる。また、排気路14の下流側部14bにパーティクル捕捉部品103を配置するのみなので、チャンバ11の構成を大きく変更することなく、チャンバ11内のパーティクルPを効率よく捕捉することができる。また、パーティクル捕捉部品103はTMP18から反跳して排気路14の下流側部14bに侵入したパーティクルを捕捉することもできるため、該パーティクルの処理空間Sへの侵入を防止することができる。
上述したパーティクル捕捉部品103の心材104は円筒形状を呈するが、心材104の形状はこれに限られず、棒形状であってもよい。この場合、複数の棒状のパーティクル捕捉部品が下部カバー102の周りを囲むように円周上に配置されるのが好ましい。
本実施の形態に係る基板処理装置では、パーティクル発生源は可動部品であるベローズカバー25であるとしたが、パーティクル発生源としての可動部品はこれに限られず、処理空間Sや排気路14に配置される可動部品であってもよく、これらから飛散するパーティクルの飛散経路上、例えば、これらの可動部品の近傍にパーティクル捕捉部品を配置してもよい。
また、パーティクル発生源は可動部品に限られず、処理空間Sや排気路14に面する窪み、例えば、処理空間S内を外部から観察するために設けられることがあるビューポート(view port)106であってもよい。このような窪みには付着物が付着しやすく、該付着物がチャンバ11の振動、チャンバ11内を流れるガスの粘性力、又はチャンバ11内の電界に起因する電磁応力等によって剥離してパーティクルとなり、そのまま飛散する。この場合、窪み(ビューポート106)の近傍にパーティクル捕捉部品を配置するが好ましい。
本発明者等は、上述したパーティクル捕捉部品を設けた場合の効果を確認するために、以下の手順でウエハWの表面に付着するパーティクルの個数を測定した。
1)まず、パーティクル捕捉部品が設けられていない基板処理装置100のチャンバ11にウエハWを搬入する前に、ウエハWの表面に付着しているパーティクルの個数を異物検査装置で測定した
2)チャンバ11にウエハWを搬入し、処理空間Sに開口するポート(図示しない)から処理空間Sにパーティクルを飛散させた
3)ウエハWをチャンバ11から搬出し、ウエハWの表面に付着しているパーティクルの個数を異物検査装置で測定し、該測定された個数から上記1)で測定された個数を引いてパーティクルの増加数を求めた
4)次いで、処理空間Sにおいてポートからのパーティクルの飛散経路上にパーティクル捕捉部品を設置した。また、ウエハWの表面を洗浄し、洗浄後においてウエハWの表面に付着しているパーティクルの個数を異物検査装置で測定した
5)チャンバ11にウエハWを搬入し、処理空間Sに開口するポートから処理空間Sにパーティクルを飛散させた
6)ウエハWをチャンバ11から搬出し、ウエハWの表面に付着しているパーティクルの個数を異物検査装置で測定し、該測定された個数から上記4)で測定された個数を引いてパーティクルの増加数を求めた
なお、上記1)〜6)で測定されるパーティクルの直径は0.1μm以上であった。
以上の手順を実行した結果、パーティクル捕捉部品が設けられていない場合のパーティクルの増加数は202個であったのに対し、パーティクル捕捉部品が設けられている場合パーティクルの増加数は6個であった。これにより、パーティクル捕捉部品をポートからのパーティクルの飛散経路上に設けるだけで、チャンバ11内のパーティクルを効率よく捕捉することができるのが分かった。
次に、本発明の第18の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法について説明する。なお、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法は、TMPの回転翼を回転させたままAPCバルブの開閉を繰り返す点で第11の実施の形態に係る排気システムの洗浄方法と異なるのみである。したがって、第11の実施の形態と重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図26は、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理のフローチャートである。本処理も、図18の処理と同様、基板処理装置10のチャンバ11内壁等にデポが付着して該チャンバ11内を清掃する必要がある場合、或る生産ロットとこれに続く生産ロットとの間、又は基板処理装置10のアイドリング状態が長時間続いた場合等に実行される。
図26において、まず、TMP18の回転翼45を高速で回転させたまま、APCバルブ17を閉じてチャンバ11からTMP18への排気流路を閉鎖してチャンバ11及びTMP18の連通を遮断する(ステップS30)。このとき、APCバルブ17上にパーティクルが堆積・付着する。なお、上述した図18の処理と異なり、ここではTMP18の回転翼45の回転を停止することがない。
次いで、チャンバ11の蓋を閉じたまま、チャンバ11内のパーティクルの除去(閉蓋チャンバ内クリーニング)を行う(ステップS31)。チャンバ内クリーニングの方法としては、チャンバ11内に急激にN2ガスを導入して衝撃波を発生させ、該衝撃波によってチャンバ11の内壁からパーティクルを剥離させ、該剥離されたパーティクルを導入されたN2ガスの粘性流によってチャンバ11から排出する方法、チャンバ11の内壁に電圧を印加して電磁応力によってチャンバ11の内壁からパーティクルを剥離させて除去する方法、又はチャンバ11の内壁に高温のガスを吹きつけて熱応力によってチャンバ11の内壁からパーティクルを剥離させて除去する方法等が該当する。
次いで、排気路14及び排気マニホールド16内のパーティクルの除去(排気路等クリーニング)を行う(ステップS32)。排気路等クリーニングの方法としては、上述したチャンバ内クリーニングの方法と同様の方法が該当する。
次いで、APCバルブ17が開閉を少なくとも1回以上、好ましくは20回以上繰り返す(ステップS33)。このとき、APCバルブ17上に堆積・付着したパーティクルは該APCバルブ17の開閉の繰り返しによって発生する振動等によって剥離する。また、このとき、TMP18の回転翼45は高速で回転しているため、APCバルブ17から剥離したパーティクルはTMP18の回転翼45と衝突して反跳し、チャンバ11内に侵入してチャンバ11内に留まる。
次いで、ステップS31と同様の方法でチャンバ11内のパーティクルの除去を行う(ステップS34)、その後、チャンバ11内にウエハWを搬入し(ステップS35)、本処理を終了する。
本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法としてのウエハ搬送前処理によれば、APCバルブ17がチャンバ11及びTMP18の連通を遮断し、TMP18の回転翼45を回転させたまま、APCバルブ17が開閉を繰り返し、その後、チャンバ11内のパーティクルが除去されてチャンバ11内にウエハWが搬入される。チャンバ11及びTMP18の連通を遮断したAPCバルブ17に堆積・付着したパーティクルはAPCバルブ17が開閉を繰り返すことによってAPCバルブ17から剥離される。また、剥離されたパーティクルはTMP18の内部へ侵入し、該侵入したパーティクルは回転する回転翼45と衝突してチャンバ11まで反跳するが、ウエハWがチャンバ11内に搬入される前に、チャンバ11まで反跳したパーティクルはチャンバ11内のパーティクル除去によって除去される。これにより、ウエハWがチャンバ11内に搬入されるまでにAPCバルブ17に堆積・付着したパーティクル及びチャンバ11内のパーティクルを除去することができる。その結果、ウエハWのチャンバ11内への搬入後において反跳するパーティクルの発生を防止することができ、パーティクルのチャンバ11内への侵入を防止することができる。
また、本実施の形態に係る排気システムの洗浄方法では、TMP18の回転翼45の回転を停止する必要がないので、時間を要するTMP18の停止・起動処理を行う必要がなく、チャンバ11のメンテナンスからウエハWを搬入可能な状態までの復帰を迅速に行うことができる。
次に、本発明の第19の実施の形態に係る排気ポンプについて説明する。
本実施の形態は、その構成や作用が上述した第7の実施の形態と基本的に同じであり、反射板を備えない点及び一部の回転翼の形状が他の回転翼の形状と異なる点で上述した第7の実施の形態と異なる。したがって、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
図27は、本実施の形態に係る排気ポンプとしてのTMPの概略構成を示す図であり、(A)はTMPの縦断面図であり、(B)は(A)における線I−Iに沿う断面図である。なお、図27では、図中上方を「上側」と称し、図中下方を「下側」と称する。
図27(A)及び(B)において、TMP107は、図中上下方向、すなわち排気流の方向に沿って配置された円筒状の本体111と、該本体111の中心軸に沿って配置された回転軸108と、回転軸108から直角に突出する複数のブレード状の回転翼45と、本体111の内周面から回転軸108に向けて突出する複数のブレード状の静止翼46とを備える。
回転軸108は上述した回転軸43よりもAPCバルブ17(チャンバ11)側への突出量が大きく、回転軸108のチャンバ11側端部の近傍において複数の回転翼109が該回転軸108から突出する。すなわち、回転翼109は回転翼45よりもチャンバ11の近くに配置される。
また、複数の回転翼109は回転軸108から放射状に突出して回転翼群を形成し、回転軸108を中心にして回転する。複数の回転翼109は回転翼109が回転する面内において円周方向に沿って等間隔に配置される。また、各回転翼109の回転の方向に関する前端109aが本体111の内周面(内壁)を指向するように湾曲する。
回転翼109の前端109aと対向する本体111の内周面には綿状体110(パーティクル捕捉機構)が配置される。該綿状体110は上述した綿状体75と同じ材料によって構成されるが、特に、ステンレスフェルト、フッ素樹脂のフェルト又はポリイミドの発泡体から構成されるのが好ましい。
このTMP107では、本体110内に侵入したパーティクルPは回転翼109の前端109aと衝突するが、該前端109aは本体111の内周面を指向するように湾曲するので、衝突したパーティクルPは、図27(B)に示すように、綿状体110に向けて反跳する。
本実施の形態に係る排気ポンプによれば、回転翼109の回転の方向に関する前端109aが本体111の内周面を指向するように湾曲する。チャンバ11等から本体111内に侵入したパーティクルは回転翼109の前端109aと衝突するが、該前端109aは本体111の内周面を指向するように湾曲するので、前端109aと衝突したパーティクルは本体111の内周面のみに向けて反跳する。その結果、パーティクルの処理室内への侵入を防止することができる。
また、上述したTMP107では、回転翼109の前端109aと対向する本体111の内周面に綿状体110が配置されるので、前端109aと衝突したパーティクルは綿状体110に捕捉される。その結果、パーティクルの処理室内への侵入を確実に防止することができる。
上述した各実施の形態では、基板処理装置が半導体デバイス製造装置としてのエッチング処理装置である場合について説明したが、本発明が適用可能な基板処理装置はこれに限られず、他のプラズマを用いる半導体デバイス製造装置、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)やPVD(Physical Vapor Deposition)等を用いる成膜処理装置であってもよい。さらには、イオン注入処理装置、真空搬送装置、熱処理装置、分析装置、電子性加速器、FPD(Flat Panel Display)製造装置、太陽電池製造装置、又は物理量分析装置としてのエッチング処理装置、成膜処理装置等のTMPを用いる減圧処理装置であれば本発明を適用可能である。
さらに、上述した実施の形態では、処理される基板が半導体ウエハであったが、処理される基板はこれに限られず、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やFPD等のガラス基板であってもよい。
また、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装
置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。