JP5314659B2 - 減圧処理室内の部材清浄化方法および基板処理装置 - Google Patents

減圧処理室内の部材清浄化方法および基板処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、減圧処理室内の部材を清浄化する技術に関し、例えば被処理基板を載置するためのステージ等を清浄化する技術に関する。
半導体や例えば液晶表示装置等のFPD(Flat Panel Display)の製造工程においては、製造装置外から混入するか、あるいは製造装置内で発生する微粒子によって被処理基板が汚染されることを防ぐことが課題となっている。特に、減圧処理室に設けられたステージが微粒子によって汚染されていると、その上に載置された基板の裏面に微粒子が付着して、次工程において汚染が拡大し、結局最終的な製品に不具合が発生することがあった。
図1に、一般的なプラズマエッチング装置の概略図を示す。減圧処理室であるチャンバ1内に被処理基板を載置するためのステージ2が配置されており、ステージ2には、バイアス電源として高周波電源3がコンデンサ4を介して接続されており、また基板を保持するための静電吸着電源5がローパスフィルタ6を介して接続されている。減圧処理室は接地され、上面は上部電極7として働く。ステージ2の表面はアルミナやポリイミドなどによって被覆され、静電吸着電源5から直流電圧を印加することにより半導体基板を吸着する。ステージ2周辺には、載置される基板を囲むようにフォーカスリング8が配置されている。このフォーカスリングは、例えば基板と同種の材料のリング状の板であって、発生するプラズマを基板上に保持するためのものである。処理用ガスは、ステージ上空のシャワーヘッド9のガス導入孔10から導入される。また、図示はしないが、チャンバを減圧ないし真空にするためのポンプが備えられている。ここでは、ステージ2に微粒子Pが付着しているとする。
このような減圧処理室で処理を行う場合は、ステージ2に半導体基板(図示せず)を載置し、静電吸着電源5の電圧を印加して静電吸着により保持して、シャワーヘッド9のガス導入孔10からプロセス用の反応性ガスをチャンバ1内に導入し、高周波電源3から電力を供給することによりプラズマを生成して、所定の処理を行う。その際、微粒子Pがステージ2上に付着していると、被処理基板の裏面に付着し、次工程に汚染が拡大するとともに、最終的に製造される半導体デバイスの歩留まりが低下する等の不具合が発生してしまう。
このような微粒子は、処理室外から持ち込まれるもの、また処理室内において、ステージ2と半導体基板の接触によって剥離したもの、また反応性ガスによる生成物が堆積したもの等が想定される。そこで、ステージを清浄に保つために、ブラシスクラバや拭き取り板によって清掃したり、また清浄な液体やガスを噴射して清掃する手法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、このような清掃手段をとるためには、通常チャンバの蓋を開けて大気に曝すことになり、清掃それ自体が汚染の原因となる場合もあった。減圧下で、ブラシスクラバや拭き取り板を用いても微粒子(たとえば粒径数10nm)に対しては効果はなく、むしろ物理的な摩擦により微粒子を増加させる恐れがある。また、液体によってステージを清掃することは、そのための構成も複雑なものとなり、スループットの低下が著しい。さらに、ガスを吹き付けるだけでは、微粒子とガスとの衝突断面積が非常に小さくなることから、十分な清掃は困難である。
特開2002−100567号公報
本発明は、このような問題点に鑑み、減圧処理室内の部材表面から微粒子を効果的に飛散させて除去する部材清浄化方法、この清浄化方法を実現する手段を備えた基板処理装置、清浄化を監視する飛散微粒子検出装置、清浄度評価方法及び清浄化終点検出方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様では、部材に付着した微粒子を帯電させ、微粒子の帯電電荷と同極性の電圧を前記部材に印加して、前記部材に付着した前記微粒子を飛散させるようにした。
本発明の第2の態様では、減圧処理室を所定の圧力に保ってガスを導入し、微粒子の付着した部材にガス衝撃波を到達させ、微粒子を飛散させるようにした。
本発明の第3の態様では、微粒子が付着した部材の温度を制御して、熱応力及び熱泳動力により微粒子を飛散させるようにした。
本発明の第4の態様では、減圧処理室の圧力を1.3×10Pa(10Torr)以上に維持した状態で微粒子を飛散させ、ガス流を用いて微粒子を除去するようにした。
本発明の第5の態様では、減圧処理室の圧力を1.3×10Pa(10Torr)以上に維持してガス流を用いて微粒子を除去する前段階として、圧力を1.3×10Pa(1Torr)以下にして微粒子を飛散させるようにした。
本発明の第6の態様では、減圧処理室の圧力を1.3×10Pa(10Torr)以上に維持してガス流を用いて微粒子を飛散させる場合に、さらに飛散させる微粒子に機械的振動を与えるようにした。
本発明の第7の態様では、部材を加熱して高温に保持した状態で、減圧処理室を所定の圧力に保ってガスを導入し、部材にガス衝撃波を到達させるステップと、部材に高電圧を印加するステップとを同時にあるいは連続して行うようにした。
本発明の第8の態様では、被処理基板が載置されていないステージに前記静電吸着電源から電圧を与えることにより、前記ステージに付着した微粒子を飛散させる基板処理装置を提供する。
本発明の第9の態様では、減圧処理室を所定の圧力に保持しながら、被処理基板を載置していないステージに対してガス導入菅からガスを導入し、該ガスの衝撃波を前記ステージに到達させることにより、前記ステージに付着した微粒子を飛散させる基板処理装置を提供する。
本発明の第10の態様では、ステージ上面にガスを導入するガス導入管から該ヘッド冷却用のガスを流しながら、被処理基板が載置されていないステージを加熱手段により所定温度まで加熱して、前記ステージに付着した微粒子を飛散させる基板処理装置を提供する。
本発明の第11の態様では、部材上空を通過するように前記減圧処理室に入射光を入射するための光源と、前記入射光と所定の角度をもって配置され、前記微粒子による散乱光を検出するための光検出器とを備える散乱微粒子検出装置が提供される。
また、本発明の第12及び第13の態様として、微粒子による散乱光を検出して減圧処理室内の部材の清浄度を評価する清浄度評価方法及び部材の清浄化の終点を判断する清浄化終点検出方法が提供される。
本発明が適用可能な従来のプラズマ処理装置を示す図である。 本発明の実施形態1に関して、マクスウェルの応力を利用した微粒子を飛散させる実験の結果を示す図である。 本発明の実施形態1に関して、矩形波電圧を印加した微粒子を飛散させる実験の結果を示す図である。 本発明の実施形態1に関して、飛散微粒子によるレーザ散乱光の画像を示す図である。 本発明の実施形態1に関して、レーザ光と飛散微粒子の関係を示す説明図である。 本発明の実施形態1に関して、印加電圧に対する飛散微粒子の数を示す図である。 本発明の実施形態6に関して、ある圧力におけるガス衝撃波による微粒子の飛散を示す図である。 本発明の実施形態6に関して、他の圧力におけるガス衝撃波による微粒子の飛散を示す図である。 本発明の実施形態6に関して、連続するガス衝撃波による微粒子の飛散量を示す図である。 本発明の実施形態7に関して、加熱による微粒子の飛散量を示す図である。 本発明の実施形態11に関して、飛散微粒子検出装置を示す概略図である。 本発明の実施形態8の超音波振動の効果を示す図である。 本発明の実施形態12のプラズマ処理装置を示す概略図である。 本発明の実施形態12の清浄化方法のフローを示す図である。 本発明の実施形態12の清浄化方法によるチャンバ内圧力と微粒子数との関係を示す図である。 本発明の実施形態13の清浄化方法のフローを示す図である。 本発明の実施形態13の前処理の効果を示す図である。 本発明の実施形態13の前処理つきの微粒子除去を行った際の、ウェハ上の微粒子数と微粒子除去の回数との関係を示す図である。 本発明の実施形態14の清浄化方法の1ステップを示す図である。 本発明の実施形態14の移動速度と飛散微粒子との関係を示す図である。
発明の実施の形態の説明に先立って、本発明の原理的な説明を行う。
本発明の発明者らは、微粒子とステージとの間に働く吸着力を分析し、吸着力に打ち勝って、微粒子をステージから剥離させ飛散させる手段について検討し、(1)マクスウェルの応力、(2)ガス衝撃波による力、(3)熱応力及び熱泳動力、又はこれらの組合わせを用いることが効果的であることを見出した。すなわち、これらの力をステージ又は微粒子に与えると、微粒子がステージから効果的に剥離飛散する実験結果を得たものである。ここで、飛散微粒子を確認するためには、レーザ光散乱法を利用した。
(1)マクスウェルの応力の利用
本発明者らは、静電吸着ステージに電圧を印加すると、ステージ表面にあった微粒子が飛散するという独自の実験結果を得て、これがマクスウェルの応力に起因することを発見した。
マクスウェルの応力は、
である。ここで、ρは電荷量、Eは電界、εは誘電率、τは密度である。
上式の第1項は、微粒子の帯電によるクーロン力を示す。第2項は、∇εが誘電率の場所による微分であるから、誘電率の変化する場所で電界が働くとマイナスの力が発生することを示す。第3項は、変形などによって密度τに対して誘電率εが変わる物質に働く力を示すが、このような物質にはゴムなどがあるが、半導体製造装置内の微粒子を考える場合には、第3項は無視してよいと考えられる。
したがって、第1項及び第2項が示す力を利用できる。
(2)ガス衝撃波による力の利用
ステージにガスを吹き付ける実験を行った結果、単にガスを吹き付けるだけでは微粒子を効果的に飛散させることができないが、ある条件の下では効果的に微粒子を飛散させることができた。これは、例えば圧力1.3×10−2Pa(1×10−4Torr)以下の雰囲気で一度に大量のガスを導入することによって、効果的に微粒子を飛散させることができたもので、解析の結果、大きな圧力差をもって一度に大量にガスを導入することによって、圧力差による衝撃波が生じ、これがステージ表面に到達したときに、効果的に微粒子を飛散させることができることがわかった。
したがって、ガス衝撃波による力も、ステージ上の微粒子の飛散除去手段として有効に利用することができる。
(3)熱応力及び熱泳動力の利用
ステージの温度を制御する手段を用いて、ステージを通常の使用温度から十分に大きく又は小さくすることによって、熱応力による微粒子の剥離を誘発することが可能である。また、ステージを高温に維持し、所定の圧力を保つことで、発生する熱泳動力によって微粒子をステージから飛散させることができた。このように、ステージを清浄化するために、熱応力又は熱泳動力を利用することができる。
さらに、これらの実験において、レーザ光散乱法を用いたin situ 微粒子計測を行った。この装置は、ステージの清浄度モニタ等にも使用できることがわかった。
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
ここでは、一例としてプラズマエッチング装置に関して説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、成膜装置など基板を載置するステージを有するあらゆる装置に適用できる。また、ステージは半導体基板を載置するステージに限らず、液晶表示装置の基板等任意の基板を対象にするものでよい。さらに、清浄化の対象であるステージは、単なる一例であって、本発明は、減圧処理室内のどのような部材を清浄化の対象とすることができることはいうまでもない。
〔実施形態1〕
本例は、ステージ表面の誘電率と微粒子の誘電率に大きい差がある場合に、マクスウェルの応力の式の第2項を利用し、ステージ表面上に所定の電界を生成して、発生する斥力によって微粒子を飛散させるものである。
すなわち、ステージに被処理基板を載置する前に、例えば図1に示すような、静電吸着電源によりステージに正又は負の電圧を印加する。ステージ表面の誘電体を介して電界が表面に現れる。ステージ表面の電界強度は、ステージ表面の誘電体の誘電率や厚さに関係すると考えられるが、実験によるとほぼ与えた電圧と同程度の電圧が現れ、誘電体による電界強度の減衰は見られなかった。マクスウェルの応力の式によると、ステージ表面の誘電率と微粒子の誘電率に差がある場合に電界を付与すると、微粒子は電気力線の方向に飛散する力を受けるはずである。
図2に実験結果の一覧表を示す。図2に示した実験は、ステージとしていくつかの材料を選択し、パーティクルすなわち微粒子をSiO及びCF系ポリマーの2種類として、飛散量を検出したものである。飛散量が目立って多かったのは、ステージをベアシリコン(誘電率ε=11)、その上の微粒子(パーティクル)がフッ化炭素(CF)系ポリマの堆積物(誘電率ε=2)の場合、及びステージをアルミナ(誘電率ε=9)、その上の微粒子(パーティクル)がフッ化炭素(CF)系ポリマの堆積物の場合である。いずれもその誘電率の差は、9又は7と大きくなっている。その他誘電率が等しいかその差がわずかな場合は、飛散量はほとんど無いか少ない。
図3は、CF系ポリマが堆積したベアシリコンをステージとして、静電吸着電源から+2500Vの矩形波を印加した時の結果を示す。実線で示したのが静電吸着電圧の波形で、黒丸で示したのが微粒子の数である。電圧印加の瞬間に多くの(60個以上)微粒子が飛散していることを示している。
図4及び図5に示すように、飛散微粒子は、レーザ光の散乱を利用することによって検出することができる。図4は、CF系ポリマが堆積したベアシリコンに+2500Vを印加した時に飛散した微粒子を撮影したものである。ステージ表面から多数の微粒子が飛散していることを示す。撮影は、図5に示すように、レーザ光をステージ上3〜4mm程度で平板上の光束として照射し、その側面からCCDカメラで画像として撮影したものである。
図6は、ステージに印加する電圧を変化させて、飛散した微粒子をグラフにしたものである。横軸が印加高電圧で、縦軸が微粒子の数である。1000Vでは飛散は見られないが、2000Vで10個程度の微粒子が飛散し、2500Vでは60個以上の微粒子が飛散している。微粒子を飛散させるために印加する電圧の大きさは、ステージ表面の誘電体の誘電率及び厚さと、微粒子の誘電率及び大きさに依存するが、プラズマエッチング装置で使用しているアルミナセラミック表面の静電吸着ステージに対してフッ化炭素系の微粒子が付着している場合にも、ほぼ±1500V以上の電圧を印加すれば、微粒子を飛散させ除去することができた。
さらに、このとき飛散した微粒子を効果的に除去するためには、窒素などのガスを流しながらポンプでガスを引くことで、飛散した微粒子をガスの流れに乗せて排気させてもよい。ガスを流して飛散した微粒子を排気することは、以下に説明するすべての実施形態において採用可能である。
ここでは、電圧の印加に静電吸着電極を用いたが、専用の電源を備えるようにしてもよい。また前述のように、印加電圧の極性は、正負のいずれでもよい。
このように、基板の処理前であって基板がステージ上にないときにこの方法を適用することにより、基板裏面への微粒子の付着を防ぐことができる。
〔実施形態2〕
実施形態1で示したようなステージ表面と微粒子との誘電率の違いを利用する場合、この効果を上げるために、付着が予想される微粒子の誘電率に比べて、十分に大きな誘電率をもつ材料でステージ表面を被覆するようにできる。一般的にシリコンの微粒子が付着してステージ表面を汚染するような場合、シリコンの誘電率は11程度であるので、下記に示す誘電率が11より十分大きな材料で、ステージ表面を被覆すれば、より大きい効果を得ることができる。
例えば、Bi(誘電率18.2)、CuO(誘電率18.1)、FeO(誘電率14.2)、KHPO(誘電率46)、KIO(誘電率16.85)、PbBr(誘電率>30)、PbCl(誘電率33.5)、PbCO(誘電率18.6)、PbI(誘電率20.8)、Pb(NO(誘電率16.8)、PbO(誘電率25.9)、PbSO(誘電率14.3)、SrSO(誘電率18.5)、TiO(誘電率85.6〜170)、TlBr(誘電率30.3)、TlCl(誘電率31.9)、TlI(誘電率21.8)、TlNO(誘電率16.5)、シクロヘキサノール(誘電率16.0)、スクシノニトリル(誘電率65.9)などである。
〔実施形態3〕
実施形態1では、微粒子に働く力は電圧印加の間常に働いているが、図3に示したように、電圧が変化する(特に電圧を印加した)タイミングでの微粒子の飛散が非常に多い。これを利用するためには、印加電圧を矩形波として連続的にステージに印加するようにしてもよい。このようにすれば電圧印加時及び停止時に効率よく微粒子を飛散させることができる。微粒子の飛散を促進するのは電圧の変化であるので、矩形波に限らず、パルス波、サイン波など、波の形状は任意でよい。
この理由は、最初の電圧印加では飛散しやすい微粒子が飛散し、そこで飛散しなかった微粒子であっても、印加電圧を一端解除して新たに電圧を印加することで、飛散する機会が与えられることになるからであると考えられる。
また、交流電源による交流を用いても同様の効果を得ることができる。交流の周波数は高いほうが、効果は大きくなる。
〔実施形態4〕
本例は、クーロン力を利用して微粒子を飛散させるものである。ステージと微粒子の誘電率がほぼ等しい(近接している)場合には、マクスウェルの応力の第2項の力を利用することはできず、第1項によるクーロン力を利用することになる。すなわち、ステージ上の微粒子を意図的に帯電させて、微粒子の帯電と同極性の電圧をステージに印加して、静電的な反発力を利用して飛散させる。ステージ上の微粒子を帯電させるためには、ステージに基板が載置されていない状態で、上空にプラズマを生成する。生成したプラズマの荷電粒子がステージ上に到達し微粒子を帯電させる。この場合プラズマ生成に用いるガスは、アルゴン、ヘリウム、酸素、窒素など適宜用いることができるが、本質的にステージの材質を腐食しない材料でなくてはならず、また、物理スパッタによってステージ表面をエッチングすることのないように制御パラメータ(パワー、圧力、流量など)を選択する必要がある。
ステージはセルフバイアス電圧によって負に帯電されているから、ステージ上の微粒子も負に帯電する。したがって、ステージに負の電圧を印加することによって、微粒子を基板から飛散させることができる。
〔実施形態5〕
実施形態4では、プラズマを用いてステージに付着した微粒子を負に帯電させたが、微粒子を帯電させる方法は、これに限らない。たとえば、紫外光・真空紫外光照射により光電子を放出させることで正帯電させる方法や、イオン照射により正又は負に帯電させる方法、X線・軟X線照射により電子放出させて正帯電させる方法など、その方法は任意である。
このような方法で微粒子を帯電させ、この帯電と同極性の電圧をステージに印加することにより、微粒子を効果的に飛散させることができる。
〔実施形態6〕
本発明者らの実験によると、1.3×10−2Pa(1×10−4Torr)程度以下の圧力に保った減圧室に大気圧程度のガスを短時間に大量にガスを導入することで、圧力差によって最大で音速の衝撃波を発生させ、この衝撃をステージ上の微粒子に到達させることで、効率よく微粒子を飛散させることができた。なお、ガス導入中は常に排気ポンプを用いて排気している。
例えば、減圧処理室に配置したベアシリコンに対して、微粒子をSiOとして、Nガスを大気圧程度の圧力で導入した。Nガスは、ステージ上のシャワーヘッドを利用して導入した。ステージ減圧処理室の圧力を、チャンバーリークを利用して昇圧しながら、Nガスを導入した結果の一例を、図7及び8に示す。
図7は、減圧処理室の圧力6.7×10−2Pa(5.0×10Torr)における微粒子の飛散を示す。図8は、1.3×10Pa(1.0×10−0Torr)における微粒子の散乱を示す。これらは、Nガス導入から3秒間のレーザ光の散乱画像を取得したものである。
多数の微粒子を飛散させるには、1.3×10−2Pa(1×10−4Torr)程度以下の圧力が必要であり、1.3×10Pa(1.0×10−0Torr)では、微粒子を飛散させる効果がほとんどないことを示している。また、実験によると、微粒子の飛散はガス導入直後に起こり、微粒子全体の60〜70%が飛散していることがわかった。
図9は、Nガスによる飛散効果を検証する実験結果で、先の例と同様にベアシリコンに対して、SiOを微粒子として付着させた後、1.3×10−2Pa(1×10−4Torr)でNガスを導入した結果を示す。ここでは、微粒子の量は、微粒子の散乱光を取得して輝度値を計算して評価している。縦軸が、総階調値すなわち散乱強度を示す。実験によるとガスの最初の導入による飛散により微粒子全体の60〜70%が飛散し、また2回目の導入では微粒子は小量飛散するものの、3回目のガス導入ではほとんど飛散していない。したがって、ガス導入による微粒子の飛散除去処理は2度行えばよいということになる。
導入するガスは、窒素、酸素、アルゴンなど任意のガスが使用できる。また。導入する孔の形状及び場所は、衝撃波が微粒子に到達できるように配置する必要がある。シャワーヘッドからガスを導入する場合は、細かい孔が密集して数多く開けられていて、シャワーヘッドからの衝撃波がステージ全体に対して影響を与えるようにするのが最も効果的であるが、現状のシャワーヘッドを使用しても、前述のように微粒子の全体の60〜70%が飛散して、顕著な効果を示している。
〔実施形態7〕
本例は、熱応力や熱泳動力を利用するもので、ステージの温度を制御する手段を用いて、ステージを通常の使用温度から十分に大きく又は小さくすることによって、熱応力による微粒子の剥離を誘発することができる。また、ステージを高温に維持し、所定の圧力を保つことで、発生する熱泳動力によって微粒子をステージから遠ざけることができる。
ここで、熱泳動は、温度勾配をもつ気体中にある物体が、低温側の分子よりも高温側の分子からより大きな運動量を受け、温度勾配とは逆方向の力を受けて低温側方向へ移動する現象であり、熱泳動力はチャンバ内圧力に依存し、微粒子表面付近の温度勾配に依存するものである。
図10は、ステージを加熱して微粒子を飛散させた実験の結果を示すグラフである。この実験は、SiO粒子が付着したSiをステージとして実験したものである。圧力は1.3×10Pa(1Torr)で、ステージ上部のシャワーヘッドを低温に維持するために、窒素ガスを上部シャワーヘッドから導入している。横軸は、温度差を示し、縦軸は、1分にわたって計数された粒子数を示す。図によれば、50℃程度上昇した時点から微粒子の飛散が始まり、250℃を超えると相当数の微粒子が飛散していることが分る。
圧力を変化させながら、加熱した他の実験によれば、1.3Pa(0.01Torr)では、ほとんど飛散が見られななかったことをみると、微粒子の飛散は熱泳動力が大きく影響していることが分る。さらに、他の実験によれば、飛散する微粒子は初速度をもっているとみられ、熱応力と熱泳動力の合力によって剥離し、熱泳動力によって飛散するといえる。
本例では、上部電極であるシャワーヘッドに窒素ガスを導入して、温度勾配を増加させたが、他の手段を用いてもよいことは明らかである。
〔実施形態8〕
ステージ表面に超音波振動を与えることによって、微粒子の飛散を促すことができる。すなわち、超音波振動によって微粒子の基板に対する付着力を弱めることができる。したがって、実施形態1〜7のものに加えて、超音波振動を与えることによって、さらに効果的に微粒子を飛散させることができる。超音波振動を与える方法は、ステージと硬質の個体で接している部分に圧電素子を接続して電圧を加える方法をはじめ、適宜の方法を採用することができる。
また、超音波振動のような機械的振動を与えるだけでも微粒子の飛散ないし剥離が生じる。図12に、超音波振動による微粒子の飛散効果を示す実験例を示す。これは、走査微粒子検出器(scanning particle detector)による検出結果で、図の横軸は時間で、縦軸は検出器によってカウントされた信号である。図に示されているとおり、検出開始時には排気ラインに乗った残留微粒子が検出されるが、しだいに検出される微粒子が減ってくる。しかしながら、図示の期間(約30秒〜130秒および約150秒〜180秒)で超音波による振動を与えると、検出開始時に得られた微粒子数を超える微粒子が剥離ないし飛散している。超音波を付与している時間は、格別減衰することもなく、間欠的に微粒子が発生していることがわかる。超音波を与えない時間にはほとんど微粒子の発生がみられないことから、超音波付与の効果の大きいことがわかる。
なお、超音波だけでなく、部材の移動により機械的振動を与えることによっても、付着した微粒子を飛散ないし剥離することができる。特にステージは処理室内で上下移動可能に構成されていることが多いが、このステージを移動中、あるいは移動後に停止したときなど、機械的振動が発生して微粒子の飛散ないし剥離効果が高いことが見出された。これについては、後に詳しく説明する。
〔実施形態9〕
さらに、今まで説明した方法を組み合わせることによって、微粒子除去の相乗効果を得ることができる。可能なすべての方法を組み合わせてもよいし、いくつかの方法を選択して組み合わせてもよい。組み合わせの方法は任意であり、同時に実施できるものであれば、同時に実施してもよく、また順次実施するようにしてもよい。また、同時に実施できるものでなければ、順次実施するようにすればよい。さらに、それぞれの実施形態を繰り返すようにしても、実施形態の組合せを繰り返すようにしても、高い効果を得ることができる。
例えば、まずガスを導入して衝撃波による力を微粒子に与え(実施形態6)、その後高電圧を印加(実施形態2及び3)するようにし、この間ステージを加熱しつづける(実施形態7)という手段を採用し、これを繰り返して適用してもよい。また、これらの手段を同時に行い、かつ繰り返して行うようにしてもよい。特にガス衝撃波波の利用は前述のように2回は実施したほうがよい。
〔実施形態10〕
実施形態1〜9においては、ステージの清浄化方法として説明したが、例えばフォーカスリングなどのステージに付属する部品に対して適用しても、同様の効果が得られる。さらに、減圧処理室内の清浄化が必要な部材に対して適用しても同様の効果を得ることができる。
〔実施形態11〕
本発明方法を実施するに際して、図11に示すような微粒子検出装置を用いて、微粒子の飛散を検出し、ステージの清浄度評価を行うことができる。また、微粒子が所定数以下になったことを検出することにより、ステージのクリーニングの終点検出を行うことができる。
図11には、レーザ散乱光を利用した飛散微粒子検出装置が示されている。減圧処理室100には、基板を載置するためのステージ110が備えられている。レーザ光源20からのレーザ光Rはレンズ等の光学系30を介して、入射窓120からプロセスチャンバに入射する。レーザ光Rは、光学系30によりステージ110上空に平板上の光束を形成するようにされる。レーザ光Rはステージ上を直進し、本発明方法により飛散した微粒子に散乱された散乱光Sは、出射窓130を介してCCDカメラ40に入射する。ステージ110上を直進した光は、ビームダンパ140に入射して吸収される。CCDカメラ40に入射した散乱光Sは電気信号に変換されて、パーソナルコンピュータのような情報処理装置50に入力され、飛散微粒子の画像がその表示部51に表示される。本例では動画として変化する画像を取得したが、静止画を取得するようにしてもよい。なお、プロセス装置制御盤60からの制御情報は、A/D変換器70を介して情報処理装置50に入力され、これに基づいて、情報処理装置50は、レーザ光源20及びCCDカメラを40、パルス発生器80を介して制御するように構成されている。
処理室100に入射するレーザ光Rは、飛散微粒子を的確に捉えるような位置に入射するように制御される。ステージ近傍の飛散粒子を検出するためには、例えばレーザ光は、ステージ上3〜4mm程度の高さの光とすればよく、それ以上高く飛散する微粒子を検出しようとするには、さらに高い部分を覆うような高さの光を入射するようにすればよい。
なお、光源はレーザ光源に限らずランプでもよく、光検出器もフォトマルチプライヤなど任意のものが使用できる。また、検出器であるCCDカメラは、入射光Rに対して直交する方向の散乱光Sを捉えるように配置されているが、他の角度を持つように配置されてもよいし、複数の検出器を適宜の角度に配置してもよい。
図4,7及び8は、撮影例である。飛散微粒子がはっきりと捉えられていることがわかる。
〔実施形態12〕
チャンバ壁面に付着した微粒子を剥離し、ガス流に乗せて除去する清浄化処理を検討するなかで、微粒子を効果的ガス流に乗せるためには、チャンバ内圧力をある圧力(1.3×10Pa(10Torr))以上に保持する必要があることがわかった。微粒子を剥離する段階では本発明によるどのような手段を用いてもよいが、プロセスチャンバなど静電気的にウェハを吸着する機構を有する真空チャンバでは、高電圧印加によるマクスウェル応力を利用して微粒子を剥離する手段を採用できる。なお、真空チャンバとしては、プロセスチャンバ以外に、例えばロードロックモジュール、トランスファチャンバ、カセットチャンバなどの真空搬送チャンバなどがある。
図13に、本実施形態の清浄化処理を実施する装置の一例を示す。図13は、図1で省略したベントラインと排気系およびウェハ装填用ゲートを付加したプラズマエッチング装置の図であり、図1と共通する符号は同一部分を示す。本実施形態のベントライン13は、窒素などのパージガスを流すための流路であり、配管とバルブから構成され、流量制御装置のようなオリフィス構造を有さないものである。なお、ベントライン13は、反応ガスを導入する流路と兼用することもでき、この場合はシャワーヘッド9からパージガスを導入する。ただしこの場合もベントラインとしての流路にはオリフィス構造を介在させないようにする。これは、オリフィス構造を有すると、ガスの流れを阻害し衝撃波が発生しなくなるおそれがあることによる。排気系は主ポンプとしてターボ分子ポンプ(TMP)14を備え、その背後に粗引き用のポンプであるドライポンプ(DP)15を備える。さらに、ウェハの搬入搬出用のゲート17が設けられている。
図14に、本実施形態の清浄化処理のシーケンスを示す。処理がスタートして、まずステップS1では、自動圧力コントロール弁(APC)(図示せず)を閉じることにより、ターボポンプ14の主排気ラインを閉鎖して、ドライポンプ(DP)15の粗引き用ライン16を開放する。
次に、ステップS2では、ベントライン13から窒素ガスを例えば毎分70000cc程度の大流量で導入する。ベントライン13からの窒素ガスの大量導入により急激な圧力上昇が起こり、チャンバ1内の微粒子が剥離する。剥離した微粒子は、粗引きライン16から排気される。
ステップS3では、粗引き用ポンプ15の性能と窒素ガス流量に応じて、チャンバ内圧力がある値に安定する。ステップS4では、この状態で静電吸着電源5によりステージに正又は負の高電圧を繰り返し印加する。例えば、+3kVと0Vとを繰り返し印加する。ここでは、先に説明したようにマクスウェル応力に従ってチャンバ内壁に付着した微粒子が剥離する。剥離された微粒子は窒素ガスとともに排気される。ステップS5では、直流高電圧の印加が所定回数終了すると、窒素ガスの導入を停止する。粗引き用ラインが開放されているので、引き続き粗引きが実行される。
ステップS6では、粗引きラインのバルブを閉め、APCを開けてメインの真空引きラインでターボポンプ15により所定の圧力例えば1.3×10−2Pa(0.1mTorr)まで引く。このフロー全体は、必要に応じて繰り返される。
この清浄化方法による効果を確認するために、チャンバ内圧力を変化させて、排気ライン(粗引きライン)を通過した微粒子の個数を、実施形態11で説明したレーザ光散乱法により検出した。この結果を図15に示す。
図15は、横軸にチャンバ内圧力をとり、縦軸に微粒子すなわちパーティクルのカウント数を取った図である。この図からわかるように、チャンバ内圧力が約1333.22Pa(10Torr)未満では、微粒子は排気ラインにおいてまったくカウントされていない。約1333.2Paを超えてから微粒子がカウントされており、それ以降はチャンバ内圧力が高くなるのにつれて除去される微粒子が多くなっている。
約1333.22Pa(10Torr)未満では微粒子が排気ラインを通過しないのは、圧力が低い場合には微粒子に与えられるガス粘性力が小さいからであるということが判明した。したがって、微粒子を排出するにはチャンバ内圧力を高めるほどその効果が高く、たとえば6.7×10Pa(50Torr)あるいはそれ以上の圧力帯で実施するのが好ましい。
なお、ステップS4で実施された微粒子を剥離させる手段は、マクスウェルの応力を利用する高電圧印加であったが、これに代えて、先に説明した微粒子剥離方法の何れを使用してもよい。すなわち、クーロン力を利用しても、ガスの急激な導入による衝撃波を利用するようにしても、ステージの温度を制御して熱応力あるいは熱泳動力を利用するようにしても、さらに機械的振動を与えるようにしてもよい。
〔実施形態13〕
実施形態12では、微粒子をガス流に乗せて排気することを優先しているため、微粒子を剥離させる高電圧印加は比較的高圧力雰囲気で行われることになる。しかしながら、高電圧印加によって発生するマクスウェル応力を有効に利用して微粒子を剥離ないし飛散させるためには、低圧力雰囲気で行なわれるのが効率がよいことが判明している。また、実施形態6で説明したように、ガス衝撃波による微粒子の飛散も、より低圧力で行なわれるほうが効率がよい。
そこで本実施形態では、前処理として予め低圧でパージガスの導入や高電圧印加を行った後、実施形態12の清浄化工程を実施するようにした。すなわち、前処理段階では、低圧雰囲気で微粒子をチャンバ内壁から剥離し、その後圧力を高めて剥離した微粒子を排気するようにした。このようにすると、微粒子の剥離効果も高く、剥離した微粒子の除去効果も高い。
図16に、本実施形態の前処理のフローを示す。前処理をスタートすると、まずステップS11で、チャンバ内圧力を実際のプロセス時に使用する圧力(例えば0.2Pa(150mTorr))に制御して、窒素ガスを導入する。なお、この状態は、主排気ラインが使用され、ターボポンプ14により真空排気されて、所定圧力に維持されている。この場合も衝撃力による微粒子剥離がより大きく起こる。
次にステップS12で、チャンバ内壁に付着した微粒子を剥離させるために、マクスウェルの応力を利用する高電圧印加を実行する。高電圧印加の方法は、図13のステップS4と同一である。ただし、チャンバ内圧力が、図13のステップS4で6.7×10Pa(50Torr)であるのに対して、今回の前処理では2.0Pa(0.15Torr)である。
ステップS13では、窒素ガスの導入を停止して、ターボポンプで1.3×10−2Pa(0.1mTorr)程度まで真空引きする。そして、必要に応じて再度この処理が繰り返される。所定回数繰り返された後、前処理が終了すると、図14(実施形態12)のフローに移行する。このような前処理をしてから、実施形態12の本処理に入ると、前処理を行わないものより多数の微粒子を剥離ないし飛散させることができ、より多くの微粒子を除去できる。
なお、この前処理段階での微粒子を剥離させる手段として、マクスウェルの応力を利用する高電圧印加を説明したが、これに代えて、クーロン力を利用しても、ガスの急激な導入による衝撃波を利用するようにしても、ステージの温度を制御して熱応力あるいは熱泳動力を利用するようにしても、さらに機械的振動を与えるようにしてもよい。
図17は、前処理を行った場合と行わない場合とで、微粒子数がどのように変化するかをみたグラフである。図の横軸は、実際のエッチング処理の回数であり、縦軸はウェハ上に残存するパーティクル数すなわち微粒子数を表す。回数1は、チャンバの初期状態を示し、微粒子が3000個近くあったことを示している。その後回数7までは、前処理なしの微粒子除去処理を行いながら、実際のエッチング処理を行い、回数7から回数8までの間には微粒子除去をおこなわず、回数8から回数11までは前処理つきの微粒子除去処理を行なった。
図17によると、前処理なしの微粒子除去処理が繰り返されると、微粒子の数は1000個程度にまで減少するが、処理の回数を増やしてもこれ以上減少することはない。その後同一チャンバでの一連の実験で回数7から回数8まで微粒子除去処理を行わずに、回数8に示す初期状態に戻った後、前処理つきの微粒子除去処理を行ったところ、500個以下まで微粒子数を減少させることができた。なお、図17の例は、微粒子の多い状態で実施したので、前処理つきの微粒子除去処理を行った後でも残存する微粒子数が多くなっている。
図18に、通常の量産装置で、本発明による前処理つきの微粒子除去を行って量産プロセスを実施した際の、ウェハ上の微粒子数と微粒子除去の回数との相関を示す。横軸が、前処理つきの微粒子除去(NPPC:Non-Plasma Particle Cleaning)の回数であり、縦軸が微粒子のカウント数である。装置立ち上げ直後に直径200nm以上の微粒子(≧200nmφ)が140個弱あったのが、プロセスを実施して前処理つきの微粒子クリーニングが3回行なわれると、10個程度にまで減少して、一般にパーティクルスペックといわれる20個以内を達成している。
このように、装置立ち上げ直後などで微粒子汚染が発生しているとき、従来のダミーランまたはシーズニングやポンプアンドパージに代えて、本実施形態を行うことによって、微粒子汚染を大幅に減少させることができる。
〔実施形態14〕
実施形態8で説明したように、機械的振動を与えることによって、微粒子の飛散が起きる。本発明者らは、ウェハステージを移動中または移動停止時にも、機械的振動が原因と見られる微粒子の飛散が生じることを見出した。微粒子の飛散はウェハステージのみならずウェハステージに対向する上部電極等の他の内壁からの剥離も見られた。ウェハステージの移動による振動は、チャンバ内に残存する気体を介しても伝達可能である。本実施形態では、実施形態12で説明した微粒子除去工程にウェハステージの駆動シーケンスを導入して、剥離効果を高めるものである。
本実施形態のフローは、実施形態13(図13)のフローにおいて、ステップS3とステップS4との間にステップS35を追加するもので、その他は同一である。
図19に、ステップS35を示す。ステップS3(図13)で、窒素ガスを導入して約6.7×10Pa(50Torr)に圧力が維持された後、ステップS4で高電圧印加が行なわれるまでに、ステップS35として、ウェハステージが繰り返し駆動され、ウェハステージが複数回移動を繰り返す。ここで、引き起こされる振動がチャンバ内壁に付着した微粒子を剥離しあるいは剥離しやすくし、その後の高電圧印加による微粒子の剥離を容易にする。
レーザ光散乱法(実施形態11)により、ウェハステージ移動させて観測すると、ウェハステージが上昇して停止した瞬間に飛散する微粒子が観測された。これは、ウェハステージの停止した瞬間の機械的振動により微粒子の付着力が一時的に低下することによるもので、ウェハステージに付着していた微粒子は、慣性力で上方へ飛散し、上部電極に付着していた微粒子は、重力で落下する。このときの微粒子剥離効果は高電圧印加より大きく、剥離した微粒子は1.3×10Pa(10Torr)以上の圧力で窒素などのガスを流すことによって効果的に排出される。
図20に、ウェハステージを上昇させたときのパーティクル数と移動速度との関係を示す。図20の横軸は、ウェハステージの移動速度で、左の縦軸は微粒子観測率、右の縦軸は加速度センサの値である。微粒子観測率は、ステージの駆動回数に対する微粒子が観測された回数の比であり、剥離した粒子数に比例する。また、加速度センサの値は、ウェハステージの停止時の振動を表わす。図からわかるように、本実施形態の効果を得るためには、移動速度は速いほうが望ましい。これはウェハステージの運動エネルギーが、微粒子を剥離させるエネルギーになるためで、運動エネルギーは、運動する物体の質量に比例し、またその速度の2乗にも比例するから、質量の大きいウェハステージを高速で移動して停止させるほうが効果が高い。図20の加速度センサの値が示すように、移動停止時の移動速度が高いほど振動も大きい。
本例では、ウェハステージ駆動の際の振動を利用したが、ウェハステージのみならず、チャンバに付属する移動部材があれば、その移動時の振動を利用することができる。例えば、プラズマに与える磁場の調整のための磁石の回転機構、ウェハ搬送用にウェハステージに設けられたピンの上下機構、ウェハの搬入搬出するためのゲートに配置されたシャッタの開閉機構を駆動する際の振動を利用することもできる。もし、チャンバに振動を発生するような駆動部材がなければ、振動を発生させるユニット例えばインパクトドライバのような構造のものを設置して、振動を発生するようにしてもよい。
また、駆動部材の機械的振動の利用は、ここで説明した実施形態14に限らず、実施形態13の前処理にも適用できる。また、機械的振動を与えると微粒子の飛散ないし剥離を容易にするので、本発明のどのような微粒子飛散ないし剥離手段と組み合わせて使用してもよい。
1,100 減圧処理室
2,110 ステージ
5 静電吸着電源
9 シャワーヘッド
13 ベントライン
14 ターボ分子ポンプ
15 ドライポンプ
20 レーザ光源
40 CCDカメラ

Claims (8)

  1. 減圧処理室の部材を清浄化する部材清浄化方法であって、
    前記部材に付着した前記微粒子を、以下のi)〜v)の手段の少なくとも1つにより飛散させる第1の工程と、
    i)前記部材に付着した前記微粒子を帯電させ、前記微粒子の帯電電荷と同極性の電圧を前記部材に印加して、前記部材に付着した前記微粒子を飛散させる
    ii)前記部材に電圧を印加して前記部材の誘電率と前記微粒子の誘電率との差に応じて前記微粒子を飛散させる
    iii)前記部材の温度を制御して、熱応力及び熱泳動力により前記部材に付着した微粒子を飛散させる
    iv)前記減圧処理室内を所定の圧力に減圧して、ガスを導入して前記部材にガス衝撃波を到達させて前記部材に付着した微粒子を飛散させる
    v)前記部材に機械的振動を与えて前記部材に付着した微粒子を飛散させる
    前記第1の工程の後に、減圧処理室を排気しながら前記減圧処理室の圧力を1.3×10Pa以上の所定の圧力に維持して前記微粒子を除去する第2の工程と、
    を有する部材清浄化方法。
  2. 前記i)の帯電させる手段は、以下のa)〜d)の1つである請求項1に記載の部材清浄化方法。
    a)部材上空にプラズマを発生させる
    b)部材表面に紫外光又は真空紫外光を照射する
    c)部材表面に電子、陽電子又はイオンを照射する
    d)部材表面にX線又は軟X線を照射する
  3. 前記iv)の手段において、前記所定の圧力は1.3×10−2Pa以下である請求項1又は2に記載の部材清浄化方法。
  4. 前記第2の工程において、前記減圧処理室の圧力を6.7×10Pa以上の圧力に維持する請求項1〜3のいずれか1項に記載の部材清浄化方法。
  5. 被処理基板に対して処理を行う減圧処理室と、
    前記減圧処理室内の部材に付着した微粒子を飛散させて清浄化する手段と
    を有する基板処理装置であって、
    前記部材に付着した前記微粒子を飛散させて清浄化する手段は、
    前記部材に付着した前記微粒子を、以下のi)〜v)の手段の少なくとも1つにより飛散させる第1の手段と、
    i)前記部材に付着した前記微粒子を帯電させ、前記微粒子の帯電電荷と同極性の電圧を前記部材に印加して、前記部材に付着した前記微粒子を飛散させる
    ii)前記部材に電圧を印加して前記部材の誘電率と前記微粒子の誘電率との差に応じて前記微粒子を飛散させる
    iii)前記部材の温度を制御して、熱応力及び熱泳動力により前記部材に付着した微粒子を飛散させる
    iv)前記減圧処理室内を所定の圧力に減圧して、ガスを導入して前記部材にガス衝撃波を到達させて前記部材に付着した微粒子を飛散させる
    v)前記部材に機械的振動を与えて前記部材に付着した微粒子を飛散させる
    前記第1の手段により前記微粒子を飛散させた後に、減圧処理室を排気しながら前記減圧処理室の圧力を1.3×10Pa以上の所定の圧力に維持して前記微粒子を除去する第2の手段と、
    を有する基板処理装置。
  6. 前記i)の帯電させる手段は、以下のa)〜d)の1つである請求項5に記載の基板処理装置。
    a)部材上空にプラズマを発生させる
    b)部材表面に紫外光又は真空紫外光を照射する
    c)部材表面に電子、陽電子又はイオンを照射する
    d)部材表面にX線又は軟X線を照射する
  7. 前記iv)の手段において、前記所定の圧力は1.3×10−2Pa以下である請求項5又は6に記載の基板処理装置。
  8. 前記第2の手段において、前記減圧処理室の圧力を6.7×10Pa以上の圧力に維持する請求項5〜7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
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