JP5425748B2 - 片面研削方法および装置 - Google Patents

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Description

この発明は、片面研削方法および装置に関し、さらに詳細には、特に対向する一対の面の少なくとも一方が平坦面とされた縦長のワークについて、上記平坦面を中凸面形状に研削加工する片面研削技術に関する。
対向する一対の面の少なくとも一方が平坦面とされた縦長の工作物(以下ワークと称する)について、その平坦面のみ、つまり片面を研削するには、ワークの上側の面を基準とする上記平坦面の高さつまりワークの高さにばらつきが生じないように加工することが要求される。
この点に関連して、本出願人は、略半球形状あるいは略円錐形状のワークの底面を研削する片面研削装置を開発し提案している(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
この片面研削装置は、両頭平面研削装置を改良したもので、下側の回転主軸に取り付けられた平坦な研削砥石面を有する回転砥石車と、この砥石車の研削砥石面に対向して固定的に取付け配置された押えガイド(両頭平面研削装置では、上側の回転主軸に取り付られる上側の回転砥石車部分。)と、ワークを保持する複数の保持ポケットを備え、上記砥石車の研削砥石面と押えガイドの間を通過可能に配置されたキャリアとを備えてなる。また、上記砥石車の研削砥石面に対向する上記押えガイドの研削案内面には、上記キャリアによるワークの移動方向と同方向に円弧状にのびる案内溝が形成され、この案内溝の両側縁部に、ワークの上側曲面部分の2箇所を案内する案内面が形成されている。
そして、ポケットに収容された略半球形状あるいは略円錐形状のワークは、上記キャリアの回転動作により、上記押えガイドの案内溝に摺動案内されつつ、上記砥石車の研削砥石面と押えガイドの研削案内面とからなる研削部を通し送りされながら、上記研削砥石面によりワークの底面が研削される。
この片面研削装置では、研削中に、ワークの曲面部分の2箇所が上記案内溝の2つの案内面によって案内されるので、研削されたワークの曲面部分を基準とする底面の高さが一定となり、精度の高い研削ができる。
特開2000−246608号公報 特開2003−225846号公報
ところで、上記片面研削装置は略半球形状あるいは略円錐形状のワークの研削に特化された専用装置であって、上記縦長のワークの一平坦面の研削には不向きであり、そのまま適用することができない。
つまり、縦長のワークはその平面形状輪郭が縦方向と横方向で寸法が異なることから、まず、上記押えガイドの案内溝はその案内機能を発揮し得ず、むしろワーク送り動作の障害となる。
また、上記押えガイドの研削案内面は、ワークの切込み量(研削代分)に対応した傾斜平坦面からなるところ、具体的には、上記押えガイドが上記押えガイド取付部に取り付けられた状態で、この押えガイド取付部の傾きを調整することにより上記傾斜平坦面が構成される構造とされるところ、例えば、送り方向へ縦長の配置状態で送られる縦長のワークの切込み量に対応した傾斜角度を、上記押えガイド取付部の傾き調整機構により調整設定するには熟練を要し、その調整作業が複雑でかつ時間を要する。
さらに、上記縦長のワークの種類や用途によっては、研削すべき上記平坦面を微小な中高の凸面形状(以下、中凸面形状と称する)に仕上げる要請もあり、上記従来の片面研削装置ではこのような研削要請には対応不可能であった。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、対向する一対の面の少なくとも一方が平坦面とされた縦長のワークについて、ワーク高さを均一に加工するとともに、この平坦面を中凸面形状に研削加工することができる片面研削方法を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、上記片面研削方法を好適に実施することができる片面研削装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の片面研削方法は、対向する一対の面の少なくとも一方が平坦面とされた縦長のワークを、回転する砥石車の平坦な研削砥石面と、この砥石車に対向して固定的に配置した押えガイドの研削案内面とから形成された研削部に、通し送りしながらワークの上記平坦面を研削するスルーフィード形式の片面研削方法であって、上記押えガイドの研削案内面は、ワークの研削代分を研削する上記研削砥石面の部位に対向して配置される切込み傾斜案内面と、この切込み傾斜案内面に連続して設けられる上記研削砥石面と平行な平坦案内面と、この平坦案内面に連続して設けられる上記切込み傾斜案内面と逆の傾斜とされた逃し傾斜案内面とを備えてなり、上記研削部にワークを通し送りするに際して、上記切込み傾斜案内面によりワークを摺動案内しながら、上記研削砥石面によりワークの上記平坦面を研削した後、上記平坦案内面でワークを摺動案内し、続いて上記逃し傾斜案内面を通過させることにより、ワークの上記平坦面を所定の中凸面形状に研削するように構成したことを特徴とする。
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記押えガイドの平坦案内面のワーク送り方向寸法は、ワークの上記平坦面の中凸面形状寸法に対応して設定されている。
(2)上記押えガイドの逃し傾斜案内面の傾斜角度は、上記押えガイドの平坦案内面のワーク送り方向寸法に対応して設定されている。
また、本発明の片面研削装置は、上記片面研削方法の実施に適した装置であって、回転可能に配置され、平坦な研削砥石面を有する砥石車と、この砥石車を回転駆動する回転駆動手段と、上記砥石車に対向して固定的に配置され、ワークを摺動案内する研削案内面を有する押えガイドと、上記砥石車の研削砥石面と押えガイドの間を通過可能に配置され、ワークを保持する複数の保持ポケットを備えたキャリアと、このキャリアを送り駆動する送り駆動手段と、上記回転駆動手段および送り駆動手段を相互に連動して駆動制御する制御手段とを備えてなり、上記押えガイドの研削案内面は、ワークの研削代分を研削する上記研削砥石面の部位に対向して配置される切込み傾斜案内面と、この切込み傾斜案内面に連続して設けられる上記研削砥石面と平行な平坦案内面と、この平坦案内面に連続して設けられる上記切込み傾斜案内面と逆の傾斜とされた逃し傾斜案内面とを備えてなり、上記研削部にワークを通し送りするに際して、上記切込み傾斜案内面によりワークを摺動案内しながら、上記研削砥石面によりワークの上記平坦面を研削した後、上記平坦案内面でワークを摺動案内し、続いて上記逃し傾斜案内面を通過させることにより、ワークの上記平坦面を所定の中凸面形状に研削するように構成されていることを特徴とする。
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記押えガイドの切込み傾斜案内面は、上記研削部のワーク入口側からワーク出口側に向けてワークの研削代分だけ傾斜して設定されている。
(2)上記押えガイドの平坦案内面のワーク送り方向寸法は、ワークの上記平坦面の中凸面形状寸法に対応して設定されている。
(3)上記押えガイドの逃し傾斜案内面の傾斜角度は、上記押えガイドの平坦案内面のワーク送り方向寸法に対応して設定されている。
(4)前記押えガイドの研削案内面の配置構成は、押えガイドが押えガイド取付部に取り付けられた状態で、この押えガイド取付部の傾きを調整することにより形成される構成とされている。
本発明の片面研削方法は、回転する砥石車の平坦な研削砥石面と、この砥石車に対向して固定的に配置した押えガイドの研削案内面とから形成された研削部に、ワークを通し送りしながらワークの一平坦面を研削するスルーフィード形式の片面研削方法であって、上記押えガイドの研削案内面は、ワークの研削代分を研削する上記研削砥石面の部位に対向して配置される切込み傾斜案内面と、この切込み傾斜案内面に連続して設けられる上記研削砥石面と平行な平坦案内面と、この平坦案内面に連続して設けられる上記切込み傾斜案内面と逆の傾斜とされた逃し傾斜案内面とを備えてなり、上記研削部にワークを通し送りするに際して、上記切込み傾斜案内面によりワークを摺動案内しながら、上記研削砥石面によりワークの上記平坦面を研削した後、上記平坦案内面でワークを摺動案内し、続いて上記逃し傾斜案内面を通過させるように構成したから、対向する一対の面の少なくとも一方が平坦面とされた、いわゆるかまぼこ形状ワークのような縦長のワークについて、その平坦面の高さつまりワーク高さを均一に加工するとともに、上記平坦面を所定の中凸面形状に研削することが可能な片面研削方法を提供することができる。
本発明に係る一実施形態に係る片面研削装置の主要部の概略構成を示す正面断面図である。 同じく同片面研削装置の主要部の概略構成を示す図1のII-II線に沿った平面断面図である。 同片面研削装置における砥石車と押えガイドにより形成される研削部の断面構成を説明するための模式図である。 図4(a)〜(c)は同片面研削装置における研削工程を説明するための正面模式図である。 同片面研削装置における砥石車と押えガイドにより形成される研削部の比較断面構成による研削効果を説明するための正面模式図である。 同片面研削装置におけるキャリアのワークポケットによるワーク保持方向の配置構成を示し、図6(a)は本実施形態の配置構成を、図6(b)は比較配置構成をそれぞれ示す。 同片面研削装置により研削される縦長のワークの一例であるかまぼこ形状ワークを示し、図7(a)は斜視図、図7(b)は正面図、図7(c)は側面図である。 同片面研削装置により研削される縦長のワークの他の例である直方体形状ワークを示し、図8(a)は斜視図、図8(b)は正面図、図8(c)は側面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
本発明に係る片面研削装置が図1〜図6に示されており、この研削装置は、図7に示すような対向する一対の面Wa、Wbの少なくとも一方が平坦面とされた縦長のワークWの一平坦面を中凸面形状に研削加工するもので、具体的には、上下一対の回転主軸が垂直に対向配置されてなる立軸型の両頭平面研削装置の基本構造を利用したものである。
研削対象となるワークWは、対向する一対の面Wa、Wbのうち、上面Waがほぼ円筒面とされるとともに、底面Wbが平坦面とされ、また平面輪郭形状が矩形状(図2参照)とされた、いわゆるかまぼこ形状のものであり、上記上面Waは前工程で既に仕上加工されてなる完成面とされている。
本発明に係る片面研削装置は、このワークWの完成面Waを基準として、その平坦な片面つまり底面Wbを所定量(研削代分)h(図7(b)および(c)における二点鎖線参照)だけ研削しつつ、この底面Wbの縦方向中央部が所定量だけ円筒面状に盛り上がった中凸面形状に形成する(図7(c)における一点鎖線参照:ただし、実際の中凸輪郭形状はほぼ直線状(盛り上がり量が数μm程度)で視認できないため、図面では、理解を容易にする目的から大きく湾曲した一点鎖線で示されている。)。
この片面研削装置は、上記ワークWの底面Wbを片面研削加工するのに適した構成とされ、図1および図2に示すように、砥石車1、押えガイド2、キャリア装置3および制御装置4を主要部として構成されている。
砥石車1は、上記下側回転主軸11に取外し交換可能に取り付けられてなり、その上面1aが平坦な研削砥石面とされた、いわゆるカップ型砥石車である。この砥石車1の研削砥石面1aは、砥粒として、例えば微小なSD(合成ダイヤモンド)砥粒や、CBN(立方晶窒化ホウ素)砥粒等のいわゆる超砥粒などが好適に用いられ、これら砥粒が結合材料により結合されてなる。
上記下側回転主軸11は、具体的には図示しないが、回転駆動部(回転駆動手段)、例えば、歯車機構等の動力伝達機構を介して、回転駆動源である主軸モータに連係されるとともに、切込み部(切込み手段)、例えば昇降シリンダ等の昇降駆動源に連係されている。これら回転駆動源および昇降駆動源は、後述する制御装置4に電気的に接続されている。
押えガイド2は、押えガイド取付部10に取外し交換可能に取り付けられてなり、その下面2aが上記砥石車1の研削砥石面1aに対向する研削案内面とされて、研削加工時にワークWを摺動案内する構成とされている。この押えガイド2は、ワークWを有効に押さえ得る強度を有するとともに、ワークWを円滑に摺動案内する機能を兼備しており、構成材料としては、これら両機能を有効に発揮し得るものが用いられ、例えば超硬合金、ダイヤモンドコンパックス等が好適に使用される。図示の実施形態の押えガイド2は超硬合金製とされている。
押えガイド取付部10は、具体的には図示しないが、上記下側回転主軸11と同様に、例えば昇降シリンダ等の昇降駆動源に連係されるとともに、この押えガイド取付部10に上記押えガイド2が固定的に取付け固定されて、これにより、押えガイド2は、回転動作する上記砥石車1に対して固定的に配置される。
また、押えガイド2の研削案内面2aの配置構成は、押えガイド2が垂直状態に配置された上記押えガイド取付部10に取り付けられた状態で形成される。
すなわち、上記押えガイド2の研削案内面2aは、図3に示すように、後述するワークWの通し送り移動経路(図2において一点鎖線で描かれた円弧Yおよび図3における左右横方向参照)に沿って連続して形成された、切込み傾斜案内面5、平坦案内面6および逃し傾斜案内面7の3つの案内面を備えてなる。
このような構成とすることにより、押えガイド2の取付け取外し交換が砥石車交換作業と同様に容易かつ迅速に行え、研削案内面2aの摩耗時の修正作業やワーク変更に伴う段取り作業が容易に行える。つまり、押えガイド2が押えガイド取付部10に対して、砥石車と同様な取付け構造を備えているから、取外し取付け交換作業が容易であり、予備の押えガイド2を予め用意しておくことにより、この予備の押えガイド2を古い摩耗した押えガイド2と交換することで、機内での複雑なドレッシング作業等が不要となる。また異なる形状寸法の研削案内面2aを有する押えガイド2を複数種類用意しておけば、ワークWの種類変更に伴う段取り作業も容易迅速に行える。
なお、上記押えガイド2の研削案内面2aを構成する、切込み傾斜案内面5、平坦案内面6および逃し傾斜案内面7の具体的構成については、後述するキャリア装置3のキャリア20によるワークWの送り動作との関係で詳述する。
キャリア装置3は、ワークWを保持して、これを砥石車1と押えガイド2間に形成される研削部GPに送込み動作するもので、上記研削部GPを通過可能に配置された上記キャリア20と、このキャリア20を送り駆動する送り駆動部(送り駆動手段)(図示省略)とを主要部として構成されている。
キャリア20は、その中心のキャリア軸23周りに回転する回転円板の形態とされ、図1および2に示すように、このキャリア20の外周部が上記研削部GPを通過するように水平状に配されている。
図示のキャリア20は、ステンレス鋼等の金属あるいはプラスチック等の樹脂を構成材料とする薄肉円板からなり、上記研削部GP、つまり砥石車1の研削砥石面1aと押えガイド2の研削案内面2aとの間の隙間寸法よりも小さい厚さ寸法を有するとともに、これら両面1a、2a間を通過するキャリア20の外周部には、ワークWを保持する複数の保持ポケット21、21、…が周方向へ所定の配置関係をもって上下に貫設されている。
この保持ポケット21つまりはワークWの配置構成は、ワークWがその送り方向(図2および図3の矢符方向)へ縦長の配置状態で送られるように設定され、図示の実施形態においては、図2および図6(a)に示すように、保持ポケット21に収納保持されたワークWの軸線XwがワークWの通し送り移動経路(図2における一点鎖線で描かれた円弧Y)に対する接線方向にほぼ平行となるように設定されている。
このワークWの配置構成に関して、図6(b)に示すように、ワークWがその送り方向へ横長の配置状態で送られるように設定することも考えられるが、このような横長の配置構成での研削方法では、底面Wbが中凸面形状に形成され難いということが試験的に判明している。
換言すれば、これらを含めた種々の試験結果を通じて、ワークWの底面Wbについて中凸面形状に形成したい方向をワークの送り方向となるようにを配置することにより、ワークWの底面Wbの中凸面形状を任意の方向に形成できることが試験的に突き止められた。
また、キャリア20の下側には、このキャリア20に保持されたワークW、W、…を摺動案内するガイド部22が設けられ、図2において、ワーク供給部P1で供給されたワークW、W、…が、キャリア20に保持された状態で、研削部GPを経てワーク回収部P2まで円滑に案内されるように構成されている。
上記キャリア20の回転主軸であるキャリア軸23は、垂直状態で回転支持されるとともに、上記送り駆動部に駆動連結されている。この送り駆動部は、具体的には図示しないが、サーボモータ等の回転駆動源を備えており、この回転駆動源は、後述する制御装置4に電気的に接続されている。
そして、上記送り駆動部の駆動により、キャリア20が通し送り方向(図2および図6の矢符方向)へ所定速度をもって回転して、ワーク供給部P1でワーク供給装置(図示省略)によりキャリア20の保持ポケット21、21、…に供給されるワークW、W、…が、順次連続して研削部GPにワーク入口部Iからワーク出口部Oへ通し送りされて(ワークWの通し送り移動経路は図2における一点鎖線の円弧Y参照)、砥石車1の研削砥石面1aにより底面Wbが中凸面形状に平面研削された後、ワーク回収部P2でワーク回収装置(図示省略)により落下回収される。
上記押えガイド2の研削案内面2aを構成する、切込み傾斜案内面5、平坦案内面6および逃し傾斜案内面7の具体的構成は、以下のように設定されている。
切込み傾斜案内面5は、ワークWの主たる研削工程時にワークWを送り案内する部位で、具体的には、図3に示すように、砥石車1の研削砥石面WaにおけるワークWの研削代分h(図7(b)および(c)における二点鎖線参照)を研削する部位に対向して配置されている(図3における研削工程範囲A参照)。
上記切込み傾斜案内面5は、図示のごとく、上記研削部GPのワーク入口部I側からワーク出口部O側に向けてワークWの研削代分hだけ傾斜(傾斜角度θ5)して設定されている。
平坦案内面6は、ワークWの仕上研削時にワークWを送り案内する部位で、具体的には、図3に示すように、上記切込み傾斜案内面5に連続して設けられるとともに、上記研削砥石面1aと平行な平坦面に形成されている(図3における研削工程範囲B参照)。
上記平坦案内面6と砥石車1の研削砥石面1aとの間隔寸法Tは、ワークWの研削仕上寸法(仕上高さ寸法)Hに対応して設定されている。また、この平坦案内面6のワーク送り方向寸法(図3における左右横方向寸法)L6は、ワークWの底面Wbの中凸面形状寸法に対応して設定される。
逃し傾斜案内面7は、上記平坦案内面6と協働して、ワークWの底面Wbを中凸面形状に仕上げる部位で、図3に示すように、上記平坦案内面6に連続して設けられるとともに、上記切込み傾斜案内面5と逆の傾斜をもった傾斜面とされている。
上記傾斜案内面7の傾斜角度θ7は、上記平坦案内面6のワーク送り方向寸法L6に対応して設定されている。
そして、上記キャリア装置3のキャリア20の通し送り方向(図2の矢符方向)への回転により、砥石車1の研削砥石面1aと押えガイド2の研削案内面2aとから形成された研削部GPに通し送りされるワークWは、まず押えガイド2の切込み傾斜案内面5により上面Waを摺動案内されながら、砥石車1の研削砥石面1aにより底面Waがほぼ研削代分hだけ平坦面に粗研削され(図3における研削工程範囲A参照)、この後、上記平坦案内面6により摺動案内され(図3における研削工程範囲B参照)、さらに続いて上記逃し傾斜案内面7を通過させる(図3における研削工程範囲C参照)ことにより、ワークWの底面Wbは所定の中凸面形状に仕上研削される。
特に、上記平坦案内面6と傾斜案内面7の協働作用によるワークWの底面Wbの中凸面仕上研削は、本発明者により試行錯誤を繰り返しながら行われた試験・研究の成果として得られたものである。
例えば図5に示されるものは、試験研究途中において検討され試みられた押えガイド2の研削案内面形状の典型例である。
図5(a)に示される研削案内面形状は、研削案内面2Aが単一の傾斜案内面で構成されており、仕上案内面に相当する部分が存在しない。このような研削案内面2A構造では、ワーク出口部Oにおいて砥石車1のいわゆるエッジ切りとなって、ワークWが下向きになり、ワークWの底面Wbが中凹面形状になりやすく、しかもワークWが安定せず、その結果、ワークWの底面Wbは凹凸のうねりのある中凹面形状となってしまうことが試験的に判明している。
また、図5(b)に示される研削案内面形状は、研削案内面2Bが傾斜案内面25と、これに続く逆傾斜を有する逃がし案内面26とからなる構成とされている。このような研削案内面2B構造では、これら両案内面25、26の交差部においてワークWの上面Waと点当たりになって、ワークWの前後両端部分を押えられず、しかもワーク出口部OにおいてワークWが上向きになり、ワークWの底面Wbは中凸面形状になりやすいが、その中凸量が過度に大きくなってしまうことが試験的に判明している。
これに対して、図3に示される本実施形態の研削案内面2aでは、仕上案内面として機能する平坦案内面6の押圧作用で、ワーク出口部OにおいてワークW全体が押えられて姿勢が安定しており、ワークWは暴れることなくワーク出口部Oから出ていき、その結果、ワークWの底面Wbは適正な中凸量の中凸面形状に安定して形成されることが判明した。また、押えガイド2の研削案内面2aの具体的な断面形状寸法、特に上記平坦案内面6と傾斜案内面7の断面形状寸法を任意に設定することで、ワークWの底面(加工平坦面)Wbの中凸量hの制御管理ができる。
制御装置4は、上記砥石車1の回転駆動部および昇降駆動部、キャリア装置3の送り駆動部、上記ワーク供給装置およびワーク回収装置の駆動部、ならびにツルーイング装置4の駆動部を相互に連動して自動制御するもので、具体的には、CPU、RAM、ROMおよびI/Oポート等からなるマイクロコンピュータで構成されている。
この制御装置4は、上記各駆動部等に電気的に接続されて、以下に述べる片面研削方法を自動で実行するように、上記各駆動部を駆動制御する。
しかして、以上のように構成された片面研削装置によるワークWの片面(底面)Wbのスルー研削は、ワーク供給部P1において、ワーク供給装置により、ワークW、W、…が順次、キャリア20の保持ポケット21、21、…に対して投入供給されると、これらワークW、W、…は、キャリア20の送り動作(図2および図3の矢符方向への回転)により、駆動回転する砥石車1の平坦な研削砥石面1aと、この砥石車1に対向して固定的に配置された押えガイド2の研削案内面2aとから形成された研削部GPに、ワーク入口部Iからワーク出口部Oまで通し送りされながら(図4(a)→(b)→(c)参照)、その底面Wbを順次連続して研削された後、ワーク回収部P2において、キャリア20の保持ポケット21、21、…から落下排出されて、ワーク回収装置により回収される。
この場合、研削部GPをワーク入口部Iからワーク出口部Oまで通し送りされる一つのワークWに着目すると、このワークWは、前述したように、まず、押えガイド2の切込み傾斜案内面5によりその上面Waを摺動案内されて砥石車1の研削砥石面1aに対し切込み送りされながら、砥石車1の研削砥石面1aによりその底面Waがほぼ研削代分hだけ平坦面に粗研削され(図3における研削工程範囲A参照)、この後、上記平坦案内面6により切込み送りゼロの状態で摺動案内され(図3における研削工程範囲B参照)、さらに続いて上記逃し傾斜案内面7を通過する(図3における研削工程範囲C参照)ことにより、これら両案内面6、7の協働作用により、ワークWの底面Wbは上記平坦案内面6と研削砥石面1aにより規定される最終仕上げ寸法の中凸面形状に仕上げられることとなる。
以上詳述したように、本実施形態の片面研削方法は、回転する砥石車1の平坦な研削砥石面1aと、この砥石車1に対向して固定的に配置した押えガイド2の研削案内面2aとから形成された研削部GPに、ワークWを通し送りしながらワークWの一平坦面である底面Wbを研削するスルーフィード形式の片面研削方法であって、上記押えガイド2の研削案内面2aは、ワークWの研削代分hを研削する上記研削砥石面1aの部位に対向して配置される切込み傾斜案内面5と、この切込み傾斜案内面5に連続して設けられる上記研削砥石面1aと平行な平坦案内面6と、この平坦案内面6に連続して設けられる上記切込み傾斜案内面5と逆の傾斜とされた逃し傾斜案内面7とを備えてなり、上記研削部GPにワークWを通し送りするに際して、上記切込み傾斜案内面5によりワークWを摺動案内しながら、上記研削砥石面1aによりワークWの底面Wbを研削した後、上記平坦案内面6でワークWを摺動案内し、続いて上記逃し傾斜案内面7を通過させるように構成したから、図7に示されるようないわゆるかまぼこ形状ワークWについて、その底面Wbの高さつまりワーク高さHを均一に加工するとともに、上記底面Wbを所定の中凸面形状に研削加工することができる。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内において種々の設計変更が可能である。
例えば、研削対象となるワークWは、図7に示すようなかまぼこ形状のものに限定されず、図8に示すような縦長の直方体形状のものでも可能である。つまり、このワークWは、対向する一対の面Wa、Wbが平坦面とされており、上面Waが前工程で既に仕上加工されてなる完成面とされ、底面Wbが上述した片面研削装置により所定量(研削代分)h(図8(b)および(c)における二点鎖線参照)だけ研削されて、縦方向中央部が所定量だけ円筒面状に盛り上がった中凸面形状に形成される(図8(c)における一点鎖線参照:ただし、実際の中凸輪郭形状はほぼ直線状(盛り上がり量が数μm程度)で視認できないため、図面では、図7(c)の場合と同様に、理解を容易にする目的から大きく湾曲した一点鎖線で示されている。)。
また、押えガイド2における研削案内面2aの具体的構成は、上述した図示の実施形態のものに限定されず、研削対象となるワークWの形状寸法や研削条件等に応じて種々設計変更される。
さらに、図示の実施形態においては、押えガイド2の研削案内面2aの配置構成(図3参照)が、垂直状態に配置された押えガイド取付部10に上記押えガイド2が取り付けられた状態で形成される構成とされているが、これに代えて、押えガイド2が押えガイド取付部10に取り付けられた状態で、この押えガイド取付部10の傾きを調整することにより上記押えガイド2の研削案内面2aの配置構成(図3参照)が形成される構成とされてもよい。
また、図示の実施形態の片面研削装置は、両頭平面研削装置の基本構造を利用して構成されているが、縦長のワークWの片面Wbの研削加工に特化した専用機械として構成することももちろん可能であり、このような専用機械とすることにより、装置構成が単純簡素化されて、製造コスト・装置コストの低減化を図ることができる。
W ワーク(工作物)
Wa ワークの上面
Wb ワークの底面
h ワークの研削代分
GP 研削部(1a、2a)
I ワーク入口部
O ワーク出口部
θ5 押えガイドの傾斜案内面の傾斜角度
L6 平坦案内面のワーク送り方向寸法
θ7 押えガイドの逃がし傾斜案内面の傾斜角度
1 砥石車
1a 砥石車の研削砥石面
2 押えガイド
2a 押えガイドの研削案内面
3 キャリア装置
4 制御装置
5 切込み傾斜案内面
6 平坦案内面
7 逃し傾斜案内面
10 押えガイド取付部
11 下側回転主軸
20 キャリア
21 保持ポケット

Claims (8)

  1. 対向する一対の面の少なくとも一方が平坦面とされた縦長の工作物を、回転する砥石車の平坦な研削砥石面と、この砥石車に対向して固定的に配置した押えガイドの研削案内面とから形成された研削部に、通し送りしながら工作物の前記平坦面を研削するスルーフィード形式の片面研削方法であって、
    前記押えガイドの研削案内面は、工作物の研削代分を研削する前記研削砥石面の部位に対向して配置される切込み傾斜案内面と、この切込み傾斜案内面に連続して設けられる前記研削砥石面と平行な平坦案内面と、この平坦案内面に連続して設けられる前記切込み傾斜案内面と逆の傾斜とされた逃し傾斜案内面とを備えてなり、
    前記研削部に工作物を通し送りするに際して、前記切込み傾斜案内面により工作物を摺動案内しながら、前記研削砥石面により工作物の前記平坦面を研削した後、前記平坦案内面で工作物を摺動案内し、続いて前記逃し傾斜案内面を通過させることにより、工作物の前記平坦面を所定の中凸面形状に研削するように構成した
    ことを特徴とする片面研削方法。
  2. 前記押えガイドの平坦案内面のワーク送り方向寸法は、工作物の前記平坦面の中凸面形状寸法に対応して設定されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の片面研削方法。
  3. 前記押えガイドの逃し傾斜案内面の傾斜角度は、前記押えガイドの平坦案内面のワーク送り方向寸法に対応して設定されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の片面研削方法。
  4. 対向する一対の面の少なくとも一方が平坦面とされた縦長の工作物を、回転する砥石車の平坦な研削砥石面と、この研削砥石面に対向して固定的に配置した押えガイドとの間に通し送りしながら工作物の前記平坦面を研削するスルーフィード形式の片面研削装置であって、
    回転可能に配置され、平坦な研削砥石面を有する砥石車と、
    この砥石車を回転駆動する回転駆動手段と、
    前記砥石車に対向して固定的に配置され、工作物を摺動案内する研削案内面を有する押えガイドと、
    前記砥石車の研削砥石面と押えガイドの間を通過可能に配置され、工作物を保持する複数の保持ポケットを備えたキャリアと、
    このキャリアを送り駆動する送り駆動手段と、
    前記回転駆動手段および送り駆動手段を相互に連動して駆動制御する制御手段とを備えてなり、
    前記押えガイドの研削案内面は、工作物の研削代分を研削する前記研削砥石面の部位に対向して配置される切込み傾斜案内面と、この切込み傾斜案内面に連続して設けられる前記研削砥石面と平行な平坦案内面と、この平坦案内面に連続して設けられる前記切込み傾斜案内面と逆の傾斜とされた逃し傾斜案内面とを備えてなり、
    前記研削部に工作物を通し送りするに際して、前記切込み傾斜案内面により工作物を摺動案内しながら、前記研削砥石面により工作物の前記平坦面を研削した後、前記平坦案内面で工作物を摺動案内し、続いて前記逃し傾斜案内面を通過させることにより、工作物の前記平坦面を所定の中凸面形状に研削するように構成されている
    ことを特徴とする片面研削装置。
  5. 前記押えガイドの切込み傾斜案内面は、前記研削部のワーク入口側からワーク出口側に向けて工作物の研削代分だけ傾斜して設定されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の片面研削装置。
  6. 前記押えガイドの平坦案内面のワーク送り方向寸法は、工作物の前記平坦面の中凸面形状寸法に対応して設定されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の片面研削装置。
  7. 前記押えガイドの逃し傾斜案内面の傾斜角度は、前記押えガイドの平坦案内面のワーク送り方向寸法に対応して設定されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の片面研削装置。
  8. 前記押えガイドの研削案内面の配置構成は、押えガイドが押えガイド取付部に取り付けられた状態で、この押えガイド取付部の傾きを調整することにより形成される構成とされている
    ことを特徴とする請求項4から7のいずれか一つに記載の片面研削装置。
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