特許文献1に記載の遊技機は、カバー部材によって遊技盤等の裏面が覆われた状態においては、基板ボックスが取り外されることを防止することができるが、ボックス拘止具による拘止が解除されると、基板ボックスを取り外すことが可能であり、十分な不正対策効果を発揮することができなかった。
また、特許文献2に記載の遊技機は、パトランプを遊技機枠に装着することに収納ケースが不正に取り外されることを防止しているが、パトランプを設けない構成においては不正対策効果を発揮することができなった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、電子基板を内包する基板ケースが不正に取り外され難く構成して、電子基板に対する不正行為を常に予防することができる電子基板ユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての電子基板ユニットは、遊技を制御する第1電子基板を内包する第1基板ケースと、第1基板ケースの少なくとも一部を覆うように配置され、遊技を制御する第2電子基板を内包する第2基板ケースと、第1基板ケースと第2基板ケースとの間に配置されるベース部材と、を有しており、第1基板ケースは、ベース部材と係合する第1基板係合部を有し、ベース部材は、第1基板ケースと係合するベース第1係合部と、第2基板ケースと係合するベース第2係合部を有し、第2基板ケースは、ベース部材と係合する第2基板係合部を有しており、第1基板係合部とベース第1係合部とが係合した第1係合状態では、第1基板ケースとベース部材との相対移動が規制され、かつ第1係合状態において第1基板係合部とベース第1係合部とのうち少なくとも一方に対する第1解除操作がなされることにより第1係合状態が解除された第1非係合状態となり、第1非係合状態では、第1基板ケースとベース部材との相対移動が可能となり、第2基板係合部とベース第2係合部とが係合した第2係合状態では、第2基板ケースとベース部材との相対移動が規制され、かつ第2係合状態において第2基板係合部とベース第2係合部とのうち少なくとも一方に対する第2解除操作がなされることにより第2係合状態が解除された第2非係合状態となり、第2非係合状態では、第2基板ケースとベース部材との相対移動が可能となり、第1基板係合部とベース第1係合部とが係合した第1係合状態では、第2解除操作が制限された規制状態を実現し、第1係合状態が解除された第1非係合状態では、第2解除操作の制限が解除された非規制状態を実現するように構成されており、非規制状態では、第2基板係合部とベース第2係合部とのうち少なくとも一方に対する第2解除操作が実行可能となるように構成されている。
第1基板ケース内には、遊技を制御する第1電子基板が内包されており、第2基板ケース内には、遊技を制御する第2電子基板が内包されている。各電子基板を内包した状態において、第1基板ケースの上方に第2基板ケースが配置されており、第1基板ケースと第2基板ケースとの間には、各基板ケースと係合可能なベース部材が設けられている。
第1基板ケースには、ベース部材と係合する第1基板係合部が設けられており、ベース部材には、第1基板ケースと係合するベース第1係合部と、第2基板ケースと係合するベース第2係合部と、が設けられており、第2基板ケースには、ベース部材と係合する第2基板係合部が設けられている。これらの係合部が係合したり係合が解除されたりすることによって、各基板ケースとベース部材との相対移動を規制した状態や各基板ケースとベース部材との相対移動が可能な状態を実現する。
第1基板ケースの第1基板係合部と、ベース部材のベース第1係合部と、が係合した第1係合状態では、第1基板ケースとベース部材との相対移動が規制されており、第1基板ケースとベース部材とが分離不可能である。したがって、第1基板ケースのみを取り外すことはできない。一方、第1係合状態が解除された第1非係合状態では、第1基板ケースとベース部材との相対移動が可能となり、第1基板ケースとベース部材とが分離可能である。この第1係合状態から第1非係合状態とするためには、第1基板係合部とベース第1係合部とのうち少なくとも一方に対する第1解除操作を行う。
第2基板ケースの第2基板係合部と、ベース部材のベース第2係合部と、が係合した第2係合状態では、第2基板ケースとベース部材との相対移動が規制されており、第2基板ケースとベース部材とが分離不可能である。したがって、第2基板ケースのみを取り外すことができない。一方、第2係合状態が解除された第2非係合状態では、第2基板ケースとベース部材との相対移動が可能となり、第2基板ケースとベース部材とが分離可能である。この第2係合状態から第2非係合状態とするためには、第2基板係合部とベース第2係合部とのうち少なくとも一方に対する第2解除操作を行う。
また、第1基板係合部とベース第1係合部とが係合した第1係合状態では、第2解除操作が制限された規制状態となるように構成されている。したがって、第1係合状態では、第2基板ケースをベース部材から取り外すことができない。一方、第1非係合状態では、第2解除操作の制限を解除した非規制状態が実現されている。したがって、第1非係合状態では、第2解除操作を実行することにより、第2係合状態から第2非係合状態として第2基板ケースとベース部材とを分離することができる。
すなわち、第1係合状態と第2係合状態とが実現された状態においては、第2解除操作を実行することができず、第1係合状態を解除する第1解除操作を行った後に第2解除操作を行うことにより、第2非係合状態とすることができる。第2基板ケースは、ベース部材及び第1基板ケースを覆うように配置されており、不正行為者がアクセスし易い位置にあるため、不正に取り外されてしまうおそれがある。しかし、第2基板ケースのみを単独で取り外しできないようにし、取り外し作業に手間と時間を要するように構成することにより、第2基板ケースが不正に取り外されることを防止することができる。
また、第1基板ケースは、第1係合状態ではベース部材と係合してベース部材との相対移動が規制されており、第1基板係合部又はベース第1係合部に対して第1解除操作が実行されることにより、取り外し可能となる。しかし、第1基板ケースは、ベース部材及び第2基板ケースによって少なくとも一部を覆われており、第1係合状態と第2係合状態とが実現された状態においては、第1基板ケースへのアクセスが困難であり、第1解除操作がし難く構成されている。このような構成によれば、第1解除操作に手間と時間を要するため、第1基板ケースが不正に取り外されることを防止することができる。
このように、第1基板ケース及び第2基板ケースとベース部材との分離作業に手間と時間を要するように構成することにより、基板ケースの不正な取り外しを防止することができる。したがって、第1基板ケース及び第2基板ケースに内包される電子基板への不正アクセスを効果的に防止することができ、セキュリティー性を向上させることが可能となる。
なお、第1解除操作は、第1基板係合部とベース第1係合部とのうち少なくとも一方に対して行われるように構成されていればよく、第1基板係合部のみ操作がなされるように構成されてもよいし、ベース第1係合部のみに操作がなされるように構成されてもよいし、第1基板係合部とベース第1係合部の双方になされるように構成されてもよい。
また、第2解除操作は、第2基板係合部とベース第2係合部とのうち少なくとも一方に対して行われるように構成されていればよく、第2基板係合部のみ操作がなされるように構成されてもよいし、ベース第1係合部のみに操作がなされるように構成されてもよいし、第1基板係合部とベース第1係合部の双方になされるように構成されてもよい。
第1係合状態においては、第1基板ケースに内包された第1電子基板に対するアクセスが規制されており、第2係合状態においては、第2基板ケースに内包された第2電子基板に対するアクセスが規制されていてもよい。このように、各電子基板ケースに内包された電子基板に対するアクセスを規制するように構成することにより、第1係合状態及び第2係合状態において基板ケース自体が不正に取り外されることを防ぐと共に、内包された電子基板に対するアクセスを防止して、電子基板に対する不正行為を効果的に防止することができる。
また、第1基板ケース及び第2基板ケースに開封された痕跡を残す痕跡残留部材を設けてもよい。残留痕跡部材を設けることにより、内包される電子基板にアクセスされた場合であっても、開封された際の痕跡を残すことができるため、不正に開封されたことを早期に発見することが可能となり、被害の拡大を防止することができる。
本発明の他の例示的側面としての遊技機は、遊技を実現する遊技装置体と、遊技装置体を内包する遊技機枠と、上記に記載の電子基板ユニットと、第1基板係合部とベース第1係合部とのうち少なくとも一方と近接するように配置された規制部材と、を有し、電子基板ユニットは、遊技装置体又は遊技機枠に対して装着されており、規制部材は、遊技装置体又は遊技機枠に対して装着されており、第1基板係合部とベース第1係合部のうち少なくとも一方に対する第1解除操作を規制するように構成されている。
このように構成された遊技機によれば、第1基板ケース及び第2基板ケースとベース部材との分離作業に手間と時間を要するように構成することができ、基板ケースの不正な取り外しを防止することができる。したがって、第1基板ケース及び第2基板ケースに内包される電子基板への不正アクセスを効果的に防止することができ、セキュリティー性を向上させることが可能となる。
更に、第1基板係合部とベース第1係合部のうち少なくとも一方に対する第1解除操作を規制する規制部材を備えることにより、規制部材が装着された状態において第1解除操作を制限して、第1基板ケース及び第2基板ケースとベース部材との分離作業に手間と時間とを更に要するように構成することができる。なお、規制部材は、遊技装置体又は遊技機枠に装着可能な部材であればよく、例えば、遊技者に対して画像を表示する画像表示装置を例示することができる。
なお、遊技装置体とは、遊技機における遊技を実現するものであり、例えば、パチンコ遊技機であれば、遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤、スロットマシンであれば、絵柄の組合せによる遊技を実現するリールを例示できる。また、電子基板ユニットは、遊技装置体又は遊技機枠に対して装着できる構成であればよく、遊技装置体又は遊技機枠に対して直接装着できる構成であってもよいし、遊技装置体又は遊技機枠との間に部材が配置され、遊技装置体又は遊技機枠に対して間接的に装着できる構成であってもよい。
また、遊技機枠とは、遊技装置体を内包する枠部材又は枠部材の集合体であって、遊技装置体の側方や前方を囲むためのものである。例えば、遊技機がパチンコ遊技機である場合には、遊技装置体としての遊技盤を内包する筐体枠、機枠又は前面枠若しくはこれらの組合せ等が遊技機枠に該当し、遊技機がスロットマシンである場合には、遊技装置体としてのリール(回胴装置)を内包するキャビネットが遊技機枠に該当する。もちろん、パチンコ遊技機やスロットマシン以外の遊技機においても、それら遊技機における遊技を実現する遊技装置体(例えば、コインゲーム機における遊技盤やアーケードマシンにおけるゲーム画像表示装置等)を内包する枠部材等がこの遊技機枠に該当する。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、第1基板ケース及び第2基板ケースとベース部材との分離作業に手間と時間を要するように構成することができ、基板ケースの不正な取り外しを常に防止することができる。したがって、第1基板ケース及び第2基板ケースに内包される電子基板への不正アクセスを効果的に防止することができ、セキュリティー性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る制御基板ユニット(電子基板ユニット)Uを有する遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット(遊技装置体)5、ガラス10、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。発射ユニットは、遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて1球ずつ遊技球23を発射可能である。
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球23が発射ユニットによって発射され、遊技球23の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないようにする不正アクセス防止機能、を発揮する。
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されると共に、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車25等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車25を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄(特別図柄)表示装置17が配置されると共に、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
第1図柄(特別図柄)表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄の変動が表示される。第1図柄は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として実行される第1抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄の変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄の表示がなされる。第1装飾図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う第2電子基板としての主制御基板76(図9参照)を収容した主制御基板ケース(第2基板ケース)70と、演出表示装置7aの画像表示等演出の制御等を行う第1電子基板としての演出制御基板56(図9参照)を収容した演出制御基板ケース(第1基板ケース)50と、主制御基板ケース70と演出制御基板ケース50との間に配置されたベース部材60と、を有する制御基板ユニットUが設けられている。この制御基板ユニットUについては、後述にて詳細に説明する。
更に、遊技盤6の裏面側には、賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の賞球の払出契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。
次いで、実施の形態に係る制御基板ユニットUについて、図3から図9を用いて詳細に説明する。以下の説明においては、上下及び前後左右の方向は、遊技者からパチンコ機2を見た際の方向に基づいて定義し、図中に適宜図示する。なお、本実施の形態では、主制御基板を収容する主制御基板ケース70及び演出制御基板を収容する演出制御基板ケース50を有する制御基板ユニットUについて例示して説明するが、本発明に係る電子基板ユニットは、他の制御基板ケースを有して構成されていてもよい。
図3は、制御基板ユニットUの背面図である。図4は、制御基板ユニットUの斜視図である。(a)は右上方から視認した状態を示しており、(b)は左下方から視認した状態を示している。図5及び図6は、制御基板ユニットUの分解斜視図である。図5は左後方から視認した状態を示しており、図6は右前方から視認した状態を示している。なお、図3においては説明の便宜上、後述する中継基板42を省略して示している。
制御基板ユニットUは、遊技盤6の裏面側に固定される装着カバー部材40と、装着カバー部材40の後面を覆うように配置される演出制御基板ケース50と、演出制御基板ケース50の後面を覆うように配置されたベース部材60と、ベース部材60の後面を覆うように配置された主制御基板ケース70と、を有する。
装着カバー部材40は、遊技盤6の背面側に固定されており、演出制御基板ケース50等を装着するための部材である。装着カバー部材40は、ビス等の固定部材によって遊技盤6の背面側に固定されている。装着カバー部材40の後面には、金属製の第1プレート部材41が配置されている。第1プレート部材41を設けることにより、その後方に配置されている演出制御基板ケース50内の演出制御基板56等に対するノイズを低減することができる。
第1プレート部材41の後面には、演出制御基板ケース50が配置されている。演出制御基板ケース50の前面には、第1プレート部材41に開口形成された開口穴部41aと係合する前面爪部51が設けられている。前面爪部51と開口穴部41aと係合することにより、第1プレート部材41は、演出制御基板ケース50に係止される。第1プレート部材41が係止された状態において、演出制御基板ケース50は、装着カバー部材40に固定されている。演出制御基板ケース50が装着カバー部材40に固定されることにより、第1プレート部材41は、装着カバー部材40と演出制御基板ケース50との間に配置される。
演出制御基板ケース50の後方には、ベース部材60が配置されている。ベース部材の前面側(演出制御基板ケース50側)には、ノイズを低減するために金属性の第2プレート部材66が装着されている(図6参照)。ベース部材60と演出制御基板ケース50の下端には、ヒンジ部が設けられており、ベース部材60は、演出制御基板ケース50に対してヒンジ部を介して揺動開閉されるように構成されている。ヒンジ部は、演出制御基板ケース50に形成されたヒンジ軸受部52と、ベース部材60に形成されたヒンジ軸部62と、によって構成されており、ヒンジ軸部62がヒンジ軸受部52に挿入されている。
また、演出制御基板ケース50の上端には、ベース部材60と係合する係合凹部(第1基板係合部)53が形成されており、ベース部材60の上端には、演出制御基板ケース50の係合凹部53と係合する係合爪部(ベース第1係合部)63が形成されている。係合爪部63は、ベース部材60の上端において前方に突出して形成されており、下方に向けて突出した掛かり部63aを有する(図8参照)。ベース部材60は、樹脂によって形成されており、係合爪部63は、上方に弾性変形可能に構成されている。
ベース部材60と演出制御基板ケース50とを係合させる際には、ヒンジ部を中心にベース部材60を回転方向に移動する。係合爪部63を上方に弾性変形させた状態でベース部材60を演出制御基板ケース50の後面を覆うように配置して、係合爪部63の変形を解除することにより、係合爪部63の掛かり部63aが係合凹部53に侵入して、係合爪部63と係合凹部53とが係合した第1係合状態となる。この第1係合状態では、演出制御基板ケース50とベース部材60との相対移動が規制される。
また、第1係合状態において係合爪部63を上方に押圧することにより、係合爪部63が弾性変形して、係合爪部63と係合凹部53との第1係合状態が解除された第1非係合状態となる。第1非係合状態では、演出制御基板ケース50とベース部材60との相対移動が可能となる。図7は、第1非係合状態のベース部材60及び演出制御基板ケース50を示しており、ベース部材60を演出制御基板ケース50に対して略90度回転させた状態を示している。
また、本実施の形態に係る制御基板ユニットUの上方には、規制部材としての液晶カバー部材43が配置されている(図2参照)。液晶カバー部材43は、遊技盤6に装着される演出表示装置7aを覆うように取り付けられている。液晶カバー部材43が制御基板ユニットUの上方に配置された状態においては、係合爪部63へのアクセスが規制され、第1解除操作を実行できないように構成されている。したがって、第1解除操作を実行するためには、液晶カバー部材43を取り外して、その後に第1解除操作を実行するように構成されている。
ベース部材60の後方には、主制御基板ケース70が配置されている。主制御基板ケース70は、ベース部材60に対して左右方向にスライド移動するように構成されている。主制御基板ケース70の前面には、スライド爪部74が突出して形成されており、ベース部材60の背面には、スライド爪部74が挿入可能なスライド凹部64が形成されている。主制御基板ケース70をベース部材60に対して左方向にスライド移動させることにより、スライド爪部74がスライド凹部64に引っ掛かり、前後方向及び上下方向におけるベース部材60と主制御基板ケース70との相対移動が規制される。
また、ベース部材60の右端部には、前後方向に変形可能な押圧片(ベース第2係合部)65が形成されている。押圧片65は、後方に突出した掛かり部65aが形成されている(図9及び図10参照)。押圧片65の掛かり部65aは、主制御基板ケース70の左端部の左壁部75に引っ掛かるように構成されている。
ベース部材60と主制御基板ケース70とを係合させる際には、押圧片65を前方に弾性変形させた状態で主制御基板ケース70をベース部材60に対して左方に移動させる。主制御基板ケース70をベース部材60の後面を覆う位置まで移動すると、スライド爪部74がスライド凹部64に侵入する。そして、その状態において押圧片65の押圧を解除すると、押圧片65の掛かり部65aが左壁部75に係止して、押圧片65と左壁部75とが係合した第2係合状態となる。
第2係合状態において押圧片65を前方に押圧することにより(第2解除操作を実行することにより)、押圧片65が弾性変形して、押圧片65が左壁部75から離間して第2係合状態が解除された第2非係合状態となる。第2非係合状態では、主制御基板ケース70とベース部材60との相対移動が可能となる。
図8は、第2非係合状態のベース部材60及び主制御基板ケース70を示しており、主制御基板ケース70をベース部材60に対して右方にスライド移動した状態である。なお、図8における主制御基板ケース70及びベース部材60は、係合凹部53及び係合爪部63を中心軸として演出制御基板ケース50に対して略90度回転させた状態である。図8においては、主制御基板ケース70及びベース部材60以外の演出制御基板ケース50を省略して示す。
ベース部材60と演出制御基板ケース50が係合した第1係合状態では、押圧片65の下方に演出制御基板ケース50の背面に形成されたリブ54が配置されており、押圧片65の前方への弾性変形が規制されている。図9は、図3に示すA−A断面図であり、図10は、図9に示すB部分の拡大図である。図9及び図10に示すように、第1係合状態及び第2係合状態では、押圧片65の前方にリブ54が配されており、第2解除操作を実行することができない。したがって、ベース部材60と主制御基板ケース70との第2係合状態を解除するためには、まず第1係合状態を解除して、第1非係合状態において第2解除操作を実行する必要がある。
また、本実施の形態に係る制御基板ユニットUは、ベース部材60と主制御基板ケース70を係合した第2係合状態において、押圧片65を覆うように中継基板42が配置されている(図4参照)。したがって、中継基板42を取り外さなければ、押圧片65を操作することができず、第2解除操作を実行できないように構成されている。
次いで、このように構成された制御基板ユニットUの取り外し手順について説明する。まず、液晶カバー部材43を遊技盤6の後面から取り外す。次いで、第1解除操作を行う。具体的には、係合爪部63を上方に押圧して、係合爪部63と係合凹部53との係合を解除する。係合爪部63と係合凹部53との係合状態を解除した状態で、ベース部材60と主制御基板ケース70を演出制御基板ケース50に対して回転させることにより、第1係合状態が解除された第1非係合状態となる。
ベース部材60を回転移動することにより、押圧片65とリブ54とが離間するため、次いで第2解除操作を実行する。まず、押圧片65を覆うように配置された中継基板42を取り外す。そして、押圧片65を前方に向けて押圧して(図7に示す状態においては上方に押圧して)、押圧片65と左壁部75とを離間させることにより、第2係合状態が解除された第2非係合状態となる。次いで、主制御基板ケース70を右方にスライド移動することにより、主制御基板ケース70とベース部材60とが分離可能となる。
このような手順によって、主制御基板ケース70、ベース部材60及び演出制御基板ケース50を互い分離することができる。また、逆の手順を行うことにより、主制御基板ケース70、ベース部材60及び演出制御基板ケース50を互いに係合された状態で遊技盤6の背面側に取り付けることができる。
以上のように、本実施の形態に係る制御基板ユニットUによれば、主制御基板ケース70、ベース部材60及び演出制御基板ケース50の分離作業に手間と時間を要するように構成することができ、制御基板ケースの不正な取り外しを常に防止することができる。したがって、主制御基板ケース70及び演出制御基板ケース50に内包される主制御基板76及び演出制御基板56への不正アクセスを効果的に防止することができ、セキュリティー性を向上させることが可能となる。
更に、制御基板ユニットUの直上に液晶カバー部材43が配置されており、液晶カバー部材43を取り外さない限り第1解除操作を実行することができないように構成されており、かつ押圧片65を覆うように中継基板42が配置されており、中継基板42を取り外さない限り第2解除操作を実行することができないように構成されているため、制御基板ケースの取り外し作業を更に複雑かつ困難にすることができ、セキュリティー性を効果的に高めることが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、実施の形態では、制御基板ユニットUの直上に液晶カバー部材43を配置して、液晶カバー部材43を取り外さない限り第1解除操作を実行することができないように構成されているが、変形例を概念することができる。
変形例に係る制御基板ユニットは、制御基板ユニットの右側端又は左側端を中心軸として揺動可能に構成されており、制御基板ユニットを(例えば、略90度)回転移動させることによって制御基板ユニットが液晶カバー部材の下方から移動して、第1解除操作が実行可能となる。このような変形例に係る制御基板ユニットによっても、制御基板ユニットを回転移動しない限り第1解除操作を実行することができないため、制御基板ケースの取り外し作業を複雑かつ困難にすることができ、セキュリティー性を効果的に高めることが可能となる。