以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の斜視図である。図1、2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
また、内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で後述するように内枠12の左側および右側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、図示しない樹脂ベースと、この樹脂ベースの後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
次に、図3〜図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図3は遊技盤30の構成を示す正面図であり、図4は、収容部の入口61付近を模式的に示す図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動口33、第2の始動口34(スルーゲートで構成)、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33、第2の始動口34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、図4に示すように一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、収容部の入口61が配置されている。収容部の入口61については、後に言及する。収容部の入口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
上記特別図柄表示装置38は、第1の始動口33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置41は第2の始動口34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
上記特別図柄表示装置38は2色のLED38a,38bで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。各LED38a,38bは、例えば赤色と緑色との可変表示がなされるようになっている。
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
上記普通図柄表示装置41は、普通図柄用のランプ41a,41bを備えている。この実施例では、普通図柄用のランプ41aは、例えば、装飾図柄表示装置42の表示両面の上方に設けられ、その外観形状は「○」形状となっている一方、普通図柄用のランプ41bは、ランプ41aの右上側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置41は、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えばランプ41a、41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、ランプ41a,41bが交互に光り、ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、ランプ41a,41bは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置38が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす金属板にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51および外レール52の後側端縁(遊技盤30に対向する端縁)には、所定間隔をおいて複数個所に鋲56が設けられており、内レール51および外レール52は該鋲56を打ちつけるようにして遊技盤30に取り付けられている。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)と主表示ユニット371の斜辺とにより略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図5はパチンコ機10の背面図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板(装置)、電源監視基板(装置)、及びサブ制御基板(装置)を一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板(装置)、発射制御基板(装置)及び電源基板(装置)を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更に、これに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板と、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御と音声ランプ制御とを司るサブ制御基板とを有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。この基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックス263が封印される。
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
次に、前記第2制御基板ユニット202は、払出制御基板、発射制御基板、電源基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記発射制御基板により遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われ、上記電源基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース280内に収納されており、上記電源基板は、透明樹脂材料等よりなる電源基板ケース281内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース314内に収納され、上記発射制御基板は透明樹脂材料等よりなる図示しない発射制御基板ケース内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
上記払出制御基板は状態復帰スイッチ321と電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチ388の左方には、前面枠開検出スイッチ389が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチ389からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図6を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置38は上記したように特別図柄表示ランプ38a,38bで構成されており、普通図柄表示装置41は上記したように普通図柄表示ランプ41a,41bで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
ここで、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置38で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、特別図柄表示装置38の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、特別図柄表示ランプ38a,38bの色変化(赤色・緑色の変化)や点滅等の点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動口33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、特別図柄が揃っている場合、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが同一色の点灯状態となっているときは大当たりとなり、変動表示の停止時に特別図柄が揃っていなければ、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが異色の点灯状態となっているときは、外れとなり、始動口33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動口33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、本形態では、変動表示の停止時において、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色の点灯状態であれば、特定図柄(確率変動図柄)とみなされ、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色の点灯状態であれば、非特定図柄(非確率変動図柄)とみなされる。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
次いで、普通図柄表示装置41の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、普通図柄表示ランプ41a(外観が○形状)と、普通図柄表示ランプ41b(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動口34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、表示ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置38の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置38の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置38が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せ(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で点灯する場合)によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で点灯する場合)をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置38における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、2つの表示ランプ38a,38bで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置38による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動口34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動口34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動口33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口61からの入球を収容部(図示せず)に収容し、該収容部に設けた排出部から検出センサ(図示せず)に至って検出するように構成されている。
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動入賞装置33(33a及び33b:図4参照)が設けられ、前記始動入賞装置33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記大入賞口61から収容部に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサにより検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
(特徴構成)
本パチンコ機10においては、図7ないし図34に示すように、遊技盤30の盤面を覆う前面扉として、前面枠セット14が内枠12に対し開閉自在に取り付けられている。内枠12は、前述の通りそれ自体が外枠11に開閉可能に軸支されており、したがってそれ自体が、遊技機本体側の部材である外枠11に軸支されているともいえるが、同時に、前面枠セット14を開閉可能に軸支する部材ともなっており、したがって前面枠セット14との関係においては遊技機本体側の部材となっている。換言すれば、外枠11に内枠12が軸支されるとともに内枠12に前面枠セット14が軸支されるという重層的な構造となっていて、内枠12はこの中間に位置しており、したがって内枠12は、軸支される側の部材となっているとともに、軸支する側の部材すなわち遊技機本体側の部材ともなっている。
内枠12は、図7ないし図11に示すように、前記外枠11(図7ないし図34では図示省略)に嵌入し得る正面視矩形状であって前後にやや膨出する概略形状を有し、前記下皿ユニット13が配設される下端部より上の前側部分を、前面枠セット14が構成している。
なお、内枠12の構成は前述した通りであり、図1および図2に示すようなものであるが、図7ないし図34では、明瞭化のため、前記上皿19や窓部101その他の細部は省略し、また下皿ユニット13を内枠12と一体的に表す等して、内枠12の構成および形状を大幅に簡略化・単純化している。
図8に示すように、内枠12の右下部における遊技球発射ハンドル18の上方の位置には、シリンダ錠62が前方に露出するように配設されており、パチンコ機10の正面側から操作し得るようになっている。
シリンダ錠62は、図39および図40に示すように、鍵の挿入方向すなわち前後方向に沿って円筒状に延びる本体62Bと、本体62Bの後端に直交するように上下に延出するフランジ62Fと、フランジ62Fの上下端部からそれぞれ後方へ延出する軸62Dと、各軸62Dにそれぞれ外嵌された圧縮コイルバネ62Sとを有する構成となっている。
図9および図10に示すように、内枠12の裏面部における右側端縁部(図9および図10では左側端縁部)には、内枠係合部63が配設されており、これにより内枠12が外枠11に係合して閉じた状態(閉状態)に拘束されあるいはこの閉状態を解除され得るようになっている。
内枠係合部63は、図9および図10に示すように、内枠12の裏面部における右側端縁部に沿って縦長に延びる基枠64と、基枠64にスライド可能に支持される係合片65とを有して構成されている。基枠64は、内枠12の上端近傍から中央のやや下方まで帯状に延びて内枠12の裏面に重ね合わせて固定される固定片64Fと、固定片64Fの外側縁(右側縁;図9および図10では左側縁)から垂直に延出する支持片64Sとを有して横断面L字形状となるように金属板を折曲して成形された基本構成を有する部材となっている。支持片64Sの延出端側半部は、固定片64Fの下端の位置よりもさらに下方へ延び、シリンダ錠62が配置された高さ位置より若干下方の位置が下端となっている。支持片64Sの延出端部は、全長にわたって固定片64F側(図9および図10では右側)へ横断面略U字状に折り返されて折返部が形成されている。さらに、支持片64Sにおける下端からシリンダ錠62より若干上方の高さ位置までの部分は、支持片64Sの上部と同一の幅となるように前方(図9および図10では後方)へ延びて図39および図40に示すように右側片64Rを形成し、その先端から、固定片64Fと同方向(図9および図40では右方向)へ同一幅となるように垂直に延びて中央片64Cを形成し、さらにその先端から支持片64Sと同方向(図9および図40では前方向)へ延出して左側片64Lを形成し、これら右側片64R、中央片64Cおよび左側片64Lにより全体として横断面概略コ字形状の伝達機構支持部64Tが形成されている。
伝達機構支持部64Tは、図39および図40に示すように、厳密には、支持片64Sから一旦外側(右側)へ垂直に若干延出してから、前方へ延びて右側片64Rを形成しており、一方、左側片64Lの延出端(後端)も右側へ垂直に若干延出している。即ち、伝達機構支持部64Tは、厳密には、横断面概略コ字形状の両端が互いに対向する方向に若干延出した横断面概略C字形状となっている。
係合片65は、図9および図10に示すように、基枠64の支持片64Sの長さより若干小さい長さおよび支持片64Sの幅の半分程度の幅を有するように支持片64Sに沿って上下に延びる概略帯状の基本形状を有し、下端よりやや上方の位置および上端の位置にはそれぞれ、後側縁から後方へ側面視概略鋭角に先細りする形状に延出するフック65Hが形成された金属板よりなる部材となっている。図35ないし図38等によく表れているように、上下各フック65Hにおける上側縁の基端部には、内側(下側)へ矩形状に凹入する鉤部65Eが形成されている。さらに、図39および図40に示すように、係合片65の下端と下側のフック65Hとの間には、前側縁から矩形状に凹入する係合切欠65Rが形成されている。
図9および図10に示すように、基枠64の支持片64Sにおける前側端縁部すなわち折返端縁部の下端よりやや上方の位置および上端の位置にはそれぞれ、係合片65のフック65Hの上下幅よりやや長く上下に延びるスリットが形成されており、係合片65は、上下各フック65Hを上下各スリットから後方へ突出させるようにして、支持片64Sの折返部内に嵌入されている。支持片64Sの下端部および上端近傍部にはそれぞれ、支持片64Sに局部的にコ字状に切り込みを入れて垂直に引き起こすようにして複数の掛止片が形成されており、これら掛止片により係合片65の前側縁が掛止されて前方への移動が規制されている。これにより、係合片65が、上下にスライド可能に支持片64Sに支持されている。図9に示すように、係合片65の上端よりやや下方と、基枠64における固定片64Fの上端部との間には引っ張りコイルバネ66が懸架されており、これにより係合片65が上方に引っ張られるように付勢されている。外枠11の右側片における内側面の上下には、係合片65の上下各フック65Hに対応する位置に受け金具がそれぞれ固定されており(図示せず)、外枠11に対して内枠12を閉じていくと、上下各フック65Hの斜線状の上側縁が受け金具に当接してカム状に機能し、引っ張りコイルバネ66の付勢力に抗して係合片65が次第に引き下げられていき、各フック65Hの鉤部65Eが受け金具の位置に到達すると、係合片65が引っ張りコイルバネ66の付勢力により再び上方に引き上げられ、各フック65Hの鉤部65Eが受け金具に係合して、これにより外枠11に対して内枠12が閉じた状態に拘束される。
図40に示すように、シリンダ錠62のフランジ62Fの中央からは、鍵の操作により回転する回転軸62Rが後方(図40では前方)へ突出し、回転軸62Rの先端には、短尺の円筒状の回転子67が同軸となるように固定されている。回転子67の後端からは、軸方向に直交するように上方へ概略台形状に拡がる形状の係合突片67Eが延出している。基枠64の伝達機構支持部64Tにおける中央片64Cの中央部には、回転子67より僅かに大径の円形孔64Pが穿設されており、この円形孔64Pに回転子67が挿通されて回転自在にかつ前後に移動自在に保持されている。また、伝達機構支持部64Tの中央片64Cにおける円形孔64Pの上方および下方にはそれぞれ軸挿通孔が穿設されており、各軸挿通孔にシリンダ錠62の上下の軸62Dがそれぞれ挿通され、各軸挿通孔から後方へ突出した軸62Dの先端にナット62Nがそれぞれ固定されている。伝達機構支持部64Tの中央片64Cとシリンダ錠62のフランジ62Fとの間には圧縮コイルバネ62Sがあってシリンダ錠62を前方へ付勢するが、軸62Dの先端のナット62Nにより、シリンダ錠62が限度以上に前方へ移動しないように、即ち伝達機構支持部64Tから離脱しないように規制される。この構造により、シリンダ錠62は通常、ナット62Nによる規制範囲内で圧縮コイルバネ62Sの付勢力により最大限に前方へ移動した状態で保持されるようになっている。
基枠64の伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lおよび右側片64Rの内側には、左側スライダ68Lおよび右側スライダ68Rが嵌装されている。左側スライダ68Lは、伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの幅より若干小さい幅を有して上下に帯状に延びる金属板よりなる部材となっている。左側スライダ68Lの上端部は右方へ直角に折曲されてフック片681Lが形成され、フック片681Lの先端縁部は僅かな幅だけ下方に直角に折曲されており、またフック片681Lの先端縁中央付近から基端縁(左側端縁)近傍まで内側(左側)へ延びるスリットが形成されている。左側スライダ68Lの高さ方向中央部には、後側縁から縦長の矩形状に凹入する掛止切欠682Lが形成されている。右側スライダ68Rは、左側スライダ68Lと左右対称に構成されており、同様のフック片681Rおよび掛止切欠682Rが形成されている。
基枠64の伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの高さ方向中央部には、後側縁から縦長の矩形状に凹入する矩形切欠641Lが形成され、矩形切欠641Lの内奥縁(前側縁)の上端部には、後方へ延出して内側(右側)へ平面視略U字状に折り返されて前方へ延びる掛止小片642Lが形成されている。図38に示すように、左側スライダ68Lは、フック片681Lを右側(図38では左側)へ向けた体勢で伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの内側に嵌入される。このとき、伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの延出端(後端)が前述の通り右側へ若干延出しており、この延出部により、左側スライダ68Lの後側縁が支承される。また、上述のように左側スライダ68Lを伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの内側に嵌入した状態で、左側スライダ68Lにおける掛止切欠682Lの内奥縁(前側縁)を内側に挟み込むようにして、伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの掛止小片642Lが平面視略U字状に折り返され、これにより掛止小片642Lが掛止切欠682Lの内奥縁(前側縁)に掛止する。こうして、左側スライダ68Lが伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの内側に上下にスライド自在に保持され、このとき、左側スライダ68Lにおける掛止切欠682Lの上側縁および下側縁に、伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの掛止小片642Lが当接し、左側スライダ68Lのそれ以上の下方および上方への移動が規制される。即ち、伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの掛止小片642Lが、当該左側片64Lの内側に左側スライダ68Lを保持するとともに、左側スライダ68Lの上下の移動限界を規定するストッパとしても機能するようになっている。
右側スライダ68Rは、左側スライダ68Lと左右対称の体勢で、伝達機構支持部64Tにおける右側片64Rの内側に嵌入される。このとき、右側片64Rの後端は、左方へ若干延出して支持片64Sに連続しており、この延出部により、右側スライダ68Rの後側縁が支承される。また、右側スライダ68Rには、掛止部材69が装着される。掛止部材69は、図39および図40に示すように、それぞれ上下に帯状に延びる右側板と左側板とが、前後方向に平行な体勢(伝達機構支持部64Tにおける右側片64Rに平行な体勢)で、若干間隔をおいて対向配置され、右側板および左側板の後側端縁の上端部同士が後方へやや延出して平面視略U字形状をなして一体的に連続し、これにより折返連絡部69Fが形成された構成となっている。また、右側板の前側端縁の上端部は外側(右側)へ直角に延出して掛止片69Eが形成され、左側板の前側端縁の下端部は外側(左側)へ直角に延出して矩形状の接合片69Cが形成されている。掛止部材69は、図36ないし図38に示すように、右側スライダ68Rにおける掛止切欠682Rの内奥縁(前側縁)に折返連絡部69Fを掛止させつつ、右側板と左側板との間に右側スライダ68Rを挟み込むようにして装着される。一方、図39および図40に示すように、伝達機構支持部64Tの中央片64Cにおける円形孔64Pの右上方には、右側片64Rに隣接するようにして、矩形の掛止小孔64Dが穿設されている。右側スライダ68Rは、上述のようにして掛止部材69を装着した状態で、伝達機構支持部64Tにおける右側片64Rの内側に嵌入され、掛止部材69の掛止片69Eが伝達機構支持部64Tの掛止小孔64Dに挿入されて掛止されるとともに、掛止部材69の接合片69Cが伝達機構支持部64Tにおける中央片64Cの内側面に溶接、ネジ止め等により接合され、これにより掛止部材69が伝達機構支持部64Tに固定される。こうして、右側スライダ68Rが伝達機構支持部64Tにおける右側片64Rの内側に上下にスライド自在に保持され、このとき、右側スライダ68Rにおける掛止切欠682Rの上側縁および下側縁に、掛止部材69の折返連絡部69Fが当接し、右側スライダ68Rのそれ以上の下方および上方への移動が規制される。即ち、掛止部材69の折返連絡部69Fが、上述の伝達機構支持部64Tにおける左側片64Lの掛止小片642Lの場合と同様に、当該右側片64Rの内側に右側スライダ68Rを保持するとともに、右側スライダ68Rの上下の移動限界を規定するストッパとしても機能するようになっている。
図9および図10に示すように、内枠12の右上、右下、左上および左下の各隅部には、右上軸支部70A、右下軸支部70B、左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dがそれぞれ配設されており、これにより前面枠セット14が内枠12に軸支されるようになっている。
右上軸支部70Aは、図46および図47に示すように、内枠12側に配設される軸受側機構71Rと、前面枠セット14側に配設される軸側機構71Sとを備える基本構成となっている。軸受側機構71Rは、可動部材72が基材73に保持された構成を有している。可動部材72は、図41および図45に示すように、水平に配置され、垂直方向に貫通する軸挿通孔を有する平板状の基部72Bから、前方へ作動片72Fが延出し、左方へレバー片72Lが延出した構成となっている。作動片72Fの先端近傍には、図45に示すように、右側縁から平面視半円状に凹入する軸嵌合切欠72Rが形成され、図41に示すように、軸嵌合切欠72Rより基端側(基部72B側)には、作動片72Fの右側縁から、厚さ方向に一段下方へ下がってから右方へ延出し、さらにその先端から前方へ延出する押圧片72Pが形成されている。押圧片72Pの前端縁は、軸嵌合切欠72Rの基端側(基部72B側)端の位置から、軸嵌合切欠72Rの円周方向よりも外側へ次第に拡がる弧状をなすように延びている。即ち、軸嵌合切欠72Rの基端側(基部72B側)端の位置から、軸嵌合切欠72Rの径より大径の円弧形状をなすように押圧片72Pの前端縁が延びている。レバー片72Lの先端部は後方へ延出してすぐ上方へ立ち上がるように延出し、さらにその右端が右方へ延出して、これによりレバー片72Lに対し垂直であってレバー片72Lの後側縁に沿って基端側(基部72B側)へ折り返すように延びる掛止片72Eが形成されている。掛止片72Eの下端縁中央部には、矩形状に凹入する切欠が形成されている。
基材73は、可動部材72の基部72Bおよびレバー片72Lに対応する左右方向の長さおよび前後方向の幅を有して水平に拡がる基部73Bを備え、基部73Bの右端部からは、前方へ固定作動片73Fが延出している。固定作動片73Fの先端近傍には、左側縁から平面視半円状に凹入する軸嵌合切欠73Rが形成されている。基部73Bの右端部には、垂直方向に貫通する軸挿通孔が穿設されている。基部73Bにおける後側縁の右側半部からは、上方へ矩形状の接合片73Cが延出し、接合片73Cの4隅部にはネジ挿通孔が穿設されている。基部73Bにおける後側縁の左側半部は、接合片73Cよりもやや後方まで延出し、その延出端縁の両端部から、側面視概略コ字状をなして後方へ膨出してから上方へやや延びる挟持片73Pがそれぞれ延出している。基部73Bの上には、可動部材72の基部72Bおよびレバー片72Lが載置され、この状態で軸挿通孔にリベットが挿通されて固定され、これにより可動部材72が基材73に回動可能に支持される。
図48および図49に示すように、内枠12の右上の隅部における上端よりやや下方の位置には、右端近傍から内側(左側)へ横長に延びる貫通部12Pが穿設されており、可動部材72および基材73は、作動片72Fおよび固定作動片73Fと、基部72B、73Bおよびレバー片72Lの前側部を貫通部12Pに挿通するようにして、内枠12の右上の隅部に後方から嵌着され、内枠12の後側面における貫通部12Pの上方に、基材73の接合片73Cがネジ止めにより接合されて固定される。図48に示すように、貫通部12Pの左側半部は、前方へ直方体状に膨出する突出部12Eが形成されており、可動部材72および基材73における作動片72Fより左側の半部が突出部12Eにより前方から覆われるようになっている。また、図49に示すように、貫通部12Pの左側半部(図49では右側半部)は上方へやや幅広となっている。
図48および図49に示すように、基材73の接合片73Cの直下には、矩形状の垂直片の下端から矩形状の水平片が後方へ延出するブラケット74Aが配置され、内枠12の後側面における貫通部12Pの下方に垂直片が接合されて固定される。ブラケット74Aの水平片における後側縁の中央部には、内側(前側)へ凹入する切欠が形成されている。ブラケット74Aと基材73との間には可撓性を有するチューブ75Aが架設されている。チューブ75Aの両端には、2つのフランジ部が間隔をおいて形成された構成を有する端部材75Eが固定されており、一方の端部材75Eが両フランジ部の間でブラケット74Aの切欠に嵌入され、これより上方に延びたチューブ75Aの上部が左上方へ曲げられて先端が前方へ向けられ、他方の端部材75Eが両フランジ部の間で基材73の両挟持片73Pの間に嵌入されている。
チューブ75Aには第1ワイア76Aが下方から挿通され、第1ワイア76Aの先端部は可動部材72における掛止片72Eの切欠に挿通され、その先端には短尺の円柱状の留具77が固定されており、これにより第1ワイア76Aの先端が可動部材72の掛止片72Eに掛止するようになっている。可動部材72の掛止片72Eとチューブ75Aの一方の端部材75Eとの間では、第1ワイア76Aに圧縮コイルバネ78が外嵌されており、これにより可動部材72が上面視反時計回り方向に付勢されている。このように可動部材72が圧縮コイルバネ78で付勢されることにより、図45に示すように、可動部材72の作動片72Fと基材73の固定作動片73Fとが通常は合わさって閉じた体勢に保持されており、これにともない、可動部材72の軸嵌合切欠72Rと基材73の軸嵌合切欠73Rとが一体となって円形の軸挿通孔を構成している。また、可動部材72の作動片72Fおよび基材73の固定作動片73Fはそれぞれ、先端が平面視において丸く先細りするように形成されており、したがって上記のようにこれら作動片72Fと固定作動片73Fとが閉じた体勢においては、これらの先端部が一体となって、両側から中央にかけて内側(後側)へ平面視概略谷状に凹入する形状をなしている。
軸側機構71Sは、図42、図44、図46および図47に示すように、ケーシング81と前面枠セット14との間に可動軸部材82が移動可能に保持された構成となっている。ケーシング81は、図46および図47に示すように、正面視概略横長の矩形状で前後方向の寸法がやや小さい直方体(即ち正面視概略横長の矩形状で前後方向にやや厚みのある平板)状であって、前側面が全面的に開放された中空形状を有している。上側壁、左側壁および下側壁における4箇所の端部(右上、左上、左下および右下の各端部)はそれぞれ、断面弧状で前後に延びるように内側へ凹入し、その前端面が壁で閉塞されてネジ挿通孔が穿設され、これによりネジ挿通部81Sが形成されている。右上および左上の両ネジ挿通部81Sの間の上側壁には、概略横長の長方形の右下および左下の隅部が丸く角落ちした断面形状で前後に延びる台形状となるように内側へ凹入する充填部81Fが形成されている。充填部81Fの前面はケーシング81の前側端の位置よりも若干内側(後側)に後退した位置にあって閉塞されており、充填部81Fの後端はケーシング81の後側壁に突き当たって一体的に連続している。また、ケーシング81の上側壁からの充填部81Fの凹入深さは両側のネジ挿通部81Sの凹入深さと同一となっている。一方、左下および右下の両ネジ挿通部81Sの間の下側壁には、上記充填部81Fと上下対称となるように充填部81Fが形成されている。ケーシング81の右側壁における前側端縁の中央部から、後側壁の中央部にかけて、同一幅で横断面L字状に延びる動作用切欠81Pが形成されている。
可動軸部材82は、正面視概略矩形状であって右側縁中央部が内側へ概略矩形状に凹入して全体として正面視概略C字形状をなす板状部材82Bを有し、板状部材82Bの右上部および右下部において右方へ延びる両片の先端部が、それぞれ前側で左方へ巻回するようにして円柱状に形成され、これら両円柱状部の中心に、回転軸82Sの両端部が巻き込むようにして固定された構成となっている。
可動軸部材82は、支持部材83に固定される。支持部材83は、正面視概略矩形状であって前後方向の寸法がやや小さい概略ブロック(直方体)状体の右側縁中央部が内側へ概略矩形状に凹入し、全体として、可動軸部材82における円柱状部以外の部位にほぼ対応する正面視概略C字形状の部材となっている。支持部材83の後上側端縁および後下側端縁はそれぞれ上方および下方へやや延出して突条83Rが形成されている。支持部材83の高さ方向中央部には、前側面から縦断面矩形状に内側(後側)へ凹入し、左側面から中央近傍まで水平に延びる溝部83Gが形成されている。支持部材83の後側面における4隅部にはそれぞれネジ穴が形成され、右上および左上の両ネジ穴の間ならびに右下および左下の両ネジ穴の間にはそれぞれボスが突設されている。可動軸部材82の板状部材82Bには、支持部材83のネジ穴およびボスに対応する位置にそれぞれネジ挿通孔およびボス孔が穿設されており、ボス孔にボスを挿入して位置決めし、ネジ挿通孔を通してネジ穴にネジ84を螺入することにより、可動軸部材82が支持部材83にネジ固定される。
前面枠セット14における右後上の隅部は直方体状に切り欠くようにして機構収容部14Hが形成されている。さらに、図47に示すように、機構収容部14Hの前後方向における内奥面部すなわち前側面部(図47では後側面部)には、この内奥面部より小さい高さおよび幅の矩形状の正面形状を有して内側(前側)に概略直方体状に凹入する支持部材収容凹部14Rが形成されている。支持部材収容凹部14R内の右前上および右前下の隅部にはそれぞれ、直方体状の規制突起部14Pが形成されている。支持部材収容凹部14Rの右側壁の中央部は前端から後端まで貫通するように切り欠かれている。機構収容部14Hの内奥面部において、支持部材収容凹部14Rの上方および下方における左端近傍および右端近傍にはそれぞれネジ穴が形成されている。
支持部材収容凹部14Rには、可動軸部材82が固定された支持部材83が嵌入され、さらに該可動軸部材82および支持部材83を後方から覆うようしてケーシング81が配置され、ネジ挿通部81Sを通して機構収容部14Hの内奥面部のネジ穴にそれぞれネジ85が螺入されて固定される。このとき、前述の通りケーシング81における充填部81Fの前面はケーシング81の前側端の位置よりも若干内側(後側)に後退するように形成されているので、ケーシング81が機構収容部14Hに取り付けられた状態で、該充填部81Fの前面と機構収容部14Hの内奥面との間には間隙が形成され、この間隙に支持部材83の突条83Rが挟まれるようにして支持され、これにより、可動軸部材82が固定された支持部材83がケーシング81と機構収容部14Hとの間に左右方向にスライド可能に保持される。またこのとき、支持部材83は、溝部83G内に圧縮コイルバネ86を左右に向けた体勢で嵌入するようにして取り付けられ、これにより、機構収容部14Hの左側面に対して支持部材83が右方へ付勢されるようになっている。
図9および図10に示すように、左上軸支部70Cは、右上軸支部70Aと左右対称となるように構成され、右下軸支部70Bは、右上軸支部70Aと基本的に同様に構成されており、このため左上軸支部70Cおよび右下軸支部70Bの説明は省略する。ただし、右下軸支部70Bにおいては、図39および図40に示すように、ブラケット74Bの水平片に左右2つの切欠が形成され、左側の切欠には、前記右上軸支部70Aのチューブ75Aと同様の構成を有するチューブ75Bが同様の構造で配設されて第2ワイア76Bが挿通されているが、右側の切欠には、前記右上軸支部70Aにおけるチューブ75Aの端部材75Eと同様の構成を有する案内部材87が嵌入され、前記右上軸支部70Aの第1ワイア76Aが挿通されている。左下軸支部70Dは、右下軸支部70Bと左右対称となるように構成されており、このためその説明は省略する。
図39および図40に示すように、前記右側スライダ68Rの直上には軸方向を前後に向けた第1右側滑車88Aが軸支されており、第1ワイア76Aは該第1右側滑車88Aに案内されて右側スライダ68Rにおけるフック片681Rのスリットに挿通され、その先端には留具が固定されていてフック片681Rの内側面(下側面)に掛止している。第2ワイア76Bは、滑車に案内されることなく、右側スライダ68Rにおけるフック片681Rのスリットに挿通され、先端に固定された留具によりフック片681Rの内側面(下側面)に掛止している。
図12、図13等に示すように、左側スライダ68Lにおけるフック片681Lの直上および左方(図12および図13では右方)には、第1右側滑車88Aと同様にして第4右側滑車88Dおよび第3右側滑車88Cがそれぞれ軸支され、内枠12の後側面における左下軸支部70Dの下方には、第4右側滑車88Dおよび第3右側滑車88Cとそれぞれ等しい高さ位置であって互いに右上および左下の斜方に並び合う2箇所に、第4左側滑車89Dおよび第3左側滑車89Cがそれぞれ軸支されている。第3ワイア76Cおよび第4ワイア76Dが、一方端を前記第1ワイア76Aおよび第2ワイア76Bの場合と同様にして左側スライダ68Lにおけるフック片681Lに掛止させ、第3右側滑車88Cおよび第4右側滑車88Dにそれぞれ案内されて左方へ延び、第3左側滑車89Cおよび第4左側滑車89Dにそれぞれ案内されて上方へ延びて、他方端をそれぞれ前記第1ワイア76Aおよび第2ワイア76Bの場合と同様にして左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dに固定されている。
以上の構成においては、シリンダ錠62、回転子67等を含んで構成される操作機構(鍵操作機構)と、右側および左側スライダ68R、68L、第1ないし第4ワイア76A〜76D、第1、第3および第4右側滑車88A、88C、88D、第3および第4左側滑車89C、89D等を含んで構成される伝達機構と、可動部材72、基材73、回転軸82S等を含んで構成される軸支機構とが、この順に連動し得るように連結(リンク)され、操作機構(鍵操作機構)の操作による動力が、伝達機構を介して伝達されて軸支機構における軸支状態が解除されるように駆動される構成となっている。
以下、内枠12および前面枠セット14の開閉操作を順次説明する。
A.閉状態
前述の通り、外枠11に対して内枠12を閉じると、これにともなって係合片65のフック65Hが外枠11の受け金具に係合し、これにより外枠11に対して内枠12が閉じた状態に拘束される。一方、内枠12に前面枠セット14を嵌め込むと、右上軸支部70A、右下軸支部70B、左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dにより、内枠12に対して前面枠セット14が閉じた状態に拘束される。
具体的には、右上軸支部70Aの場合を代表例としていうと、図45に示すように、内枠12側の軸受側機構71Rにおける可動部材72の作動片72Fと基材73の固定作動片73Fとが、前述の通り、圧縮コイルバネ78の付勢力によって通常は合わさって閉じた体勢に保持されており、この閉じた体勢においては、作動片72Fと固定作動片73Fとの先端部が一体となって、両側から中央にかけて内側(後側)へ平面視概略谷状に凹入する形状をなしているのであるが、これに対して前面枠セット14側の軸側機構71Sを図45の矢印A11に示すように嵌め込んでいくと、可動軸部材82の回転軸82Sが上記作動片72Fと固定作動片73Fとの凹入形状部に入り込み、圧縮コイルバネ78の付勢力に抗して作動片72Fを押し広げながら進入していく。回転軸82Sが可動部材72の軸嵌合切欠72Rおよび基材73の軸嵌合切欠73Rの位置まで達してこれら軸嵌合切欠72R、73Rに嵌合すると、圧縮コイルバネ78の付勢力により作動片72Fが再び固定作動片73Fと合わさって閉じた体勢に復帰する。これにより、可動部材72の軸嵌合切欠72Rと基材73の軸嵌合切欠73Rとにより回転軸82Sが包囲された体勢となり、圧縮コイルバネ78の付勢力によってこの体勢に保持される。即ち、圧縮コイルバネ78の付勢力によって可動部材72の軸嵌合切欠72Rと基材73の軸嵌合切欠73Rとが一体となって円形の軸挿通孔を形成した体勢に保持され、この軸挿通孔に回転軸82Sが軸支された体勢で保持される。右下軸支部70B、左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dにおいても、それぞれ右上軸支部70Aの場合と同様にして軸挿通孔に回転軸が軸支された体勢で保持され、これにより、図7ないし図13に示すように前面枠セット14が4隅部で内枠12に軸支されて閉じた状態に拘束される。
B.内枠の開放
上述のように内枠12および前面枠セット14のいずれも閉じた状態あるいは後述の操作により前面枠セット14のみ開放した状態、即ち前面枠セット14の開閉状態を問わず内枠12を外枠11に対して閉じた状態で、図35に示すように、シリンダ錠62に鍵K1を挿入し、矢印A12で示すように圧縮コイルバネ62Sの付勢力に抗してシリンダ錠62を後方へ押し込みながら、図36に矢印A13で示すように、鍵K1を時計回り方向(図36では反時計回り方向)に回転させる。これにより、回転子67が後方へ押し込まれた位置で時計回り方向に回転し、これにともなって、係合突片67Eが係合片65の係合切欠65Rに係合して同図に矢印A14で示すように該係合切欠65Rを押し下げ、これにより図14ないし図20に示すように係合片65が引っ張りコイルバネ66の付勢力に抗して押し下げられる。こうして係合片65が押し下げられると、各フック65Hの鉤部65Eが受け金具から下方へ外れ、これにより、外枠11に対して内枠12が閉じた状態が解除されるので、内枠12の右側部を手前に引くようにして開放することができる。
C.前面枠セットの左開き
上述のように内枠12および前面枠セット14のいずれも閉じた状態あるいは内枠12のみ開放した状態、即ち内枠12の開閉状態を問わず前面枠セット14を内枠12に対して閉じた状態で、図37に示すように、シリンダ錠62に鍵K1を挿入し、シリンダ錠62を押し込まずに圧縮コイルバネ62Sの付勢力により前方へ押し出された状態としたまま、図38に矢印A15で示すように、鍵K1を時計回り方向(図38では反時計回り方向)に回転させる。これにより、回転子67が後方へ押し込まれていない前方の位置で時計回り方向に回転し、これにともなって、係合突片67Eが右側スライダ68Rの掛止切欠682Rに係合して同図に矢印A16で示すように該掛止切欠682Rを押し下げ、これにより図26および図27に示すように右側スライダ68Rが押し下げられる。
右側スライダ68Rが押し下げられると、フック片681Rに掛止している第1ワイア76Aおよび第2ワイア76Bがともに引き下げられる。第1ワイア76Aが引き下げられると、図43および図44に示すように、該第1ワイア76Aの先端に掛止している掛止片72Eが圧縮コイルバネ78の付勢力に抗して後方へ引かれ、これにより可動部材72が同図に矢印A17で示すように平面視時計回り方向に回動する。可動部材72がこうして回動すると、作動片72Fが基材73の固定作動片73Fから離れ拡開するように回動するが、この回動にともない、可動部材72における押圧片72Pの前端縁が回転軸82Sに突き当たり、同図に矢印A18で示すように圧縮コイルバネ86の付勢力に抗して該回転軸82Sを固定作動片73Fから離れるように左方へやや押しのける。これにより、回転軸82Sは基材73の軸嵌合切欠73Rから脱離し、一方、押圧片72Pの前端縁は、前述の通り可動部材72における軸嵌合切欠72Rの基端側(基部72B側)端の位置から、軸嵌合切欠72Rの円周方向よりも外側へ次第に拡がる形状となっているので、上述のように可動部材72が回動すると、作動片72Fの先端部と押圧片72Pの前端縁との間の間隙が、前方へ向けて開けるような体勢となり、したがって回転軸82Sが前方への移動を拘束されない状態(以下、「非拘束状態」とも称す)となる。他方、これと同時に、第2ワイア76Bが引き下げられることによって、右下軸支部70Bにおいても同様にして非拘束状態となる。
上述のようにして右上軸支部70Aおよび右下軸支部70Bにおいて非拘束状態となる一方で、左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dにおいては引き続き回転軸が軸支された体勢で拘束されているので、この状態で前面枠セット14の右側部を手前に引くようにすると、図21ないし図25に示すように左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dの回転軸まわりに前面枠セット14を開き戸状に左方へ開放すること(本明細書では「左開き」とも称す)が可能となる。同図に示すように、前面枠セット14を左方へ約90°回動させると、その左側面が内枠12に突き当たり、これ以上の回動は困難となる。即ち、前面枠セット14を左方へ約90°回動させた位置が左方への開放限界位置となっている。
D.前面枠セットの右開き
上述のように内枠12および前面枠セット14のいずれも閉じた状態あるいは内枠12のみ開放した状態、即ち内枠12の開閉状態を問わず前面枠セット14を内枠12に対して閉じた状態で、図37に示すように、シリンダ錠62に鍵K1を挿入し、シリンダ錠62を押し込まずに圧縮コイルバネ62Sの付勢力により前方へ押し出された状態としたまま、図38に矢印A19で示すように、鍵K1を反時計回り方向(図38では時計回り方向)に回転させる。これにより、回転子67が後方へ押し込まれていない前方の位置で反時計回り方向に回転し、これにともなって、係合突片67Eが左側スライダ68Lの掛止切欠682Lに係合して同図に矢印A20で示すように該掛止切欠682Lを押し下げ、これにより図33および図34に示すように左側スライダ68Lが押し下げられる。
左側スライダ68Lが押し下げられると、フック片681Lに掛止している第3ワイア76Cおよび第4ワイア76Dがともに引き下げられ、これにともない、上述の右上軸支部70Aおよび右下軸支部70Bが非拘束状態となる場合と同様にして、左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dが駆動されて非拘束状態となる。一方、右上軸支部70Aおよび右下軸支部70Bにおいては引き続き回転軸が軸支された体勢で拘束されているので、この状態で前面枠セット14の左側部を手前に引くようにすると、図28ないし図32に示すように右上軸支部70Aおよび右下軸支部70Bの回転軸まわりに前面枠セット14を開き戸状に右方へ開放すること(本明細書では「右開き」とも称す)が可能となる。同図に示すように、前面枠セット14を右方へ約90°回動させると、その右側面が内枠12に突き当たり、これ以上の回動は困難となる。即ち、前面枠セット14を右方へ約90°回動させた位置が右方への開放限界位置となっている。
以上のようにして、内枠12および前面枠セット14のいずれも、それぞれ外枠11および内枠12に対して押し込むようにして容易に閉じた状態に拘束することができ、一方、シリンダ錠62を押し込みながら鍵K1で回転させる、シリンダ錠62を押し込まずに鍵K1で時計回り方向に回転させる、ならびにシリンダ錠62を押し込まずに鍵K1で反時計回り方向に回転させる、という3通りの操作により、内枠12の開放、前面枠セットの左開きおよび前面枠セットの右開きという3通りの開放を容易に行うことができる。
上記構成においては、内枠12の右上、右下、左上および左下の各隅部に、右上軸支部70A、右下軸支部70B、左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dがそれぞれ配設され、右上軸支部70Aおよび右下軸支部70Bを右側の一組とし、左上軸支部70Cおよび左下軸支部70Dを左側の一組とし、これらニ組を一対として、例えば右上軸支部70Aおよび右下軸支部70Bを選択的に非拘束状態とするといったように、左右一対のうちのいずれかの組ごとにまとめて(上下揃って)開放操作がなされるように構成されている。
また、上記構成によれば、前面枠セット14は、上記左右一対のうちのいずれかの組の軸支部を非拘束状態として開放した状態、即ち左開きまたは右開きとした状態で、軸支状態にある組の軸支部をさらに開放操作して非拘束状態とすることにより、前面枠セット14を内枠12から容易に取り外すこともできる。
ここで、前面枠セット14は、上述の通りシリンダ錠62を押し込まずに鍵K1で時計回り方向に回転させるか反時計回り方向に回転させるかによって、左開きとするかも右開きとするかも自在に選択することが可能となっている(本明細書においては、このようにいずれの方向へも自在に選択的に開放可能な方式を「二様開き」とも称す)が、本パチンコ機10においては、このような二様開きの構成に好適な構造で、前面枠セット14とパチンコ機10本体とを電気的に接続するようにしている。以下、この接続構造について説明する。
図21ないし図24ならびに図28ないし図31に示すように、内枠12と前面枠セット14との間には、配線ガイド90が架設されている。配線ガイド90は、図50および図51に示すように、第1部材91と第2部材92とを連結して構成されている。
第1部材91は、横方向に帯状に長く延び、幅方向が上下方向に一致するように起立した板状片よりなる本体91Bと、本体91Bの一方端から他方端近傍まで帯状に延び、幅方向が水平方向に一致するように横臥した体勢で本体91Bの上端縁に幅方向中央部で一体的に接合した板状片よりなるリブ91Rとを有し、全体として断面T字形状をなして横方向に延びる樹脂よりなる部材となっている。リブ91Rは、本体91Bの一方端よりやや内側の位置で本体91Bの幅方向(高さ方向)中央部に向かって直角に折れ曲がり、本体91Bを両側から挟むようにして下方へ延び、本体91Bの幅方向(高さ方向)中央部で本体91Bの一方端に向かって直角に折れ曲がって延びている。即ち、この折れ曲がった位置から本体91Bの先端まで、本体91Bとリブ91Rとが断面十字状に交差して延びる形状となっている。本体91Bおよびリブ91Rの先端には、軸受部91Cが一体的に形成されている。軸受部91Cは、本体91Bの幅(高さ)と同一の長さで上下に延びる円筒状体の本体91Bと反対側(図50では右側)の周面が長さ方向に帯状に欠落するようにして横断面C字形状をなして上下に延びる形状を有し、さらにその先端の開放部における両端縁が先端側へやや拡開しながらそれぞれ方形の片状に延出する構成となっている。また、本体91Bにおいて、上端縁に沿って延びるリブ91Rが上述のように本体91Bの幅方向(高さ方向)中央部に向かって直角に折れ曲がる部分の内側の位置から、リブ91Rの他方端近傍の位置まで、等間隔をおいて複数箇所(4箇所)に、それぞれリブ91Rの下面に沿って横長の長方形状に延びる形状をなして本体91Bを厚さ方向に貫通する掛止孔91Pが穿設されている。また、本体91Bの他方端部(軸受部91C形成側端部と反対側の端部)には、軸部91Sが一体的に形成されている。軸部91Sは、本体91Bの他方端部における上下端縁を上下両側から挟むようにして、上下に平行に並置された2枚の長円形状を有する板状体の一方端部が配置形成され、両板状体の他方端部の間に、回動軸(図示せず)が一体的に形成された構成となっている。
第2部材92は、第1部材91と同一の寸法および形状を有し同一の樹脂よりなる部材となっており、第1部材91の場合と同様の本体92B、リブ92R、軸受部92C、掛止孔92Pおよび軸部92Sを有する構成となっている。このため、第2部材92についてこれ以上の説明は省略する。
第1部材91の軸受部91Cには、第2部材92の軸部92Sの回動軸が圧入されて軸支され、これにより第1部材91と第2部材92とが上下方向の軸まわりに回動自在に連結されて配線ガイド90が構成されている。
図22および図28に示すように、内枠12の前面における上端部中央には本体側軸受部12Cが、前面枠セット14の後面における上端部中央には前面扉側軸部部材14Sが、それぞれ配設されている。本体側軸受部12Cは、図50および図51に示すように、第1部材91の本体91Bの幅(高さ)と同一の厚さ(高さ)を有し、平面視先端が円弧状の略U字形状をなして内枠12の前面から前方へ突出するように形成されている。本体側軸受部12Cの先端部に、第1部材91の軸部91Sの回動軸(図示せず)が挿通されて回動自在に軸支されるようになっている。本体側軸受部12Cの上方には、本体側軸受部12Cの先端近傍の位置まで、横長の直方体形状をなして突出する開閉検出スイッチ12Sが突設されている。該開閉検出スイッチ12Sは、後方へ押圧すると内枠12内に没入し得るように構成されており、前面枠セット14の開閉を検出するスイッチとして機能するものとなっている。このように前面枠セット14の開閉を検出する開閉検出スイッチ12Sが内枠12の前面における上端部中央に配設されていることにより、前面枠セット14を左開きとした場合にも右開きとした場合にも同じタイミングでオンオフがなされるようになっている。前面扉側軸部部材14Sは、第2部材92の本体92Bの幅(高さ)と同一の間隔をおいて形成された上壁部と下壁部との間に回動軸(図示せず)が架設され、右側および左側には、前後方向に軸を有する円筒形状であって内部にネジ挿通孔を有するネジ挿通部がそれぞれ一体的に形成された構成を有する部材となっている。前面枠セット14の上端部には、図22および図28に示すように、右上軸支部70Aにすぐ隣接する位置から左上軸支部70Cにすぐ隣接する位置まで、上端縁に沿って溝状に横長に延びる形状をなして後面から凹入する凹入部14Nが形成されており、前面扉側軸部部材14Sは該凹入部14Nの中央部に嵌入され、ネジ挿通部でネジ固定されている。前面扉側軸部部材14Sの回動軸(図示せず)は、第2部材92の軸受部92Cに圧入され、これにより該軸受部92Cが前面扉側軸部部材14Sに回動自在に軸支されるようになっている。
配線ガイド90の全長は、前面枠セット14が左方ないし右方への開放限界位置すなわち左方ないし右方へ約90°回動した位置にあるときの本体側軸受部12Cと前面扉側軸部部材14Sとの間の距離よりも、若干大きくなるように設定されている。これにより、図21ないし図24ならびに図28ないし図31に示すように、前面枠セット14が左方ないし右方への開放限界位置にあるとき、配線ガイド90が、その中央部すなわち第1部材91の軸受部91Cと第2部材92の軸部92Sとの連結部で若干だけ平面視略く字状に一方側(本実施形態では左側)へ角が突き出るように屈曲した体勢に保持されるようになっている。これによって、左方ないし右方への開放限界位置から前面枠セット14を閉じる際に、これにともなって配線ガイド90が確実かつスムーズに屈曲を進行させるようになっている。即ち、配線ガイド90がステーとなってつかえることにより前面枠セット14の回動を阻止するといった不具合が生じ難いようになっている。なおこの構成においては、前面枠セット14を右開きにするか左開きにするかを問わず配線ガイド90が常に大なり小なり一方側(本実施形態では左側)へ屈曲した体勢となるが、右側および左側のいずれの側へ屈曲させるようにしてもよい。
前面枠セット14をさらに閉じていくと、これにともなって配線ガイド90もさらに屈曲していき、前面枠セット14を最後まで閉じると、配線ガイド90は二つ折りに折り畳まれた体勢となって、内枠12と前面枠セット14との間、具体的には前面枠セット14の凹入部14N内に収納される。
配線ガイド90には、図52に示すように、前面枠セット14とパチンコ機10本体とを電気的に接続するハーネス93が保持される。即ち、複数本のハーネス93がハーネス留具94により束ねられながら配線ガイド90に固定される。ハーネス留具94は、配線ガイド90の第1および第2部材91、92における掛止孔91P、92Pの幅より僅かに小さい長辺とこの長辺より小さい短辺とを有する長方形状の底片94Bを有し、該底片94Bの両長辺が上方に延出して平行な2つの延出片が形成され、このうちの一方の延出片が外側(図52では右側)へ直角に折れ曲がって延出して下側の掛止片94Eが形成され、他方の延出片が、下側の掛止片94Eよりもさらに上方まで延出してから内側へ折れ曲がって下側の掛止片94Eと同方向に同一位置までほぼ平行に延出して上側の掛止片94Eが形成されるように、全体として樹脂により一体的に成形された部材となっている。上下の掛止片94Eの間隔は、掛止孔91P、92Pの上下幅(高さ)より僅かに大きくなっている。また、上下の掛止片94Eの先端部には、先端からそれぞれ上側および下側へ次第に厚みが増大するよう斜面をなし、先端から一定距離の地点で元の掛止片94Eの厚みに戻るように垂直面をなして、全体として断面略直角三角形状に上下に突出する爪部が形成されている。ハーネス留具94には、上下の掛止片94Eの間から複数本のハーネス93が内部に挿入され、この状態で上下の掛止片94Eが配線ガイド90の掛止孔91P、92Pに圧入される。上下の掛止片94Eが互いにやや寄り合うように弾性変形しながら掛止孔91P、92Pに進入していき、最後まで圧入されると、上下の掛止片94Eの爪部がそれぞれ掛止孔91P、92Pの上端縁および下端縁に掛止し、これによりハーネス留具94が掛止孔91P、92Pに固定される。
ハーネス93の一方側は、内枠12の上端部中央を経て、パチンコ機10本体に配置されたサブ制御基板に接続され、ハーネス93の他方側は、前面枠セット14の上端部中央を経て、前記各種ランプ等の発光手段のような電気部品に接続される。ここで、本パチンコ機10においては、上述の通り前面枠セット14が内枠12に対して二様開き可能に取り付けられているため、仮に右側および左側のいずれか一方側の端部で接続を行うと、この接続された一方側の軸支部を非拘束状態として前面枠セット14を開放する場合には、内枠12側の接続部と前面枠セット14側の接続部とが最大限に離隔することとなってその間の配線の長さも最大となり、そのぶん配線の収納も煩瑣で多くのスペースを要するものとなるとともに、前面枠セット14の開放状態において配線が邪魔ともなりやすい。そこで、本パチンコ機10においては、上述の通り、内枠12の左右方向中央と前面枠セット14の左右方向中央とを介して内枠12と前面枠セット14とを電気的に接続するようにしているので、配線すなわちハーネス93が、長さも最小限に抑えられて収納しやすく邪魔となり難いようになっている。
さらに、本パチンコ機10においては、ハーネス93が案内部材である配線ガイド90により保持されながら案内される構成となっている。上述の通り、内枠12と前面枠セット14との間に架設されるハーネス93の長さが最小限に抑えられているのであるが、仮にこのハーネス93が他の部材を用いることなくそのまま単独で架設されると、前面枠セット14を閉じた状態ではハーネス93の体勢が一定せず、パチンコ機10の外部にはみ出したり、あるいは、近傍に何らかの突出構造があればこれに引っ掛かったりして、該ハーネス93自体が損傷しやすくなり、外観も損なわれることとなりやすい。また、前面枠セット14を開放した状態でも、ハーネス93がそのまま単独で架設されていると、なんらかの外力が加わった場合にこれを直接に受けることとなり、やはり損傷しやすいこととなる。これに対し、上記のようにハーネス93を配線ガイド90により保持しながら案内するようにすることにより、前面枠セット14を閉じた状態において、ハーネス93を外部にはみ出したり引っ掛かったりすることなく適正な体勢で収納することができる。また、前面枠セット14を開放した状態でも、ハーネス93が配線ガイド90により防護されて外力による影響が緩和される。
(作用)
本パチンコ機10は、本体部材(遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤30)と、この本体部材の前面(遊技盤30の盤面)側を覆う前面扉である前面枠セット14と、この前面枠セット14を開放操作するためのシリンダ錠62を用いた鍵操作機構とを備える構成において、前記前面枠セット14が、対向する一対の端縁部である右側端縁部および左側端縁部でそれぞれ右上および右下軸支部70A、70Bならびに左上および左下軸支部70C、70Dからなる軸支機構により、遊技機本体側の部材である内枠12に着脱可能に軸支され、上記シリンダ錠62を用いた鍵操作機構を操作することにより、上記一対の軸支機構(即ち右上および右下軸支部70A、70Bと左上および左下軸支部70C、70Dとの一対)における軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉し得る構成となっている。
上記構成によれば、前面枠セット14を一対の端縁部すなわち左右両端縁部でそれぞれ軸支機構により内枠12に軸支することによって、前面枠セット14を閉じた状態(閉状態)で拘束することができる。一方、この閉状態でシリンダ錠62を用いた鍵操作機構を操作(開放操作)して一対の軸支機構における軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉することによって、前面枠セット14を回動させて開き戸式に開放することができる。即ち、前面枠セット14における一対の端縁部すなわち左右両端縁部のうち、いずれの端縁部を固定端(軸支側端)としいずれの端縁部を自由端とするかを自在に選択して切替えることができるので、前面枠セット14をその一対の端縁部のうちのいずれの端縁部側へも自在に選択的に開放すること、即ち前面枠セット14の二様開きが可能となっている。
したがって、盤面に対する各種作業を行う際には、作業を行う部位から比較的に離れた端縁部側へ前面枠セット14を開放することにより、該前面枠セット14が作業の邪魔とならないようにすることができる。
また、両隣の遊技機のうち、例えば遊技中でない等の理由により比較的に邪魔になり難くなっている一方側へ選択的に前面枠セット14を開放することにより、該前面枠セット14が他方側に隣接する遊技機の遊技に対して邪魔とならないようにすることもできる。
また、上記軸支機構が、遊技機本体側の部材である内枠12に配設された一対の作動片72F、73Fと、前面扉である前面枠セット14に配設された回転軸82Sとを有して構成され、上記一対の作動片72F、73Fが、開閉可能に構成されて付勢手段である圧縮コイルバネ78で付勢されることにより通常は合わさって閉じた体勢に保持され、両作動片72F、73Fにはそれぞれ軸嵌合切欠72R、73Rが設けられ、両作動片72F、73Fが閉じるのにともない両軸嵌合切欠72R、73Rが一体となって軸挿通孔が形成されるように構成されているので、両作動片72F、73Fを開閉させて該軸挿通孔に上記回転軸82Sを挿通することにより、容易かつ確実に前面枠セット14を内枠12に着脱可能に軸支することができるようになっている。
また、上記鍵操作機構が、鍵K1を挿入して一方に回転させると、上記一対の軸支機構における軸支状態のうちのいずれか一方を解除することができ、鍵K1を挿入して他方に回転させると、上記一対の軸支機構における軸支状態のうちの他方を解除することができるように構成されているので、鍵K1の操作により前面枠セット14の二様開きを簡便かつ確実に行うことができるようになっている。
また、上記鍵K1の回転による動力が、線状部材である第1ないし第4ワイア76A、76B、76C、76Dを介して伝達されることにより、上記一対の軸支機構すなわち右上および右下軸支部70A、70Bと左上および左下軸支部70C、70Dとの一対がそれぞれ駆動されるようになっているので、鍵K1の挿入部すなわちシリンダ錠62から離隔した駆動位置である右上、右下、左上および左下軸支部70A、70B、70C、70Dのそれぞれへ、簡潔な構成により効果的に動力が伝達されるようになっている。
また、上記前面扉である前面枠セット14が軸支される遊技機本体側の部材が内枠12となっており、さらに該内枠12が、遊技機本体側の別の部材である外枠11に軸支されており、上記鍵操作機構が、鍵K1を挿入して押し込みながら回転させると、上記外枠11に対して内枠12が閉じて拘束された状態が解除されるように構成されているので、上記前面枠セット14の二様開きに内枠12の開放もあわせた3通りの開放操作を鍵K1の操作により簡便かつ確実に行うことができるようになっている。
また、本パチンコ機10は、本体部材(遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤30)と、この本体部材の前面(遊技盤30の盤面)側を覆う前面扉である前面枠セット14と、この前面枠セット14を開放操作するためのシリンダ錠62を用いた操作機構とを備える構成において、前記前面枠セット14が、対向する一対の端縁部である右側端縁部および左側端縁部でそれぞれ右上および右下軸支部70A、70Bならびに左上および左下軸支部70C、70Dからなる軸支機構により、遊技機本体側の部材である内枠12に着脱可能に軸支され、上記シリンダ錠62を用いた操作機構を操作することにより、上記一対の軸支機構(即ち右上および右下軸支部70A、70Bと左上および左下軸支部70C、70Dとの一対)における軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉可能に構成され、上記対向する一対の端縁部の間における実質的に中央の位置を介して、上記前面枠セット14と上記内枠12とが電気的に接続された構成となっている。
上記構成によれば、前面枠セット14を一対の端縁部すなわち左右両端縁部でそれぞれ軸支機構により内枠12に軸支することによって、前面枠セット14を閉じた状態(閉状態)で拘束することができる。一方、この閉状態でシリンダ錠62を用いた操作機構を操作(開放操作)して一対の軸支機構における軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉することによって、前面枠セット14を回動させて開き戸式に開放することができる。即ち、前面枠セット14における一対の端縁部すなわち左右両端縁部のうち、いずれの端縁部を固定端(軸支側端)としいずれの端縁部を自由端とするかを自在に選択して切替えることができるので、前面枠セット14をその一対の端縁部のうちのいずれの端縁部側へも自在に選択的に開放すること、即ち前面枠セット14の二様開きが可能となっている。
したがって、盤面に対する各種作業を行う際には、作業を行う部位から比較的に離れた端縁部側へ前面枠セット14を開放することにより、該前面枠セット14が作業の邪魔とならないようにすることができる。
また、両隣の遊技機のうち、例えば遊技中でない等の理由により比較的に邪魔になり難くなっている一方側へ選択的に前面枠セット14を開放することにより、該前面枠セット14が他方側に隣接する遊技機の遊技に対して邪魔とならないようにすることもできる。
ところで、前面枠セット14には、前記各種ランプ等の発光手段のような電気部品が配設されているので、前面枠セット14とパチンコ機10本体とを電気的に接続することが必要であるが、従来の遊技機では、前面扉が常に一方側縁で軸支された構造となっていたため、この軸支された側で配線を行うなどして前面扉と遊技機本体とを電気的に接続するようにすればよかった。ところが、本パチンコ機10においては上述のように前面枠セット14が二様開き可能に構成されており、いずれの側でも前面枠セット14がパチンコ機10本体から分離し得るようになっているため接続は行い難くなっている。
そこで、本パチンコ機10においては、上記一対の端縁部すなわち右側端縁部と左側端縁部との間における中央の位置を介して前面枠セット14とパチンコ機10本体側の内枠12とを電気的に接続する構造となっている。これにより、前面枠セット14が二様開き可能に構成されていながら、前面枠セット14とパチンコ機10本体との電気的な接続が容易かつ確実になされている。
また、上記前面枠セット14と上記内枠12とが配線であるハーネス93により電気的に接続され、該ハーネス93が、案内部材である配線ガイド90により保持されながら案内される構成となっているので、前面枠セット14を閉じた状態において、ハーネス93が外部にはみ出したり引っ掛かったりすることなく適正な体勢で収納されるようになっており、また一方、前面枠セット14を開放した状態でも、ハーネス93が配線ガイド90により防護されて外力による影響が緩和されるようになっている。
また、上記配線ガイド90が折り畳み自在に構成されているので、前面枠セット14を閉じるのにともなって配線ガイド90が折り畳まれた体勢で内枠12と前面枠セット14との間にコンパクトに収納されることができるようになっている。
また、上記前面枠セット14に、折り畳まれた体勢の配線ガイド90を収納可能な凹入部14Nが形成されているので、配線ガイド90がよりコンパクトに収納されるようになっている。
(変更態様)
上記実施形態には、例えば以下に示すように種々の変更を加えることが可能である。
(1)上記実施形態においては、開閉可能に構成された一対の作動片72F、73Fにそれぞれ軸嵌合切欠72R、73Rが設けられ、両作動片72F、73Fが閉じるのにともない両軸嵌合切欠72R、73Rが一体となって軸挿通孔が形成され、該軸挿通孔に回転軸82Sが挿通されるようにして軸支機構が構成されていたが、軸支機構としてはこのようなものに限定されず、例えば図53に示すように、開閉可能に構成された係合リング部95に回転軸96が着脱可能に軸支される構成としたもの等も可能である。なお、図53に示す変更態様に係る軸支機構は、遊技機における左右両側端部で同様に構成されており、このため図53では遊技機における右側端部のみを図示し、左側端部は図示省略している。
図53に示す変更態様に係る軸支機構においては、遊技機本体側部材97の左右両側に、前方へ平面視概略台形状に突出する基部95Bがそれぞれ配設され、前面扉(図示せず)の左右両側に、上下に延びる回転軸96がそれぞれ配設されている。上記基部95Bの先端面には、後方へ平面視半円状に凹入する凹入部95Rが形成されている。基部95Bの内部には、凹入部95Rの後方に、該凹入部95Rの周面に沿って周方向に移動可能に平面視概略半円状の可動リング片95Mが収容され得るようになっており、凹入部95Rの一方側(図53では左側)から前方へ出入し得るように構成され、通常は付勢手段(図示せず)により同図に矢印A21で示すように前方へ出る方向(図53では反時計回り方向)に180°近く回動して、凹入部95Rとともに平面視略円形の軸挿通孔をなす閉止体勢に保持されるようになっている。こうして閉止体勢にある可動リング片95Mは、シリンダ錠での鍵の操作による動力が駆動機構(図示せず)を介して伝達されることにより、同図に矢印A22で示すように基部95Bの内部に収容される方向(図53では時計回り方向)に180°近く回動し、これにより凹入部95Rの前方が開放されて、回転軸96の着脱が可能な体勢となるようになっている。
本変更態様に係る軸支機構によっても、上記実施形態の場合と同様に、前面扉を二様開き可能に構成することができる。ただし、上記実施形態の場合には回転軸82Sを押し込むようにするだけで軸挿通孔に挿通させることができるのに対し、本変更態様の場合には閉止体勢にある可動リング片95Mを開放させてからでないと回転軸96を軸挿通孔に挿通させることができない。また、本変更態様の場合にはリング片95Mの回動範囲が大きく、駆動機構もやや複雑となるきらいがある。これらの点からは、上記実施形態に係る軸支機構のほうが有利である。
(2)また、軸支機構として、例えば図54に示すように、前面扉が閉じた体勢にあるときのみ回転軸111が前方へ脱離し得るように軸支される構成としたもの等も可能である。なお、図54に示す変更態様に係る軸支機構は、遊技機における左右両側端部で左右対称に構成されており、このため図54では遊技機における右側端部のみを図示し、左側端部は図示省略している。
図54に示す変更態様に係る軸支機構においては、遊技機本体側部材112の左右両側に、前方へ突出する軸挿通部113がそれぞれ配設され、前面扉(図示せず)の左右両側に、上下に延びる回転軸111がそれぞれ配設されている。該軸挿通部113の先端部には、平面視円孔状に上下に貫通する軸挿通孔113Pが穿設され、該軸挿通孔113Pの前側の周部には、該軸挿通孔113Pの径よりも小さい幅W11のスリット113Sが形成されている。これにより、軸挿通部113の先端部が、スリット113Sを通して軸挿通孔113Pが前方の空間と連通する平面視略C字状の形状となっている。回転軸111は、上記軸挿通孔113Pの径よりも僅かに小さい径を有する金属製の丸棒状の軸となっているが、図55に示すように、軸挿通部113に対応する高さ位置に、該軸挿通部113の厚さより若干大きい厚さ(高さ)H11を有して左右両側から中心側へそれぞれ側面視矩形状に陥入する陥入部111Rがそれぞれ穿設されている。両陥入部111R間の距離D11は、上記軸挿通部113におけるスリット113Sの幅W11よりやや小さくなっている。上記両陥入部111Rが形成されることにより、回転軸111の周面が横断面略D字形状に切除されているが、この切除された周面と同一の周面を有する可動体111Mが両陥入部111Rにそれぞれ嵌入され、該陥入部111Rの陥入方向に沿って移動可能に保持されている。各可動体111Mは陥入部111Rの内部で付勢手段により外側方向へ付勢されており(図示せず)、図54(a)に示すように、通常はその周面が回転軸111の周面と同一面をなす位置に保持されている。換言すれば、通常は可動体111Mが回転軸111の切除部を補填して、回転軸111が完全な丸棒と同等の外形をなすようになっている。図55に矢印A24で示すように、付勢手段の付勢力に抗して内側(回転軸111の中心側)へ押し込むと、各可動体111Mは両陥入部111Rにそれぞれ没入するようになっている。
図54(a)に示すように、前面扉(図示せず)を閉じた状態では、回転軸111が軸挿通部113の軸挿通孔113P内に嵌入されて軸支されている。このとき、各可動体111Mは上述の通り外側方向へ付勢されることにより左右両側へ限界位置まで突出し、その周面が回転軸111の周面と同一面をなす体勢に保持されている。したがって、両可動体111Mの周面は、軸挿通孔113P内にあってスリット113Sの幅W11よりも左右に大きく広がる体勢となるように付勢手段の付勢力により保持されているので、通常はスリット113Sから外方(前方)へ脱離することなく軸挿通孔113P内に軸支された体勢に保持されている。またこのとき、前面扉は左右方向中央部の一箇所でシリンダ錠および係合機構により施錠され(図示せず)、これにより閉じた状態に拘束されている。
図54(b)に示すように、シリンダ錠による施錠状態を解除し、同図に矢印A25で示すように、前面扉の一方側(図54では右側)を前方に引いて回転軸111を軸挿通孔113P内から外方(前方)へ引き出すように動かすと、この途上で両可動体111Mの周面がスリット113Sの両端縁に当接するが、回転軸111がさらに外方(前方)へ向かって移動していくのにともない、該可動体111Mの周面がカム面となって該可動体111Mが付勢手段の付勢力に抗して陥入部111R内に押し込まれて没入し、これにより、回転軸111が軸挿通孔113P内から外方(前方)へ脱出して軸支状態が解除され、前面扉を他方側(左側)の軸支機構で軸支しつつ開き戸状に左方へ開放すること即ち左開きとすることができる。一方、こうして左開きとした状態から、前面扉の一方側(図54では右側)を再び元の位置に向けて即ち後方へ移動させ、このとき回転軸111を軸挿通部113のスリット113S内に押し込むようにすると、上述の引き出す場合(開放操作)と同様に、可動体111Mの周面がカム面となって陥入部111R内に押し込まれて没入し、これにより、回転軸111が軸挿通孔113P内に再び嵌入して、図54(a)に示すものと同様の軸支体勢に復帰する。
また一方、図54(a)に示すように前面扉を閉じてシリンダ錠により施錠した状態から、この施錠状態を解除し、前面扉の他方側(左側)における軸支状態を上述の一方側(右側)の場合と同様にして解除して前面扉を右開きとすると、これにともない、前面扉の一方側(右側)の軸支機構がヒンジとして機能し、図54(c)に示すように、回転軸111が軸挿通部113の軸挿通孔113P内で回動する。回転軸111が回動すると、同図に示すように陥入部111Rの陥入方向(あるいは可動体111Mの出入方向)が左右方向から多少とも前後に傾いた体勢となり、このため、回転軸111における可動体111M以外の部位がスリット113Sの両側部にこだわって軸挿通孔113P内から脱出することができない。即ち、回転軸111が回動する間は、回転軸111が軸挿通孔113P内から脱出し得ず、したがって軸挿通孔113P内に軸支された体勢に確実に保持される。
以上のように、前面扉を閉じてシリンダ錠により施錠した状態から、この施錠状態を解除すると、左側端部の軸支機構における軸支状態ならびに右側端部の軸支機構における軸支状態のいずれか一方を自在に選択的に解除し得る状態となり、一方の軸支機構における軸支状態を解除すると、他方の軸支機構においては確実に軸支状態を保持してヒンジとして機能することができるようになっている。これにより、前面扉の二様開きを容易かつ確実に行うことができる。
(3)上記実施形態においては、鍵K1の回転による動力が、線状部材である第1ないし第4ワイア76A、76B、76C、76Dを介して伝達されることにより、一対の軸支機構すなわち右上および右下軸支部70A、70Bと左上および左下軸支部70C、70Dとの一対がそれぞれ駆動されるようになっていたが、このように動力が専ら機械的に伝達される機構以外にも、例えば、鍵の回転により電気的なスイッチがオンとなり、モータ、ソレノイド等の駆動源の動力が伝達されて軸支部が駆動される機構としてもよい(図示省略)。このように電気的な制御を用いて動力が伝達される機構によれば、鍵の操作位置から離隔した軸支部へ動力を機械的に伝達する線状部材等の伝達手段を配設する必要がないため、そのぶん構成を簡潔とすることができる。
(4)上記実施形態においては、前面扉を開放操作するための操作機構として、鍵K1の操作によるシリンダ錠62を用いた鍵操作機構が構成されていたが、操作機構としては、このような鍵操作機構以外にも、例えば、鍵を用いることなく操作するツマミ、レバー等の操作手段を備え、該操作手段の動力が伝達されて軸支部が開放駆動される機構としてもよい(図示省略)。ただしこの場合、通常は前面扉を鍵により施錠する機構を別に設けることが必要となるため、上記実施形態におけるように前面枠セット14を開放操作する機能と鍵K1により施錠する機能とを併せて備える鍵操作機構とするほうが構成を簡潔とすることができる。
また、操作機構としては、上記実施形態におけるように鍵K1を挿入して操作するもの以外にも、例えばリモコンにより遠隔操作するもの等を用いるようにしてもよい。
(5)上記実施形態においては、鍵操作機構が、シリンダ錠62を押し込みながら鍵K1で回転させる、シリンダ錠62を押し込まずに鍵K1で時計回り方向に回転させる、ならびにシリンダ錠62を押し込まずに鍵K1で反時計回り方向に回転させる、という3通りの操作により、内枠12の開放、前面枠セットの左開きおよび前面枠セットの右開きという3通りの開放が可能となっていたが、例えば、前面扉の左開きおよび右開きを行うための鍵操作機構と、内枠の開放を行う鍵操作機構とを個別に配設するようにしてもよい(図示省略)。ただし、機構の簡潔さや配設スペース等の点からしても、上記実施形態の場合のように共通の1つの鍵操作機構により3通りの開放が可能な構成とするほうが望ましい。
(6)上記実施形態においては、軸支機構を駆動する動力を伝達する線状部材として第1ないし第4ワイア76A、76B、76C、76Dが用いられていたが、線状部材としては、必要な可撓性や引張り強度等を有するものであれば任意のものが使用でき、例えば、樹脂、ゴム、金属等の各種材料よりなる糸状、紐状、ベルト状、チェーン状等の各種形態の部材を用いることができる。
(7)上記実施形態においては、前面枠セット14と内枠12とが配線であるハーネス93により電気的に接続され、該ハーネス93が、案内部材である配線ガイド90により保持されながら案内される構成となっていたが、例えば図56に示すように、前面扉の左右方向中央部およびこれに対応する遊技機本体側部材の左右方向中央部にそれぞれ接続端子部を配設し、前面扉を閉じるとこれら接続端子部同士が接続される構成としてもよい。
図56に示す変更態様に係る接続構造においては、前面扉である前面枠セット98の後面における上端部中央に横長の直方体状の凹部98Rが形成され、該凹部98R内の中央に接続端子部としてプラグコネクタC11が配置固定されており、一方、遊技機本体側の部材である内枠99の前面における上端部中央に接続端子部としてレセプタクルコネクタC12が配置固定されている。前面枠セット98を閉じると、これにともない同図に矢印A23で示すようにプラグコネクタC11がレセプタクルコネクタC12に挿入され、これにより前面枠セット98と内枠99とが電気的に接続されるようになっている。
本変更態様に係る接続構造によれば、前面枠セット98と内枠99との間に配線(ハーネス)を架設することが不要となっており、したがって前面枠セット98を開放した際に前面枠セット98と内枠99との間で空中に配線が架設されて衝撃を受けやすい体勢となることを避けることができ、また配線をこのような衝撃から防護しつつ案内する部材を配設することも不要とすることができる。また、前面枠セット98を閉じた状態においても、配線や案内部材を収納する手段やスペースを設けることを不要とすることができる。
(8)上記実施形態においては、案内部材である配線ガイド90が、複数本のハーネス93をハーネス留具94により束ねながら固定するように構成されていたが、案内部材としては、例えば、筒状に成形して内部に複数本のハーネスを挿通するようにして案内しつつ保持する構成としてもよい。ただし、この構成によれば、内部に複数本のハーネスを挿通するのに手間を要し、また、ハーネスの挿通を容易とするために開閉可能に構成することも可能であるが、そのぶん構成が複雑となる。したがってこのような点からは、上記実施形態に係る配線ガイド90のような構成が有利である。
また、ハーネス93を固定する手段としては、上記ハーネス留具94のようなものに限定されず、これ以外にも任意のものが使用できる。例えば、バンドの一方端に挿通孔を有し、該バンドを対象物(ハーネス)に環状に巻きつけ、他方端を挿通孔に挿通して環状部を縮小するように絞っていくことで対象物を結束する構成とした結束バンドを用い、ハーネス93を結束した結束バンドを配線ガイド90の掛止孔91P、92Pに固定するようにしてもよい(図示省略)。
(9)上記実施形態においては、前面枠セット14と内枠12とが、対向する一対の端縁部である右側端縁部と左側端縁部との間におけるちょうど中央の位置を介して電気的に接続された構成となっていたが、前面扉と遊技機本体側の部材とは、対向する一対の端縁部の間における実質的に中央の位置を介して電気的に接続されるようにすればよい。
この場合、電気的接続の位置としては、例えば、対向する一対の端縁間の間隔全体を100%としたときの30〜70%程度、好ましくは40〜60%程度の範囲内とすることが望ましい。電気的接続の位置がちょうど中央の位置からいずれか一方にずれるほど、接続部間の最大距離も大となるが、電気的接続の位置が30〜70%程度の範囲内にあれば、このような接続部間の最大距離を過大とならない程度に抑えておくことができ、したがって接続部間を配線(ハーネス)で接続する場合にその長さが過大とならないようにすることができる。また、上述の変更態様のように接続端子部同士で接続する場合でも、接続位置が中央の位置からずれるほど、左開きにする場合と右開きにする場合とで接続端子部同士が当接し合う体勢(角度)の相違が大となって接続に無理が生じやすくなる。このため、電気的接続の位置としては、接続端子部の構造や前面扉の寸法(横幅)等によっても異なるが、一般には例えば、対向する一対の端縁間の間隔全体を100%としたとき、中心より両側へそれぞれ10%程度、好ましくは5%程度ずれた位置の範囲内とすることが望ましい。電気的接続の位置が上記範囲内にあれば、上述のような体勢(角度)の相違を過大とならない程度に抑えておくことができ、したがって接続端子部同士を無理なく接続し得る構成とすることができる。
(10)上記実施形態においては、一対の軸支機構(即ち右上および右下軸支部70A、70Bと左上および左下軸支部70C、70Dとの一対)における軸支状態のうちのいずれか一方を選択的に解除し得る構成となっていたが、例えば図57に摸式的に示すように、一対の軸支機構における軸支状態をいずれも解除することなく、いずれか一方を軸として開閉し得る構成としてもよい。
図57に示す変更態様においては、前面扉である前面枠セット114と遊技機本体側の部材である内枠115との間に、前面枠セット114を支持する部材である支持枠116が配置されている。前面枠セット114の一方側端部(図57では左側端部)は支持枠116の一方側端部(左側端部)にブラケットを用いた通常のヒンジ機構114Hにより軸支され、前面枠セット114の他方側端部(図57では右側端部)は支持枠116の他方側端部(右側端部)に、操作機構によって着脱することが可能な掛止機構(図示省略)により掛止されるようになっている。このように支持枠116において前面枠セット114が掛止機構(図示省略)により掛止された側の端部(図57では右側端部)は内枠115において当該端部に対応する側の端部(右側端部)にブラケットを用いた通常のヒンジ機構116Hにより軸支され、支持枠116におけるもう一方の側端部(図57では左側端部)は内枠115におけるもう一方の側端部(左側端部)に、操作機構によって着脱することが可能な掛止機構(図示省略)により掛止されるようになっている。
前面枠セット114および支持枠116において掛止機構が配設された側の端部を押し込むと、図57(a)に示すように、それぞれ支持枠116および内枠115に掛止して閉じた状態に保持される。図57(b)に示すように、操作機構を操作して前面枠セット114と支持枠116との掛止状態を解除すると、前面枠セット114が軸支側端部(図57では左側端部)で回動させて矢印A26で示すように開き戸状に一方(左方)へ開放すること即ち左開きが可能な状態となる。一方、図57(c)に示すように、操作機構を操作して支持枠116と内枠115との掛止状態を解除すると、支持枠116が軸支側端部(図57では右側端部)で回動させて矢印A27で示すように開き戸状に一方(右方)へ開放することが可能となり、従って即ち支持枠116を前面枠セット114ごと一方(右方)へ開放すること、換言すれば前面枠セット114の右開きが可能な状態となる。この構成により、前面枠セット114を左右のヒンジ機構114H、116Hにおける軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉すること、即ち前面枠セット114を左右いずれの方向へも自在に選択的に開放する二様開きが可能となる。
なお本明細書は、以下の内容をいずれも開示している。
本発明にかかる遊技機は、手段A1として、
本体部材(遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤)と、本体部材の前面(この遊技盤の盤面)側を覆う前面扉と、この前面扉を開放操作するための鍵操作機構とを備える遊技機であって、
前記前面扉が、対向する一対の端縁部でそれぞれ軸支機構により遊技機本体側の部材に着脱可能に軸支され、
前記鍵操作機構を操作することにより、前記一対の軸支機構における軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉可能に構成されていることを特徴とする。
本発明において、本体部材とは、遊技盤であってもよいが、例えば、外枠を本体部材とし、内枠を前面扉としてもよい。
また、遊技機本体側の部材には、例えば内枠等の枠部材のように、遊技機において前面扉を着脱可能に軸支するベース部材となり得る部材がいずれも含まれる。
また、前面扉における対向する一対の端縁部とは、換言すれば、開閉される場合の、軸となる複数箇所の端縁部、あるいは、前面扉が左右両側のそれぞれにおいて軸支される場合の、左側および右側のことである。また、例えば矩形状の前面扉の場合、対辺を構成する一対の端縁部(例えば左側端縁部および右側端縁部)が対向する一対の端縁部に該当する。なお、対向する一対の端縁部は、例えば左側端縁部および右側端縁部だけでなく、上側端縁部および下側端縁部も含意する。また、対向する一対の端縁部として、例えば、開閉される軸が2箇所あるうちの一方側および他方側ということもできる。
上記手段A1の構成によれば、前面扉を一対の端縁部でそれぞれ軸支機構により遊技機本体側の部材に軸支することによって、前面扉を閉じた状態(閉状態)で拘束することができる。一方、この閉状態で鍵操作機構を操作(開放操作)して一対の軸支機構における軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉することによって、前面扉を回動させて開き戸式に開放することができる。即ち、前面扉における一対の端縁部のうち、いずれの端縁部を固定端(軸支側端)としいずれの端縁部を自由端とするかを自在に選択して切替えることができるので、前面扉をその一対の端縁部のうちのいずれの端縁部側へも自在に選択的に開放すること、即ち前面扉の二様開きが可能となる。
したがって、盤面に対する各種作業を行う際には、作業を行う部位から比較的に離れた端縁部側へ前面扉を開放することにより、該前面扉が作業の邪魔とならないようにすることができる。
また、両隣の遊技機のうち、例えば遊技中でない等の理由により比較的に邪魔になり難くなっている一方側へ選択的に前面扉を開放することにより、該前面扉が他方側に隣接する遊技機の遊技に対して邪魔とならないようにすることもできる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A2として、手段A1の遊技機において、
前記軸支機構が、前記遊技機本体側の部材に配設された一対の作動片と、前記前面扉に配設された回転軸とを有して構成され、前記一対の作動片が、開閉可能に構成されて付勢手段で付勢されることにより通常は合わさって閉じた体勢に保持され、両作動片にはそれぞれ軸嵌合切欠が設けられ、両作動片が閉じるのにともない両軸嵌合切欠が一体となって軸挿通孔が形成されるように構成されていることを特徴とする。
上記手段A2の構成によれば、両作動片を開閉させて軸挿通孔に回転軸を挿通することにより、容易かつ確実に前面扉を遊技機本体側の部材に着脱可能に軸支することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A3として、手段A1または手段A2の遊技機において、
前記鍵操作機構が、鍵を挿入して一方に回転させると、前記一対の軸支機構における軸支状態のうちのいずれか一方を解除することができ、鍵を挿入して他方に回転させると、前記一対の軸支機構における軸支状態のうちの他方を解除することができるように構成されていることを特徴とする。
上記手段A3の構成によれば、鍵の操作により前面扉の二様開きを簡便かつ確実に行うことができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A4として、手段A3の遊技機において、
前記鍵の回転による動力が、線状部材を介して伝達されることにより、前記一対の軸支機構がそれぞれ駆動されるようになっていることを特徴とする。
上記手段A4の構成によれば、鍵の挿入部から離隔した駆動位置であっても、簡潔な構成により効果的に動力を伝達することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A5として、手段A3または手段A4の遊技機において、
前記前面扉が軸支される遊技機本体側の部材が内枠となっており、さらに該内枠が、遊技機本体側の別の部材に軸支されており、前記鍵操作機構が、鍵を挿入して押し込みながら回転させると、前記遊技機本体側の別の部材に対して前記内枠が閉じて拘束された状態が解除されるように構成されていることを特徴とする。
上記手段A5の構成によれば、前面扉の二様開きに内枠の開放もあわせた3通りの開放操作を鍵の操作により簡便かつ確実に行うことができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B1として、
本体部材(遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤)と、本体部材の前面(この遊技盤の盤面)側を覆う前面扉と、この前面扉を開放操作するための操作機構とを備える遊技機であって、
前記前面扉が、対向する一対の端縁部でそれぞれ軸支機構により遊技機本体側の部材に着脱可能に軸支され、
前記操作機構を操作することにより、前記一対の軸支機構における軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉可能に構成され、
前記対向する一対の端縁部の間における実質的に中央の位置を介して、前記前面扉と前記遊技機本体とが電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明において、「前面扉を開放操作するための操作機構」には、鍵により操作するように構成されたもの(即ち鍵操作機構)以外にも、鍵を用いることなく例えばツマミ、レバー等の操作手段により操作するように構成されたもの等も含まれる。
また、「対向する一対の端縁部の間における実質的に中央の位置」とは、対向する一対の端縁部の間における正に中央の位置のみならず、概ね中央部分の位置、例えば対向する一対の端縁間の間隔全体を100%としたときの30〜70%程度の範囲内にある位置等も含意する。また、前述の通り、前面扉における対向する一対の端縁部とは、開閉される場合の、軸となる複数箇所の端縁部、あるいは、前面扉が左右両側のそれぞれにおいて軸支される場合の、左側および右側のことであり、また例えば、開閉される軸が2箇所あるうちの一方側および他方側ということもできるものであるから、「実質的に中央の位置」とは、開閉される軸の間における実質的に中央の位置ということもできる。
上記手段B1の構成によれば、前面扉を一対の端縁部でそれぞれ軸支機構により遊技機本体側の部材に軸支することによって、前面扉を閉じた状態(閉状態)で拘束することができる。一方、この閉状態で操作機構を操作(開放操作)して一対の軸支機構における軸支状態のうちのいずれか一方を軸として開閉することによって、前面扉を回動させて開き戸式に開放することができる。即ち、前面扉における一対の端縁部のうち、いずれの端縁部を固定端(軸支側端)としいずれの端縁部を自由端とするかを自在に選択して切替えることができるので、前面扉をその一対の端縁部のうちのいずれの端縁部側へも自在に選択的に開放すること、即ち前面扉の二様開きが可能となる。
したがって、盤面に対する各種作業を行う際には、作業を行う部位から比較的に離れた端縁部側へ前面扉を開放することにより、該前面扉が作業の邪魔とならないようにすることができる。
また、両隣の遊技機のうち、例えば遊技中でない等の理由により比較的に邪魔になり難くなっている一方側へ選択的に前面扉を開放することにより、該前面扉が他方側に隣接する遊技機の遊技に対して邪魔とならないようにすることもできる。
ところで、前面扉には、例えば大当たり遊技状態時に点灯や点滅をさせるLEDランプ等の電気部品が配設されることも多い。この場合、前面扉と遊技機本体とを電気的に接続することが必要となるが、従来は、前面扉が常に一方側縁で軸支された構造となっていたため、この軸支された側で配線を行うなどして前面扉と遊技機本体とを電気的に接続するようにすればよかった。ところが、上述のように前面扉を二様開きとする場合には、いずれの側でも前面扉が遊技機本体から分離し得るようになっているため接続は行い難い。
そこで、手段B1においては、上記一対の端縁部の間における実質的に中央の位置を介して前面扉と遊技機本体とを電気的に接続する構造とするようにした。これにより、前面扉を二様開きとする場合であっても、前面扉と遊技機本体との電気的な接続を容易かつ確実に行うことができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B2として、手段B1の遊技機において、
前記前面扉と前記遊技機本体側の部材とが配線により電気的に接続され、該配線が、案内部材により保持されながら案内される構成となっていることを特徴とする。
上記手段B2の構成によれば、前面扉を閉じた状態において、配線が外部にはみ出したり引っ掛かったりすることなく適正な体勢で収納され、また一方、前面扉を開放した状態でも、配線が案内部材により防護されて外力による影響が緩和される。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B3として、手段B2の遊技機において、
前記案内部材が折り畳み自在に構成されていることを特徴とする。
上記手段B3の構成によれば、前面扉を閉じるのにともなって案内部材が折り畳まれた体勢で遊技機本体側の部材と前面扉との間にコンパクトに収納されることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B4として、手段B3の遊技機において、
前記前面扉に、折り畳まれた体勢の前記案内部材を収納可能な凹入部が形成されていることを特徴とする。
上記手段B4の構成によれば、案内部材がよりコンパクトに収納されるようになる。