以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の斜視図、図3はパチンコ機10の前面枠の斜視図である。図1および図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABSアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
また、内枠12は、その最下部に下皿ユニット13を有し、内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、樹脂ベース25(図6参照)と、この樹脂ベース25の後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
上記下皿ユニット13は、前面枠セット14の一部として前面枠ベース部材に固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と演出ボタン79が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることに
より、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。前面枠セット14の上部には、スピーカからの音を出力するための音出力口24が設けられている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタンと、返却ボタンと、度数表示部とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタンは、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタンは、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
次に、図4および図5を用いて遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の構成を示す正面図、図5は遊技盤30の構成を示す斜視図である。遊技盤30は、一般入賞口を備える一般入賞装置31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動入賞装置33、第2の始動口を備える第2の始動入賞装置34(スルーゲートで構成)、特別図柄表示装置371A、普通図柄表示装置371B、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞装置31、可変入賞装置32、第1の始動入賞装置33、第2の始動入賞装置34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、大入賞口(収容部の入口)61が配置されている。大入賞口61については、後に言及する。大入賞口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
前述の一般入賞装置31、可変入賞装置32および第1の始動入賞装置33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
上記特別図柄表示装置は、第1の始動入賞装置33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置は第2の始動入賞装置34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
上記特別図柄表示装置は、後にも言及する表示装置371Aにおける第1表示部の9個のLEDセグメントで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
上記普通図柄表示装置は、後述する表示装置371B内に配置された普通図柄用の2個のランプ(以下、第1ランプおよび第2ランプとも称す)を備えている。この実施例では、普通図柄用の第1ランプは、その外観形状は「○」形状となっている一方、第2ランプは、第1ランプの右側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置は、遊技球が第2の始動入賞装置34を通過する毎に例えば第1および第2ランプによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、第1および第2ランプが交互に光り、第1ランプで停止した場合に第1の始動入賞装置33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動入賞装置34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、第1および第2ランプは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動入賞装置33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内
するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす金属板にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51および外レール52の後側端縁(遊技盤30に対向する端縁)には、所定間隔をおいて複数個所に鋲56が設けられており、内レール51および外レール52は該鋲56を打ちつけるようにして遊技盤30に取り付けられている。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図6はパチンコ機10の背面の構成を示す分解斜視図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を3つの取付台に分けて搭載して3つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板、電源監視基板、これら基板を収容する基板ボックスおよび該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される主制御装置261を一つにユニット化し、表示制御基板、該表示制御基板を収容する基板ボックスおよび装飾図柄表示装置42から構成される表示制御装置45とサブ制御基板および該サブ制御基板を収容する基板ボックスから構成されるサブ制御装置262とを後述する外包部材82に搭載してユニット化し、さらに払出制御基板、該払出制御基板を収容する基板ボックス(払出制御基板ケース)および該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される払出制御装置311と電源基板、発射制御基板およびこれら基板を収容する基板ボックス(電源・発射制御基板ケース203A)から構成される電源・発射制御装置とを1つの取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、各ユニットを上記の順に「第1制御基板ユニット201」、「第2制御基板ユニット202」および「第3制御基板ユニット203」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも上記第3制御基板ユニット203に一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここでは第3制御基板ユニット203を「裏パックユニット203」とも称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201は、後述するように、取り外す場合には工具で封止状態を解除する必要があるが取付はネジ等の締結具も工具も何ら要することなく行い得るよう構成されており、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されている。更に、これに加え、各ユニット201〜203は、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板を有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。この基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
第2制御基板ユニット202は、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御を司る表示制御装置45と主制御基板からの指示に従い音声ランプ制御を司るサブ制御基板とを有する。上記表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42および表示制御基板がユニットとして構成され、透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて後述する外包部材82の背面側に取り付けられている。上記サブ制御基板は透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容され、上記表示制御装置45の背面側に取り付けられている。
次に、前記第3制御基板ユニット(裏パックユニット)203は、払出制御基板、電源基板、発射制御基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記電源基板および発射制御基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力されるとともに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われる。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース(図示せず)内に収納されており、上記電源基板および発射制御基板は、透明樹脂材料等よりなる電源・発射制御基板ケース203A内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース(図示せず)内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
上記払出制御基板は状態復帰スイッチと電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようにな
っている。
裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔が設けられている。この通気孔は各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ359とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ359が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチの左方には、前面枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図9を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置は上記したように9個のLEDセグメントで構成されており、普通図柄表示装置は上記したように普通図柄用の第1および第2ランプで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、
払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置4
2の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
ここで、特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、特別図柄表示装置の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、9個のLEDセグメントの点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動入賞装置33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、大当たりを示す点灯パターンあるいは外れを示す点灯パターンが表示され、外れの場合は、始動入賞装置33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動入賞装置33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動入賞装置33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
次いで、普通図柄表示装置の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、第1ランプ(外観が○形状)と、第2ランプ(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動入賞装置34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、第1ランプで停止した場合に第1の始動入賞装置33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動入賞装置34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置が外れ変動する際の
停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動入賞装置33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが上記とは別の特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、9つのLEDセグメントで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動入賞装置34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動入賞装置34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動入賞装置33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口61からの入球を収容部(図示せず)に収容し、該収容部に設けた排出部から検出センサ(図示せず)に至って検出するように構成されている。
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動入賞装置33(33a及び33b:図4および図5参照)が設けられ、前記始動入賞装置33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記大入賞口61から収容部に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサにより検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
(特徴構成)
上記パチンコ機10においては、前述の通り、表示制御装置45が、表示制御基板等を装飾図柄表示装置42とともに基板ボックスに収容したユニットとして構成され、図7に示すように外包部材82の背面側に取り付けられている。以下、表示制御装置45の構成およびその組立手順について図10ないし図31に基づき説明する。
図10に示すように、表示制御装置45における表示制御基板、装飾図柄表示装置42等を収容する基板ボックスである表示制御基板ボックス45Bは、第1構成部材であるベースフレーム601と第2構成部材であるケースカバー602とを組み付けて、全体として正面視横長の略長方形状であって、遊技盤30の裏面に沿ってやや平板な立板状に拡がる概略直方体の箱(ボックス)形状に構成されている。
ケースカバー602は、横長の略長方形状の背面部(図10では正面部)における4辺から前方に周壁が延出した概略皿形状の透明樹脂よりなる蓋状体となっており、上壁および側壁には丸孔状ないし長孔状の多数の通気孔602Pが穿設され、左側壁(図10では右側壁)には把手凹部602Nが、右側壁には同様の把手凹部(図示せず)がそれぞれ形成されている。
図11に示すように、ケースカバー602の後上端縁における両端近傍ならびに後両側端縁における下端近傍の計4箇所にはそれぞれ、後述するベースフレーム601の係合片601Eを係合させ得るとともに封止部材603を嵌装し得る係合封止部602Fが形成されている。該係合封止部602Fは、ケースカバー602の背面壁(図11では正面壁)と上壁ないし側壁とを跨ぐように、当該端縁を矩形状に(長方形を鉤状に直角に折曲した形状となるように)切欠き、上面部ないし側面部における後端部には、この切欠部の両側の壁を連絡するように架橋壁602Cが一体的に形成されている。該架橋壁602Cの両側部は幅狭とされて狭隘部が形成されている。係合封止部602Fの内部には、架橋壁602Cに対し間隔をおいて平行に支承壁602Sが一体的に形成され、架橋壁602Cと該支承壁602Sとの間に封止部材603を挿入し得るようになっており、また該支承壁602Sには封止部材603に係合し得る係合片が一体的に形成されている(図示せず)。封止部材603は、係合封止部602Fの後面部(図11では前面部)に対応する長方形状の押圧板603Pから、上記架橋壁602Cと支承壁602Sとの間に挿入される概略矩形板状の挿入片603Nが垂直に延出するように一体的に形成された樹脂製の部材となっており、該挿入片603Nには上記支承壁602Sの係合片に係合し得る係合突起が一体的に形成されている(図示せず)。
図10および図11に示すように、ケースカバー602の上壁における中央部には、後述するベースフレーム601の係合片601Eを係合させ得る係合孔部602Eが形成されている。該係合孔部602Eは、ケースカバー602の上壁を、後端から中央部まで、内側へ溝状に凹入させ、その底部における前端部をスリット状に開口させて後述する係合片601Eの爪部を内側から係合させ得る構成となっている。また、ケースカバー602の上面における両端近傍にはそれぞれ、後述する外包部材82の係合部82Eに係合し得る係合機構部602Hが配設されている。該係合機構部602Hは、図11に示すように、左右方向に角棒状に延びる係合片の中央部に直交して後方に延びるツマミ片が一体的に形成された構成を有するスライド部材602H1が、ケースカバー602の上面における前側端縁に沿って左右にスライド可能に保持され、該スライド部材602H1に隣接して内側(中央側)には、ケースカバー602の上面における前側端縁に沿って直方体状の収納部602H2が一体的に形成されていて、スライド部材602H1の係合片の一方側部を出入させ得るようになっている。
図12ないし図14に示すように、ケースカバー602の下壁における左右2箇所、より具体的には中央と左端との中間部ならびに中央と右端との中間部、にはそれぞれ、湾曲係合片602Rが一体的に形成されている。該湾曲係合片602Rは、ケースカバー602の下壁の前側端縁が局部的に(小幅に)前方へ延出し、側面視円弧状となるように下方へ湾曲した形状となっている。
ベースフレーム601は、図12に示すように、ケースカバー602の外形に一致する横長の略長方形状の外形を有する透明樹脂よりなる成形体であって、4辺から周壁が後方に延出し、その延出途上で内側に段状に薄肉化して延出しており、この延出端側の薄肉部がケースカバー602の周壁に内側から嵌入するとともに、薄肉部より基端側の厚肉部の外側面がケースカバー602の周壁と面一となるようになっている。ベースフレーム601の周壁には、上記ケースカバー602の係合封止部602Fおよび係合孔部602Eに対応する5箇所に、後方へ延出する係合片601Eがそれぞれ一体的に形成されており、該係合片601Eは、ベースフレーム601の周壁の延出端縁から後方へ矩形状に延出し、その延出端部に、外側へ鉤状に突出する爪部が形成された構成となっている。ベースフレーム601の前面部には、該ベースフレーム601の外形よりもやや小さい長方形状の表示開口601Aが形成されている。即ち、ベースフレーム601は、前面部が表示開口601Aにより大部分開放されており、換言すれば、周壁の前側端縁が内側へ直角にやや延出して断面鉤形状をなしながら、4辺よりなる外周部に沿って長方形状に閉じるように延びる枠部材となっている。
図12ないし図14に示すように、ベースフレーム601の下壁には、上記ケースカバー602の湾曲係合片602Rに対応する左右2箇所に、爪状突起601Pがそれぞれ一体的に形成されている。該爪状突起601Pは、図13および図25に示すように、ベースフレーム601における下壁の後側端縁部(図13では正面側端縁部)から正面視概略横長の長方形状をなして下方に突出し、前面(図13では背面)は垂直面で、後面(図13では正面)は、ベースフレーム601における下壁の後側端縁から、前下方へ傾斜して前面部に交差するまで延びる斜面となっており、全体として概略やや縦長の直角三角形状の断面形状を有して左右に三角柱状に延びる突起構造物となっていて、両側の稜線部は丸く角落ちするとともに、下端縁(先端縁)も断面丸形状でその両端の角部も正面視丸形状に角落ちし、他の構造物に対して拘り難いようになっている。
爪状突起601Pの基端部には、前後方向に貫通する貫通部601Sが形成されている。該貫通部601Sは、図13に示すように後側が横長の帯状(スリット状)に開口しながら後方へ貫通するとともに、図25に示すように前側が爪状突起601Pの内部を先端近傍まで下方に拡がりながら前方へ貫通しており、また上端部は図13に示すようにベースフレーム601の下壁から内方(上方)へ同一幅を維持しながらやや食い込む(凹入する)ように拡がっていて、さらにこの凹入部はベースフレーム601の下壁を前後に貫通するように延びている。即ち、ベースフレーム601の下壁が、爪状突起601Pの両側の位置から内方(上方)へ正面視矩形状に凹入している。
爪状突起601Pの後面壁(図13では正面壁)において貫通部601Sのスリット状開口の下縁を構成する端縁部は、図25に示すように、断面略円形状に内側へ膨出する形状に形成され、これにより左右方向に延びる係合軸部601Rが形成されている。爪状突起601Pの後面壁の下部は、厚み方向に沿って前面まで延びている。したがって、爪状突起601Pは、ベースフレーム601における下壁から側面視概略やや縦長の直角三角形状に延びる両側壁部と、該両側壁部の下端部(先端部)の間を連絡するように左右に延びる下端縁部と、該下端縁部の後上端縁から後上方へ延びる後面壁部と、該後面壁部の上端縁に沿って左右に延びる係合軸部601Rと、が一体的に形成された構成となっており、換言すれば、両側面部と下端部とが全面的に閉塞され、後面部における貫通部601Sのスリット状開口以下の部分が閉塞され、前面部が下端部を除き大部分が開放され、両側壁部と下端縁部と後面壁部と係合軸部601Rとにより包囲される内部空間は、貫通部601Sを通じて前方の外部空間に連通するとともに、貫通部601Sのスリット状開口を通じて後方の外部空間に連通する構成となっている。
以下、表示制御装置45の組立手順を図12ないし図31に基づき説明する。
まず、ケースカバー602の内部に表示制御基板等を配置、固定し(図示省略)、その前側から図14に示すように装飾図柄表示装置42を嵌挿、固定する。
ついで、図12ないし図14に矢印A1で示すように、ベースフレーム601の両爪状突起601Pに、ケースカバー602の両湾曲係合片602Rを後側から係合させる。このとき、より具体的には、図24および図25に示すように、ベースフレーム601が直立した取付体勢にあるとすると、これに対し、ケースカバー602を直立した取付体勢から後下方へ(約125°程度)傾倒させて湾曲係合片602Rの先端が前方を向くようにし、この姿勢で図26および図27に示すように湾曲係合片602Rをベースフレーム601の爪状突起601Pにおける貫通部601Sのスリット状開口に後側から挿入するようにして係合させる。
ついで、図15ないし図17に矢印A2で示すように、ケースカバー602を立てるように回動させ、図18ないし図20に示すようにベースフレーム601に嵌着して閉じる。このとき、図28および図29に示すように、ケースカバー602の上端側を引き上げるようにすると、ケースカバー602の湾曲係合片602Rが、ベースフレーム601の爪状突起601Pにおける係合軸部601Rに上方から載るようにして係合した状態で、図29に矢印A3で示すように、該係合軸部601Rの周面に沿って摺動し、これにより、ケースカバー602が該係合軸部601Rを回動軸としてヒンジ式に回動するように閉じることとなる。この閉動作の最終段階で、ベースフレーム601における5箇所の係合片601Eの先端にケースカバー602が当って軽く拘るが、そのまま押し込むと、図10および図11に示すように各係合片601Eがケースカバー602の係合封止部602Fおよび係合孔部602Eの前側端縁に弾性的に(スナップ式に)係合し、これにより図30および図31に示すようにケースカバー602とベースフレーム601とが嵌合し固定される。
上記のようにしてケースカバー602をベースフレーム601に対し十分に嵌合するまで閉じると、図31に示すように、ケースカバー602の湾曲係合片602Rが、ベースフレーム601の爪状突起601Pにおける係合軸部601Rを巻き込むようにして、その先端が爪状突起601Pの後面壁に内側から近接する位置に達する体勢となる。したがって、爪状突起601Pにおける貫通部601Sの一部をなす、爪状突起601Pの内部空間の大部分を湾曲係合片602Rが充填することとなる。また一方、当該湾曲係合片602R自体は、全体として爪状突起601Pの貫通部601S内に納まり、前面は開放されているがこれ以外の5面は爪状突起601Pにより包囲された(覆われた)状態に保持されることとなる。換言すれば、湾曲係合片602Rは、係合軸部601Rとともに爪状突起601Pの内部にすっかり納まり、前面部以外は閉塞された状態となる。さらにこのとき、該湾曲係合片602Rは爪状突起601Pの内部に殆ど(実質的に)隙間をあけることなく密に収容されるようになっている。
この段階では、各係合片601Eは弾性変形させることにより係合封止部602Fおよび係合孔部602Eから取り外して係合状態を解除することができ、したがって上記手順とは逆に、ケースカバー602およびベースフレーム601を開くこともあるいはさらに分離することも自在である。なお、上記手順におけるケースカバー602とベースフレーム601との相対的な位置関係はそのままで、ケースカバー602は例えば前面を上にむけて平伏させた体勢に保持しておき、ベースフレーム601のほうをヒンジ式に回動して閉じるようにしてもよく、これによれば閉動作をより軽く行うことができる。
ついで、図18ないし図20に示すように、ケースカバー602の4箇所の係合封止部602Fにそれぞれ封止部材603を後方から嵌装する。このとき、封止部材603の押
圧板603Pを押圧して、挿入片603Nを、係合封止部602Fの架橋壁602Cと支承壁602Sとの間に挿入すると、該支承壁602Sの係合片に係合突起が係合し、これによりワンタッチ式に係合封止部602Fに封止部材603を嵌装、固定することができる。こうして封止部材603を嵌装すると、該封止部材603の挿入片603Nは、先端部がベースフレーム601の係合片601Eの先端部に内側から当接するとともに、封止部材603の係合突起が係合封止部602Fの係合片に内部で係合した状態で、係合封止部602Fの架橋壁602Cと支承壁602Sとの間に、実質的に隙間なく、したがって不動の状態で保持されることとなり、これにより、ベースフレーム601の係合片601Eは、内側への弾性変形が封止部材603の挿入片603Nにより阻止されてケースカバー602の係合封止部602Fとの係合状態を解除することが困難となり、一方、封止部材603の係合突起と係合封止部602Fの係合片との係合状態は、外部からはこれを解除することが困難となるため、封止部材603を係合封止部602Fから抜き出すことが困難となる。よって、封止部材603を係合封止部602Fにひとたび押し込むと、ベースフレーム601、ケースカバー602および封止部材603のうちのいずれかの部位を破断させたりしない限りは固定状態が解除し得ない状態、即ち、破壊、破断等の痕跡を残すことなしには開封することが困難な封止状態とすることができ、これにより不正な開封操作を効果的に防止することができる。
なお、封止状態とした後に内部の点検等の目的で表示制御装置45の開封が必要となった場合には、係合封止部602Fの架橋壁602Cを、ニッパ等で狭隘部を切断することにより切除するようにすると、封止部材603を係合封止部602Fから取り除いてケースカバー602およびベースフレーム601を開くことができる。こうして封止部材603を除去すると、係合封止部602Fは封止機能を喪失することとなるが、本実施形態においては係合封止部602Fが4箇所に設けられているので、例えば1回につき2箇所ないし1箇所に封止部材603を嵌装して封止するようにすれば、封止および開封の操作を計2回ないし4回まで繰り返すことができ、またこのとき、初回の封止に使用した2個ないし1個の封止部材603は破損せずに除去することができるため、そのまま2回目以降の封止に再利用することができる。
以上の手順を経て、図10、図21ないし図23に示すように、表示制御装置45の組立が完了する。次に、こうして組み立てられた表示制御装置45を遊技機における所定位置に設置する手順を、図32ないし図46に基づき説明する。
まず、図32に示すように、表示制御装置45を外包部材82へ後上方からもっていき、図35ないし図40に示すように、表示制御装置45の両爪状突起601Pを外包部材82の両受容孔部82Pに挿入して係合、支持させる。
外包部材82は、主として、表示制御装置45等を搭載する取付ベース(取付台)として機能する部材であり、概略矩形状の正面形状を有し、周縁に取付用のフランジ82Fが形成され、該フランジ82Fの内側が全体的に後方へ膨出した奥行を有する透明樹脂製の部材となっており、遊技盤30の裏面における下端よりやや上方の位置(大入賞口と始動入賞口との間あたりの高さ位置)から上端近傍の位置までの領域をほぼ全面的に覆うように取付固定されている。該外包部材82の中央には、装飾図柄表示装置42の液晶表示画面を露出する横長の長方形状の中央開口82Sが穿設され、該中央開口82Sから外周側にやや間隔をおいて、表示制御装置45の外周を包囲し得る、正面視概略横長の長方形状をなして後方へ延出する外枠壁82Cが形成されている。
受容孔部82Pは、外枠壁82Cの下壁において表示制御装置45の両爪状突起601Pに対応する左右2箇所にそれぞれ形成され、図34に示すように、外枠壁82Cの下壁に、基端の位置から延出端のやや内側の位置まで延び、表示制御装置45の爪状突起60
1Pより僅かに広い幅を有する概略矩形状の開口82P1を穿設し、該開口82P1の前端よりやや後方の位置から、上方へ正面視略矩形状に膨出し前方へ延びる天蓋部82P2を形成した構成となっている。
ついで、表示制御装置45を、上記のように両爪状突起601Pで外包部材82の両受容孔部82Pに支持された状態で、この下端の支持部を中心としてヒンジ様に上端側を前上方へ引き上げて閉じ、図41ないし図46に示すように、外包部材82の外枠壁82C内に嵌挿する。
この後、表示制御装置45の上端部を、係合機構部602Hにより外包部材82に固定する。図37に示すように、外包部材82において表示制御装置45の両係合機構部602Hに対応する左右の2箇所にはそれぞれ、概略直方体状で中央側面部が開放された構成を有する係合部82Eが形成されており、上記のように表示制御装置45を外包部材82の外枠壁82C内に嵌挿した状態で、表示制御装置45の係合機構部602Hにおけるスライド部材602H1のツマミ片を操作して係合片の他方側部を上記係合部82Eに挿入し係合させることにより、表示制御装置45の上端部を外包部材82に固定することができる。
(作用)
上述の通り、パチンコ機10は、遊技に関する表示制御を行う表示制御基板を表示制御基板ボックス45Bに収容して構成された表示制御装置45が遊技盤30の裏面部に設置された構成において、上記表示制御基板ボックス45Bが、2つの分割構成部材、即ち第1構成部材であるベースフレーム601と第2構成部材であるケースカバー602とから構成され、これら一対の分割構成部材であるベースフレーム601とケースカバー602とに、一方のケースカバー602を他方のベースフレーム601に支持させ得る支持部として、湾曲係合片602Rを係合、支持させる係合軸部601Rを備える爪状突起601Pが形成され、該爪状突起601Pで一方のケースカバー602を他方のベースフレーム601に支持させた状態でこれらベースフレーム601およびケースカバー602同士を組み付けることにより上記表示制御基板ボックス45Bが組み立てられ、支持部である上記爪状突起601Pが、上記表示制御装置45を所定位置すなわち遊技盤30の裏面に配置された外包部材82の外枠壁82Cに設置するための位置決め部として機能し得る構成となっている。
上記構成により、表示制御基板ボックス45Bを構成する一対の分割構成部材であるベースフレーム601およびケースカバー602同士を、支持部である爪状突起601P(具体的には湾曲係合片602Rを係合、支持させる係合軸部601R)で一方のケースカバー602を他方のベースフレーム601に支持させた状態で、即ち一方のケースカバー602の重量を他方のベースフレーム601にいったん預けた状態で組み付けることができ、したがって、組付作業を容易に行うことができる。このときさらに、支持部である爪状突起601Pが位置決め部としても機能し得る構成、即ち、該爪状突起601Pが、一方のケースカバー602を他方のベースフレーム601に支持させる支持部としての機能と、表示制御装置45を外包部材82の外枠壁82Cに設置するための位置決め部としての機能とを併せ持つ構成となっているので、これらの機能に一つずつ特化した部位をそれぞれ個別に配設した場合に比して、構成が簡略化されて占有スペースも節減され、したがって装飾図柄表示装置42の液晶表示画面の表示スペースも大きく確保することができて設計の自由度も向上している。また、このように爪状突起601Pすなわち単一の部位に支持部としても位置決め部としても両様に機能させる構成としたことにより、凹凸構造、なかでも突起構造を形成する箇所が少なくなっており、したがってそのぶん破損しやすい箇所が減少している。
また、支持部である上記爪状突起601Pが係合軸部601Rを備え、一対の分割構成部材であるベースフレーム601とケースカバー602とのうちの、一方のケースカバー602に、上記係合軸部601Rに回動可能に係合、支持され得る湾曲係合片602Rが形成されているので、該湾曲係合片602Rを係合軸部601Rで係合、支持することにより、ケースカバー602を、係合軸部601Rを回動軸としてヒンジ式に回動するように閉じることができ、したがってこの閉動作が行いやすく操作性が良好となっている。
また、支持部である上記爪状突起601Pが、湾曲係合片602Rを係合軸部601Rとともに内部に収容し得るものとなっているので、爪状突起601Pの内部空間が効率的に利用されて省スペースに構成され、また湾曲係合片602Rおよび係合軸部601Rが爪状突起601Pにより外力から防護されることともなっている。
また、湾曲係合片602Rが爪状突起601Pの内部に実質的に隙間をあけることなく密に収容されるようになっているので、該湾曲係合片602Rないし爪状突起601Pが外力を受けても変形し難い状態に保持され、したがって破損が効果的に防止されるとともに、湾曲係合片602Rが係合軸部601Rにガタつくことなく係合、支持されるようになっている。
また、ケースカバー602を閉じた状態において湾曲係合片602Rの先端部が爪状突起601Pにより包囲され(覆われ)、特に爪状突起601Pの後面壁により後方から覆われるようになっていることから、外部から例えば不正具をこじ入れること等により湾曲係合片602Rの先端部を動かして係合軸部601Rとの係合状態を解除することは困難となっており、したがって該爪状突起601Pにおける不正な開封操作が効果的に抑止されるようになっている。また、例えば爪状突起601Pの後面部が開放されていて湾曲係合片602Rの先端部が覆われていない場合に比して、特に位置決め部として要求される剛性が爪状突起601Pに確保されることともなっている。
また、ケースカバー602を閉じた態において湾曲係合片602Rの両側部が爪状突起601Pの両側壁部により両側から覆われるようになっているので、外部から不正具をこじ入れること等がより困難となっているとともに、湾曲係合片602Rが側方へ脱離することもなく、より確実に係合軸部601Rに係合した状態に保持されるようになっている。
また、支持部である上記爪状突起601Pが、表示制御基板ボックス45Bの一端縁部すなわちベースフレーム601の下壁に形成され、表示制御基板ボックス45Bにおける当該一端縁部以外の少なくとも一つの端縁部すなわちケースカバー602の上端縁部および両側端縁部に係合封止部602Fが形成され、該係合封止部602Fでベースフレーム601とケースカバー602とが封止され得るようになっているので、表示制御基板ボックス45Bの不正な開封操作がより効果的に抑止されるようになっている。
また、例えば、支持部を基板ボックスの上端部ないし一方側部に配設し、一方の分割構成部材を上方ないし側方から他方の分割構成部材に組み付ける構成とすることも可能であるが、これに対し本パチンコ機10の構成においては、支持部である上記爪状突起601Pが表示制御基板ボックス45Bの下端部に配設されているので、一方のケースカバー602を他方のベースフレーム601上に載置した状態で組み付けることができ、したがって、組付作業がより行いやすくなっている。また同時に、位置決め部としての爪状突起601Pが表示制御基板ボックス45Bの下端部に配設されていることともなっているので、組み立てた表示制御装置45を遊技機における所定位置すなわち外包部材82の外枠壁82Cに設置する際にも、表示制御装置45を外枠壁82C上に載置した状態で組み付けることができ、したがって、表示制御装置45の設置作業がより行いやすくなっている。
(変更態様)
上記パチンコ機10には、例えば以下に列挙するように様々な変更を加えることが可能である。
(1)前記実施形態においては、ケースカバー602をベースフレーム601に支持させる支持部として、湾曲係合片602Rを係合、支持させる係合軸部601Rを備える爪状突起601Pが形成されていたが、支持部としては、このように一方の分割構成部材に形成された係合片と、該係合片を係合させて軸支し得る係合軸とを有して構成されるもの以外にも、例えば、一方の分割構成部材に形成された凸部と、該凸部を嵌挿し得るように他方の分割構成部材に形成された凹部とを有して構成されたもの等も可能である。
図48は、支持部の他の例を示す模式図である。同図に示す例においては、第1構成部材であるベースフレーム604と第2構成部材であるケースカバー605とから基板ボックス606が構成され、ケースカバー605の下壁における左右2箇所にはそれぞれ下方に突出する爪状の凸部605Rが一体的に形成されるとともに、ベースフレーム604の下壁には、上記ケースカバー605の凸部605Rに対応する左右2箇所に、爪状突起604Pがそれぞれ一体的に形成されている。該ベースフレーム604の爪状突起604Pは、前記実施形態における爪状突起601Pの場合とほぼ同様の外形をなして下方に突出するように成形されているが、該爪状突起604Pの内部には、ベースフレーム604の下壁の上面から下方に凹入する凹部604Rが形成され、該凹部604Rは上記ケースカバー605の凸部605Rに対応する内面形状を有するものとなっている。なお、本変更態様に係る基板ボックス606の支持部以外の構造は前記実施形態の場合とほぼ同様であり、このため図示および説明を省略する。
この例の場合、基板ボックス606は、遊技機の所定位置に配置された取付ベース部材607に設置され、このとき、ベースフレーム604の爪状突起604Pが位置決め部となり、取付ベース部材607の外枠壁607Cに形成された受容孔部607Pに挿入されて係合、支持されるが、この取付構造およびその手順は、前記実施形態において表示制御装置45の両爪状突起601Pを位置決め部として外包部材82の両受容孔部82Pに挿入して係合、支持させる場合と基本的に同様の構成となっており、したがってここではこれ以上の説明を省略する。一方、ケースカバー605をベースフレーム604に支持させる際には、ケースカバー605の凸部605Rをベースフレーム604の凹部604Rに挿入して係合、支持させるようになっており、したがってこの取付構造およびその手順も、前記実施形態において表示制御装置45の両爪状突起601Pを位置決め部として外包部材82の両受容孔部82Pに挿入して係合、支持させる場合と基本的に同様の構成となっている。換言すれば、本変更態様においては、ケースカバー605をベースフレーム604に支持させる支持部としても、また基板ボックス606を取付ベース部材607に設置する際の位置決め部としても、ほぼ同様に、突起物(凸部605R、爪状突起604P)を凹入部(凹部604R、受容孔部607P)に挿入して係合、支持させる構造となっており、このとき、爪状突起604Pの内部に凹部604Rが形成されていることにより、前者の係合・支持構造と後者の係合・支持構造とが、入れ子状に同一箇所に構成されているということができる。
(2)前記実施形態においては、爪状突起601Pが表示制御基板ボックス45Bから外側すなわち下方へ突出し、さらに、前項(1)に示した変更態様においては、凸部605Rがケースカバー605から外側すなわち下方へ突出する構成となっていたが、例えば、遊技機の所定位置(前記実施形態においては外包部材82における外枠壁82Cの下壁)に上方へ突出する突起を設け、該突起に対応して、基板ボックスから内側すなわち上方へ凹入する受容凹部等を設けるようにしてもよく、さらにまた、ベースフレームに上方へ突
出する凸部を設け、該凸部に対応して、ケースカバーから内側すなわち上方へ凹入する凹部等を設けるようにしてもよい(いずれも図示省略)。ただし、液晶表示画面の表示スペースをなるべく妨げないようにする観点からすれば、突起構造物は液晶表示画面側とは反対の外側へ突出させる構成とするほうが望ましい。
(3)前記実施形態においては、支持部である爪状突起601Pが表示制御基板ボックス45Bの下端部に配設されていたが、例えば、前記実施形態の場合と同様の支持部(位置決め部)を、基板ボックスの上端部ないし一方側部に配設し、一方の分割構成部材をヒンジ式に回動させて上方ないし側方から他方の分割構成部材に対し閉じるようにして組み付ける構成とすることも可能である。この場合、支持部(位置決め部)は、基板ボックスを下方の設置位置(前記実施形態においては外包部材82における外枠壁82Cの下壁)ではなく上方ないし側方の設置位置に合わせる位置決め部となり、したがって上方ないし側方に配置された他部材に対し位置決めを行うものであってもよい。上方に配置された他部材としては、例えば、装飾図柄表示装置42が配置される遊技盤30の開口を内側に包含する枠状の部材であるセンターフレームが遊技盤30の背面よりも後方に突出する場合の突出部等が挙げられ、側方に配置された他部材としては、例えば、入賞装置に入球した遊技球を受けて下方へ誘導する排出通路が形成された球集合板等が挙げられる。
(4)前記実施形態においては、表示制御基板ボックス45Bが、2つの分割構成部材すなわちベースフレーム601とケースカバー602とから構成され、表示制御基板ボックス45Bの前側の周縁部を構成する枠状部材であるベースフレーム601が第1構成部材、より大きい奥行を有して表示制御基板ボックス45Bの容積の大部分を占めるケースカバー602が第2構成部材とされていたが、ベースフレーム601とケースカバー602とのいずれを第1構成部材としいずれを第2構成部材とするか、さらには、いずれをベース部としいずれをカバー部とするかは、設計上の都合により適宜変更可能であって任意に定義し得る事項である。つまり、例えば第1構成部材と第2構成部材とが実質的に均等に構成されている場合(即ち基板ボックスが実質的に均等に2分割されて構成されている場合)だけでなく、前記実施形態におけるように、第1構成部材と第2構成部材とが不均等に構成されている場合であっても、いずれを第1構成部材としいずれを第2構成部材としても、またいずれをベース部としいずれをカバー部としてもよい。
また、基板ボックスを3つ以上の分割構成部材から構成するようにしてもよく、例えば、第1構成部材および第2構成部材の少なくとも一方をさらに分割構成して第3ないし第4構成部材を構成要素として付加するようにしてもよい。
(5)前記実施形態においては、表示制御基板ボックス45Bが、装飾図柄表示装置42を内部に収容し、その液晶表示画面を表示開口601Aから前方へ露出させる構成となっており、このため表示制御基板ボックス45Bの前面部の大部分が表示開口601Aにより開放されていたが、基板ボックスとしては、その用途、機能等に応じて、任意の形状のものを採用することができ、また、6面が完全には閉塞され得ないものであってもよく、前記実施形態の表示制御基板ボックス45Bのように1面部が大きく開口されたもの以外にも、例えば、比較的小面積の上面部、下面部および両側面部のうちのいずれか1面部が完全に開放されたものや、あるいは対向する1対の2面部が完全に開放されたもの(即ち上下面部または両側面部が完全に開放されて筒状に構成されたもの)等であってもよい。
(6)前記実施形態においては、パチンコ機10が例示されていたが、遊技機としては、パチンコ機以外にも、スロット機、パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機も例示される。
スロット機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)
の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。
この場合、有価物体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、有価物体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
なお本明細書は、次に掲げる発明をいずれも開示している。
パチンコ機などの遊技機には、遊技に関する制御を行うための各種制御基板が基板ボックスに収容されて配置されているものがある。さらに、この基板ボックスとしては、例えば、箱状体がベース部とカバー部とに分割構成され、該ベース部とカバー部とを、間に制御基板を収容した状態で互いに嵌着して閉塞するようにしたものが一般的である。
例えば下記特許文献1に開示されている遊技機においては、表示制御基板を備える表示制御装置が、ベース部を構成するベースプレート、窓枠フレーム等と、カバー部を構成するユニットカバーとを組み付けることにより、装飾図柄表示装置と一体化(ユニット化)された構成となっている。この構成におけるベース部とカバー部との組付構造を、例えば図49に簡略化して示すと、ベース部材901には複数の係合爪901aが形成され、これに対応してカバー部材902には係合孔902aが形成されていて、該係合爪901aを係合孔902aに係合させることによってベース部材901とカバー902部材とが互いに係合されて固定されるようになっている。
ところが、基板ボックスは近時ますます大型化して重量も増大する傾向にあるため、上記のような基板ボックスの構成ではベース部とカバー部とを組み付けづらく、基板ボックスの組立作業を非効率化する要因となっていた。
そこで、例えば図50に示すように、カバー部材912の一端縁(図50では下端縁)に、先端が側面視略円弧状に湾曲する係合片912bを形成し、この係合片912bに対応して、ベース部材911の一端縁(図50では下端縁)に、当該端縁に沿って延びる係合軸911bを形成し、矢印A11で示すように係合片912bを係合軸911bに係合させて軸支し、この軸支部をヒンジとして、矢印A12で示すようにカバー部材912を扉状に閉じて、ベース部材911の他端縁(図50では上端縁)に形成した係合爪911aをカバー部材912の他端縁(図50では上端縁)に形成した係合孔(図示省略)に係合させることによってベース部材911とカバー912部材とを互いに係合、固定することで基板ボックスを構成することもなされている。
この構成によれば、カバー部材912の重量を一端縁部でベース部材911にいったん預けた状態で、即ちカバー部材912をベース部材911に支持させた状態で、扉状に閉じるようにして組み付けることができるので、ベース部材911とカバー部材912との組付をしやすくすることができる。
特開2009−6011号公報
ところで、組立てた基板ボックスを所定位置に設置する際には、該基板ボックスの位置を容易かつ確実に所定位置に合わせる必要があり、このため、例えば図50に示すように、ベース部材911の一端縁(図50では下端縁)に位置決めボス(突起)911cを形成し、一方、設置対象である取付ベース913に位置決め孔(受容孔)913cを形成し
ておいて、該位置決めボス911cを位置決め孔913cに挿入することにより位置合せを行うようにすることもなされている。
しかしながら、上記のような構成では、前記係合爪911aや係合軸911b、係合片912b等に加えて位置決めボス911cを形成することで基板ボックスに凹凸構造物が多く形成されることとなり、そのぶん構成も煩雑となってスペースも多く占有することとなる。また、特に凹凸構造物は外力により破損しやすいので、これが多く形成されることで破損しやすい箇所も多数となる。
本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、基板ボックスの構成が簡略で占有スペースも節減され、破損を生じる機会も低減された遊技機を提供することを目的とする。
遊技機は、手段1として、
遊技に関する所定の制御を行う制御基板を基板ボックスに収容して構成された制御装置が所定位置に設置された遊技機であって、
前記基板ボックスが、少なくとも2つの分割構成部材から構成され、
前記少なくとも2つの分割構成部材のうちの一対の分割構成部材に、一方を他方に支持させ得る支持部が形成され、該支持部で一方の分割構成部材を他方の分割構成部材に支持させた状態でこれら一対の分割構成部材同士を組み付けることにより前記基板ボックスが組み立てられ、
前記支持部が、前記制御装置を所定位置に設置するための位置決め部として機能し得ることを特徴とする。
本発明において、「基板ボックス」とは、「基板ケース」とほぼ同一の内容を含意し、制御基板を収容し得るものであれば、その形状は任意であって、また6面が完全には閉塞され得ないものも含む。
また、一方の分割構成部材を他方の分割構成部材に支持させ得る支持部とは、例えば、一方の分割構成部材に形成された係合片と、該係合片を係合させて軸支し得る係合軸とを有して構成される支持部や、一方の分割構成部材に形成された凸部と、該凸部を嵌挿し得るように他方の分割構成部材に形成された凹部とを有して構成された支持部等をいずれも含意する。
上記手段1の構成によれば、基板ボックスを構成する2つ以上の分割構成部材のうちの一対の分割構成部材同士を、支持部で一方を他方に支持させた状態で組み付けることができ、したがって、組付作業を容易に行うことができる。このときさらに、支持部が位置決め部としても機能し得る構成、即ち、該支持部が、一方の分割構成部材を他方の分割構成部材に支持させる支持部としての機能と、基板ボックスを所定位置に設置するための位置決め部としての機能とを併せ持つ構成となっているので、これらの機能に一つずつ特化した部位をそれぞれ個別に配設した場合に比して、構成が簡略で占有スペースも節減することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段2として、手段1の遊技機において、
前記支持部が係合軸部を備え、前記一対の分割構成部材のうちの一方に、前記係合軸部に回動可能に係合、支持され得る湾曲係合片が形成されていることを特徴とする。
上記手段2の構成によれば、湾曲係合片を係合軸部で係合、支持することにより、該湾曲係合片が形成された一方の分割構成部材を、係合軸部を回動軸としてヒンジ式に回動するように閉じることができ、したがってこの閉動作を行いやすく操作性を良好とすることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段3として、手段2の遊技機において、
前記支持部が、湾曲係合片を係合軸部とともに内部に収容し得るものとなっていることを特徴とする。
上記手段3の構成によれば、支持部の内部空間を効率的に利用して省スペースとすることができ、また湾曲係合片および係合軸部を支持部により外力から防護することもできる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段4として、手段3の遊技機において、
前記湾曲係合片が前記支持部の内部に実質的に隙間をあけることなく密に収容されるようになっていることを特徴とする。
上記手段4の構成によれば、湾曲係合片ないし支持部を外力を受けても変形し難い状態に保持することができ、したがって破損を効果的に防止することができるとともに、湾曲係合片を係合軸部にガタつくことなく係合、支持させることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段5として、手段2から手段4のいずれかの遊技機において、
前記分割構成部材を閉じた状態において湾曲係合片の先端部が前記支持部により包囲されている(覆われている)ことを特徴とする。
上記手段5の構成によれば、外部から例えば不正具をこじ入れること等により湾曲係合片の先端部を動かして係合軸部との係合状態を解除することを困難とすることができ、したがって支持部における不正な開封操作を効果的に抑止することができる。また、例えば湾曲係合片の先端部が支持部で覆われていない場合に比して、特に位置決め部として要求される剛性を支持部で確保することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段6として、手段2から手段5のいずれかの遊技機において、
前記分割構成部材を閉じた状態において湾曲係合片の両側部が前記支持部により両側から覆われるようになっていることを特徴とする。
上記手段6の構成によれば、外部から不正具をこじ入れること等をより困難とすることができるとともに、湾曲係合片を側方へ脱離することもなく、より確実に係合軸部に係合した状態に保持することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段7として、手段1から手段6のいずれかの遊技機において、
前記支持部が、前記基板ボックスの一端縁部に形成され、当該一端縁部以外の少なくとも一つの端縁部に封止部が形成され、該封止部で前記基板ボックスが封止され得るようになっていることを特徴とする。
本発明において、「封止」とは、封止対象部材(ここでは基板ボックスの分割構成部材)を破断させたりしない限りは固定状態が解除し得ない状態、即ち、破壊、破断等の痕跡を残すことなしには開封することが困難な状態とすることを意味する。
上記手段7の構成によれば、基板ボックスの不正な開封操作をより効果的に抑止することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段8として、手段1から手段7のいずれかの遊技機において、
前記支持部が前記基板ボックスの下端部に配設されていることを特徴とする。
例えば、支持部を基板ボックスの上端部ないし一方側部に配設し、一方の分割構成部材を上方ないし側方から他方の分割構成部材に組み付ける構成とすることも可能であるが、これに対し上記手段8の構成によれば、一方の分割構成部材を他方の分割構成部材上に載置した状態で組み付けることができ、したがって、組付作業をより行いやすくすることができる。また同時に、位置決め部としての支持部が基板ボックスの下端部に配設されることともなるので、組み立てた基板ボックスを遊技機における所定位置に設置する際にも、基板ボックスを所定位置に載置した状態で組み付けることができ、したがって、基板ボックスの設置作業をより行いやすくすることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段9として、手段1から手段8のいずれかの遊技機において、
遊技機がパチンコ機であることを特徴とする。
パチンコ機の基本構成としては、操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて有価物体の一例である球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カード書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
パチンコ機にあっては、基板ボックスを構成する一対の分割構成部材に、一方を他方に支持させ得る支持部を形成し、該支持部で一方の分割構成部材を他方の分割構成部材に支持させた状態でこれら一対の分割構成部材同士を組み付けることにより基板ボックスを組み立て、該支持部を、制御装置を所定位置に設置するための位置決め部としても機能し得るものとしたことにより、支持部の機能と位置決め部の機能とに一つずつ特化した部位をそれぞれ個別に配設した場合に比して、構成が簡略化されて占有スペースも節減されたパチンコ機が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段10として、手段1から手段8のいずれかの遊技機において、
遊技機がスロット機であることを特徴とする。
スロット機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。
この場合、有価物体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
スロット機にあっては、基板ボックスを構成する一対の分割構成部材に、一方を他方に支持させ得る支持部を形成し、該支持部で一方の分割構成部材を他方の分割構成部材に支持させた状態でこれら一対の分割構成部材同士を組み付けることにより基板ボックスを組み立て、該支持部を、制御装置を所定位置に設置するための位置決め部としても機能し得るものとしたことにより、支持部の機能と位置決め部の機能とに一つずつ特化した部位をそれぞれ個別に配設した場合に比して、構成が簡略化されて占有スペースも節減されたスロット機が得られる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段11として、手段1から手段8のいずれかの遊技機において、
遊技機がパチンコ機とスロット機を融合させた遊技機であることを特徴とする。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、有価物体として球を使用するとともに、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機にあっては、基板ボックスを構成する一対の分割構成部材に、一方を他方に支持させ得る支持部を形成し、該支持部で一方の分割構成部材を他方の分割構成部材に支持させた状態でこれら一対の分割構成部材同士を組み付けることにより基板ボックスを組み立て、該支持部を、制御装置を所定位置に設置するための位置決め部としても機能し得るものとしたことにより、支持部の機能と位置決め部の機能とに一つずつ特化した部位をそれぞれ個別に配設した場合に比して、構成が簡略化されて占有スペースも節減された、パチンコ機とスロット機を融合させた遊技機が得られる。