以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の斜視図である。図1および図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
また、内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、図示しない樹脂ベースと、この樹脂ベースの後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。前面枠セット14の構成については、後に具体的に記述する。
上記下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と灰皿22と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。上記音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。また、灰皿22は下皿15の左方に設けられている。灰皿22は左右方向(水平方向)の軸線を軸心にして回動(例えば前方側に向けて前回り)するように、その右側が下皿15に片待ち支持されている。
なお、下皿ユニット13はその大部分が内枠12と同様、ABS樹脂にて成形されている。
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方に内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたのであるが、本形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。この上皿19も下皿15と同様、表面層が難燃性のABS樹脂にて成形される構成となっている。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
加えて、前面枠セット14には、後述するように、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
次に、図3〜図4を用いて遊技盤30の構成を説明する。図3は遊技盤30の構成を示す正面図である。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動口33、第2の始動口34(スルーゲートで構成)、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が設けられている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33、第2の始動口34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、収容部の入口61が配置されている。収容部の入口61については、後に言及する。収容部の入口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
上記特別図柄表示装置38は、第1の始動口33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置41は第2の始動口34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
上記特別図柄表示装置38は2色のLED38a,38bで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。各LED38a,38bは、例えば赤色と緑色との可変表示がなされるようになっている。
上記装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
上記普通図柄表示装置41は、普通図柄用のランプ41a,41bを備えている。この実施例では、普通図柄用のランプ41aは、例えば、装飾図柄表示装置42の表示両面の上方に設けられ、その外観形状は「○」形状となっている一方、普通図柄用のランプ41bは、ランプ41aの右上側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置41は、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えばランプ41a、41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、ランプ41a,41bが交互に光り、ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、ランプ41a,41bは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置38が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50の構成については、後に具体的に記述する。
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図4はパチンコ機10の背面図である。
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板(装置)、電源監視基板(装置)、及びサブ制御基板(装置)を一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板(装置)、発射制御基板(装置)及び電源基板(装置)を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構および保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更に、これに加え、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板と、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御と音声ランプ制御とを司るサブ制御基板とを有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。この基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックス263が封印される。
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
次に、前記第2制御基板ユニット202は、払出制御基板、発射制御基板、電源基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記発射制御基板により遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われ、上記電源基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース280内に収納されており、上記電源基板は、透明樹脂材料等よりなる電源基板ケース281内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース314内に収納され、上記発射制御基板は透明樹脂材料等よりなる図示しない発射制御基板ケース内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
上記払出制御基板は状態復帰スイッチ321と電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチ388の左方には、前面枠開検出スイッチ389が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチ389からホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図5を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置38は上記したように特別図柄表示ランプ38a,38bで構成されており、普通図柄表示装置41は上記したように普通図柄表示ランプ41a,41bで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
ここで、特別図柄表示装置38、普通図柄表示装置41、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置38で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
先ず、特別図柄表示装置38の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、特別図柄表示ランプ38a,38bの色変化(赤色・緑色の変化)や点滅等の点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動口33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、特別図柄が揃っている場合、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが同一色の点灯状態となっているときは大当たりとなり、変動表示の停止時に特別図柄が揃っていなければ、即ち、特別図柄表示ランプ38a,38bが異色の点灯状態となっているときは、外れとなり、始動口33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動口33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、本形態では、変動表示の停止時において、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色の点灯状態であれば、特定図柄(確率変動図柄)とみなされ、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色の点灯状態であれば、非特定図柄(非確率変動図柄)とみなされる。
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動口33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
次いで、普通図柄表示装置41の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、普通図柄表示ランプ41a(外観が○形状)と、普通図柄表示ランプ41b(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動口34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、表示ランプ41aで停止した場合に第1の始動口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置38の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置38の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置38が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動口33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せ(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で点灯する場合)によって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合(本実施形態においては特定図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で点灯する場合)をいう。
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置38における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に緑色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、特別図柄表示ランプ38a,38bが共に赤色で停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、2つの表示ランプ38a,38bで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動口33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置38による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動口34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動口34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動口33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口61からの入球を収容部(図示せず)に収容し、該収容部に設けた排出部から検出センサ(図示せず)に至って検出するように構成されている。
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動入賞装置33(33a及び33b:図3参照)が設けられ、前記始動入賞装置33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記大入賞口61から収容部に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサにより検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
(特徴構成)
本パチンコ機10は、図1および図2に示すように、遊技盤30の盤面を覆う前面扉として、前面枠セット14を備えるものとなっている。前面枠セット14には、中央の大部分を占有するように、略円形状の窓部101が穿設されている。該窓部101を通して、遊技盤30の前面においてレールユニット50により区画形成される遊技領域の大部分が前方より視認されるようになっている。即ち、該窓部101が、遊技盤30の遊技領域を前方から視認可能とする第1開口部となっている。
前面枠セット14の上端縁と窓部101との間の領域には、中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rが穿設されている。窓部101の上端縁中央部には、該窓部101の周縁に沿って正面視略円弧状にやや湾曲しながら前後に略平板状に延びる鍔状部101Eが形成されている。鍔状部101Eの横幅は前面枠セット14の横幅のおよそ半分程度となっている。鍔状部101Eの両端部からは、それぞれ側壁101Sが中央側へやや傾斜しながら前面枠セット14の上端縁まで延びるように立設されている。鍔状部101E、側壁101Sおよび前面枠セット14の上端縁により包囲された正面視概略台形状の領域の背面部は前後方向に貫通しており、これにより中上開口部103Cが形成されている。
窓部101の周縁には、前記環状電飾部102が配設されているが、側壁101Sに遮られるようにして、窓部101の上端縁中央部すなわち中上開口部103C形成領域では環状電飾部102が欠落している。中上開口部103Cの両側すなわち側壁101Sの両外側において、前面枠セット14の上端縁と環状電飾部102との間の領域の大部分では、前面枠セット14が前後方向に貫通しており、これにより左上開口部103Lおよび右上開口部103Rがそれぞれ形成されている。左上開口部103Lおよび右上開口部103Rの下端縁、中央側縁および上端縁はそれぞれ環状電飾部102、側壁101Sおよび前面枠セット14の上端縁に沿って延び、全体として概略六角形状となるように形成されている。中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rを通して、前記遊技盤30の前面における遊技領域の上端部が前方より視認されるようになっている。即ち、該中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rが、遊技盤30の遊技領域の少なくとも一部を前方から視認可能とする第2開口部となっている。
前面枠セット1の裏側面には、中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rを内側から覆うようにしてガラス板が嵌着されている(図示省略)。
図3に示すように、遊技盤30におけるレールユニット50は帯状[リング状]をなす金属板にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51および外レール52の後側端縁(遊技盤30に対向する端縁)には、所定間隔をおいて複数個所に鋲56が設けられており、内レール51および外レール52は該鋲56を打ちつけるようにして遊技盤30に取り付けられている。
内レール51は、遊技盤30の盤面における右下の隅部よりやや上方で右側縁よりやや内側寄りの位置から、下端縁中央よりやや内側寄り(やや上方)の位置をアウト口36を横断するように通り、左側縁中央よりやや内側寄りの位置まで、略円弧状をなすように延びている。さらに、遊技盤30の盤面における左側縁に沿って直線的に上方へやや延び、その上端からやや右上方の位置まで、緩く弧状に湾曲しながら延びている。外レール52は、遊技盤30の盤面における下端部中央よりやや左寄りの位置すなわちアウト口36の左下方の位置から、内レール51の外側にやや間隔をおいて、内レール51とほぼ相似な形状をなして上方へ延びている。内レール51は上述の通り遊技盤30の盤面における左側縁に沿って直線的に上方へ延びてからやや右上方へ延びたところで終端(左上端)となっているが、外レール52は、この内レール51の終端に対応する外側の位置よりもさらに右上方へ延び、遊技盤30の盤面における上端縁に突き当たる直前の位置から、該上端縁に沿って右方へ直線的に延びている。さらに、遊技盤30の盤面における右上の隅部近傍まで延びたところで、右側縁の上端よりやや下方のやや内側寄りの位置まで、緩く弧状に湾曲しながら延びている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図3の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。
以上のようにしてレールユニット50は、遊技盤30の盤面における下側半部においては、おおよそ略半円形状をなして延び、上側半部においては、右上および左上の隅部が丸く角落ちした概略矩形状をなして延びており、これにより全体として、概略D字を時計回りに90°回転させた形状(以下、「転倒D字形状」とも称す)の遊技領域を区画形成している。このとき、従来のパチンコ機においては、遊技領域が略円形状に区画形成されるのが一般的となっていた。これに対し、本パチンコ機10においては、遊技盤30の盤面における上端部のスペースをさらに可及的に利用して、略円形状を上方に概略矩形状に膨出させるようにして概略転倒D字形状とした遊技領域が区画形成されている。
前面枠セット14は、前述の通り、第1開口部として略円形状の窓部101を有しているが、この窓部101が、上記概略転倒D字形状の遊技領域において従来と共通する略円形状の基本領域を前方から視認可能とするものとなっている。一方、前面枠セット14は、前述の通り、第2開口部として中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rを有しているが、これら中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rが、上記概略転倒D字形状の遊技領域において従来の略円形状の基本領域を上方へ拡大する拡張領域を前方から視認可能とするものとなっている。
したがって上記本パチンコ機10の構成によれば、概略転倒D字形状の遊技領域において従来と共通する略円形状の基本領域においては、遊技球が流下して入賞装置に入球したり入球せずにアウト口36から排出されていく状況や、装飾図柄表示装置42における表示内容といった、遊技の主要な状況が第1開口部である窓部101を通して前方から視認される。さらに加えて、上方の拡張領域においては、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技領域内へと遊技球が案内されていく状況や、遊技球発射装置から強く発射された遊技球が遊技領域の上端部や右上端部まで打ち出されてから遊技領域内を流下していく状況等が、第2開口部である中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rを通して前方から視認される。即ち、本パチンコ機10においては、遊技領域が従来よりも上方へ大きく拡大された構成となっている。
なお、上記構成において、例えば、前面枠セット14の構成はそのままとし、遊技盤の遊技領域を従来と同様の略円形状に形成するように変更してもよい。即ち、遊技領域は従来と同様に専ら第1開口部である窓部101を通して前方から視認可能とする一方、遊技盤の盤面における上端部は、遊技領域外の盤面を第2開口部である中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rを通して前方から視認可能としてもよい。このような構成の場合、遊技盤の上端部における遊技領域外の盤面を遊技領域内の盤面と同様の意匠により構成し、さらに好ましくは釘等も配設しておくようにすれば、この上端部における遊技領域外の盤面を、実際に遊技球は流下しないとしても、少なくとも、第2開口部である中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rを通して、あたかも遊技領域が拡張した拡張領域であるかのように見えるようにすることができる。さらにこの場合、例えば、遊技盤の上端部における一部あるいは遊技盤の全体を透明性を有する樹脂で成形し、遊技盤の上端部の裏側にLEDランプ等の発光部を配設して、遊技盤と第2開口部である中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rとを通して前方に光を照射する構成とすることもできる。この構成によれば、遊技盤、特に遊技領域の内外が、それ自体で発光しているかのような発光態様とすることができる。したがって、例えば専ら前面枠セット14の前面等から光を照射する構成によっては得られない効果的な発光演出を可能とすることができる。
(作用)
本パチンコ機10は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤30と、上記遊技盤30の遊技領域を前方から視認可能とする第1開口部として窓部101を有して上記遊技盤30の盤面を覆う前面扉として前面枠セット14とを備える構成において、上記前面枠セット14が、上記窓部101の外側に、遊技盤30の遊技領域の少なくとも一部を前方から視認可能とする第2開口部として中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rを有する構成となっている。
本パチンコ機10の構成によれば、第1開口部である窓部101によって遊技領域が前方から視認可能となっているのに加えて、第2開口部である中上開口部103C、左上開口部103Lおよび右上開口部103Rに対応する遊技盤30の盤面の上端部が前方から視認可能となっているので、この第2開口部に対応する部分も遊技領域の一部を構成するスペースとして確保されている。即ち、第2開口部を配設することにより、遊技領域が効果的に拡大されている。また、この第2開口部に対応する部分を遊技領域としない場合でも、遊技盤30の盤面を前方から視認可能とすることにより、少なくとも、あたかもこの第2開口部に対応する部分まで遊技領域となっているかのように見える構成とすることができる。
さらに、遊技盤の盤面において第2開口部に対応する部分を遊技領域としない場合、第2開口部に対応する部分の盤面を遊技領域内の盤面と同様の構成とすると、この遊技領域としない部分をより遊技領域らしく見えるようにすることができる。
さらにまた、遊技盤において少なくとも第2開口部に対応する部分を透明性を有する樹脂で成形し、この部分の裏側に発光部を配設して、遊技盤と第2開口部とを通して前方に光を照射する構成とすると、遊技盤自体が発光しているかのような発光態様とすることができ、したがって効果的な発光演出が可能となる。
(変更態様)
上記実施形態には、例えば以下に示すように種々の変更を加えることが可能である。
(1)第2実施形態
上記実施形態(以下、第1実施形態とも称す)においては、第1開口部が、従来と同様の略円形状の窓部101となっていたが、例えば図6および図7に示す変更態様のように、第1開口部を従来よりも拡大した構成としてもよい(以下、第2実施形態とも称す)。
第2実施形態に係るパチンコ機10Cは、図6および図7に示すように、第1実施形態の場合と同様に前面枠セット27を備えるものとなっている。ただし、第1実施形態に係る前面枠セット14が下皿ユニット13よりも上側の範囲で開閉自在に取り付けられた前面扉であったのに対し、第2実施形態に係る前面枠セット27は、パチンコ機10Cの前面部全体の範囲で開閉自在に取り付けられた前面扉となっている。即ち、第2実施形態に係る前面枠セット27は、第1実施形態に係る前面枠セット14よりも、下方へ最大限に拡大された前面扉となっている。
第2実施形態に係る前面枠セット27は、パチンコ機10Cの高さの約1/4程度に相当する高さh11(図6参照)を有する、正面視横長の長方形状の下端部が、図7に示すように、平面視概略C字形状をなすように前方へ湾曲しながら張り出して張出部27Pが形成されている。図6に示すように、張出部27Pの前面には、中央が上下に広く、右下および左下へかけて次第に緩やかに狭小化していき、角部が丸く形成された、全体として正面視概略山形状の下皿開口27Sが形成され、該下皿開口27Sの内部が下皿となっている(内部構成は図示省略)。下皿開口27Sの右下端近傍の位置には、遊技球発射ハンドル28が手前側に突出するように配設されている。下皿開口27Sの右端近傍および左端近傍と、張出部27Pの上端縁との間には、それぞれ下側スピーカ部29が配設されている。張出部27Pの右上の隅部には、前面枠セット27を開放操作するためのシリンダ錠37が配設されている。
図7に示すように、張出部27Pの上端縁部より内側には、張出部27Pと相似形であって張出部27Pより小さく、遊技球数個分程度の高さを有する内側壁部27Nが、張出部27Pと同様に平面視概略C字形状をなすように前方へ湾曲しながら張り出す形状となるように形成されている。内側壁部27Nの下端縁と張出部27Pの内側面との間には底壁部27Bが形成され、該底壁部27Bは張出部27Pの上面部を閉塞する上壁部ともなっている。張出部27Pの上端縁部、内側壁部27Nおよび底壁部27Bにより、張出部27Pの上面部に、平面視概略C字形状をなして上方から遊技球数個分程度の深さで凹入する上皿部27Tが形成されている。内側壁部27Nの内側は、平面視概略三日月状(部分円状)の空隙部27Cとなっている。上皿部27Tの左端の奥壁部には払出口27Dが配設され、該払出口27Dから上皿部27Tに遊技球が払い出されるようになっている。
前面枠セット27における張出部27Pより上側は、パチンコ機10Cの前面部における周縁部を覆う装飾部27Mとなっている。装飾部27Mは、基本的に、曲線状に湾曲しながら延びる部位を組み合わせて構成されるやや複雑な形状に成形されている。
張出部27Pにおけるシリンダ錠37の直上部からは、パチンコ機10Cの前面部における右側縁に沿って上端部まで、側縁前側片271が延びている。側縁前側片271は、シリンダ錠37の直上部からパチンコ機10Cの高さ方向中央部近傍まで、パチンコ機10Cの前面部における右側縁部を前方から覆うように延びている。そこから、パチンコ機10Cの右側縁部より離れてやや左上前方へ張り出すように延出してから、やや右上後方へ緩やかに丸く湾曲して再びパチンコ機10Cの右側縁部に復帰し、これにより、側縁前側片271の中間部に、概略弓形状をなして左前方へ張り出す側縁張出部271Pが形成されている。側縁張出部271Pは、上述の通り上下に概略弓形状に湾曲しながら延びるとともに、パチンコ機10Cの右側縁部から左前方へ、平面視概略弧状に外側へ湾曲しながら張り出している。側縁張出部271Pの上端部からは、パチンコ機10Cの前面部における右側縁部を前方から覆いながらその上端部まで延びている。側縁張出部271Pを除く側縁前側片271の上下部の右側縁は、パチンコ機10Cの前面部における右側縁に一致しながら上下に延びている。側縁張出部271Pを含む側縁前側片271全体の左側縁は、側縁張出部271Pの位置で左前方へ湾曲しながら延び、側縁前側片271の上下部の位置で逆に右後方へ湾曲しながら延び、全体として緩やかに波状に蛇行しながら上下に延びている。
パチンコ機10Cの前面部における右上の隅部には、上隅部被覆部272が形成されている。上隅部被覆部272は、パチンコ機10Cの前面部における右上端部から、中央方向すなわち左下方向へ、正面視概略釣鐘形状をなして拡大しながら延びている。上隅部被覆部272は、右上端部から、緩やかに湾曲面をなして前方へやや膨出しながら左下方向へ延び、左下部では逆に後方へやや後退しながら、左下端縁部まで延びている。上隅部被覆部272には、右上端部から左下端縁部まで、該上隅部被覆部272の正面形状に沿ってやや拡開しながら延びる複数(4本)の開裂部が形成され、裏側にスピーカが配置固定されて上側スピーカ部39となっている。
上隅部被覆部272における右側端縁の右上半部は、側縁前側片271の上端部と一体化している。上隅部被覆部272の右下端部からは、側縁後側片273が垂下するように延出している。側縁後側片273は、横断面において前後にやや長く延びる帯状で、上隅部被覆部272の右下端部から、側縁前側片271の側縁張出部271Pにおける先端部の後方を通って、張出部27Pの近傍の高さ位置まで、ほぼ直線的にほぼ垂直に延び、その下端部で前方や左方へ湾曲壁状に拡がって、張出部27Pや側縁前側片271と連続的に一体化している。側縁後側片273の上端近傍からは、右前上方へむけて、平面視概略弧状に外側へ湾曲しながら、上側架橋片274Tが延出し、側縁前側片271における側縁張出部271Pより上方の位置に一体化している。側縁後側片273の下端近傍からは、右前下方へむけて、平面視概略弧状に外側へ湾曲しながら、下側架橋片274Bが延出し、側縁前側片271における側縁張出部271Pより下方の位置に一体化している。
パチンコ機10Cの前面部における右上の隅部と左上の隅部との間には、パチンコ機10Cの前面部における上縁に沿って、上縁前側片275が延びている。上縁前側片275は、上隅部被覆部272における左側端縁の右上半部から、パチンコ機10Cの前面部における上縁部の右端から概ね1/3程度を前方から覆うように延び、そこから、パチンコ機10Cの上縁部より離れてやや左下前方へ張り出すように延出してから、やや左上後方へ緩やかに丸く湾曲して再びパチンコ機10Cの上縁部に復帰し、これにより、上縁前側片275の中間部に、概略弓形状をなして前下方へ張り出す上縁張出部275Pが形成されている。上縁張出部275Pは、上述の通り左右に概略弓形状に湾曲しながら延びるとともに、パチンコ機10Cの上縁部から前下方へ、縦断面概略弧状に外側へ湾曲しながら張り出している。上縁張出部275Pの左端部からは、パチンコ機10Cの前面部における上縁部を前方から覆いながらその左端部まで延びている。上縁張出部275Pを除く上縁前側片275の左右両側部の上縁は、パチンコ機10Cの前面部における上縁に一致しながら左右に延びている。上縁張出部275Pを含む上縁前側片275全体の下縁は、上縁張出部275Pの位置で前下方へ湾曲しながら延び、上縁前側片275の左右両側部の位置で逆に後上方へ湾曲しながら延び、全体として緩やかに波状に蛇行しながら左右に延びている。上縁前側片275は、概ね、上記側縁前側片271を反時計回り方向に90°回転させて長さを短縮したような形状となっている。パチンコ機10Cの前面部における上縁部の中央からは、前下方へむけて、側面視概略弧状に外側へ湾曲しかつ正面視やや先細となるように、中央架橋片276が延出し、上縁前側片275における上縁張出部275Pの中央部に一体化している。
装飾部27Mの左側部は、上述の右側部と対称となるように構成されている。このため、その説明は省略する。右側の上隅部被覆部272の左端部と、左側の上隅部被覆部272の右端部との間には、上縁後側片277が一体的に延びている。上縁後側片277は、縦断面において前後にやや長い帯状で、上縁前側片275における上縁張出部275Pの先端の後方を通って、左右にほぼ直線的にほぼ水平に延びている。
以上の通り、装飾部27Mは、パチンコ機10Cの前面部における周縁部を前方から覆うように、両側の側縁前側片271、271および上縁前側片275が蛇行しながら延び、右上の隅部および左上の隅部を前方から覆うようにそれぞれ上隅部被覆部272、272が形成され、さらに、正面視ではこれら両側縁前側片271、271、上縁前側片275および両上隅部被覆部272、272の内側端を結ぶように、これらよりもやや後方の位置に、両側縁後側片273、273および上縁後側片277が延びる構成となっている。即ち、装飾部27Mは、パチンコ機10Cの前面部における左右両側縁および上縁から、これよりやや内側寄り(中央寄り)の位置までの、ある程度の幅の領域すなわち周縁領域を前方から覆う枠状に成形され、該装飾部27Mよりも内側(中央側)の領域を開放して第1開口部を形成している。また、装飾部27Mは、パチンコ機10Cの前面部における左右両側縁および上縁から、前方へ膨出するように湾曲しながら内側へ延出しており、したがって概ね中空となっている。また、両側縁張出部271P、271Pおよび上縁張出部275Pのそれぞれの内側に形成された概略三日月状(部分円状)の開口部271S、271S、275Sや、両側縁前側片271、271と両側縁後側片273、273との間の部分等のように、装飾部27Mが占有する枠状の領域内に、前後に貫通していて後方が視認可能となっている領域が多く形成されて第2開口部となっている。
前面枠セット27は、図8に模式的に示すように、ベース枠部材43に前方から取り付けられる。同図に示すように、前面枠セット27において、例えば装飾部27Mは、周端縁部(最外端縁部)が周壁状に後方へ延出し、一方これに対応して、ベース枠部材43の周端縁部(最外端縁部)が周壁状に前方へ延出しており、両者の周壁状部を突き合わせるようにして、前面枠セット27がベース枠部材43に対して取り付けられる。前面枠セット27の左側部はヒンジ構造により上下方向の軸を中心に回動自在に取り付けられ(図示省略)、これにより図8に矢印A11で示すように、前面枠セット27がベース枠部材43に対し左側縁部を軸として開き戸状に開閉自在に取り付けられている。前面枠セット27の右側部は、係合爪と係合突起とによりベース枠部材43の右側部に係合してロックされ得るように構成され、このロックが前記シリンダ錠37での解錠操作により解除され得るようになっている(図示省略)。
前面枠セット27における周壁状部の前後方向中央部近傍には、内側に延出する取付レール27Rが形成されており、該取付レール27Rに嵌着するようにしてガラスパネル44が取付固定されている。ガラスパネル44は、パチンコ機10Cの前面部を、これに平行な体勢でほぼ全面的に覆う透明パネルとなっている。
ベース枠部材43の内側において、前側端からやや内奥方の位置には内側へ断面矩形状に突出する取付段部43Sが形成されており、該取付段部43Sに遊技盤46が嵌着するようにして固定手段(図示省略)により取付固定されている。遊技盤46は、図6および図7に示すように、上端縁および両側端縁が前面枠セット27における装飾部27Mの上端縁および両側端縁に可及的に近接するとともに、下端縁が前面枠セット27における張出部27Pの上端縁よりもやや下方まで入り込むような寸法に調製されており、これにともない該遊技盤46の盤面には、上方および両側方へ大きく広がるとともに、張出部27Pの裏側にまで入り込む程度に下方へ大きく広がる遊技領域が形成されている。また、遊技盤46は透明性を有する樹脂で成形され、裏面には、前方から視認可能なデザインとされた印刷層を含む塗膜層が形成されている(図示省略)。この塗膜層は、印刷層のデザインを前方から視認し得るようにするとともに、遊技盤46の後方の状況を隠蔽して前方から視認し難くするものとなっているが、後述するLED基板47からの発光を後方から受けて光るようになっている。なお、図6および図7における48は装飾図柄表示装置である。
図8に示すように、ベース枠部材43の内側において取付段部43Sより内側は凹部となっており、該凹部の内奥面には発光部としてLED基板47が配置固定されている。該LED基板47から前方の遊技盤46へ光が照射され、これにより、パチンコ機10Cの前方からみて遊技盤46が明るく光って視認されるようになっている。
(第2実施形態による作用)
第2実施形態に係るパチンコ機10Cは、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤46と、上記遊技盤46の遊技領域を前方から視認可能とする第1開口部として装飾部27Mより内側の領域を有して上記遊技盤46の盤面を覆う前面扉として前面枠セット27とを備える構成において、上記前面枠セット27が、上記第1開口部の外側すなわち装飾部27Mが占有する枠状の領域内に、遊技盤46の遊技領域の少なくとも一部を前方から視認可能とする第2開口部として開口部271S、271S、275S等を有する構成となっている。
第2実施形態に係るパチンコ機10Cの構成によれば、第1開口部である装飾部27Mより内側の領域によって遊技領域が前方から視認可能となっているのに加えて、第2開口部である開口部271S、271S、275S等に対応する遊技盤46の盤面の周縁部が前方から視認可能となっているので、この第2開口部に対応する部分も遊技領域の一部を構成するスペースとして確保されている。即ち、第2開口部を配設することにより、遊技領域が効果的に拡大されている。また、この第2開口部に対応する部分を遊技領域としない場合でも、遊技盤46の盤面を前方から視認可能とすることにより、少なくとも、あたかもこの第2開口部に対応する部分まで遊技領域となっているかのように見える構成とすることができる。
さらに、遊技盤の盤面において第2開口部に対応する部分を遊技領域としない場合、第2開口部に対応する部分の盤面を遊技領域内の盤面と同様の構成とすると、この遊技領域としない部分をより遊技領域らしく見えるようにすることができる。
さらにまた、遊技盤46において少なくとも第2開口部に対応する部分、即ち遊技盤46の全体が透明性を有する樹脂で成形され、この部分の裏側に発光部としてLED基板47が配設され、遊技盤46と第1および第2開口部とを通して前方に光が照射される構成となっているので、遊技盤46自体が発光しているかのような発光態様とすることができ、したがって効果的な発光演出が可能となっている。
また、前面枠セット27の下端部に、前方へ張り出す張出部27Pが形成され、該張出部27Pの内側に空隙部27Cが形成されているので、遊技盤46の盤面における空隙部27Cの後方の領域が遊技者から視認可能となっている。したがって遊技領域がこの領域を利用して下方まで拡大されている。
即ち、一般に、パチンコ機の下端部においては、例えば第1実施形態に係るパチンコ機10を示す図2にも表れているように、前面枠セット14における上皿19の配設位置以下の部分では、基本的に裏側(後側)の状況は隠蔽されて前方から視認し得ないようになっている。これに対し、第2実施形態に係るパチンコ機10Cにおいては、図9に模式的に示すように、上皿部27Tが配設されている張出部27Pが前方へ張り出すように形成され、これにともない、前面枠セット27のすぐ後方に配置されるガラスパネル44の前方には空隙部27Cが形成されている。ここで、通常の遊技体勢にある遊技者の眼は上皿部27Tよりも高い位置にあるため、張出部27Pの裏側(後側)の状況であっても、図9の矢印A12で示すように、空隙部27Cを通して前上方から視認することができる。即ち、遊技盤46の盤面において、上皿部27Tが配設されている張出部27Pの上端と等しい高さ位置以下の下端部領域R1であっても、図9の矢印A12で示すように、前上方からの遊技者の視線が空隙部27Cを通して到達することができるため、前方から視認可能となっている。したがって、遊技盤46の盤面においてこの下端部領域R1にまでも及ぶように遊技領域を下方まで拡大することが可能となっている。即ち、上述のように張出部27Pを前方へ張り出すように形成して空隙部27Cを形成することにより、張出部27Pの裏側部までも及ぶように遊技領域が下方まで拡大された構成となっている。
これにより、第2実施形態に係るパチンコ機10Cにおいては、上述のように第2開口部である開口部271S、271S、275S等を形成することによって、パチンコ機10Cの前面部における両側方および上方へ遊技領域が従来よりも大きく確保されているとともに、張出部27Pを前方へ張り出すように形成して空隙部27Cを形成することにより、パチンコ機10Cの前面部における下方へ遊技領域が従来よりも大きく確保されている。即ち、遊技盤46の盤面において全方向的に従来よりも大幅に拡大された遊技領域が形成されている。
さらにまた、装飾部27Mがパチンコ機10Cの前面部における周縁部を局所的に覆うように構成され、これにより、第1開口部である装飾部27Mより内側の領域が大きく開放されるように形成されている。これにより、遊技領域の視認性や開放感も大幅に向上した構成となっている。
また、従来の前面扉では、遊技領域を視認可能とする中央の開口部の外側の領域に、LED基板等の発光手段が内部に配設されることも多くなっているが、これに対し第2実施形態に係るパチンコ機10Cにおいては、上述のように光透過性を有する遊技盤46の後方(裏面側)に発光部であるLED基板47が配置され、前面枠セット27の装飾部27Mは、上隅部被覆部272、272を除いて、基本的に内部に部品は配設されず概ね中空となっているので、上述のように開口部271S、271S、275S等の第2開口部の開口面積が大きく確保できるようになっている。また、装飾部27Mは、このように内部に部品を配設する必要がなく、また開口面積も大きくすることを意図する部材となっていることから、やや細長く延びる両側の側縁前側片271、271および上縁前側片275が波状に蛇行しながら延びるようなデザインがむしろ好適となっている。即ち、内部に部品を配置したり内部を隠蔽するように覆ったりすることを意図するような従来の前面扉の場合とは反対に、線状の部分が多くの空隙を形成しながら任意の曲線形状をなして延びるようなデザインの方が好ましくなっていて、このため従来よりも変則的でデザイン性(装飾性)が高く、視覚的にインパクトがあって眼を引きやすい装飾部27Mとなっている。また、部材の体積も小さいためそのぶん構成材料も少なくてコストも低減されている。即ち、低コストであって、開口面積も大きく確保でき、大胆で斬新なデザインとして意匠性にも優れた装飾部27Mとなっている。
また特に、装飾部27Mにおいては両側縁張出部271P、271Pが、それぞれ左前方および右前方へ、即ち中央側へ次第に前方へ膨出しながら張り出しているので、隣の遊技者からの視線がこの両側縁張出部271P、271Pに妨げられるようになっている。これにより、例えば遊技領域の中央部における遊技の状況が隣の遊技者から視認され難く、したがって、隣の遊技者からの視線を気にすることなく落ち着いて遊技に集中しやすいという心理的な効果も得られる形状となっている。即ち、装飾部27Mの両側縁張出部271P、271Pが、デザイン性(装飾性)を向上させるだけでなく、目隠し(隠蔽部材)のような機能も奏するようになっている。
また、第2実施形態に係るパチンコ機10Cは、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤46と、上記遊技盤46の遊技領域を前方から視認可能とする第1開口部として装飾部27Mより内側の領域を有して上記遊技盤46の盤面を覆う前面扉として前面枠セット27とを備える構成において、上記前面枠セット27が、上記第1開口部の内周縁の少なくとも一部を構成する装飾部27Mの両側縁後側片273、273および上縁後側片277が、上記遊技盤46の盤面との間に隙間部27Gを形成するように配設されている構成となっている。
第2実施形態に係るパチンコ機10Cの構成によれば、図8に矢印A13で示すように、第1開口部の外側の領域においても、隙間部27Gを通して、遊技盤46の盤面が前方から視認しやすくなっている。即ち、図8に矢印A13で示すように、遊技者の視線が、前方の中央あたりから隙間部27Gを通して外側へ斜方に延び、遊技盤46の盤面における第1開口部より外側の周縁部にも及ぶことができるようになっている。
換言すれば、第2開口部である開口部271S、271S、275S等を配設する以外にも、第1開口部の内周縁の少なくとも一部と遊技盤46の盤面との間に隙間部27Gを形成することによっても、遊技盤46の盤面の周縁部を前方から視認可能としてこの周縁部も遊技領域の一部を構成するスペースとして確保されている。
また、第2実施形態に係るパチンコ機10Cは、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤46と、上記遊技盤46の盤面を覆う前面扉として前面枠セット27とを備える構成において、上記前面枠セット27が、前面側の前面部材となっていて、後面側のベース部材であるベース枠部材43に支持された構成を有し、上記前面枠セット27が、光透過性を有する支持部材であるガラスパネル44と一体化された構成となっている。
従来の前面扉としては、例えば図10に示す前面扉149のように、装飾形状に成形された前面部材157が、後面側(裏面側)のベース部材158に支持固定された構成となっているのが一般的となっている。また、発光部を設ける場合には、通常、同図に示すようにベース部材158上にLED基板162等の光源が配設される。
上述のような構成の前面扉149の場合、例えばLED基板162の配置のようなベース部材158の構成は、前面部材157の構成により大きく制約を受ける。例えば特に、前面部材157をベース部材158に安定して支持させて前面扉149全体としての剛性ないし強度を十分に確保するには、図10に示すように、前面部材157を端縁部だけでなく中間部でもベース部材158に対して支持させる必要がある。図10に示す前面扉149では、前面部材157の中央部に中央支持突起157Cが後方へ延出するように形成され、この中央支持突起157Cの先端がベース部材158の中央部に支持固定されるようになっている。このため必然的に、ベース部材158においてはこの中央支持突起157Cの形成位置を回避するようにLED基板162を配置する必要がある。したがって、例えば、前面側の前面部材157のデザインが変更されると、後面側のベース部材158もLED基板162ごと変更する必要がある。このことは、前面扉149全体としての作製コストが高くつく一因ともなる。
また、上述のような構成では、前面扉149全体としての剛性ないし強度を十分に確保するため、前面部材157がベース部材158に対しある程度近接するようにして支持されている。このため、前面部材157の前壁部157TとLED基板162との距離d11が小さく、該前壁部157Tのすぐ後方のLED基板162から前方へ光が照射されるようになっているので、特に発光部がLED基板162となっていることから、発光部の配設位置が強く光り、発光部から離れた位置では弱く光って、全体として光り方が不均一、即ちムラができて斑となりやすいという問題もある。
これに対し、上記第2実施形態に係るパチンコ機10Cの構成によれば、前面部材である前面枠セット27が支持部材であるガラスパネル44と一体化されているので、前面枠セット27がベース部材であるベース枠部材43に対してある程度の構造的な自立性を有するものとなる。これにより、前面枠セット27の構成が変更されても、ベース枠部材43は変更する必要がなく、元のベース枠部材43をそのまま変更後の前面枠セット27材に組み合わせて用いることも可能となる。したがってそのぶん、パチンコ機10C全体としての作製コストを低減することができる。
また、前面枠セット27がベース枠部材43に対してある程度の構造的な自立性を有することにより、前面枠セット27をベース枠部材43から前方へ大きく突出させるようにして配設することができ、これにともない発光部を前面枠セット27の前面から後方へ離隔した位置に配置することができるようになっている。第2実施形態に係るパチンコ機10Cでは、遊技盤46が透明性を有し、図8に示すように、発光部であるLED基板47が遊技盤46の後方(裏面側)に配置されているので、発光部であるLED基板47が前面枠セット27の前面から後方へより大きく離隔した位置に配置することができるようになっている。また、遊技盤46の後方のLED基板47から前方へ光が照射されるので、遊技盤46の塗膜層が効果的に発光し得る構成ともなっている。
また、前面扉には通常、遊技領域を視認可能な状態で覆うガラス板等の透明板が設けられるが、上記第2実施形態に係るパチンコ機10Cにおいては、ガラスパネル44が支持部材としても機能するようになっている。即ち、既存の部材である透明板としてのガラスパネル44が支持部材としての機能も奏する構成となっている。これにより、部品点数を増加することなく、上述のように構成の変更に伴うコストを低減することができるとともに、全体的に均一に発光させることが可能な前面枠セット27を得ることができるようになっている。
(2)第3実施形態
上記第2実施形態においては、前面扉である前面枠セット27が、前面側の前面部材となっていて、この前面部材としての前面枠セット27が、後面側のベース部材であるベース枠部材43に支持された構成となっていた。即ち、前面扉である前面枠セット27自体が、前面扉とは別のベース部材であるベース枠部材43に支持された構成となっていた。これに対し、例えば図11に示す変更態様のように、前面側の前面部材57が後面側のベース部材58に支持された構成を有する前面扉49としてもよい。即ち、前面扉49が、前面側の前面部材57と、該前面部材57を支持する後面側のベース部材58とを備える構成としてもよい(以下、第3実施形態とも称す)。
前面部材57は、図11に示すように、光透過性を有する樹脂よりなり、遊技機の前面を覆う概略縦長の矩形状の正面形状を有するカバー状の部材となっており、前面部が前後に波打つように隆起する形状に成形されている。前面部材57の周縁からは周壁57Pが後方へ延出している。前面部材57の内面部(後面部)においては、前壁部57Tにおける左右方向中央部から中央支持突起57Cが後方へ延出し、前壁部57Tにおける左右方向中央部と周縁との間の位置すなわち中央支持突起57Cと周壁57Pとの間の位置から中間支持突起57Mが後方へ延出している。中央支持突起57Cの延出端の前後位置は周壁57Pの延出端の前後位置とほぼ同等となっており、中間支持突起57Mの延出端の前後位置は周壁57Pの延出端の前後位置よりも前方となっている。
前面部材57の裏面側(後面側)には、支持部材59が介装されている。支持部材59は、光透過性を有する硬質の樹脂よりなり、前面部材57とほぼ同一の、概略縦長の矩形状の正面形状を有する部材となっている。支持部材59の周縁部は側方へ延出して小幅のフランジ部59Fが形成され、該フランジ部59Fが、前面部材57の周壁57Pの延出端に後方から当接するようになっている。フランジ部59Fより内側は、中央側へやや傾斜しながら前方へ延びて側壁部を形成し、側壁部の前端から中央側へ、遊技機の前面に平行に延びて前壁部59Tを形成しており、全体として、前面部材57の周壁57Pの延出端から内側(前側)へ概略皿形状に凹入する形状となっている。前壁部59Tにおいて前面部材57の中央支持突起57Cに対応する位置には、該中央支持突起57Cを内包するように前方から後方へ凹入する中央凹入部59Cが形成されている。
支持部材59は、図11に示すように、前壁部59Tが内部に入り込むようにして前面部材57の内側(後面側)に嵌着され、フランジ部59Fが前面部材57の周壁57Pの延出端に固定手段(図示省略)で固定される。これにより、前面部材57が支持部材59と一体化される。このとき、前面部材57における中央支持突起57Cの先端は、支持部材59における中央凹入部59Cの内奥面に突き当たり、前面部材57における中間支持突起57Mの先端は、支持部材59における前壁部59Tの表面(前面)に突き当たる。これにより、中央支持突起57Cおよび中間支持突起57Mがつっかえのように機能して、前面部材57の前壁部57Tが支持部材59に対して支持されるようになっている。
ベース部材58は、前面部材57とほぼ同一の、概略縦長の矩形状の正面形状を有する樹脂製の板状部材となっている。ベース部材58には、上記支持部材59と一体化された前面部材57が前方から嵌合され、周縁部で固定手段(図示省略)で固定される。これにより、前面側の前面部材57が後面側のベース部材58に支持されて前面扉49が構成される。ベース部材58の左側縁部は、遊技機の内枠の左側縁部に対して上下方向の軸を中心に回動可能に枢着され、これにより前面扉49が開き戸式に開閉し得るように遊技機に軸支される(軸支構造は図示省略)。
ベース部材58の前面には、発光部としてLED基板62が配置固定されている。LED基板62は、支持部材59の内側に納まるように配置されている。
(第3実施形態による作用)
第3実施形態に係るパチンコ機は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤と、上記遊技盤の盤面を覆う前面扉49とを備える構成において、上記前面扉49が、前面側の前面部材57が後面側のベース部材58に支持された構成を有し、上記前面部材57が、光透過性を有する支持部材59と一体化された構成となっている。
上記第3実施形態に係るパチンコ機の構成によれば、前面部材57が支持部材59と一体化されているので、前面部材57がベース部材58に対してある程度の構造的な自立性を有するものとなっている。例えば特に、前面部材57の中央支持突起57Cおよび中間支持突起57Mは支持部材59に支持される構成となっており、ベース部材58には支持されていない。このため、例えば上述の図10に示すような従来の前面扉149の場合とは異なって、ベース部材58においてはこれら中央支持突起57Cおよび中間支持突起57Mの形成位置に制約されることなくLED基板62を配置することも可能となっている。よって、前面部材57の構成が変更されても、ベース部材58は変更する必要がなく、元のベース部材58をそのまま変更後の前面部材57に組み合わせて用いることも可能となっている。したがってそのぶん、前面扉49全体としての作製コストが低減されるようになっている。また、前面部材57がベース部材58に対してある程度の構造的な自立性を有することにより、前面部材57がベース部材58から前方へ大きく突出させるようにして配設されており、これにともない支持部材59とベース部材58との間の空隙S11も大きく確保されている。したがって、支持部材59とベース部材58とが干渉し難くなっており、これにより大幅な変更にも対応しやすくなっている。
また、前面部材57がベース部材58から前方へ大きく突出させるようにして配設されるのにともない、発光部であるLED基板62が前面部材57の前壁部57Tから後方へ離隔した位置に配置されている。即ち、前面部材57の前壁部57TとLED基板62との距離d12が、例えば上述の図10に示すような従来の前面扉149における前面部材157の前壁部157TとLED基板162との距離d11よりも大きく確保されている。したがって、前面扉49を全体的にムラなく均一に発光させることが可能な構成となっている。
また、前面扉には通常、遊技領域を視認可能な状態で覆うガラス板等の透明板が設けられるが、上記第3実施形態に係るパチンコ機においては、支持部材59が光透過性を有するものとなっているので、支持部材59が透明板としても機能することができる。換言すれば、既存の部材である透明板に支持部材としての機能も付与する構成とすることにより、部品点数を増加することなく、上述のように構成の変更に伴うコストを低減することができるとともに、全体的に均一に発光させることが可能な前面扉49を得ることができるようになっている。
また、前面部材57の周縁部に周壁57Pが形成され、支持部材59の周縁部にフランジ部59Fが形成され、支持部材59のフランジ部59Fが前面部材57の周壁57Pの延出端に固定されているので、簡潔な構成により、前面部材57と支持部材59とが安定して容易かつ確実に一体化されるようになっている。
また、前面部材57に、中央支持突起57Cが支持部材59に向けて延出するように形成され、支持部材59に、上記中央支持突起57Cを内包し得る中央凹入部59Cが形成されているので、前面部材57の中央部が支持部材59に対しより安定して確実に支持されるようになっている。
なお本明細書は、以下の内容をいずれも開示している。
本発明にかかる遊技機は、手段A1として、
遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域を前方から視認可能とする第1開口部を有して前記遊技盤の盤面を覆う前面扉とを備える遊技機であって、
前記前面扉が、前記第1開口部の外側に、前記遊技盤の遊技領域の少なくとも一部を前方から視認可能とする第2開口部を有することを特徴とする。
本発明において、「遊技盤の盤面」とは、遊技領域と遊技領域以外の領域とのいずれをも含意する。
上記手段A1の構成によれば、第1開口部によって遊技領域を前方から視認可能とするのに加えて、第2開口部に対応する前記遊技盤の遊技領域の少なくとも一部を前方から視認可能とすることができるので、この第2開口部に対応する部分まで遊技領域の一部を構成するスペースとして確保することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A2として、手段A1の遊技機において、
前記遊技盤において少なくとも前記第2開口部に対応する部分が透明性を有する樹脂で成形され、この部分の裏側に発光部が配設され、前記遊技盤と前記第2開口部とを通して前方に光が照射されるようになっていることを特徴とする。
上記手段A2の構成によれば、遊技盤自体が発光しているかのような発光態様とすることができ、したがって効果的な発光演出が可能となる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段A3として、手段A1または手段A2の遊技機において、
前記前面扉に、前方へ張り出す張出部が形成され、前記張出部の内側に空隙部が形成されていることを特徴とする。
上記手段A3の構成によれば、遊技盤の盤面における空隙部の後方の領域が遊技者から視認可能となる。したがってこの領域を利用して遊技領域を拡大することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段B1として、
遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤と、前記遊技盤の遊技領域を前方から視認可能とする第1開口部を有して前記遊技盤の盤面を覆う前面扉とを備える遊技機であって、
前記第1開口部の内周縁の少なくとも一部が、前記遊技盤の盤面との間に隙間部を有することを特徴とする。
上記手段B1の構成によれば、第1開口部の外側の領域においても、隙間部を通して、遊技盤の盤面が前方から視認しやすくなる。即ち、遊技者の視線が、前方の中央あたりから隙間部を通して外側へ斜方に延び、遊技盤の盤面における第1開口部より外側の周縁部にも及ぶことができるようになる。
換言すれば、第1開口部の内周縁の少なくとも一部と遊技盤の盤面との間に隙間部を形成することによって、遊技盤の盤面の周縁部を前方から視認可能としてこの周縁部も遊技領域の一部を構成するスペースとして確保することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段C1として、
遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤と、前記遊技盤の盤面を覆う前面扉とを備える遊技機であって、
前記前面扉が、前面側の前面部材が後面側のベース部材に支持された構成を有し、
前記前面部材が、光透過性を有する支持部材と一体化されていることを特徴とする。
本発明において、「ベース部材」とは、前面扉を構成するベース部材と、前面扉とは別のベース部材とのいずれをも含意する。即ち、後面側のベース部材が前面側の前面部材とともに前面扉を構成していてもよく、あるいは、前面扉自体が前面側の前面部材となっていて、この前面部材としての前面扉が、前面扉とは別の部材である後面側のベース部材に支持された構成となっていてもよい。
上記手段C1の構成によれば、前面部材が支持部材と一体化されているので、前面部材がベース部材に対してある程度の構造的な自立性を有するものとなる。これにより、前面部材の構成が変更されても、ベース部材は変更する必要がなく、元のベース部材をそのまま変更後の前面部材に組み合わせて用いることも可能となる。したがってそのぶん、前面扉全体としての作製コストを低減することができる。また、前面部材がベース部材に対してある程度の構造的な自立性を有することにより、前面部材をベース部材から前方へ大きく突出させるようにして配設することができ、これにともない支持部材とベース部材との間の空隙も大きく確保することができる。したがって、支持部材とベース部材とが干渉し難くなり、これにより大幅な変更にも対応しやすくなる。
また、前面部材がベース部材から前方へ大きく突出させるようにして配設することができるのにともない、発光部を前面部材の前面から後方へ離隔した位置に配置することができる。したがって、前面扉を全体的にムラなく均一に発光させることができる。
また、前面扉には通常、遊技領域を視認可能な状態で覆うガラス板等の透明板が設けられるが、上記手段C1の構成によれば、支持部材が光透過性を有するものとなっているので、支持部材が透明板としても機能することができる。換言すれば、既存の部材である透明板に支持部材としての機能も付与する構成とすることにより、部品点数を増加することなく、上述のように構成の変更に伴うコストを低減することができるとともに、全体的に均一に発光させることが可能な前面扉を得ることができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段C2として、手段C1の遊技機において、
前記前面部材の周縁部に周壁が形成され、前記支持部材の周縁部にフランジ部が形成され、前記支持部材の前記フランジ部が前記前面部材の前記周壁の延出端に固定されていることを特徴とする。
上記手段C2の構成によれば、簡潔な構成により、前面部材と支持部材とを安定して容易かつ確実に一体化することができる。
また、本発明にかかる遊技機は、手段C3として、手段C1または手段C2の遊技機において、
前記前面部材に、中央支持突起が前記支持部材に向けて延出するように形成され、前記支持部材に、前記中央支持突起を内包し得る中央凹入部が形成されていることを特徴とする。
上記手段C3の構成によれば、前面部材の中央部が支持部材に対しより安定して確実に支持されるようになる。
上記手段A1〜手段A3と手段B1と手段C1〜手段C3とは、複数を組み合わせて実施するようにしてもよい。