しかしながら、枠を不正開放したりこじ開けたりする不正行為の他にも、例えば遊技盤に配置された電子部品等に対して不正電波を用いたり、遊技盤に対して無理な振動を与えたりする不正行為が行われる場合もあるが、特許文献1のものはこれらの不正行為に対して有効とは言えない。また、遊技盤近傍における不正行為を検出する検出手段をガラス面上に配置すると、遊技盤の視認性確保の観点から好ましくない。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、特に遊技盤近傍において行われる不正行為を有効に防止すると共に、遊技盤の視認性を損なうことなく、省スペースで不正検知手段を配置することができ、かつ、透明板の組立性を損なうことのない遊技機を提供することを例示的課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての遊技機は、遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤と、遊技盤を保持する遊技機枠と、遊技盤の前方に位置して遊技機枠の前面開口を閉鎖し、遊技球の流下空間の一部を形成すると共に流下空間への外部からのアクセスを禁止し、かつ、遊技盤を視認可能とする平板状の透明板と、透明板の周囲を保持しつつ遊技機枠に取り付けられる保持部材と、を有する遊技機であって、保持部材は、透明板の周囲近傍であって、遊技機枠に遮蔽されて外部から前面開口を介して視認不可となる位置に、遊技に対する不正行為を電気的に検知する不正検知手段を有する。
遊技に対する不正行為を検知する不正検知手段を、透明板の周囲近傍であって遊技機枠に遮蔽されて外部から前面開口を介して視認不可となる位置に配置しているので、不正検知手段の配置によって遊技盤の視認性が損なわれることがない。しかも、不正検知手段を透明板の周囲近傍に配置しているので、遊技盤に対する不正行為を有効に防止することができる。
例えば、不正検知手段として電波センサーを用いることにより、遊技盤上の入賞口に備えられて入賞球の通過を検出する球通過センサーに対する不正電波を用いた不正行為を的確に検知することができる。また、不正検知手段として振動センサーを用いることにより、透明板や遊技機枠を叩くなどして遊技盤に不正な振動を加える不正行為を的確に検知することができる。もちろん、不正検知手段としては、その他の種々のセンサーを用いることができる。
透明板は、前面開口よりも大きく形成される。その透明板の周囲を保持部材が保持している。透明板は、前面開口よりも大きい範囲においてなるべく小さく形成することが可能であるが、保持部材は遊技機枠の隙間(例えば、ガラス枠と前枠との隙間。)からの不正具の侵入防止を考慮すると、一定の大型化が必要となる。そのため、保持部材のうち、透明板を保持する部分よりも外側部分には、部品配置のためのスペースの余裕がある。本発明では、その余裕スペースを有効利用して不正検知手段を配置している。
なお、不正検知手段は、保持部材の左下方、右下方又はその両方に配置することが好ましい。この部分において、透明板は保持部材よりも大きな面取形状又は大きなR形状とされることが多く、保持部材に「前面開口を介して視認不可である余裕スペース」が形成される。したがって、この余裕スペースに不正検知手段を配置することがスペースの効率的利用に繋がる。
保持部材は、不正検知手段と電気的に接続される第1コネクタ部材を有し、遊技機枠は、遊技に関する動作制御を行う制御手段と電気的に接続される第2コネクタ部材を有し、第1コネクタ部材と第2コネクタ部材とが着脱可能であってもよい。
保持部材側に配置される第1コネクタ部材と遊技機枠側に配置される第2コネクタ部材とが接続されることにより、不正検知手段からの検知信号を制御手段へと電気的に伝達することができる。不正検知手段と第1コネクタ部材とは電気的に接続されている。すなわち、不正検知手段から第1コネクタ部材までハーネス(電気配線)が繋がっているが、そのハーネスは透明板より外側の保持部材に沿って配線される。保持部材に配線用の溝が形成されて、その溝内にハーネスを配線してもよい。その溝内には、ハーネスを固定又は仮止めするための係止部や突起部が設けられていてもよい。それにより、ハーネスが保持部材からはみ出して前面開口から視認可能となってしまう事態を予防することができる。
不正検知手段が、保持部材の左下方及び右下方に配置される場合には、例えば、第1コネクタ部材は保持部材の下方中央近傍に配置されることが好ましい。左右の不正検知手段から第1コネクタ部材へのハーネスの引き回し距離が短くて済み配線が簡潔となる。一方、第1コネクタ部材を保持部材の右端部中央近傍に配置することも好ましい。透明板を保持する遊技機枠がこじ開けられる不正行為は、一般的に遊技機枠の右側方から行われることが多い。その右側方において遊技機枠の上下位置は施錠手段等により固定されているが、中央近傍は固定されておらず無理なこじ開けによって撓んでしまうことがある。第1コネクタ部材が保持部材の右端部中央近傍に配置されていれば、こじ開けによって遊技機枠の右側方中央近傍が撓んだ場合に、第1コネクタ部材が第2コネクタ部材から脱落する。そのコネクタ部材の脱落を検知することによって、遊技機枠の不正なこじ開けを有効に検知及び防止することができる。
なお、第1コネクタ部材と第2コネクタ部材とは着脱可能であるので、保持部材と遊技機枠との組立てや、遊技機のメンテナンスを容易に行うことができる。遊技機枠に保持部材を取り付ける際に両コネクタ部材を装着(接続)し、保持部材を遊技機枠から取外す際に両コネクタ部材を脱落(分離)させることが容易に実現できる。また、メンテナンス等における遊技機枠の開閉動作の場合に、両コネクタを簡単に分離することが可能であるので、メンテナンス性が向上する。
保持部材を遊技機枠に対して傾斜した状態で保持部材の一部を遊技機枠の一部に挿入した後に、遊技機枠に対して保持部材を回転させることによって遊技機枠に対して保持部材を取り付ける保持部材の取付構造を有しており、第1コネクタ部材及び第2コネクタ部材のうち少なくともいずれか一方が、保持部材の回転方向に沿って回転可能であって、かつ、傾斜の方向に向けて付勢されていてもよい。
遊技機枠に保持部材を取り付ける際の傾斜方向に沿って第1コネクタ部材及び第2コネクタ部材のうち少なくともいずれか一方が傾斜していれば、保持部材の取付けと略同時に両コネクタの接続を殆ど意識することなく完了させることができる。組立作業が非常に効率的となる。そして、保持部材を遊技機枠に対して回転させて取付け完了させる際に、その回転方向に沿って第1コネクタ部材及び第2コネクタ部材のうち少なくともいずれか一方が回転可能となっていれば、保持部材の取付け完了の際にも両コネクタに過大な負荷がかからない。
更に、第1コネクタ部材及び第2コネクタ部材のうち少なくともいずれか一方が、上述の傾斜方向に向けて付勢されていれば、遊技機枠から保持部材を取り外した状態ではコネクタ部材が常に傾斜方向(取付け方向)を向くこととなる。したがって、保持部材の取付けの際に、コネクタ部材をわざわざ手で回転させて傾斜方向に向かせる必要なく、円滑に保持部材の取付けとコネクタ部材の接続を行うことができるので、一層組立性が向上する。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、遊技盤近傍における不正行為を、遊技盤の視認性に悪影響を与えることなく、保持部材の部品配置スペースを有効利用して、有効に検知することができる。しかも、保持部材における部品配置スペースを有効利用しつつ不正検知手段を配置することができるので、結果的に省スペースに寄与する。また、着脱可能なコネクタ部材を用いることにより、遊技機の組立性向上、メンテナンス性向上にも寄与する。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るガラスユニット(透明板ユニット)11を備えるパチンコ機2の正面図である。また、図2は、このパチンコ機2の分解斜視図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラスユニット11、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。発射ユニットは、遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて1個ずつ発射可能である。
パチンコ機2は、後述する発射装置ハンドル15を遊技者が操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球23が発射ユニットによって発射されることで、遊技球23の流下による遊技を実現する。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にコインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラスユニット11及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラスユニット11についての詳細は後述する。
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材を有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
遊技盤ユニット5は、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されている。
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レールが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レールによって画定され、外レールに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車34等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄(特別図柄)表示装置17が配置されると共に、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
第1図柄表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄の変動が表示される。第1図柄は、始動入賞口29への遊技球23の入球を契機として実行される抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄の変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する表示図柄(第1装飾図柄)7cの表示がなされる。表示図柄7cは、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段の一部としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。また、遊技盤6の裏面側には、遊技制御手段の一部としての主制御手段(制御手段、不図示)が配置されており、この主制御基板がパチンコ機2の遊技全体の制御動作を司っている。
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レールに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レールに沿って右側に移動し、あるものは遊技釘27に衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定賞球数の払出しの契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の賞球が球皿14へと払い出されるようになっている。なお、遊技盤面6a上の普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31、ゲート33等には、遊技球23の入賞(通過)を検出するための球通過センサー(入賞センサーとも言う。)が配置されている。
図2に示すように、このパチンコ機2のガラス枠12と前枠9との間には、ガラス枠12に保持されるガラスユニット11と前枠9に保持される遊技盤ユニット5とが配置されている。ガラスユニット11は、ガラス(透明板)10及び保持部材8を有して大略構成されている。ガラス枠12には、遊技者から遊技盤6を視認可能とするための前面開口12a(図1も参照)が形成され、その前面開口12aをガラス10が閉鎖するようにガラスユニット11が保持されている。
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
図3は、このガラスユニット11の正面図である。図3においては、ガラス枠12を省略した状態で、ガラスユニット11を遊技者側から見た図を示している。図4は、このガラスユニット11の斜視図である。本実施の形態においては、ペアガラスタイプのガラスユニット11が採用されており、2枚のガラス10が前後方向から保持部材8を挟み込んで保持部材8に保持されている。なお、図3及び図4においては、ガラス枠12側に配置されるメスコネクタ(第2コネクタ部材)19も図示している。メスコネクタ19は、図示しないハーネスを介して主制御基板に接続されている。
ガラス10は、平板状の透明部材であって、図に示すように、大略長方形と半円とが接合された形状をしている。保持部材8は、保持枠8aを有して大略構成され、その保持枠8aが囲んで形成される中央開口8bにガラス10を嵌入するように構成される。したがって、保持枠8aの内周形状は、ガラス10の外周形状と略一致している。
保持部材8の左右端下方近傍位置には、各々電波センサー(不正検知手段)20が配置されている。ガラス10の左右端下方近傍位置には、各々面取り部10aが形成されている。一方、保持枠8aの左右端下方近傍位置は、ガラス10のように大きく面取りされておらず、角部8cとされている。そして、この角部8cと面取り部10aとの間には、スペースに余裕のある配置領域Rが存在している。この配置領域Rに電波センサー20が配置されている。
電波センサー20を配置領域Rに配置すれば、電波センサー20と遊技盤面6a上に配置された普通入賞口28や始動入賞口29や大入賞口31との距離を比較的近い位置とすることができる。したがって、配置領域Rに配置された電波センサー20によって、普通入賞口28、始動入賞口29、大入賞口31の球通過センサーに対する不正電波を用いた不正行為を有効に検知し得る。また、従来は実質的に利用されることなくデッドスペースとなっていた配置領域Rに電波センサー20を配置しているので、電波センサー20の配置スペースを別途準備する必要がなく、部品配置スペースの有効利用に資することができる。
図5は、保持枠8aの下辺近傍を拡大した拡大図である。保持部材8は、その下方中央近傍位置にオスコネクタ(第1コネクタ部材)18を有している。このオスコネクタ18は、ガラス枠12側に配置された後述するメスコネクタ19に挿入されて接続されるコネクタ部材であって、両側の電波センサー20とハーネス21によって電気的に接続されている。
そのハーネス21は、保持枠8aの下辺に左右に延びて形成された配線レール8dに沿って配線されている。配線レール8dは溝状になっており、この配線レール8d内をハーネス21が通るので、ハーネス21が不用意に保持枠8aから出っ張ってしまったり、前面開口12aから遊技者に視認されてしまうことが防止される。なお、図示しないが、この配線レール8d内にフック状の係止部やジグザグ状に配置された突起部を形成し、ハーネスを固定したり仮止めしたりすることは一層効果的である。
オスコネクタ18とメスコネクタ19とが接続されることにより、電波センサー20と主制御基板とが電気的に接続される。それにより、電波センサー20によって不正行為を検知した検知信号が、主制御基板へと送信可能とされる。オスコネクタ18とメスコネクタ19とは、簡単に着脱することができるようになっている。
図6は、ガラス枠12とガラスユニット11とを分解した側面図である。メスコネクタ19は本来ガラス枠12内に配置されているが、説明容易のため後方に移動して図示している。ガラスユニット11をガラス枠12に取り付ける際、その取り付け手順として、まず、保持部材8の上辺8e近傍を後方に傾斜させた状態で、下辺8f近傍をガラス枠12の背面に接触させる。より具体的には、保持部材8の下辺8f近傍の左右位置において下方に突出する挿入突起8gをガラス枠12背面の挿入孔(不図示)に上から下に向けて挿入する。その時点で、保持部材8の上辺8e近傍は、後方に向けて約20°傾斜している。その後、下辺8fを中心として上辺8eを前方に向けて回転させてガラス枠12の背面に沿わせ、保持部材8をガラス枠12に取り付ける。
保持部材8のガラス枠12からの取外しの際は、上記取り付け手順と逆の手順で取り外す。すなわち、保持部材8を、下辺8fを中心として上辺8eを後方に向けて約20°回転させる。その後に、保持部材8の下辺8f近傍に配置された挿入突起8gをガラス枠12の挿入孔から上方向に抜く。このように、ガラス枠12と保持部材8との着脱は容易に行えるようになっている。
なお、本実施の形態においては、保持部材8の挿入突起8gをガラス枠12の挿入孔に挿入するに伴い、オスコネクタ18がメスコネクタ19に挿入されるようになっており、保持部材8の挿入突起8gをガラス枠12の挿入孔から抜くのに伴い、オスコネクタ18がメスコネクタ19から脱離するようになっている。それにより、コネクタの挿抜を意識しなくても、保持部材8の着脱に伴いコネクタも着脱されるので、コネクタの抜き忘れによるハーネスの損傷等の不具合やコネクタの挿入し忘れによる検知信号エラー等の不具合を未然に防止することができる。
図7は、保持部材8の下辺8f近傍において、オスコネクタ18を分解して示した分解図である。オスコネクタ18は、コネクタ本体18a、回転軸部材18b、付勢部材18cを有している。コネクタ本体18aは回転軸部材18bに2箇所のビスで締結される。回転軸部材18bは、保持枠8aに形成された空隙部8hに挿入されて、軸X方向に回転可能とされる。その結果、コネクタ本体18aが矢印α方向に回転可能となっている。
付勢部材18cは、回転軸部材18bを矢印α方向に付勢する機能を有する。付勢部材18cは樹脂等により形成されて弾性を有する舌片部18dを有している。この舌片部18dは、回転軸部材18bに当接しており、その弾性によって回転軸部材18bを矢印α方向へと付勢する。それにより、コネクタ本体18aも矢印α方向へと付勢される。
保持枠8aは、コネクタ本体18a又は回転軸部材18bの一部に当接するストッパ部(不図示)を有している。このストッパ部は、コネクタ本体18aの矢印α方向への回転を所定角度で規制するような位置に配置されている。本実施の形態においては、コネクタ本体18aが矢印α方向に約20°回転した位置で回転が規制されるようにストッパ部が配置されている。
このような構成により、保持部材8がガラス枠12から取り外された状態、すなわちオスコネクタ18がフリーな状態では、オスコネクタ18は矢印α方向に約20°回転している。この回転角は、保持部材8のガラス枠12への取付けの初期段階で保持部材8を傾斜させる傾斜角と略同じである。したがって、保持部材8をガラス枠12に取り付けるべく挿入突起8gをガラス枠12の挿入孔に挿入する際、保持部材8はガラス枠12に対して後方に傾斜しているが、オスコネクタ18とメスコネクタ19とは、挿入方向を同一にして対向している。したがって、コネクタの接続を容易に行うことができる。
その後保持部材8を前方に回転させてガラス枠12に取り付けると、付勢部材18cによる付勢力に抗して回転軸部材18bが−α方向に回転するが、舌片部18dが充分な弾性を有しているので、破損等の問題を生じることはない。
[変形例]
図8は、本発明の変形例に係るガラスユニット11の斜視図である。この変形例においては、保持部材8の右辺8jにおける上下方向の中央近傍位置にオスコネクタ18が配置されている。そして、前枠9側においてこのオスコネクタ18に対応する位置にメスコネクタ19が配置される。なお、本変形例において、上記実施の形態と同様の構成物については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この変形例では、メスコネクタ19が前枠9に配置される。したがって、ガラス枠12に保持されたガラスユニット11が、ガラス枠12の開放に伴って前方移動すると、コネクタ18,19同士の接続が遮断される。したがって、このコネクタ18,19を「ガラスユニット11に配置された電波センサー20からの検知信号を主制御基板に送信するため」のみならず、「前枠9に対するガラス枠12の開閉検知」としても利用することができる。
ガラス枠12をこじ開けて、前枠9とガラス枠12との隙間から不正具を挿入する不正行為の検知にも利用することができる。すなわち、ガラス枠12は前枠9と左側のヒンジ22によって軸支されているので、ガラス枠12のこじ開けについては、右側からこじ開けられることが多い。ガラス枠12の右側上下位置は、施錠装置(不図示)によって強固に係合されているが、右側の上下方向略中央位置は撓みやすくなっている。その右側における上下方向略中央位置にコネクタ18,19を配置することにより、こじ開けによってガラス枠12が撓んだ場合に、コネクタ18,19が脱離して異常を報知するように構成することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。