遊技機の一種として回胴式遊技機である、たとえばスロットマシンがある。スロットマシンは、複数の図柄が付された回転体としての複数のリールを備え、遊技者がメダルを投入してスタートレバーを操作することで各リールが回転を開始する。各リールが回転を開始した後、ストップボタンを操作したり所定時間が経過したりすることで、各リールが順次停止する。
また、スロットマシンでは、メダル(又はコインとも呼ばれている)の投入とスタートレバーの操作を条件として抽選を行い、その抽選結果が当選であり、かつ予め設定された有効ライン上に遊技者が当選した図柄を停止させることを条件として所定枚数のメダルが払い出されたり、遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)が発生する。
また、このようなスロットマシンは、前面側に開口を有する箱形の筐体と、この筐体の前面側に開閉自在に取り付けられた前扉とを備え、筐体の内部に遊技構成装置が配設されて、前扉が開口を覆う状態で遊技に供されるようになっている。また、その筐体の内部には、スロットマシンの各部に電力を供給するための電源装置が設けられており、この電源装置から供給される電力によりスロットマシンが作動するようになっている。
ところで、このようなスロットマシンでは、ゲームの演出に係る制御を主に行う副制御基板と、リールの回転駆動を制御する回胴装置基板と、ベットボタン、スタートレバー及びストップボタンによる操作信号を転送する中央表示基板と、各駆動部等への電力供給を制御する電源装置基板とを備え、これらの基板は主制御基板により集中制御されている。
また、主制御基板には、システムプログラムやスロットマシンゲーム用のプログラム等が書き込まれているROM(Read Only Memory)、このROMから所定のプログラムを読み出して所定の制御を行うCPU(Central Processing Unit)、このCPUによる演算結果等を保持するRAM(Random Access Memory)等の電子素子等が搭載されており、ゲームの進行に合わせそのROMから読み出したプログラムに基づき、上述した各種基板による制御が指示されるようになっている。
ところで、主制御基板に搭載されている上述した特にROMは、定期的な検査等のために基板上のコネクタに着脱自在となるように装着されている。また、上述した各電子素子等は、筐体の外部から内部に挿入されるセルや針金等の不正行為治具によって不正に弄られないように、本体ケースと上蓋ケースとの間に挟持されたユニット構成とされている。また、その上蓋ケースは、ホールスタッフ等により主制御基板上の各電子素子等の状態が確認し易いように透明なプラスチックで形成されている。さらに、その上蓋ケースは、法規制により検査済みシールが貼着されて封印されているとともに、本体ケースと上蓋ケースとがカシメ状態で結合する接続部材を介してカシメ結合され、上蓋ケースが開けられないようになっている。
また、主制御基板は、通常、筐体内部を正面から見たとき、所定数の図柄が付された3個のリールを有する回胴装置の上方に位置するように筐体内面に取り付けられている。これは、スロットマシンの構成上、筐体内部のほぼ中央寄りにその回胴装置が配置され、回胴装置の下方にメダルの払い出し等を行うホッパ装置や電源を供給する電源装置等が配置されるようになっており、主制御基板の状態を前扉を開けて確認し易い位置が回胴装置の上方となるためである。
また、主制御基板を、回胴装置の上方に位置するように筐体内面に取り付けることで、前扉側から見てその位置が最も遠くなり、しかも主制御基板が本体ケースと上蓋ケースとの間に挟持されたユニット構成とされていることで、筐体の外部から内部に挿入されるセルや針金等の不正行為治具によって主制御基板上の各種電子素子等が不正に弄られないような対策もとることができるようになっている。
ところが、主制御基板に対して上述のようにセルや針金等の不正行為治具による不正行為に対する様々な対策が講じられているにも関わらず、たとえば遊技中等に前扉が不正に開けられ、主制御基板上のROMが不正にプログラムの内容が書き換えられた、いわゆる裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに差し替えられてしまうことがある。さらに、不正な制御基板が収容された基板ケースが現在使用されている基板ケースと差し替えられてしまうことがある。
これは、筐体内部における主制御基板が上述した上蓋ケースによって覆われているが、前扉が不正に開けられてしまうと、その主制御基板が回胴装置の上方、すなわち手で触ることができる位置に取り付けられているからである。特に、上蓋ケースは、検査済みシールによって封印され、さらに上述したカシメ結合により上蓋ケースが開けられないようになっているにも関わらず、ホールスタッフ等により主制御基板上の各電子素子等の状態が確認し易いように透明なプラスチックで形成されているため、半田ごて等の熱によって穴が開けられやすいためでもある。
なお、上蓋ケースに開けられた穴から検査済みのROMが裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに差し替えられた場合、その開けられた穴を確認することで、裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに差し替えられたことを確認できるが、その穴は不正に作成された偽造シールで覆うような偽装が施されていることがある。このような偽造シールで覆うような偽装が施されていると、スロットマシンの内部構成に詳しいホールスタッフ等が確認すればその偽装にすぐに気づくことができるが、スロットマシンの内部構成に詳しくないホールスタッフ等が確認した場合、その偽装に気づかずにいることがある。
このようにして、検査済みのROMが裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに不正に差し替えられてしまうと、たとえば上述した特別遊技状態(ボーナスゲーム等)が半ば強制的に発生させられてしまい、不正にコインの払い出しが行われてしまうということを招いてしまう。
このような主制御基板のROMの差し替えによる不正行為を防止するためには、たとえば特許文献1に示されているパチンコ機のように、パチンコ機毎の特有な制御プログラムが書き込まれたROMチップを搭載しているコントロール基板を、役物装置におけるケースの背面に取り付け、さらにそのコントロール基板を背面蓋と側面蓋とで覆うようなことが考えられる。
ところが、このようなことを上述したスロットマシンに適用しようとすると、主制御基板を筐体内部のほぼ中央に位置する回胴装置の背面側に取り付けることになり、少なくとも一日に一回は行われるホールスタッフ等による主制御基板上の各電子素子等の状態の確認が行えなくなってしまう。
この場合、たとえば特許文献2に示されているスロットマシンのように、リールユニットを上部ユニット用フレームに着脱自在に装着できるようにし、リールユニットを上部ユニット用フレームに装着した場合、リール固定手段で固定しておくようにすれば、リールユニットの背面側に上述した主制御基板を配置しても、リールユニットを上部ユニット用フレームから取り外すことで、ホールスタッフ等による主制御基板上の各電子素子等の状態の確認を行うことができるものと考えられる。
特開2001−058033号公報
特開2004−160158号公報
以下、本発明の実施例の詳細について説明する。図1は、本発明の遊技機を並設させた、いわゆる遊技機島を示す平面図、図2は図1の遊技機を示す斜視図、図3は図2の遊技機の前扉及び筐体の一部を省いた場合の斜視図である。
これらの図に示すように、回胴式遊技装置と呼ばれる遊技機であるスロットマシン1は、遊技者側に面する、いわゆるフロントマスクを構成する前扉3が略矩形状の箱体である筐体2の開口側に対し蝶番機構2aにより開閉可能に取り付けられている。このようなスロットマシン1は、図1のように、コイン貸出機40を挟んで並設され、いわゆる遊技機島を構成している。前扉3は、上パネル部3Aと下パネル部3Bとに概ね分けられ、これらは化粧板として視覚効果を高めてデザインされた硬質プラスチックにより一体的に形成されている。
そして、ホールスタッフ等が後述の主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を含むメンテナンス作業や出玉管理作業等を行う場合、前扉3のロックを専用鍵を用いて解除すると、図1及び図2のように前扉3が開放されるようになっている。なお、前扉3は、通常、筐体2に対してロックされており、前扉3に設けられている鍵穴に専用鍵を差し込んでそのロックを解除するようになっているが、ここではその詳細についての説明を省略する。
上パネル部3Aと下パネル部3Bとの間には、図1に示すように、遊技者側に若干突出し、ゲームに使用するメダルを投入するための投入口を有するメダル投入部13や、ゲーム操作を行うためのスイッチ類等である、ベットボタン14、スタートレバー15及びストップボタン16a,16b,16c等が配置された操作卓4が一体的に設けられている。また、前扉3の下部には、メダルを貯留するための受皿部を形成する受皿ユニット5が設けられている。
ここで、ベットボタン14は、スロットマシン1の当該ゲームに賭けるメダルの枚数を提示するための押圧式の操作スイッチである。すなわち、ゲーム停止中にメダル投入部13の投入口からコインを投入すると、その投入枚数に応じてコインがクレジット(最大50枚まで)されるようになっており、MAXベットボタンと呼ばれるベットボタン14を操作すると、そのクレジットされているコインのうち3枚がベットされるようになっている。
また、スタートレバー15は、リールユニット装置100の回胴装置110の各リール111a,111b,111cを一斉に回転させる指示をするためのレバースイッチであり、先端に設けられている球形の操作ノブを上下左右のいずれかの方向に傾倒操作するとオン作動し、その操作ノブから手が離されるとスプリングの付勢力によって自動的に元の位置に戻ってオフするように構成されている。なお、リールユニット装置100の詳細については後述する。
また、ストップボタン16a,16b,16cは、リールユニット装置100の回胴装置110の各リール111a,111b,111cの回転停止を個別に指示するための押圧式スイッチであり、各リール111a,111b,111cの配列に対応してそれぞれ並設されている。
前扉3の上パネル部3Aには、図1及び図2に示すように、高輝度発光ダイオードを内蔵した上部ランプ6及びサイドランプ7a,7bが配置され、リーチや大当たり等の際に点灯又は点滅して遊技者の視覚に訴える演出を行っている。また、上パネル部3Aには、左右にスピーカを内蔵した図示しない演出用放音部が設けられ、これらの演出用放音部によりゲームの進行に応じて選択される効果音や楽音等による演出が行われる。
上パネル部3Aの中央には、略長方形の透明な表示窓11aと、遊技状態等をランプ表示する情報表示部とが形成されたパネル板11が取り付けられている。そして、図2及び図3に示すように、筐体2内に設けられているリールユニット装置100の回胴装置110の3個の円筒状のリール111a,111b,111cが表示窓11aを通して目視されるように構成されている。
すなわち、筐体2内には、リール111a,111b,111cを回転軸方向に並設してユニット化した回胴装置110が配置され、また、各リール111a,111b,111cの外周面には、所定数(たとえば21個)の図柄が付された長尺状のプラスチックシートであるリールテープがそれぞれ捲装されて貼り付けられている。そして、表示窓11a側に臨む縦3個、横3列の図柄が当該表示窓11aを通して遊技者側から目視されるように構成されている。
前扉3に形成された下パネル部3Bには、スロットマシン1のモデルタイプ等を遊技者へ認識させるため、たとえば登場キャラクターの絵等を表示するパネル17が設けられている。
受皿ユニット5には、入賞時等においてメダルを排出する図示しないメダル排出口と、スピーカを内蔵しゲームの進行に応じて演出効果音を発生させる図示しない演出効果音部がそれぞれ配設されている。
また、前扉3の裏面上部には、上部ランプ6の光源である複数の高輝度発光ダイオード20と、上部ランプ6及び図示しないスピーカの制御等、ゲームの演出に係る制御を主に行う図示しない副制御基板とが配設されている。
なお、詳細は後述するが、スロットマシン1全体の動作は、筐体2内部におけるリールユニット装置100の背面側に設けられている後述の主制御基板51によって統括制御されている。
また、パネル板11の下方には、上述した操作卓4に設けられているベットボタン14、スタートレバー15、ストップボタン16a,16b,16c等のスイッチ類が電気的に接続され、これらスイッチ類の出力信号を後述の主制御基板51に転送するように配線接続されている図示しない中央表示基板と呼ばれる電気回路(中継)基板が設けられている。
また、その図示しない中央表示基板の下方には、上述のメダル投入部13より投入される投入物を正規のメダルか異物かを判別して振り分ける図示しないセレクト機構と、その振り分けられたメダルを筐体2内に設けられている後述のホッパ装置30へ案内する図示しないガイド部材と、セレクト機構で振り分けられた異物を図示しない排出口へ案内する図示しないガイド部材とが設けられている。また、その排出口の両側には、演出効果音を出力する図示しないスピーカ等が取り付けられている。
一方、筐体2内の下段にはホッパ装置30及び主電源装置60等が設けられており、筐体2内の上段には上述した回胴装置110を備えるリールユニット装置100が設けられている。
ここで、ホッパ装置30は、ゲームの入賞に応じてメダルの払い出しを行うものであり、その払い出しされたメダルは上述した受皿ユニット5に貯留されるようになっている。また、ホッパ装置30から溢れたメダルは、補助貯留部31に収容されるようになっている。
上述した回胴装置110は、図2及び図3に示すように、リール111a,111b,111cと、これらのリール111a,111b,111cを回転可能に取り付ける板状のユニット板112,113,114と、これらのユニット板112,113,114をボルト114aを介して取り付ける基板115と、これらのユニット板112,113,114をボルト114bを介して取り付ける天板115aとを備えて構成されている。
なお、これらのユニット板112,113,114、基板115及び天板115aはいずれも硬質プラスチックで一体形成されたものである。また、基板115は、後述の台座120に対して引き出し及び押し戻し自在に載置されるようになっている。
また、各リール111a,111b,111cはそれぞれのユニット板112,113,114に取り付けられているステッピングモータ114a(112a,113a)によってそれぞれ回転駆動されるようになっている。なお、これらのステッピングモータ114a(112a,113a)は、図示しない回胴装置基板に配線接続され、その回胴装置基板から送出される駆動パルス信号によってそれぞれ回転制御される。
また、筐体2の内部には、後述の主制御基板51を組み込んだ主制御基板ユニット50がブラケット部材70を介して取り付けられている。主制御基板ユニット50の取り付け位置は、回胴装置110の背面側となっているが、その詳細については後述する。また、図3に示す符号120Aは、スライド手段としてのフレーム体であるが、その詳細についても後述する。
図4〜図8は、上述した主制御基板51を組み込んだ主制御基板ユニット50を説明するための図である。ここで、図4は回胴装置110を引き出した状態を示すスロットマシンの斜視図、図5は図4のスロットマシンを示す正面図、図6は回胴装置110を押し戻した状態を示すスロットマシンの側面図、図7は図6のスロットマシンを示す正面図、図8は主制御基板51を組み込んだ主制御基板ユニット50の概要を説明するための分解斜視図である。
これらの図に示すように、主制御基板51は、主制御基板ユニット50に組み込まれ、リールユニット装置100の回胴装置110の背面側に位置するように筐体2の背面側に取り付けられている。
すなわち、図8に示すように、主制御基板ユニット50は、ブラケット部材70を介して筐体2の背面側に取り付けられるようになっている。ブラケット部材70は、主として係合凹部71aを有するリブ部71と、係止アーム72とを有し、これらによって主制御基板ユニット50が保持されるようになっている。また、ブラケット部材70には、後述の接続部材54を用いて上蓋ケース53を結合する封止筒部73が設けられている。また、ブラケット部材70には、筐体2の背面側に取り付けられるためのねじが挿入される複数のねじ穴74が設けられている。
一方、主制御基板ユニット50は、主制御基板51を挟持する本体ケース52と上蓋ケース53とを有している。ここで、本体ケース52と上蓋ケース53とで、基板ケースが構成されている。また、主制御基板51には、MPU51a、ROM51b、RAM51c等の電子部品等が実装されている。ここで、ROM51bは検査済みである正規のROMであり、そのROM51bにはシステムプログラムやスロットマシンゲーム用のプログラム等が書き込まれている。そのため、ROM51bは定期的な検査等のために基板上の図示しないコネクタに着脱自在となるように装着されている。また、主制御基板51には、スロットマシン1に内蔵される他の制御回路基板、及び電子機器と電気的に接続するための基板側コネクタ51d,51eが実装されている。
本体ケース52は、前面が開放する略矩形の箱体として透明なプラスチックで一体形成したものであり、その底板部に小ねじを介して主制御基板51が結合固定される。また、本体ケース52の上側壁には、上蓋ケース53とヒンジ結合するためのヒンジ軸部52aが所定の間隔をおいて3カ所に形成されている。また、下側壁には、係止穴を有する2本の係止アーム52bと、上蓋ケース53をカシメ結合する封止筒部52cが4カ所に形成されている。
上蓋ケース53は、透明なプラスチックにより一体的に形成された略矩形の蓋体であり、上側壁に本体ケース52のヒンジ軸部52aと位置整合されたヒンジ軸受部53aが形成されている。また、上蓋ケース53には、本体ケース52の封止筒部52cと位置整合された封止キャップ部53bが形成されている。また、上蓋ケース53には、ブラケット部材70の封止筒部73と位置整合された封止キャップ部53cが形成されている。上蓋ケース53には、上述の基板側コネクタ51d,51eと位置整合されたコネクタ開口部53d,53eが形成されている。
そして、カシメ状態で結合する接続部材54を、上蓋ケース53の封止キャップ部53bと本体ケース52の封止筒部52cとに装着することで、上蓋ケース53が本体ケース52に結合されるようになっている。また、その接続部材54を、上蓋ケース53の封止キャップ部53cとブラケット部材70の封止筒部73とに装着することで、上蓋ケース53がブラケット部材70に結合されるようになっている。
このようにして、主制御基板51を組み込んだ主制御基板ユニット50がブラケット部材70を介し筐体2の背面側に取り付けられることになる。また、主制御基板ユニット50の取り付け位置は、図6及び図7に示すように、回胴装置110が筐体2内部に押し込まれているとき、回胴装置110の背面側となる。
これにより、遊技中等に前扉3が不正に開けられても回胴装置110が邪魔することになるため、回胴装置110が筐体2の内部から引き出されない限り、主制御基板ユニット50のプラスチック製の上蓋ケース53に半田ごて等の熱によって穴を開け、上述した正規のROM51bを裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに差し替えられたり、不正な制御基板が収容された基板ケースが現在使用されている基板ケース(上述の本体ケース52と上蓋ケース53とからなる)と差し替えられてしまうような不正行為を困難とすることができる。
言い換えれば、回胴装置110を筐体2の内部から引き出せば、正規のROM51bを裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに差し替えたりする等の不正行為を行うことは可能であるが、これらの不正行為が行われるまでには、前扉3を不正に開ける行為と、回胴装置110を筐体2の内部から不正に引き出す行為とが必要となる。
そのため、遊技中等にこれらの不正行為を行う場合、正規のROM51bを裏ROM又は不正ROMに差し替えたりする等の行為が行われるまでに、時間がかかるばかりか、回胴装置110を筐体2の内部から不正に引き出すと、監視カメラによるモニタ又はホールスタッフ等によりその不正行為が発見し易くなるため、不正行為を行う者に対してその行為を思い留めさせることができる。
一方、少なくとも一日に一回は行われるホールスタッフ等による主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認に際しては、後述する把持レバー130を垂直位置から水平位置に回動させて台座120に対するロックを解除し、そのまま把持レバー130を引くと、回胴装置110を台座120上から引き出すことができる。
これにより、図4及び図5に示すように、回胴装置110は主制御基板ユニット50内の主制御基板51の確認を妨げない位置まで下げられるため、主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を容易に行うことができる。なお、主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を行った後は、後述のように、把持レバー130を介し回胴装置110を水平位置まで持ち上げ、さらに把持レバー130を介し回胴装置110を押し込むと、回胴装置110が台座120上に押し戻される。
図9〜図12は、上述したリールユニット装置100を説明するための図である。ここで、図9は回胴装置110を引き出し及び押し戻し自在とするリールユニット装置100のフレーム体を示す斜視図、図10は図9のフレーム体を示す側面図、図11は図9のフレーム体を示す正面図、図12は図9のフレーム体を示す背面図である。
これらの図に示すように、リールユニット装置100は、上述した回胴装置110及び回胴装置110の基板115を引き出し及び押し戻し自在に載置するとともに、押し戻し位置でその基板115を固定する台座120とを備えて構成されている。ここで、回胴装置110の基板115と台座120とにより、スライド手段としてのフレーム体120Aが構成されている。
ここで、図9に示すように、基板115の前方、すなわち、上述した前扉3の内側に近い端部には、上述したユニット板112,113,114を取り付けるためのボルト114aの挿入穴116aを有するフランジ116が下方に折り曲げられるようにして設けられている。また、そのフランジ116の両端には、回胴装置110の引き出し及び後述の台座120に対するロックを行う把持レバー130を回動自在に保持する保持穴116bが形成されている。また、保持穴116bの内側には、その把持レバー130の回動を規制する規制ピン116cが立設されている。
ここで、把持レバー130の端部には、規制ピン116cによって回動が規制される回動規制片131と、後述の台座120側のロック穴121bに係合するロック片132とが設けられている。すなわち、この把持レバー130は、図10に示すように、回動規制片131がフランジ116の前面に当接し、ロック片132がフランジ116の背面側に位置するように、フランジ116の保持穴116bに装着されるようになっている。
また、把持レバー130は、図11に示すように、回動規制片131が規制ピン116cに当接することで、垂直位置と水平位置との間で回動が行われるように規制されている。また、図12に示すように、把持レバー130を水平位置に回動させたとき、ロック片132が垂直方向に回動する(図12の右側部分)。この状態では、ロック片132の形状とロック穴121bの形状とが一致し、ロック穴121bに対するロック片132の差し込み及び抜き出しが可能となる。
一方、把持レバー130を垂直位置に回動させたとき、ロック片132が水平方向に回動する(図12の左側部分)。この状態では、ロック片132がロック穴121bの内側に係合し、ロック穴121bに対するロック片132の差し込み及び抜き出しが不可能となる。
このように、把持レバー130を水平位置に回動させておいて、回胴装置110の基板115を押し込んだ後、把持レバー130を垂直位置に回動させると、ロック片132がロック穴121bの背面側に係合することで、基板115を介し回胴装置110を台座120上に固定することができる。この状態から、把持レバー130を垂直位置に回動させると、ロック穴121bに対するロック片132の係合が外されるので、把持レバー130を引くと、基板115を介し回胴装置110を台座120上から引き出すことができる。
また、図9に示すように、基板115の両側には、ガイド軸117aを有する起立片117が設けられている。ガイド軸117aは、起立片117の再奧部に設けられており、後述の台座120側のガイド片126のガイド溝126aに係合されて基板115を介した回胴装置110の引き出し及び押し戻しの際のガイドを行う。
また、基板115の後方、すなわち筐体2の背面側に近い端部には、上述したユニット板112,113,114の背面側を保持する保持片118が上方に起立させて設けられている。
一方、台座120の前方、すなわち、上述した前扉3の内側に近い端部には、回胴装置110の基板115の前方に設けられているフランジ116を把持レバー130のロック片132を介して固定する固定フランジ121が下方に折り曲げられるようにして設けられている。
固定フランジ121には、フランジ116側の挿入穴116aに対応させた挿入穴121aが形成されている。この挿入穴121aは、フランジ116が固定フランジ121に当接したとき、挿入穴116aに挿入されたボルト114aの先端が固定フランジ121に当接しないように逃がすためのものである。
また、固定フランジ121には、フランジ116側に回動自在に取り付けられた把持レバー130のロック片132の起立時(垂直位置に回動)の形状に合わせたロック穴121bが形成されている。このロック穴121bは、上述したように、把持レバー130の回動に合わせてロック片132の係合等を行うものである。
なお、ここでは、ロック穴121bを、把持レバー130のロック片132の起立時(垂直位置に回動)の形状に合わせた場合としているが、これに限らず、ロック片132の水平位置の形状に合わせるようにしてもよい。この場合、把持レバー130のロック及びロック解除時の回動が上述した動作とは逆になる。
また、台座120の両側には、筐体2の内面にねじ止めされるねじ穴112aを有する取付片122が上方に起立させて設けられている。また、台座120の後方、すなわち筐体2の背面側に近い端部には、起立片123と、この起立片123の上端部から水平に延設された延設片124と、この延設片124の端部に筐体2の背面側にねじ止めされる、上方に起立させたねじ穴125aを有する取付片125とが設けられている。
また、各取付片122の内側には、ガイド溝126aを有するガイド片126が回胴装置110の基板115の引き出し及び押し戻し方向に沿うように設けられている。すなわち、これらのガイド片126は、筐体2の内部から開口側に向けて延びるように設けられている。これらのガイド片126のガイド溝126aには、図10に示すように、回胴装置110の基板115の起立片117に設けられているガイド軸117aが嵌り込み、回胴装置110の基板115の引き出し及び押し戻しをガイドするようになっている。
ここで、ガイド溝126aの引出終了端部126bから押戻終了端部126cまでの長さは、回胴装置110の基板115の引き出し終了位置及び押し戻し終了位置に合わせられている。これにより、基板115側のガイド軸117aがガイド溝126aの引出終了端部126bに当接するまで回胴装置110を台座120上から引き出すことができる。言い換えれば、ガイド軸117aがガイド溝126aの引出終了端部126b又は押戻終了端部126cに当接することで、基板115の引き出しの終了位置又は基板115の押し戻しの終了位置とが規制されていることになる。
これにより、基板115側のガイド軸117aがガイド溝126aの引出終了端部126bに当接することで、回胴装置110の引き出し終了位置を確認することができるとともに、ガイド軸117aがガイド溝126aから外れてしまうようなことがなくなる。
これに対し、基板115側のガイド軸117aがガイド溝126aの押戻終了端部126cに当接するまで回胴装置110を台座120上に押し戻すことができる。このとき、ガイド軸117aがガイド溝126aの押戻終了端部126cに当接することで、回胴装置110の押し戻し終了位置を確認することができる。
また、ガイド溝126aの引出終了端部126bは、台座120の面より突出する位置となるように設けられているため、ガイド軸117aが引出終了端部126bに係合することで、基板115の水平位置から下方位置への回動が許容されるようになっている。これにより、回胴装置110の基板115の引き出し終了位置では、回胴装置110が若干下げられるので、ホールスタッフ等により主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認がし易くなる。
次に、上述したリールユニット装置100における回胴装置110の引き出し及び押し戻しについて、図13及び図14を参照しながら説明する。ここで、図13は前扉3を開放してリールユニット装置100の回胴装置110を引き出した状態のスロットマシン1を示す斜視図、図14は図13のスロットマシン1を示す側面図である。
まず、ホールスタッフ等が主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を含むメンテナンス作業や出玉管理作業等を行う場合、前扉3のロックを専用鍵を用いて解除すると、図1及び図2に示したように前扉3が開放される。
ここで、主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を行う場合、前扉3を開放した後、上述した把持レバー130を垂直位置から水平位置に回動させる。これに伴い、台座120側のロック穴121bに対する把持レバー130のロック片132の係合が外されるので、把持レバー130を引くと、図13に示すように、基板115を介し回胴装置110を台座120上から引き出すことができる。
このとき、上述した回胴装置110の基板115の両側の起立片117に設けられているガイド軸117aが台座120側のガイド片126のガイド溝126aに係合されつつガイドされることで、基板115を介し回胴装置110の台座120上からの引き出しが行われる。
なお、回胴装置110の台座120上からの引き出しは、上述したように、基板115側のガイド軸117aがガイド溝126aの引出終了端部126bに当接するまで可能である。そして、基板115側のガイド軸117aがガイド溝126aの引出終了端部126bに当接するまで回胴装置110を引き出すと、回胴装置110の引き出し終了位置を確認することができる。
この位置では、基板115側のガイド軸117aがガイド溝126aの引出終了端部126bに当接していることで、ガイド軸117aがガイド溝126aから外れてしまうようなことがなくなる。
また、この位置では、図14に示すように、回胴装置110が主制御基板51の確認を妨げない位置まで下げられるため、通常、回胴装置110の背面側に位置している主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を行うことができる。
このような主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を行っている最中では、把持レバー130を持って回胴装置110を支えるようにすることで、台座120側のガイド片126のガイド溝126aに係合されている基板115側のガイド軸117aに集中する回胴装置110の重みを軽減できるため、ガイド軸117aがガイド片126のガイド溝126aから外れてしまうようなことがない。
一方、主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を終えた後、回胴装置110を筐体2の内部に押し戻す場合、まずガイド片126のガイド溝126aに係合されているガイド軸117aを支点として把持レバー130を介し回胴装置110を水平位置まで持ち上げる。
次いで、把持レバー130を介し回胴装置110を押し込むと、上記同様に、回胴装置110の基板115側のガイド軸117aが台座120側のガイド片126のガイド溝126aに係合されつつガイドされることで、基板115を介し回胴装置110が台座120上に押し戻される。
そして、基板115側のガイド軸117aがガイド溝126aの押戻終了端部126cに当接する直前までくると、把持レバー130のロック片132が台座120側のロック穴121bを通過する。この状態から回胴装置110をさらに押し込むと、基板115側のガイド軸117aがガイド溝126aの押戻終了端部126cに当接することで、回胴装置110の台座120上への押し戻し終了位置を確認することができる。この位置では、把持レバー130のロック片132がロック穴121bの背面側にすり抜けているため、把持レバー130を水平位置から垂直位置に回動させると、ロック片132がロック穴121bの背面側に係合することで、基板115を介し回胴装置110が台座120上に固定される。
このように、回胴装置110の引き出し及び押し戻しは、把持レバー130の水平位置と垂直位置での回動に伴う台座120側のロック穴121bに対する基板115側のロック片132の係合及び係合解除とともに行われる。
これにより、遊技中等に前扉3が不正に開けられても回胴装置110が邪魔することになるため、回胴装置110が筐体2の内部から引き出されない限り、主制御基板ユニット50のプラスチック製の上蓋ケース53に半田ごて等の熱によって穴を開け、上述した正規のROM51bを裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに差し替えたり不正行為を困難とすることができる。
言い換えれば、回胴装置110を筐体2の内部から引き出せば、正規のROM51bを裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに差し替えたりする等の不正行為を行うことは可能であるが、正規のROM51bを裏ROM又は不正ROMに差し替えたりする等の行為が行われるまでには、前扉3を不正に開ける行為と、回胴装置110を筐体2の内部から不正に引き出す行為とが必要となる。
そのため、遊技中等にこれらの不正行為を行う場合、正規のROM51bを裏ROM又は不正ROMに差し替えたりする等の行為が行われるまでに、時間がかかるばかりか、回胴装置110を筐体2の内部から不正に引き出すと、監視カメラによるモニタ又はホールスタッフ等によりその不正行為が発見し易くなるため、不正行為を行う者に対してその行為を思い留めさせることができる。
このように、本実施例では、リールユニット装置100のスライド手段であるフレーム体120Aを、回胴装置110の基板115と筐体2内部に固定される台座120とで構成し、そのスライド手段により、回胴装置110が少なくとも主要ROMである検査済みの正規のROM51bを搭載している主制御基板51の確認を妨げる位置とその主制御基板51の確認を妨げない位置との間でスライド自在とされるようにし、正規のROM51bが裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに不正に差し替えられたり、不正な制御基板が収容された基板ケースが現在使用されている基板ケース(上述の本体ケース52と上蓋ケース53とからなる)と差し替えられたりするまでに、前扉3を不正に開ける行為と、回胴装置110を筐体2の内部から不正に引き出す行為とが必要となるようにしたので、不正行為を行う者に対しその行為を思い留めさせることができることから、少なくとも一日に一回は行われる主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認作業を阻害することなく、正規のROM51bが裏ROM又は不正ROMと呼ばれるものに不正に差し替えられてしまうことや、不正な制御基板が収容された基板ケースが現在使用されている基板ケースと差し替えられてしまうような不正行為をより確実に防止できる。
また、本実施例では、スライド手段を、回胴装置110の基板115と筐体2内部に固定される台座120とで構成しているので、既存のスロットマシン1に比べると、筐体2の内部には少なくとも台座120が追加されることになるが、その台座120は回胴装置110の基板115を引き出し及び押し戻し自在に載置する板状とすることができることから、既存の筐体2の寸法を変更しなくても、内部に収容される既存の回胴装置110、ホッパ装置30及び主電源装置60等の配置スペースを阻害することがないようにすることができる。
また、本実施例では、台座120に筐体2の内部から開口側に向けて延びるガイド溝126aを有するガイド片126を並設し、基板115の両側の起立片117にガイド溝126aに係合して引き出し方向及び押し戻し方向にガイドされるガイド軸117aが設けるようにしたので、基板115上の回胴装置110を筐体2の内部から取り外すことなく引き出し及び押し戻しを行うことができる。
また、本実施例では、基板115にロック片132を有する把持レバー130を垂直位置と水平位置との間で回動自在となるように取り付け、台座120にはロック片132を係合するロック穴121bを設け、基板115が台座120の所定位置に押し戻されるとき、ロック片132がロック穴121bを通過し、把持レバー130をたとえば水平位置から垂直位置又に回動させると、ロック片132がロック穴121bの背面側に係合されるようにしたので、把持レバー130から手を離すことなく、ロック片132によるロックとロック解除とを行うことができる。
また、本実施例では、ガイド溝126aの引出終了端部126bから押戻終了端部126cまでの長さを、回胴装置110の基板115の引き出し終了位置及び押し戻し終了位置に合わせるようにし、基板115の引き出し又は押し戻しに伴いガイド軸117aが引出終了端部126b又は押戻終了端部126cに当接することで、基板115の引き出しの終了位置又は押し戻しの終了位置とを規制するようにしたので、回胴装置110の引き出し及び押し戻しに伴うそれぞれの終了位置の確認を容易に行うことができる。
また、本実施例では、ガイド溝126aの引出終了端部126bを台座120の面より突出する位置となるようにし、ガイド軸117aが引出終了端部126bに係合することで、基板115の水平位置から下方位置への回動が許容されることから、回胴装置110の基板115の引き出し終了位置では回胴装置110が若干下げられることになり、ホールスタッフ等による主制御基板51上の各電子素子等の状態の確認を容易に行うことができる。