JP5424295B2 - 地下電磁探査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地下電磁探査方法に関する。
近年、磁性非晶質材料のインピーダンスが外部磁場によって変化することが発見され、磁気インピーダンス素子(MI素子;Magneto-Impedance device)が開発された(特許文献1)。そして、この磁気インピーダンス素子を利用した磁気検出装置が開発されている(例えば特許文献2、非特許文献1)。
また、電磁誘導現象を利用して地下探査を行う電磁探査法は、鉱山、地熱、石油などの資源探査や地下構造調査に広く用いられてきた。このような電磁探査法として、各種の手法が開発されており、特に今日では、地下に人工的に電磁場を発生させ、地下探査を行う手法が実用化されている(例えば特許文献3)。
従来の地下電磁探査法として代表的な手法の一つとして、TDEM法(Time Domain Electromagnetic Method)がある。TDEM法では、誘導電流発生用送信源を地上に設置し、一般的にオン/オフ時間のある交替直流を誘導電流発生用送信源に通電する。誘導電流発生用送信源に流していた電流を急激に遮断すると、電磁誘導の法則により、それまで形成されていた磁場が変化するのを妨げるように、誘導電流が地表面に流れる。
この誘導電流は時間とともに地下深部に向けて拡散する。誘導電流はその電流経路の比抵抗に応じて減衰するため、誘導電流が作る磁場を時間の関数として地表で測定することにより、地下の比抵抗分布を調べることができる。
特開平7−181239号公報 特開2003−121517号公報 特開2002−71828号公報 毛利佳年雄著、「磁気センサ理工学」、株式会社コロナ社、1998年3月10日、p.92−101
従来の地下電磁探査においては、磁場センサーとして誘導コイルを用いるのが一般的であった。しかし、地下電磁探査で使用される誘導コイルは大型(例えば、長さ1m以上、重さ10kg以上)であった。そのため、その運搬や設置の困難性から、短期間で安価に多数の場所で測定を行うことは難しく、地下電磁探査の測定効率向上の妨げとなっていた。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、短期間で安価に多数の場所で測定を行うこと可能にした地下電磁探査方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る地下電磁探査方法は、
周期的に誘導電流を発生させる誘導電流発生用送信源を用いた地下電磁探査方法において、
磁性非晶質構造体を持つ磁気インピーダンス素子を含むセンサー部を含み、前記磁性非晶質構造体の長手方向に、前記磁性非晶質構造体に磁場を導く棒状のコア部を有する磁場センサー装置により前記誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号を含む磁場を観測する観測工程と、
前記誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号を含む磁場の観測データを記憶する記憶工程と、
を含む磁場観測を、地表面に設けられた複数の測定ポイントにおいて繰り返し行い、
前記測定ポイントごとの観測データに基づき地下の比抵抗分布を演算することを特徴とする。
本発明によれば、従来の誘導コイルに比べ小型かつ軽量化できる磁場センサー装置を用いることにより、短期間で安価に多数の場所で測定を行うこと可能にした地下電磁探査方法を実現することができる。
(2)この地下電磁探査方法において、
前記磁場センサー装置は、前記磁性非晶質構造体に入力される環境磁場を相殺する環境磁場相殺手段を含み、
磁場の観測値が所望の範囲内となるように、前記磁気インピーダンス素子に入力される環境磁場を相殺する環境磁場相殺工程を含んでもよい。
環境磁場を相殺することにより、観測対象となる磁場を精度よく観測することができる。
(3)この地下電磁探査方法において、
前記誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号を含む磁場の観測データを誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号の積分値が0となる期間で積分した値に基づいて、前記観測データが所望の範囲内となるように、観測データの基準値を補正する補正工程を含んでもよい。
誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号の積分値が0となる期間は、例えば、誘導電流発生用送信源が交替直流(周期前半の正側の出力と周期後半の負側の出力が対称である信号)を出力する場合には、誘導電流発生用送信源の出力周期の整数倍の期間としたり、出力周期を第1区間から第4区間までに等しい時間で4分割した場合の第1区間と第3区間の組合せや第2区間と第4区間の組合せとすることができる。
また例えば、磁場センサー装置が補正手段を有し、補正手段は、観測データを出力周期の整数倍の期間で積分した値が上限基準値を超えた場合には測定データの基準値を下げる制御を行い、観測データを出力周期の整数倍の期間で積分した値が下限基準値を下回った場合には測定データの基準値を上げる制御を行ってもよい。
これにより、地磁気の時間変動による観測データの時間変動量を自動的に補正することができるため、磁気インピーダンス素子を飽和させることがなくなる。したがって、自動測定が可能になる。
(4)この地下電磁探査方法において、
前記誘導電流発生用送信源の出力と同期した時間データを取得する同期工程を含み、
前記記憶工程は、前記観測データと前記時間データとを関連付けて記憶してもよい。
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含むものとする。
1.本実施の形態に係る地下電磁探査方法に用いる磁場センサー装置
図1は、本実施の形態に係る磁場センサー装置の構成の概略を示す模式図である。
本実施の形態に係る磁場センサー装置1は、センサー部100と処理部200を含む。説明を簡単にするために、図1においてはセンサー部100と処理部200を1つずつ示しているが、1つの記録部に対して複数のセンサー部を有する構成であってもよい。
センサー部100は、磁性非晶質構造体を持つ磁気インピーダンス素子を含んで構成される。また、センサー部100は、磁場を検出し、検出した磁場の大きさに基づいた出力信号を処理部200に送信する。
処理部200は、センサー部100からの出力信号を受信し、所与の信号処理を行った後、観測データとして記録する。また、センサー部100に対して種々の制御を行う。
図2は、センサー部100の構成の一例を示す模式図である。
センサー部100は、磁性非晶質構造体を持つ磁気インピーダンス素子110を含む。磁気インピーダンス素子110は、長手方向の磁場を検出する。本実施の形態においては、磁気インピーダンス素子110は、図2の上下方向(矢印方向)の磁場を検出する。本実施の形態においては、磁気インピーダンス素子110の長手方向の長さは4mm程度である。
センサー部100は、駆動回路120を含む。駆動回路120は、磁気インピーダンス素子110を駆動し、処理部200に出力信号を出力するための回路である。また、センサー部100は、磁気インピーダンス素子110の周囲に、駆動回路120の一部となる測定用コイル111を含んでいてもよい。
図5は、駆動回路120の一例を示す回路図である。図5に示す例では、磁気インピーダンス素子110を含んだコルピッツ発振回路121を中心とした回路となっている。コルピッツ発振回路121は、測定用コイル111となるコイル111a、111b及び111c、トランジスタ112、抵抗113、コンデンサ114及び115、可変抵抗116を含んで構成されている。
この回路では、コルピッツ発振回路121の共振電圧の振幅が磁場Hによって振幅変調される。振幅変調された電圧がショットキーバリアダイオードDを通して検波される。その後、ゼロ点設定用の直流バイアス電圧Vbとの差電圧が増幅され、出力信号として出力電圧Voutが出力される。また、出力電圧Voutはコルピッツ発振回路121に帰還される。これにより、直線性が高くヒステリシスのない駆動回路120を実現している。
センサー部100は、棒形状のコア部130及び131を含む。コア部130及び131は、磁性非晶質構造体を持つ磁気インピーダンス素子110の長手方向の両側に設けられている。コア部130及び131は、磁気インピーダンス素子110の磁性非晶質構造体に磁場を導く作用を持つ。コア部130及び131は、高透磁率材料(例えばミューメタルやフェライトなど)で構成されていてもよい。
図3は、本実施の形態に係る磁場センサー装置1のセンサー部100の外観の一例を示す図である。センサー部100は、ケース1000を含む。ケース1000は、円筒部1001及び1002とセンサー支持部1100から構成されている。ケース1000の全長は250mm、直径は76mmである。
また、磁性非晶質構造体を持つ磁気インピーダンス素子110と駆動回路120を含んだセンサー基板1200が支持部1100に設置され、コア部130及び131がそれぞれ円筒部1001及び1002の内部に設置される。磁気インピーダンス素子110とコア部130及び131は、磁気インピーダンス素子110の長手方向とコア部130及び131の長手方向が同一直線上になるように配置されている。
本実施の形態においては、コア部130及び131は、透磁率10000程度のミューメタルで構成されている。また、コア部130及び131の長手方向の長さはそれぞれ12cm程度、直径は5mm程度である。この結果、磁場センサーの感度を、コア部130及び131を有さない場合に比べて約300倍とすることが可能になった。
図4は、コア部130及び131を設けることによる感度の増加を確認する実験例を示すグラフである。この実験では、磁気インピーダンス素子110及び駆動回路120の組合せによる磁場センサー装置の感度が0.0048mV/nTである磁場センサー装置を用いている。
この磁場センサー装置にコア部130及び131を設け、磁場強度1727.6nTの入力磁場を入力したときの出力電圧を示すグラフが図4である。図4のグラフより、磁場センサー装置の出力電圧は3.660V−0.848V=2.812Vであることが分かる。したがって、コア部130及び131を設けることによる感度の増幅率は、(2.812×1000/0.0048)/1727.6=327.7(倍)となっていることが分かる。
このように、棒状のコア部130及び131を有することにより磁場センサー装置の感度を高めることができ、さらに従来の誘導コイルに比べ小型かつ軽量化できる磁場センサー装置を実現することができる。
センサー部100は、磁気インピーダンス素子110の磁性非晶質構造体に入力される環境磁場を相殺する補正磁場を発生させる環境磁場相殺手段140及び141を含んでもよい。本実施の形態において、環境磁場相殺手段140及び141は、それぞれコア部130又は131を軸とするコイルで構成されている。
また、磁場センサー装置1は、観測データが所望の範囲内となるように環境磁場相殺手段140及び141を制御する調整手段を含んでいてもよい。本実施の形態においては、処理部200が調整手段の機能を含んでいる。処理部200の構成例については後述する。
磁気インピーダンス素子110は磁場の変化量(時間微分)ではなく、磁場の大きさそのものを検出する。また、通常の地磁気による環境磁場は磁束密度0.5ガウス程度で存在している。したがって、例えばコア部130及び131により検出感度を300倍とした場合には、磁気インピーダンス素子110は150ガウス程度の環境磁場を検出することになる。
磁場センサー装置の検出範囲は、磁気インピーダンス素子110と駆動回路120の組合せで決まるものである。市販されている磁気インピーダンス素子110と駆動回路120の組合せでは、例えば検出範囲が磁束密度±3ガウスで設計されているものが存在する。この場合、コア部130及び131により検出感度を300倍とすると、地磁気による環境磁場のみで駆動回路120が飽和してしまい、磁場の測定は不可能になる。
そこで、環境磁場相殺手段140及び141により磁気インピーダンス素子110の磁性非晶質構造体に入力される環境磁場を相殺することで、磁気インピーダンス素子110と駆動回路120の組合せで決まる検出範囲内に観測データを収めることが可能になる。
また、特に観測対象となる磁場信号が地磁気による環境磁場よりも小さい場合には、環境磁場相殺手段140及び141が地磁気による環境磁場レベルが検出範囲の中心となるように環境磁場を相殺することにより、精度良く磁場信号を測定することができる。
環境磁場の相殺は、環境磁場相殺手段140及び141が地磁気による環境磁場と逆向きの磁場を発生させることにより行われる。特に、環境磁場相殺手段140及び141が地磁気による環境磁場と同程度の大きさの補正磁場を逆向きに発生させることにより、地磁気による環境磁場レベルが検出範囲の中心となるように環境磁場を相殺することができる。
図6は、処理部200の構成の一例を示す回路ブロック図である。
処理部200は、演算処理装置220を含んでもよい。演算処理装置220は、観測データの取得や、環境磁場相殺手段140及び141の制御、後述する記憶手段240への観測データの書き込み、その他各種演算処理などを行う。
また、演算処理装置200は、D/Aコンバータ217を介して環境磁場相殺手段140及び141を制御する調整手段として機能してもよい。
処理部200は、駆動回路120の出力信号Voutを入力し、必要に応じて増幅器210、ハイパスフィルタ211、ノッチフィルタ212、ローパスフィルタ213、増幅器214、A/Dコンバータ215を介して演算処理装置220に入力する。例えば、ノッチフィルタ212で50Hzや60Hzなど電源に起因する環境ノイズをカットしたり、ローパスフィルタ213でサンプリング周波数の2倍以上の周波数の信号をカットしたりしてもよい。
また、記憶部200は、精密クロック230を含んでもよい。精密クロック230は、高精度の時計であり、例えば10−9の精度を有する時計であってもよい。
本実施の形態においては、これら演算処理装置220及び精密クロック230と、必要に応じて増幅器210、ハイパスフィルタ211、ノッチフィルタ212、ローパスフィルタ213、増幅器214、A/Dコンバータ215を用いて、所望の磁場を経時的に観測する観測手段250として機能している。例えば本実施の形態に係る磁場センサー装置1を、誘導電流発生用送信源を用いた地下電磁探査に用いる場合には、誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号を含む磁場を経時的に観測する観測手段250として機能する。
処理部200は、記憶手段240を含んでもよい。記憶手段240は、観測手段250で観測した観測データを記憶する。記憶手段240は、メモリーカードのように取り外し可能に構成してもよいし、処理部200内にハードディスクなどを内蔵して構成してもよい。なお、センサー部100の出力信号を増幅する増幅手段(本実施の形態においては増幅器214)のダイナミックレンジで決まる測定可能範囲を超えて大きい値と小さい値の観測データが入力された場合には、それぞれ測定可能範囲の最大値と最小値として記憶手段240に記憶してもよい。
また、演算処理装置220は、記憶手段240に記憶された観測データを誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号の積分値が0となる期間で積分した値に基づいて、観測データが所望の範囲内となるように、観測データの基準値を補正する補正手段として機能してもよい。
誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号の積分値が0となる期間は、例えば、誘導電流発生用送信源が交替直流(周期前半の正側の出力と周期後半の負側の出力が対称である信号)を出力する場合には、誘導電流発生用送信源の出力周期の整数倍の期間としたり、出力周期を第1区間から第4区間までに等しい時間で4分割した場合の第1区間と第3区間の組合せや第2区間と第4区間の組合せとすることができる。
補正手段は、例えば、センサー部100の出力信号を増幅する増幅手段のオフセット量を制御することで観測データの基準値を自動制御してもよい。本実施の形態においては、増幅器214がセンサー部100の出力電圧Voutを増幅する増幅手段として機能し、演算処理装置220がD/Aコンバータ216を介して増幅器214のオフセット量を制御することにより観測データの基準値を制御している。
例えば本実施の形態に係る磁場センサー装置1を、誘導電流発生用送信源を用いた地下電磁探査に用いる場合には、補正手段は、記憶手段240に記憶された観測データを出力周期の整数倍の期間で積分した値が上限基準値を超えた場合には測定データの基準値を下げる制御を行い、観測データを出力周期の整数倍の期間で積分した値が下限基準値を下回った場合には測定データの基準値を上げる制御を行ってもよい。
これにより、地磁気の時間変動の影響による観測データの時間変動量を自動的に補正することができるため、センサー部100や観測手段250を飽和させることがなくなる。したがって、自動測定が可能になる。
本実施の形態に係る磁場センサー装置1を、誘導電流発生用送信源を用いた地下電磁探査に用いる場合には、処理部200は、誘導電流発生用送信源の出力と同期した時刻データを取得する同期手段を含んでもよい。本実施の形態においては、GPS時計231でGPS情報に含まれる時刻情報を取得することにより、誘導電流発生用送信源の出力と同期した時刻データを取得することができる。
また、記憶手段240は、観測データと時刻データを関連付けて記憶してもよい。これにより、磁場センサー装置1を地下電磁探査に用いた場合の観測データの分析が容易になる。
処理部200は、入力手段300及び出力手段310と接続されていてもよい。入力手段300及び出力手段310は、命令やデータを入出力する。入力手段300は、キーボードであってもよい。出力手段310は、ディスプレイ(モニタ)であってもよい。
2.本実施の形態に係る地下電磁探査方法
磁場センサー装置1を用いた地下電磁探査方法について説明する。地下電磁探査方法については種々の方法が開発されているが、本実施の形態においては、地下に人工的に電磁場を発生させ、地下探査を行う地下電磁探査方法について説明する。
また、このような地下電磁探査方法として、電磁応答を周波数の関数として扱う周波数領域の地下電磁探査方法と、電磁応答を時間の関数として扱う時間領域の地下電磁探査方法とが知られている。周波数領域と時間領域とはフーリエ変換の対であり、理論的には等価である。本実施の形態においては、時間領域の地下電磁探査方法であるTDEM法(Time Domain Electromagnetic Method)について説明する。
図7は、磁場センサー装置1を地下電磁探査に用いる場合の配置例の概略を示す模式図である。
磁場センサー装置1は、地表面に配置される。磁場センサー装置1の位置や傾きを固定するために、地表面に設けた凹部の中に配置してもよい。
誘導電流発生用送信源2は、地表面に配置される。また、誘導電流発生用送信源2の出力電流を流し、地中に誘導電流を発生させるための送信ループ3も地表面に配置される。本実施の形態においては、誘導電流発生用送信源2と送信ループ3により、地中に誘導電流を発生させる。なお、磁場センサー装置1と送信ループ3との距離は、地下電磁探査の目的に応じて任意に設定することが可能である。本実施の形態においては、磁場センサー装置1を送信ループ3から0km〜15km程度の距離に配置している。
図8(A)〜(C)は、本実施の形態に係る地下電磁探査方法における誘導電流発生用送信源2の出力電流I、出力電流電流遮断後の逆起電力P及び出力電流電流遮断後の磁場Hのタイミングチャートである。出力電流Iは交替直流(周期前半の正側の出力と周期後半の負側の出力が対称である信号)であり、図7の矢印の向きを正とする。
まず図8(A)に示すように、誘導電流発生用送信源2から送信ループ3に正の出力電流Iを出力する。次にこの出力電流Iを急激に遮断する。これにより、図8(B)に示すように、電磁誘導の法則により遮断前の同じ磁場を維持しようとする逆起電力が発生し、地表面に誘導電流が発生する。その後、誘導電流発生用送信源2から送信ループ3に負の出力電流Iを出力する。次にこの出力電流Iを急激に遮断する。かかる動作を周期Tで繰り返す。
この地表面の誘導電流は、大地の比抵抗に応じて減衰するが、この電流の変化を妨げるような新しい誘導電流が地中に生じる。このプロセスが繰り返され、あたかも誘導電流500が、誘導電流501、誘導電流502へと地下深部に伝播していくような現象が発生する。
これらの誘導電流は、電流経路地層の比抵抗に応じて減衰する。このため、地表に設置された磁場センサー装置1を用い、誘導電流の減衰を磁場の時間変化として図8(C)に示すように検出し、地下の比抵抗分布を知ることができる。例えば、地下が高比抵抗の場合は、誘導電流は急速に減衰していくが、低比抵抗の場合はゆっくり減衰する。
したがって、磁場センサー装置1を測定ポイントに応じて次々と移動させながら、又は、複数の磁場センサー装置1をそれぞれの測定ポイントに設置して観測データを集め、この観測データを分析することにより地下の比抵抗分布を求めることができる。またこの比抵抗分布に基づき地下構造を知ることができる。
すなわち、磁場センサー装置1により誘導電流に基づく磁場を観測する観測工程と、誘導電流に基づく磁場の観測データを記憶する記憶工程とを含む磁場観測を、地表面に設けられた複数の測定ポイントにおいて繰り返し行い、測定ポイントごとの観測データに基づき地下の比抵抗分布を演算することにより地下構造を知ることができる。
また、磁場センサー装置として、磁性非晶質構造体をコアに持つ磁気インピーダンス素子110を含むセンサー部100と、磁性非晶質構造体の測線方向に、磁性非晶質構造体に磁場を導く棒状のコア部130及び131を有する磁場センサー装置1を用いることにより、従来の誘導コイルに比べ小型かつ軽量化できる磁場センサー装置を実現できるため、短期間で安価に多数の場所で測定を行うこと可能にした地下電磁探査を行うことができる。
磁場センサー装置1が、磁性非晶質構造体に入力される環境磁場を相殺する補正磁場を発生させる環境磁場相殺手段140及び141を含む場合には、磁場の観測値が所望の範囲内となるように、磁性非晶質構造体に入力される環境磁場を相殺する補正磁場を発生させる環境磁場相殺工程を含んでもよい。環境磁場相殺工程は、例えば観測工程の前に行ってもよい。
図9は、本実施の形態に係る地下電磁探査方法における磁場観測フローの一例を示すフローチャートである。
まず、環境磁場相殺手段140及び141により、観測値が所望の範囲内となるように、磁性非晶質構造体に入力される環境磁場を相殺する補正磁場を発生させる環境磁場相殺工程を行う(ステップS100)。
次に、観測手段250により、誘導電流に基づく磁場を観測する観測工程を行う(ステップS110)。次に、記憶手段240により、観測データを記憶する記憶工程を行う(ステップS120)。
次に、磁場観測が終了したか否かを判定する(ステップS130)。磁場観測を終了したか否かは、例えば、所定回数の観測工程が実行されたか否か、所定時間において観測工程が実行されたか否か、観測終了命令が入力されたか否かなどにより判定してもよい。
ステップS130により磁場観測を終了していないものと判定された場合には、ステップS110へ戻り、観測終了までステップS110からS130を繰り返す。ステップS130により磁場観測を終了したものと判定された場合には、磁場観測フローを終了する。
図10は、本実施の形態に係る地下電磁探査方法における環境磁場相殺工程でのフローの一例を示すフローチャートである。本実施の形態においては、基準電圧V1及びV2の関係は0<V2<V1とし、補正磁場の変更幅δ1及びδ2の関係は0<δ2<δ1とする。また、補正磁場の向きは地磁気と逆向きを正とする。なお、補正磁場の変更幅や変更段階数は必要に応じて任意に設定することが可能である。
環境磁場相殺工程が始まると、環境磁場相殺手段140及び141は、予め設定した初期値による補正磁場を発生させる(ステップS200)。初期値は0(補正磁場を全く発生させていない状態)であってもよい。
次に磁場センサー装置1の観測手段250により所定時間に亘って磁場の観測を行う(ステップS202)。次に所定時間内におけるセンサー部100の駆動回路120の出力電圧Voutに基づき記憶手段240に記憶された観測データの平均値Vaを算出する(ステップS204)。平均値Vaの算出は、例えば処理部200の演算処理装置220で行う。なお、センサー部100の出力信号を増幅する増幅手段(本実施の形態においては増幅器214)のダイナミックレンジで決まる測定可能範囲を超えて大きい値と小さい値の観測データが入力された場合には、それぞれ測定可能範囲の最大値と最小値として記憶手段240に記憶してもよい。
次に平均値Vaが0より大きいか否かを判定する(ステップS206)。以後、全ての判定処理は演算処理装置220で行うものとして説明する。
ステップS206で平均値Vaが0より大きいものと判定された場合には、平均値Vaが基準電圧V1よりも小さいか否かを判定する(ステップS208)。平均値Vaが基準電圧V1よりも小さくないものと判定された場合には、演算処理装置220は補正磁場の大きさを変更幅δ1だけ大きくする制御を行い(ステップS308)、ステップS202へ戻る。
ステップS208で平均値Vaが基準電圧V1よりも小さいものと判定された場合には、平均値Vaが基準電圧V2よりも小さいか否かを判定する(ステップS210)。平均値Vaが基準電圧V2よりも小さくないものと判定された場合には、演算処理装置220は補正磁場の大きさを変更幅δ2だけ大きくする制御を行い(ステップS310)、ステップS202へ戻る。
ステップS210で平均値Vaが基準電圧V2よりも小さいものと判定された場合には、補正磁場の大きさを確定し、処理を終了する。つまり、平均値Vaは、処理終了時には0<Va<V2の関係を満たすことになる。
ステップS206で平均値Vaが0以下と判定された場合には、平均値Vaが基準電圧(−V1)よりも大きいか否かを判定する(ステップS212)。平均値Vaが基準電圧(−V1)よりも大きくないものと判定された場合には、演算処理装置220は補正磁場の大きさを変更幅δ1だけ小さくする制御を行い(ステップS312)、ステップS202へ戻る。
ステップS212で平均値Vaが基準電圧(−V1)よりも大きいものと判定された場合には、平均値Vaが基準電圧(−V2)よりも大きいか否かを判定する(ステップS214)。平均値Vaが基準電圧(−V2)よりも大きくないものと判定された場合には、演算処理装置220は補正磁場の大きさを変更幅δ2だけ小さくする制御を行い(ステップS314)、ステップS202へ戻る。
ステップS214で平均値Vaが基準電圧(−V2)よりも大きいものと判定された場合には、補正磁場の大きさを確定し、処理を終了する。つまり、平均値Vaは、処理終了時には−V2<Va<0の関係を満たすことになる。
すなわち、図10に示す環境磁場相殺工程でのフローでは、平均値Vaは、処理終了時には−V2<Va<V2の関係を満たすことになる。また、平均値Vaが0から遠い場合には大きな変更幅δ1で補正磁場の大きさを変更する制御を行い、平均値Vaが−V1<Va<V1の範囲に収まった後は小さな変動幅δ2で補正磁場の大きさを変更する制御を行っている。これにより、平均値Vaを速く正確に−V2<Va<V2の範囲に収めるための補正磁場の大きさを決定することができる。
図11(A)〜(C)は、図10のフローに基づき補正磁場の大きさを決定する模式図である。図11(A)は演算処理装置220に入力される観測データ、図11(B)は記憶手段240に記憶される記憶データ、図11(C)は補正磁場の大きさを示す。図11(A)〜(C)の横軸はいずれも時間である。また、磁場センサー装置1の測定可能上限値をVu、測定可能下限値をVdとし、Vd<−V1<−V2<0<V2<V1<Vuの関係を満たすものとする。
期間t1においては、予め設定した初期値による補正磁場を環境磁場相殺手段140及び141により発生させ、磁場センサー装置1の観測手段250により所定時間に亘って磁場の観測を行っている(ステップS200、S202)。図11に示す例では、補正磁場の初期値は0(補正磁場を全く発生させていない状態)である。
図11(A)に示す例の期間t1においては、観測データの全てが測定可能上限値Vu以上となっている。したがって、記憶データは全てVuとなっているため、平均値Vaは0<V1<Vaの関係を満たす。よって、演算処理装置220は、補正磁場を変化量δ1だけ大きくする制御を行う(ステップS204、S206、S208、S308)。
期間t2においては、期間t1での観測結果に基づき変更した値による補正磁場を環境磁場相殺手段140及び141により発生させ、磁場センサー装置1の観測手段250により所定時間に亘って磁場の観測を行っている(ステップS202)。
期間t2においては、観測データの一部が測定可能上限値Vu以上となっている。図11に示す例では、平均値Vaは、まだ0<V1<Vaの関係を満たすものとする。よって、この場合も演算処理装置220は、補正磁場を変化量δ1だけ大きくする制御を行う(ステップS204、S206、S208、S308)。
期間t3においては、期間t2での観測結果に基づき変更した値による補正磁場を環境磁場相殺手段140及び141により発生させ、磁場センサー装置1の観測手段250により所定時間に亘って磁場の観測を行っている(ステップS202)。
期間t3においては、観測データの一部が測定可能下限値Vd以下となっている。図11に示す例では、平均値Vaは、まだ−V1<Va<0の関係を満たすものとする。この場合、演算処理装置220は、補正磁場を変化量δ2だけ小さくする制御を行う(ステップS204、S206、S212、S214、S314)。
期間t4においては、期間t3での観測結果に基づき変更した値による補正磁場を環境磁場相殺手段140及び141により発生させ、磁場センサー装置1の観測手段250により所定時間に亘って磁場の観測を行っている(ステップS202)。
期間t4においては、観測データの全てが測定可能下限値Vd以上測定可能上限値Vu以下の範囲に収まっている。図11に示す例では、平均値Vaは、0<Va<V2の関係を満たすものとする。この場合、演算処理装置220は、補正磁場の大きさを確定し、環境磁場相殺工程の処理を終了する(ステップS204、S206、S208、S210)。これ以後の期間t5においては、環境磁場相殺手段140及び141は、期間t4と同じ大きさの補正磁場を発生させる。
このように環境磁場を相殺することにより、観測対象となる磁場を効率よく観測することができる。また環境磁場相殺工程の自動化も容易となる。
本実施の形態に係る地下電磁探査方法は、誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号を含む磁場の観測データを誘導電流発生用送信源2の誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号の積分値が0となる期間で積分した値に基づいて、観測データが所望の範囲内となるように、観測データの基準値を補正する補正工程をさらに含んでもよい。
誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号の積分値が0となる期間は、例えば、誘導電流発生用送信源が交替直流(周期前半の正側の出力と周期後半の負側の出力が対称である信号)を出力する場合には、誘導電流発生用送信源の出力周期の整数倍の期間としたり、出力周期を第1区間から第4区間までに等しい時間で4分割した場合の第1区間と第3区間の組合せや第2区間と第4区間の組合せとすることができる。
補正工程は、例えば、磁場センサー装置1が補正手段を有し、補正手段がセンサー部100の出力信号を増幅する増幅手段のオフセット量を制御することで観測データの基準値を自動制御してもよい。本実施の形態においては、増幅器214がセンサー部100の出力電圧Voutを増幅する増幅手段として機能し、演算処理装置220がD/Aコンバータ216を介して増幅器214のオフセット量を制御することで観測データの基準値を制御している。
例えば本実施の形態に係る磁場センサー装置1を、誘導電流発生用送信源を用いた地下電磁探査に用いる場合には、補正手段は、記憶手段240に記憶された観測データを誘導電流発生用送信源2の出力周期の整数倍の期間で積分した値が上限基準値を超えた場合には測定データの基準値を下げる制御を行い、観測データを誘導電流発生用送信源2の出力周期の整数倍の期間で積分した値が下限基準値を下回った場合には測定データの基準値を上げる制御を行ってもよい。
観測データの基準値の制御は、例えば、誘導電流発生用送信源2が送信ループ3に出力電流を供給している期間に行うことができる。
図12(A)〜(F)及び図13(A)〜(B)は、補正工程を説明するための模式図である。横軸は全て時間である。また、積分期間は誘導電流発生用送信源2の出力周期と同一にしている。
図12(A)は、補正工程を行う前の観測データである。観測データは、図12(B)に示すランダムノイズと、図12(C)に示す誘導電流発生用送信源2の出力に基づく磁場信号と、図12(D)に示す地磁気の時間変動や観測手段250の回路などの影響によるドリフト量の3成分が合計されたものと考えられる。
図12(B)に示すランダムノイズと、図12(C)に示す誘導電流発生用送信源2の出力に基づく磁場信号は、誘導電流発生用送信源2の出力周期で積分すると、それぞれ0となる。したがって、図12(A)に示す観測データを誘導電流発生用送信源2の出力周期で積分すると、図12(D)に示す地磁気の時間変動や観測手段250の回路などの影響によるドリフト量の積分値のみを算出することができる。
この積分値が上限基準値Iuを上回るか、下限基準値Idを下回った場合に、補正手段は観測データの基準値を変更する処理を行う。上限基準値Iu及び下限基準値Idは、ランダムノイズの大きさや積分期間を考慮して、観測データが測定可能上限値Vuと測定可能下限値をVdの間に収まるように決定する。図12(E)に示す例では、期間T4において積分値が上限基準値Iuを上回っている。したがって、図12(F)に示すように、補正手段は、期間T5以降においては観測データの基準値をΔVだけ下げる処理を行う。
図13(A)は図12(A)と同一の観測データ、図13(B)は補正工程を行った後の観測データである。図13(A)に示す観測データでは期間T5以降において測定可能上限値Vuを上回るデータが含まれている。しかし、補正工程を行うことにより、図13(B)に示すように、測定データが測定可能上限値Vuと測定可能下限値をVdの間に収まるようにすることができる。
本実施の形態に係る地下電磁探査方法は、誘導電流発生用送信源2の出力と同期した時間データを取得する同期工程を含み、記憶工程(図9のステップS120)では観測データと時間データとを関連付けて記憶してもよい。同期工程は、例えば観測工程(図9のステップS110)よりも前に行ったり、観測工程中に適宜行ったりしてもよい。
本実施の形態においては、磁場センサー装置1及び誘導電流発生用送信源2にGPS時計を設け、それぞれがGPS情報に含まれる時刻情報を取得することにより、磁場センサー装置1と誘導電流発生用送信源2の出力とが同期した時刻データを取得することができる。
このように、磁場センサー装置1と誘導電流発生用送信源2の出力とが同期した時刻データと観測データとを関連付けて記憶することにより、観測データの分析が容易になる。
本実施の形態に係る地下電磁探査方法は、スタック処理工程を含んでもよい。スタック処理は、誘導電流発生用送信源2の出力周期Tの前半の観測データと、出力周期Tの後半の観測データの符号反転データを足し合わせたデータを複数周期分合わせて、平均する処理である。
図14は、スタック処理工程後のデータの一例を示すグラフである。図14の上から順に、1周期分、2周期分、4周期分、8周期分、16周期分、32周期分、64周期分、81周期分の観測データを用いてスタック処理を行ったデータである。スタック処理に用いる観測データの量(周期の回数)が4倍になるごとにノイズレベルが1/2倍になることが分かる。
このように、スタック処理工程を含むことにより、ランダムノイズを打ち消し、測定精度を上げることができる。また、スタック処理工程後のノイズレベルを監視することにより、測定終了の自動化も可能となる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
例えば、本実施の形態においては、送信ループ3を用いて誘導電流を発生させていたが、地表面に複数の電極を設置し、地中を介して電極間に電流を流すことにより誘導電流を発生させても構わない。
本実施の形態に係る磁場センサー装置の構成の概略を示す模式図。 センサー部の構成の一例を示す模式図。 センサー部の外観の一例を示す図。 感度の増加を確認する実験例を示すグラフ。 駆動回路の一例を示す回路図。 記録部の構成の一例を示す回路ブロック図。 磁場センサー装置を地下電磁探査に用いる場合の配置例の概略を示す模式図。 本実施の形態に係る地下電磁探査方法における誘導電流発生用送信源の出力電流、逆起電力及び磁場のタイミングチャート。 本実施の形態に係る地下電磁探査方法における磁場観測フローの一例を示すフローチャート。 本実施の形態に係る地下電磁探査方法における環境磁場相殺工程でのフローの一例を示すフローチャート。 補正磁場の大きさを決定した実験例の一例を示すグラフ。 補正工程を説明するための模式図。 補正工程を説明するための模式図。 スタック処理工程後のデータの一例を示すグラフ。
符号の説明
1 磁場センサー装置、2 誘導電流発生用送信源、3 送信ループ、100 センサー部、110 磁気インピーダンス素子、111,111a,111b,111c 測定用コイル、112 トランジスタ、113 抵抗、114,115コンデンサ、116 可変抵抗、120 駆動回路、121 コルピッツ発振回路、130,131 コア部、140,141 環境磁場相殺手段、200 記録部、210 増幅器、211 ハイパスフィルタ、212 ノッチフィルタ、213 ローパスフィルタ、214 増幅器、215 A/Dコンバータ、216,217 D/Aコンバータ、220 演算処理装置、230 精密時計、231 GPS時計、240 記憶手段、250 観測手段、300 入力手段、310 出力手段、500,501,502 誘導電流、1000 ケース、1001,1002 円筒部、1100 センサー支持部、1200 センサー基板

Claims (3)

  1. 周期的に誘導電流を発生させる誘導電流発生用送信源を用いた地下電磁探査方法において、
    磁性非晶質構造体を持つ磁気インピーダンス素子を含むセンサー部を含み、前記磁性非晶質構造体の長手方向に、前記磁性非晶質構造体に磁場を導く棒状のコア部を有する磁場センサー装置により前記誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号を含む磁場を観測する観測工程と、
    前記誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号を含む磁場の観測データを記憶する記憶工程と、
    前記誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号を含む磁場の観測データを誘導電流発生用送信源の出力に基づく磁場信号の積分値が0となる期間で積分した値に基づいて、前記観測データが所望の範囲内となるように、観測データの基準値を補正する補正工程と、
    を含む磁場観測を、地表面に設けられた複数の測定ポイントにおいて繰り返し行い、
    前記測定ポイントごとの観測データに基づき地下の比抵抗分布を演算することを特徴とする地下電磁探査方法。
  2. 請求項1に記載の地下電磁探査方法において、
    前記磁場センサー装置は、前記磁性非晶質構造体に入力される環境磁場を相殺する補正磁場を発生させる環境磁場相殺手段を含み、
    磁場の観測値が所望の範囲内となるように、前記磁性非晶質構造体に入力される環境磁場を相殺する補正磁場を発生させる環境磁場相殺工程を含むことを特徴とする地下電磁探査方法。
  3. 請求項1又は2に記載の地下電磁探査方法において、
    前記誘導電流発生用送信源の出力と同期した時間データを取得する同期工程を含み、
    前記記憶工程は、前記観測データと前記時間データとを関連付けて記憶することを特徴とする地下電磁探査方法。
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