JP5422861B2 - 照明−および観察装置 - Google Patents

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Description

本発明は、観察装置用の照明装置に関する。さらに本発明は、観察装置に関する。
観察装置は、たとえば手術用顕微鏡としてよい。特に観察装置は、たとえば眼外科、すなわち白内障外科における特殊用途に使用される眼科手術用顕微鏡として形成することができる。
白内障外科においては、−たとえば白内障によって濁った−水晶体が人工レンズに置換される。
眼の水晶体は、薄い包被いわゆる水晶体嚢の中にある。水晶体を切除するために水晶体嚢の中へ薄い切り込みを入れて水晶体への通路が作られ、水晶体が顕微鏡外科装置により初めに小さい個々の部分に分けられ、次いで吸引装置によって除去される。
この過程は、顕微鏡観察下に−たとえば実体顕微鏡の観察下に−前記のような手術のために特にデザインされた照明装置を使用して行われる。この照明装置は全手術視野の照明に必要な周辺照明および白内障手術に対して決定的に重要な、本来の水晶体の瞳領域に制限された手術視野用の赤色背景照明である。この赤色背景照明は、透明の眼媒質を介して最終的に良好な血液供給によって赤く現れる網膜に衝突する照明光の部分に由来し、前記網膜から反射散乱され、次にもちろん外科の手術用顕微鏡を介して赤く現れる背景照明として観察できる。この白内障外科において全く特徴的な赤色背景照明は専門業界で一般に用語「赤色反射」のもとに知られている。
白内障手術に重要な細部の最適な検知のために手術者に対して可能な限り均一な赤色反射が必要な前提条件であることが証明されている。つまり照明装置に対する第一要件は可能な限り良好な赤色反射の均一性を全患者瞳にわたって保証することである。
微細な部分に細分された水晶体のレンズ残部の完全な除去および透明な膜、たとえば水晶体嚢の良好な検出のために、別の要件すなわち位相物体の良好なコントラスト化は、可能な限り全患者瞳にわたって満たされなければならない。
過去において前記のような赤色背景照明の発生との関連性の中ですでに種々の解決策が知られてきた。
米国特許第4,779,968号明細書に手術用顕微鏡用の共軸照明が記載されている。この解決策によって、補助モジュールとして既存の手術用顕微鏡に後から組み込むことができる照明モジュールを設けている。この補助モジュールは、好ましくは物体側で観察装置の主対物レンズの下に取り付けられる。顕微鏡軸上の照明カップリングはピッチプレートまたはピッチダイスのいずれかで行われる。
ドイツ国特許第4028605号明細書に零度共軸−および斜方照明の組合せを可能にする手術用顕微鏡用の照明装置が記載されている。そのために照明装置は、それぞれ可変式絞りを含む移動可能の部分ミラーならびに固定型6度ミラーを使用し、それによって各照明装置の照明角度と光割合を変化させることができる。この公知の解決策の弱点は、共軸照明が軸近傍の斜方照明である共軸照明によるコントラスト増大にある。
ドイツ国特許公開第19638263号明細書に、患者の眼を照明する際に前面の眼の部分の観察で避けられない角膜反射が抑制されるべきである眼科観察装置が開示されている。これは、それ以外公知の照明の放射視野絞りの近傍で黒点の形の光吸収体の取付けによって行われる。
米国特許第6,011,647号明細書に、手術中に周辺照明と最適な「赤色反射」照明との間で切換えることができる眼科手術用顕微鏡用の切換式照明システムが記載されている。この照明装置は、光源と、収集器と、放射視野絞りと、方向転換ミラーと、視野レンズと、主対物レンズとから構成される。この最適化された「赤色反射」照明の場合、次に周辺照明と同様に放射視野絞りではなく、物体面として眼瞳の中へ光源の螺旋が結像される。
最後にヨーロッパ特許公開第1109046号明細書に、2つの互いに独立して移動可能の反射素子を有し、この反射素子によって顕微鏡対物レンズの光軸および入射光の角度も、種々の光線の強度も互いに独立して変化できる手術用顕微鏡用の照明装置が開示されている。
従来の技術から公知の解決策案の年代記的順序で、初めに厳密に零度の「赤色反射」照明が支持された。このような零度照明もしくは真の共軸照明の長所は、赤色反射の良好な均一性の発生にある。しかしながら上述した水晶体嚢内のレンズ残部の良好なコントラスト化の第2の基本的条件および嚢状膜の表示は零度照明による公知の照明システムによっては充分に満たされない。
次の開発ステップは、そこでコントラスト化の改善を達成するために、軸近傍の照明をもたらした(共軸照明とも呼ぶ)。しかしながら観察軸と照明軸との間の角度が多少大きいために赤色反射の多少強い濃淡の差、つまり赤色反射の不均一性の欠点が生じる。最終的に共軸照明は斜方照明と零度照明との間の妥協的解決策である。結果的に、改善されたコントラスト化の長所は均一性の劣化を引き起こす。
従来の技術から公知の解決策案は、全般的に、均一性とコントラスト化に関する条件がその際に強制的に発生する矛盾のために同時に満たすことができないという欠点を有する。
上記従来の技術を前提として、本発明は、前記欠点を回避できるように、冒頭に述べた形式の照明装置ならびに観察装置を継続形成する課題を基礎においている。特に照明装置ならびに観察装置によって赤色反射の均一性に関する実際上の要件の最適の問題解決策が水晶体嚢内のレンズ残部もしくは膜を同時に充分良好にコントラスト化することによって実現可能である照明装置ならびに観察装置が提供されるべきである。
この課題は、本発明の照明装置、観察装置ならびに特別の使用によって解決される。本発明のその他の長所、特徴、詳細、観点および効果は、従属請求項、明細書ならびに図面、特徴および本発明による照明装置との関連で記載した詳細から生じるが、これらはもちろん本発明による観察装置との関連性においても、その逆の場合においても当てはまる。それに対応して特別の使用においても当てはまる。
従って本発明による解決策の本質的内容は、第一に照明装置の新規の構想にある。本発明は、課題設定の解決策が本発明により少なくとも部分的に新規に考案された照明光路と、放射視野結像および瞳結像、つまりこの場合は光源の結像の組合せ光路の全く特別の光学的結像性質と、観察光路の良好に定義された協働作用によって生じるという認識に基づく。
この協働作用の基本的前提条件は、照明光路の光学的結像性質に関して慣用の照明装置で一般的に行われるよりも本質的に高い、発生する光学的結像誤り(収差)の補正条件に対する要件を課さなければならないことである。
照明装置に関しさらに後述部分で具体的に示すように、この基本的条件は光学的構成要素の最少の費用で達成することができる。
本発明の第1の観点に従って、光源と、前記光源および対物レンズ素子の間に設けた光学素子とを備えた、観察装置、特に手術用顕微鏡用の照明装置が提供される。この照明装置は、本発明により、照明用開口(Beleuchtungspupille)の結像が被観察物体の基底上に生じるように、前記光学素子を形成かつ配置したことを特徴とする。
照明用開口の結像のために被観察物体つまり患者の眼の前に虚像が生じる。この虚像の位置は基底の共役像の場所に相当し、つまり眼の非正視によって変化する。特にこの虚像は、その場合右視の眼で眼の遠点にある。
本発明により観察装置用の照明装置を提案するが、本発明は観察装置の特定の型式に制限されていない。たとえば、排他的ではないが、この観察装置は手術用顕微鏡としてよい。手術用顕微鏡の分野における可能な用途についての幾つかの非排他的例は本発明による観察装置との関連性でより詳しく説明する。
照明装置は第一に光源を有するが、本発明は光源の特定の型式に制限されていない。たとえば、光源を少なくとも1つのランプ、または少なくとも1つの光導波管または少なくとも1つの発光ダイオード(LED)から形成することを考慮することができる。もちろん光源用のその他の実施形態または種々の実施形態の組合せも考え得る。その他の経過の中で、光源は様々に光導波管の形態で記載するが、本発明はこの具体例に制限されるものではない。
さらに照明装置は対物レンズ素子を有する。これは、好ましくは同様に観察装置の対物レンズ素子、特にその主対物レンズとして形成した対物レンズ素子である。しかしながら、これは強制的に必要ではない。
さらに照明装置の中に光源と対物レンズ素子との間に配置した種々の光学素子を設けている。
この場合、光学素子は本発明により、照明用開口の結像のために被観察物体の前に虚像が生じるように形成かつ配置されている。「照明用開口」は、基本的に光源の結像、たとえば光導波管のファイバ終端またはさらに光源の中間像の結像であり、この中間像は出射光量の制御用の開口絞りによっても制限することができる。
本発明による照明装置は特に「赤色反射」の発生に使用される。赤色反射の発生には主に照明光の一部のみが寄与し、しかも対応する被検眼の網膜上の光束横断面に衝突し、そこから半空間だけ反射散乱し、再び厳密に対応する観察光円錐の中に反射散乱した光の部分のみが観察者によって赤色反射として知覚できる部分のみが寄与する。照明による均等な照射強度において、対応する像区域中の赤色反射の強度は網膜上の光束横断面の照明度に直接比例する。
本発明による照明装置の形成によって、眼底上に照明用開口の結像が生じることが達成される。特にこれは、照明された装置用開口(Geraepupille)の像が網膜上にある場合に全像点に対して等しい強度の均一な赤色反射が得られる。この赤色反射の均一性は、装置用開口の像の部分照明、たとえば斜方照明等でも変化しないが、強度は各照明度に応じて増加または減少する。
有利には照明装置が第1光学素子および第1絞りを有し、絞りは、たとえば放射視野絞りとしてよいことを考慮することができる。この第1絞りはその場合第1光学素子で照明される。
さらに第2光学素子および第2絞りを設けることができ、第2絞りはたとえば開口絞りとしてよい。第1および第2光学素子によって次に光源が開口絞りにより制限できる中間像に結像される。
本発明は、第1および第2光学素子の特定の実施形態に制限されていない。しかしながら、たとえば第1レンズ素子および/または第2レンズ素子は平凸レンズとして形成してよい。
一実施形態において、光源たとえば光導波管は収集器として機能する第1平凸レンズによって放射視野絞りが照明される。第2平凸レンズにより光源が次に開口絞りの中に結像される。
たとえば、第1および第2光学素子を全く同一に形成することを考慮することができる。光学素子は、それによって光源がたとえば結像尺度1:1で第2絞りたとえば開口絞りに結像される平凸レンズとしてよい。ここで提案した照明の解決策において、厳密に非点収差のない、屈折によってのみ制限された放射視野絞りもしくは中間像の結像が解決策案に準じてそれぞれ正確に割り当てられた実像もしくは虚像の共役像面に付与されている。それによって赤色反射の良好な均一性の本質的な基本的前提条件もしくは水晶体嚢内のレンズ残部のコントラスト化が付与されている。
有利には、照明装置の光学素子を少なくとも2つのレンズ素子からなるキット部材として形成してよい。この場合、キット部材および第2光学素子は想定した第1部分光学系に組み込むことを考慮することができる。この第1部分光学系は特に放射視野結像用のアフォーカル光路の発生のために形成されている。
次に第1絞りたとえば放射視野絞りは、第2光学素子または光学システムたとえば平凸レンズおよびキット部材からなる第1部分光学系の前部焦点に配置され、それによって放射視野絞りがこの組み込まれた部分光学系によって無限大に結像される。それによって放射視野結像用の対物レンズ素子の前にアフォーカル光路がある。
対物レンズ素子が観察装置の主対物レンズでもある場合は、それによって照明カップリングの交点に放射視野結像に対しても観察に対してもアフォーカル光路がある。これは、第1絞り(たとえば放射視野絞り)が主対物レンズから厳密に観察たとえば実体観察の物体面に結像されるために必要な前提条件である。照明装置の中にさらに後述する方向転換素子(Umlenkelement)を設けている場合、アフォーカル光路は、好ましくは対物レンズ素子の前で方向転換素子と照明カップリングの交点に有ってもよい。
別の実施形態においてキット部材および対物レンズ素子は想定した第2部分光学系に組み込むことができる。
ところで第2部分光学系により、光源の中間像は被検物体の前の虚像に結像される。照明用開口の中間像は、この場合第2部分光学系の前部焦点にあってもよい。虚像の位置は一般的に非正視を伴う被検眼の基底に対して共役的である。基底が厳密に眼底にある右視の眼の特別の場合では照明用開口の虚像が眼の遠点に結像されなければならない。これは、光源の中間像が場合により存在する開口絞りと共にキット部材および対物レンズ素子(これは、たとえば観察装置の主対物レンズとしてよい)の前部焦点に組み込まれた想定した第2部分光学系に移動されることによって達成される。この特別の場合において、次にこの第2部分光学系は、物体がアフォーカルと共に平行の光路によって照明される顕微鏡内の典型的なケーラーの照明におけるコンデンサの機能を引き受ける。
有利には少なくとも1つの方向転換素子を照明光路の少なくとも一部の方向転換のために設けることができる。それによって、照明光路を側面から入射することが可能になり、特に観察装置内部での照明装置の取扱いならびに構造および配置に関して長所となり得る。方向転換素子は、たとえば方向転換ミラー、方向転換プリズム等々としてよい。
一実施形態において、照明装置は、たとえば光源(光導波管)、第1光学素子(第1平凸レンズ)、第1絞り(放射視野絞り)、第2光学素子(第2平凸レンズ)、第2絞り(開口絞り)、キット部材、方向転換素子(方向転換ミラー)、対物レンズ素子(主対物レンズ)および被観察物体(眼)の光学的構成要素からなることができる。
本発明の第2の観点に従って、主対物レンズを有する少なくとも1つの観察光路の発生手段と、少なくとも1つの照明光路の発生手段とを備えた観察装置、特に手術用顕微鏡が提供される。この観察装置は本発明により、観察装置の−実体−装置用開口の像を被検物体の像面すなわち基底に結像するための観察光路の発生手段と、照明用開口を被検物体の像面すなわち基底上に結像し、それによって−実体−装置用開口の像を被検物体の像面で照明するために、少なくとも1つの照明通路の発生手段とが形成されることを特徴とする。
赤色反射の問題を解決する基本的前提条件としての観察および照明の最適な協働作用のために、装置用開口(実体観察開口)も照明用開口(たとえば光導波管ファイバ終端)も被検眼の基底に結像する必要がある。「装置用開口」は結像光束の全中心−または重量光(Mitten−oder Schwerestrahlen)の交点である。
有利には、照明光路の発生手段を上述の本発明による照明装置と同様に形成することを考慮することができる。
有利には、照明光路の発生手段をその際に主対物レンズの被検物体の反対側に配置することができる。
一実施態様において観察装置は手術用顕微鏡として形成されることを考慮している。手術用顕微鏡の光学系は基本的に鏡筒、顕微鏡基体等のような複数の構成要素からなる。さらに多くの手術用顕微鏡において、たとえば補助観察者用の同時観察鏡筒、ドキュメンテーション用ビデオカメラ等々のような様々な補助モジュールを接続することも可能である。
顕微鏡基体の内部に、さらに複数の、たとえば照明装置、拡大装置、主対物レンズ等々のような構造群を組み込むことができる。主対物レンズの特性量は、手術用顕微鏡から手術視野への作業距離を指定し、顕微鏡の全拡大に及ぼす影響も有する該主対物レンズの焦点距離である。
好ましくは、少なくとも1つの観察光路内に1つの拡大システムを設けることができる。これは、たとえば様々な拡大を調節できる可変拡大器としてよい。多数の適用事例において、倍率変更は段階的で全く充分である。しかしながら、拡大システムとして無段階の拡大(ズームシステム)が可能である調節自在の拡大システムを使用することも可能である。
この場合有利には、上述の観察装置の装置用開口を拡大システムの中に定在させることを考慮することができる。
さらに、少なくとも1つの観察光路の中に鏡筒素子および接眼レンズ素子を設けてもよい。接眼レンズ素子の役割は一般に鏡筒内に発生する中間像の後拡大、あるいはこのような顕微鏡の利用者の場合による非正視の補正である。
有利には、さらに被検物体の物体面が主対物レンズの前部焦点に形成したことを考慮している。それによって、被検物体が主物体を通して無限大へ結像されることが達成される。
好ましくは、観察装置を実体観察装置、特に実体顕微鏡として形成することができる。この場合、観察装置は2つの平行に延びる観察光路を使用する。
観察装置は、好ましい実施形態に従って本質的に光学的部分構成要素すなわち主対物レンズ(アフォーカル)ズームシステムならびに鏡筒および接眼レンズからなる双眼望遠鏡から構成されるテレスコープ方式による実体顕微鏡としてよい。
観察装置の個々の部分光学系の間で、観察光路は、好ましくは平行に延び、それによって個々の部分構成要素はモジュール式に交換可能かつ組合せ可能である。
好ましい方法で上述の本発明による観察装置は、眼科観察装置、特に白内障摘出用に形成した手術用顕微鏡に使用することができる。同様に上述の本発明による観察装置は、眼科観察装置、特に白内障摘出用に形成した手術用顕微鏡として使用することができる。
本発明は、以下添付図面を参照して実施例に基づきより詳しく説明する。
表1は、本発明による照明装置の第1実施形態の光学系データである。
図1は、本発明による照明装置の一実施形態を示す概略図である。
図2は、図1に示した本発明による照明装置の拡大部分断面図である。
図3は、本発明による照明装置を内蔵することができる観察装置内部の観察光路を示す概略図である。
図4は、模型眼の拡大図である。
図5は、図4に記載の模型眼の角膜上の例示による光横断面図である。
図6は、非正視を有する模型眼の網膜上の立体観察光路に共通の光束横断面図である。
図7は、模型眼の網膜上の立体観察光路用の光束横断面であるが、全光束の横断面が全像視野にわたってカバーされる光束横断面図である。
図8〜図12は、「赤色反射」とコントラスト化に及ぼす照明パラメータの影響を具体的に示す種々の写真説明図である。
図1および2に、観察装置10の構成要素である照明装置40を示している。観察装置10は、眼外科すなわち白内障外科における特殊用途に使用される眼科の実体手術用顕微鏡とする。その他の経過の中でさらに詳しく説明する照明装置40は、本例において光導波管として形成した光源41を有する。さらに、この場合は観察装置10の主対物レンズでもある対物レンズ素子11を設けている。光導波管41と主対物レンズ11との間に光学素子列を設けている。被検物体30の物体面12は主対物レンズ11の前部焦点に形成されている。被検物体30は眼である。
シミュレーションのために眼30は、いわゆる「模型眼」として形成している。長年にわたり実施されてきた診療は、赤色反射の問題を説明する実験検査のために無水晶体(水晶体の欠乏)の模型眼が実態を充分良好に説明することを示している。ヒトの無水晶体の眼と同様に現実に即して水晶体が取り除かれるため、光学的作用は角膜31(図4)の湾曲によってのみもたらされる。
赤色反射の問題を解決する基本的前提条件として観察および照明の最適な協働作用には、観察用開口(装置用開口)も照明用開口43(図2に記載の光導波管ファイバ終端42)も眼30の基底32、ここでは網膜上に結像される必要がある。
装置用開口15の虚像は、手術用顕微鏡の所定の観察光学系において、模型眼30の約300mm手前にある。装置用開口15の理想的な結像は、この場合模型眼30のほぼ焦点面にある。
それに対し、図1および2に記載の照明装置40の好適なデザインによって、照明用開口43の結像、つまり光導波管41の像は正確に模型眼30の焦点面におくことができる。照明用開口43の虚像は、そこでこの特殊の場合に対し模型眼30を基準として正確に遠点つまり無限大にある。
図3に示したように、光学的観察装置10はテレスコープ方式による実体顕微鏡に相当し、本質的に3つの光学的部分構成要素である主対物レンズ11、拡大システム16ならびに鏡筒および接眼レンズ素子からなる双眼望遠鏡から構成される。
物体面12は主対物レンズ11の前部焦点にあり、そのため物体30は主対物レンズ11によって無限大の方に結像される。図3に両実体観察光路13の一方のみを描いている。主対物レンズ11の光軸14に対する拡大システム16の軸の偏心性は11mmになる。つまり、両実体観察光路の間の全立体底部は22mmである。
装置用開口15すなわち結像光束の全中心−または重量光の交点は拡大システム16にある。
手術用顕微鏡10の光学系は眼瞳上に合焦するものとする。これは、物体面12が模型眼30の眼瞳にあることを意味する。
図4において、観察光路13用の模型眼30内の光束17の経過はそれに対応して図3に大きく拡大して示している。ここで模型眼30の光軸14は主対物レンズ11の光軸と同一であり、そのため観察の立体偏心性によって位相物体が一定の立体角で観察され、右および左の観察通路内の光線推移は位相面の物体点内の共通焦点までそれに準じて様々に異なる。
観察光路13の特定の影響は、特に明確に光束横断面によって、つまり光束17、18を網膜32上に刻み込む、いわゆる「痕跡」によって説明することができる。
図5は、例として中心束18と、合計8つの像視野周縁部にわたって均一に分布し、それによって全像視野を制限する光束17用の、しかも左(図5a)もしくは右(図5b)の観察通路用の角膜31上の光束横断面を示す。
図4から明らかなように、この横断面は像中心に向かって集束し、同時に面積が大きくなる。
ところで網膜32上の光束横断面は、患者の眼の非正視との関係で非常に明らかに大きさと相対的位置において互いに異なる。図6は、模型眼の焦点面の約5mm手前にある非正視眼の想定した網膜面上で共通の両方の立体光路用の前記光束横断面を示す。
すでに上述したように、網膜32が模型眼30の焦点面にある特殊の場合に特別の意義が帰属する。この特殊の場合において光束17の横断面は約1.2mmの直径を有する。赤色反射の均一性にとり決定的なことは、この特殊の場合において、図7に示したように、全光束の横断面が全像視野にわたってカバーされることである。
この場合、装置用開口15(図3)と同様に光束17の全中心−または重量光が交差し、それによって装置用開口15の像は網膜32上にある。
照明光路56(図1)および観察光路13(図3)の協働作用は、ここで簡単に個々の物体点を利用して説明することができる。すなわち図4に示したように、各物体点に対して1つの光円錐19があり、該光円錐の底部20は角膜32上の光束横断面と、該光円錐の頂部21は位相物体を含む観察した物体面12中の各物体点にある。
赤色反射の発生には主として照明光の一部のみ、しかも網膜32上の対応する光束横断面に衝突し、そこで半空間で反射散乱される部分のみが寄与し、さらに、厳密に対応する光円錐19への反射散乱光の部分のみが観察者によって赤色反射として知覚することができる。照明による等しい照射強度において、対応する像区域内の赤色反射の強度は横断面の照明度に直接比例する。特に、そこで装置用開口15の照明された像が網膜32上にある場合は全像点に対し等しい強度の均一な赤色反射が得られる。この赤色反射の均一性は、装置用開口15の像の部分的照明、たとえば斜方照明の場合でも変化しないが、強度はそれぞれの照明度に応じて増加または減少する。
網膜32上の装置用開口15の像の照明は、ここで図1および2に示しており、例示した実施形態において以下の光学的構成要素すなわち光導波管41、第1の平凸レンズとして形成した光学素子46、第1の放射視野絞りとして形成した絞り44、第2の平凸レンズとして形成した光学素子47、第2の開口絞りとして形成した絞り45、2つのレンズ素子49、50からなるキット部材48、方向転換ミラーの形態による方向転換素子51、主対物レンズ11ならびに模型眼30から構成される照明装置40によって行われる。
観察および照明によって共通に利用される主対物レンズ11までの図1に記載の構成要素の拡大図示は図2に示している。
照明光路56を発生する光導波管41により、第1平凸レンズ46により収集器として放射視野絞り44が照明される。第2平凸レンズ47により光導波管41はこの場合開口絞り45により中間像に結像される。たとえば両平凸レンズ46、47は全く同一としてよく、光導波管41を結像尺度1:1で開口絞り45の中に結像できる。
放射視野絞り44は、好ましくは第2平凸レンズ47とキット部材48とから構成された想定した第1部分光学系52の前部焦点F1に座し−これは点線で具体的に示している
−、つまりそれによって放射視野絞り44はこの構成された部分光学系52から無限大へ結像される。そのため方向転換ミラー51と照明カップリングの交点に観察の場合と同様に放射視野結像用の主対物レンズ11の前にアフォーカル光路54がある。これは、放射視野絞り44が主対物レンズ11から実体観察の物体面12すなわち位相面に結像されるために必要な前提条件である。直径約2.2mmを有する放射視野絞り44は、その場合たとえば約7mm拡大されて位相物体面に結像される。
光導波管41のファイバ終端42の像つまり照明用開口43を模型眼30の基底32に結像するために、照明用開口43の虚像は、基底に結合した模型眼30の像位置に結像されなければならない。特に容易に見て取れるように、これは光導波管の中間像45がキット部材48と主対物レンズ11から構成された想定した第2部分光学系53の前部焦点F2−これは同様に点線で具体的に示している−に移動されることによって、右視の眼の特別の場合で簡単に達成される。非正視の眼の一般的な場合において、この中間像は、前記中間像がそこで第2部分光学系によって網膜に結合した虚像面上に結像されるまで前部焦点F2から正確に離れる。
さらに右視の眼の特殊の場合に対して、第2部分光学系はそこで顕微鏡内の典型的なケーラーの照明におけるコンデンサの機能を引き受ける。つまり照明用開口43の結像のために眼30の前にアフォーカル光路55がある。この場合は光導波管41(照明用開口43)のファイバ終端42がたとえば強く縮小されて右視の眼の網膜35上に結像される。
本発明による照明装置40の例示した実施形態の光学系データは表1に掲載している。
前記の本発明による照明装置40を用いて包括的な実験調査が実施された。このような実験調査に必要な用途に対応する方向づけに関して基準となる実験は、以下さらに詳しく説明する。しかしながらその前に、得た認識の用途に関係する実施転換の目的方向を具体的にするために、再度これまでの調査に関する簡単な概要を提供する。
一般明細書の枠内で詳細に説明した問題設定は、特に白内障外科における手術用顕微鏡の特殊用途から生じ、本質的に水晶体嚢内のレンズ残部と位相構造の同時に良好なコントラスト化で全眼瞳にわたって均一な赤色反射の発生にある。そこから、前記要件に合致する実体観察に適合した照明装置40を構成する必要性が生じる。
本発明による解決策の応用技術の継続開発に対する重要な長所は、特に、この解決策が透明かつ一義的に定義できる赤色反射およびコントラスト化の数学的な光学的モデル化を可能にするだけでなく、同様に容易に洞察かつ一義的に問題性を特徴づける事実の実験的提示を可能にすることにある。
今日まで達成された開発水準は、実務に近い実験によって確認される赤色反射およびコントラスト化の以下の数学的−光学的モデル化に基づく。
赤色反射は、位相面の各物体点に眼瞳の中に一義的に割り当てられた網膜上の光束横断面の照明によって生じる。網膜上の装置用開口の結像の理想的な場合では、この全物体点の光束横断面がカバーされる。網膜への照明用開口とそれによって照明スポットが最小限になる場合、実体観察開口の低照明度によっても眼瞳の均一な照明と、それによって均一な赤色反射とが可能である。これは、たとえば図9に示している。
ところで光束横断面および照明スポットの大きさは、確かにガラス体の長さと、それによって位相面からの網膜の間隔は、眼瞳の中で多少強く変化する眼の非正視に強く左右される。つまり一般的に照明スポットは光束横断面の一部のみをカバーし、その場合これは一般的に様々な照明度を有する。そこから多少顕著になる赤色反射の不均一性が導き出される。それに関する明確な説明は図6が提供する。照明ミラーとそれによる照明スポットの側方変位は、赤色反射の不均一性の付加的非対称性を引き起こし、これは、さらに図6を利用しても説明することができ、同様に図8にも示している。
コントラスト化、つまり水晶体嚢内のレンズ残部または位相物体の可視化は主に照明光束によって行われ、その開口数つまり位相物体の場所での光線の入射角は、観察光束の開口数よりも大きい。この場合、たとえば照明用開口が網膜上で空間的に厳密に両実体観察開口から分離されることによって示される位相物体の暗視野照明の物理的光学的前提条件がある(図10右図)。この厳密な分離は、従来提示されている事実によりコントラスト化は良好であるが赤色反射ではないことを意味し、これは、たとえば図10左図から生じる。
しかしそこから全く重要な観点が導き出される:赤色反射は主に眼瞳内のレンズ残部と位相構造のコントラスト化の原因ではない。コントラスト化において赤色反射は二次的に当初暗視野照明によってコントラスト化されたレンズ残部および位相物体の背景照明として利用される。この背景照明に対して図9により明らかに非常に小さい照明光の部分で充分である。そのため照明光の大部分は、図9右図に示したように、暗視野照明の視野にある。
本発明による照明装置の好適な実務上の実施転換に対して重要なことは、コントラスト化用の照明から赤色反射用の照明を厳密に分離する前記認識と、特に図9によるその付加的な重ね合わせである。
図11および12がもう1つの立証を提供する。そこで照明用開口は直接両観察開口の一方でカバーされる。従来の認識に従って、照明された観察開口の中に、図11に示したように、コントラスト化なしの非常に集中的な均一な赤色反射が予想される。第2観察通路の場合、この照明は、図12に示したように、再び赤色反射なしの良好なコントラスト化の一貫性をもつ純暗視野照明として作用する。
Figure 0005422861
本発明による照明装置の一実施形態の概略図である。 図1に示した本発明による照明装置の拡大部分断面図である。 本発明による照明装置を内蔵することができる観察装置内部の観察光路の概略図である。 模型眼の拡大図である。 図5aは、図4に記載の模型眼の角膜上の例示による光横断面図である。 図5bは、図4に記載の模型眼の角膜上の例示による光横断面図である。 非正視を有する模型眼の網膜上の立体観察光路に共通の光束横断面である。 模型眼の網膜上の立体観察光路用の光束横断面であるが、全光束の横断面が全像視野にわたってカバーされる光束横断面図である。 「赤色反射」とコントラスト化に及ぼす照明パラメータの影響を具体的に示す種々の写真説明図である。 「赤色反射」とコントラスト化に及ぼす照明パラメータの影響を具体的に示す種々の写真説明図である。 「赤色反射」とコントラスト化に及ぼす照明パラメータの影響を具体的に示す種々の写真説明図である。 「赤色反射」とコントラスト化に及ぼす照明パラメータの影響を具体的に示す種々の写真説明図である。 「赤色反射」とコントラスト化に及ぼす照明パラメータの影響を具体的に示す種々の写真説明図である。
10 観察装置(手術用顕微鏡)
11 対物レンズ素子(主対物レンズ)
12 物体面
13 観察光路
14 光軸
15 装置用開口
16 拡大システム
17 光束
18 中心束
19 光円錐
20 基底光円錐
21 頂部光円錐
30 被検物体(眼/模型眼)
31 角膜
32 基底
40 照明装置
41 光源(光導波管)
42 光導波管端
43 照明用開口
44 第1絞り(放射視野絞り)
45 第2絞り(開口絞り)
46 第1光学素子
47 第2光学素子
48 キット部材
49 レンズ素子
50 レンズ素子
51 方向転換素子(方向転換ミラー)
52 第1部分光学系
53 第2部分光学系
54 アフォーカル光路
55 アフォーカル光路
56 照明光路
F1 第1部分光学系の前部焦点
F2 第2部分光学系の前部焦点

Claims (8)

  1. 主対物レンズ(11)を有する少なくとも1つの観察光路(13)の発生手段と、少なくとも1つの照明光路(56)の発生手段とを備えた、観察装置(10)であって、
    観察装置(10)の装置用開口(15)の像を眼(30)の基底(32)上に結像するために、観察光路(13)の発生手段を形成しており、照明用開口(43)を眼(30)の基底(32)上に結像し、それによって装置用開口(15)の像を眼(30)の基底(32)上で照明するために、少なくとも1つの照明光路(56)の発生手段を形成しており、
    照明光路(56)の発生手段を、
    光源(41)と、前記光源(41)および対物レンズ素子(11)の間に設けた光学素子とを備えた照明装置(40)であって、照明用開口(43)の結像が眼(30)の基底(32)上に生じるように、該光学素子を形成かつ配置してなり、1つの光学素子を接合部材(48)として少なくとも2つのレンズ素子(49、50)から形成し、接合部材(48)および対物レンズ素子(11)を、仮想第2部分光学系(53)に組み込んでなり、照明用開口(43)の中間像を、仮想第2部分光学系(53)の前部焦点(F2)に配置した照明装置(40)として形成したことを特徴とする観察装置。
  2. 照明光路(56)の発生手段を主対物レンズ(11)に対して眼(30)から離間側に配置したことを特徴とする、請求項1に記載の観察装置。
  3. 少なくとも1つの観察光路(13)の中に1つの拡大システム(16)を設けたことを特徴とする、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の観察装置。
  4. 観察装置(10)の装置用開口(15)を拡大システム(16)内に設けたことを特徴とする、請求項3に記載の観察装置。
  5. 少なくとも1つの観察光路(13)の中に鏡筒素子および/または接眼レンズ素子を設けたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の観察装置。
  6. 眼(30)の物体面(12)を主対物レンズ(11)の前部焦点に形成したことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の観察装置。
  7. 照明装置を実体観察装置として形成したことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の観察装置。
  8. 照明装置を眼科観察装置として形成したことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の観察装置。










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