JP3693760B2 - 手術用顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、同軸的照明方式を採用した手術用顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
元来、手術用顕微鏡は眼科治療においての手術に多く用いられてきた。この手術用顕微鏡は眼底を照明することによりその眼底から反射する赤色反射光を得て観察がなされるものである。理想的な観察と手術を行うためには照明光軸が観察光軸と同軸であることが望ましい。このため、手術用顕微鏡おいては照明光軸を観察光軸と同軸に配置した同軸的照明方式が採用されてきた。
【0003】
近年、各診療科において低侵襲の手術が盛んに行われるようになってきており、その際の手術に手術用顕微鏡を用いられることが多くなった。そして、同軸的照明方式は例えば脳神経外科においての場合のように小さな開頭部位から深い位置の患部を照明して観察する際に有効なものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、手術用顕微鏡は各科によって架台のスタイルこそ異なるものの、観察系そのものには差がないことから、各科の手術で共用できる手術用顕微鏡の提供が望まれている。
【0005】
従来の手術用顕微鏡における同軸的照明方式としては特開昭63−27810号公報や特開平2−143215号公報に記載されたものがあり、これらのものでは光源からの照明光束を半透過性の反射鏡で反射させ、術部に照射している。脳神経外科の場合の照明は術部に比較的強い光を当てているが、眼科の場合には網膜光障害の予防の観点から術部に強い光を当てることには問題である。
【0006】
脳神経外科の場合の照明を眼科の場合にそのまま使用することには支障があるため、照明光量を減らさざるを得ない。
一般的に照明光量を減す場合、光源自体の発光量を減すか、または光源からの照明光束を絞る方法が採用される。
しかし、手術用顕微鏡においては同軸的照明方式が採用されており、このような方式では観察・照明の同軸光学路の途中に半透過性の反射鏡を介在させる構造となるため、照明光量を減すと、術者に到達する光量は光源を発した光量の1/4となり、観察像が極端に暗くなるという問題が発生する。
【0007】
以下、これらの関係を数値を用いて表す。脳神経外科で使用するときの光源を発する光量を仮に「100」とすると、術部に到達する光量は「50」、術者に到達する光量は「25」となる。ここで、眼科で使用するために光源を発する光量を「40」に減光すると、術部に到達する光量は「20」、術者に到達する光量は「10」となってしまう。つまり、脳神経外科の場合に術者に到達する光量の半分にも満たない。このため、観察像が極端に暗いものとなってしまう。
【0008】
本発明は前記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、例えば、脳神経外科のときの照明を減光してそのまま眼科に用いたときに発生する観察像が暗いという問題を解消し、簡便に各科の手術に共用できる手術用顕微鏡を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は被観察物体から対物光学系と接眼光学系を介して観察者の眼に到る観察光路中に、光束の一部を透過し光束の一部を反射する光透過反射部材を配置し、光源からの光束を前記光透過反射部材で反射させて前記被観察物体に照射し前記被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で透過させるように設定し、あるいは前記光源からの光束を前記光透過反射部材で透過させて前記被観察物体に照射し前記被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で反射させるように設定した同軸的照明方式の手術用顕微鏡において、前記光透過反射部材の透過と反射の光量割合を変更する透過反射比率変更手段を具備したものである。
【0010】
前記構成により、光源からの照明光束を前記光透過反射部材で反射させて被観察物体に照射し、被観察物体からの観察光束を光透過反射部材で透過させて観察する。
【0011】
ここで、例えば、光源からの光束を光透過反射部材で反射させて被観察物体に照射し被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で透過させるように設定した場合において、その光透過反射部材の透過と反射の光量割合を例えば1対1と4対1とに変更できるものとする。そして、脳神経外科で使用するときの光透過反射部材の透過と反射の光量割合を1対1とし、光源を発する光量を「100」とすると、術部に到達する光量は「50」、観察者の眼に到達する光量は「25」となる。
次に、眼科で使用するときには透過反射比率変更手段により、前記光透過反射部材の透過と反射の光量割合を4対1に変更すると、術部に到達する光量は前記の場合の半分以下の「20」となるが、観察者の眼に到達する光量は前記の場合の半分以上の「16」となり、明るさが確保される。
【0012】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
図1を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
(構成)
図1中、1は手術用顕微鏡の対物光学系の対物レンズであり、2は変倍レンズであり、3は結像光学系の結像レンズである。4は接眼光学系の接眼レンズであり、これら対物レンズ1、変倍レンズ2、結像レンズ3、及び接眼レンズ4によって観察光学系を構成している。また、これらの部材は手術用顕微鏡のハウジング5に内蔵されている。ここで、特に、変倍レンズ2、結像レンズ3、および接眼レンズ4については紙面に垂直な方向にずれて左右対となる2つのものが配置され、それぞれが実体視観察用の左右の観察光軸を構成している。前記対物レンズ1は左右の観察光軸のものに共用される。
【0013】
手術用顕微鏡のハウジング5には照明用光源6と照明用レンズ7が内蔵されており、これらによって照明光学系を構成している。ここでの照明用光源6と照明用レンズ7の部材は前記観察光学系の部材と一緒に同一のハウジング5に組み込まれている。
【0014】
前記対物レンズ1の前方には光束の一部を透過し光束の一部を反射する光透過反射部材が着脱交換自在に配設される。ここでの光透過反射部材にはハーフミラーが用いられており、図1で示すものはその1つの第1ハーフミラー8である。この第1ハーフミラー8の透過と反射の光量割合は1対1である。
第1ハーフミラー8は第1着脱ハウジング9に内蔵されている。第1着脱ハウジング9は前記ハウジング5側に設けたアリ溝10に係合する鳩尾部11を有する。そして、この鳩尾部11をハウジング5側のアリ溝10に嵌め込んで係合させることにより、第1着脱ハウジング9をハウジング5側の所定の位置に装着させる。また、このような装着構造であるため、第1着脱ハウジング9はハウジング5から取り外すこともできる。
【0015】
また、前記第1ハーフミラー8とは別に第2ハーフミラー12(図示せず)が用意されている。この第2ハーフミラー12は透過と反射の光量割合が4対1であり、この第2ハーフミラー12は第2着脱ハウジング13(図示せず)に内蔵されている。そして、この第2着脱ハウジング13も、前記第1着脱ハウジング9と同様、ハウジング5側のアリ溝10に係合する同様な鳩尾部11を有し、その鳩尾部11を介してハウジング5側の所定の位置に装着されるようになっている。つまり、別種のハーフミラー8,12はそれぞれを内蔵したハウジング9,13を交換することにより所定の位置に装着され、前記光透過反射部材の透過と反射の光量割合を変更する透過反射比率変更手段を構成している。
【0016】
(作用)
脳神経外科手術においては、第1ハーフミラー8を装着して手術用顕微鏡を使用する。被観察物体の術部14を観察する場合、光源6を発した照明光は照明用レンズ7により集束した光束となり、第1ハーフミラー8で一部の光束が反射して術部14に落射される。照明されることにより術部14から発した光はその一部が前記第1ハーフミラー8を透過し、その後、対物レンズ1、変倍レンズ2、結像レンズ3を順に介して結像面15に結像され、術者16はその結像を接眼レンズ4を介して観察する。
【0017】
ここで、光源6を発する光量を、仮に「100」とし、また、レンズなど光学部材による損失を零とすると、術部14に到達する光量は第1ハーフミラー8を介すことにより「50」となり、さらに術者16の眼に到達する光量は再び第1ハーフミラー8を介すことから「25」となる。
【0018】
次に、同じ手術用顕微鏡を眼科治療においての手術等に用いる場合には、その第1着脱ハウジング9をハウジング5から取り外し、その代わりに別の第2着脱ハウジング13を装着する。第2着脱ハウジング13に内蔵する第2ハーフミラー12の透過と反射の光量割合は4対1である。
【0019】
そこで、前記同様に光源6を発する光量を、「100」とすると、術部14に到達する光量は第2ハーフミラー12を介すことにより「20」となり、さらに術者16に到達する光量は、再び第2ハーフミラー12を介すことにより「16」となる。このような状態で眼科などの手術に用いられる。すなわち、眼科の場合で術部14に到達する光量は脳神経外科の場合の半分にも満たないにも拘らず、術者16の眼に到達する光量は脳神経外科の半分を満たしている。
【0020】
(効果)
本実施形態では、透過反射比率変更手段を、ハウジング5に対して、アリ溝10と鳩尾部11を利用して、透過と反射の光量割合が1対1の第1ハーフミラー8を内蔵した第1着脱ハウジング9と、透過と反射の光量割合が4対1の第2ハーフミラー12を内蔵した第2着脱ハウジング13とを交換して装着する交換手段で構成しているので、従来の手術用顕微鏡に多少の改良を加えるだけで実現できる。また、ハーフミラー8,12の交換が簡単に実現できる。このハーフミラー8,12の透過と反射の割合は1対1や4対1に限らなくても同様の効果が得られることは説明するまでもない。さらに別種のハーフミラーをさらに用意し、それと交換して使用するようにしてもよい。
【0021】
<第2実施形態>
図2から図3を参照して本発明の第2実施形態を説明する。
(構成)
この実施形態の手術用顕微鏡においても前記第1実施形態のものと同様、対物レンズ21を有する対物光学系、、変倍レンズ22、結像レンズ23を有する結像光学系、接眼レンズ24を有する接眼光学系を備えてなる観察光学系が構成される。さらに、光源26と照明レンズ27に対物レンズ21を加えて照明光学系を構成している。そして、観察光学系と照明光学系の各要素が手術用顕微鏡のハウジング25に内蔵されている。つまり、手術用顕微鏡の観察光学系と照明光学系の各要素は同一のハウジング25に組み込まれて設置されている。
【0022】
ここでの変倍レンズ22、結像レンズ23、および接眼レンズ24も前記第1実施形態と同様、紙面に垂直な方向にずれて左右対になって配置され、それぞれが左右の観察光軸を構成する。また対物レンズ21は左右の観察光軸のものに共用される。
【0023】
一方、対物レンズ21と変倍レンズ22の中間に位置する観察光軸の途中において、照明光学系の光軸は対物側から光源26側へ直角に屈曲して分岐する。そして、対物側では照明光学系の光軸と観察光学系の光軸は前記共通の対物レンズ21を通り、同じ術部14に向かうように同軸的に配置されている。
【0024】
対物レンズ21と変倍レンズ22の中間位置には回転板28が設置されている。この回転板28は前記観察光軸に対して45゜の角度で斜めに配置されている。この回転板28は前記左右一対の観察光軸の対称軸上の位置で照明光学系の光源26側の光軸が分岐する位置を通る45゜の角度の軸を回転軸O1 として回動自在に取り付けられている。回転板28の周辺部分は前記ハウジング25の外に露出し、その露出部分で操作部29を形成している。
【0025】
図3は回転軸O1 の方向から見た回転板28の表面図を示す。回転板28には前記対になって配置された左右の観察光軸に相対する位置に対応して配置された一対の第1ハーフミラー31が設けられており、その第1ハーフミラー31の透過と反射の光量割合は1対1である。さらに回転板28には前記第1ハーフミラー31に対して回転軸O1 を中心に90゜回転させた位置において同じく左右の観察光軸に相対する位置に対応して配置された一対の第2ハーフミラー32が設けられている。この第2ハーフミラー32の透過と反射の光量割合は4対1である。
【0026】
そして、この回転板28は第1ハーフミラー31と第2ハーフミラー32を備えた透過反射比率変更手段を構成するものであり、その回転板28を回転させて、光路上に第1ハーフミラー31か第2ハーフミラー32を位置させるべく切り換えることにより透過と反射の光量割合を変更するようになっている。
【0027】
(作用)
この手術用顕微鏡を例えば脳神経外科の手術に用いる場合には操作部29を操作して、回転板28の第1ハーフミラー31を観察光軸上に位置させて、被観察物体の術部14を観察する。このときには、まず、光源26を発した照明光は照明用レンズ27によりアフォーカル光束となって第1ハーフミラー31で反射し、対物レンズ21を通じて術部14に照射される。術部14から発した光は対物レンズ21を通り、第1ハーフミラー31を透過した後、変倍レンズ22、結像レンズ23を順に介して結像面15に結像される。術者16はその結像を接眼レンズ24を介して観察する。
【0028】
ここで、光源26を発する光量を「100」とし、また、レンズなど光学部材による損失を零とすると、術部14に到達する光量は第1ハーフミラー31を介すことにより「50」となり、さらに術者16に到達する光量は、再び第1ハーフミラー31を介すことにより「25」となる。
【0029】
一方、この同じ手術用顕微鏡を眼科治療においての手術に用いる場合には、操作部29を操作し、回転板28を回転軸O1 まわりに回転し、これまで観察光軸上にあった第1ハーフミラー31の位置に第2ハーフミラー32を位置させる。
【0030】
ここで、前記同様、光源26を発する光量を「100」とすると、術部14に到達する光量は、第2ハーフミラー32を介すことにより「20」となり、さらに、術者16に到達する光量は、再び第2ハーフミラー32を介すことによって「16」となり、このような状態で眼科などの手術に用いられる。すなわち眼科の場合で術部14に到達する光量は脳神経外科の半分に満たないにも拘らず、術者16の眼に到達する光量は脳神経外科の半分を満たしている。
【0031】
(効果)
本実施形態は透過反射比率変更手段を、透過と反射の光量割合が1対1の第1ハーフミラー31と、透過と反射の光量割合が4対1の第2ハーフミラー32を選択的に光学系に配置せしめるように回転板28(すなわち配置変更手段)で構成しているので、その変更操作が楽であり、術中における変更も可能である。これは複数の診療科での手術に共用する際に非常に便利である。
【0032】
また、本実施形態では光源26、照明レンズ27および回転板28を、対物レンズ21と変倍レンズ22の間に配置したが、これを変倍レンズ22と結像レンズ23の間に配置しても同様の効果が得られることは説明するまでもない。
【0033】
<第3実施形態>
図4を参照して本発明の第3実施形態を説明する。
(構成)
この第3実施形態は前記第2実施形態とは透過反射比率変更手段を構成する回転板28の構成のみが異なる。それ以外の説明は原則として省略する。
【0034】
図4は前記第2実施形態の図3に相当する回転板28の状態を示しており、第2実施形態において別々に配置されていた第1ハーフミラー31と第2ハーフミラー32に対応する領域を部分的に透過と反射の光量割合が異なる一体の1枚のハーフミラー41に置き換えられたものである。すなわち、このハーフミラー41は1つの中心線Pを境にして41Lの部分と41Rの部分の左右の領域に分けられる。それぞれの領域41L,41Rではいずれも回転軸O1 を中心にして矢印42L、42Rに向かうに従い連続的に同じ傾向で透過の光量割合が増加し、反射の光量割合が減少すべく構成されている。例えば、点対称的な一対の波線の第1部分43は透過と反射の光量割合が1対1とし、また、別の位置で点対称的な一対の波線の第2部分44は透過と反射の光量割合が4対1となっている。その間の部分は透過と反射の光量割合が1対1から4対1の光量割合まで連続的に変化するようになっている。
【0035】
(作用)
まず、前記回転板28を回動して、破線の第1部分43を前記左右の対に観察光軸に対応位置させると、その破線の第1部分43の透過と反射の光量割合が1対1であるから前記第2実施形態と同様に脳神経外科などの手術に用いるのに適する状態になる。
【0036】
また、回転板28を回動操作して、他の破線の第2部分44を前記左右の対に観察光軸に対応位置させると、その第2部分44の透過と反射の光量割合が4対1であるから前記第2実施形態と同様に、眼科などの手術に用いるのに適する状態になる。
【0037】
もちろん、透過と反射の光量割合はその回転板28の回転角度によって選ぶことができる。このようにして回転板28の回転角度により任意の透過と反射の光量割合が選択でき、最適な状態で観察することが可能である。
【0038】
(効果)
第2実施形態の効果に加えて、任意の透過と反射の光量割合が得られるようになったので、手術での応用範囲が広がる。
【0039】
<第4実施形態>
図5を参照して本発明の第4実施形態を説明する。
(構成)
この第4実施形態は前記第2実施形態とは透過反射比率変更手段を構成する回転板28の構成のみが異なる。それ以外の説明は原則として省略する。
【0040】
すなわち、回転板28は、前記第2実施形態に配置されていた第1ハーフミラー31に相当する部分が穴部51Hと反射部51Mの面積比の等しい穴あきの第1全反射ミラー51とし、また第2ハーフミラー32に相当する部分が穴部52Hと反射部52Mの面積比が4対1の穴あきの第2全反射ミラー52に置き換えられたものである。
【0041】
(作用)
まず、脳神経外科手術において使用する場合、前記回転板28を回動して、第1全反射ミラー51を前記左右の観察光軸に対応位置させる。ここで、光源26を発する光量を仮に「100」とし、また、レンズなど光学部材による損失を零として考えると、光源26を発した光は照明レンズ27を介してアフォーカル光束となって進み、穴あきの第1全反射ミラー51の反射部51Mで反射し、光量が「50」となり、術部14を照明する。
【0042】
一方、術部14からの観察光束も対物レンズ21を介してアフォーカル光束となるものとして穴あきの第1全反射ミラー51の穴部51Hを介すことから、その光量は「25」になる。
以上の如く光量比がアフォーカル光束中の断面積比となるので、穴あき第1全反射ミラー51は光量の点で前記第1ハーフミラー31と同じ作用をもたらす。
【0043】
次に、この手術用顕微鏡を眼科治療の手術に用いる場合には、前記回転板28を回動して、第2全反射ミラー52を前記左右の観察光軸に対応位置させる。
ここで、前記同様に光源26を発する光量を「100」とする。光源26を発した光は照明レンズ27を介してアフォーカル光束となって穴あきの第2全反射ミラー52の反射部52Mで反射し、光量が「20」となり、術部14を照明する。一方、術部14からの観察光束も対物レンズ21を介してアフォーカル光束となるものとして穴あき全反射ミラー52の穴部52Hを通過し、その光量が「16」になる。
【0044】
以上の如く、アフォーカル光束中の面積比となるので、穴あきの第2全反射ミラー52は光量の点で前記第2ハーフミラー32と同じ作用をもたらす。
(効果)
本実施形態はハーフミラーを使用しないので、コーティング面の光の散乱がなく、観察像が鮮明である。また、観察光束は穴部51H,52Hにより絞られているので術部側の焦点深度が深くなる。
【0045】
<第5実施形態>
図6から図8を参照して本発明の第5実施形態を説明する。
(構成)
図6中、61は手術用顕微鏡の対物光学系の対物レンズである。62は変倍レンズであり、この変倍レンズ62に続けて、第1プリズム63、第2プリズム64、第3プリズム65、第4プリズム66及び第5プリズム67のプリズム群が配置されている。
【0046】
そして、第1プリズム63は図7から明らかなように図6において紙面奥行き方向に光束を偏向せしめる。第2プリズム64は図8から明らかなように図6において上方に光束を偏向せしめる。第3プリズム65は図6において水平な紙面左側方向に光束を偏向せしめる。第4プリズム66は図7から明らかなように図6において紙面手前方向に光束を偏向せしめる。第5プリズム67は図8から明らかなように図6において上方に光束を偏向せしめる。
【0047】
図6において第5プリズム67の上方には結像光学系の結像レンズ68が設置され、この結像レンズ68の上方には接眼光学系の接眼レンズ69が設置されている。これらの光学部材によって観察光学系が構成されている。そして、観察光学系の部材は手術用顕微鏡のハウジング70に内蔵されている。ここで、前記変倍レンズ62、結像レンズ68および接眼レンズ69は図7及び図8から明らかなように図6の紙面に垂直な方向にずれて2つずつ配置され、左右の観察光軸を形成している。
【0048】
さらに前記ハウジング70には照明用光源71、照明用レンズ72及び照明用プリズム73が内蔵されており、この照明用光源71、照明用レンズ72及び照明用プリズム73は前述した対物レンズ61を通じて光源71からの照明光を照射する照明光学系を構成している。従って、照明光学系の対物側部分と観察光学系の対物側部分は同軸的に配置されている。
【0049】
また、術部14から対物レンズ61に到る観察光軸および照明光軸を術部14と観察者の眼を結ぶ直線に対してある角度θを持たせて配置されている。
さらに、対物レンズ61と変倍レンズ62の間に位置し、照明用プリズム73の出射光軸上に位置する個所には前記第2実施形態と同一の回転板28が配置されている。回転板28の回転軸O1 は照明用プリズム73の出射光軸上で、かつ対物レンズ61の光軸と変倍レンズ62の光軸の交点を通る。また、回転板28に配置された第1ハーフミラー31の透過と反射の光量割合は第2実施形態と同様に1対1とするが、ここでの第2ハーフミラー32の透過と反射の光量割合を1対4とする。回転板28の操作部29は前記同様、ハウジング70から外に露出している。
【0050】
(作用)
この手術用顕微鏡を例えば脳神経外科の手術に用いる場合には図2で示すように回転板28を回転操作して第1ハーフミラー31を観察光軸上に位置させて、被観察物体の術部14を観察する。
【0051】
まず、光源71を発した光は照明レンズ72を介してアフォーカルな光束となり、照明プリズム73、第1ハーフミラー31、対物レンズ61を順に介して集束する照明光となり、術部14に照射される。術部14から反射した観察光は対物レンズ61、第1ハーフミラー31、変倍レンズ62、第1〜第5プリズム63〜67、結像レンズ68を順に介して結像面75に結像され、術者16はその結像を接眼レンズ69を介して観察する。
【0052】
ここで、光源71を発する光量を仮に「100」とし、またレンズなど光学部材による損失を零とすると、術部14に到達する光量は第1ハーフミラー31を介すことにより「50」となり、さらに術者16の眼に到達する光量は、再び第1ハーフミラー31を介すことにより「25」となる。
【0053】
次に、同じ手術用顕微鏡を例えば眼科治療においての手術に用いる場合には、回転板28を回転操作し、第2ハーフミラー32を光路上に位置させる。ここで、前記同様に光源71を発する光量を同じく「100」とすると、術部14に到達する光量は第2ハーフミラー32を介すことにより「20」となり、さらに術者16の眼に到達する光量は再び第2ハーフミラー32を介すことにより「16」となり、このような状態で眼科などの手術に用いられる。すなわち、眼科の場合で術部14に到達する光量は脳神経外科の半分に満たないにもかかわらず、術者16の眼に到達する光量は脳神経外科の半分を満たしている。
【0054】
(効果)
本実施形態は一部を透過し一部を反射する光透過反射部材であるハーフミラー31,32の反射側に観察光学系を配置して第2実施形態と同様の効果を得た。また、本実施形態は術部から、対物レンズや変倍レンズから成る対物光学系、結像レンズや接眼レンズから成る接眼光学系を介して観察者の眼に到る観察光路中に、光束の一部を透過し、他の一部を反射する光透過反射部材を配置し、術部からの観察光束を前記光透過反射部材で反射させて観察すると共に、光源からの照明光束を同じく前記光透過反射部材で透過させて術部に照射する同軸照明を有した手術用顕微鏡において、術部から対物レンズに到る観察光軸および照明光軸を、術部と観察者眼を結ぶ直線に対してある角度θをもたせることにより、光透過反射部材の上方で照明光束と観察光束が重なるのを防止することができる。さらに、前記変倍レンズを前記術部と観察者眼を結ぶ直線上以外に配置しているので、従来の同軸照明を有した手術用顕微鏡の欠点である鏡体長αの延長、すなわち作業空間の減少を防止することができる。
【0055】
[付記]
(1)被観察物体から対物光学系と接眼光学系を介して観察者の眼に到る観察光路中に、光束の一部を透過し光束の一部を反射する光透過反射部材を配置し、光源からの光束を前記光透過反射部材で反射させて前記被観察物体に照射し前記被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で透過させるように設定し、あるいは前記光源からの光束を前記光透過反射部材で透過させて前記被観察物体に照射し前記被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で反射させるように設定した同軸的照明方式の手術用顕微鏡において、
前記光透過反射部材の透過と反射の光量割合を変更する透過反射比率変更手段を具備したことを特徴とする手術用顕微鏡。
【0056】
(2)前記透過反射比率変更手段は、ある透過と反射の光量割合をもつ光透過反射部材を含む部分を、別の透過と反射の光量割合をもつ光透過反射部材を含む部分と交換可能な交換手段で構成されたことを特徴とする第1項に記載の手術用顕微鏡。
【0057】
(3)前記透過反射比率変更手段は、領域によって異なる透過と反射の光量割合をもつ光透過反射部材と、前記光透過反射部材の前記領域を所定の位置に選択的に配置させることが可能な配置変更手段とで構成されたことを特徴とする第1項に記載の手術用顕微鏡。
【0058】
(4)前記光透過反射部材は、ハーフミラーで構成されたことを特徴とする第2〜3項に記載の手術用顕微鏡。
(5)前記光透過反射部材は、穴あきミラーで構成されたことを特徴とする第2〜3項に記載の手術用顕微鏡。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、被観察物体から対物光学系と接眼光学系を介して観察者の眼に到る観察光路中に、光束の一部を透過し光束の一部を反射する光透過反射部材を配置し、光源からの光束を前記光透過反射部材で反射させて前記被観察物体に照射し前記被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で透過させるように設定し、あるいは前記光源からの光束を前記光透過反射部材で透過させて前記被観察物体に照射し前記被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で反射させるように設定した同軸的照明方式の手術用顕微鏡において、前記光透過反射部材の透過と反射の光量割合を変更する透過反射比率変更手段を具備したものであるから、被観察物体を照射する光量を変更しても被観察物体から観察者の眼に到達する光量を確保することができる。従って、例えば、脳神経外科などの手術の際に比べて同軸照明の照明光量を落としてそのまま眼科などの手術に用いても明るい観察像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の概略的な構成の説明図。
【図2】第2実施形態に係る手術用顕微鏡の概略的な構成の説明図。
【図3】同じく第2実施形態に係る手術用顕微鏡の回転板の平面図。
【図4】第3実施形態に係る手術用顕微鏡の回転板の平面図。
【図5】第4実施形態に係る手術用顕微鏡の回転板の平面図。
【図6】第5実施形態に係る手術用顕微鏡の概略的な構成を示す側面図。
【図7】同じく第5実施形態に係る手術用顕微鏡の概略的な構成を示す上面図。
【図8】同じく第5実施形態に係る手術用顕微鏡の概略的な構成を示す正面図。
【符号の説明】
1…対物レンズ、2…変倍レンズ、3…結像レンズ、4…接眼レンズ、5…ハウジング、6…照明用光源、7…照明用レンズ、8…第1ハーフミラー、9…第1着脱ハウジング、12…第2ハーフミラー、13…第2着脱ハウジング。
Claims (1)
- 被観察物体から対物光学系と接眼光学系を介して観察者の眼に到る観察光路中に、光束の一部を透過し光束の一部を反射する光透過反射部材を配置し、光源からの光束を前記光透過反射部材で反射させて前記被観察物体に照射し前記被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で透過させるように設定し、あるいは前記光源からの光束を前記光透過反射部材で透過させて前記被観察物体に照射し前記被観察物体で反射した反射光を前記光透過反射部材で反射させるように設定した同軸的照明方式の手術用顕微鏡において、
前記光透過反射部材の透過と反射の光量割合を変更する透過反射比率変更手段を具備したことを特徴とする手術用顕微鏡。
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