以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る製本システム10の模式的な全体構成図である。製本システム10は、丁合装置18、中綴じ折り装置20、断裁装置22、冊子成形装置24、および管理装置28を備える。
丁合装置18は、複数(第1の実施形態では6個)の給紙トレイ50を有する。給紙トレイ50は、それぞれ上下方向に並設されている。給紙トレイ50の各々は、モータ(図示せず)を作動させることにより昇降可能に設けられている。給紙トレイ50にも、上述したような様々な画像形成方法によって画像が形成された用紙が積載される。したがって、給紙トレイ50もまた用紙を収容する用紙収容部として機能する。給紙トレイ50の各々には、画像が形成された用紙が複数重なり合った状態の用紙群が、製本作業者の手によってセットされる。
分離給送機構52は、給紙トレイ50の各々に対応して設けられる。分離給送機構52は、対応する給紙トレイ50に積載された用紙のうち最上位の用紙を分離して送り出す。分離給送機構52はエア吸引式のものが採用されている。エア吸引式の分離給送機構は公知であるため、その詳細な説明は省略する。なおエア吸引式の分離給送機構に代えて、いわゆるフリクション式の分離給送機構が設けられてもよいことは勿論である。このように、給紙トレイ50と分離給送機構52との組合せの各々が用紙を送り出す給紙手段として機能する。
丁合装置18は、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で一枚ずつ搬送して中綴じ折り装置20に送り出す。なお、丁合装置18は、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で互いに重ね合わせて用紙束として搬送し、中綴じ折り装置20に送り出してもよい。
中綴じ折り装置20は、丁合装置18から送り込まれた用紙に中綴じ折り処理を施す。中綴じ折り装置20に送り込まれた用紙は、搬送路60に沿って搬送される。中綴じ折り装置20は、綴じ機構62、折り機構72、折り無しスタッカ73を有する。綴じ機構62および折り機構72は、搬送路60の周辺に配置される。
綴じ機構62は、サイドジョガー66、ステッチャ70、綴じストッパ64、およびバックジョガー68を有する。綴じ機構62は、綴じ処理に先だって、丁合装置18から送り込まれた用紙を送り込まれた順に積載し、一冊の冊子に含まれる用紙の合計枚数としてユーザに入力された枚数の用紙が重なり合った用紙束を作成する。したがって、綴じ機構62は用紙束作成手段としても機能する。
サイドジョガー66は一対設けられ、各々が綴じ機構62において用紙束の側端部に当接し、用紙搬送方向と垂直な方向である用紙幅方向における用紙束の位置を位置決めする。綴じストッパ64およびバックジョガー68は、用紙が積載されて作成された用紙束の前端部および後端部にそれぞれ当接し、用紙束の用紙搬送方向における位置を位置決めする。ステッチャ70は、綴じストッパ64、サイドジョガー66、およびバックジョガー68によって位置決めされた用紙束に綴じ処理を施す。
折り機構72は綴じ機構62の下流側に設けられている。折り機構72は、綴じ機構62によって綴じ処理が実施された用紙束に、綴じた箇所で用紙束を折りたたむ折り処理を実施する。折り機構72は、一対の折りローラ78、折りナイフ76、折りストッパ74を有する。
綴じ機構62にて綴じ処理が実施されると、綴じストッパ64が下方に退避し、綴じられた用紙束が折り機構72に送り込まれる。折り機構72に送り込まれた用紙束は、前端部が折りストッパ74に当接したところで用紙搬送方向の位置決めがされる。搬送路60の上方には一対の折りローラ78が、軸方向が用紙搬送方向と垂直な方向に向くよう、用紙搬送方向に並設されている。
折りナイフ76は、モータ(図示せず)が作動することにより一対の折りローラ78の間と搬送路60の下方とを上昇および下降することが可能となっている。折りストッパ74により用紙束が用紙搬送方向の位置決めがされた状態で折りナイフ76を上昇させることにより、用紙束が一対の折りローラ78の間に巻き込まれる。一対の折りローラ78は、強い力で用紙束を挟持しながら用紙束を上方に搬送するよう回転することにより、用紙束に折り目を付ける。一対の折りローラ78によって折り目が付けられた冊子は、一対の折りローラ78のニップ部から上方に向かう綴じ折り冊子搬送路82を通ってベルト搬送機構80に送り込まれる。ベルト搬送機構80は、作成された冊子を断裁装置22の用紙搬送路92に送り出す。
なお、折りストッパ74は、ソレノイドをオン・オフすることにより搬送路60に進退可能となっている。ユーザによって中綴じ折り処理による製本が選択されず綴じ処理による製本が選択された場合、綴じストッパ64および折りストッパ74は搬送路60から退避した状態となる。この場合、綴じ機構62によって綴じ処理が施された用紙は折りストッパ74の下流に設けられた折り無しスタッカ73に積載される。
断裁装置22は、三方断裁機構84を有する。三方断裁機構84は、中綴じ折り装置20から送り込まれた冊子の小口、または小口、天、地の三方を断裁して最終的な冊子を作成する。三方断裁機構84は、小口断裁刃90、用紙押さえ部88、小口断裁ストッパ86、サイドガイド(図示せず)、および一対の天地断裁刃(図示せず)を有する。
小口断裁ストッパ86は、ソレノイド(図示せず)をオン・オフすることにより、用紙搬送路92に進退可能とされている。冊子の小口を断裁する場合、断裁装置22は、冊子が送り込まれるタイミングで小口断裁ストッパ86を用紙搬送路92に突出させておく。これにより、断裁装置22に送り込まれた冊子は前端部が小口断裁ストッパ86に当接して用紙搬送方向の位置決めがなされる。
一対のサイドガイドは、小口断裁刃90よりも用紙搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という)に配置され、各々の間隔の中心に搬送される冊子の中心が概ね重なるよう、断裁装置22の前方および後方に一つずつ配置される。一対のサイドガイドの各々は板状に形成され、用紙搬送方向に延在し且つ用紙搬送路92から上方に突出する。一対のサイドガイドには、一方が用紙幅方向に移動すれば、他方がその逆方向に同じ距離を移動するいわゆる中心振り分け方式が採用されている。サイドガイドによって案内されその間を通過した冊子は、断裁する前に揃えるべき天、地の位置に揃えられる。
用紙押さえ部88は小口断裁ストッパ86より上流側の用紙搬送路92上方に配置され、モータ(図示せず)が作動することにより下降する。小口断裁刃90は、用紙押さえ部88より上流側の用紙搬送路92上方に設けられ、後述する小口断裁モータが作動することにより下降する。小口断裁刃90は、後述する小口断裁刃移動モータによって、ボールネジ機構などを介して用紙搬送方向に移動可能に構成されている。天地断裁刃は、用紙押さえ部88の装置前方および後方の用紙搬送路92上方にそれぞれ一つずつ設けられ、後述する天地断裁モータが作動することにより下降する。これら一対の天地断裁刃もまた、中心振り分け方式により相互に離間または近接する方向に移動可能とされている。一対の天地断裁刃は、後述する天地断裁刃移動モータが作動するによって、ギヤ機構などを介して相互に離間または近接する方向に移動する。
サイドガイドの間を通過することにより天、地の位置が揃えられ、且つ小口断裁ストッパ86により用紙搬送方向の位置決めがされた状態で、用紙押さえ部88が下降して冊子を押さえつける。このように冊子が押さえつけられた状態で、まず小口断裁刃90が小口を断裁し、次に一対の天地断裁刃が、冊子の天と地を断裁する。断裁処理が施された冊子は、冊子成形装置24に搬送される。
冊子成形装置24は、内部に成形機構93を有する。成形機構93は、中綴じ折り冊子の背周辺の表裏を把持した状態で背を押圧することにより背を平坦化させる、いわゆる「角形成形処理」を施す。以下、中綴じ折り冊子を単に「冊子」という。成形機構93の構成については後述する。冊子成形装置24において成型処理が施された冊子は、綴じ折りスタッカ26上に搬送される。
管理装置28は、管理PC(Personal Computer)94、ディスプレイ96、マウス98、キーボード97によって構成される。管理PC94は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどを有し、管理装置28、中綴じ折り装置20、断裁装置22、および冊子成形装置24とデータの送受信可能に接続されている。ディスプレイ96、キーボード97、およびマウス98は管理PC94に接続されている。
管理PC94は、ディスプレイ96に設定画面を表示することにより、ユーザによって各種の設定入力が可能な状態とする。ユーザは、この設定画面においてキーボード97やマウス98を使って各種の設定入力を行うことができる。ディスプレイ96に表示されたスタートボタンがクリックされると、管理PC94は、設定内容を示す情報を丁合装置18、中綴じ折り装置20、断裁装置22、および冊子成形装置24の各々に送信すると共に、製本処理を開始する旨を示すスタート信号を送信する。丁合装置18、中綴じ折り装置20、断裁装置22、および冊子成形装置24の各々は、CPU、ROM、RAMを有し内部機構の動作を制御する制御部を有しており、スタート信号を受信すると、受信した設定内容に基づいた製本処理を実施する。これらの制御部および管理PC94を総じて、電子制御部100として以下説明する。
図2は、第1の実施形態に係る成形機構93の構成を示す図である。成形機構93は、ベルト搬送機構110、把持機構112、及び可動ユニット114を備える。可動ユニット114は、係止機構116、押圧機構118、およびベルト搬送機構120を有する。
ベルト搬送機構110は、一対のローラ124にベルト122が噛合したベルトユニットが上下に一対並設されて構成される。ベルト搬送機構110は、断裁装置22から搬入された冊子を一対のベルト122の間で挟持しながら把持機構112に搬送する。
係止機構116は、ベルト搬送機構110によって搬送された冊子の背に当接して冊子を位置決めする。把持機構112は、係止機構116によって位置決めされた冊子の背周辺の表裏を把持する。押圧機構118は、把持された冊子の背を押圧して平坦化させる。可動ユニット114は、例えばボールネジ機構などによって上下に移動可能に構成されている。押圧機構118による冊子の背への押圧処理が終了すると、電子制御部100は、可動ユニット114を下降させる。ベルト搬送機構120はベルト搬送機構110と同様に構成される。ベルト搬送機構120の一対のベルト122の間に冊子が位置するまで下降したときに、電子制御部100は可動ユニット114の下降を停止させる。ベルト122は、成形処理が施された冊子を綴じ折りスタッカ26へと送り出す。
このようにベルト搬送機構120は、冊子を、背を平坦化すべく把持機構112によって把持される把持位置から、把持機構112による把持が解除された後に背の向く方向に搬送させる。押圧機構118は、把持位置にある冊子の背を押圧可能な成形位置と、把持位置にあるときの冊子の紙面と垂直な方向(第1の実施形態では下方)に成形位置から退避した非成形位置との間で進退可能に設けられる。
ベルト搬送機構120は、把持位置にある冊子を搬送可能な搬送位置と、把持位置にあるときの冊子の紙面と垂直な方向(第1の実施形態では上方)に搬送位置から退避した非搬送位置との間で進退可能に設けられる。ベルト搬送機構120は、押圧機構118が成形位置に進出するときは非搬送位置に退避し、押圧機構118が非成形位置に退避するときに搬送位置に進出して冊子を搬送する。これにより、背を平坦化させる処理の前後においても、一貫して背を先頭として冊子を搬送することができる。
図3(a)は、第1の実施形態に係る把持機構112の正面図であり、図3(b)は、第1の実施形態に係る把持機構112の右側面図である。以下、図3(a)および図3(b)に双方に関連して把持機構112の構成について説明する。
把持機構112は、上方グリッパ130、下方グリッパ132、コネクティングロッド134、クランクディスク136、およびクランクシャフト142を有する。下方グリッパ132は直方体のブロック状に形成され、冊子成形装置24の筐体に固定されている。上方グリッパ130は直方体のブロック状に形成され、下方グリッパ132の上方に配置される。上方グリッパ130は、ガイド(図示せず)によって下方グリッパ132に向けて進出可能に構成されている。ベルト搬送機構110から搬入された冊子は、上方グリッパ130が下降することにより上方グリッパ130と下方グリッパ132とで把持される。
上方グリッパ130の前方側および後方側の各々には、軸138を介してコネクティングロッド134の上端が回動可能に接続されている。コネクティングロッド134の各々の下端は、2枚のクランクディスク136の各々に軸140を介して回動可能に接続される。このとき、コネクティングロッド134は、クランクディスク136の中心からずれた位置接続される。2枚のクランクディスク136は、クランクシャフト142の両端に同軸となるよう固定される。
以上の構成より、クランクシャフト142が回転することでコネクティングロッド134を介して上方グリッパ130が上方または下方に移動する。クランクシャフト142は、伝達機構(図示せず)を介してクランクモータ(図示せず)に接続されている。電子制御部100は、クランクモータの作動を制御することにより、把持機構112による冊子の把持を制御する。
図4(a)は、第1の実施形態に係る係止機構116の正面図であり、図4(b)は、第1の実施形態に係る係止機構116の右側面図である。以下、図4(a)および図4(b)の双方に関連して係止機構116の構成について説明する。
係止機構116は、可動ユニット160および2本のボールネジ162を備える。可動ユニット160は、ストッパ164および支持部材166を有する。ストッパ164には上下方向に伸びる2つのガイド孔164bが設けられている。一方、支持部材166には、2本のガイドピン168が設けられている。2本のガイドピン168の各々が2つのガイド孔164bの各々に挿入されることで、ストッパ164が上下方向に移動可能となるよう支持部材166に支持される。ストッパ164はソレノイド(図示せず)に連結しており、ソレノイドがオンになることにより上方に進出する。ストッパ164の上部には3つの係止部164aが設けられている。ストッパ164が上方に進出したとき、この係止部164aがベルト搬送機構110から送り込まれた冊子の背に当接して冊子を位置決めする。
支持部材166には2つのナット170が設けられる。2本のボールネジ162の各々は、このナット170の各々に螺合している。ボールネジ162はモータ(図示せず)に接続されている。電子制御部100は、このモータの作動を制御することにより、係止部164aの位置を調整し、背と垂直な方向における冊子の位置を調整する。具体的には、電子制御部100は、ユーザに入力された冊子を形成する用紙枚数が多いほど、冊子の背が後述する押圧部材に近づくよう冊子の位置を調整する。また、電子制御部100は、ユーザに入力された用紙種類を取得してもよい。電子制御部は、冊子を形成する用紙枚数および冊子を形成する用紙種類を利用して、作成される冊子の厚さを推定し、推定した冊子の厚さが厚いほど、冊子の背が後述する押圧部材に近づくよう冊子の位置を調整してもよい。なお、電子制御部100は、ユーザに入力された位置に冊子の背が位置するようストッパ164の位置を調整してもよい。
また、丁合装置18の給紙トレイ50の各々に、用紙が積載されているか否かを検知する用紙有無センサが設けられていてもよい。電子制御部100は、この用紙有無センサの各々の検知結果を利用して用紙が積載されている給紙トレイ50の数を把握することにより、冊子2を構成する用紙枚数を取得してもよい。
図5は、第1の実施形態に係る押圧機構118の正面図である。図6は、第1の実施形態に係る押圧機構118の上面図である。以下、図5および図6の双方に関連して押圧機構118の構成について説明する。
押圧機構118は、支持ユニット200、押圧部材222、およびカムユニット204を備える。支持ユニット200は、一対の支持ブラケット210、および4つのガイド部材212を有する。一対の支持ブラケット210は互いに対向するよう上下方向に並設され、両端の各々が一対のメインブラケット244の各々を介して冊子成形装置24の筐体に固定される。支持ブラケット210の各々は、把持機構112によって把持される冊子2の背2aに平行に延在するよう配置される。ガイド部材212は、同様に冊子2の背2aに平行に延在するよう、支持ブラケット210に固定される。
押圧ユニット202は複数(第1の実施形態では17個)設けられる。押圧ユニット202の各々は、本体ブラケット220、押圧部材222、第1ガイドピン224、第2ガイドピン226、およびベアリング230を有する。本体ブラケット220は直方体状に形成され、一対の支持ブラケット210の間に配置される。このとき本体ブラケット220の各々は、ガイド部材212に上面および下面が当接して上下方向の移動が規制される。
本体ブラケット220の冊子2に向く側の面には、押圧部材222が固定される。押圧部材222は平板状に形成され、背2aを押圧する押圧面が、把持機構112に把持される冊子2の表裏と垂直且つ背2aと平行となるよう本体ブラケット220に固定される。本体ブラケット220は、押圧部材222が冊子2の背2aと平行に等間隔に並ぶよう配置される。これにより、複数の押圧部材222の各々が、冊子2の背2aのうち背2aに沿った複数個所の各々を押圧可能となる。なお、押圧部材222は、押圧したときの跡が背につきにくくなるよう背の延在方向の端部に曲部が設けられている。
第2ガイドピン226および第1ガイドピン224は、上端および下端が突出するように本体ブラケット220に固定される。支持ブラケット210には、押圧ユニット202の進退方向に伸びる長孔が設けられており、第1ガイドピン224および第2ガイドピン226の突出する上端および下端はこの長孔に挿通される。これにより押圧ユニット202は、背2aに垂直な方向に移動可能となる。
第1ガイドピン224の上端および下端の各々と支持ブラケット210との間にコイルスプリング228が設けられる。コイルスプリング228は引っ張りバネであり、押圧部材222を冊子2の背2aから離間する方向に付勢する。本体ブラケット220における、押圧部材222が固定される面と反対側には、ベアリング230が背2aと平行な軸を中心に回転可能に支持されている。
カム240は、押圧ユニット202と同数(第1の実施形態では17個)設けられる。複数のカム240の各々は、把持機構112に把持された冊子2の背2aと軸方向が平行なカムシャフト242に固定される。カムシャフト242は、一対のメインブラケット244の各々に両端部の各々がベアリングを介して回転可能に取り付けられる。このとき、複数のカム240の各々は、押圧ユニット202が配置される間隔と同じ間隔で押圧ユニット202のベアリング230に当接するよう配置される。カムシャフト242は伝達機構を介してカム駆動モータ246に接続されており、カム駆動モータ246が作動することによりカムシャフト242が回転する。
カム240の各々は、カムシャフト242が回転することにより押圧ユニット202を冊子2の背2aに向けて押し出す。こうして冊子成形装置24の各々は、押圧部材222の各々を冊子2の背2aに向けて進出させ、押圧部材222に背2aを押圧させて平坦化させる。
ここで、カム240の各々が異なるタイミングで押圧部材222を冊子2の背2aに向けて進出させるよう、複数のカム240は互いに位相差を持ってカムシャフト242に固定される。このようにカム240に互いに位相差を持たせることで、押圧部材222の各々が背2aを押圧するタイミングをずらすことができる。したがって背2aを押圧する力を抑制することができ、押圧機構118の剛性を高めることによるコスト増加を回避することができる。このようにカム240に位相差を持たせた場合においても、カムシャフト242を一回転させる工程において、すべての押圧部材222を進出させて背2aの押圧を完了させることができる。
なお、すべての押圧部材222の背2aを押すタイミングが異なるよう、すべてのカム240に位相差を持たせなくてもよく、例えばすべての押圧部材222のうち一部の2以上の押圧部材222が同じタイミングで背2aを押圧するよう、カム240に位相差が設けられていてもよい。これによっても、押圧機構118は、押圧部材222によって押圧される複数個所の各々を、複数のタイミングのいずれかにおいて押圧することができる。
図7は、第1の実施形態に係る成形機構93による成形処理の手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、ユーザによってスタートボタンが押されて製本処理が開始されることによって、冊子成形装置24に冊子が送り込まれる度に開始する。
冊子成形装置24には、冊子の搬入を検知する光センサが設けられている。電子制御部100は、冊子成形装置24への冊子の搬入が検知されると、ソレノイドをオンにしてストッパ164を上昇させ、係止部164aに冊子の背を当接させてストッパ164で冊子を位置決めする(S10)。電子制御部100は、ストッパ164に冊子の背が当接するタイミングで上方グリッパ130を下降させ、背周辺の表裏において冊子を把持させる(S12)。把持機構112による冊子の把持を完了すると、電子制御部100は、ソレノイドをオフにしてストッパ164を下方に退避させる(S14)。
次に電子制御部100は、カム駆動モータ246を作動させてカムシャフト242を1回転させることにより、複数の押圧部材222の各々を順次冊子の背に向けて進出させ、冊子の背を押圧して平坦化させる(S16)。なお、ユーザは、製本処理の開始前に、製本される冊子のサイズを仕上げサイズとして入力することができてもよい。電子制御部100は、こうして入力された仕上げサイズを取得してもよい。したがって、電子制御部100は冊子の仕上げサイズを取得するサイズ取得手段として機能する。この仕上げサイズは、冊子の背の長さや天地の長さを含む。
電子制御部100は、取得した仕上げサイズが示す背の長さを押圧する押圧部材222を進出させるに足りるカムシャフト242の回転角度を決定してもよい。電子制御部100は、決定した角度だけカムシャフト242を回転させるようカム駆動モータ246に駆動信号を供給して背の押圧処理を完了させてもよい。こうして電子制御部100は、すべての押圧部材222のうち取得した長さの背を押圧する複数の押圧部材222を冊子の背に向けて進出させるよう押圧機構118を制御する。これにより、いわゆる空押しする押圧部材222の発生を抑制し、押圧処理を迅速に完了させることができる。
背の押圧処理を完了すると、電子制御部100は、可動ユニット114を下降させ(S18)、把持機構112のモータを作動させて上方グリッパ130を上方に移動させ、冊子の把持を解除させる(S20)。冊子の把持が解除されると、電子制御部100は、成形処理が施されて背が平坦化された冊子をベルト搬送機構120で綴じ折りスタッカ26に排出する(S22)。
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る成形機構260の左側面図である。図9は、図8の視点Pから成形機構260を見た図である。第2の実施形態に係る製本システムの構成は、成形機構93に代えて成形機構260が設けられた以外は第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略すると共に、図8および図9の双方に関連して成形機構260の構成について説明する。
成形機構260は、押圧機構118に代えて押圧機構262が設けられる以外は、第1の実施形態に係る成形機構93と同様に構成される。押圧機構262は、第1押圧ユニット264および第2押圧ユニット266を有する。第1押圧ユニット264および第2押圧ユニット266の各々は、シャフト270およびシャフト270に固定される複数のローラ268を有する。第1押圧ユニット264は、双方のシャフト270が互いに平行になるよう、第2押圧ユニット266よりも上方に配置される。
ここで、第1押圧ユニット264および第2押圧ユニット266は、各々のシャフト270が、冊子2の表裏と垂直且つ冊子2の背2aに対して傾斜するよう配置される。また、第1押圧ユニット264および第2押圧ユニット266は、各々のローラ268が互い違いになるよう配置される。
第1押圧ユニット264および第2押圧ユニット266の各々は、揺動アーム272、およびバネ274をさらに有する。また、成形機構260は、支持部材278およびガイド280をさらに有する。第1押圧ユニット264および第2押圧ユニット266の各々は、揺動アーム272の一端に回転可能に支持される。揺動アーム272の他端は、支持部材278に回動軸276を介して回転可能に支持される。揺動アーム272は、ストッパ275によって背2aを押圧する方向への回動が規制される。バネ274は、揺動アーム272に付勢力を与え、ローラ268を背2aに押し付ける力を与える。
ガイド280は、背2aと平行且つローラ268の延在方向と垂直な方向に支持部材278の移動方向を規制する。支持部材278は、ボールネジ機構(図示せず)を介してモータ(図示せず)に接続されており、このモータが作動することによりガイド280に沿って移動する。
冊子成形装置24に冊子2が搬入され、把持機構112によって冊子2が把持されると、電子制御部100は、モータを作動させて押圧機構262をガイド280に沿って上昇させる。このときローラ268の各々は、冊子2の背2aを押圧しながら、冊子2の表裏と垂直且つ背2aに角度を持って移動する。このため、ローラ268は、冊子2の背2aを押圧する押圧手段として機能する。また、ローラ268のうち背2aを押圧する表面部分は押圧部として機能する。
このようにローラ268が背2aに斜めに延在し、且つローラ268の延在方向と垂直に移動することで、ローラ268の一部によって背2aを押圧しながら押圧個所を移動させて背2aを平坦化させることができる。このため、たとえばローラ268の延在方向が背2aと平行となっている場合と比較すると、背2aを押圧する押圧力を抑制することができる。
ローラ268は、冊子の表裏と垂直且つ背に角度を持って移動することにより冊子の背に最初に当接する側の端部に曲部が設けられている。具体的には、ローラ268の両端部のうち、上方の端部に曲部が設けられている。これにより、ローラ268が冊子2の背2aに当接したときに背2aに与えるダメージを抑制することができる。なお、ローラ268の両端部のうち下方の端部にも曲部が設けられてもよいことは勿論である。
また、第1押圧ユニット264におけるローラ268の各々は、第2押圧ユニット266における隣接するローラ268と押圧範囲が重なるよう配置されている。これにより、押圧されない個所をなくすことができ、冊子2の美観を向上させることができる。
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る成形機構300の左側面図である。なお、第3の実施形態に係る製本システムの構成は、成形機構93に代えて成形機構300が設けられた以外は、第1の実施形態と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
成形機構300は、押圧機構118に代えて押圧機構302が設けられる以外は、第1の実施形態に係る成形機構93と同様に構成される。押圧機構302は、第1押圧ユニット304および第2押圧ユニット306を有する。第1押圧ユニット304および第2押圧ユニット306の各々は、シャフト310およびシャフト310に固定される複数のローラ308を有する。第1押圧ユニット304は、双方のシャフト310が互いに平行になるよう、第2押圧ユニット306よりも上方に配置される。ここで、第1押圧ユニット304および第2押圧ユニット306は、各々のシャフト310が、冊子2の表裏と垂直且つ冊子2の背2aに対して傾斜するよう配置される。また、第1押圧ユニット304および第2押圧ユニット306は、各々のローラ308が互い違いになるよう配置される。
第3の実施形態では、第1押圧ユニット304および第2押圧ユニット306が、シャフト310の延在方向と垂直方向ではなく、背2aと垂直な方向、すなわち上下方向に移動可能に構成されている。このようにローラ308が背2aに斜めに延在し、且つ背2aと垂直に移動する場合においても、ローラ308の一部によって背2aを押圧しながら押圧個所を移動させて背2aを平坦化させることができる。このため、たとえばローラ308の延在方向が背2aと平行となっている場合と比較すると、背2aを押圧する押圧力を抑制することができる。
なお、第3の実施形態においても、ローラ308は、冊子の表裏と垂直且つ背に角度を持って移動することにより冊子の背に最初に当接する側、即ち上方の端部に曲部が設けられている。また、第1押圧ユニット304におけるローラ308の各々は、第2押圧ユニット306における隣接するローラ308と押圧範囲が重なるよう配置されている。
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態に係る成形機構320の左側面図である。図12は、図11の視点Qから成形機構320を見た図である。第4の実施形態に係る製本システムの構成は、成形機構93に代えて成形機構320が設けられた以外は第1の実施形態と同様である。以下、第1の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略すると共に、図11および図12の双方に関連して成形機構320の構成について説明する。
成形機構320は、押圧機構118に代えて押圧機構322が設けられる以外は、第1の実施形態に係る成形機構93と同様に構成される。押圧機構322は、複数(第4の実施形態では5つ)の押圧ユニット324を有する。押圧ユニット324の各々は、シャフト328およびシャフト328に固定される単一のローラ326を有する。
複数の押圧ユニット324は、各々のシャフト328が、冊子2の表裏と垂直且つ冊子2の背2aに対して傾斜するよう配置される。また、複数の押圧ユニット324の各々は、ローラ326の上端から背2aまでの上下方向の距離が互いに同一になるよう配置される。
複数の押圧ユニット324の各々は、揺動アーム330、およびバネ332をさらに有する。また、成形機構320は、支持部材336および連結部材338をさらに有する。複数の押圧ユニット324の各々は、揺動アーム330の一端に回転可能に支持される。揺動アーム330の他端は、支持部材336に回動軸334を介して回転可能に支持される。支持部材336の各々は、連結部材338に固定される。連結部材338はガイド(図示せず)によって、冊子2の表裏と垂直且つローラ326の延在方向と垂直に移動することができるよう案内される。揺動アーム330は、ストッパ335によって背2aを押圧する方向への回動が規制される。バネ332は、揺動アーム330に付勢力を与え、ローラ326を背2aに押し付ける力を与える。連結部材338はボールネジ機構(図示せず)を介してモータ(図示せず)に接続されており、このモータが作動することによりガイドに沿って移動する。
冊子成形装置24に冊子2が搬入され、把持機構112によって冊子2が把持されると、電子制御部100は、モータを作動させて押圧機構322をガイドに沿って上昇させる。このときローラ326の各々は、冊子2の背2aを押圧しながら、冊子2の表裏と垂直且つ背2aに角度を持って移動する。このため、ローラ326は、冊子2の背2aを押圧する押圧手段として機能する。また、ローラ326のうち背2aを押圧する表面部分は押圧部として機能する。
このようにローラ326の初期位置を背2aに予め近づけておくことにより、例えば第2の実施形態において押圧機構262を上昇させる距離より少ない距離だけ押圧ユニット324の各々を移動させることにより背2aの押圧を完了することができる。このため、成形処理の生産性を向上させることができる。
なお、第4の実施形態においても、ローラ326は、冊子の表裏と垂直且つ背に角度を持って移動することにより冊子の背に最初に当接する側、すなわち上方の端部に曲部が設けられている。また、ローラ326の各々は、隣接するローラ326と押圧範囲が重なるよう配置されている。
(第5の実施形態)
図13は、第5の実施形態に係る成形機構400の左側面図である。なお、第5の実施形態に係る製本システムの構成は、成形機構93に代えて成形機構300が設けられた以外は、第1の実施形態と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
成形機構400は、押圧機構118に代えて押圧機構402が設けられる以外は、第1の実施形態に係る成形機構93と同様に構成される。押圧機構402は、複数(第5の実施形態においては5個)の押圧ユニット404を有する。複数の押圧ユニット404の各々は、シャフト408およびシャフト408に固定される複数のローラ406を有する。複数の押圧ユニット404は、各々のシャフト408が、冊子2の表裏と垂直且つ冊子2の背2aに対して傾斜するよう配置される。また、複数の押圧ユニット404の各々は、ローラ406の上端から背2aまでの上下方向の距離が互いに同一になるよう配置される。
第5の実施形態では、複数の押圧ユニット404が、シャフト408の延在方向と垂直方向ではなく、背2aと垂直な方向、すなわち上下方向に移動可能に構成されている。このようにローラ406が背2aに斜めに延在し、且つ背2aと垂直に移動する場合においても、ローラ406の一部によって背2aを押圧しながら押圧個所を移動させて背2aを平坦化させることができる。このため、たとえばローラ406の延在方向が背2aと平行となっている場合と比較すると、背2aを押圧する押圧力を抑制することができる。
なお、第5の実施形態においても、ローラ406は、冊子の表裏と垂直且つ背に角度を持って移動することにより冊子の背に最初に当接する側、即ち上方の端部に曲部が設けられている。また、ローラ406の各々は隣接するローラ406と押圧範囲が重なるよう配置されている。
(第6の実施形態)
図14は、第6の実施形態に係る成形機構93の構成を示す図である。図15は、第6の実施形態に係る押圧機構118の上面図であり、図16は、第6の実施形態に係る押圧機構118の正面図である。以下、図14〜図16に関連して、第6の実施形態に係る成形機構93の構成について説明する。なお、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
第6の実施形態に係る成形機構93は、さらに緩衝部材501を有する。緩衝部材501は、薄い板金をコ字状に折り曲げて形成される。これにより、緩衝部材501には、互いに対向する2つの支持部501bと、この2つの支持部501bの間の緩衝部501aとが設けられる。第6の実施形態では、緩衝部材501は、板厚0.4mmの析出硬化系ステンレスバネ材(SUS631-CSP0)によって形成されている。なお、緩衝部材501を形成する材料や板厚がこれに限定されないことは勿論であり、他のステンレス材料、他の金属材料、またはウレタンゴムなどのゴム材料など、弾性を有する他の材料によって形成されていてもよいし、異なる材料の板材を貼り合わせて形成してもよい。
緩衝部材501は、コ字の開口内に全ての押圧部材222が収容されるよう配置される。これにより、緩衝部501aが冊子2の背2aに対向するよう配置される。支持部501bの各々は、支持ブラケット210の側部210bの内側に接するよう配置される。側部210bの内面には、水平方向に並設され各々が支持ブラケット210内部に向けて延在するピン502およびピン503が設けられている。一方、支持部501bには水平方向に伸びる長孔501dが設けられている。ピン502およびピン503の外面の最大距離よりも長孔501dが長く形成されている。このため、長孔501dにピン502およびピン503が挿通されることにより、緩衝部材501は、水平方向にスライド移動可能に支持ブラケット210に支持される。
支持部501bの端部には、さらに内側に折り返された折り返し部501cが設けられている。この折り返し部501cと支持ブラケット210の折り返し部210aとの間にコイルスプリング504が配置される。コイルスプリング504は、緩衝部501aを冊子2の背2aから離間させる方向に緩衝部材501に付勢力を与える。
冊子2が搬入される前は、電子制御部100は、ソレノイドをオンにしてストッパ164を上昇させておく、このとき、ストッパ164は、緩衝部材501のコ字の内部に収容され、緩衝部501aの裏面に接した状態となる。冊子2が搬入されると、冊子2の背2aは緩衝部501aに突き当てられ、冊子2が位置決めされる。
冊子2が位置決めされると、電子制御部100はソレノイドをオフにしてストッパ164を下降させる。これにより、冊子2の背2aに当接していた緩衝部501aは背2aから離間し、裏面が押圧部材222に当接する。電子制御部100は、この状態でカム駆動モータ246を回転させて押圧部材222を背2aに向けて進出させる。緩衝部501aは、図16に示すように、押圧部材222の進出と共に背2aに向けてスライド移動する。これにより、背2aは緩衝部501aを挟んで押圧部材222により押圧され、平坦化される。このとき、緩衝部501aが弾性変形することにより、押圧部材222の外形による跡が背2aに残ることが抑制される。
背2aの成形処理が完了して冊子2を排出したあと、電子制御部100は、再びストッパ164を上昇させる。第6の実施形態では、ストッパ164の係止部164aの上方にテーパー面164cが設けられている。ストッパ164は、このテーパー面164cが緩衝部501aの下部と摺動しながら上昇し、ストッパ164が再び緩衝部501aの裏面に接した状態となる。
なお、ストッパ164に係止部164aが設けられておらず、ストッパ164が上昇後、ボールネジ162を回転させてストッパ164を押圧部材222から緩衝部501aを離間させるよう移動させてもよい。これによっても、背2aを当接させるべき位置まで緩衝部501aを移動させることができる。
(第7の実施形態)
図17は、第7の実施形態に係る成形機構93の構成を示す図である。なお、第7の実施形態に係る成形機構93は、係止機構116に代えて係止機構602が設けられた以外は、第1の実施形態に係る成形機構93と同様に構成される。
図18(a)は、第7の実施形態に係る係止機構602の正面図であり、図18(b)は、第7の実施形態に係る係止機構602の右側面図である。係止機構602は、緩衝部材604を有する以外は、第1の実施形態に係る係止機構116と同様に構成される。緩衝部材604は、平板をL字状に折り曲げた形状に形成される。ストッパ164は、この折り曲げられた部分が係止部164aの上部に固定される。緩衝部材604もまた、板厚0.4mmの析出硬化系ステンレスバネ材(SUS631-CSP0)によって形成されている。なお、緩衝部材604は、弾性を有する他の材料によって形成されていてもよいし、異なる材料の板材を貼り合わせて形成してもよい。
冊子2が搬入される前、電子制御部100は、ソレノイドをオンにしてストッパ164を上昇させておく。冊子2が搬入されると、その背2aが係止部164aに当接して冊子2が位置決めされる。冊子2が位置決めされると、電子制御部100はソレノイドをオフにしてストッパ164を下降させる。これにより、ストッパ164に代わって緩衝部材604が冊子2の背2aに当接した状態となる。
電子制御部100は、この状態で押圧部材222を背2aに向けて進出させる。これにより緩衝部材604を挟んで背2aが押圧され、平坦化される。背2aの成形処理が終了すると、電子制御部100は可動ユニット114を下降させ、ベルト搬送機構120で冊子2を綴じ折りスタッカ26に排出する。このようにストッパ164に緩衝部材604を固定することで、簡易な構成で背2aと押圧部材222との間に緩衝部材604を挿入させることができる。
(第8の実施形態)
図19は、第8の実施形態に係る押圧機構700の構成を示す斜視図である。図20は、第8の実施形態に係る押圧機構700の正面図である。第8の実施形態に係る製本システムの構成は、押圧機構118に代えて押圧機構700が設けられる以外は、第1の実施形態に係る製本システム10と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
押圧機構700は、押圧部材222に代えて間接押圧部材702および押圧弾性部材704が設けられる以外は、第1の実施形態に係る押圧機構118と同様に構成される。なお、図19では、並設される間接押圧部材702の一部のみを図示しており、また、カムユニット204などの図示を省略している。
間接押圧部材702は外形が長方形の平板状に形成され、隣同士が接触する、または微小な隙間が空くよう、成形対象となる冊子2の背2aに沿って複数並設される。間接押圧部材702は、一面が本体ブラケット220に固定される。
間接押圧部材702のうち本体ブラケット220に固定される面とは逆の面には、凹部702aが設けられている。間接押圧部材702は、図20に示すように正面から見て間接押圧部材702がコ字状となるよう凹んで形成される。このため、複数の間接押圧部材702が並設されたときに、複数の間接押圧部材702の凹部702aが一直線状に並び、成形対象となる冊子2の背2aに沿って延在する。
押圧弾性部材704は、ゴムなど弾性体によって帯状に形成される。押圧弾性部材704を構成する材質として、例えば耐磨耗ウレタン、ニトリルゴム(NBR)、またはクロロプレンゴム(CR)が用いられてもよい。押圧弾性部材704は、JIS−K6253に基づきデュロメータA型で測定したショア硬さが、A60以上であることが好ましく、A90以上であることがさらに好ましい。
押圧弾性部材704は、上述のように一直線状に並んだ凹部702aに挿入され、並設される複数の間接押圧部材702のうち両端に配置された各々に固定される。このように凹部702aに挿入することにより、押圧弾性部材704の下方への撓みなどを規制することができる。
こうして押圧弾性部材704は、冊子2の背2aに沿って延在するよう配置される。複数の間接押圧部材702は、カムユニット204が回転することにより、それぞれが異なるタイミングで冊子2の背2aに向けて進退する。これにより、凹部702aに収容された押圧弾性部材704は、弾性変形しながら冊子2の背2aにおける複数個所の各々を異なるタイミングで押圧し、角形に成形する。押圧弾性部材704がなければ間接押圧部材702だけでは冊子2の背2aを押圧することができないため、第8の実施形態では、押圧弾性部材704が冊子2の背2aを押圧する押圧部材として機能する。
なお、押圧弾性部材704に代えて、例えば回動可能なリンクを介して互いに接続された複数の板状部材が凹部702aに収容されてもよい。これによっても、カムユニット204が回転することにより、この複数の板状部材の各々が変形しながら冊子2の背2aにおける複数個所の各々を異なるタイミングで押圧することができる。
(第9の実施形態)
図21は、第9の実施形態に係る押圧機構750の構成を示す斜視図である。図22は、第9の実施形態に係る押圧機構750を、図21の視点Rから見た図である。第9の実施形態に係る製本システムの構成は、押圧機構118に代えて押圧機構750が設けられる以外は、第1の実施形態に係る製本システム10と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
押圧機構750は、押圧部材222に代えて押圧部材752が設けられる以外は、第1の実施形態に係る押圧機構118と同様に構成される。押圧部材752は、外形が長方形の平板状に形成され、隣同士が接触する、または微小な隙間が空くよう、成形対象となる冊子2の背2aに沿って複数並設される。押圧部材752は、一面が本体ブラケット220に固定される。
押圧部材752のうち、本体ブラケット220に固定される面とは反対側の面が、冊子2の背2aを押圧する押圧面となる。この押圧面には、テーパー部752aが設けられている。テーパー部752aは、隣接する押圧部材752側の縁部を面取りするように形成される。複数の押圧部材752の各々は、冊子2の背2aにおける複数個所の各々を異なるタイミングで押圧する。このように複数の押圧部材752を互いに近接させることにより、成形後の冊子2の背2aに生じる凹凸を低減させることができる。また、上述のように押圧部材752の押圧面にテーパー部752aを設けることにより、成形後の冊子2の背2aに押圧部材752の縁部の跡が残ることを回避することができる。
(第10の実施形態)
図23は、第10の実施形態に係る押圧機構800の構成を示す上面図である。図24は、第10の実施形態に係る押圧機構800の正面図である。第10の実施形態に係る製本システムの構成は、押圧機構118に代えて押圧機構800が設けられる以外は、第1の実施形態に係る製本システム10と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
押圧機構800は、押圧ユニット202や支持ユニット200に代えて押圧プレート802が設けられる以外は、カムユニット204を有する点などにおいて押圧機構118と同様に構成される。
押圧プレート802は、例えば鉄系材料などの金属材料によって形成される。また、押圧プレート802は、成形時の弾性変形を抑制すべく5mmと比較的厚い板厚を有する。なお、押圧プレート802の材質や厚さがこれらに限定されないことは勿論である。押圧プレート802は、成形対象となる冊子2の背2aに沿って延在し、冊子2と垂直且つ背2aに対向するよう配置される。押圧プレート802は、冊子2の背2aよりも長く形成される。
複数のカム240は、回転することにより、それぞれが異なるタイミングで押圧プレート802に向けて進退し、押圧プレート802の背面を押圧する。これにより、押圧プレート802は、背面の反対側の面である押圧面で、押圧個所を移動させながら冊子2の背2aを一端部から他端部まで押圧して角形に成形する。
押圧プレート802は、背2aの一端部近傍を押圧しているときは、一端部側の方により深く進出するため、微小に斜めになりながら背2aを押圧する。逆に背2aの他端部近傍を押圧しているときは、他端部側の方により深く進出するため、一端部近傍を押圧しているときとは逆の方向に微小に斜めになりながら背2aを押圧する。
一方、背2aの中央周辺を押圧しているときは、押圧プレート802は全長にわたって背2aを押圧する。しかしながら、背2aの中央周辺を押圧するときは成形のための負荷も大きいため、中央付近の成形が端部よりも不十分となるおそれがある。このため、第10の実施形態では、並設される複数のカム240のうち、押圧プレート802の中央周辺を押圧するカム240の大径部の径が、端部周辺を押圧するカム240よりも大きくされている。
具体的には、両端のカム240の大径部の径が最も小さくされており、カム240の並設範囲の中央に最も近いカム240の大径部の径が最も大きくされている。したがって、均等間隔で並設されるカム240が奇数個である場合は中央のカム240の大径部の径が最も大きくなり、均等間隔で並設されるカム240が偶数個である場合は、中央の2つのカム240の大径部の径が最も大きくなる。両端部から中央部にすすむにしたがって、カム240の大径部の径は徐々に大きくなるよう各々が形成されている。これにより、押圧プレート802によって背2aの中央周辺を押圧するときに、端部周辺を押圧するときよりも強い力で押圧することが可能となる。
図25(a)は、並設されるカム240のうち、両端に配置されるカム240Aおよびカム240Cを示す図であり、図25(b)は、並設されるカム240のうち、中央に配置されるカム240Bを示す図である。カム240Bは、カム240Aおよびカム240Cよりもαだけ全周にわたって径が大きくなるよう形成されている。このため、カム240Bの中心から押圧プレート802を押す押圧個所までの距離は、カム240Aおよびカム240CのAよりもα長いA+αとされている。なお、カム240Bは、押圧プレート802を押す押圧個所だけ、カム240Aおよびカム240Cよりもαだけ径が大きくなるよう形成されていてもよい。
例えばローラを冊子2の背2aに押し付けて転動させることにより角形成形する場合、ローラ表面と冊子2の背2aとの間に「こすれ」が生じる。この「こすれ」は、成形後の背のしわ発生に繋がるおそれがある。第10の実施形態に係る押圧機構800によれば、押圧プレート802によって冊子2の背2aを垂直に押圧することができるため、この「こすれ」を回避して、しわの発生を抑制することができる。
なお、押圧プレート802が、例えば板厚が薄くされるなど上述よりも弾性変形し易く設けられてもよい。この場合、カムユニット204が回転することにより、押圧プレート802は、弾性変形しながら背面の反対側の面である押圧面で、押圧個所を移動させながら冊子2の背2aを押圧して角形に成形する。これによっても、背2aとの「こすれ」を回避しつつ冊子を角形成形することができる。この場合は、カム240の大径部の径はすべて均一とされる。
(第11の実施形態)
図26は、第11の実施形態に係る押圧機構900の構成を示す上面図である。第11の実施形態に係る製本システムの構成は、押圧機構118に代えて押圧機構900が設けられる以外は、第1の実施形態に係る製本システム10と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
押圧機構900は、押圧プレート802に代えて押圧プレート902が設けられ、また、すべてのカム240の大径部の径が同一とされている以外は、第10の実施形態に係る押圧機構800と同様に構成される。押圧プレート902の材質や、成形時の弾性変形を抑制すべく5mm以上の比較的厚い板厚を有する点などは、上述の押圧プレート902と同様である。押圧プレート902は、成形対象となる冊子2の背2aに沿って延在し、冊子2と垂直且つ背2aに対向するよう配置される。押圧プレート902は、冊子2の背2aよりも長く形成される。
図26に示すように、押圧プレート902は、中央の板厚が端部の板厚Bよりもβ厚いB+βとされており、端部よりも中央の板厚が厚くなるよう形成されている。具体的には、押圧プレート902の押圧面が、端部周辺より中央周辺が背2a側に盛り上がるよう形成されている。なお、図26は理解が容易となるようβが実際よりも大きくなるよう図示している。これにより、押圧プレート902によって背2aの中央周辺を押圧するときに、端部周辺を押圧するときよりも強い力で押圧することが可能となる。
(第12の実施形態)
図27は、第12の実施形態に係る押圧機構118の上面図である。図28(a)〜図28(e)は、それぞれ第12の実施形態に係る押圧機構118における図27のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図、およびE−E断面図である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
図28(a)に示すのは、冊子2から見て最も右(以下、単に「最も右」という。)のカム240の角度を示す図である。図28(b)〜図28(e)は、最も右のカム240から5番目、9番目、13番目、および17番目のそれぞれの角度を示す。したがって図28(a)〜図28(e)は、それぞれ配列順序が4つ異なるカム240の角度を示している。図28(c)が示すカム240は、中央のカム240となる。図28(e)が示すカム240は、冊子2から見て最も左(以下、単に「最も左」という。)のカム240となる。
第12の実施形態に係るカムユニット204では、複数のカム240は、互いに隣り合うカム240のうち左のカム240が右のカム240よりも15°左回り(押圧機構118を左から見た左回り。以下、単に「左回り」という。)方向に位置するように位相差が設けられている。したがって、例えば図28(b)に示すカム240は、図28(a)に示すカムユニット204よりも15°×4=60°左回り方向に位置するよう位相差が設けられている。以下、図28(c)、図28(d)、および図28(e)と4つずつ進むにしたがって、カム240もそれぞれ60°左回り方向に回転した位置となっている。このため、最も右のカム240に対する最も左のカム240の位相差は左回りに240°となっている。
冊子2の背2aを押圧するとき、カムシャフト242は右回り(押圧機構118を左から見た右回り。以下、単に「右回り」という。)に回転する。このため、押圧機構118は、押圧部材222の各々によって押圧されるべき複数の押圧個所のうち、背2aの右端部に最も近い押圧個所から左端部に最も近い押圧個所に至るまで、押圧部材222によって押圧する個所を左隣の押圧個所に順次切り替えて背2aを平坦化させる。
なお、背2aを右から左に押圧するものに限定されないことは勿論である。押圧機構118は、複数の押圧個所のうち、背2aの一端に最も近い押圧個所から背2aの他端に最も近い押圧個所に至るまで、押圧部材222によって押圧する個所を、背2aの他端側の隣の個所に順次切り替えて背2aを平坦化させる。
(第13の実施形態)
図29(a)〜図29(e)は、それぞれそれぞれ第13の実施形態に係る押圧機構118における図27のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図、およびE−E断面図である。以下、上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
図29(a)に示すのは、最も右のカム240の角度を示す図である。図29(b)〜図29(e)は、最も右のカム240から5番目、9番目、13番目、および17番目のそれぞれの角度を示す。したがって図29(a)〜図29(e)は、それぞれ順序が4つ異なるカム240の角度を示している。図29(c)が示すカム240は、中央のカム240となる。図29(e)が示すカム240は、最も左のカム240となる。
第13の実施形態に係るカムユニット204では、中央のカム240を除くカム240の各々に、背2aの中央から互いに距離が等しい2個所を押圧するよう位相差を持たせている。具体的には、カムユニット204に含まれるカム240のうち、中央のカム240カム240から右のカム240は、互いに隣り合うカム240のうち右のカム240が左のカム240よりも30°左回り方向に位置するよう位相差が設けられている。このため、最も右のカム240は、中央のカム240に対し左回り方向に240°の位相差が設けられている。
また、中央のカム240から左のカム240は、互いに隣り合うカム240のうち左のカム240が右のカム240よりも30°左回り方向に位置するよう位相差が設けられている。このため、最も左のカム240もまた、中央のカム240に対し左回り方向に240°の位相差が設けられている。
なお、カムユニット204に含まれているカム240の数が偶数であってもよい。この場合、中央のカム240が存在しない。このため右半分のカム240および左半分のカム240は、互い異なる方向に所定の角度だけ、互いに隣り合うカム240のうち右のカム240が左のカム240よりも位置するよう位相差が設けられていてもよい。
カムシャフト242は右回りに回転する。このため、押圧機構118は、図29(a)〜図29(e)に示す状態からカムシャフト242を回転させ、まず背2aの中央の押圧個所を押圧し、背の両端部に最も近い押圧個所に至るまで、2つの押圧個所を互いに離間させるよう押圧個所を順次切り替えて背2aを平坦化させる。このように冊子2の背2aに与える押圧力が背2a全体でバランスが取れるよう、カム240に位相差を持たせることにより、背2aの押圧時における冊子2の傾きを抑制することができる。
また、押圧機構118は、カムシャフト242を左回りに回転させることにより、まず背2aの両端に最も近い2つの押圧個所を押圧し、背の中央の押圧個所に至るまで、2つの押圧個所を互いに近接させるよう押圧個所を順次切り替えて背2aを平坦化させてもよい。
さらに、押圧機構118は、複数個所のうち2以上の個所を同時に押圧する工程を、背2aの一端からの距離の平均が背2aの半分の長さとなるよう当該2以上の個所を変えながら繰り返すことにより背2aを平坦化させてもよい。例えば17個の押圧個所のうち、まず右から1番目、10番目、16番目の押圧個所を同時に押圧し、次に左から1番目、10番目、16番目の押圧個所を同時に押圧するなど、背の中央を挟んで非対称に位置するが、背2aの一端からの距離の平均が背2aの半分の長さとなる複数の押圧個所を押圧部材222で押圧してもよい。押圧機構118は、このような工程を、押圧個所を変えながら繰り返してもよい。このような態様によっても、背2aの押圧時における冊子2の傾きを抑制することができる。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
ある変形例では、成形機構93は、複数の押圧部材222と冊子2とを背2aに沿って相対的に移動させる移動手段を有する。電子制御部100は、複数の押圧部材222で背2aの複数個所を押圧した後、複数の押圧部材222と冊子とを背に沿って相対的に移動させ、押圧した複数個所の間を複数の押圧部材222でさらに押圧する。これにより、押圧されていない個所をなくすことができ、成形処理された冊子の品質を向上させることができる。
ある別の変形例では、成形機構93は、単一の押圧部材222を有する。成形機構93は、この押圧部材222と冊子2とを背2aに沿って相対的に移動させる移動手段を有する。具体的には、押圧部材222または把持機構112が、ボールネジ機構などを介してモータにより、把持される冊子2の背2aと平行に移動可能に構成される。電子制御部100は、押圧部材222で背のいずれかの個所を押圧する工程と押圧部材222と冊子2とを背2aに沿って相対的に移動させる工程とを交互に繰り返すよう、押圧手段および移動手段の各々のモータを制御する。このように背2aの一部を順次背2aに沿って押圧することで、単一の押圧部材222でも広い範囲の背2aを平坦化させることが可能となる。
ある別の変形例では、第2〜第5の実施形態において、冊子2の背2aを押圧するローラに代えて、背2aに摺動しながら背2aを押圧する押圧部材が採用される。押圧部材において背2aに摺動する押圧面は曲面とされていてもよい。このように回転しない部材を背2aに摺動させても、背2aの平坦化処理を実行することができる。
ある別の変形例では、押圧機構118によって背2aが平坦化された冊子2を、背2aと平行な方向に搬送して排出する垂直搬送機構を有する。これにより、冊子2の背2aに成形処理を施した後、押圧機構118および係止機構116を下方に退避させる必要がなくなるため、このような昇降機構を設けるためのコストを抑制することができる。
ある別の変形例では、中綴じ折り処理された冊子2は、まず冊子成形装置24によって背2aを平坦化させる成形処理が施され、その後、断裁装置22によって小口などの断裁処理が施されるよう、冊子成形装置24および断裁装置22が配置される。背2aを平坦化させる形成処理を施す際、背2aを変形させることから、小口側の用紙端縁にずれが生じるなどの影響が及ぶ可能性がある。このように背2aの成形処理後に断裁処理を施すことによって、成形処理による小口側の美観低下を抑制することができ、小口が揃った冊子2を作成することができる。
ある別の変形例では、成形モードおよび増し折りモードを有する。ユーザは、操作パネルに選択入力することにより、成形モードおよび増し折りモードのいずれかを選択することができる。成形モードが選択された状態でスタートボタンが押された場合、電子制御部100は、成形モードによる背の成形処理を実行する。成形モードでは、冊子2の背2aをストッパ164に当接させて位置決めし、押圧ユニット202で押圧して背を成形する。
増し折りモードが選択された状態でスタートボタンが押された場合、電子制御部100は、増し折りモードによる背の形成処理を実行する。増し折りモードでは、冊子2の背2aをストッパ164まで搬送せず、背2aが上方グリッパ130と下方グリッパ132との間の位置に停止させ、上方グリッパ130と下方グリッパ132とにより背2aを挟んで加圧して折り目を強化する。
具体的には、電子制御部100は、押圧ユニット202の周辺には、受光量の変化により用紙の先端を検知する用紙センサ(図示せず)が設けられている。電子制御部100は、この用紙センサによって用紙の先端が検知されてから所定時間後に、上方グリッパ130と下方グリッパ132との間の所定位置に冊子2の背2aが到達したとしてベルト搬送機構110による冊子2の搬送を停止させる。次に上方グリッパ130を下降させて上方グリッパ130と下方グリッパ132とにより背2aを挟んで加圧し、折り目を強化する。所定時間圧をかけたら把持機構112による挟持を解除し、ベルト搬送機構110およびベルト搬送機構120によって冊子2を排出する。
これにより、背2aを角形に成形するための把持機構112を利用して、背2aの折り目を強化することができる。このため、折り目を強化するための別の機構を設ける場合に比べ、装置の構成を簡素にすることができる。なお、冊子2の位置決めは、冊子2の背2aをストッパ164に当接させてから、ベルト搬送機構110によって冊子2を所定量逆送させて行ってもよい。また、ユーザが操作パネルに把持機構112による増し折り回数を入力できるよう管理装置28が設けられていてもよい。電子制御部100は、入力された回数分、把持機構112により冊子2を挟持して背2aの折り目を強化してもよい。
ある別の変形例では、複数の押圧部材222のうち、少なくとも2つを所定位置まで進出させ、この進出した押圧部材222に冊子2の背2aを押し当てて冊子2の位置決めを行う。電子制御部100は、冊子2を構成する用紙枚数、または冊子2を構成する用紙の厚さや種類に基づいて、冊子2を保持すべき位置を決定し、この位置で冊子2が停止するよう少なくとも2つの押圧部材222を進出させる。例えば電子制御部100は、冊子2を構成する用紙枚数が多いほど2つ以上の押圧部材222を上流側に進出させて冊子2の背2aを位置決めする。これにより、冊子2を構成する用紙枚数や用紙の厚さなどに応じて適切に冊子2の背2aを平坦化させることができる。
この変形例では、カム240を駆動するカム駆動モータ246は、サーボモータまたはステッピングモータによって構成される。電子制御部100は、カム駆動モータ246に制御信号を供給してカム240の回転角を制御することにより、冊子2を位置決めするための押圧部材222の進出量を調整する。
このとき電子制御部100は、位置決めするための少なくとも2つの押圧部材222に冊子2を当接させた状態で、その押圧部材222をさらに進出させて冊子2の背2aを成形してもよい。なお、押圧部材222によって位置決めされた冊子2を把持機構112によって把持した後、位置決めのための押圧部材222をいったん下流側に退避させ、改めて上流側に進出させて背2aを形成してもよい。これにより、係止機構116を省略することが可能となるため、成形機構93のコストを低減させることができる。