以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る製本システム10の模式的な全体構成図である。製本システム10は、丁合装置18、中綴じ折り装置20、断裁装置22、冊子成形装置24、および管理装置28を備える。
丁合装置18は、複数(第1の実施形態では6個)の給紙トレイ50を有する。給紙トレイ50は、それぞれ上下方向に並設されている。給紙トレイ50の各々は、モータ(図示せず)を作動させることにより昇降可能に設けられている。給紙トレイ50には、孔版印刷、オフセット印刷、電子写真、インクジェット等の様々な画像形成方法によって画像が形成された用紙が積載される。給紙トレイ50の各々には、画像が形成された用紙が複数重なり合った状態の用紙群が、製本作業者の手によってセットされる。
分離給送機構52は、給紙トレイ50の各々に対応して設けられる。分離給送機構52は、対応する給紙トレイ50に積載された用紙のうち最上位の用紙を分離して送り出す。分離給送機構52はエア吸引式のものが採用されている。エア吸引式の分離給送機構は公知であるため、その詳細な説明は省略する。なおエア吸引式の分離給送機構に代えて、いわゆるフリクション式の分離給送機構が設けられてもよいことは勿論である。このように、給紙トレイ50と分離給送機構52との組合せの各々が用紙を送り出す給紙手段として機能する。
丁合装置18は、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で一枚ずつ搬送して中綴じ折り装置20に送り出す。なお、丁合装置18は、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で互いに重ね合わせて用紙束として搬送し、中綴じ折り装置20に送り出してもよい。
中綴じ折り装置20は、丁合装置18から送り込まれた用紙に中綴じ折り処理を施す。中綴じ折り装置20に送り込まれた用紙は、搬送路60に沿って搬送される。中綴じ折り装置20は、綴じ機構62、折り機構72、折り無しスタッカ73を有する。綴じ機構62および折り機構72は、搬送路60の周辺に配置される。
綴じ機構62は、サイドジョガー66、ステッチャ70、綴じストッパ64、およびバックジョガー68を有する。
サイドジョガー66は一対設けられ、各々が綴じ機構62において用紙束の側端部に当接し、用紙搬送方向と垂直な方向である用紙幅方向における用紙束の位置を位置決めする。綴じストッパ64およびバックジョガー68は、用紙が積載されて作成された用紙束の前端部および後端部にそれぞれ当接し、用紙束の用紙搬送方向における位置を位置決めする。ステッチャ70は、綴じストッパ64、サイドジョガー66、およびバックジョガー68によって位置決めされた用紙束に綴じ処理を施す。
折り機構72は綴じ機構62の下流側に設けられている。折り機構72は、綴じ機構62によって綴じ処理が実施された用紙束に、綴じた箇所で用紙束を折りたたむ折り処理を実施する。折り機構72は、一対の折りローラ78、折りナイフ76、折りストッパ74を有する。
綴じ機構62にて綴じ処理が実施されると、綴じストッパ64が下方に退避し、綴じられた用紙束が折り機構72に送り込まれる。折り機構72に送り込まれた用紙束は、前端部が折りストッパ74に当接したところで用紙搬送方向の位置決めがされる。搬送路60の上方には一対の折りローラ78が、軸方向が用紙搬送方向と垂直な方向に向くよう、用紙搬送方向に並設されている。
折りナイフ76は、モータ(図示せず)が作動することにより一対の折りローラ78の間と搬送路60の下方とを上昇および下降することが可能となっている。折りストッパ74により用紙束が用紙搬送方向の位置決めがされた状態で折りナイフ76を上昇させることにより、用紙束が一対の折りローラ78の間に巻き込まれる。一対の折りローラ78は、強い力で用紙束を挟持しながら用紙束を上方に搬送するよう回転することにより、用紙束に折り目を付ける。一対の折りローラ78によって折り目が付けられた冊子は、一対の折りローラ78のニップ部から上方に向かう綴じ折り冊子搬送路82を通ってベルト搬送機構80に送り込まれる。ベルト搬送機構80は、作成された冊子を断裁装置22の用紙搬送路92に送り出す。
なお、折りストッパ74は、ソレノイドをオン・オフすることにより搬送路60に進退可能となっている。ユーザによって中綴じ折り処理による製本が選択されず綴じ処理による製本が選択された場合、綴じストッパ64および折りストッパ74は搬送路60から退避した状態となる。この場合、綴じ機構62によって綴じ処理が施された用紙は折りストッパ74の下流に設けられた折り無しスタッカ73に積載される。
断裁装置22は、三方断裁機構84を有する。三方断裁機構84は、中綴じ折り装置20から送り込まれた冊子の小口、または小口、天、地の三方を断裁して最終的な冊子を作成する。三方断裁機構84は、小口断裁刃90、用紙押さえ部88、小口断裁ストッパ86、サイドガイド(図示せず)、および一対の天地断裁刃(図示せず)を有する。
小口断裁ストッパ86は、ソレノイド(図示せず)をオン・オフすることにより、用紙搬送路92に進退可能とされている。冊子の小口を断裁する場合、断裁装置22は、冊子が送り込まれるタイミングで小口断裁ストッパ86を用紙搬送路92に突出させておく。これにより、断裁装置22に送り込まれた冊子は前端部が小口断裁ストッパ86に当接して用紙搬送方向の位置決めがなされる。
一対のサイドガイドは、小口断裁刃90よりも用紙搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という)に配置され、各々の間隔の中心に搬送される冊子の中心が概ね重なるよう、断裁装置22の前方および後方に一つずつ配置される。一対のサイドガイドの各々は板状に形成され、用紙搬送方向に延在し且つ用紙搬送路92から上方に突出する。一対のサイドガイドには、一方が用紙幅方向に移動すれば、他方がその逆方向に同じ距離を移動するいわゆる中心振り分け方式が採用されている。サイドガイドによって案内されその間を通過した冊子は、断裁する前に揃えるべき天、地の位置に揃えられる。
用紙押さえ部88は小口断裁ストッパ86より上流側の用紙搬送路92上方に配置され、モータ(図示せず)が作動することにより下降する。小口断裁刃90は、用紙押さえ部88より上流側の用紙搬送路92上方に設けられ、後述する小口断裁モータが作動することにより下降する。小口断裁刃90は、後述する小口断裁刃移動モータによって、ボールネジ機構などを介して用紙搬送方向に移動可能に構成されている。天地断裁刃は、用紙押さえ部88の装置前方および後方の用紙搬送路92上方にそれぞれ一つずつ設けられ、後述する天地断裁モータが作動することにより下降する。これら一対の天地断裁刃もまた、中心振り分け方式により相互に離間または近接する方向に移動可能とされている。一対の天地断裁刃は、後述する天地断裁刃移動モータが作動するによって、ギヤ機構などを介して相互に離間または近接する方向に移動する。
サイドガイドの間を通過することにより天、地の位置が揃えられ、且つ小口断裁ストッパ86により用紙搬送方向の位置決めがされた状態で、用紙押さえ部88が下降して冊子を押さえつける。このように冊子が押さえつけられた状態で、まず小口断裁刃90が小口を断裁し、次に一対の天地断裁刃が、冊子の天と地を断裁する。断裁処理が施された冊子は、冊子成形装置24に搬送される。
冊子成形装置24は、内部に成形機構93を有する。成形機構93は、中綴じ折り冊子の背周辺の表裏を把持した状態で背を押圧することにより背を平坦化させる、いわゆる「角形成形処理」を施す。以下、中綴じ折り冊子を単に「冊子」という。成形機構93の構成については後述する。冊子成形装置24において成型処理が施された冊子は、綴じ折りスタッカ26上に搬送される。
管理装置28は、管理PC(Personal Computer)94、ディスプレイ96、マウス98、キーボード97によって構成される。管理PC94は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどを有し、管理装置28、中綴じ折り装置20、断裁装置22、および冊子成形装置24とデータの送受信可能に接続されている。ディスプレイ96、キーボード97、およびマウス98は管理PC94に接続されている。
管理PC94は、ディスプレイ96に設定画面を表示することにより、ユーザによって各種の設定入力が可能な状態とする。ユーザは、この設定画面においてキーボード97やマウス98を使って各種の設定入力を行うことができる。ディスプレイ96に表示されたスタートボタンがクリックされると、管理PC94は、設定内容を示す情報を丁合装置18、中綴じ折り装置20、断裁装置22、および冊子成形装置24の各々に送信すると共に、製本処理を開始する旨を示すスタート信号を送信する。丁合装置18、中綴じ折り装置20、断裁装置22、および冊子成形装置24の各々は、CPU、ROM、RAMを有し内部機構の動作を制御する制御部を有しており、スタート信号を受信すると、受信した設定内容に基づいた製本処理を実施する。これらの制御部および管理PC94を総じて、電子制御部100として以下説明する。
図2は、第1の実施形態に係る成形機構93の構成を示す図である。成形機構93は、ベルト搬送機構110、把持機構112、及び可動ユニット114を備える。可動ユニット114は、係止機構116、押圧機構118、およびベルト搬送機構120を有する。
ベルト搬送機構110は、一対のローラ124にベルト122が噛合したベルトユニットが上下に一対並設されて構成される。ベルト搬送機構110は、断裁装置22から搬入された冊子を一対のベルト122の間で挟持しながら把持機構112に搬送する。
係止機構116は、ベルト搬送機構110によって搬送された冊子の背に当接して冊子を位置決めする。把持機構112は、係止機構116によって位置決めされた冊子の背周辺の表裏を把持する。押圧機構118は、把持された冊子の背を押圧して平坦化させる。可動ユニット114は、例えばボールネジ機構などによって上下に移動可能に構成されている。押圧機構118による冊子の背への押圧処理が終了すると、電子制御部100は、可動ユニット114を下降させる。ベルト搬送機構120はベルト搬送機構110と同様に構成される。ベルト搬送機構120の一対のベルト122の間に冊子が位置するまで下降したときに、電子制御部100は可動ユニット114の下降を停止させる。ベルト122は、成形処理が施された冊子を綴じ折りスタッカ26へと送り出す。
図3(a)は、第1の実施形態に係る把持機構112の正面図であり、図3(b)は、第1の実施形態に係る把持機構112の右側面図である。以下、図3(a)および図3(b)に双方に関連して把持機構112の構成について説明する。
把持機構112は、上方グリッパ130、下方グリッパ132、コネクティングロッド134、クランクディスク136、およびクランクシャフト142を有する。下方グリッパ132は直方体のブロック状に形成され、冊子成形装置24の筐体に固定されている。上方グリッパ130は下方グリッパ132の上方に配置され、直方体のブロック状に形成された駆動ブロック130bと、駆動ブロック130bの下方に設けられたグリップ板130dと、駆動ブロック130bとグリップ板130dとの間に挟んだバネ130cを有する。上方グリッパ130は、ガイド(図示せず)によって下方グリッパ132に向けて進出可能に構成されている。グリップ板130dの下面には、滑り止め部材130aが設けられている。この滑り止め部材130aは、人工織布で形成されている。また、下方グリッパ132の上面にも、同様の滑り止め部材132aが設けられている。ベルト搬送機構110から搬入された冊子は、上方グリッパ130が下降することによって滑り止め部材130a、132aの間に挟まれ、さらにバネ130cによるバネ圧がかかることによって、冊子が把持される。滑り止め部材130a、132aは冊子の滑りを防ぐことができる摩擦力を有していればよく、ウレタンゴム、あるいは、下面に凹凸や梨地面を有する金属板などで形成されていてもよい。
上方グリッパ130の前方側および後方側の各々には、軸138を介してコネクティングロッド134の上端が回動可能に接続されている。コネクティングロッド134の各々の下端は、2枚のクランクディスク136の各々に軸140を介して回動可能に接続される。このとき、コネクティングロッド134は、クランクディスク136の中心からずれた位置接続される。2枚のクランクディスク136は、クランクシャフト142の両端に同軸となるよう固定される。
以上の構成より、クランクシャフト142が回転することでコネクティングロッド134を介して上方グリッパ130が上方または下方に移動する。クランクシャフト142は、伝達機構(図示せず)を介してクランクモータ(図示せず)に接続されている。電子制御部100は、クランクモータの作動を制御することにより、把持機構112による冊子の把持を制御する。
図4(a)は、第1の実施形態に係る係止機構116の正面図であり、図4(b)は、第1の実施形態に係る係止機構116の右側面図である。以下、図4(a)および図4(b)の双方に関連して係止機構116の構成について説明する。
係止機構116は、可動ユニット160および2本のボールネジ162を備える。可動ユニット160は、ストッパ164および支持部材166を有する。ストッパ164には上下方向に伸びる2つのガイド孔164bが設けられている。一方、支持部材166には、2本のガイドピン168が設けられている。2本のガイドピン168の各々が2つのガイド孔164bの各々に挿入されることで、ストッパ164が上下方向に移動可能となるよう支持部材166に支持される。ストッパ164はソレノイド(図示せず)に連結しており、ソレノイドがオンになることにより上方に進出する。ストッパ164の上部には3つの係止部164aが設けられている。ストッパ164が上方に進出したとき、この係止部164aがベルト搬送機構110から送り込まれた冊子の背に当接して冊子を位置決めする。
支持部材166には2つのナット170が設けられる。2本のボールネジ162の各々は、このナット170の各々に螺合している。ボールネジ162はモータ(図示せず)に接続されている。電子制御部100は、このモータの作動を制御することにより、係止部164aの位置を調整し、背と垂直な方向における冊子の位置を調整する。具体的には、電子制御部100は、ユーザに入力された冊子を形成する用紙枚数が多いほど、冊子の背が後述する押圧部材に近づくよう冊子の位置を調整する。また、電子制御部100は、ユーザに入力された用紙種類を取得してもよい。電子制御部は、冊子を形成する用紙枚数および冊子を形成する用紙種類を利用して、作成される冊子の厚さを推定し、推定した冊子の厚さが厚いほど、冊子の背が後述する押圧部材に近づくよう冊子の位置を調整してもよい。なお、電子制御部100は、ユーザに入力された位置に冊子の背が位置するようストッパ164の位置を調整してもよい。
図5は、第1の実施形態に係る押圧機構118の正面図である。図6は、第1の実施形態に係る押圧機構118の上面図である。以下、図5および図6の双方に関連して押圧機構118の構成について説明する。
押圧機構118は、支持ユニット200、押圧部材222、およびカムユニット204を備える。支持ユニット200は、一対の支持ブラケット210、および4つのガイド部材212を有する。一対の支持ブラケット210は互いに対向するよう上下方向に並設され、両端の各々が一対のメインブラケット244の各々を介して冊子成形装置24の筐体に固定される。支持ブラケット210の各々は、把持機構112によって把持される冊子2の背2aに平行に延在するよう配置される。ガイド部材212は、同様に冊子2の背2aに平行に延在するよう、支持ブラケット210に固定される。
押圧ユニット202は複数(第1の実施形態では18個)設けられる。押圧ユニット202の各々は、本体ブラケット220、押圧部材222、第1ガイドピン224、第2ガイドピン226、およびベアリング230を有する。本体ブラケット220は直方体状に形成され、一対の支持ブラケット210の間に配置される。このとき本体ブラケット220の各々は、ガイド部材212に上面および下面が当接して上下方向の移動が規制される。
本体ブラケット220の冊子2に向く側の面には、押圧部材222が固定される。押圧部材222は平板状に形成され、背2aを押圧する押圧面が、把持機構112に把持される冊子2の表裏と垂直且つ背2aと平行となるよう本体ブラケット220に固定される。本体ブラケット220は、押圧部材222が冊子2の背2aと平行に等間隔に並ぶよう配置される。これにより、複数の押圧部材222の各々が、冊子2の背2aのうち背2aに沿った複数個所の各々を押圧可能となる。なお、押圧部材222は、押圧したときの跡が背につきにくくなるよう背の延在方向の端部に曲部が設けられている。
第2ガイドピン226および第1ガイドピン224は、上端および下端が突出するように本体ブラケット220に固定される。支持ブラケット210には、押圧ユニット202の進退方向に伸びる長孔が設けられており、第1ガイドピン224および第2ガイドピン226の突出する上端および下端はこの長孔に挿通される。これにより押圧ユニット202は、背2aに垂直な方向に移動可能となる。
第1ガイドピン224の上端および下端の各々と支持ブラケット210との間にコイルスプリング228が設けられる。コイルスプリング228は引っ張りバネであり、押圧部材222を冊子2の背2aから離間する方向に付勢する。本体ブラケット220における、押圧部材222が固定される面と反対側には、ベアリング230が背2aと平行な軸を中心に回転可能に支持されている。
カム240は、押圧ユニット202と同数(第1の実施形態では18個)設けられる。複数のカム240の各々は、把持機構112に把持された冊子2の背2aと軸方向が平行なカムシャフト242に固定される。カムシャフト242は、一対のメインブラケット244の各々に両端部の各々がベアリングを介して回転可能に取り付けられる。このとき、複数のカム240の各々は、押圧ユニット202が配置される間隔と同じ間隔で押圧ユニット202のベアリング230に当接するよう配置される。カムシャフト242は伝達機構を介してカム駆動モータ246に接続されており、カム駆動モータ246が作動することによりカムシャフト242が回転する。
カム240の各々は、カムシャフト242が回転することにより押圧ユニット202を冊子2の背2aに向けて押し出す。こうして冊子成形装置24は、押圧部材222の各々を冊子2の背2aに向けて押圧位置まで進出させ、押圧部材222に背2aを押圧させて平坦化させる。このとき、滑り止め部材130a、132aと冊子2との摩擦により、冊子2が押圧部材222に押されて動いてしまうのを防ぐ。
ここで、カム240の各々が異なるタイミングで押圧部材222を冊子2の背2aに向けて進出させるよう、複数のカム240は互いに位相差を持ってカムシャフト242に固定される。このようにカム240に互いに位相差を持たせることで、押圧部材222の各々が背2aを押圧するタイミングをずらすことができる。したがって背2aを押圧する力を抑制することができ、押圧機構118の剛性を高めることによるコスト増加を回避することができる。このようにカム240に位相差を持たせ、カムシャフト242を一回転させて、すべての押圧部材222を進出させて背2aの押圧を完了させる。
図7(a)〜図7(f)は、それぞれ第1の実施形態に係る押圧機構118における図6のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図、E−E断面図、およびF−F面図である。
図7(a)に示すのは、冊子の搬入方向から見て最も右(以下、カムユニット204の中でのカム240の位置を示す場合の「右」「左」とは、冊子の搬入方向から見た方向を示す)のカム240の角度を示す図である。図7(b)〜図7(f)は、最も右のカム240から5番目、9番目、10番目、14番目および18番目のそれぞれの角度を示す。したがって図7(a)、図7(b)、図7(c)は、それぞれ配列順序が4つ異なるカム240の角度を示している。また、図7(d)、図7(e)、図7(f)もまた、それぞれ配列順序が4つ異なるカム240の角度を示している。図7(c)が示すカム240は、右半分に配置されたカム240のうち最も左に位置するカム240であり、図7(d)が示すカム240は、左半分に配置されたカム240のうち最も右に位置するカム240となる。図7(f)が示すカム240は、全てのカム240のうち最も左のカム240となる。
カムユニット204では、図7(a)に示すカム240(最も右のカム240)から図7(c)に示すカム240(右から9番目のカム240)にかけては、互いに隣り合うカム240のうち左のカム240が右のカム240よりも、押圧機構118を左から見て15°左回り(以下、単に「左回り」「右回り」とは、押圧機構118を左から見たときの方向とする)方向に位置するように位相差が設けられている。したがって、例えば図7(b)に示すカム240は、図7(a)に示すカムユニット204よりも15°×4=60°左回り方向に位置するよう位相差が設けられており、さらに図7(c)に示すカム240は、図7(b)に示すカムユニット204よりも60°左回り方向に位置するよう位相差が設けられている。
そして、図7(d)に示すカム240(左から9番目のカム240)から図7(f)に示すカム240(最も左のカム240)にかけては、互いに隣り合うカム240のうち右のカム240が左のカム240よりも、15°左回り方向に位置するように位相差が設けられている。したがって、例えば図7(e)に示すカム240は、図7(f)に示すカム240よりも15°×4=60°左回り方向に位置するよう位相差が設けられており、さらに図7(d)に示すカム240は、図7(e)に示すカム240よりも60°左回り方向に位置するよう位相差が設けられている。
さらに、図7(f)に示すカム240は、図7(c)に示すカム240より、15°左周り方向に位置するような位相差が設けられている。したがって、最も右のカム240から順に右から2,3,4,5,6,7,8,9,18,17,16,15,14,13,12,11,10番目の順に、15°ずつ左回り方向にずれるように、位相差が設けられている。
図8は、第1の実施形態に係る成形機構93による成形処理の手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、ユーザによってスタートボタンが押されて製本処理が開始されることによって、冊子成形装置24に冊子が送り込まれる度に開始する。
冊子成形装置24には、冊子の搬入を検知する光センサが設けられている。電子制御部100は、冊子成形装置24への冊子の搬入が検知されると、ソレノイドをオンにしてストッパ164を上昇させ、係止部164aに冊子の背を当接させてストッパ164で冊子を位置決めする(S10)。電子制御部100は、ストッパ164に冊子の背が当接するタイミングで上方グリッパ130を下降させ、背周辺の表裏において冊子を把持させる(S12)。把持機構112による冊子の把持を完了すると、電子制御部100は、ソレノイドをオフにしてストッパ164を下方に退避させる(S14)。
次に電子制御部100は、カムシャフト242を360°回転させるように、カム駆動モータ246に駆動信号を送る。これを受けてカム駆動モータ246が回転することにより、カムシャフト242は右回りに360°回転する。
図9は冊子2の背2aの平坦化の工程を示す図であって、図9(a)、図9(b)、図9(c)、図9(d)の順に成形が進行する。カムシャフト242が360°回転すると、まず最初に図7(a)に示すカム242の大径部がベアリング230を押して図7における右側へ動かす。すると図9(a)に示すように、最も右側の押圧部材222が冊子2の背2aの方向に進出し、背2aの当接部分を平坦化する。
続いて、最も右のカム240に対し、左回り方向に15°ずれた位置に大径部がある右から2番目のカム240によって押されて、右から2番目の押圧部材222が進出する。以後、図7(c)に示す右から9番目の押圧部材222にいたるまで、この動作を繰り返す。すなわち、最も右の押圧箇所から、冊子の背を搬送方向と直交する方向のセンターラインCLに対して右側の部分(以下「右側部分」という)における左端の押圧箇所まで、押圧部材222によって押圧する個所を左隣の押圧個所に順次切り替えて背2aを平坦化させる。図9(b)はこの右側部分における最も左端(右から9番目)の押圧部材222が進出している段階である。図9(a)の状態から図9(b)の状態に至るまで、押圧箇所の切り替えが、矢印X方向に進行する。
右側部分の平坦化が終了した後は、さらに続いて図7(f)に示すカム242の大径部がベアリング230を押して図7における右側へ動かす。すると図9(c)に示すように、最も左側の押圧部材222が冊子2の背2aの方向に進出し背2aの、当接部分を平坦化する。
続いて、最も左のカム240に対し、右回り方向に15°ずれた位置に大径部がある左から2番目のカム240によって押されて、左から2番目の押圧部材222が進出する。以後、図7(d)に示す左から9番目の押圧部材222にいたるまで、この動作を繰り返す。すなわち、最も左の押圧箇所から、冊子の背を搬送方向と直交する方向のセンターラインCLに対して左側の部分(以下「左側部分」という)における右端の押圧箇所まで、押圧部材222によって押圧する個所を右隣の押圧個所に順次切り替えて背2aを平坦化させる。図9(d)はこの左側部分における最も右端(左から9番目)の押圧部材222が進出している段階である。図9(c)の状態から図9(d)の状態に至るまで、押圧箇所の切り替えが、矢印Y方向に進行する。
すなわちカムシャフト242が360°回転する間に、冊子2の背2aを長さ方向に2分した右側部分において、まず右側から左側に向かって順次押圧箇所を切替えて平坦化し、その後左側部分において、右側部分とは逆順、すなわち左側から右側に向かって順次押圧箇所を切替えて平坦化する。したがって、背2aの端から端まで一方向に順次押圧箇所を切り替える場合に比べて、一方向に平坦化が進行する範囲を小さく抑えるので、冊子内への歪みの蓄積を抑制することができるとともに、その後、平坦化の進行方向を逆転させるので、歪みによって生じる内部応力の幅方向の偏りを抑制することができる。したがって、押圧中に冊子が押し戻されたり、傾いてしまうなどの不具合を防ぐことができる。さらに、滑り止め部材130a、132aと冊子2との摩擦により、冊子2の押し戻しや傾きを防ぐ効果が高められている。
また、左側部分と右側部分の押圧順序はそれぞれ、左端及び右端から内側へ向かう方向である。平坦化の際の冊子の「逃げ」は、押圧が内側から端部に向かった際に、その端部付近で発生することが、発明者の鋭意なる研究開発の結果明らかになった。したがってこの第1の実施形態においては、左右端から内側に向かう方向に平坦化が進行するので、冊子の「逃げ」をより効果的に防ぐことができる。
図8に戻る。背の押圧処理を完了すると、電子制御部100は、可動ユニット114を下降させ(S18)、把持機構112のモータを作動させて上方グリッパ130を上方に移動させ、冊子の把持を解除させる(S20)。冊子の把持が解除されると、電子制御部100は、成形処理が施されて背が平坦化された冊子をベルト搬送機構120で綴じ折りスタッカ26に排出する(S22)。
なお、本実施形態では、右側部分を先に、左側部分を後に平坦化しているが、逆でもよいことは勿論である。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る冊子成形装置は、第1の実施形態の押圧機構118に代えて、押圧機構1118を有する。その他の構成は第1の実施形態と同様である。図10は、第2の実施形態に係る押圧機構1118の上面図である。第2の実施形態の押圧機構1118は、第1の実施形態のカムユニット204に代えて、カムユニット1204を有する。その他の構成は第1の実施形態の押圧機構118と同じである。第2の実施形態に係るカムユニット1204は、複数のカム204が互いに位相をずらして配置されている点は第1の実施形態と同様であるが、その位相のずらし方に相違がある。
図11(a)〜図11(f)は、それぞれ第2の実施形態に係る押圧機構1118における図10のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図、E−E断面図、およびF−F面図である。以下、図10および図11の双方に関連して押圧機構1118の構成について説明する。
図11(a)に示すのは、冊子2から見て最も右のカム240の角度を示す図である。図11(b)〜図11(f)は、最も右のカム240から6番目、7番目、12番目、13番目および18番目のそれぞれの角度を示す。したがって図11(a)と図11(b)、図11(c)と図11(d)、図11(e)と図11(f)は、それぞれ配列順序が5つ異なるカム240の角度を示している。
この18個のカムを境界線L1,L2を境に、右側部分、中央部分、左側部分の3つに分けると、図11(a)と図11(b)に示すカム240は、右側部分に配置されたカム240のうち、それぞれ最も右、最も左に位置するカム240である。図11(c)と図11(d)に示すカム240は中央部分に配置されたカム240のうち、それぞれ最も右、最も左に位置するカム240である。図11(e)と図11(f)に示すカム240は左側部分に配置されたカム240のうち、それぞれ最も右、最も左に位置するカム240である。
カムユニット1204では、図11(a)に示すカム240(最も右のカム240)から図11(b)に示すカム240(右から6番目のカム240)にかけては、互いに隣り合うカム240のうち左のカム240が右のカム240よりも、15°左回り方向に位置するように位相差が設けられている。したがって、例えば図11(b)に示すカム240は、図11(a)に示すカム240よりも15°×5=75°左回り方向に位置するよう位相差が設けられている。
そして、図11(c)に示すカム240(右から7番目のカム240)から図11(d)に示すカム240(左から7番目のカム240)にかけては、互いに隣り合うカム240のうち左のカム240が右のカム240よりも、15°左回り方向に位置するように位相差が設けられている。したがって、図7(d)に示すカム240は、図7(c)に示すカム240よりも15°×5=75°左回り方向に位置するよう位相差が設けられている。
図11(e)に示すカム240(左から6番目のカム240)から図11(f)に示すカム240(最も左のカム240)にかけては、互いに隣り合うカム240のうち右のカム240が左のカム240よりも、15°左回り方向に位置するように位相差が設けられている。したがって、図11(e)に示すカム240は、図11(f)に示すカム240よりも15°×5=75°左回り方向に位置するよう位相差が設けられている。
さらに、図11(f)に示すカム240は、図11(b)に示すカム240より、15°左回り方向に位置するような位相差が設けられ、図11(c)に示すカム240は、図11(e)に示すカム240より15°左回り方向に位置するような位相差が設けられている。したがって、最も右のカム240から順に右から2,3,4,5,6,18,17,16,15,14,13,7,8,9,10,11,12番目の順に、15°ずつ左回り方向にずれるように、位相差が設けられている。
この第2の実施形態の成形処理の手順も、第1の実施形態と同様に、冊子が送り込まれるたびに、冊子の背を係止部164aに当接させて把持機構で把持し、カムシャフト242を右回りに360°回転させて平坦化を行う。第2の実施形態における冊子2の背2aの平坦化の工程を示したのが図12で、図12(a)、図12(b)、図12(c)、図12(d)、図12(e)、図12(f)の順に成形が進行する。カムシャフト242が360°回転すると、まず最初に図11(a)に示すカム242の大径部がベアリング230を押して図11における右側へ動かす。すると図12(a)に示すように、最も右側の押圧部材222が冊子2の背2aの方向に進出し、背2aの当接部分を平坦化する。
続いて、最も右のカム240に対し、左回り方向に15°ずれた位置に大径部がある右から2番目のカム240に押されて、右から2番目の押圧部材222が進出する。以後、図11(b)に示す右から6番目の押圧部材222にいたるまで、この動作を繰り返す。すなわち、最も右の押圧箇所から、境界線L1に対して右側の部分(以下「右側部分」という)における左端の押圧箇所まで、押圧部材222によって押圧する個所を左隣の押圧個所に順次切り替えて背2aを平坦化させる。図12(b)はこの右側部分における最も左端(右から6番目)の押圧部材222が進出している段階である。図12(a)の状態から図12(b)の状態に至るまで、押圧箇所の切り替えが、矢印X方向に進行する。
右側部分の平坦化が終了した後は、さらに続いて図11(f)に示すカム242の大径部がベアリング230を押して図11における右側へ動かす。すると図12(c)に示すように、最も左側の押圧部材222が冊子2の背2aの方向に進出し背2aの、当接部分を平坦化する。
続いて、最も左のカム240に対し、右回り方向に15°ずれた位置に大径部がある左から2番目のカム240に押されて、押圧部材222が進出する。以後、図11(e)に示す左から6番目の押圧部材222にいたるまで、この動作を繰り返す。すなわち、最も左の押圧箇所から、境界線L2に対して左側の部分(以下「左側部分」という)における右端の押圧箇所まで、押圧部材222によって押圧する個所を右隣の押圧個所に順次切り替えて背2aを平坦化させる。図12(d)はこの左側部分における最も右端(左から6番目)の押圧部材222が進出している段階である。図12(c)の状態から図12(d)の状態に至るまで、押圧箇所の切り替えが、矢印Y方向に進行する。
左側部分の平坦化が終了した後は、さらに続いて図11(c)に示すカム242の大径部がベアリング230を押して図11における右側へ動かす。すると図12(e)に示すように、右から7番目の押圧部材222が冊子2の背2aの方向に進出し背2aの、当接部分を平坦化する。
続いて、右から7番目のカム240に対し、右回り方向に15°ずれた位置に大径部がある右から8番目のカム240に押されて、押圧部材222が進出する。以後、図11(d)に示す右から12番目(左から7番目)の押圧部材222にいたるまで、この動作を繰り返す。すなわち、境界線L1とL2に挟まれた部分(以下「中央部分」という)における右端の押圧箇所から左端の押圧箇所まで、押圧部材222によって押圧する個所を左隣の押圧個所に順次切り替えて背2aを平坦化させる。図12(f)はこの中央部分における最も左端(右から12番目)の押圧部材222が進出している段階である。図12(e)の状態から図12(f)の状態に至るまで、押圧箇所の切り替えが、矢印X方向に進行する。
すなわちカムシャフト242が360°回転する間に、冊子2の背2aを長さ方向に3分割した右側部分において、まず右側から左側に向かって順次押圧箇所を切替えて平坦化し、その後左側部分において、右側部分とは逆順、すなわち左側から右側に向かって順次押圧箇所を切替えて平坦化し、さらに中央部分において、左側部分とは逆順、すなわち右側から左側に向かって順次押圧箇所を切替えて平坦化する。したがって、第1の実施形態と同様に一方向に平坦化が進行する範囲を小さく抑えるので、冊子内への歪みの蓄積を抑制することができる。また、右側部分では右から左、左側部分では左から右、中央部分では右から左と、左側、中央部分ではそれぞれ、その直前に平坦化が開始された右側、左側部分における順序とは逆順になっているので、歪みによって生じる内部応力の幅方向の偏りを抑制することができる。したがって、押圧中に冊子が押し戻されたり、傾いてしまうなどの不具合を防ぐことができる。さらに、滑り止め部材130a、132aと冊子2との摩擦により、冊子2の押し戻しや傾きを防ぐ効果が高められている。
また、左側部分と右側部分の押圧順序はそれぞれ、左端及び右端から内側へ向かう方向であるので、第1の実施形態と同様に、冊子の「逃げ」をより効果的に防ぐことができる。さらにこの第2の実施形態では、最初に右側部分、次に左側部分が平坦化される。したがって最初に平坦化される部分と、その次に平坦化される部分は、冊子の背の左端と右端を含む部分である。端部を含む部分を後回しにして平坦化すると、その後回しにした端部において冊子の「逃げ」が発生しやすいことが発明者の鋭意なる研究開発の結果明らかになった。したがってこの第2の実施形態においてはまず、左右端を含む部分から平坦化を開始するので、冊子の「逃げ」をより効果的に防ぐことができる。
なお本実施形態においては、右側部分から平坦化を開始して、次に左側部分を平坦化しているが、左側部分を先に平坦化して、次に右側部分を平坦化してもよいことは勿論である。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る冊子成形装置は、第1の実施形態の押圧機構118に代えて、押圧機構2118を有する。その他の構成は第1の実施形態と同様である。図13は、第3の実施形態に係る押圧機構2118の上面図である。第3の実施形態の押圧機構2118は、第1の実施形態のカムユニット204に代えて、カムユニット2204を有する。その他の構成は第1の実施形態の押圧機構118と同じである。第3の実施形態に係るカムユニット2204は、複数のカム204が互いに位相をずらして配置されている点は第1の実施形態と同様であるが、その位相のずらし方に相違がある。
図14(a)〜図14(f)は、それぞれ第3の実施形態に係る押圧機構2118における図13のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図、D−D断面図、E−E断面図、およびF−F面図である。以下、図13および図14の双方に関連して押圧機構2118の構成について説明する。
図14(a)に示すのは、冊子2から見て最も右のカム240の角度を示す図である。図14(b)〜図14(f)は、最も右のカム240から5番目、9番目、10番目、14番目および18番目のそれぞれの角度を示す。したがって図14(a)、図14(b)、図14(c)は、それぞれ配列順序が4つ異なるカム240の角度を示している。また及び図14(d)、図14(e)、図14(f)もまた、それぞれ配列順序が4つ異なるカム240の角度を示している。図14(c)が示すカム240は、右半分に配置されたカム240のうち冊子2から見て最も左に位置するカム240であり、図7(d)が示すカム240は、左半分に配置されたカム240のうち冊子2から見て最も右に位置するカム240となる。図7(f)が示すカム240は、最も左のカム240となる。
カムユニット2204では、第1の実施形態に係るカムユニット104と同様に、図14(a)に示すカム240(最も右のカム240)から図14(c)に示すカム240(右から9番目のカム240)にかけては、互いに隣り合うカム240のうち左のカム240が右のカム240よりも、15°左回り方向に位置するように位相差が設けられ、図14(d)に示すカム240(左から9番目のカム240)から図14(f)に示すカム240(最も左のカム240)にかけては、互いに隣り合うカム240のうち右のカム240が左のカム240よりも、15°左回り方向に位置するように位相差が設けられている。
しかし、第3の実施形態に係るカムユニット2204は、図14(f)に示すカム240は、図14(c)に示すカム240より、15°右回り方向に位置するような位相差が設けられている点が、第1の実施形態と異なる点である。したがって、最も右のカムから順に、2,3,4,5,6,7,8,9番目の順、及び18,17,16,15,14,13,12,11,10番目の順に、15°ずつ左回り方向にずれるように位相差が設けられているとともに、右から8番目と18番目のカムのが同位相であり、右から9番目と17番目のカムが同位相である。
この第3の実施形態の成形処理の手順も、第1の実施形態と同様に、冊子が送り込まれるたびに、冊子の背を係止部161aに当接させて把持機構で把持し、カムシャフト242を右回りに360°回転させて平坦化を行う。第3の実施形態における冊子2の背2aの平坦化の工程を示したのが図15で、図15(a)、図15(b)、図15(c)の順に成形が進行する。カムシャフト242が360°回転すると、まず最初に図15(a)に示すカム242の大径部がベアリング230を押して図14における右側へ動かす。すると図15(a)に示すように、最も右側の押圧部材222が冊子2の背2aの方向に進出し、背2aの当接部分を平坦化する。
続いて、最も右のカム240に対し、左回り方向に15°ずれた位置に大径部がある右から2番目のカム240に押されて、右から2番目の押圧部材222が進出する。以後、図15(c)に示す右から9番目の押圧部材222にいたるまで、この動作を繰り返す。すなわち、最も右の押圧箇所から、冊子の背を搬送方向と直交する方向のセンターラインCLに対して右側の部分(以下「右側部分」という)における左端の押圧箇所まで、押圧部材222によって押圧する個所を左隣の押圧個所に順次切り替えて背2aを平坦化させる。図15(b)はこの右側部分における最も左端(右から9番目)の押圧部材222が進出している段階である。図15(a)の状態から図15(b)の状態に至るまで、押圧箇所の切り替えが、矢印X方向に進行する。
左側部分の平坦化は、右側部分の平坦化が終了しないうちに開始される。具体的には、右から7番目の押圧部材222が進出する段階で、右から8番目のカム240と同位相にある最も左のカム240によって、最も左の押圧部材222が進出し、背2aの当接部分を平坦化する。続いて、右から9番目の押圧部材222の進出と同時に、最も左のカム242に対し左回り方向に15°ずれた位置に大径部がある左から2番目の押圧部材222が進出する。この状態が図15(b)である。ここで右側部分の押圧平坦化が完了し、以後は、図14(d)に示す左から9番目の押圧部材222にいたるまで、左側部分の押圧部材222が、それぞれタイミングをずらして順次進出し、その押圧箇所の切り替えは矢印Y方向に進行する。
すなわちカムシャフト242が360°回転する間に、冊子2の背2aを長さ方向に2分した右側部分において、まず右側から左側に向かって順次押圧箇所を切替えて平坦化する。そしてこの右側部分の平坦化の開始に対し、押圧部材222が7個が順次進出する分だけタイミングを遅らせて、左側部分の平坦化が開始される。左側部分の平坦化は右側部分の平坦化が終わらないうちに開始される。
したがって第3の実施形態では、左側部分と右側部分とで平坦化が逆順に行われるので歪みの蓄積を抑制し、押圧中の冊子の押し戻しや傾きを防ぐことができるほか、左側部分と右側部分の平坦化の一部を同時進行させるので、完全に左右同時進行する場合よりも装置の負荷が軽減できるとともに、第1の実施形態よりも処理が早くなるというメリットを有している。
背の押圧処理完了後の動作は第1及び第2の実施形態と同じである。なお、本実施形態においても、左側部分の平坦化が先でもよい。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、第1の実施形態の押圧機構118に代えて押圧機構3118を有する。図16は、第4の実施形態に係る押圧機構3118の構成を示す上面図である。上述の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
第4の実施形態に係る押圧機構3118は、押圧部材222に代えて加圧部材3222と、押圧部材501を有し、それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。押圧部材501は、薄い板金をコ字状に折り曲げて形成される。これにより、押圧部材501には、互いに対向する2つの支持部501bと、この2つの支持部501bの間の押圧部501aとが設けられる。第5の実施形態では、押圧部材501は、板厚0.4mmの析出硬化系ステンレスバネ材(SUS631−CSP0)によって形成されている。なお、押圧部材501を形成する材料や板厚がこれに限定されないことは勿論であり、他のステンレス材料、他の金属材料、またはウレタンゴムなどのゴム材料など、弾性を有する他の材料によって形成されていてもよいし、異なる材料の板材を貼り合わせて形成してもよい。
加圧部材3222は、第1ないし第3の実施形態の押圧部材222と同様に、冊子2の背2aと平行に等間隔に複数並んだ本体ブラケット220の、冊子2に向く側の面に固定されている。これにより、複数の加圧部材3222の各々が、押圧部材501を加圧するようになっている。
押圧部材501は、コ字の開口内に全ての加圧部材3222が収容されるよう配置される。これにより、押圧部501aが冊子2の背2aに対向するよう配置される。支持部501bの各々は、支持ブラケット210の側部210bの内側に接するよう配置される。側部210bの内面には、水平方向に並設され各々が支持ブラケット210内部に向けて延在するピン502およびピン503が設けられている。一方、支持部501bには水平方向に伸びる長孔501dが設けられている。ピン502およびピン503の外面の最大距離よりも長孔501dが長く形成されている。このため、長孔501dにピン502およびピン503が挿通されることにより、押圧部材501は、水平方向にスライド移動可能に支持ブラケット210に支持される。
支持部501bの端部には、さらに内側に折り返された折り返し部501cが設けられている。この折り返し部501cと支持ブラケット210の折り返し部210aとの間にコイルスプリング504が配置される。コイルスプリング504は、押圧部501aを冊子2の背2aから離間させる方向に加圧部材501に付勢力を与える。
成形処理の手順は、第1の実施形態と同様に、冊子が送り込まれるたびに、冊子の背を係止部161aに当接させて把持機構で把持し、カムシャフト242を右回りに360°回転させて平坦化を行う。第4の実施形態における冊子2の背2aの平坦化の工程を示したのが図17で、図17(a)、図17(b)、図17(c)、図17(d)の順に成形が進行する。第4の実施形態のカムユニット204も、隣り合うカム240が、第1実施形態と同じように位相をずらして配置されている。したがって、加圧部材3222が第1の実施形態の押圧部材222と同じタイミングで進出する。すなわちセンターラインCLに対して右側部分において、右側から左側に向かって(矢印X方向)加圧部材3222が進出する個所を順次切り替え、センターラインCLに対して左側部分において、左側から右側に向かって(矢印Y方向)加圧部材3222が進出する個所を順次切り替える。進出した加圧部材3222は押圧部材501を加圧し、加圧された押圧部材501はその部分で冊子2の背2aを押圧して平坦化する。
成形信号を受けてカム駆動モ−タ246が作動すると、複数の加圧部材3222の各々を順次冊子の背に向けて進出させる。押圧部材501は冊子の背に当接して加圧部材3222で順次加圧される。したがって、押圧部材501によって冊子を押圧する各々の箇所が、それぞれ異なるタイミングで押圧されるように冊子の背に沿って順次移動し、最終的に冊子の全幅にわたって背が平坦化される。本実施形態によれば、押圧部材501は背2aに沿って長く形成されているので、平坦化された背2aに押圧部材の外形による跡が残るのを防ぐことができる。
背の押圧処理完了後の動作は第1ないし第3の実施形態と同じである。なお、本実施形態においても、左側部分の平坦化が先でもよい。また、加圧部材3222の進出タイミングは、第2、第3の実施形態における押圧部材222の進出タイミングと同じであっても良い。