以下に、本発明にかかるエアバッグモジュールを備えたステアリングホイール構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1から図3に示すように、ステアリングホイール1は、外形輪郭が例えば円環状に形成され、これに設けられたボス部2がステアリングシャフト(図示せず)に連結されて、操舵のために回動操作される。ステアリングホイール1には、エンジン振動や路面からの振動がステアリングシャフトを介して伝達される。
ステアリングホイール1には、ボス部2よりも運転席シート(図示せず)側に位置させて、金属製プレートから成形したホーンブラケット3がボルト締結4して固定される。ホーンブラケット3には、後述するインフレータ5の設置スペースやハーネスの配線を確保するために、開口部6が形成される(図7参照)。
ステアリングホイール1には、ボス部2やホーンブラケット3を覆って、ホーンカバー7がスライド自在に設けられる。ホーンカバー7は、ホーン操作で運転席シート側からホーンブラケット3へ向かって押圧されて、ステアリングホイール1に対しスライド移動される。ホーンカバー7には、当該ホーンカバー7で覆って、エアバッグモジュール8が取り付けられる。エアバッグモジュール8は、ホーンカバー7とホーンブラケット3との間に配置される。エアバッグモジュール8は、ステアリングホイール1に対し、ホーンカバー7と一体的にスライド移動される。
エアバッグモジュール8は主に、畳み込んだ状態のエアバッグ9と、インフレータガスを噴出してエアバッグ9を展開膨張させるインフレータ5と、エアバッグ9を内部に収納すると共にインフレータ5が取付固定されるエアバッグハウジング10とから構成される。
インフレータ5は金属製の重量物であり、これをエアバッグモジュール8に組み込むことで、当該エアバッグモジュール8は全体として、ダイナミックダンパのウエイト(マス)となる。エアバッグモジュール8は、エアバッグハウジング10をリベット11などでホーンカバー7に接合することで取り付けられる。
エアバッグモジュール8とホーンブラケット3との間には、一体化した部品として、バネユニット12が設けられる。バネユニット12は、ステアリングホイール1に固定したホーンブラケット3と、ステアリングホイール1に対してスライド自在なホーンカバー7が取り付けられたエアバッグモジュール8との間に介在し、ステアリングホイール1の振動をエアバッグモジュール8に伝達しつつ、その弾性作用、そしてまた減衰効果をもってエアバッグモジュール8と共に、ステアリングホイール1の振動を減衰するダイナミックダンパを構成する。
本実施形態にあっては、バネユニット12は、ホーンブラケット3に装着され、後述するホーンスプリング13を介して、エアバッグモジュール8のエアバッグハウジング10に連結され、これによりエアバッグモジュール8とホーンブラケット3との間に設けられる。バネユニット12を、エアバッグハウジング10に装着し、ホーンスプリング13を介して、ホーンブラケット3に連結するようにしても良い。
バネユニット12は図7に示すように、円環状のステアリングホイール1内方に固定されるホーンブラケット3に形成した複数の装着穴14それぞれに装着され、ステアリングホイール1の周方向に間隔を隔てて複数配設される。
エアバッグハウジング10とホーンブラケット3との間には、それぞれに設けた接点15同士がホーンスプリング13の弾性変形を伴って接触もしくは離隔し、離隔状態で導通が遮断され、接触状態で導通されてホーン音を生成するホーン接点機構16が設けられる。
複数配設される各バネユニット12について、図4から図6を参照して説明する。バネユニット12は主に、ステアリングホイール1とエアバッグモジュール8の間で振動を伝達するゴム製や合成樹脂製の弾性体17と、弾性体17を覆って損傷から保護する合成樹脂製のプロテクタ18とから構成される。バネユニット12は、プロテクタ18がホーンブラケット3に装着されることで、当該プロテクタ18を介してホーンブラケット3に取り付けられる。弾性体17は後述するように、プロテクタ18内部に弾性変形可能に収容される。
弾性体17は、外形輪郭が円形状や多角形状などの中空円筒体状もしくはリング状に形成され、内部を貫通する貫通穴17aがホーンブラケット3側からエアバッグハウジング10側に向くように設置される。本実施形態では、弾性体17は周方向に均一厚さの中空円筒体状もしくはリング状に形成され、ステアリングホイール1の上下方向および左右方向に、均質な弾性作用、ダンパ作用を奏するように設定されている。弾性体17の軸方向両端には、径方向外方へ迫り出して、一対の係合フランジ19が形成される。係合フランジ19には、その周方向に適宜間隔を隔てて、当該係合フランジ19を切除した形態で、切り欠き部20が複数形成される。
図示例にあっては、切り欠き部20は、弾性体17の直径方向に向かい合う2箇所に形成されている。これら切り欠き部20は、プロテクタ18内部で弾性体17がその周方向に回転することを規制する回転規制機構を構成する。
プロテクタ18は主に、バネユニット12の外殻を形成する外側シェル21と、外側シェル21内部にスライド自在に設けられる内側スライダ22とから構成される。外側シェル21はさらに、シェルピース23と、ホルダピース24とから構成される。
シェルピース23は、弾性体17の周囲を取り囲み、当該弾性体17を保持する中空円筒体状もしくはリング状に形成される。シェルピース23には、その軸方向中間位置で径寸法を拡張もしくは縮小することにより段差部25が形成され、この段差部25を境として、大径部26と小径部27とが形成される。
弾性体17は、大径部26から小径部27に向かってシェルピース23内に挿入され、一方の係合フランジ19が段差部25に係合されると共に、他方の係合フランジ19が小径部27から抜け出してシェルピース23の端部に係合され、これら係合フランジ19でシェルピース23の小径部27を挟み込むことにより、当該係合フランジ19を介してシェルピース23に保持される。
シェルピース23の大径部26には、弾性体17に形成される切り欠き部20に対応させて、径方向内方へ小径部27内周位置まで迫り出す形態で、規制凸部28が形成される。図示例にあっては、2箇所の切り欠き部20に対応させて、規制凸部28は2箇所に形成されている。これら規制凸部28は、弾性体17の周方向に各切り欠き部20と係合する。これらシェルピース23の規制凸部28と弾性体17の切り欠き部20とにより、プロテクタ18と弾性体17との間に、プロテクタ18内部での弾性体17の回転を規制する回転規制機構が構成される。
シェルピース23の小径部27には、その周方向に適宜間隔でかつ大径部26に対し僅かな隙間Sを隔てて、大径部26よりも外方へ迫り出す形態で突出させて、グリップ片29が形成される。図示例にあってはグリップ片29は、その形成位置がわかりやすいように、規制凸部28位置に小径部27から突出させて形成されている。グリップ片29は後述するように、これとシェルピース23の大径部26との間の隙間Sにホーンブラケット3を挟み込んで把持するグリップ機構を構成する。
シェルピース23には、後述する位置決め機構を構成する位置決め片30が形成される。位置決め片30は、シェルピース23に可撓変形自在に形成され、先端に突起31を有する。図示例にあっては、位置決め片30は、規制凸部28の形成位置に設けられている。詳細には、シェルピース23の大径部26には、規制凸部28位置に径方向内方へ窪ませて凹所32が形成され、この凹所32内にスリット33を介して位置決め片30が形成されると共に、突起31は、ホーンブラケット3を挟み込むグリップ片29と大径部26の間の隙間Sに位置されて、シェルピース23の小径部27よりも外方へ突出させて形成される。
位置決め片30の突起31は、装着穴14の内縁に押圧されて位置決め片30の弾性変形を伴いつつ、当該内縁に沿ってスライド自在に設けられ、後述するホーンブラケット3の制止スロット34に係合されて、バネユニット12がホーンブラケット3の装着穴14内で回転するのを阻止して位置決めする位置決め機構を構成する。
ホルダピース24は、シェルピース23の大径部26内方に納まる外形輪郭を有する板状リング体で形成され、シェルピース23に保持された弾性体17に対し、大径部26側から重ね合わされて、当該弾性体17の一端を支持する第1平面部35を構成する。ホルダピース24には、係合フランジ19と同様に、シェルピース23内での回転を防止するために、規制凸部28位置にこれと係合する凹部36が形成される。第1平面部35となるホルダピース24と、弾性体17をその周囲を取り囲みつつ保持するシェルピース23とから、外側シェル21が構成される。
内側スライダ22は、外側シェル21に対し、シェルピース23の小径部27側から弾性体17内方へ挿通されて、スライド自在に設けられる。内側スライダ22は、弾性体17内方でスライド可能であって、その外面で弾性体17を、その内方から支持する。内側スライダ22には、小径部27側の端部に、第1平面部35の反対側から弾性体17に重ね合わされて、当該弾性体17の他端を支持する第2平面部37が形成される。
外側シェル21に保持された弾性体17は、第2平面部37を有する内側スライダ22が弾性体17(外側シェル21)に対してスライド自在に設けられることによって、第1平面部35および第2平面部37双方から振動を受けつつ、第1平面部35(ホルダピース24)と第2平面部37間での弾性変形が自在で、プロテクタ18内部に弾性変形可能に収容される。第2平面部37には、さらに外側シェル21外側に面して、ホーンスプリング13のスプリング受け面38が形成される。さらに、第1平面部35および第2平面部37には、弾性体17を押さえるリブ39が形成される。
内側スライダ22にはさらに、これを外側シェル21に組み付けるために、ホルダピース24に係止される係止機構が備えられる。係止機構は、内側スライダ22に、ホルダピース24側へ延出させて形成された可撓変形自在なベント部40と、ベント部40の延出端に設けられる係止フック41とから構成される。
ベント部40の弾性変形を伴って係止フック41をホルダピース24に係止することで、シェルピース23に保持した弾性体17が第1および第2平面部35,37で挟持され、この挟持作用によりホルダピース24および弾性体17を介して、内側スライダ22は外側シェル21に組み付けられる。また、ホルダピース24に係止フック41を係止する係止機構により、弾性変形しつつ振動伝達する弾性体17が第1および第2平面部35,37の間で挟圧されて、当該弾性体17に初期圧縮荷重が負荷される。
図示例にあっては、ベント部40は、ホルダピース24内方を貫通する二股状に形成され、また係止フック41は、ホルダピース24を第2平面部37側へ引き寄せる鈎状に形成されて、ホルダピース24外方へ露出されている。係止機構としては、ホルダピース24に内側スライダ22を係止するフックを設けても良く、あるいはホルダピース24および内側スライダ22双方に、両者を互いに係止する構造を設けるようにしても良い。
内側スライダ22の第2平面部37と、外側シェル21のシェルピース23との間には、弾性体17の圧縮変形量を規制するストッパ機構が設けられる。ストッパ機構は、第2平面部37に、弾性体17の係合フランジ19よりも外方に位置させて、シェルピース23に面して形成された第1ストッパ部42と、シェルピース23に、第1ストッパ部42との間に間隔(弾性体17の許容圧縮変形量)を隔てて形成された第2ストッパ部43とから構成される。
これら第1および第2ストッパ部42,43は、弾性体17の圧縮変形に伴って互いに当接されることで、弾性体17がそれ以上過剰に圧縮変形されることを防止するようになっている。図示例にあっては、第1ストッパ部42は凸部で形成されると共に、第2ストッパ部43はグリップ片29で兼用されている。第2ストッパ部43は、グリップ片29と異なる位置に、専用の部分として形成しても良い。また、第2ストッパ部43を凸部で形成し、第1ストッパ部42を第2平面部37で兼用するようにしても良い。
プロテクタ18は、これら外側シェル21(シェルピース23およびホルダピース24)と内側スライダ22とから構成され、このプロテクタ18内部に弾性体17を収容することで、図4に示すように、一体化した部品として、バネユニット12が構成される。
バネユニット12のホーンブラケット3への取付構造について、図7および図8を参照して説明する。ホーンブラケット3には、バネユニット12の取付位置に、円形状の装着穴14が形成される。装着穴14の内径寸法は、バネユニット12のシェルピース23の小径部27の外径寸法に合わせて設定される。従って、バネユニット12は、シェルピース23の大径部26がホーンブラケット3表裏面の一方にこれより突出して位置されると共に、装着穴14に挿入される小径部27を介して、装着穴14の内縁に沿って回転可能に設けられる。
装着穴14には図8(A)に示すように、バネユニット12のグリップ片29位置に対応させて、その内縁から外方へ装着穴14を拡張する形態で、グリップ片29を挿入するための挿入スロット44が形成される。図8(B)に示すように、挿入スロット44からグリップ片29を挿入し、バネユニット12を装着穴14の内縁に沿って回すことで、図8(C)に示すように、ホーンブラケット3は、グリップ片29とシェルピース23の大径部26との間の隙間Sに挟み込まれ(図6参照)、これらグリップ片29および大径部26によって把持される。これにより、バネユニット12は、エアバッグ9の展開膨張圧力に耐え得る強度でホーンブラケット3に装着される。
装着穴14にはさらに、図8(A)に示すように、挿入スロット44から周方向に間隔を隔てて、その内縁から外方へ装着穴14を拡張する形態で、バネユニット12の位置決め片30に係合して、バネユニット12をその回転を阻止して位置決めする制止スロット34が形成される。制止スロット34は、グリップ片29のホーンプレート3からの抜脱を防止するために、グリップ片29よりも小さな寸法で形成される。
本実施形態では、位置決め片30は、グリップ片29と共に、規制凸部28位置に形成されていて、グリップ片29を挿入スロット44に挿入すると、突起31を有する位置決め片30も挿入スロット44内に位置される。
突起31は、グリップ片29と大径部26との間の隙間S、すなわち当該隙間Sに把持されるホーンブラケット3端縁(装着穴14の内縁)に面していて、図8(B)に示すようにバネユニット12を装着穴14の内縁に沿って回すと、突起31は、装着穴14の内縁に押されることとなり、位置決め片30の可撓変形を伴ってシェルピース23の径方向内方へ後退されつつ、装着穴14の内縁に沿ってスライドされる。バネユニット12を装着穴14の内縁に沿って回す過程で、位置決め片30が制止スロット34位置に達すると、突起31は制止スロット34内へ前進し、これにより図8(C)に示すように、位置決め片30が制止スロット34に係合して、それ以上のバネユニット12の回転が阻止されて位置決めがなされる。
図示例にあっては、グリップ片29と位置決め片30を共に、規制凸部28位置に形成して、これらグリップ片29等を一括して同じ挿入スロット44から挿入するようにした場合を例示したが、グリップ片29と位置決め片30の位置を異ならせる場合には、位置決め片30を挿入するための追加のスロットが装着穴14に形成される。
本実施形態にかかるエアバッグモジュールを備えたステアリングホイール構造にあっては図3および図6に示すように、バネユニット12には、ホーンを操作する機構が組み込まれている。この機構は主に、上記ホーンスプリング13と、ホーンスプリング13の弾性変形を案内してエアバッグハウジング10をホーンプレート3へ向かって適切に移動させるガイドステム45とから構成される。
ホーンスプリング13は、コイルスプリングであって、プロテクタ18の第2平面部37に形成した上記スプリング受け面38と、エアバッグモジュール8のエアバッグハウジング10との間に弾性変形自在に設けられる。ホーンスプリング13は、ホーン操作で押圧されるホーンカバー7と共にホーンブラケット3へ向かって移動するエアバッグモジュール8のエアバッグハウジング10で圧縮され、ホーン操作が解除されることで、エアバッグハウジング10と共にホーンカバー7を押し戻す。ホーンスプリング13の圧縮変形でホーン接点機構16の接点15同士が接触されてホーン音が生成され、ホーンスプリング13が弾性復原することで、ホーン接点機構16の接点15同士を離隔させる。
このホーンスプリング13とバネユニット12の弾性体17とは、バネを直列に並べた直列バネ系を構成し、ホーン操作に関与するホーンスプリング13の弾性特性と、ダイナミックダンパを構成する弾性体17の弾性特性とを、個別独立に調整することができる。
ガイドステム45は、中空筒体状に形成されたステム本体46と、ステム本体46の一端にフランジ状で形成され、バネユニット12の第1平面部35に係脱自在に係止される係止部47と、ステム本体46内方に形成されたナット部48と、ステム本体46を、エアバッグモジュール8のエアバッグハウジング10に結合するためのネジ部材49とから構成される。バネユニット12の内側スライダ22には、その内方にホーンスプリング13の弾発方向に沿ってステム本体46をスライド自在に挿通するために、ガイド孔50が貫通形成される。
ガイドステム45は、ホーンブラケット13に取り付けたバネユニット12の内側スライダ22のガイド孔50に、第1平面部35側からステム本体46を挿通する一方で、バネユニット12との間にホーンスプリング13を組み付けたエアバッグハウジング10の通孔51に通したネジ部材49を、第2平面部37側からステム本体46内に挿入し、係止部47を回転してステム本体46のナット部48にネジ部材49を螺合させることで、バネユニット12に組み付けられる。
ホーンスプリング13の弾性変形に伴ってエアバッグハウジング10がホーンブラケット3に接近したり離れたりすると、ステム本体46が内側スライダ22のガイド孔50に案内されて安定的にスライド移動し、これに伴い係止部47が第1平面部35に接近したり離れたりして、ホーン操作時のホーンスプリング13の弾性変形を適切に案内し、これによりホーンの安定的な操作性が確保される。
次に、本実施形態にかかるエアバッグモジュールを備えたステアリングホイール構造の作用について説明する。ステアリングホイール1に固定したホーンブラケット3と、ウエイトとなるエアバッグモジュール8との間に設けたバネユニット12は、合成樹脂製のプロテクタ18内部に弾性変形可能に弾性体17を収容して構成されていて、この弾性体17が弾性変形しつつ、ステアリングホイール1の振動をエアバッグモジュール8へ伝達するので、これによりエアバッグモジュール8を利用したダイナミックダンパを構成することができ、ステアリングホイール1の振動を効果的に低減することができる。
また、ホーン操作については、ホーンカバー7を押圧すると、ホーンスプリング13に抗してエアバッグモジュール8がホーンブラケット3へ向かって移動し、これらホーンブラケット3およびエアバッグモジュール8のエアバッグハウジング10それぞれの接点15で構成されるホーン接点機構16が接触してホーン音を生成することができる。ホーン操作を解除することで、ホーンスプリング13がホーンブラケット3に対しエアバッグハウジング10を押し戻して、ホーン接点機構16を離隔させることができる。
本実施形態では、ダイナミックダンパを構成するゴム製や合成樹脂製の弾性体17を、プロテクタ18内部に弾性変形可能に収容し、このプロテクタ18をホーンブラケット3に装着するようにしたので、背景技術とは異なり、プロテクタ18で保護して弾性体17が周辺部位から損傷を受けることを防ぐことができる。従って、弾性体17の耐久性を向上して、バネユニット12をメンテナンスフリーとすることができる。
形態安定性の高い合成樹脂製のプロテクタ18内部に弾性体17を収容して、一体化した部品としてバネユニット12を構成したので、プロテクタ18を介してバネユニット12をホーンブラケット3に装着することができ、弾性体17を直接装着する場合に比べて取扱性に優れ、組立作業性を改善することができて、生産性を向上することができる。
プロテクタ18のシェルピース23と弾性体17との間に、プロテクタ18内部での弾性体17の回転を規制する切り欠き部20と規制凸部28からなる回転規制機構を設けたので、プロテクタ18に対する弾性体17の位置を固定して、ステアリングホイール1の振動を的確に減衰することができる。
ホーンブラケット3に、内縁に沿って回転可能にバネユニット12を装着可能な装着穴14を形成したので、バネユニット12に向きがある場合、例えばステアリングホイール1の振動減衰特性がそのステアリングホイール1の上下方向や左右方向等に対して、異なる特性を必要とする場合などに、その向きに合わせてバネユニット12をホーンブラケット3に装着することができる。
プロテクタ18のシェルピース23に、ホーンブラケット3を把持するグリップ片29と大径部26からなるグリップ機構を設けたので、装着穴14に回転自在に装着されるバネユニット12を、プロテクタ18を介してホーンブラケット3に確実に固定することができる。
プロテクタ18のシェルピース23とホーンブラケット3との間に、バネユニット12をその回転を阻止して位置決めする位置決め機構を設けたので、装着穴14に回転自在に装着されるバネユニット12の向きを、適切に位置決めすることができる。
装着穴14を介してホーンブラケット3を把持するグリップ機構を、装着穴14の内縁から外方、すなわちホーンブラケット3へ迫り出す形態で形成して、当該グリップ機構を装着穴14の内縁に沿って回転自在とする場合に、装着穴14に、その内縁から外方へ当該装着穴14を拡張して、グリップ機構を挿入するための挿入スロット44を形成するようにしたので、グリップ機構をホーンブラケット3に容易に装着することができると共に、グリップ機構で確実にホーンブラケット3を把持させることができ、バネユニット12のホーンブラケット3への装着作業性を向上することができる。
バネユニット12を装着穴14内で回転しながらグリップ機構でホーンブラケット3を把持する場合に、位置決め機構を、プロテクタ18のシェルピース23から装着穴14の内縁よりも外方へ突出する形態で形成されて、装着穴14の内縁に沿って、弾性変形しつつスライド自在な位置決め片30と、装着穴14にその内縁から外方へ当該装着穴14を拡張して形成されて、スライド自在な位置決め片30を係合して制止する制止スロット34とから構成したので、バネユニット12の回転で位置決め片30が制止スロット34に達すると、自動的に位置決め作用を得ることができ、きわめて簡単にかつ確実にバネユニット12を、その向きを定めてホーンブラケット3に装着することができる。
バネユニット12を、ステアリングホイール1の周方向に間隔を隔てて複数配設するようにしたので、例えば、ホーンブラケット3の開口部6内縁に環状のゴムリング等を取り付ける場合のように煩雑な作業を要することなく、ステアリングホイール1の全周にわたって効果的に作用するダイナミックダンパを、簡単な構成かつ容易な組立性で構成することができる。
プロテクタ18を、第1平面部35を有する外側シェル21と、第2平面部37を有して、外側シェル21に対してスライド自在な内側スライダ22を基本要素として構成したので、外側シェル21で弾性体17を保護しつつ、スライド自在な内側スライダ22で弾性体17を弾性変形可能に組み付けることができ、きわめて簡単な構造で、弾性体17の保護機能を奏するバネユニット12を構成することができる。
外側シェル21を、弾性体17を保持するシェルピース23と、第1平面部35となるホルダピース24とに分け、ホルダピース24に内側スライダ22を、ベント部40と係止フック41からなる係止機構で係止することで、弾性体17を第1および第2平面部35,37で支持するようにしたので、シェルピース23で弾性体17を予め保持した状態で、当該弾性体17を、ホルダピース24および内側スライダ22の第1および第2平面部35,37間に挟み込み、その後、係止機構でホルダピース24と内側スライダ22を係止する作業で、容易にバネユニット12を組み立てることができる。また、係止機構で第1および第2平面部35,37の間隔を設定することが可能で、係止機構の調整により、弾性体17に付与する初期圧縮荷重を適切に設定することができる。
シェルピース23を、弾性体17の周囲を取り囲む中空円筒体状に形成し、弾性体17の両端に、シェルピース23を挟み込む係合フランジ19を形成し、係合フランジ19を介して弾性体17をシェルピース23に保持させるようにしたので、弾性体17を簡単な構造で適切に、シェルピース23、ひいてはプロテクタ18に固定することができる。
弾性体17を中空円筒体状に形成し、係止機構を、内側スライダ22に形成されて、弾性体17内方を貫通して第1平面部35側へ延出されるベント部40と、ベント部40先端に形成され、ホルダピース24に係止する係止フック41とで構成したので、内側スライダ22とホルダピース23との係止機構を、弾性体17内部に納めることができ、バネユニット12をコンパクト化することができる。
ホーン操作されるホーンカバー7にエアバッグモジュール8を取り付ける構造を対象として、ホーンブラケット3に装着したバネユニット12に追加的にスプリング受け面38を形成すると共に、このスプリング受け面38とエアバッグハウジング10との間にホーンスプリング13を設けるようにしたので、ステアリングホイール1にスペース効率よく、ダイナミックダンパとホーンを操作する機構を設けることができる。
弾性体17を内蔵して一体化した部品であるバネユニット12に形成したスプリング受け面38に、ホーンスプリング13を重ねて設けるようにしたので、ホーンスプリング13と弾性体17とを直列バネ系として構成することができ、ホーン操作に関与するホーンスプリング13の弾性特性と、ダイナミックダンパを構成する弾性体17の弾性特性とを、個別独立に調整することができる。
バネユニット12の内側スライダ22を貫通させてガイド孔50を形成し、このガイド孔50を利用して、ホーンを操作する機構を構成するガイドステム45を取り付けるようにしたので、ホーンスプリング13のスプリング受け面38への取り付けも相俟って、バネユニット12にホーンを操作する機構をきわめて効率よく組み込むことができて、ステアリングホイール構造を簡単化できると共に、ステアリングホイール1の組立作業の一部を、バネユニット12に集約化して組立作業効率を向上することができる。また、ホーン操作時のホーンスプリング13の弾性変形を適切に案内できて、ホーンの安定的な操作性を確保することができる。
弾性体17の両端を支持する外側シェル21および当該外側シェル21に対してスライド自在な内側スライダ22の間に、弾性体17の圧縮変形量を規制する第1および第2ストッパ部42,43からなるストッパ機構を設けたので、弾性体17の耐久性を向上することができ、メンテナンスフリーのバネユニット12とすることができる。
バネユニット12については、弾性体17は、プロテクタ18の外側シェル21もしくはシェルピース22に接着などで一体的に接合するようにしても良い。これにより、係合フランジ19は設けなくても良い。弾性体17は、内側スライダ22に接着などで一体的に接合するようにしても良い。従ってまた、弾性体17は、内側スライダ22および外側シェル21もしくはシェルピース23に接着などで一体的に接合するようにしても良い。弾性体17をシェルピース23や内側スライダ22に一体的に接合することで、ホルダピース24を省略するようにしても良い。
図9には、バネユニット12のホーンブラケット3への取付構造の変形例が示されている。この変形例では、上記グリップ機構に代えて、バネユニット12のプロテクタ18の外側シェル21に雄ネジ52を形成すると共に、ホーンブラケット3の装着穴14をバーリング加工で立ち上げて形成して、装着穴14内に雌ネジ53を形成し、ネジ形式でバネユニット12を取り付けるようにしたものである。
図10には、バネユニット12のホーンブラケット3への位置決め構造の変形例が示されている。この変形例では、上記位置決め機構に代えて、バネユニット12のプロテクタ18に、係止孔54を有する鍔片55を形成すると共に、ホーンブラケット3に位置決め孔56を形成し、これら係止孔54および位置決め孔56にピン57を挿通して位置決めするようにしたものである。
図11〜13には、弾性体17の変形例が示されている。シェルピース23や弾性体17は、概略的に示されている。上記実施形態では、弾性体17は周方向に均一厚さの円筒体状もしくはリング状に形成され、ステアリングホイール1の上下方向および左右方向両方において、均質な弾性作用を奏するように構成されている。これに対し、これら図に示す変形例では、弾性体17は、ステアリングホイール1の上下方向と左右方向とで、異なる弾性特性に設定される。
図11〜13において、矢印Xはステアリングホイール1の上下方向であり、矢印Yはステアリングホイール1の左右方向であり、矢印Zはステアリングホイール1の前後方向である。矢印Xを左右方向とし、矢印Yを上下方向としてもよい。
図11(a)はバネユニット12の分解斜視図、図11(b)は弾性体17の平面図であって、弾性体17の外形輪郭は、矢印X方向が長径L1で、矢印Y方向が短径L2の楕円形状に形成される。シェルピース23の内周面は、弾性体17の外形輪郭に合わせて、楕円形状に形成される。他方、弾性体17の真ん中に形成される貫通穴17aは、一定半径の円形状に形成される。従って、弾性体17は、周方向に厚さが増減変化し、矢印Y方向よりも矢印X方向が大きなボリュームで形成されて、これにより、ステアリングホイール1の上下方向と左右方向とで、異なる弾性特性に設定され、異なるダンパ作用が得られるようになっている。
図12(a)はバネユニット12の分解斜視図、図12(b)は弾性体17の平面図であって、弾性体17の外形輪郭は、矢印X方向が長い寸法L1で、矢印Y方向が短い寸法L2の長方形状に形成される。シェルピース23の内周面は、弾性体17の外形輪郭に合わせて、長方形状に形成される。このような形態としても、弾性体17は、周方向に厚さが増減変化し、図11の場合と同様に、ステアリングホイール1の上下方向と左右方向とで、異なる弾性特性に設定できて、異なるダンパ作用を得ることができる。
図13(a)はバネユニット12の分解斜視図、図13(b)は弾性体17の平面図であって、弾性体17の外形輪郭は、矢印X方向が長い対角線寸法L1で、矢印Y方向が短い対角線寸法L2の菱形形状に形成される。シェルピース23の内周面は、弾性体17の外形輪郭に合わせて、菱形形状に形成される。このような形態としても、図11および図12と同様に、弾性体17を、ステアリングホイール1の上下方向と左右方向とで、異なる弾性特性に設定できて、異なるダンパ作用を得ることができるようになっている。
これら変形例のように、弾性体17を、ステアリングホイール1の上下方向と左右方向とで、異なる弾性特性に設定すれば、ステアリングホイール1の上下方向ダンピング特性および左右方向ダンピング特性を任意かつ適切に調整することができる。
この場合、位置決め片30と制止スロット34からなる位置決め機構によりホーンブラケット3に対して設定されるバネユニット12の向きを、弾性体17に設定した弾性特性の向きに合わせることにより、容易かつ的確にステアリングホイール1に対するダイナミックダンパ特性の設定や調整を行うことができる。
また、これら変形例に示した楕円形状や長方形状、菱形形状の弾性体17と、当該弾性体17を収容するシェルピース23とにより、プロテクタ18内部での弾性体17の回転を規制する回転規制機構を構成することもできる。
これらの変形例にあっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
上記実施形態にあっては、バネユニット12をホーンブラケット3に装着する場合を例示して説明したが、ホーンブラケット3に代えて、エアバッグモジュール8に装着するようにしてもよいことはもちろんである。
以上に述べたエアバッグモジュールを備えたステアリングホイール構造は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施形態例も、各種の方法で実施または遂行できる。特に、本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさおよび構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。