JP5420263B2 - 車両のシート制御装置 - Google Patents

車両のシート制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5420263B2
JP5420263B2 JP2009029280A JP2009029280A JP5420263B2 JP 5420263 B2 JP5420263 B2 JP 5420263B2 JP 2009029280 A JP2009029280 A JP 2009029280A JP 2009029280 A JP2009029280 A JP 2009029280A JP 5420263 B2 JP5420263 B2 JP 5420263B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
curve
vehicle
side support
control
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009029280A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010184561A (ja
Inventor
由行 安井
啓太 中野
千裕 新田
功一 廣田
康平 小林
孝幸 宮島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin AW Co Ltd
Advics Co Ltd
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Aisin AW Co Ltd
Advics Co Ltd
Aisin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd, Aisin AW Co Ltd, Advics Co Ltd, Aisin Corp filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2009029280A priority Critical patent/JP5420263B2/ja
Publication of JP2010184561A publication Critical patent/JP2010184561A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5420263B2 publication Critical patent/JP5420263B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Navigation (AREA)
  • Seats For Vehicles (AREA)

Description

本発明は、車両のシートに着座している乗員の左右側部を支えるシートのサポート部材のサポート量をカーブ情報に基づいて調整するサイドサポート制御を実行する車両のシート制御装置に関する。
特許文献1に記載の装置では、シートに備えられた乗員の左右側部を支えるサポート機能を面倒な操作なしで常に有効に作動させるため、車両に搭載されたナビゲーション装置に予め記憶された地図情報(カーブ情報)を利用して、以下の制御が行われる。先ず、車両がカーブに差し掛かかる前に、カーブ情報から得られるカーブの曲率半径と車速とに基づいて、運転席シートのサポート部材に必要なサポート量が算出される。車両がカーブに差し掛かったとき、サポート部材を駆動する駆動機構に対して指令がなされて、サポート部材のサポート量が上記算出された値となるようにサイドサポート制御が開始される。
また、特許文献2に記載の装置では、自車位置情報やカーブ情報に起因する誤差を補償して、サイドサポート制御を適切に実行するため、以下の制御が行われる。先ず、自車位置情報とカーブ開始点との少なくとも何れか一方についての地図データ上の誤差に基づいて、カーブ開始地点から自車側の地点が制御開始点として設定される。この制御開始点に関連付けされている第1目標作動量が導出される。加速度センサ、或いは舵角センサからの信号に基づいて演算される横加速度から第2目標作動量が導出される。導出された目標作動量のうちで大きい方が最終目標作動量として設定され、この最終目標作動量に基づいてサイドサポート制御が実行される。
即ち、カーブ情報と自車位置情報、及び車両の旋回状態量(例えば、横加速度)に基づいてサポート部材のサポート量の大きさが決定され、カーブ情報と自車位置情報とに基づいてサイドサポート制御の開始タイミングが決定される。更には、開始タイミングは、カーブ開始地点から自車側に設定される。即ち、サイドサポート制御は、車両がカーブに進入する前に開始される。
特開2003−002094号公報 特開2008−137551号公報
ところで、ナビゲーション装置に予め記憶されたカーブ情報は、地図データベースに基づく。この地図データベースが作成された後に道路が新たに改修された場合(特に、カーブから直線路へ改修された場合)等において、実際にはカーブが存在していないにもかかわらず、ナビゲーション装置から得られるカーブ情報ではカーブが存在すると認識され得る。この場合、上記文献に記載の装置では、実際にはカーブが存在していないにもかかわらずサイドサポート制御が不必要に開始される事態が発生し得る。換言すれば、信頼性の低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始され得る。シートのサポート部材は乗員に直接触れるため、サポート部材の作動量が僅かであっても乗員はその作動を感じ得る。
本発明の目的は、ナビゲーション装置に予め記憶された地図データベース(カーブ情報)を利用してサイドサポート制御を行うシート制御装置において、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることを抑制できるものを提供することにある。
本発明による車両のシート制御装置は、車両の前方にある(1つの)カーブの情報(Rc,Pc)を取得するカーブ情報取得手段と、前記カーブ情報(Rc,Pc)に基づいて車両のシート(SHT)に着座している乗員の左右側部を支える前記シート(SHT)に備えられたサポート部材(BZ1,BZ2)のサポート量(Spt,Spa)を調整するサイドサポート制御を実行するサイドサポート制御手段と、を備える。前記車両の位置(Pvh)を取得する車両位置取得手段、前記車両の速度(Vx)を取得する車速取得手段等が備えられていてもよい。
ここにおいて、前記サポート部材の構成として、例えば、シート(乗員)に対する直線運動によりサポート部材の位置が調整される構成、シート(乗員)に対する回転運動によりサポート部材の位置(姿勢)が調整される構成、サポート部材の内部に形成された膨張・収縮可能なチャンバ内の流体の量の調整によりサポート部材の体積が調整される構成が挙げられる。
サポート部材の位置(姿勢)が調整される場合、サポート量は、サポート部材の基準位置(基準姿勢)からの移動距離(回転角度)である。サポート部材内のチャンバ内の流体の量(サポート部材の体積)が調整される場合、サポート量は、チャンバ内の流体の量の基準量からの変化量(サポート部材の体積の基準体積からの変化量)である。前記基準位置(基準姿勢)、基準量(基準体積)等(以下、「基準状態」とも総称する)は、シートに着座する乗員により調整可能でもよいし、調整不能でもよい。
前記カーブ情報取得手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置に予め記憶された地図データベースに基づいて前記カーブ情報を取得する。前記カーブ情報取得手段は、前記車両の前方にある1つのカーブ内におけるカーブ位置(Pc)に対する前記カーブの曲率半径(Rc)の特性(連続的な変化特性、Rch)を取得するように構成されてもよい。
本発明によるシート制御装置の特徴は、前記車両の実際の旋回状態を表す実旋回状態量(Jra,Jrb)を取得する実旋回状態量取得手段を備え、前記サイドサポート制御手段は、前記実旋回状態量(Jra,Jrb)に基づいて前記サポート量(Spt,Spa)を調整するように構成されたことにある。
実旋回状態量を利用して、カーブ情報(具体的には、地図データベース)の信頼性が評価され得る。具体的には、実旋回状態量(例えば、実ヨーレイト等)が大きければ(所定値以上であれば)、車両がカーブ内を実際に走行している可能性が高く、従って、カーブ情報の信頼性が高いと考えることができる。一方、実旋回状態量(例えば、実ヨーレイト等)が小さければ(所定値未満であれば)、車両がカーブ内を実際に走行している可能性が低く、従って、カーブ情報の信頼性が低いと考えることができる。換言すれば、実旋回状態量に基づいて、車両がカーブ内を実際に走行しているか否かが判定され得る。或いは、実旋回状態量に基づいて、カーブ情報の信頼性が判定され得る。
上記構成は係る知見に基づく。これによれば、実旋回状態量に基づいてサイドサポート制御の実行の是非、開始タイミング等が調整され得る。従って、車両がカーブ内に確実に進入してからサイドサポート制御が開始され得る。即ち、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることが抑制され得る。例えば、カーブの改修(特に、カーブから直線路への改修)等に起因して、取得されたカーブ情報(カーブ形状)と実際の道路の形状とが異なる場合等において、サイドサポート制御が開始されることが抑制され得る。
上記本発明によるシート制御装置においては、例えば、前記サイドサポート制御手段が、前記カーブ情報(Rc,Pc)に基づいて前記サポート量の大きさ(サイドサポート制御におけるサポート量の最大値、最終目標値、サポート設定値Sp1)を決定し、且つ、前記実旋回状態量(Jra)に基づいて前記サイドサポート制御の開始タイミングを決定するように構成され得る。前記サイドサポート制御の開始タイミングとは、サイドサポート制御によりサポート量の(基準状態(ゼロ)からの)増加が開始されるタイミングである。
ここにおいて、前記サポート量の大きさは、前記カーブ情報(Rc,Pc)から得られる前記(1つの)カーブの最小曲率半径(Rm)に基づいて決定されてもよい。或いは、最小曲率半径(Rm)と車速(Vx)とから演算される「カーブ内にて発生すると予測される最大横加速度(Gym)」に基づいて決定されてもよい。また、前記サイドサポート制御の開始タイミングは、前記実旋回状態量(Jra)が増加しながら第1所定値(Jr1)に達する時点又は地点に基づいて決定され得る。前記サイドサポート制御の終了タイミングは、前記実旋回状態量(Jra)が減少しながら第2所定値(Jr0)(<第1所定値(Jr1))に達する時点又は地点に基づいて決定され得る。前記サイドサポート制御の終了タイミングとは、サイドサポート制御によりサポート量の(サポート設定値Sp1からの)減少が開始されるタイミングである。
上記構成によれば、カーブ情報に基づいてサポート量の大きさ(サポート設定値)がカーブ形状に応じて前もって決定され得る。併せて、実旋回状態量そのものに基づいてサイドサポート制御の開始タイミングが決定されるから、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることが確実に抑制され得る。
このように、前記実旋回状態量(Jra)に基づいて前記サイドサポート制御の開始タイミングが決定される場合、前記実旋回状態量(Jra)に基づいて演算される前記車両の方位角(Yaa)に基づいて前記サイドサポート制御の開始タイミングを決定するように構成されてもよい。ここにおいて、前記方位角とは、カーブ入口手前の直線部の方向に対する、車両位置における車両の進行方向(車両の向いている方向)のなす角度である。方位角は、例えば、実旋回状態量としての実ヨーレイトをカーブ入口から積分(積算)していくことで演算することができる。
上述のように、方位角は、カーブ入口からのヨーレイトの積算値である。従って、カーブ進入後において、道路の幅方向における車両の位置が変動する場合(車両がふらついた場合)であっても、上記構成のように方位角を用いることで、車両がカーブ内を実際に走行している可能性の高低、従って、カーブ情報の信頼性の高低を適切に判定することができる。具体的には、例えば、方位角が小さい(所定値未満の)段階では、車両がカーブ内を実際に走行している可能性が低い(従って、カーブ情報の信頼性が低い)として、サイドサポート制御の開始を禁止することができる。一方、方位角が大きい(所定値以上の)段階では、車両がカーブ内を実際に走行している可能性が高い(従って、カーブ情報の信頼性が高い)として、サイドサポート制御の開始を許可することができる。
従って、例えば、運転者がカーブ内において所謂「アウト・イン・アウト」の走行ラインを採った場合においても、サイドサポート制御実行の可否が適切に判定され得、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることが確実に抑制され得る。
上記本発明によるシート制御装置においては、例えば、前記サイドサポート制御手段が、前記実旋回状態量(Jra)に基づいて前記サイドサポート制御の実行を許可する許可状態か前記サイドサポート制御の実行を禁止する禁止状態かを判定する判定手段を備え、前記カーブ情報(Rc,Pc)に基づいて前記サポート量の大きさ(Sp1)を決定し、且つ、前記カーブ情報(Rc,Pc)に基づいて前記サイドサポート制御の開始タイミングを決定するとともに、前記判定手段の判定結果が前記許可状態(Sm,Sy,Sd,Ss=1)にある場合において前記サイドサポート制御を実行し、前記判定手段の判定結果が前記禁止状態にある場合において前記サイドサポート制御を実行しないように構成され得る。
ここにおいて、前記サイドサポート制御の開始タイミングは、例えば、車両位置(Pvh)、カーブ位置(Pc)、及びカーブ曲率半径(Rc)から得られる「車両位置における曲率半径(Rvh)」と、現在の車両の速度(Vx)と、に基づく車両の横加速度(Gyc)が、増加しながら第3所定値(Gy1)に達する時点又は地点に基づいて決定され得る。前記サイドサポート制御の終了タイミングは、例えば、前記横加速度(Gyc)が減少増加しながら第4所定値(Gy0)(<第3所定値(Gy1))に達する時点又は地点に基づいて決定され得る。
上述のように、実旋回状態量に基づいてカーブ情報の信頼性が判定され得る。このことを利用して、上記構成によれば、カーブ情報の信頼性が高い場合には判定結果が許可状態とされ、カーブ情報の信頼性が低い場合には判定結果が禁止状態とされる。そして、判定結果が許可状態にある場合(即ち、カーブ情報の信頼性が高い場合)においてサイドサポート制御が実行され、判定結果が禁止状態にある場合(即ち、カーブ情報の信頼性が低い場合)においてサイドサポート制御が実行されない。これにより、信頼性が確実に高いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が実行され得る。換言すれば、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることが確実に抑制され得る。
上記本発明によるシート制御装置においては、例えば、前記実旋回状態量取得手段が、前記実旋回状態量として、複数の種類の状態量(Jra,Jrb)を取得するように構成され、前記サイドサポート制御手段が、上述と同じ判定手段を備え、前記カーブ情報(Rc,Pc)に基づいて前記サポート量の大きさ(Sp1)を決定し、且つ、前記判定手段により使用される前記実旋回状態量(Jrb)とは種類の異なる前記実旋回状態量(Jra)に基づいて前記サイドサポート制御の開始タイミングを決定するとともに、前記判定手段の判定結果が前記許可状態(Sm,Sy,Sd,Ss=1)にある場合において前記サイドサポート制御を実行し、前記判定手段の判定結果が前記禁止状態にある場合において前記サイドサポート制御を実行しないように構成され得る。
これによれば、実旋回状態量(Jra)そのものに基づいてサイドサポート制御の開始タイミングが調整され得ることに加えて、その開始タイミングの調整に使用された実旋回状態量とは種類が異なる実旋回状態量(Jrb)に基づく上述した判定結果に基づいてサイドサポート制御の実行の是非が判定されること、により、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることがより確実に抑制され得る。
上記本発明によるシート制御装置において前記判定手段が備えられる場合、前記判定手段は、前記実旋回状態量(Jra,Jrb)に基づいて前記車両の旋回方向(Dvh)を演算する旋回方向演算手段と、前記カーブ情報(Rc,Pc)(及び、車両位置(Pvh))に基づいて前記車両の進行方向に対する前記カーブの方向(Dcv)を演算するカーブ方向演算手段とを備え、前記旋回方向(Dvh)と前記カーブの方向(Dcv)とが一致するか否かに基づいて前記判定を行うように構成され得る。ここにおいて、前記旋回方向として、直進、左旋回、及び右旋回の何れかが演算される。同様に、前記カーブ方向としても、直進、左旋回、及び右旋回の何れかが演算される。
上記構成によれば、例えば、「旋回方向」と「カーブ方向」が一致すれば、カーブ情報の信頼性が高いと考えられるから、判定結果を許可状態とすることができる。一方、「旋回方向」と「カーブ方向」が一致しなければ、カーブ情報の信頼性が低いと考えられるから、判定結果を禁止状態とすることができる。
また、前記判定手段は、前記実旋回状態量(Jra,Jrb)に基づいて前記車両の実際の旋回の程度を表す指標となる実旋回指標(Sa)を演算する実旋回指標演算手段と、前記カーブ情報(Rc,Pc)(及び、車両位置(Pvh))に基づいて前記実旋回指標(Sa)に対応する計算旋回指標(Se)を演算する計算旋回指標演算手段とを備え、前記実旋回指標(Sa)と前記計算旋回指標(Se)との比較結果に基づいて前記判定を行うように構成され得る。
上記構成によれば、カーブ情報(地図データベース)に基づいて演算される計算旋回指標と、実際に検出される実旋回指標との比較結果に基づいて、カーブ情報の信頼性が評価され得る。具体的には、実旋回指標と計算旋回指標とがほぼ一致していれば(差が所定値以下であれば)、カーブ情報の信頼性が高いと考えられるから、判定結果を許可状態とすることができる。一方、実旋回指標と計算旋回指標との差が大きければ(差が所定値を超えていれば)、カーブ情報の信頼性が低いと考えられるから、判定結果を禁止状態とすることができる。
本発明の第1実施形態に係る車両のシート制御装置を搭載した車両の概略構成図である。 図1に示したシート制御装置により制御されるシートの斜視図である。 図2に示したシートの上面図である。 図3に示したサイドサポート制御手段の具体的な構成を示した図である。 カーブの形状の一例を示した図である。 図1に示したシート制御装置により実行されるサイドサポート制御についての機能ブロック図である。 図6のブロックB5にて実行される判定結果(制御フラグ)Syの演算についての機能ブロック図である。 図6のブロックB5にて実行される判定結果(制御フラグ)Ssの演算についての機能ブロック図である。 図6のブロックB5にて実行される判定結果(制御フラグ)Sdの演算についての機能ブロック図である。 図6のブロックB5にて実行される判定結果(制御フラグ)Smの演算についての機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態の変形例に係るシート制御装置により実行されるサイドサポート制御における目標サポート量の演算についての機能ブロック図である。 本発明の第2実施形態に係るシート制御装置により実行されるサイドサポート制御についての機能ブロック図である。 本発明の第2実施形態の変形例に係るシート制御装置により実行されるサイドサポート制御における目標サポート量の演算についての機能ブロック図である。 本発明の第3実施形態に係るシート制御装置により実行されるサイドサポート制御についての機能ブロック図である。 本発明の第4実施形態に係る協調制御装置により実行されるサイドサポート制御及びカーブ車速制御についての機能ブロック図である。 図15に示した基準地点決定演算ブロックにおける演算の詳細を示した図である。 本発明の第4実施形態の変形例に係る協調制御装置により実行されるサイドサポート制御についての機能ブロック図である。
以下、本発明による車両のシート制御装置の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るシート制御装置(以下、「本装置」と称呼する。)を搭載した車両の概略構成を示している。本装置は、車両の動力源であるエンジンEGと、自動変速機TMと、ブレーキアクチュエータBRKと、乗員用(特に、運転者用)のシートSHTと、電子制御ユニットECUと、ナビゲーション装置NAVとを備えている。
エンジンEGは、例えば、内燃機関である。即ち、運転者によるアクセルペダル(加速操作部材)APの操作に応じてスロットルアクチュエータTHによりスロットル弁TVの開度が調整される。スロットル弁TVの開度に応じて調整される吸入空気量に応じた量の燃料が燃料噴射アクチュエータFI(インジェクタ)により噴射される。これにより、運転者によるアクセルペダルAPの操作に応じた出力トルクが得られるようになっている。
自動変速機TMは、複数の変速段を有する多段自動変速機、或いは、変速段を有さない無段自動変速機である。自動変速機TMは、エンジンEGの運転状態、及びシフトレバー(変速操作部材)SFの位置に応じて、減速比(EG出力軸(=TM入力軸)の回転速度/TM出力軸の回転速度)を自動的に(運転者によるシフトレバーSFの操作によることなく)変更可能となっている。
ブレーキアクチュエータBRKは、複数の電磁弁、液圧ポンプ、モータ等を備えた周知の構成を有している。ブレーキアクチュエータBRKは、非制御時では、運転者によるブレーキペダル(制動操作部材)BPの操作に応じた制動圧力(ブレーキ液圧)を車輪WH**のホイールシリンダWC**にそれぞれ供給し、制御時では、ブレーキペダルBPの操作(及びアクセルペダルAPの操作)とは独立してホイールシリンダWC**内の制動圧力を車輪毎に調整できるようになっている。
なお、各種記号等の末尾に付された「**」は、各種記号等が何れの車輪に関するものであるかを示していて、「fl」は左前輪、「fr」は右前輪、「rl」は左後輪、「rr」は右後輪を示している。例えば、ホイールシリンダWC**は、左前輪ホイールシリンダWCfl, 右前輪ホイールシリンダWCfr, 左後輪ホイールシリンダWCrl, 右後輪ホイールシリンダWCrrを包括的に示している。
図2に示すように、乗員用(特に、運転者用)のシートSHTは、シートクッション部CS(シート座面部)、シートバック部BS(シート背面部)、及びヘッドレスト部HSから構成されている。このシートSHTにおけるシートクッション部CS、シートバック部BS、及びヘッドレスト部HSの少なくとも1つの両サイドの凸部にはそれぞれ、サポート部材BZ1、BZ2が内蔵されている。
より具体的には、例えば、図3、及び図4に示すように、シートバック部BSの右サイドの凸部には、サポート部材BZ1、及びサイドサポート制御手段SB1(駆動手段、及び動力伝達手段からなる)が内蔵されている。駆動手段である電気モータMT1によってスクリュSQ1が回転駆動されると、スクリュSQ1に螺合されたナットNT1に一体のサポート部材BZ1が、乗員の右側部に対して近づく方向(乗員に対して左方向、シートSHTの左右方向の中心に近づく方向)、或いは、離れる方向(乗員に対して右方向、シートSHTの左右方向の中心から離れる方向)に直線的に移動する。シートバック部BSの左サイドの凸部にも同様に、サポート部材BZ2、及びサイドサポート制御手段SB2(電気モータMT2、スクリュSQ2、及びナットNT2からなる)が内蔵されている。
乗員が手動スイッチMSWを操作することで、サイドサポート制御手段SB1、SB2が駆動されて、サポート部材BZ1,BZ2の基準位置(乗員の操作に応じた適正な位置)が調整され得る。本例では、手動スイッチMSWによる操作に対し、サポート部材BZ1、BZ2が、乗員の側部に対して共に近づく方向、或いは、共に離れる方向に同じ距離だけ移動可能となっている。サポート部材BZ1、BZ2が共に乗員に対して近づく方向に移動される場合、乗員の側部がサポート部材BZ1,BZ2により支えられ易くなり、サポート部材BZ1、BZ2が共に乗員から離れる方向に移動される場合、乗員の側部がサポート部材BZ1,BZ2により支えられ難くなる。
サイドサポート制御では、電子制御ユニットECUからの指令により(手動スイッチMSWの操作なしで)サイドサポート制御手段SB1、SB2が駆動されて、サポート部材BZ1,BZ2の位置が共に、基準位置から乗員に対して近づく方向の範囲内において同じ距離だけ移動・調整される。以下、サポート部材BZ1,BZ2の基準位置(基準状態)からの乗員に対して近づく方向の移動量を「サポート量」と称呼する。
上述のサイドサポート制御手段SB1,SB2と同様の構成を有するサイドサポート制御手段SH1,SH2,SC1,SC2が、ヘッドレスト部HS、及びシートクッション部CSに備えられていてもよい。また、上述の例では、サポート部材BZ1、BZ2の位置がシートSHTに対する直線運動により調整されるが、サポート部材BZ1、BZ2の位置がシートSHTに対する回転運動により調整される構成が採用されてもよい。或いは、サポート部材BZ1,BZ2の内部に形成された膨張・収縮可能なチャンバ内の流体(気体又は液体)の量の調整によりサポート部材BZ1,BZ2の体積が調整される構成が採用されてもよい。以下、サポート部材BZ1,BZ2を、単に「サポート部材BZ」と称呼することもある。
本装置は、車輪WH**の車輪速度を検出する車輪速度センサWS**と、ホイールシリンダWC**内の制動圧力を検出する制動圧力センサPW**と、ステアリングホイールSWの(中立位置からの)回転角度を検出するステアリングホイール角度センサSAと、前輪の舵角を検出する前輪舵角センサFSと、車体のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサYRと、車体前後方向の加速度(減速度)を検出する前後加速度センサGXと、車体横方向の加速度を検出する横加速度センサGYと、エンジンEGの出力軸の回転速度を検出するエンジン回転速度センサNEと、アクセルペダル(加速操作部材)APの操作量を検出する加速操作量センサASと、ブレーキペダルBPの操作量を検出する制動操作量センサBSと、シフトレバーSFの位置を検出するシフト位置センサHSと、スロットル弁TVの開度を検出するスロットル弁開度センサTSと、ステアリングホイールSWの操舵トルクを検出する操舵トルクセンサSTと、を備えている。
電子制御ユニットECUは、パワートレイン系、シャシー系、及びシートSHTを電子制御するマイクロコンピュータである。電子制御ユニットECUは、上述の各種アクチュエータ、上述の各種センサ、及び自動変速機TMと、電気的に接続され、又はネットワークで通信可能となっている。電子制御ユニットECUは、互いに通信バスCBで接続された複数の制御ユニット(ECU1〜ECU5)から構成される。
電子制御ユニットECU内のECU1は、車輪ブレーキ制御ユニットであり、車輪速度センサWS**、前後加速度センサGX、横加速度センサGY、ヨーレイトセンサYR等からの信号に基づいてブレーキアクチュエータBRKを制御することで、周知の車両安定化制御(ESC制御)、アンチスキッド制御(ABS制御)、トラクション制御(TCS制御)等の制動圧力制御(車輪ブレーキ制御)を実行するようになっている。また、ECU1は、車輪速度センサWS**の検出結果(車輪速度Vw**)に基づいて車両速度(車速)Vxを演算するようになっている。
電子制御ユニットECU内のECU2は、エンジン制御ユニットであり、加速操作量センサAS等からの信号に基づいてスロットルアクチュエータTH及び燃料噴射アクチュエータFIを制御することでエンジンEGの出力トルク制御(エンジン制御)を実行するようになっている。
電子制御ユニットECU内のECU3は、自動変速機制御ユニットであり、シフト位置センサHS等からの信号に基づいて自動変速機TMを制御することで減速比制御(変速機制御)を実行するようになっている。
電子制御ユニットECU内のECU4は、電動パワーステアリング制御ユニットであり、操舵トルクセンサST等からの信号に基づいて電動パワーステアリング装置EPSを制御することでパワーステアリング制御を実行するようになっている。
電子制御ユニットECU内のECU5は、シート制御ユニットであり、後述するナビゲーション装置NAV、ECU1等からの信号に基づいてサイドサポート制御手段SB1,SB2を駆動することで、サポート部材BZ1、BZ2のサポート量を制御する(即ち、サイドサポート制御を実行する)ようになっている。
ナビゲーション装置NAVは、ナビゲーション処理装置PRCを備えていて、ナビゲーション処理装置PRCは、車両位置検出手段(グローバル・ポジショニング・システム)GPS、ヨーレイトジャイロGYR、入力部INP、記憶部MAP、及び表示部(ディスプレー)MTRと電気的に接続されている。ナビゲーション装置NAVは、電子制御ユニットECUと、電気的に接続され、又は無線で通信可能となっている。
車両位置検出手段GPSは、人工衛星からの測位信号を利用した周知の手法の一つにより車両の位置(緯度、経度等)を検出可能となっている。ヨーレイトジャイロGYRは、車体の角速度(ヨーレイト)を検出可能となっている。入力部INPは、運転者によるナビゲーション機能に係わる操作を入力するようになっている。記憶部MAPは、地図情報、道路情報等の各種情報を記憶している。
ナビゲーション処理装置PRCは、車両位置検出手段GPS、ヨーレイトジャイロGYR、入力部INP、及び記憶部MAPからの信号を総合的に処理し、その処理結果(ナビゲーション機能に係わる情報)を表示部MTRに表示するようになっている。
ところで、図5に示すように、一般的なカーブは、カーブ開始地点(カーブ入口)Ciからカーブ終了地点(カーブ出口)Cdに向けて順に、進入緩和曲線区間Zci(車両の進行に伴い曲率半径が徐々に小さくなる)、一定曲率半径区間Zit、及び退出緩和曲線区間Zcd(車両の進行に伴い曲率半径が徐々に大きくなる)から構成されている。緩和曲線は、例えば、クロソイド曲線で構成される。緩和曲線区間が設けられているのは、運転者に急激なステアリングホイール操作を要求することなく、運転者がステアリングホイールを徐々に切り込み、その後徐々に切り戻すことで車両がカーブを円滑に通過できるようにするためである。以下、車両が通過するカーブとして、図5に示す形状を有するカーブを想定しながら、説明を進める。
(本装置によるサイドサポート制御)
次に、図6を参照しながら、上記のように構成された本装置によるサイドサポート制御の詳細について説明する。
先ず、カーブ情報取得手段A1では、車両の前方にあるカーブの情報Rc,Pc(位置Pcと、その位置に対応するカーブ曲率半径Rc)が取得される。カーブ情報Rc,Pcは、上記記憶部MAPの地図情報の地図データベースに記憶されている。カーブ情報には、位置Pc(例えば、緯度・経度の情報)と、その位置Pcに対応する曲率半径Rcとが、位置Pcと曲率半径Rcとの組で記憶される。また、位置Pc、及び曲率半径Rcが演算できる書式(例えば、演算式と係数)によって、位置Pc、及び曲率半径Rcを上記データベースに記憶することもできる。
車両位置取得手段A2では、車両の現在位置Pvhが取得される。車両位置Pvhは、グローバル・ポジショニング・システムGPSを用いて検出される。車速取得手段A3では、車両の現在の車速Vxが取得される。
曲率半径演算ブロックB1では、カーブ情報Rc,Pcと、車両の現在位置Pvhとに基づいて、車両前方のカーブの最小曲率半径Rm、及び、車両位置Pvhにおける曲率半径Rvhが演算される。
具体的には、先ず、カーブ情報Rc,Pcに基づいて、カーブ内における位置Pcと曲率半径Rcとの関係(カーブ位置Rcに対する曲率半径Rcの連続的な変化特性、曲率半径演算特性)Rchが演算される。曲率半径演算特性Rchは、予め記憶された道路上の複数の点(ノード点)の位置を幾何学的に滑らかに繋いで得られる曲線に基づいて推定することができる(例えば、特許3378490号公報を参照)。或いは、曲率半径演算特性Rchは、緩和曲線(例えば、クロソイド曲線)を表す関数、及びパラメータ等を用いて地図情報のデータベース内に記憶することができる。
そして、この曲率半径演算特性Rchに基づいて、カーブ内の最小曲率半径Rmが演算される。また、この最小曲率半径Rmがカーブに対応づけられて地図情報の地図データベース内に記憶され得る。更には、曲率半径演算特性Rchに基づいて、車両位置Pvhにおける曲率半径Rvhが演算される。即ち、位置と曲率半径との関係で定義される曲率半径演算特性Rchに車両位置Pvhを入力することで、車両位置Pvhにおける曲率半径Rvhが演算される。
サポート設定値演算ブロックB2では、最小曲率半径Rm、及び現在の車速Vxに基づいて、サポート設定値Sp1(サイドサポート制御におけるサポート量の最大値、最終目標値)が演算される。具体的には、最小曲率半径Rm、及び車速Vxに基づいてカーブ内を走行したときに発生すると予測される最大横加速度Gymが演算され、この最大横加速度Gymに基づいてサポート設定値Sp1が演算される。Gym≦Gm1(所定値)では、サポート設定値Sp1が「0(非制御)」に演算され、Gm1(所定値)<Gym<Gm2(所定値)では、GymのGm1からの増加に従ってSp1が「0」から増加するように演算され、Gym≧Gm2(所定値)では、Sp1が所定値Spm(サポート設定値の最大値)に演算される。
このように、カーブ内で作用する最大の遠心力に対応する最大横加速度Gymに基づいてサイドサポート制御のサポート設定値Sp1が演算され得る。これは、最大横加速度Gymが大きいほど、乗員に作用する遠心力がより大きくなって乗員の側部をより確実に支える必要があるためである。ここで、サポート設定値Sp1は予め設定された所定値で一定とされ得る。
なお、最小曲率半径Rmにのみ基づいてサポート設定値Sp1が演算されてもよい。この場合、最小曲率半径Rmが所定値Rm1以下では、サポート設定値Sp1が所定値Spm(サポート設定値の最大値)に演算され、RmのRm1からの増加に従ってSp1がSpmから減少するように演算され、Rmが所定値Rm2以上ではSp1は「0(非制御)」に演算される。これは、カーブの最小曲率半径Rmが小さいほど、乗員に作用する遠心力がより大きくなって乗員の側部をより確実に支える必要があるためである。
横加速度演算ブロックB3では、車両位置曲率半径Rvhと現在の車速Vxとに基づいて、車両位置Pvhにおける横加速度Gyc(=Vx/Rvh)が演算される。
サイドサポート制御演算ブロックB4では、サポート設定値Sp1と横加速度Gycとに基づいて、目標サポート量Sptが演算される。これにより、サポート設定値Sp1に基づいてサポート量の大きさ(最終目標値)が決定され、横加速度Gycに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。なお、サポート設定値Sp1、及び横加速度Gyc共に、カーブ情報Rc,Pcに基づいて決定されているから、本装置では、「カーブ情報Rc,Pcに基づいてサポート量の大きさ(Sp1)が決定され、且つ、カーブ情報(Rc,Pc)に基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。」ということができる。
具体的には、目標サポート量Sptが現在「0」(サイドサポート制御が非実行であるときのサポート量の基準状態)である場合において、Gycが所定値Gy1以下ではSptが「0(非制御)」に維持される。Gycが増加しながら所定値Gy1に達すると、以降、GycのGy1からの増加に従ってSptが「0」からサポート設定値Sp1まで増大するように演算される。SptがSp1に一旦演算されると、以降、Gycが所定値Gy0(<Gy1)以上ではSptがSp1に維持される。Gycが減少しながら所定値Gy0に達すると、以降、GycのGy0からの減少に従ってSptがSp1から「0」まで減少するように演算される。
実旋回状態量取得手段A4では、実際の車両のヨー運動状態量(実旋回状態量Jra)が取得される。実旋回状態量Jraは、車両に対して実際に発生しているヨーイング運動状態量であり、例えば、ステアリングホイール操作角θswa、前輪舵角(操向車輪の舵角)δfa、実ヨーレイトYra、実横加速度Gya、実車体スリップ角βa、実車体スリップ角速度dβaである。また、これらのうちから2つ以上の状態量を組み合わせて得られる値が、実旋回状態量Jraとして使用され得る。
実行可否判定演算ブロックB5では、実旋回状態量Jra、及びカーブ情報Rc,Pcに基づいて、サイドサポート制御の実行可否の判定結果(制御フラグ)Sy,Ss,Sd,Smが決定される。以下、これらの判定結果(制御フラグ)について順に説明していく。なお、各判定結果(制御フラグ)について、「1」はサイドサポート制御の実行を許可する「許可状態」を表し、「0」はサイドサポート制御の実行を禁止する「禁止状態」を表す。
先ず、図7を参照しながら、方位角Yaaに基づく判定結果(制御フラグ)Syの演算について説明する。方位角Yaaとは、カーブ入口Ciの手前の直線部の方向に対する、車両位置Pvhにおける車両の進行方向(車両の向いている方向)のなす角度である。
図7に示すように、方位角演算ブロックB6では、実旋回状態量Jra(例えば、実ヨーレイトYra)に基づいて現在の方位角Yaaが演算される。例えば、実旋回状態量Jraとして、実ヨーレイトYraが取得され、カーブ入口CiからYraを積分(積算)演算していくことで方位角(ヨー角)Yaaが演算される。なお、実ステアリングホイール角度、実車輪速度左右差、実横加速度等からヨーレイトを推定し、この推定ヨーレイトをカーブ入口Ciから積分(積算)演算していくことで方位角(ヨー角)Yaaが演算されてもよい。
カーブ出口方位角演算ブロックB7では、カーブ情報Rc,Pcに基づいて、カーブ出口Cd(或いは、一定曲率半径区間の終了地点Ce)での方位角Ya2が演算される。ここで、方位角Ya2は、カーブ入口Ciの手前の直線部の方向に対する、カーブ出口Cd(或いは、地点Ce)におけるカーブの接線方向のなす角度である。
可否判定しきい値演算ブロックB8では、車速Vxに基づいて所定値Ya1が演算される。具体的には、車速Vxが大きいほど所定値Ya1がより小さい値に演算される。
実行可否判定演算ブロックB9では、方位角Yaaが所定値Ya1以上となったときに、判定結果(制御フラグ)Syが禁止状態(Sy=0)から許可状態(Sy=1)に変更される。更に、Yaaが所定値Ya2以上となったときに判定結果(制御フラグ)Syが許可状態(Sy=1)から禁止状態(Sy=0)に変更される。この判定演算は、「方位角Yaaが小さい(Ya1未満の)段階では、車両がカーブ内を実際に走行している可能性が低く(従って、カーブ情報の信頼性が低く)、Yaaが大きい(Ya1以上の)段階では、車両がカーブ内を実際に走行している可能性が高い(従って、カーブ情報の信頼性が高い)」と考えられることに基づく。
上述のように、方位角Yaaは、カーブ入口Ciからの実ヨーレイトYra(或いは、上記推定ヨーレイト)の積算値である。従って、カーブ進入後において、道路の幅方向における車両の位置が変動する場合(車両がふらついた場合)であっても、方位角Yaaは、巨視的にみた場合での車両の進行方向を表し得る。従って、例えば、運転者がアウト・イン・アウトに走行ラインを取った場合においても、判定結果(制御フラグ)Syにより、カーブ情報の信頼性の高低、即ち、サイドサポート制御実行の可否を的確に判定することができる。
次に、図8を参照しながら、実旋回状態量Jraそのものに基づく判定結果(制御フラグ)Ssの演算について説明する。図8に示すように、実旋回状態量取得手段A4(図6を参照)では、実旋回状態量Jra(例えば、実横加速度Gya等)が取得される。
実行可否判定演算ブロックB10では、実旋回状態量Jra(例えば、Gya)が増大していく過程においては、実旋回状態量Jra(例えば、Gya)が所定値Jr1未満の段階では、判定結果(制御フラグ)Ssが禁止状態(Ss=0)とされ、Jra(例えば、Gya)が所定値Jr1以上となった段階では、判定結果(制御フラグ)Ssが禁止状態(Ss=0)から許可状態(Ss=1)に変更される。この判定演算は、「実旋回状態量Jra(例えば、Gya)が小さい(Jr1未満の)段階では、車両がカーブ内を実際に走行している可能性が低く(従って、カーブ情報の信頼性が低く)、Jra(例えば、Gya)が大きい(Jr1以上の)段階では、車両がカーブ内を実際に走行している可能性が高い(従って、カーブ情報の信頼性が高い)」と考えられることに基づく。
一方、実旋回状態量Jra(例えば、Gya)が減少していく過程においては、実旋回状態量Jra(例えば、Gya)が所定値Jr0より大きい段階では、判定結果(制御フラグ)Ssが許可状態(Ss=1)とされ、Jra(例えば、Gya)が所定値Jr0以下となった段階では、判定結果(制御フラグ)Ssが許可状態(Ss=1)から禁止状態(Ss=0)に変更される。ここで、所定値Jr0とJr1との間には、Jr0<Jr1という関係がある。これにより、減速制御実行可否の判定結果(制御フラグ)Ssにおいて、ハンチングが発生することを防止することができる。
次に、図9を参照しながら、旋回方向Dch,カーブ方向Dcvに基づく判定結果(制御フラグ)Sdの演算について説明する。図9に示すように、旋回方向識別演算ブロックB11では、実旋回状態量Jraに基づいて車両の旋回方向Dvhが識別される。
具体的には、実旋回状態量Jraの絶対値が所定値Jrs未満の場合、車両は「直進」と識別される。実旋回状態量Jraの絶対値が所定値Jrs以上の場合、車両は旋回中と識別され、その時点での実旋回状態量Jraの符号によって「左旋回」か「右旋回」かが識別される。即ち、旋回方向Dvhとして、「直進」、「左旋回」、及び「右旋回」のうちの何れか1つが演算される。
カーブ方向識別演算ブロックB12では、カーブ情報Rc,Pc、及び、車両位置Pvhに基づいて、車両の進行方向に対するカーブの方向Dcvが識別される。具体的には、車両位置Pvhにおける曲率半径Rvhが所定値Rvsより大きい場合、カーブ方向Dcvは「直線」と識別される。カーブ曲率半径Rvhが所定値Rvs以下の場合、カーブ曲率半径Rvhの向きによって「左カーブ」か「右カーブ」かが識別される。即ち、カーブ方向Dcvとして、「直線」、「左カーブ」、及び「右カーブ」のうちの何れか1つが演算される。
実行可否判定演算ブロックB13では、旋回方向Dvhとカーブ方向Dcvとが一致している場合、判定結果(制御フラグ)Sdが許可状態(Sd=1)とされ、旋回方向Dvhとカーブ方向Dcvとが不一致の場合、判定結果(制御フラグ)Sdが禁止状態(Sd=0)とされる。この判定演算は、「旋回方向Dvhとカーブ方向Dcvとが一致すれば、カーブ情報の信頼性が高く、旋回方向Dvhとカーブ方向Dcvとが一致しなければ、カーブ情報の信頼性が低い」と考えられることに基づく。
次に、図10を参照しながら、旋回指標偏差Shに基づく判定結果(制御フラグ)Smの演算について説明する。図10に示すように、カーブ曲率半径演算ブロックB14では、上述した図6の曲率半径演算ブロックB1と同様の手法により、車両位置Pvhにおける曲率半径Rvhが演算される。
計算旋回状態量演算ブロックB15では、演算された曲率半径Rvhに基づいて計算旋回状態量Jreが演算される。計算旋回状態量Jreとして、以下の状態量を演算することができる。
計算横加速度 Gye=Vx/Rvh
計算ヨーレイト Yre=Vx/Rvh
計算操舵角度 δfe=〔L・(1+Kh・Vx)〕/Rvh
計算ステアリングホイール角度 θswe=〔SG・L・(1+Kh・Vx)〕/Rvh
計算車輪速度差 ΔVwe=(Tr・Vx)/Rvh
計算方位角Yae(カーブ入口手前の直線部の方向に対する車両位置Pvhにおけるカーブの接線方向)
ここで、Khはスタビリティファクタ、Lは車両のホイールベース、Trは車両のトレッド、SGは車両のステアリングギア比である。
計算旋回指標演算ブロックB16では、計算旋回状態量Jreに基づいて計算旋回指標Seが演算される。上述のように演算されたカーブ曲率半径Rvhそのものを計算旋回指標Seとすることができる。更には、上述のそれぞれの計算旋回指標Seのうちで、2つ以上を組み合わせて計算旋回指標Seを演算することができる。
実旋回指標演算ブロックB17では、実旋回状態量Jraに基づいて実旋回指標Saが演算される。実旋回指標Sa及び計算旋回指標Seとして、同じ(次元の)物理量(状態量)が演算される。例えば、計算旋回指標Seがカーブ曲率半径Rvhである場合、計算旋回指標Seに対応する実旋回指標Saとして、実旋回状態量Jraに基づいてカーブ曲率半径Rtaが演算される。Rtaは、以下の何れかの演算により取得され得る。
Rta=Vx/Gya
Rta=Vx/Yra
Rta=〔L・(1+Kh・Vx)〕/δfa
Rta=〔SG・L・(1+Kh・Vx)〕/θswa
ここで、Khはスタビリティファクタ、Lは車両のホイールベース、SGは車両のステアリングギア比である。
比較演算ブロックB18では、計算旋回指標Seと実旋回指標Saとが比較される。比較結果Shとして、実旋回指標Saと計算旋回指標Seとの偏差の絶対値(旋回指標偏差)を使用することができる。
実行可否判定演算ブロックB19では、旋回指標偏差Shに基づいて判定結果(制御フラグ)Smが演算される。旋回指標の偏差Shが所定値Sh1以下の場合、判定結果(制御フラグ)Smが許可状態(Sm=1)とされる。一方、偏差Shが所定値Sh1よりも大きい場合、判定結果(制御フラグ)が禁止状態(Sm=0)とされる。この判定演算は、「カーブ情報に基づいて演算される計算旋回指標Seと実際に検出される実旋回指標Saとがほぼ一致していれば(Sh≦Sh1)、カーブ情報の信頼性が高く、SeとSaとの差が大きければ(Sh>Sh1)、カーブ情報の信頼性が低い」と考えられることに基づく。
制御実行の可否判定は、車両がカーブに進入した時期から、カーブ情報Rc,Pc、及び、実旋回状態量Jraの少なくとも一方に基づいて演算される車両旋回値Tvh(或いは、実旋回指標Sa、或いは、計算旋回指標Se)が所定値Thsに達する時期までの間の偏差Shの推移に基づいて行うことができる。また、旋回指標偏差Shが所定値Sh1以下の状態が所定範囲Hn1(所定距離Ls1、或いは、所定時間Ts1)に亘って継続されたときに、判定結果を許可状態(Sm=1)とすることができる。これにより、ノイズ等の影響を排除して、安定した実行可否判定を行うことができる。
このような制御実行の可否判定は、サイドサポート制御が開始された後も継続される。サイドサポート制御実行中において、旋回指標偏差Shが所定値Sh2よりも大きくなった場合、判定結果を許可状態(Sm=1)から禁止状態(Sm=0)へと変更することができる。また、車速制御実行中において、旋回指標偏差Shが所定値Sh2よりも大きい状態が所定範囲Hn2(所定距離Ls2、或いは、所定時間Ts2)に亘って継続された場合に判定結果を許可状態(Sm=1)から禁止状態(Sm=0)へと変更することもできる。これにより、実行中のサイドサポート制御を中止することができる。ここで、所定値Sh1と所定値Sh2との間には、Sh1<Sh2の関係がある。これにより、実行可否の判定結果(制御フラグ)Smにおいて、ハンチングが発生することを防止することができる。以上、図6の実行可否判定演算ブロックB5で決定される、サイドサポート制御の実行可否の判定結果(制御フラグ)Sy,Ss,Sd,Smについて順に説明した。
再び、図6を参照すると、切替手段A5では、判定結果(制御フラグ)Sy,Ss,Sd,Smの全てが許可状態(制御フラグ=1)にある場合にのみ、目標サポート量Sptとして、ブロックB4にて演算された値と等しい値が出力される。以下、この場合を「最終許可状態」と称呼する。一方、そうでない場合、目標サポート量Sptとして「0」(制御禁止)が出力される。以下、この場合を「最終禁止状態」と称呼する。
なお、これに代えて、4つの判定結果のうちで何れか1つの判定結果のみが許可状態(制御フラグ=1)となった場合、或いは、何れか2つ又は3つの判定結果が許可状態(制御フラグ=1)となった場合に、「最終許可状態」が選択され、そうでない場合に「最終禁止状態」が選択されてもよい。
サイドサポート制御手段A6では、切替手段A5から出力された目標サポート量Sptに基づいてサイドサポート手段(サポート部材BZ)A7の位置が(手動スイッチMSWの操作なしで)調整される。具体的には、サポート部材BZの位置を検出するセンサSPにより、サポート部材BZの実際のサポート量Spaが検出され、目標サポート量Spt及び実サポート量Spaに基づいて(例えば、SpaがSptに一致するように)サポート部材BZの位置がフィードバック制御される。
これにより、「最終許可状態」が選択されている場合にのみサイドサポート制御が開始・実行される。即ち、横加速度Gycが増加しながらGy1に達する時点又は地点にて、サポート部材BZのサポート量の増加が開始され(即ち、その時点又は地点がサイドサポート制御の開始タイミングとなり)、サポート量がサポート設定値Sp1まで増大され得る。その後、横加速度Gycが減少しながらGy0に達する時点又は地点にて、サポート部材BZのサポート量の減少が開始される(即ち、その時点又は地点がサイドサポート制御の終了タイミングとなる)。「最終禁止状態」が選択されている場合、サイドサポート制御は実行されない。
以上、本発明の第1実施形態に係る車両のシート制御装置によれば、実旋回状態量Jraに基づいてサイドサポート制御の実行を許可する許可状態(最終許可状態、カーブ情報の信頼性が高い状態)か、サイドサポート制御の実行を禁止する禁止状態(最終禁止状態、カーブ情報の信頼性が低い状態)か、が判定される。カーブ情報Rc,Pcに基づいてサイドサポート制御によるサポート量の大きさ(サポート設定値Sp1)が決定され、且つ、カーブ情報Rc,Pcに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。最終許可状態にある場合においてサイドサポート制御が実行され、最終禁止状態にある場合においてサイドサポート制御が実行されない。
この第1実施形態によれば、カーブ情報Rc,Pcに基づいてサポート量の大きさ(サポート設定値Sp1)が、カーブ形状Rc(具体的には、最小曲率半径Rmと車速Vx)に応じて前もって決定され得る。
加えて、カーブ情報の信頼性が高い場合(最終許可状態)においてサイドサポート制御が実行され、カーブ情報の信頼性が低い場合(最終禁止状態)においてサイドサポート制御が実行されない。これにより、信頼性が高いカーブ情報にのみ基づいてサイドサポート制御が実行され得る。換言すれば、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることが確実に抑制され得る。
本発明は上記第1実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第1実施形態では、図6に示したブロックB1〜B4の処理に基づいて目標サポート量Sptが演算されているが、図11に示したブロック20,21の処理に基づいて目標サポート量Sptが演算されてもよい。
具体的には、図11に示すように、制御開始・終了位置演算ブロックB20にて、カーブ情報Rc,Pc(より具体的には、「カーブ位置に対するカーブ曲率半径の特性Rch」、図6に示したカーブ情報取得手段A1から得られる)、及び、車速Vx(図6に示した車速取得手段A3から得られる)に基づいて、カーブ位置に対する車両の横加速度Gyeの特性Gch(連続的な変化特性)が演算される。
このカーブ位置に対する横加速度の特性Gchから得られる横加速度Gyeが増加しながら制御開始しきい値Gye1に達する制御地点Pc1と、Gyeが減少しながら制御終了しきい値Gye0に達する制御地点Pc0とが演算される。
サイドサポート制御演算ブロックB21では、車両位置Pvh(図6に示した車両位置取得手段A2から得られる)と、サポート設定値Sp1(図6に示したブロックB2から得られる)とに基づいて、目標サポート量Sptが演算される。これにより、サポート設定値Sp1に基づいてサポート量の大きさ(最終目標値)が決定され、車両位置Pvhに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。
具体的には、目標サポート量Sptが現在「0」(サイドサポート制御が非実行であるときのサポート量の基準状態)である場合において、車両(車両位置Pvh)が制御地点Pc1を通過するまでは、Sptが「0」に維持される。車両(車両位置Pvh)が制御地点Pc1を通過すると、以降、車両位置Pvhの進行に従ってSptが「0」からサポート設定値Sp1まで増大するように演算され、その後、SptはSp1に維持される。車両(車両位置)がPc0を通過すると、以降、車両位置Pvhの進行に従ってSptがSp1から「0」まで減少するように演算される。
このように演算される目標サポート量Sptは、(図6に示した切替手段A5を介して)図6に示したサイドサポート制御手段A6にて使用される。これにより、「最終許可状態」が選択されている場合にのみサイドサポート制御が達成される。即ち、車両(車両位置Pvh)が制御地点Pc1を通過する地点にて、サポート部材BZのサポート量の増加が開始され(即ち、その地点がサイドサポート制御の開始タイミングとなり)、サポート量がサポート設定値Sp1まで増大され得る。その後、車両(車両位置Pvh)が制御地点Pc0を通過する地点にて、サポート部材BZのサポート量の減少が開始される(即ち、その地点がサイドサポート制御の終了タイミングとなる)。「最終禁止状態」が選択されている場合、サイドサポート制御は実行されない。
なお、サポート設定値Sp1、及び、制御地点Pc1,Pc0共に、カーブ情報Rc,Pcに基づいて決定されているから、この場合においても、「カーブ情報Rc,Pcに基づいてサポート量の大きさ(Sp1)が決定され、且つ、カーブ情報(Rc,Pc)に基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。」ということができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るシート制御装置について説明する。第2実施形態は、実旋回状態量Jraに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される点、並びに、実旋回状態量Jraに基づくサイドサポート制御の実行可否判定が行われない点において、カーブ情報Rc,Pcに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定され且つ実旋回状態量Jraに基づくサイドサポート制御の実行可否判定が行われる上記第1実施形態と主として異なる。以下、図12を参照しながら、第2実施形態によるサイドサポート制御について詳細に説明する。
図12に示すように、第2実施形態では、サポート設定値Sp1は、上記第1実施形態と全く同じ手法により(図6に示したブロックB2と同じ)ブロックB2にて演算される。従って、サポート設定値Sp1の演算についての詳細な説明は省略する。
サイドサポート制御演算ブロックB22では、サポート設定値Sp1と、実旋回状態量Jra(図6に示した実旋回状態量取得手段A4から得られる)とに基づいて、目標サポート量Sptが演算される。これにより、サポート設定値Sp1に基づいてサポート量の大きさ(最終目標値)が決定され、実旋回状態量Jraに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。なお、サポート設定値Sp1はカーブ情報Rc,Pcに基づいて決定されるから、第2実施形態では、「カーブ情報Rc,Pcに基づいてサポート量の大きさ(Sp1)が決定され、且つ、実旋回状態量Jraに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。」ということができる。
具体的には、目標サポート量Sptが現在「0」(サイドサポート制御が非実行であるときのサポート量の基準状態)である場合において、Jraが所定値Ja1以下ではSptが「0(非制御)」に維持される。Jraが増加しながら所定値Ja1に達すると、以降、JraのJa1からの増加に従ってSptが「0」からサポート設定値Sp1まで増大するように演算される。SptがSp1に一旦演算されると、以降、Jraが所定値Ja0(<Ja1)以上ではSptがSp1に維持される。Jraが減少しながら所定値Ja0に達すると、以降、JraのJa0からの減少に従ってSptがSp1から「0」まで減少するように演算される。
サイドサポート制御演算ブロックB22にて演算された目標サポート量Sptは、(図6に示した切替手段A5を介すことなく)図6に示したサイドサポート制御手段A6に直接入力される。これにより、サイドサポート制御が達成される。即ち、実旋回状態量Jraが増加しながらJr1に達する時点又は地点にて、サポート部材BZのサポート量の増加が開始され(即ち、その時点又は地点がサイドサポート制御の開始タイミングとなり)、サポート量がサポート設定値Sp1まで増大され得る。その後、実旋回状態量Jraが減少しながらJr0に達する時点又は地点にて、サポート部材BZのサポート量の減少が開始される(即ち、その時点又は地点がサイドサポート制御の終了タイミングとなる)。
以上、本発明の第2実施形態に係る車両のシート制御装置によれば、カーブ情報Rc,Pcに基づいてサイドサポート制御によるサポート量の大きさ(サポート設定値Sp1)が決定され、且つ、実旋回状態量Jraに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。
これにより、上記第1実施形態と同様、カーブ情報Rc,Pcに基づいてサポート量の大きさ(サポート設定値Sp1)がカーブ形状に応じて前もって決定され得る。加えて、実旋回状態量Jraそのものに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定されるから、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることが確実に抑制され得る。
本発明は上記第2実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第2実施形態では、図12のブロックB22にて、SptがSp1である場合においてJraが減少しながら所定値Jr0に達すると、JraのJr0からの減少に従ってSptがSp1から「0」まで直ちに減少するようにSptが演算されるようになっているが、SptがSp1である場合において、JraがJr0以下にある状態が所定時間(或いは、所定距離)を経過したことを条件に、SptがSp1から「0」に変更されるように構成されてもよい。
これにより、所謂スラローム走行等のように旋回方向が交互に切り替わる走行ラインを車両が走行する場合において、旋回方向が切り替わる毎にサポート量の大きさが「0」に戻される事態の発生が防止され得る。この結果、サポート量が頻繁に「0」に戻されることで乗員が違和感を覚えることが防止され得る。
また、上記第2実施形態では、図12に示したブロックB22にて、実旋回状態量Jraに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定されているが、実旋回状態量Jraに基づいて演算される方位角Yaa(図7のブロックB6から得られる)に基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定されてもよい。
この場合、図13に示すブロックB23にて、(図7のブロックB6と同じ)ブロックB6から得られる現在の方位角Yaaと、(図7のブロックB7と同じ)ブロックB7から得られるカーブ出口Cdでの方位角Ya2と、(図6に示したブロックB2と同じ)ブロックB2にて演算されるサポート設定値Sp1とに基づいて、目標サポート量Sptが演算される。
具体的には、方位角Yaaが所定値Ya3以上となったときに、目標サポート量Sptが「0」からSp1に向けて増大される。更に、Yaaが所定値Ya2以上となったときに、SptがSp1から「0」に向けて減少される。なお、方位角Yaaは実旋回状態量Jraに基づいて決定されてから、この場合においても、「カーブ情報Rc,Pcに基づいてサポート量の大きさ(Sp1)が決定され、且つ、実旋回状態量Jraに基づいてサイドサポート制御の開始・終了タイミングが決定される。」ということができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るシート制御装置について説明する。第3実施形態は、上記第1実施形態と同じ「実旋回状態量に基づくサイドサポート制御の実行可否判定」が追加される点において、上記第2実施形態と主として異なる。
即ち、図14に示すように、第3実施形態では、上記第2実施形態(図12を参照)に対して、(図6のブロックB5と同じ)ブロックB5と、(図6の切替手段A5と同じ)切替手段A5が追加される。
加えて、第3実施形態では、実旋回状態量取得手段A4にて、実旋回状態量として、複数種類の状態量が取得され、サイドサポート制御演算ブロックB22(目標サポート量Sptの演算)にて使用される実旋回状態量Jraとは異なる種類の実旋回状態量Jrbに基づいて、ブロックB5にて、サイドサポート制御の実行可否判定が行われる。
具体的には、例えば、ブロックB22にてJraとしてステアリングホイール操作角度θswaが用いられた場合、ブロックB5における判定結果(制御フラグ)Smの演算について、Jrbとして、実ヨーレイトYraや実横加速度Gyaが使用される(図10のブロックB17を参照)。また、ブロックB5における判定結果(制御フラグ)Syの演算において、Yaa(Jrbに相当する)が使用されるため(図7を参照)、Jraとしては、Yaa以外の実旋回状態量が使用される。判定結果(制御フラグ)Sy,Sd,Smの演算においてカーブ情報Rc,Pcが使用されるため、カーブ情報Rc.Pcに基づいて演算される実旋回状態量がJrbに相当する。
以上、本発明の第3実施形態に係る車両のシート制御装置によれば、上記第1、第2実施形態の作用・効果を合わせた作用・効果が得られる。即ち、実旋回状態量Jraそのものに基づいてサイドサポート制御の開始タイミングが調整され得ることに加えて、その開始タイミングの調整に使用された実旋回状態量Jraとは種類が異なる実旋回状態量Jrbに基づく「サイドサポート制御の実行可否判定」に基づいてサイドサポート制御の実行の是非が判定される。これにより、信頼性が低いカーブ情報に基づいてサイドサポート制御が不必要に開始されることがより確実に抑制され得る。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る協調制御装置(サイドサポート制御とカーブ車速制御とを協調して行う装置)について説明する。第4実施形態は、上記第1実施形態に対して、カーブ車速制御の実行に係わる構成が追加された点、並びに、横加速度Gycの演算(従って、サイドサポート制御の実行)において実際の車速Vxに代えてカーブ車速制御に使用される目標車速Vxが使用される点においてのみ異なる。以下、係る相違点について図15、図16を参照しながら説明する。なお、カーブ車速制御とは、車両がカーブを安定して通過できるように、カーブ内で車両を減速する制御である。
図15に示すように、適正車速演算ブロックB24では、車両がカーブ(特に、一定曲率半径区間Zit)を適正に通過するための車速である適正車速Vqoが演算される。カーブ情報Rc,Pcに基づいて、カーブ内の曲率半径が一定となる区間(一定曲率半径区間Zit)の曲率半径Rm1を決定する。曲率半径Rm1に基づいて適正車速Vqoが演算される。適正車速Vqoは、カーブ内の最小曲率半径Rm(図6のブロックB1から得られる)に基づいて演算することもできる。
これらの曲率半径が大きいほど、適正車速Vqoはより大きい値に演算される。曲率半径に応じて概ね同一の横加速度をもって車両がカーブを通過できるように適正車速Vqoが決定される。
更に、適正車速Vqoは、登降坂勾配Kud、道幅(幅員)Wrd、前方の見通しMsk、及び、車速Vxのうちの少なくとも1つ以上に基づいて調整することができる。登降坂勾配Kudが降り坂の場合、平坦路の場合に比して適正車速Vqoがより小さい値に調整され、登り坂の場合、平坦路の場合に比して適正車速Vqoがより大きい値に調整される。道幅Wrdが狭い場合、道幅Wrdが広い場合に比して適正車速Vqoがより小さい値に調整され、道幅Wrdが広い場合、道幅Wrdが狭い場合に比して適正車速Vqoがより大きい値に調整される。前方の見通しMskが悪い場合、見通しMskが良い場合に比して適正車速Vqoがより小さい値に調整され、前方の見通しMskが良い場合、見通しMskが悪い場合に比して適正車速Vqoがより大きい値に調整される。車速Vxが高い場合、車速Vxが低い場合に比して適正車速Vqoがより小さい値に調整され、車速Vxが低い場合、車速Vxが高い場合に比して適正車速Vqoがより大きい値に調整される。
路面摩擦係数μmaxに基づいて、適正車速Vqoを調整することもできる。路面摩擦係数μmaxが大きい場合、適正車速Vqoがより大きい値に調整され、路面摩擦係数μmaxが小さい場合、適正車速Vqoがより小さい値に調整される。路面摩擦係数μmaxの演算は、車輪のセルフアライニングトルクに基づいて行われ得る。車輪の横力が増大していく過程において、セルフアライニングトルクも増大していく。この過程において、横力が飽和する状態(即ち、旋回限界状態)に達する前にセルフアライニングトルクが最大値となる。このため、車両の旋回が限界に達する前に路面摩擦係数μmaxを推定することができる。セルフアライニングトルクの検出については、例えば、特開2008−24073号公報、特開2007−245901号公報、特開2004−233331号公報等に記載された公知の手法の1つを用いることができる。また、セルフアライニングトルクに基づく路面摩擦係数μmaxの演算についても、例えば、特開2007−245901号公報等に記載された公知の手法の1つを利用することができる。
基準地点決定演算ブロックB25では、車速制御を行うための基準地点Pc#が決定される。ここで、添字「#」は各基準地点を意味し、「r」は減速制御の基準となる減速基準地点、「a」は車速維持制御の基準となる維持基準地点、「s」は加速抑制制御の基準となる加速基準地点を表す。以下、図16を参照しながら、図15に示した基準地点決定演算ブロックB25により実行される、基準地点Pc#の設定について詳細に説明する。
<減速基準地点Pcrの設定>
減速基準地点Pcrは、カーブ内の曲率半径が一定となる入口地点Cs(一定曲率半径区間において車両に最も近い地点)に設定することができる。また、カーブ内の曲率半径が最小となる地点Csを、基準地点Pcrとして設定することができる。地点Csは、カーブ形状Rc、及び、カーブ位置Pcに基づいて決定される。
地点Pcrは、一定曲率半径区間の入口地点Cs、或いは、曲率半径最小地点よりも距離Lprだけ車両に近い地点(車両に近い側のカーブへの進入部に当たる緩和曲線の終了部付近)に設定することができる。距離Lprは一定値とすることができる。
また、ブロックB27にて、距離Lprは適正車速Vqoに応じて演算することができる。具体的には、適正車速Vqoが所定値Vq1以下では距離Lprが「0」とされ(即ち、地点PcrがCsと一致し)、Vqo>Vq1(所定値)では、適正車速VqoのVq1からの増加に従って距離Lprが「0」から増大するように距離Lprが決定され得る。
この場合、ブロックB28にて、地点Pcrは、地点Csから距離Lprだけカーブ開始地点Ciに近いカーブ上の地点に設定される。即ち、地点Pcrは、距離Lpr、カーブ形状Rc、及び、地点Cs(カーブ位置Pc)に基づいて設定される。
地点Pcrは車速を適正車速Vqoまで減速するための目標とする地点である。ここで、地図情報等には誤差が含まれる場合がある。上記のように地点Pcrを地点Csよりもカーブ入口Ciに距離Lprだけ近い地点に設定することで、その誤差が吸収され得る。即ち、カーブ内にて車速制御が早めに開始されて、地点Pcrよりカーブ入口Ciに近い側のカーブ上の地点にて車速を適正車速Vqoまで確実に減速させることができる。
<維持基準地点Pcaの設定>
車速維持基準地点Pcaは、カーブ内の曲率半径が一定となる出口地点Ce(一定曲率半径区間で、車両に最も遠い地点)に設定することができる。地点Ceは、カーブ形状Rc、及び、カーブ位置Pcに基づいて決定される。
地点Pcaは、一定曲率半径区間の出口地点Ceに基づいて、地点Ceよりも距離Lpaだけ車両に近い地点(一定曲率半径区間の終了部付近)に設定することができる。距離Lpaは一定値とすることができる。
また、ブロックB29にて、距離Lpaは、一定曲率半径区間の距離Lit及び適正車速Vqoのうちの少なくとも何れか一方に応じて演算することができる。具体的には、距離Litが所定値Li1以下では距離Lpaが「0」とされ(即ち、地点Pcaが地点Ceと一致し)、Lit>Li1(所定値)では、距離LitのLi1からの増加に従って距離Lpaが「0」から増大するように距離Lpaが決定される。また、適正車速Vqoが大きくなるほど距離Lpaがより小さい値に演算され得る。
この場合、ブロックB30にて、地点Pcaは、地点Ceよりも距離Lpaだけカーブ入口Ciに近い側のカーブ上の地点に設定される。即ち、地点Pcaは、距離Lpa、カーブ形状Rc、及び、地点Ce(カーブ位置Pc)に基づいて設定される。
カーブ車速制御では、地点Pcrと地点Pcaとの間で車速Vxが適正車速Vqo以下で推移するように車速Vxが制御(制限)される。上記のように、地点Pcaが点Ceよりも距離Lpaだけカーブ入口Ciに近い側のカーブ上の地点に設定されるのは、車速Vxが適正車速Vqo以下に制御されている状態において運転者のカーブ出口に向けて早目に加速したいという意志を反映するためである。また、車両の安定した走行を確保するため、車速が大きいほど距離Lpaをより小さい値に演算することができる。これにより、車速維持が早めに解除(加速が許可)されることを防止できる。
<加速基準地点Pcsの設定>
加速基準地点Pcsは、一定曲率半径区間の出口地点Ceに基づいて、地点Ceよりも距離Lpsだけ車両に遠い地点に設定することができる。距離Lpsは一定値とすることができる。
また、ブロックB31にて、距離Lpsは、適正車速Vqo及び退出緩和曲線区間の距離Ledのうちの少なくとも何れか一方に応じて演算することができる。具体的には、適正車速Vqoが大きいほど距離Lpsがより大きい値に演算され得る。また、距離Ledが大きいほど距離Lpsがより大きい値に演算され得る。
この場合、ブロックB32にて、地点Pcsは、地点Ceよりも距離Lpaだけカーブ出口Cdに近い側のカーブ上の地点に設定される。即ち、地点Pcsは、距離Lps、カーブ形状Rc、及び、地点Ce(カーブ位置Pc)に基づいて設定される。
カーブ車速制御では、地点Pcaと地点Pcsとの間で車両の加速が制限される。即ち、運転者の加速操作に対する車両の加速度が、カーブ車速制御が実行されていない通常の場合に比して、より低い値に制限される。上記のように、適正車速Vqoが大きいほど距離Lpsをより大きい値に演算するのは、車速が大きい場合において加速が制限される距離を長くして安定した走行を確保するためである。また、距離Ledが大きいほど距離Lpsをより大きい値に演算するのは、退出緩和曲線区間の長さにかかわらず退出緩和曲線区間における入口側の一定割合の区間にて加速制限を実行して安定した走行を確保するためである。
再び、図15を参照すると、目標車速演算ブロックB26では、目標車速Vtが演算される。基準地点Pc#、及び、適正車速Vqoに基づいて、車両位置Pvhにおける目標車速Vtを演算するための目標車速演算特性Vtchが決定される。具体的には、カーブ入口側から基準地点Pcr(点A)まで車速が減速度Gi(例えば、予め設定された定数)をもって減少していき、基準地点Pcr(点A)で車速が適正車速Vqoとなる特性、基準地点Pcr(点A)から基準地点Pca(点B)まで車速が適正車速Vqoに維持される特性、及び、基準地点Pca(点B)で車速が適正車速Vqoとなり、基準地点Pca(点B)からカーブ出口に向けて基準地点Pcs(点C)まで車速が加速度Go(例えば、予め設定された定数)をもって増大していく特性、を組み合わせて、目標車速演算特性Vtchが決定される。
減速度Gi、及び、加速度Goのうちの少なくとも一方は、路面摩擦係数μmaxに基づいて調整することができる。路面摩擦係数μmaxが大きい場合、減速度Gi、或いは、加速度Goをより大きい値に調整し、路面摩擦係数μmaxが小さい場合、減速度Gi、或いは、加速度Goをより小さい値に調整することができる。
このように基準地点Pc#、及び、適正車速Vqoに基づいて決定された目標車速演算特性Vtchに、車両位置Pvhを入力することで、車両位置Pvhにおける目標車速Vtが演算される。
車速制御手段A8では、上述のようにブロックB26にて演算される「車両位置Pvhにおける目標車速Vt」と、車速取得手段A3(図6を参照)にて取得される現在の車速Vxとに基づいてカーブ車速制御が達成される。
具体的に述べると、先ず、比較手段A81では、現在の実際の車速Vxと、ブロックB26にて得られる「車両位置Pvhにおける目標車速Vt」との偏差ΔVx(=Vx−Vt)が演算される。
車速制御量演算ブロックA82では、車速偏差ΔVxに基づいて車速制御量Gstが演算される。車速制御量Gstは、偏差ΔVxが負のときは「0」に、偏差ΔVxが正のときは偏差ΔVxが大きいほどより大きい値に演算される。車速制御量Gstは、路面摩擦係数μmaxに基づいて調整することができる。この場合、路面摩擦係数μmaxが大きいほど車速制御量Gstがより大きい値に調整され得る。
この車速制御量Gstに基づいて、実際の車速Vxが目標車速Vtを超えないように、エンジン出力低減手段A83によるエンジン出力の低減(スロットル開度の低減、点火時期の遅角、及び燃料噴射量の低減のうちで少なくとも1つが実行される)、変速機制御手段A84による変速機制御(シフトダウンによって減速比が増大される)によるエンジンブレーキの増大、及び車輪ブレーキ制御手段A85による制動トルク(制動圧力)の付与のうちの少なくとも1つが実行される。これにより、カーブ車速制御が実行されて、車速制御量Gstに応じて車両が減速される。
運転者によって制動操作部材(ブレーキペダルBP)が操作される場合、車輪ブレーキ制御手段A85による制動トルク(制動圧力)と、ブレーキ入力手段A86により得られる制動操作部材の操作量に対応する制動トルク(制動圧力)とのうちで大きい方の制動トルク(制動圧力)が、最大値選択手段A87により選択される。この選択された制動トルク(制動圧力)が車輪ブレーキ手段A88(例えば、ブレーキディスク及びキャリパ)を用いて所定の車輪に与えられる。これにより、カーブ車速制御中において、運転者の制動操作に基づく制動トルクのオーバライドが可能となる。
車輪ブレーキ制御手段A85では、制動トルクの時間に対する増加勾配を所定値に制限する制限手段が備えられる。これは、何らかの原因で車速制御量Gstが急増して車両が急減速することを抑制するためである。或いは、何らかの原因で車速制御量Gstが急減して車両の減速度が急に減少することを抑制するためである。
以上のように、第4実施形態では、車両がカーブに差し掛かり、車速Vxが「車両位置Pvhにおける目標車速Vt」を超えると、カーブ車速制御が開始される。カーブ車速制御では、現在の車速VxがブロックB26にて演算される目標車速演算特性Vtchから得られる「車両位置Pvhにおける目標車速Vt」を超えないように車速制御量Gstに応じて車両が減速される。
加えて、この第4実施形態では、上記第1実施形態について図6を参照しながら説明したサイドサポート制御が実行される。ただし、横加速度演算ブロックB3における横加速度Gycの演算において、図6に示したブロックB3に代えて図15に示したブロックB3が使用される。即ち、車両位置曲率半径Rvhと現在の車速Vxとではなく、車両位置曲率半径Rvhと「車両位置Pvhにおける目標車速Vt」とに基づいて、車両位置Pvhにおける横加速度Gyc(=Vx/Rvh)が演算される。Rvhは、図6のブロックB1から得られる。Vtは、図15のブロックB26から得られる。
このように、第4実施形態では、車両の実際の車速Vxに代えて、カーブ車速制御に使用される目標車速Vtに基づいて横加速度Gycが演算され、このGycとGy1,Gy0との比較結果に基づいてサイドサポート制御が行われる(図6のブロックB4等を参照)。これは以下の理由に基づく。
即ち、カーブ車速制御中では、実際の車速Vxは目標車速Vtに追従させられる制御対象となる。これに起因して、カーブ車速制御中では、実際の車速Vxが目標車速Vtの近傍にて微小変動しながら(揺らぎながら)推移する場合がある。この場合、実際の車速Vxに基づいてサイドサポート制御が行われると、サイドサポート制御の開始・終了タイミングが安定し得ない。これに対し、第4実施形態では、値が安定した(揺らがない)カーブ車速制御の目標車速Vtに基づいてサイドサポート制御が行われる。この結果、サイドサポート制御の開始・終了タイミングが安定し得る。
本発明は上記第4実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記第4実施形態では、車両の実際の車速Vxに代えてカーブ車速制御に使用される目標車速Vtに基づいて、上記第1実施形態にて説明したサイドサポート制御が行われているが、車両の実際の車速Vxに代えてカーブ車速制御に使用される目標車速Vtに基づいて、図11に示した上記第1実施形態の変形例にて説明したサイドサポート制御が行われてもよい。
具体的には、この場合、制御開始・終了位置演算ブロックB20における「カーブ位置に対する横加速度Gyeの特性Gch」の演算において、図11に示したブロックB20に代えて図17に示したブロックB20が使用される。即ち、カーブ情報Rc,Pcと現在の車速Vxとではなく、カーブ情報Rc,Pcと「車両位置Pvhにおける目標車速Vt」とに基づいて、「カーブ位置に対する横加速度Gyeの特性Gch」が演算される。そして、この特性Gchに基づいて制御地点Pc1,Pc0が演算され、車両位置Pchが制御地点Pc1,Pc0を通過したか否かに基づいてサイドサポート制御が行われる。
これによっても、上記第4実施形態と同様、値が安定した(揺らがない)カーブ車速制御の目標車速Vtに基づいてサイドサポート制御が行われる。この結果、サイドサポート制御の開始・終了タイミングが安定し得る。
AP…アクセルペダル、BP…ブレーキペダル、WS**…車輪速度センサ、PW**…制動圧力センサ、EG…エンジン、TM…変速機、BRK…ブレーキアクチュエータ、SHT…シート、SA…ステアリングホイール角度センサ、FS…前輪舵角センサ、YR…ヨーレイトセンサ、GY…横加速度センサ、SB1,SB2…サイドサポート制御手段、サポート部材BZ1,BZ2、ECU…電子制御ユニット、NAV…ナビゲーション装置、GPS…グローバル・ポジショニング・システム、MAP…記憶部

Claims (4)

  1. 車両の前方にあるカーブの情報を取得するカーブ情報取得手段と、
    前記カーブ情報に基づいて、前記車両のシートに着座している乗員の左右側部を支える前記シートに備えられたサポート部材のサポート量を調整するサイドサポート制御を実行するサイドサポート制御手段と、
    を備えた車両のシート制御装置であって、
    前記車両の実際の旋回状態を表す実旋回状態量を取得する実旋回状態量取得手段を備え、
    前記サイドサポート制御手段は、
    前記カーブ情報に基づいて前記サポート量の大きさを決定し、且つ、前記実旋回状態量に基づいて前記サイドサポート制御の開始タイミングを決定するように構成され
    前記サイドサポート制御手段は、
    前記実旋回状態量に基づいて前記車両の方位角を演算する方位角演算手段を備え、
    前記方位角に基づいて前記サイドサポート制御の開始タイミングを決定するように構成された車両のシート制御装置。
  2. 車両の前方にあるカーブの情報を取得するカーブ情報取得手段と、
    前記カーブ情報に基づいて、前記車両のシートに着座している乗員の左右側部を支える前記シートに備えられたサポート部材のサポート量を調整するサイドサポート制御を実行するサイドサポート制御手段と、
    を備えた車両のシート制御装置であって、
    前記車両の実際の旋回状態を表す実旋回状態量として複数の種類の状態量を取得する実旋回状態量取得手段を備え、
    前記サイドサポート制御手段は、
    前記実旋回状態量に基づいて前記サイドサポート制御の実行を許可する許可状態か前記サイドサポート制御の実行を禁止する禁止状態かを判定する判定手段を備え、
    前記カーブ情報に基づいて前記サポート量の大きさを決定し、且つ、前記判定手段により使用される前記実旋回状態量とは種類の異なる前記実旋回状態量に基づいて前記サイドサポート制御の開始タイミングを決定するとともに、
    前記判定手段の判定結果が前記許可状態にある場合において前記サイドサポート制御を実行し、前記判定手段の判定結果が前記禁止状態にある場合において前記サイドサポート制御を実行しないように構成された車両のシート制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両のシート制御装置において、
    前記判定手段は、
    前記実旋回状態量に基づいて前記車両の旋回方向を演算する旋回方向演算手段と、
    前記カーブ情報に基づいて前記車両の進行方向に対する前記カーブの方向を演算するカーブ方向演算手段と、
    を備え、
    前記旋回方向と前記カーブの方向とが一致するか否かに基づいて前記判定を行うように構成された車両のシート制御装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の車両のシート制御装置において、
    前記判定手段は、
    前記実旋回状態量に基づいて前記車両の実際の旋回の程度を表す指標となる実旋回指標を演算する実旋回指標演算手段と、
    前記カーブ情報に基づいて前記実旋回指標に対応する計算旋回指標を演算する計算旋回指標演算手段と、
    を備え、
    前記実旋回指標と前記計算旋回指標との比較結果に基づいて前記判定を行うように構成された車両のシート制御装置。
JP2009029280A 2009-02-12 2009-02-12 車両のシート制御装置 Expired - Fee Related JP5420263B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009029280A JP5420263B2 (ja) 2009-02-12 2009-02-12 車両のシート制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009029280A JP5420263B2 (ja) 2009-02-12 2009-02-12 車両のシート制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010184561A JP2010184561A (ja) 2010-08-26
JP5420263B2 true JP5420263B2 (ja) 2014-02-19

Family

ID=42765490

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009029280A Expired - Fee Related JP5420263B2 (ja) 2009-02-12 2009-02-12 車両のシート制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5420263B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI693968B (zh) 2015-04-28 2020-05-21 日商久保田股份有限公司 稻穀脫殼裝置

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6442293B2 (ja) * 2015-01-13 2018-12-19 株式会社Subaru 車両の制動制御装置
JP6455384B2 (ja) * 2015-09-29 2019-01-23 日産自動車株式会社 車両用情報提示装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0476531U (ja) * 1990-11-16 1992-07-03
JP2006123626A (ja) * 2004-10-27 2006-05-18 Nissan Motor Co Ltd 車両用シート制御装置
JP4845642B2 (ja) * 2006-08-24 2011-12-28 トヨタ自動車株式会社 車両用シート制御装置
JP2008137551A (ja) * 2006-12-04 2008-06-19 Aisin Seiki Co Ltd 車両用シート装置
JP5046662B2 (ja) * 2007-01-24 2012-10-10 アイシン精機株式会社 車両用シート装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI693968B (zh) 2015-04-28 2020-05-21 日商久保田股份有限公司 稻穀脫殼裝置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010184561A (ja) 2010-08-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5468549B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP5286027B2 (ja) 車両安定化制御装置
JP5257923B2 (ja) 車両の運動制御装置
JP5279429B2 (ja) 車両の速度制御装置
JP5137764B2 (ja) 車両の速度制御装置
US8195371B2 (en) Motion control device for vehicle
JP5546106B2 (ja) 車両の運動制御装置
EP2168832B1 (en) Speed control device for vehicle
JP5363906B2 (ja) 車両の速度制御装置
JP5341469B2 (ja) 車両の制御装置
JP5420263B2 (ja) 車両のシート制御装置
JP2009179247A (ja) 車両の運動制御装置
JP5485562B2 (ja) 車両のシート制御装置
JP5572184B2 (ja) 車両の運動制御装置
JP5544095B2 (ja) 車両のシート制御装置
JP5363907B2 (ja) 車両の速度制御装置
JP4929196B2 (ja) 車両の運動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111201

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130611

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130809

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131029

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5420263

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees