しかし、上記従来の車両用シート装置では、カーブ走行中において、必ずしも乗員の意思に沿ったサイドサポート部の制御がなされるとは限らない場合がある。すなわち、一般的なカーブ走行や交差点での右折又は左折走行においては、低速でカーブや交差点に進入し、カーブ(右折又は左折)終了に近づくにしたがって高い車速となり、最後に直線走行になる場合が多いと考えられる。この場合、横加速度は、カーブ(右折又は左折)進入時は小さく、カーブ(右折又は左折)終了に近づくにしたがって大きくなり、さらにカーブ(右折又は左折)終了によりゼロに近くなる。そのため、カーブ(右折又は左折)進入時には制御量が所定値より小さいためサイドサポート部の開閉制御が行われず、カーブ(右折又は左折)終了に近づくと制御量が所定値以上となってサイドサポート部の開閉制御が行われることになる。しかし、カーブ(右折又は左折)終了により、再度、制御量が所定値より小さくなるため、サイドサポート部の開閉制御が行われなくなる。この際、サイドサポート部の開閉制御が行われる時間が短いため、かえって体感的に違和感があり、サイドサポート部の開閉制御の必要性が認められない。この現象の発生頻度は、交差点での右折又は左折走行時等において高いと考えられ、乗員にとって煩わしく感じられる。
また、緩やかなカーブの途中で低速走行が必要となるような場合、例えば、ヘアピンカーブを挟んだ緩やかなカーブの走行においては、ある程度の車速で緩やかなカーブを走行し、低速でヘアピンカーブを走行する場合が多いと考えられる。この場合、横加速度は、ヘアピンカーブ及び緩やかなカーブの全体において、ある程度の大きさがある。そのため、緩やかなカーブでは制御量が所定値以上となりサイドサポート部の開閉制御が行われ、ヘアピンカーブ走行中においては制御量が所定値より小さくなりサイドサポート部の開閉制御が行われないことが起こり得る。この現象は、乗員の意思に反しているものであり、乗員の不安感を煽りかねない。
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、乗員の意思に沿ったサイドサポート部の制御が可能な車両用シート装置を提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る車両用シート装置の特徴は、道路状況に応じてサイドサポート部の制御量を算出し、該制御量に基づくサポート要求により該サイドサポート部を開閉駆動する車両用シート装置において、車速が第1速度以上の場合には前記サポート要求により前記サイドサポート部を開閉駆動させる駆動モードと、車速が該第1速度より低い場合には該サイドサポート部の開閉駆動を禁止する禁止モードとのいずれかのモードを決定するモード決定手段を有し、該モード決定手段は、前記禁止モードにおいて前記サポート要求が発生している場合に、車速が前記第1速度以上になった場合でも前記禁止モードを維持し、前記駆動モードにおいて前記サポート要求が発生している場合に、車速が前記第1速度より低くなった場合でも前記駆動モードを維持することである。
請求項2に係る車両用シート装置の特徴は、道路状況に応じてサイドサポート部の制御量を算出し、該制御量に基づくサポート要求により該サイドサポート部を開閉駆動する車両用シート装置において、車速が第1速度以上の場合には前記サポート要求により前記サイドサポート部を開閉駆動させる駆動モードと、車速が該第1速度より低い場合には該サイドサポートの開閉駆動を禁止する禁止モードとのいずれかのモードを決定するモード決定手段を有し、該モード決定手段は、前記禁止モードにおいて舵角、旋回角速度、左右両輪の速度差及び横加速度のいずれかが所定値以上である場合に、車速が前記第1速度以上になった場合でも前記禁止モードを維持し、前記駆動モードにおいて前記舵角、旋回角速度、左右両輪の速度差及び横加速度のいずれかが所定値以上である場合に、車速が前記第1速度より低くなった場合でも前記駆動モードを維持することである。
請求項3に係る車両用シート装置の特徴は、請求項1又は2において、前記モード決定手段は、車速が前記第1速度よりも小さい第2速度より低い極低速である場合には、強制的に前記禁止モードとすることである。
請求項4に係る車両用シート装置の特徴は、請求項3において、前記モード決定手段は、車速が第2速度より低い状態が所定時間以上継続した場合に極低速と判断することである。
請求項5に係る車両用シート装置の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記第1速度は、前記駆動モードから前記禁止モードへの切換え判定に用いられる禁止速度と、前記禁止モードから前記駆動モードへの切換え判定に用いられる駆動速度とからなり、前記駆動速度は前記禁止速度より大きいことである。
請求項6に係る車両用シート装置の特徴は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記モード決定手段は、前後加速度が所定値以上又は舵角速度が所定値以上である場合には、強制的に前記駆動モードとすることである。
請求項7に係る車両用シート装置の特徴は、請求項1乃至6のいずれか1項において、前記モード決定手段は、操舵ハンドルが切戻し状態である場合には、強制的に前記禁止モードとすることである。
請求項1に係る車両用シート装置においては、車速が第1速度以上の場合にはサポート要求によりサイドサポート部を開閉駆動させる駆動モードと、車速が第1速度より低い場合にはサイドサポート部の開閉駆動を禁止する禁止モードとのいずれかのモードを決定するモード決定手段を有している。そして、禁止モードにおいてサポート要求が発生している場合に、車速が前記第1速度以上になった場合でもモード決定手段が禁止モードを維持するため、サイドサポート部の開閉制御が行われていないカーブ(右折又は左折)進入時からカーブ(右折又は左折)終了に近づいて車速が前記第1速度以上と高くなる場合であっても、サイドサポート部の開閉制御が禁止される。また、駆動モードにおいてサポート要求が発生している場合に、車速が前記第1速度より低くなった場合でもモード決定手段が駆動モードを維持するため、サイドサポート部の開閉制御が行われている緩やかなカーブの途中で車速が前記第1速度より低い速度となる低速走行が必要となるような場合であっても、サイドサポート部の開閉制御が継続される。そのため、車両の乗員は体感的に違和感を感じることがない。したがって、この車両用シート装置によれば、乗員の意思に沿ったサイドサポート部の制御が可能になる。
請求項2に係る車両用シート装置においては、車速が第1速度以上の場合にはサポート要求によりサイドサポート部を開閉駆動させる駆動モードと、車速が第1速度より低い場合にはサイドサポートの開閉駆動を禁止する禁止モードとのいずれかのモードを決定するモード決定手段を有している。そして、禁止モードにおいて舵角、旋回角速度、左右両輪の速度差及び横加速度のいずれかが所定値以上である場合に、車速が前記第1速度以上になった場合でもモード決定手段が禁止モードを維持するため、サイドサポート部の開閉制御が行われていないカーブ(右折又は左折)進入時からカーブ(右折又は左折)終了に近づいて車速が前記第1速度以上と高くなる場合であっても、サイドサポート部の開閉制御が禁止される。また、駆動モードにおいて舵角、旋回角速度、左右両輪の速度差及び横加速度のいずれかが所定値以上である場合に、車速が前記第1速度より低くなった場合でもモード決定手段が駆動モードを維持するため、サイドサポート部の開閉制御が行われている緩やかなカーブの途中で車速が前記第1速度より低い速度となる低速走行が必要となるような場合であっても、サイドサポート部の開閉制御が継続される。そのため、車両の乗員は体感的に違和感を感じることがない。したがって、この車両用シート装置によれば、乗員の意思に沿ったサイドサポート部の制御が可能になる。
請求項3に係る車両用シート装置においては、車速が第1速度よりも小さい第2速度より低い極低速である場合には、モード決定手段が強制的に禁止モードとするため、サイドサポート部の開閉制御が行われている緩やかなカーブの途中で徐行又は停車する場合、サイドサポート部の開閉制御が禁止される。そのため、乗員は煩わしさを感じることがない。
請求項4に係る車両用シート装置においては、車速が第2速度より低い状態が所定時間以上継続した場合には、モード決定手段が極低速と判断して強制的に禁止モードとするため、安定したサイドサポート部の制御が可能となる。
請求項5に係る車両用シート装置においては、第1速度は、駆動モードから禁止モードへの切換え判定に用いられる禁止速度と、禁止モードから駆動モードへの切換え判定に用いられる駆動速度とからなり、駆動速度が禁止速度より大きいため、禁止モードと駆動モードとの切換えを頻繁に繰り返すことを防止でき、安定したサイドサポート部の制御が可能となる。
請求項6に係る車両用シート装置においては、前後加速度が所定値以上又は舵角速度が所定値以上である場合には、モード決定手段が強制的に駆動モードとするため、禁止モードから駆動モードに適切に切換えることができる。
請求項7に係る車両用シート装置においては、操舵ハンドルが切戻し状態である場合には、モード決定手段が強制的に禁止モードとするため、駆動モードから禁止モードに適切に切換えることができる。
本発明に係る車両用シート装置を具体化した実施形態1〜5を図面に基づいて以下に説明する。図1、2は、実施形態1〜5の車両用シート装置の斜視図及び平面図である。図1に示すように、実施形態1〜5の車両用シート装置は、シートスライド装置10とシート13とを備えている。シートスライド装置10は、フロア90に固定され車両の前後方向に延在する一対のロアレール11と、ロアレール11に対し移動可能に支持されるアッパレール12等で構成されている。シート13は、乗員が着座するシートクッション14と、乗員の背中を支持するシートバック15とを有している。シートバック15の右側及び左側には、乗員の上体をサイドから押圧して姿勢を安定させる右サイドサポート部16及び左サイドサポート部17が設けられている。また、シートフレーム18の右側及び左側には、減速機構を備える右サイドサポートモータ26及び左サイドサポートモータ27が設けられ、両サイドサポートモータ26、27により右サポートフレーム16a及び左サポートフレーム17aが揺動可能にされている。両サイドサポートモータ26、27を駆動することにより両サポートフレーム16a、17aが揺動され、これにより図2に示すように、両サイドサポート部16、17が開閉されるようになっている。右サイドサポート部16及び左サイドサポート部17が「サイドサポート部」である。
図3は、実施形態1〜5の車両用シート装置の電気的接続図である。サイドサポートECU20には、車速センサ22、横加速度センサ23、舵角センサ24、前後加速度センサ25及びジャイロセンサ30が接続され、各センサ22、23、24、25が検出した車速、横加速度、舵角、前後加速度及び旋回角速度が入力される。また、サイドサポートECU20には、カーナビゲーションシステム21が接続され、カーナビゲーションシステム21から車両の位置、進行方向、電子地図データ等が逐次入力される。さらに、サイドサポートECU20には、右サイドサポートモータ26、左サイドサポートモータ27、右ロータリーエンコーダ28及び左ロータリーエンコーダ29が接続されている。サイドサポートECU20は右サイドサポートモータ26及び左サイドサポートモータ27に駆動信号を出力するとともに、両サイドサポートモータ26、27に設けられた右ロータリーエンコーダ28及び左ロータリーエンコーダ29からフィードバック用の位置信号を入力する。
以上の構成をした車両用シート装置における処理の概要を説明する。まず、図示しないプログラムモジュール1により、両サイドサポート部16、17の制御量が算出され、この制御量に基づくサポート要求が出力される。すなわち、プログラムモジュール1において、カーナビゲーションシステム21、車速センサ22及び横加速度センサ23等から入力された情報から両サイドサポート部16、17の制御量が算出され、この制御量に基づくサポート要求が出力される。
このプログラムモジュール1から出力されたサポート要求は、図4、図7〜10のフローチャートで示されるサポート要求調整プログラムのうちの1つにより入力される。このサポート要求調整プログラムにおいては、車両の走行状況に基づいてサポート要求の出力の必要性の有無が判断される。そして、サポート要求の出力の必要性があると判断された場合にはサポート要求が出力され、サポート要求の出力の必要性がないと判断された場合にはサポート要求の出力が禁止される。
最後に、図示しないプログラムモジュール2により、サポート要求調整プログラムからの出力に基づいて両サイドサポート部16、17の制御がなされる。すなわち、プログラムモジュール2において、サポート要求調整プログラムからサポート要求が入力された場合、原則として、両サイドサポートモータ26、27に駆動信号が出力され、両サイドサポート部16、17が開閉制御される。また、サポート要求調整プログラムからサポート要求が入力されない場合、原則として、両サイドサポートモータ26、27への通電が停止され、両サイドサポート部16、17の開閉駆動が停止される。ただし、プログラムモジュール2においては、例えば、乗員が両サイドサポート部16、17の制御を手動に切換えた等、他のプログラムモジュールからの要求も考慮して、両サイドサポート部16、17の開閉制御を行うか否かが総合的に判断される。なお、プログラムモジュール1、2はサイドサポートECU20により実行されているが、他のECUにより実行されてもよい。
次に、実施形態1の車両用シート装置における処理を説明する。図4に示すサポート要求調整プログラムが実行されると、ステップS10において、プログラムモジュール1から出力されたサポート要求、車速センサ22から出力された車速V等の各種データが取得される。ステップS11においては、車速Vが第1速度V1以上である場合、通常速度であると判断され、ステップS12が実行される。また、車速Vが第1速度V1より小さく、かつ第2速度V2以上である場合、低速であると判断され、ステップS14が実行される。さらに、車速Vが第2速度V2より小さい場合、極低速であると判断され、ステップS16が実行される。なお、例えば、第1速度V1を40km/h、第2速度V1を20km/hとすることができる。
ステップS12においては、プログラムモジュール1からサポート要求が出力されているか否かが調べられる。プログラムモジュール1からサポート要求が出力されている場合(YES)、ステップS15が実行される。また、サポート要求が出力されていない場合(NO)、ステップS13が実行される。ステップS13においては、現在モードを駆動モードとした後、ステップS17が実行される。ここで、現在モードとは、両サイドサポート部16、17の開閉駆動を行うか否かを示すフラグである。両サイドサポート部16、17の開閉駆動を行う場合、駆動モードである。また、両サイドサポート部16、17の開閉駆動を禁止する場合、禁止モードである。
ステップS14においては、プログラムモジュール1からサポート要求が出力されているか否かが調べられる。プログラムモジュール1からサポート要求が出力されている場合(YES)、ステップS15が実行される。また、サポート要求が出力されていない場合(NO)、ステップS16が実行される。ステップS15においては、前回モードの値が現在モードに書き込まれた後、ステップS17が実行される。ここで、サポート要求調整プログラムは所定サイクル毎に繰り返し実行されており、前回モードとは、現在より1つ前のサイクルにおいて記憶された両サイドサポート部16、17の開閉駆動を行うか否かを示すフラグである。
ステップS16においては、現在モードを禁止モードとした後、ステップS17が実行される。ステップS17においては、現在モードの値が前回モードに書き込まれた後、ステップS18が実行される。このように、現在モードの値が前回モードに書き込まれるのは、次のサイクルにおいてステップS15が実行される場合、この前回モードの内容が用いられるからである。なお、ステップS13、S15、S16が「モード決定手段」である。
ステップS18においては、現在モードが駆動モードであるか否かが調べられる。現在モードが駆動モードである場合(YES)、ステップS19において、プログラムモジュール2にサポート要求が出力され、サポート要求調整プログラムが終了される。現在モードが禁止モードである場合(YES)、プログラムモジュール2にサポート要求が出力されることなく、サポート要求調整プログラムが終了される。
実施形態1に係る車両用シート装置においては、車速が第1速度V1以上の場合にはサポート要求によりサイドサポート部16、17を開閉駆動させる駆動モードと、車速が第1速度V1より低い場合にはサイドサポート部16、17の開閉駆動を禁止する禁止モードとのいずれかのモードを決定するステップS13、S15、S16を有している。そして、禁止モードにおいて、サポート要求が発生している場合には、ステップS15が車速にかかわらず禁止モードを維持するため、サイドサポート部16、17の開閉制御が行われていないカーブ(右折又は左折)進入時からカーブ(右折又は左折)終了に近づいて車速が高くなる場合であっても、サイドサポート部16、17の開閉制御が禁止される。また、駆動モードにおいて、サポート要求が発生している場合には、ステップS15が車速にかかわらず駆動モードを維持するため、サイドサポート部16、17の開閉制御が行われている緩やかなカーブの途中で低速走行が必要となるような場合であっても、サイドサポート部16、17の開閉制御が継続される。そのため、車両の乗員は体感的に違和感を感じることがない。したがって、この車両用シート装置によれば、乗員の意思に沿ったサイドサポート部16、17の制御が可能になる。
なお実施形態1に係る車両用シート装置においては、ステップS12、S14においてサポート要求の有無が判断されるが、サポート要求の代わりに、舵角、旋回角速度、左右両輪の速度差及び横加速度のいずれかを用いることもできる。すなわち、舵角、旋回角速度、左右両輪の速度差及び横加速度のいずれかが所定値以上である場合には、車両が旋回しているものと判断される。これによっても、上記と同様の効果を得ることができる。
また、実施形態1に係る車両用シート装置においては、車速が第1速度V1よりも小さい第2速度V2より低い場合には、ステップS16が強制的に禁止モードとするため、サイドサポート部16、17の開閉制御が行われている緩やかなカーブの途中で徐行又は停車する場合、サイドサポート部16、17の開閉制御が禁止される。そのため、乗員は煩わしさを感じることがない。
次に、図5に示す矢印のように、車両が交差点を右折して走行する場合の処理をサポート要求調整プログラムに従って説明する。ただし、第1速度を40km/hとする。まず、車両が位置Aを35km/hで直線走行して、交差点に進入を開始しているものとする。この際、直線走行であり横加速度が発生していないため、プログラムモジュール1からサポート要求は出力されておらず、ステップS14、S16により禁止モードとされる。そして、プログラムモジュール2により両サイドサポートモータ26、27への通電が停止され、両サイドサポート部16、17の開閉駆動が停止される。
車両が位置Bにおいて30km/hで右折を開始すると、車両が旋回中となり横加速度が発生し、プログラムモジュール1からサポート要求が出力される。しかし、ステップS14、S15により、前回モードである禁止モードが維持されるため、プログラムモジュール2により両サイドサポート部16、17の開閉駆動の停止が維持される。
車両が旋回終了付近の位置Cを40km/hで走行すると、車両は旋回中であり横加速度が発生しており、プログラムモジュール1からサポート要求が出力される。しかし、ステップS12、S15により、前回モードである禁止モードが維持されるため、プログラムモジュール2により両サイドサポート部16、17の開閉駆動の停止が維持される。
車両が位置Dを45km/hで直線走行を開始すると、横加速度が発生していないため、プログラムモジュール1からサポート要求は出力されない。そして、ステップS12、S13において駆動モードとされるものの、サポート要求が出力されていないため、プログラムモジュール2により両サイドサポート部16、17の開閉駆動の停止が維持される。
以上のサポート要求調整プログラムを備えていない場合、すなわち、車両の速度が40km/h未満のとき両サイドサポート部16、17の開閉駆動を強制的に停止するとともに、車両の速度が40km/h以上のときサポート要求により両サイドサポート部16、17の開閉駆動を行う場合では、位置Cと位置Dとの間のみ両サイドサポート部16、17の開閉駆動が行われることとなる。それに対し、サポート要求調整プログラムを備えている場合、位置Aから位置Dに亘って両サイドサポート部16、17の開閉駆動の停止が維持されるため、車両の乗員は体感的に違和感を感じることがなく、乗員の意思に沿ったサイドサポート部16、17の制御が可能になることがわかる。
また、図6に示す矢印のように、車両がヘアピンカーブを挟んだ緩やかなカーブを走行する場合の処理をサポート要求調整プログラムに従って説明する。ただし、第1速度を40km/hとする。まず、車両が駆動モードにおいて、位置Eを45km/hで緩やかなカーブを走行しているものとする。この際、車両は旋回中であり横加速度が発生しており、プログラムモジュール1からサポート要求が出力される。そのため、ステップS12、S15により、前回モードである駆動モードが維持される。そして、プログラムモジュール2により、両サイドサポートモータ26、27に駆動信号が出力され、両サイドサポート部16、17が開閉制御されている。
車両がヘアピンカーブにさしかかり、位置Fにおいて35km/hに減速しても、車両は旋回中であり横加速度が発生しており、プログラムモジュール1からサポート要求が出力される。そして、ステップS14、S15により、前回モードである駆動モードが維持されるため、プログラムモジュール2により両サイドサポート部16、17の開閉駆動が継続される。
車両がヘアピンカーブの走行を終え、位置Gにおいて40km/hで緩やかなカーブの走行を開始すると、車両は旋回中であり横加速度が発生しており、プログラムモジュール1からサポート要求が出力される。そして、ステップS12、S15により、前回モードである駆動モードが維持されるため、プログラムモジュール2により両サイドサポート部16、17の開閉駆動が継続される。
以上のサポート要求調整プログラムを備えていない場合、すなわち、車両の速度が40km/h未満のとき両サイドサポート部16、17の開閉駆動を強制的に停止するとともに、車両の速度が40km/h以上のときサポート要求により両サイドサポート部16、17の開閉駆動を行う場合では、位置Fと位置Gとの間のみ両サイドサポート部16、17の開閉駆動が行われないこととなる。それに対し、サポート要求調整プログラムを備えている場合、位置Eから位置Gに亘って両サイドサポート部16、17の開閉駆動が行われるため、車両の乗員は体感的に違和感を感じることがなく、乗員の意思に沿ったサイドサポート部16、17の制御が可能になることがわかる。
次に、実施形態2の車両用シート装置における処理を、図7に示すサポート要求調整プログラムのフローチャートにより説明する。ただし、図4の実施形態1に係るサポート要求調整プログラムのフローチャートと同じ処理については、同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
ステップS21においては、車速Vが極低速であるか否かが調べられる。車速Vが第2速度V2未満の場合(YES)、車速Vが極低速であると判断され、ステップS16が実行される。ステップS22においては、駆動モードであるか否かが調べられる。駆動モードである場合(YES)、ステップS23が実行され、禁止モードである場合(NO)、ステップS24が実行される。
ステップS23においては、車速Vが禁止速度VP以上であるか否かが調べられる。車速Vが禁止速度VP以上である場合(YES)、ステップS12が実行され、車速Vが禁止速度VP未満である場合(NO)、ステップS14が実行される。また、ステップS24においては、車速Vが駆動速度VD以上であるか否かが調べられる。車速Vが駆動速度VD以上である場合(YES)、ステップS12が実行され、車速Vが駆動速度VD未満である場合(NO)、ステップS14が実行される。ここで、禁止速度VP及び駆動速度VDとして、例えば、各々30km/h、40km/hとすることができる。また、ステップS23、S14、S16が実行されると、駆動モードから禁止モードに切換えられる。一方、ステップS24、S12、S13実行されると、禁止モードから駆動モードに切換えられる。
実施形態2に係る車両用シート装置においては、禁止モードから駆動モードへの切換え判定に用いられる駆動速度VDが駆動モードから禁止モードへの切換え判定に用いられる禁止速度VPより大きい。そのため、禁止モードと駆動モードとの切換えを頻繁に繰り返すことを防止でき、安定したサイドサポート部16、17の制御が可能となる。その他の作用、効果は実施形態1と同様である。
実施形態3の車両用シート装置における処理を、図8に示すサポート要求調整プログラムのフローチャートにより説明する。ただし、図7の実施形態2に係るサポート要求調整プログラムのフローチャートと同じ処理については、同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
ステップS31においては、一定時間が経過している場合(YES)、ステップS16が実行されて、駆動モードから禁止モードに切換えられる。また、一定時間が経過していない場合(NO)、ステップS15が実行されて、前回モードが維持される。
実施形態3に係る車両用シート装置においては、車速Vが第2速度V2より低い状態が一定時間以上継続した場合に、ステップS16により強制的に禁止モードとされる。そのため、瞬間的に車速Vが第2速度V2より低くなった場合には、禁止モードとされることはなく、安定したサイドサポート部16、17の制御が可能となる。その他の作用、効果は実施形態2と同様である。
実施形態4の車両用シート装置における処理を、図9に示すサポート要求調整プログラムのフローチャートにより説明する。ただし、図8の実施形態3に係るサポート要求調整プログラムのフローチャートと同じ処理については、同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
ステップS41においては、前後加速度センサ25から入力された前後加速度が所定値以上であるか否かが判断される。前後加速度が所定値以上である場合(YES)、ステップS13が実行され、駆動モードにされる。前後加速度が所定値未満である場合(NO)、ステップS22が実行される。ただし、ステップS41において、前後加速度の代わりに、舵角センサ24から入力された舵角より求められる舵角速度を用いてもよい。
実施形態4に係る車両用シート装置においては、前後加速度が所定値以上又は舵角速度が所定値以上である場合には、ステップS13により強制的に駆動モードとされるため、禁止モードから駆動モードに適切に切換えることができる。すなわち、前後加速度が所定値以上又は舵角速度が所定値以上である場合には、車両に所定値以上の加速度が加わっており、駆動モードに切換えるのが適切であると考えられるからである。その他の作用、効果は実施形態3と同様である。
実施形態5の車両用シート装置における処理を、図10に示すサポート要求調整プログラムのフローチャートにより説明する。ただし、図8の実施形態3に係るサポート要求調整プログラムのフローチャートと同じ処理については、同一の符号を用いることとし、その説明を省略する。
ステップS51においては、舵角センサ24から入力された舵角より、操舵ハンドルが切戻し状態にあるか否かが判断される。操舵ハンドルが切戻し状態にある場合(YES)、S16が実行され、禁止モードにされる。操舵ハンドルが切戻し状態にない場合(NO)、ステップS22が実行される。
実施形態5に係る車両用シート装置においては、操舵ハンドルが切戻し状態である場合には、ステップS16により強制的に禁止モードとされるため、駆動モードから禁止モードに適切に切換えることができる。すなわち、操舵ハンドルが切戻し状態である場合には、車両が旋回走行から直線走行に移行しつつあり、禁止モードに切換えるのが適切であると考えられるからである。その他の作用、効果は実施形態3と同様である。
以上、本発明の車両用シート装置を実施形態1〜5に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
16、17…サイドサポート部(16…右サイドサポート部、17…左サイドサポート部)、S13、S15、S16…モード決定手段、V…車速、V1…第1速度、V2…第2速度、VP…禁止速度、VD…駆動速度。