JP5417461B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
ハニカムサンドイッチパネルは、通常、コア材と、補強繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグとの間にフィルム状接着剤を挿入し、これらをオートクレーブを用いて加熱、加圧することにより製造される。しかし、オートクレーブの設備は非常に高価なため、新規に導入することは困難ばかりでなく、一旦導入すると、そのオートクレーブの大きさによって成形品の大きさが制限され、それより大きな成形品の製造が事実上不可能となる。
しかし、セミ含浸プリプレグを用い、オーブン成形によって得られたハニカムサンドイッチパネルには、ツールに接したスキン材の表面に樹脂枯れまたはピンホールが発生する問題がある。
前記基材(A)の目付が、400g/m2 以上648g/m 2 以下であり、前記樹脂フィルム(B)の重さXが、92〜200g/m 2 であり、前記樹脂フィルム(C)の重さYが、235〜405g/m 2 であり、前記樹脂フィルム(B)の重さX(g/m2 )と前記樹脂フィルム(C)の重さY(g/m2 )とが、下記式(1)の関係を満足する。
0.3≦X/Y≦0.7 ・・・(1)
図1は、本発明のプリプレグの一例を示す概略断面図である。プリプレグ10は、基材(A)11と、基材(A)11の一方の面に貼り合わされた樹脂フィルム(B)12と、基材(A)11の他方の面に貼り合わされた樹脂フィルム(C)13とを有し、樹脂フィルム(B)12および樹脂フィルム(C)13の熱硬化性樹脂の一部が、基材(A)11に含浸したプリプレグである。
基材(A)11は、補強繊維からなるシート状補強基材であり、熱硬化性樹脂が含浸した含浸部14と、熱硬化性樹脂が含浸していない未含浸部15とから構成される。
補強繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等が挙げられる。補強繊維としては、比強度、比剛性に優れた炭素繊維が好ましい。また、補強繊維としては、強度、剛性の点から、連続繊維が好ましい。
プリプレグ10の断面を観察して、含浸部14と未含浸部15とを明確に区別するためには、プリプレグ10の断面を研磨処理しなければならない。そのためには、プリプレグ10を加熱して硬化させる必要がある。しかし、熱硬化性樹脂を加熱していくと、その粘度は温度上昇につれて一旦低下し、熱硬化性樹脂の流動が見られるようになる。硬化過程で熱硬化性樹脂が流動すると、プリプレグ10内に当初から存在していた未含浸部15に熱硬化性樹脂が入り込みことになり、得られたプリプレグ10の含浸率は、硬化前と異なってしまう。したがって、プリプレグ10の硬化においては、硬化反応による熱硬化性樹脂の粘度上昇分が、温度上昇による熱硬化性樹脂の粘度低下分を上回る必要がある。そのためには、温度を徐々に上昇させることによって熱硬化性樹脂を硬化させればよい。例えば、好ましい昇温速度は1℃/時間以下である。
含浸率(%)=(a−b)/a×100 ・・・(2)
樹脂フィルム(B)12、樹脂フィルム(C)13は、熱硬化性樹脂からなるフィルムである。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ビニールエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、機械特性に優れるエポキシ樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂は、硬化剤、硬化促進剤等を含んでいてもよい。
0.3≦X/Y≦0.7 ・・・(1)
プリプレグ10は、例えば、基材(A)11の一方の面に、離型紙上に形成された樹脂フィルム(B)12の樹脂面を貼り合わせ、基材(A)11の他方の面に、離型紙上に形成された樹脂フィルム(C)13の樹脂面を貼り合わせ、両面の離型紙側から加熱しながら加圧することによって製造される。
加圧手段としては、ヒュージングプレス等が挙げられる。
積層体は、中空のコア材と、コア材の両面に設けられたスキン材とを有する積層体であって、少なくとも一方のスキン材が、本発明のプリプレグからなり、かつ樹脂フィルム(B)が最外層となるように設けられているものである。該積層体は、スキン材における樹脂枯れ、ピンホールの発生、未含浸部分の発生が抑えられたものとなる。
図2は、積層体の一例を示す概略断面図である。積層体20は、中空のコア材21と、コア材21の両面に設けられたスキン材22,23とを有する積層体である。
スキン材23は、プリプレグを硬化させてなるものである。スキン材23となるプリプレグは、プリプレグ10であってもよく、プリプレグ10以外の公知のプリプレグであってもよい。スキン材23となるプリプレグが、プリプレグ10である場合、プリプレグ10の樹脂フィルム(B)12がコア材21側となるように設けられていてもよく、樹脂フィルム(B)12が最外層となるように設けられていてもよい。
積層体の製造方法は、プリプレグ、中空のコア材、およびプリプレグを順に積み重ねた積重物をツールの上に配置し、積重物をバッグで覆い、積重物の周囲にてバッグとツールとの間をシールし、バッグとツールとの間を脱気し、プリプレグの熱硬化性樹脂を加熱し、硬化させる積層体の製造方法において、ツールに接するプリプレグとして、本発明のプリプレグを用い、かつ樹脂フィルム(B)がツールに接するように配置することを特徴とする。該製造方法によれば、スキン材における樹脂枯れ、ピンホールの発生、未含浸部分の発生が抑えられた積層体を製造できる。
(1)図3に示すように、プリプレグ10、接着剤シート31、コア材21、接着剤シート31、およびプリプレグ16を順に積み重ねた積重物を、ツール30の上に配置する。
(2)積重物上に、必要に応じて離型フィルム32、不織布33を被せた後、積重物をバッグ34で覆う。
(3)積重物の周囲にてバッグ34とツール30との間をシーラント35にて気密にシールする。
(4)バッグ34とツール30との間を真空ポンプ(図示略)に接続した真空引き口36から脱気する。
(5)脱気を行いながら、大気下のオーブン内で加熱し、プリプレグ10の熱硬化性樹脂を硬化させ、積層体を得る。
この際、プリプレグ10は、樹脂フィルム(C)13がコア材21に直接(または間接的に)接する側となり、樹脂フィルム(B)がツール30に直接、接する側となるように積み重ねる。
プリプレグ16は、プリプレグ10であってもよく、プリプレグ10以外の公知のプリプレグであってもよい。プリプレグ16としてプリプレグ10を用いる場合、プリプレグ16の樹脂フィルム(B)12がコア材21側となるように積み重ねられてもよく、樹脂フィルム(B)12がバッグ34側となるように積み重ねられてもよい。
オーブン内での加熱温度、加熱時間等は、用いた熱可塑性樹脂の種類、量、積層体に要求される物性等に応じて適宜決定すればよい。
(熱硬化性樹脂の調製)
エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)35質量部、アラルダイトAER4152(旭化成社製)37質量部、エピコート1002(ジャパンエポキシレジン社製)28質量部、およびEPPN502H(日本化薬社製)20質量部に、フェノトートYP70(東都化成社製)5質量部を160℃で溶解させ、ベース樹脂を調製した。
ベース樹脂120質量部と、触媒樹脂22質量部とを混合し、60℃にて均一に分散させて熱硬化性樹脂を得た。
(樹脂フィルムの製造)
熱硬化性樹脂を、フィルムコーターを用いて150g/m2 となるように離型紙に塗布し、樹脂フィルム(B)を得た。
同様に、熱硬化性樹脂を、フィルムコーターを用いて380g/m2 となるように離型紙に塗布し、樹脂フィルム(C)を得た。
基材(A)として、三菱レイヨン社製のTRK510(炭素繊維としてパイロフィルTR50S12Lを用いた、目付が648g/m2 の2/2綾織クロス。)を用意した。
基材(A)11の一方の面に、離型紙上に形成された樹脂フィルム(B)12の樹脂面を貼り合わせ、基材(A)11の他方の面に、離型紙上に形成された樹脂フィルム(C)13の樹脂面を貼り合わせ、温度50℃、圧力0.2MPa、送り速度1m/分の条件で、ヒュージングプレス(アサヒ繊維機械工業(株)、JR−600S、処理長1340mm、圧力はシリンダー圧)を用いて、両面の離型紙側から加熱しながら加圧し、プリプレグを得た。
コア材として、200mm×200mmにカットしたアルミハニカム(昭和飛行機工業社製、AL1/8−52−10P)を用意し、接着剤シートとして、シート状エポキシ樹脂接着剤(三菱レイヨン社製、NB101HC50)を用意した。
コア材の両面に接着剤シートを貼り合わせ、さらにその両面に330mm×330mmにカットしたプリプレグを貼り合わせて積重物を作製した。この際、プリプレグは、樹脂フィルム(C)がコア材に接着剤シートを介して接する側となり、樹脂フィルム(B)がツールまたはバッグに接する側となるように貼り合わせた。
ついで、積重物の周囲にてナイロンバッグとツールとの間をシーラントにて気密にシールし、ナイロンバッグとツールとの間を真空ポンプに接続した真空引き口から、室温にて6時間脱気した。
得られたプリプレグおよび積層体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
プリプレグをオーブン内に入れ、昇温速度0.7℃/時間で25℃から150℃まで昇温した後、150℃で2時間保持した。硬化されたプリプレグの断面を研磨し、光学顕微鏡にて研磨断面を観察した。写真撮影した顕微鏡像中の基材(A)の面積をaとし、この部分の中に存在する未含浸部(空隙)が占める面積をbとし、含浸率を下式(2)から算出した。
含浸率(%)=(a−b)/a×100 ・・・(2)
オーブン成形時にツールに接していたスキン材の表面を目視にて観察し、ピンホールの個数および樹脂枯れの有無を確認した。
(スキン材の未含浸部の有無)
積層体を湿式カッターにて切断し、切断面を研磨し、研磨断面を光学顕微鏡にて観察した。ツールに接していたスキン材の未含浸部(空隙)の有無を確認した。
樹脂フィルム(B)の重さX、および樹脂フィルム(C)の重さYを表1に示す重さに変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、および積層体を製造した。
得られたプリプレグおよび積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
プリプレグ製造時の温度を40℃とし、圧力を0.3MPaとし、送り速度を2m/分とした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、および積層体を製造した。
得られたプリプレグおよび積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
プリプレグ製造時の温度を60℃とし、圧力を0.15MPaとし、送り速度を0.7m/分とした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、および積層体を製造した。
得られたプリプレグおよび積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
基材(A)として、三菱レイヨン社製のTRK101(炭素繊維としてパイロフィルTR30S3Lを用いた、目付が400g/m2 の平織クロス。)を用い、樹脂フィルム(B)の重さX、および樹脂フィルム(C)の重さYを表1に示す重さに変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、および積層体を製造した。
得られたプリプレグおよび積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
樹脂フィルム(B)の重さX、および樹脂フィルム(C)の重さYを表2に示す重さに変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、および積層体を製造した。
得られたプリプレグおよび積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
プリプレグ製造時の温度を100℃とし、圧力を0.4MPaとした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、および積層体を製造した。
得られたプリプレグおよび積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
プリプレグ製造時の温度を30℃とし、圧力を0.02MPaとし、送り速度を4m/分とした以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、および積層体を製造した。
得られたプリプレグおよび積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
積層体を製造する際、コア材とプリプレグとを、樹脂フィルム(B)がコア材に接着剤シートを介して接する側となり、樹脂フィルム(C)がツールまたはバッグに接する側となるように貼り合わせた以外は、実施例1と同様にして積層体を製造した。
得られた積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
樹脂フィルム(B)の重さX、および樹脂フィルム(C)の重さYを表2に示す重さに変更した以外は、実施例1と同様にしてプリプレグ、および積層体を製造した。
得られたプリプレグおよび積層体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
X/Yが0.7を超える比較例2および比較例6の積層体は、樹脂枯れの発生はないものの、ツールに接するプリプレグの樹脂フィルムの量が多いため、オーブン成形時にツールとプリプレグとの間の空気が充分に脱気されず残留してピンホールが多発した。
含浸率が10%未満であるプリプレグを用いた比較例4の積層体は、オーブン成形時に基材(A)に熱硬化性樹脂が充分に含浸されないため、スキン材に未含浸部が多く観察された。
11 基材(A)
12 樹脂フィルム(B)
13 樹脂フィルム(C)
Claims (1)
- 補強繊維からなる基材(A)の一方の面に、熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルム(B)を貼り合わせ、前記基材(A)の他方の面に、熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルム(C)を貼り合わせ、加熱しながら加圧することによって、前記基材(A)への前記熱硬化性樹脂の含浸率が10〜60%であるプリプレグを得て、
前記プリプレグおよびコア材を、前記プリプレグの前記樹脂フィルム(B)側がツールに接するようにツールの上に配置し、バッグで覆った後、バッグとツールとの間を脱気しながらオーブン成形して、
中空のコア材とスキン材とを有する積層体を製造する方法であって、
以下の条件を満足する、積層体の製造方法。
前記基材(A)の目付が、400g/m2 以上648g/m 2 以下であり、
前記樹脂フィルム(B)の重さXが、92〜200g/m 2 であり、
前記樹脂フィルム(C)の重さYが、235〜405g/m 2 であり、
前記樹脂フィルム(B)の重さX(g/m2 )と前記樹脂フィルム(C)の重さY(g/m2 )とが、下記式(1)の関係を満足する。
0.3≦X/Y≦0.7 ・・・(1)
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