JP5417202B2 - 染色プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents
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従来の昇華染色法は、基板上に塗布した昇華性染料を加熱することで、対向して保持したプラスチックレンズの染色面へ昇華させた後、プラスチックレンズ内へ染料を浸透させるという方法が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
さらに、高濃度染色を行うにあたり、プラスチックレンズの被染色面に対してUVオゾン処理することで、染料がプラスチックレンズ内部へ浸透しやすい環境を形成する方法が知られている(例えば、特許文献2〜4参照)。
さらに、プラスチックレンズの材質にもよるが、レンズ光学面の染色法で従来一般的に行われているレンズ光学面のアセトンを使用した手拭きが原因と考えられる、拭きムラや、染料の昇華後にできる白点状の色抜けが発生する場合があり、この状態で染料をレンズ内部に浸透させると、そのままムラとして残ってしまうという問題点が浮上した。
[1]下記工程(I)〜(III)をこの順に有する染色プラスチックレンズの製造方法。
工程(I):プラスチックレンズの被染色面に対し、表面改質処理を行う工程
工程(II):工程(I)で得られたプラスチックレンズを、無極性溶媒で洗浄する工程
工程(III):基板に昇華性染料を塗布した該塗布面と、工程(II)で洗浄したプラスチックレンズの被染色面を離間して対向させ、前記基板を加熱することにより前記昇華性染料を昇華させて前記プラスチックレンズの被染色面に染料を付着させる工程
[2]工程(I)の前処理として、プラスチックレンズを無極性溶媒で洗浄する工程を有する、上記[1]に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
[3]工程(III)の後に、更に下記工程(IV)を有する、上記[1]又は[2]に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
工程(IV):プラスチックレンズの被染色面に付着した昇華性染料を、プラスチックレンズ内に加熱浸透させる工程
[4]無極性溶媒が炭素数5〜8の脂肪族飽和炭化水素である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
[5]表面改質処理がプラズマ処理又はUVオゾン処理である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
に関する。
工程(I):プラスチックレンズの被染色面に対し、表面改質処理を行う工程
工程(II):工程(I)を経たプラスチックレンズを、無極性溶媒で洗浄する工程
工程(III):基板に昇華性染料を塗布した該塗布面と、工程(II)で洗浄したプラスチックレンズの被染色面を離間して対向させ、前記基板を加熱することにより前記昇華性染料を昇華させて前記プラスチックレンズの被染色面に染料を付着させる工程
[工程(I)]
工程(I)では、プラスチックレンズの被染色面に対し、表面改質処理を行う。
工程(I)で使用するプラスチックレンズの素材としては特に制限は無く、例えばスルフィド結合を有するモノマーの単独重合体;スルフィド結合を有するモノマーと1種以上の他のモノマーとの共重合体;メチルメタクリレート単独重合体;メチルメタクリレートと1種類以上の他のモノマーとの共重合体;ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体;ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種類以上の他のモノマーとの共重合体;アクリロニトリル−スチレン共重合体;ハロゲン含有共重合体;ポリカーボネート;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;不飽和ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート;ポリウレタン;ポリチオウレタン;エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、スルフィド結合を有するモノマーの単独重合体、又はスルフィド結合を有するモノマーと1種以上の他のモノマーとの共重合体は1.7以上の屈折率を得ることができる素材の一つであり、このような素材でできたプラスチックレンズを好適に使用することができる。
また、プラスチックレンズの形状に特に制限はなく、例えば、球面、回転対称非球面、多焦点レンズ、トーリック面等の非球面、凸面、凹面等の多様な曲面を有するプラスチックレンズを利用可能である。
本発明では、レンズ表面に付着する昇華性染料中の色素の凝集をより効果的に抑制するために、被染色面に表面改質処理を施したプラスチックレンズを使用する。プラスチックレンズの被染色面に表面改質処理を施しておくと、該レンズ表面に付着している有機物が取り去られ、レンズ表面と色素の親和性が良くなり、前記効果を得やすくなるものと考えられる。
工程(I)において、プラスチックレンズの被染色面に施される表面改質処理としては、プラズマ処理又はUVオゾン処理が挙げられる。
プラズマ処理は、公知のプラズマ処理装置を利用して実施すればよい。プラズマ処理は、好ましくはプラズマ出力40〜500W、より好ましくはプラズマ出力50〜300W、さらに好ましくはプラズマ出力100〜300Wで、好ましくは略真空圧下(例えば真空度1×10-3〜5×102Pa、好ましくは5×10-3〜2×102Pa)に行なう。プラズマ出力及び真空度がこの範囲であれば、十分に表面処理が行なわれるため、昇華性染料を昇華した際にレンズ表面で色素が凝集する現象を効果的に抑制でき、レンズのムラが効果的に抑制される。
紫外線照射の為の光源の種類は特に限定されないが、波長300nm以下に高い発光強度をもつ低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマランプが適している。
紫外線照射量は、光源の種類により異なるが、200〜3000mJ/cm2が好ましく、さらに300〜1500mJ/cm2がより好ましい。紫外線照射量がこの範囲であれば、黄変等のプラスチックレンズに対する影響を与える心配が少ない。
UVオゾン処理は、通常、30秒〜600秒(10分)以内で行われ、60秒〜480秒(8分)の範囲で行うことが好ましい。
工程(I)の表面改質処理の前処理として、拭きムラや、染料の昇華後にできる白点状の色抜けが発生するのを抑制する観点から、プラスチックレンズを無極性溶媒で洗浄することが好ましい。
工程(I)の前処理で用いる無極性溶媒、及びその具体的態様、並びに洗浄方法は、後述する工程(II)と同じである。
工程(II)では、工程(I)で得られたプラスチックレンズを、無極性溶媒で洗浄する。
(無極性溶媒)
工程(II)のプラスチックレンズの洗浄処理に用いる無極性溶媒としては、炭素数5〜8の脂肪族飽和炭化水素、またはベンゼン環を有する炭素数6〜9の芳香族炭化水素等が挙げられる。具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−へプタン、2−メチルヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサン等の炭素数5〜8の脂肪族飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレン等のベンゼン環を有する炭素数6〜9の芳香族炭化水素が挙げられる。中でも、洗浄性および取扱い性の観点から、炭素数5〜8の脂肪族飽和炭化水素が好ましく、n−ヘキサン及びイソヘキサンがより好ましい。これらの無極性溶媒は、1種単独でも、または2種以上を混合して用いてもよい。
工程(II)の洗浄処理には、無極性溶媒を単独で使用してもよく、または乾燥時間を短縮させる観点から、低沸点の極性溶剤と混合して使用してもよい。無極性溶媒と低沸点の極性溶剤とを混合する場合には、無極性溶媒の脱脂力低下させない程度に低沸点の極性溶剤と混合することが好ましく、低沸点の極性溶剤を20質量%以下含む混合物が好ましい。
低沸点の極性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール及びtert−ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール、アセトン等のケトン類などが挙げられる。
無極性溶媒と低沸点の極性溶剤との混合物としては、ハイパークリーンEE−6310(商品名、オリンパス株式会社製)等を用いることもできる。
工程(II)の洗浄終了後に、プラスチックレンズ染色面から完全に無極性溶媒を除去し、後工程(III)で昇華染料の付着時にムラになることを防ぐという観点から、洗浄されたプラスチックレンズを乾燥させたり、ウエスで乾拭きしたりすることが好ましい。
工程(III)では、基板に昇華性染料を塗布した該塗布面と、工程(II)で洗浄したプラスチックレンズの被染色面を離間して対向させ、前記基板を加熱することにより前記昇華性染料を昇華させて前記プラスチックレンズの被染色面に染料を付着させる。
工程(III)では、プラスチックレンズを染色するための昇華性染料含有インクを塗布した基板を用いる。該基板としては特に制限は無く、例えば無機材料からなる基板、有機材料からなる基板、金属材料からなる基板のいずれも使用できる。
上記無機材料としては、ガラス、石英、雲母等や、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維等の無機高分子化合物からなる織布又は不織布等が挙げられる。上記有機材料としては、紙等が挙げられる。上記金属材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、これらの合金等が挙げられる。基板は、2種以上の材料を複合化した複合材料で形成されていてもよく、また、複数の材料からなる多層構造体であってもよい。
基板の厚さに特に制限は無いが、工程(III)における昇華性染料含有インク中の水を効率良く揮発させる観点及び昇華性染料を十分に昇華する観点から、0.5〜5mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。
上記基板は、プラスチックレンズと対向する側の面(塗布面)が、プラスチックレンズの被染色面側の曲面と重ね合わせたときの誤差が少ない曲面を有する形状であってもよい。この場合、基板とプラスチックレンズの間隔がレンズの曲面全体でほぼ一定になり、昇華した染料がレンズ上に均一に拡散し、プラスチックレンズをムラ無く均一に染色し易くなる。また、基板の昇華性染料含有インクを塗布する面は、プラスチックレンズを均一に染色する観点から、平滑であることが好ましい。
なお、塗布する際の基板の温度は60℃以下であり、好ましくは0〜60℃であり、プラスチックレンズをムラ無く均一に染色する観点から、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜30℃、さらに好ましくは常温(つまり、加熱していない温度)である。
0℃以上であれば、後工程で昇華性染料含有インク中の水分を低減させる際に効率が良いため、好ましい。一方、60℃を上回ると昇華染料含有インク中の水分が蒸発していく可能性があり、後工程でインク中の水分を低減させる際、場所によって残水分量にばらつきが出てしまい、結果的にムラが生じる原因となる場合がある。
工程(III)で使用する昇華性染料は、加熱により昇華する性質を有する染料であれば特に制限は無い。昇華性染料は工業的に容易に入手可能であり、市販品としては、例えばカヤセットブルー906(日本化薬(株)製)、カヤセットブラウン939(日本化薬(株)製)、カヤセットレッド130(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Red C-LS conc(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Red AQ-LE(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Red DX-LS(日本化薬(株)製)、Dianix Blue AC-E(ダイスタージャパン(株)製)、Dianix Red AC-E 01、(ダイスタージャパン(株)製)、Dianix Yellow AC-E new(ダイスタージャパン(株)製)、Kayalon Microester Blue C-LS conc(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Blue AQ-LE(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Yellow AQ-LE(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Yellow C-LS(日本化薬(株)製)、Kayalon Microester Blue DX-LS conc(日本化薬(株)製)等がある。
また、該インクには、プラスチックレンズを高濃度で均一に染色する観点から、界面活性剤、保湿剤、有機溶媒、粘度調整剤、pH調整剤、バインダー等を含有させてもよい。
上記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤をインクに含有させる場合、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を併用することが好ましい。
アニオン系界面活性剤は公知のものを使用できる。該アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレインスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノニオン性界面活性剤は公知のものを使用できる。該ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のエーテル系ノニオン性界面活性剤;ステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸プロピレングリコール等のエステル系ノニオン性界面活性剤;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のエーテル・エステル系ノニオン性界面活性剤;ポリビニルアルコール、メチルセルロース等の水溶性ポリマー系ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、水溶性ポリマー系ノニオン性界面活性剤が好ましく、メチルセルロースがより好ましい。
界面活性剤をインクに含有させる場合、アニオン系界面活性剤の含有量は、インク中における濃度が好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜1質量%となるようにする。また、ノニオン性界面活性剤の含有量は、インク中における濃度が好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%、さらに好ましくは0.2〜1質量%となるようにする。界面活性剤の含有量がそれぞれ上記範囲内であると、プラスチックレンズをより高濃度で均一に染色することができる。
上記保湿剤としては、例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン系保湿剤;ジメチルスルホキシド、イミダゾリジノン等のアミド系保湿剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、D−ソルビトール、グリセリン等の多価アルコール系保湿剤;トリメチロールメタン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも多価アルコール系保湿剤が好ましく、グリセリンがより好ましい。保湿剤をインクに含有させる場合、その含有量は、インク中における濃度が好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%となるようにする。保湿剤の含有量が上記範囲内であると、プラスチックレンズをより高濃度で均一に染色することができる。
なお、昇華性染料をガラスからなる基板上に塗布する方法としては特に制限は無く、例えばスプレーコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、インクドットコーティング法、インクジェット法等が挙げられる。
基板を加熱する方法としては、昇華性染料が塗布されていない面側からヒーターにて加熱する方法が好ましく挙げられる。基板の加熱温度は、基板が好ましくは50〜300℃、より好ましくは80〜280℃、さらに好ましくは120〜270℃、特に好ましくは180〜250℃になるように調整する。基板の加熱温度を上記範囲内とすることにより、昇華性染料を十分に昇華させることができ、且つ対向するプラスチックレンズの熱による変形及び変色を抑制できる。
なお、基板の加熱は略真空圧下に実施するが、略真空圧下とは、通常、真空度1×10-3〜1×103Paの条件下であることをいい、レンズ表面にて昇華性染料中の色素が結晶化するのを抑制する観点から、好ましくは1×10-2〜8×102Paであり、より好ましくは1×10-2〜6×102Paである。圧力を1×10-3Pa未満にしても特に問題は無いが、装置の高性能化が必要になる。
基板の加熱時間は、プラスチックレンズを高濃度に染色する観点並びにプラスチックレンズの熱による変形及び変色を抑制する観点から、1分〜30分が好ましく、1分〜15分がより好ましく、2分〜10分がさらに好ましい。
(昇華性染料のプラスチックレンズ内への浸透)
工程(III)の後、プラスチックレンズの染色をより均一に行なうために、さらに加熱処理を施してプラスチックレンズ内部へ色素を浸透させる工程(IV)を設けることが好ましい。
工程(IV)では、前記工程(III)で得られた昇華性染料が付着したプラスチックレンズを加熱処理することにより、付着した昇華性染料をプラスチックレンズ内へ浸透させる。本工程を設ける場合、工程(III)で使用する基板としては、ガラス等の熱伝導性の低い非晶質材料からなる基板を用いることが好ましい。この様な非晶質材料からなる基板を用いた場合、必要以上に基板温度を上昇させることがないため、工程(III)において、対向するプラスチックレンズへ余計な熱が伝導することを抑制でき、該レンズに付着した色素がレンズ内部へ浸透するのを抑制でき、レンズへの付着工程(III)と工程(IV)とを明確に分けることが可能となり、より一層、ムラの発生を抑制し易くなる。また、基板を加熱する操作を行なう際に基板全体に温度勾配が生じることがなく、この点からも、プラスチックレンズを均一に染色し易くなる。更に、基板を加熱することによる熱変形や昇華性染料を始めとする各種混合物との化学変化を起こすといった心配もない。
加熱処理は減圧下又は加圧下に実施してもよいが、製造工程を考慮した際、工程の煩雑さ及び特殊装置(真空装置等)の使用を避ける意味でも常圧下に実施することが好ましい。
加熱処理時間は、プラスチックレンズを高濃度に染色する観点及びプラスチックレンズの変形及び変色を抑制する観点から、1分〜150分が好ましく、20分〜150分がより好ましく、30分〜100分がさらに好ましい。
また、工程(IV)における加熱処理は、昇華性染料をプラスチックレンズに均一に浸透させていくために、予め上記温度範囲に加熱してある炉(例えばオーブン等)に工程(2)で得られた昇華性染料が付着したプラスチックレンズを入れる方法を採ることが好ましい。
以上の様にして染色された染色プラスチックレンズの透過率は43%以下であり、例え屈折率が1.7以上のプラスチックレンズであっても、昇華性染料を高濃度で含有している。さらに、本発明の製造方法により得られる染色プラスチックレンズは、高濃度で染色されているとともに、ムラが無く均一に染色されている。なお、本発明は、屈折率1.7以上、特に1.7〜1.8のプラスチックレンズ、より好ましくは1.70〜1.76のプラスチックレンズを用いることができるため有用である。
目視にて、染色の不均一や昇華性染料中の色素の凝集(結晶化)に起因する染色ムラがあるか否かを蛍光灯下で確認し、以下の基準に従って評価した。
−評価基準−
○:ムラなし(染色ムラを見つけるのが困難である。)
×:ムラあり(レンズ面内に染色ムラを目視で確認できる。)
(ii)透過率
分光光度計「U3410」(日立製作所(株)製)を用いて、波長585nmにおける可視光線透過率を測定した。
(プラスチックレンズ)
使用レンズ:「EYVIA(アイビア)」(商品名、HOYA(株)製);屈折率1.74、中心厚1.0mm、レンズ度数0.00、直径80mmの、ポリスルフィド結合を有するプラスチックレンズ
(昇華性染料含有インクの調製)
昇華性染料として「Dianix Blue AC-E」(ダイスタージャパン(株)製)を水に分散させ、さらにアニオン系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び保湿剤を混合して昇華性染料含有インクとした。各成分の組成比は以下の通りである。
昇華性染料/水/アニオン系界面活性剤/ノニオン系界面活性剤/保湿剤=5/74.55/0.25/0.2/20(質量比)
工程(I):
イソへキサンを適量浸み込ませた紙ウエス(キムワイプ:商品名、日本製紙クレシア(株)製)を用いて、プラスチックレンズを傷付けない程度の力で、光学面上の汚れを手拭きにて取り除いた。
次に、下記の条件でUVオゾン処理を行った。
−UVオゾン処理条件−
UVオゾン処理装置:アイ・UVオゾン洗浄装置(岩崎電気(株)製)
波長:185nm、254nm
出力:15±5[mW/cm2]
処理時間:120秒
イソへキサンを適量浸み込ませた紙ウエス(キムワイプ:商品名、日本製紙クレシア(株)製)を用いて、工程(I)で得られたプラスチックレンズを傷付けない程度の力で、光学面上の汚れを手拭きで取り除いた。
ガラス基板上に、調製例1で得られた昇華性染料含有インキを碁盤目状にディスペンサーによって塗布した。
得られたガラス基板を、工程(II)で得られたプラスチックレンズの中心部と20mm離れるように昇華染色機内に対向して設置し、真空度を2×102Paとし、ガラス基板の温度が155℃になるように加熱して昇華性染料を10分かけて昇華させてプラスチックレンズに付着させた。
得られたプラスチックレンズを130℃に加熱したオーブン内に置き、プラスチックレンズを1時間加熱することにより、昇華性染料をプラスチックレンズ内に浸透させた。
得られた染色プラスチックレンズは、均一に染色されており、透過率は24.3%であった。得られた染色プラスチックレンズの評価結果を表1に示す。
実施例1の工程(I)及び(II)で使用したイソへキサンに代わり、n−ヘキサンを用いたこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(I)及び(II)で使用したイソへキサンに代わり、ハイパークリーンEE−6310(商品名、オリンパス株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(II)で使用したイソへキサンに代わり、ハイパークリーンEE−6310(商品名、オリンパス株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(I)におけるUVオゾン処理に代わり、下記の条件でプラズマ処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
−プラズマ処理条件−
プラズマ処理装置:PC101A(ヤマト科学(株)製)
真空度:1×102Pa
プラズマ出力:130W
処理時間:120秒
実施例1の工程(I)及び(II)で行った洗浄方法(手拭き)に代わり、レンズ全体を漬けることのできる、イソへキサンが満たされた浸漬槽内にプラスチックレンズを30秒間漬け、引き上げ後常温にて送風乾燥して光学面上の汚れを取り除いたこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(I)及び(II)で行った洗浄方法(手拭き)に代わり、霧吹き用容器に入ったイソヘキサンを光学面上全体に吹き付け、その後常温にて送風乾燥したこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(I)及び(II)で使用したイソへキサンに代わり、イソプロピルアルコールを用いたこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(I)及び(II)で使用したイソへキサンに代わり、アセトンを用いたこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(I)におけるイソヘキサンを用いた洗浄処理及び工程(II)を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(II)を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
実施例1の工程(I)を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして実験及び評価を行った。
Claims (4)
- 下記工程(I)〜(III)をこの順に有する染色プラスチックレンズの製造方法。
工程(I):プラスチックレンズの被染色面に対し、プラズマ処理及びUVオゾン処理から選ばれるいずれかの表面改質処理を行う工程
工程(II):工程(I)で得られたプラスチックレンズを、無極性溶媒で洗浄する工程
工程(III):基板に昇華性染料を塗布した該塗布面と、工程(II)で洗浄したプラスチックレンズの被染色面を離間して対向させ、前記基板を加熱することにより前記昇華性染料を昇華させて前記プラスチックレンズの被染色面に染料を付着させる工程 - 工程(I)の前処理として、プラスチックレンズを無極性溶媒で洗浄する工程を有する、請求項1に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
- 工程(III)の後に、更に下記工程(IV)を有する、請求項1又は2に記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
工程(IV):プラスチックレンズの被染色面に付着した昇華性染料を、プラスチックレンズ内に加熱浸透させる工程 - 無極性溶媒が炭素数5〜8の脂肪族飽和炭化水素である、請求項1〜3のいずれかに記載の染色プラスチックレンズの製造方法。
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