JP5415121B2 - ポリマーポリオール及びポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち本発明のポリマーポリオールの製造方法は、エチレン性不飽和化合物(b)を重合させて得られるポリマー粒子(B)及びポリオール(A)を含んでなるポリマーポリオールの製造方法であって、ポリオール(A)、水及び分散剤(D)の存在下、エチレン性不飽和化合物(b)を重合させる工程を含んでなることを要旨とする。
また、本発明のポリウレタン樹脂の製造方法は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を反応させて、ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として本発明のポリマーポリオールの製造方法により得られるポリマーポリオール(I)を用いることを要旨とする。
(b2)としては、スチレン(以下、Stと略す)、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン及びクロルスチレン等が挙げられる。
(b3)としては、炭素(以下、Cと略す)、水素(以下、Hと略す)、及び酸素(以下、Oと略す)原子のみで構成されるものが挙げられ、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート及びドコシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数(以下、C数と略す)が1〜24);ヒドロキシポリオキシアルキレン(アルキレン基のC数2〜8)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、以下の記載においても同様である。
耐スコーチ性の点から、不飽和ニトリル(b1)(特にACN)の含有量(重量%)は、(b)の重量を基準として、好ましくは50以下、さらに好ましくは15〜40である。
また、芳香環含有モノマー(b2)(特にSt)の含有量(重量%)は、ポリマーポリオール中のポリマー粒子の小粒子径化の観点から、(b)の重量を基準として、好ましくは99.5以下、さらに好ましくは20〜90、特に好ましくは35〜80である。
これら以外のモノマーの(b)中の含有量(重量%)は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、(b)の重量を基準として、(b3)は好ましくは0〜30、さらに好ましくは0〜20である。(b4)は好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5である。(b5)は好ましくは0〜10、より好ましくは0〜5である。(b6)は好ましくは0.01〜0.7、より好ましくは0.05〜0.4である。
重合方法としては、ラジカル重合、配位アニオン重合、メタセシス重合及びディールス・アルダー重合等が挙げられるが、工業的な観点から好ましいのはラジカル重合である。
(1)PO−AOの順序でブロック付加したもの
(2)PO−AO−PO−AOの順序でブロック付加したもの
(3)AO−PO−AOの順序でブロック付加したもの
(4)PO−AO−POの順序でブロック付加したもの
(5)PO及びAOを混合付加したランダム付加物
(6)米国特許第4226756号明細書記載の順序でランダム又はブロック付加したもの
ポリオール(A)として、前記(a1)と共に他のポリオール(a2)を併用することもできる。この場合、(a1)/(a2)の使用比率(重量比)は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、100/0〜80/20が好ましい。
(a2)としては、公知(特開2007−191682号公報等)のものが挙げられ、ポリエステルポリオール、ジエン系ポリオール及びその水素添加物、水酸基含有ビニル重合体、天然油系ポリオール、天然油系ポリオールの変性物等の高分子ポリオール並びにこれらの混合物が挙げられる。
ポリオール(A)の数平均分子量は、1,500以上が好ましく、さらに好ましくは1,500〜15,000、特に好ましくは1,800〜12,000、最も好ましくは2,000〜9,000である。数平均分子量が1,500以上であるとポリウレタンフォームの発泡性の面で好ましく、15,000以下であると低粘度となりポリマーポリオールの取り扱い性の面で好ましい。また(A)の水酸基当量は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは500〜4,000、さらに好ましくは700〜3,000である。
これらの溶媒(C)のうちで、製造されるポリマー粒子(B)の小粒子径化の観点及びポリウレタン樹脂の機械強度の観点から、水が好ましい。
SP値=(△E/V)1/2
ここで△Eは凝集エネルギー密度、Vは分子容を表し、その値は、Robert F.Fedorsらの計算によるもので、例えばポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁に記載されている。
重合方法としては、前述の方法が挙げられ、好ましいものも同様である。
(D1)数平均分子量が1,000〜1,000,000のビニルオリゴマー。
(D2)飽和のポリオール(f)と、少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する単官能活性水素含有化合物(g)が、ポリイソシアネート(h)を介して結合されてなり、1分子中のNCO基に由来する含窒素結合の数に対する不飽和基数の比の平均値が0.1〜0.4である含窒素結合含有不飽和ポリオール。
これらの内で、ポリマー粒子(B)の粒子径の観点から、(D1)を構成するエチレン性不飽和化合物の少なくとも一部が、ポリマー粒子を構成しているエチレン性不飽和化合物(b)と同じであることが好ましく、さらに好ましくは(D1)を構成するエチレン性不飽和化合物の30重量%以上が(b)と同じであり、次にさらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。
(f)の1分子中の水酸基の数は、少なくとも2個、分散安定性の観点から、好ましくは2〜8個、さらに好ましくは3〜4個であり、(f)の水酸基当量は、分散安定性の観点から、1,000〜3,000が好ましく、さらに好ましくは1,500〜2,500である。
上記不飽和モノヒドロキシ化合物としては、モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素、不飽和モノカルボン酸と2価アルコールとのモノエステル、不飽和2価アルコールとモノカルボン酸とのモノエステル、アルケニル側鎖基を有するフェノール及び不飽和ポリエーテルモノオール等が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸と2価アルコールとのモノエステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びイタコン酸等のC数3〜8の不飽和モノカルボン酸と、2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のC数2〜12の2価アルコール)とのモノエステルが挙げられ、その具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。
アルケニル側鎖基を有するフェノールとしては、例えばオキシスチレン及びヒドロキシα−メチルスチレン等のアルケニル基のC数が2〜8のアルケニル側鎖基を有するフェノールが挙げられる。
不飽和ポリエーテルモノオールとしては、前記モノヒドロキシ置換不飽和炭化水素の又は前記アルケニル側鎖基を有するフェノールのAO(C数2〜8)1〜50モル付加物〔例えばポリオキシエチレン(重合度2〜10)モノアリルエーテル〕等が挙げられる。
アミノ基又はイミノ基を有する(g)としては、モノ−及びジ−(メタ)アリルアミン並びにアミノアルキル(C数2〜4)(メタ)アクリレート〔アミノエチル(メタ)アクリレート等〕、モノアルキル(C数1〜12)アミノアルキル(C数2〜4)(メタ)アクリレート〔モノメチルアミノエチル−メタクリレート等〕;カルボキシル基を有する(g)としては、前記不飽和モノカルボン酸;SH基を有する(g)としては、前記不飽和モノヒドロキシ化合物に相当する(OHがSHに置き換わった)化合物が挙げられる。重合性不飽和基を2個以上有する(g)の例としては、3価、4〜8価又はそれ以上の多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル又は前記不飽和カルボン酸とのポリエステル〔トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル及びグリセリンジ(メタ)アクリレート等〕が挙げられる。
また、(g)の分子量は特に限定されないが、ポリマーポリオールの粘度の観点から、1,000以下が好ましく、特に好ましくは500以下である。
(h2)としては、C数2〜18の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
(h4)としては、C数8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
(h5)のとしては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI及びひまし油変性MDI等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂の物性の観点から、これらのうちで好ましいものは芳香族ジイソシアネートであり、さらに好ましくは2,4−及び/又は2,6−TDIである。
この含窒素結合は飽和のポリオール(f)の水酸基とポリイソシアネート(h)のイソシアネート基との反応で生じるものと、不飽和単官能活性水素化合物(g)の活性水素含有基と(h)のイソシアネート基との反応で生じるものとがある。
1分子中の(h)のNCO基に由来する含窒素結合に対する不飽和基数の比の平均値=
[(g)のモル数×(g)の不飽和基数]/[(h)のモル数×(h)のNCO基数]
1分子中の(h)のNCO基に由来する含窒素結合に対する不飽和基数の比の平均値の値は、さらに好ましくは0.1〜0.3であり、とくに好ましくは0.2〜0.3である。不飽和基数の比の平均値の値が上記範囲内であると、ポリマーポリオールの分散安定性が特に良好となる。
また、(d)の活性水素当量(すなわち、(d)の活性水素当たりの分子量)は、ポリマー粒子の体積平均粒子径の観点から、100〜2,000が好ましく、さらに好ましくは150〜1,700、次にさらに好ましくは250〜1,600である。
(d1)としては、ビスフェノール等のフェノールにAOを付加した化合物が挙げられる。フェノールとしては、1価のフェノール(クレゾール、ナフトール及びモノスチレン化フェノール等)、2価のフェノール(カテコール、レゾシノール及びビスフェノール等)、及び3価以上のフェノール(ピロガロール等)等が挙げられる。
(d2)としては、フタル酸等の芳香環含有カルボン酸にAOを付加した化合物が挙げられる。芳香環含有カルボン酸としては、1価のカルボン酸(安息香酸、サリチル酸等)、2価のカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸等)、及び3価以上のカルボン酸(メリト酸等)等が挙げられる。
(d3)としては、TDI等の芳香族系イソシアネートとポリオールを重縮合した化合物が挙げられる。芳香族イソシアネートとしては、1価のイソシアネート(フェニルイソシアネート等)、2価のイソシアネート(トリレンジイソシアネート、4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネート等)、3価以上のイソシアネート(トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニール)チオフォスフェート及びポリメリックMDI等)等が挙げられる。
これらの中で、(d)はポリマーポリオールの粘度の観点から、(d1)が好ましい。
80≦X≦360 (1)
−0.012×X+14.0≦S≦−0.012×X+17.0 (2)
式中、Xは活性水素含有化合物(e)の水酸基当量、Sは活性水素含有化合物(e)のSP値を表す。
−0.012×X+14.0≦S≦−0.012×X+16.0 (2’)
95≦X≦340 (1’’)
−0.012×X+14.1≦S≦−0.012×X+15.8 (2’’)
110≦X≦310 (1’’’)
−0.012×X+14.4≦S≦−0.012×X+15.7 (2’’’)
活性水素含有化合物(e)の水酸基当量(X)は、(d)の粘度及び微粒子分散ポリオール中の微粒子の粒子径の観点から式(1)を満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(1’)を満たすことであり、次にさらに好ましくは式(1’’)を満たすことであり、特に好ましくは式(1’’’)を満たすことである。
また、微粒子分散ポリオール中の微粒子の粒子径及びポリウレタン樹脂の機械物性の観点から、活性水素含有化合物(e)のSP値と水酸基当量の関係が式(2)を満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(2’)を満たすことであり、次にさらに好ましくは式(2’’)を満たすことであり、特に好ましくは式(2’’’)を満たすことである。
XとSが上記式(2)を満足するためには、(e)が有する水酸基以外のSP値が大きくなる構造又は官能基の数と、SP値が小さくなる構造又は官能基の数を調整すればよい。例えば、Sが(2)式の下限よりも小さい場合には、SP値が10よりも大きな構造又は官能基の数を増やす、あるいは、SP値が10よりも小さな構造又は官能基の数を減らすことで(2)式を満たすように調整できる。また、Sが(2)式の上限よりも大きくなる場合には、SP値が12よりも大きな構造又は官能基の数を減らす、あるいは、SP値が12よりも小さな構造又は官能基の数を増やすことで調整できる。
また、水酸基当量(X)と(e)のSP値(S)が式(2)を満たすと、(e)が、有する水酸基(すなわち、AOが付加できる官能基)の量に応じて、適度なSP値を有することを意味する。すなわち、この関係を満たす(e)にAOが付加された構造を有する(d)がポリオール(A)との親和性に応じて、適度なポリマー粒子(B)への親和性を有することを意味する。
よって、これら式(1)及び(2)を満たす(e)にAOが付加された構造を有する(d−1)は、適切なポリオール(A)との親和性と適切なポリマー粒子(B)との親和性を有し、そのバランスが適切であり、極めて良好なポリマー粒子の分散性を有することを意味する。
また、(e)の活性水素当量(すなわち、(e)の活性水素当たりの分子量)は、粒子径の観点から、60〜500が好ましく、さらに好ましくは80〜450、次にさらに好
ましくは100〜400である。
(e1)としては、ビスフェノール等、(e2)としては、モノスチレン化フェノール及びジスチレン化フェノール等が挙げられる。
これらの中で、(d)の粘度及びポリマーポリオール中のポリマー粒子の粒子径の観点から、(e1)が好ましい。
(d−1−1)としては、ビスフェノールにAOを付加した化合物等、(d−1−2)としては、モノスチレン化フェノールにAOを付加した化合物等が挙げられる。
これらの中で、(d)の粘度及びポリマーポリオール中のポリマー粒子の粒子径の観点から、(d−1−1)が好ましい。
これらの溶媒のうちで、粘度及び製造されるポリウレタン樹脂の機械強度の観点から、好ましいのはトルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、n−ブタノールである。
希釈剤(L)の使用量は、(b)の合計重量に基づいて、ポリマーポリオールの粘度及び粒子の凝集防止の観点から、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは1〜40重量%である。使用した(L)は、重合反応終了後にポリマーポリオール中に残存してもよいが、ポリウレタンの機械物性の観点から重合反応後に減圧ストリッピング等により除去するのが好ましい。
(P)の使用量(重量%)は、(b)の合計重量に基づいて、ポリマーポリオールの粘度ポリウレタン樹脂の物性の観点から、2以下が好ましく、さらに好ましくは0.1以下である。
工程(1):(A)中で、(C)及び(D)の存在下、(b)を重合させてポリマーポリオール中間体(B1)を得る工程
工程(2):ポリマーポリオール中間体(B1)中で(b)を重合させてポリマーポリオール中間体(B2)、又はポリマーポリオールを得る工程
(I)エチレン性不飽和化合物(b)及びポリオール(A)、溶剤(C)、並びに、さらに必要により、分散剤(D)、希釈剤(L)及びラジカル重合開始剤(K)を投入して重合させ、ベースポリマーポリオール(BA1)を得る工程。
(II)得られた(BAi-1)に(b)、(C)、さらに必要により(A)、(D)、(E)及び(K)を投入して重合させ、ベースポリマーポリオール(BAi)を得る工程[iは2〜(n−1)の整数]。なお、(II)の工程はnが2の場合は実施せず、nが3以上の場合に(n−2)回実施して、(II)工程の最後にベースポリマーポリオール(BAn-1)を得る。
(III)得られた(BAn-1)に(b)、(C)、さらに必要により(A)、(D)、(E)及び(K)を投入して重合させ、ポリマーポリオールを得る工程。
n(重合段数)は、重合を行う工程の数であり、上記(I)、(II)及び(III)における工程の合計数である。
nは、粗大粒子含有量の観点から、2〜7が好ましく、さらに好ましくは2〜5、特に好ましくは2〜4である。
多段連続重合法において、ラジカル重合開始剤(K)はそのまま使用してもよいし、希釈剤(L)、分散剤(D)及び/又はポリオール(A)に溶解(又は分散)したものを使用してもよい。
これらのうち、ポリマー粒子(B)の小粒子径化の観点及びポリウレタン樹脂の機械強度の観点から、(b)重合する前に、ポリオール(A)及び/又は分散剤(D)と混合することが好ましい。
脱モノマー・脱溶剤処理としては、公知(特開2004−002800号公報等)の方法が適用でき、ポリウレタン樹脂の白色度の観点から、減圧下でモノマー及び/又は溶剤をストリッピングする方法が好ましい。
なお、ポリマー粒子は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、実質的に0.020〜2,000μmの範囲内の粒子径を有するものであることが好ましい。ここで実質的とは、99体積%以上、好ましくは100体積%がこの範囲の粒子径を有することを意味する。
ポリマーポリオール中の(L)の含有量(重量%)は、ポリウレタン樹脂の物性の観点から、好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下である。
すなわち、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を反応させて、ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として本発明の製造方法により得られるポリマーポリオール(I)を用いるポリウレタン樹脂の製造方法に用いることができ、このポリウレタン樹脂の製造方法が本発明のポリウレタン樹脂の製造方法である。本発明のポリウレタン樹脂の製造方法においては、必要により触媒、発泡剤、整泡剤等の1種以上の通常用いられる添加剤の存在下、反応させることもできる。
これらのうちで好ましいものは、2,4−及び2,6−TDI、これらの異性体の混合物、粗製TDI;4,4’−及び2,4’−MDI、これらの異性体の混合物、粗製MDI;及びこれらのポリイソシアネートより誘導されるウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、又はイソシアヌレート基を含有する変性ポリイソシアネートである。
また、本発明においては、ポリウレタン樹脂の製造に際し、発泡剤(たとえば水、HFC、HCFC及びメチレンクロライド等)を使用し、ポリウレタンフォームとすることができる。発泡剤の使用量はポリウレタンフォームの所望の密度により変えることができる。
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法において、必要により整泡剤を使用することができる。整泡剤としてはシリコーン界面活性剤(例えばポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共ポリマー)が挙げられる。
本発明において、必要により老化防止剤、抗酸化剤を使用できる。老化防止剤、抗酸化剤としては、公知(特開2006−188685号公報等)のもの等が使用でき、ラクトン、ヒンダードフェノール、リン含有化合物、ヒンダードアミン、ヒドロキシルアミン及び硫黄含有化合物等が挙げられる。ポリウレタン樹脂の変色防止の観点から、ラクトンとヒンダードフェノールの併用が好ましい。
その他、本発明の製造方法において使用できる添加剤としては、例えば難燃剤、反応遅延剤、着色剤、内部離型剤、老化防止剤、抗酸化剤、可塑剤、殺菌剤、カーボンブラック及びその他の充填剤等公知(特開2005−162791号公報等)の添加剤が挙げられる。
ポリウレタン製造には通常用いられている製造装置を用いることができる。無溶媒の場合はたとえばニーダーやエクストルーダーのような装置を用いることができる。閉鎖モールドあるいは開放モールド内で各種の非発泡あるいは発泡のポリウレタン樹脂の製造を行うことができる。ポリウレタンの製造は普通低圧あるいは高圧の機械装置を用いて原料を混合反応させることにより行われる。さらには、原料混合前後(とくに原料混合前)、原料中の溶存空気あるいは混合時に混入した空気等のガスを真空法により除去することによりポリウレタン樹脂の製造を行うこともできる。
(1)ポリオール(A1)
ポリオール(A1−1):グリセリンにPO−EO−POの順に付加させた、水酸基価=56、内部EO単位含量=5重量%、末端PO単位含量=5重量%のポリオール。
ポリオール(A1−2):ペンタエリスリトールにPO−EOの順に付加させた、水酸基価=32、末端EO単位含量=14重量%のポリオール。
ポリオール(A1−3):ビスフェノールAにPOを付加させた、水酸基価=216、数平均分子量=518のポリオール
(2)ラジカル重合開始剤(K)
K−1:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)商品名「V−59」、和光純薬工業(株)製〕
(3)SP値が13.8以上である溶剤(C)
C−1:水 (SP値23.4)
(4)分散剤(D)
D−1:ポリオール(A1−2)0.14モルと2−ヒドロキシメタクリレート0.07モルをTDI0.16モルでジョイントして得られる水酸基価=20、不飽和基数/含窒素基数=0.22の反応性分散剤〔特開2002−308920号公報参照〕
(6)ポリイソシアネート(h)
TDI−80:コロネートT−80〔日本ポリウレタン工業(株)製〕
(7)触媒
触媒A:DABCO(トリエチレンジアミン)〔日本乳化剤(株)製〕
触媒B:ネオスタンU−28(オクチル酸第1スズ)〔日東化成(株)製〕
(8)整泡剤
整泡剤A:SRX−280A(ポリエーテルシロキサン重合体)〔東レダウコーニングシリコーン(株)製〕
<10μm以上の粒子の含有量及び体積平均粒子径>
得られたポリマーポリオールを、レーザー光の透過率が70〜90%となるように、それに用いたポリオールで希釈し、下記の粒度分布測定装置にて10μm以上の粒子の含有量(体積%)及び体積平均粒子径(μm)を測定した。
装置 :堀場製作所製 LA−750
測定原理 :Mie散乱理論
測定範囲 :0.04μm〜262μm
溶液注入量:He−Neレーザー
測定時間 :20秒
以下の式による。
体積平均粒子径(μm) = Σ〔q(J)×X(J)〕/Σ〔q(J)〕
J :粒子径分割番号(1〜85)
q(J):頻度分布値(%)
X(J):粒子径分割番号J番目の粒子径(μm)
遠心分離用50ml遠沈管に、ポリマーポリオール約5gを精秤し、ポリマーポリオール重量(W1)とした。メタノール50gを加えて希釈した。冷却遠心分離機[型番:H−9R、コクサン(株)製]を用いて、18,000rpm×60分間、20℃にて遠心分離した。上澄み液をガラス製ピペットを用いて除去した。残留沈降物にメタノール50gを加えて希釈し、上記と同様に遠心分離して上澄み液を除去する操作を、さらに3回繰り返した。遠沈管内の残留沈降物を、2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で60℃×60分間減圧乾燥し、乾燥した沈降物を重量測定し、該重量を(W2)とした。次式で算出した値を、ポリマー粒子含有量(重量%)とした。
ポリマー粒子含有量(重量%)=(W2)×100/(W1)
<粘度>
BL型粘度計(東京計器製)を用いて、3号ローター、12rpm、25℃の条件にて求めた。
転化率は、仕込みモノマー量に対する各モノマーの残存モノマー含量から算出し、その重量平均から求めた。残存モノマー含量は、ガスクロマトグラフ法により、内部標準物質に対する面積比から算出した。具体的な分析方法はスチレンを例に以下に示す。
転化率〔重量%〕
=100−100×[(残存スチレン含量〔%〕/(原料中のスチレン仕込量〔%〕]
残存スチレン含量〔%〕=L/M ×(内部標準物質に対するファクター)
L=(残存スチレンのピーク面積)/(ポリマーポリオールの重量〔g〕)
M=(内部標準物質のピーク面積)/(内部標準物質の重量〔g〕)
内部標準物質に対するファクターは、同重量における各モノマーのピーク面積を内部標準物質のピーク面積で除したものである。
ガスクロマトグラフ :GC−14B(島津製作所製)
カラム :内径4mmφ、長さ1.6m、ガラス製
カラム充填剤 :ポリエチレングリコール20M〔信和化工(株)製〕
内部標準物質 :ブロモベンゼン〔ナカライテスク(株)社製〕
希釈溶媒 :ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 1級〔和光純薬(株)製〕(50重量%溶液とする。)
インジェクション温度:200℃
カラム初期温度 :110℃
昇温速度 :5℃/min.
カラムファイナル温度:200℃
試料注入量 :1μl
温度調節器、バキューム攪拌翼、滴下ポンプ、減圧装置、ジムロート冷却管、窒素流入口及び流出口を備えた4口フラスコに、初期仕込みとしてポリオール(A1−1)214.6部、溶剤(C−1)61.6部及び分散剤(D−1)21部を投入し、窒素置換後、窒素雰囲気下(重合終了まで)で撹拌下130℃に昇温した。ついで、ポリオール(A1−1)77.7部、ACN84.0部、St196.0部、ジビニルベンゼン0.3部、分散剤(D−1)33.6部、溶剤(C−1)8.4部及びラジカル重合開始剤(K−1)2.8部を予め混合したモノマー含有混合液(M−1)を滴下ポンプを用いて2部/分の速度で連続的に滴下し、130℃で240分重合させポリマーポリオール中間体(Z−1)を得た。(Z−1)にポリオール(A1−1)70部を投入してから未反応モノマーを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、130〜140℃減圧下でストリッピングして、ポリマーポリオール(I−1)を得た。前記の測定、評価方法で(I−1)を評価した。結果を表2に示す。
実施例1において、初期仕込み及びモノマー含有混混合液の組成を表1に示す部数にする以外は実施例1と同様にして、ポリマーポリオール(I−2)〜(I−6)及び比較のポリマーポリオール(R−1)〜(R−2)を得た。これらについて、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
〔第1工程〕 連続重合装置(送液ライン、オーバーフローラインを接続した2LのSUS製耐圧反応容器)を2槽用意し、1槽目のオーバーフローラインを2槽目の重合槽の入口と接続し直列に配置する。1槽目及び2槽目の重合槽にそれぞれ、あらかじめポリオール(A1−1)を充液し、130℃に昇温した。ポリオール(A1−1)263.2部、ポリオール(A1−3)11.7部、溶剤(C−1)59.4部、分散剤(D−1)50.0部、ACN50.0部、St116.7部及びラジカル重合開始剤(K−1)1.7部を混合した原料混合液(G1−1)をスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、送液速度68g/分で1槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせポリマーポリオール中間体(B1−1)を得た。1槽目の重合槽からオーバーフローさせた(B1−1)は送液速度68g/分で2槽目の重合槽へ連続的に送液した。
〔第2工程〕 1槽目から送液速度68g/分の速度でオーバーフローさせた(B1−1)と送液速度52g/分の速度で送液したポリオール(A1−1)115.1部、溶剤(C−1)8.9部、ACN88.9部、St207.5部及びラジカル重合開始剤(K−1)3.0部を混合した原料混合液(G1−2)とをスタティックミキサーを用いてラインブレンドした後、2槽目の重合槽へ連続的に送液し、重合槽からオーバーフローさせた反応液をSUS製の受け槽にストックして、ポリマーポリオール中間体(B1−2)を得た。(B1−2)にポリオール(A1−1)120部を投入してから未反応モノマーを2,666〜3,999Pa(20〜30torr)で2時間、130〜140℃減圧下でストリッピングして、ポリマーポリオール(I−7)を得た。実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
実施例7において、第1工程のポリオール(A1−1)263.2部及び溶剤(C−1)59.4部の代わりにポリオール(A1−1)322.6部、第2工程のポリオール(A1−1)115.0部及び溶剤(C−1)8.9部の代わりにポリオール(A1−1)123.9部、並びに第2工程の(B1−2)に投入したポリオール(A1−1)120部の代わりにポリオール(A1−1)51部とする以外は実施例7と同様にして、比較のポリマーポリオール(R−3)を得た。これらについて、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
実施例7は、比較例3に比べて、体積平均粒子が小さいこと、10μm以上の粒子の含有量が少ないこと及び粘度が小さいことがわかる。
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られたポリマーポリオール(I−1)〜(I−7)及び比較のポリマーポリオール(R−1)〜(R−3)を使用し、表3記載の配合比で、以下に示す発泡条件によりポリウレタンフォームを製造した。これらのフォーム物性測定結果を表3に示す。発泡処方は以下の通りである。
〔1〕 ポリマーポリオール、ポリオール(A1−1)及びポリイソシアネートをそれぞれ25±2℃に温調する。
〔2〕 ポリマーポリオール、ポリオール(A1−1)、整泡剤、水、触媒の順で容量1リットルの紙コップに入れて、室温(25℃±2℃)で撹拌混合し、直ちにポリイソシアネートを加え、攪拌機〔ホモディスパー:特殊機化(株)製、撹拌条件:2,000rpm×8秒〕を用いて、撹拌して発泡を行った。
〔3〕 撹拌停止後、25×25×10cmの木箱(25℃±2℃)に内容物を投入して、ポリウレタンフォームを得た。
密度(kg/m3):JIS K6400−1997〔項目5〕に準拠
25%ILD(硬度)(kgf/314cm2)
:JIS K6382−1995〔項目5.3〕に準拠
引張強度(kgf/cm2):JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠
引裂強度(kgf/cm) :JIS K6301−1995〔項目9〕に準拠
切断伸度(%) :JIS K6301−1995〔項目3〕に準拠
圧縮永久歪(%) :JIS K6382−1995〔項目5.5〕に準拠
なお通常ポリウレタンフォームの物性として、密度は15〜50の範囲が好ましく、25%ILD、引張強度、引裂強度、切断伸度は数値が大きいほど好ましい。また、圧縮永久歪は数値が小さいほど好ましい。
Claims (7)
- エチレン性不飽和化合物(b)を重合させて得られるポリマー粒子(B)及びポリオール(A)を含んでなるポリマーポリオールの製造方法であって、ポリオール(A)、水及び分散剤(D)の存在下、エチレン性不飽和化合物(b)を重合させる工程を含んでなるポリマーポリオールの製造方法。
- 水の使用量が、エチレン性不飽和化合物(b)の重量を基準として、1〜50重量%である請求項1に記載の製造方法。
- 下記の工程(1)及び(2)を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
工程(1):ポリオール(A)中で、水及び分散剤(D)の存在下、エチレン性不飽和化合物(b)を重合させてポリマーポリオール中間体(B1)を得る工程
工程(2):ポリマーポリオール中間体(B1)中で(b)を重合させてポリマーポリオール中間体(B2)、又はポリマーポリオールを得る工程 - 水を、ポリオール(A)、エチレン性不飽和化合物(b)及び分散剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種と(b)を重合する前に混合する工程を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- エチレン性不飽和モノマー(b)を重合させた後、さらに、減圧下でストリッピングする工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- ポリオール成分とポリイソシアネート成分を反応させて、ポリウレタン樹脂を製造する方法において、ポリオール成分の少なくとも一部として請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるポリマーポリオール(I)を用いるポリウレタン樹脂の製造方法。
- ポリマーポリオール(I)の使用量が、ポリオール成分の重量に基づいて10〜100重量%である請求項6記載のポリウレタン樹脂の製造方法。
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