JP5413380B2 - 楽曲データ修正装置 - Google Patents

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Description

本発明は、楽曲データを修正する楽曲データ修正装置に関する。
従来、予め規定された種類の楽器の音(以下、楽器音とする)を出力するカラオケ装置であって、MIDI規格によって楽曲を表した楽曲データに基づいて当該楽曲を演奏するカラオケ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一般的に、楽曲データは、少なくとも、当該楽曲にて歌唱されるべき旋律を表すガイドメロディの演奏を担当する楽器音であるガイメロ楽器音、及びガイドメロディに対する副次的な旋律を表す伴奏メロディの演奏を担当する各楽器音である伴奏楽器音のそれぞれについて、個々の楽音の音高、演奏開始タイミングが規定された楽譜トラックを有している。
そして、このようなカラオケ装置では、当該カラオケ装置にて演奏された楽曲のガイドメロディにあわせて、当該カラオケ装置の利用者が歌唱することがなされる。
特開平10−222176号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたカラオケ装置にて演奏された楽曲に対し、当該カラオケ装置の利用者が歌唱すると、ガイドメロディを構成する楽音は、利用者自身が発した歌声に埋もれてしまい、聞き取りにくくなってしまう。
つまり、特許文献1に記載されたカラオケ装置では、ガイドメロディを構成する楽音における音高の時間軸に沿った推移が聞き取りにくくなり、カラオケ装置にて演奏された楽曲が歌いにくくなる可能性があるという問題があった。
そこで、本発明は、カラオケ装置にて演奏される楽曲が歌いやすくなるように楽曲データを修正する技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明の楽曲データ修正装置では、楽曲データ取得手段が、楽曲データを取得する。その楽曲データは、1種類以上の楽器の音を出力可能なカラオケ装置にて演奏される楽曲を表し、少なくとも、該楽曲にて歌唱されるべき旋律を表すガイドメロディについて、個々の楽音の音高、及び演奏開始タイミングが少なくとも規定されている。
そして、本発明の楽曲データ修正装置では、歌声データ取得手段が、予め用意され、時間軸に沿った歌声の波形を表す歌声波形データを取得すると、少なくとも、その取得した歌声波形データに基づいて、声域特定手段が、歌声を発した人物の声域である歌唱音域を特定する。
これと共に、本発明の楽曲データ修正装置では、楽曲データ修正手段が、ガイドメロディを構成する楽音の最低音高から最高音高までの音高範囲であるガイメロ音域について、声域特定手段にて特定した歌唱音域に重なる範囲が低減するように、楽曲データ取得手段で取得した楽曲データにおけるガイドメロディを構成する楽音の音高を、オクターブ単位で変更した楽曲データである修正楽曲データを生成する。
つまり、本発明の楽曲データ修正装置にて生成される修正楽曲データは、歌唱音域に重なるガイメロ音域の範囲が低減するように、ガイドメロディを構成する楽音の音高が変更されたものである。
したがって、このような修正楽曲データに基づいてカラオケ装置にて演奏された楽曲(以下、修正楽曲とする)では、当該楽曲に対するカラオケ装置の利用者が発した歌声の音高と、ガイドメロディとして出力される修正後の楽音の音高との間に音高差が生じる。
さらに、本発明の楽曲データ修正装置では、ガイドメロディを構成する楽音の音高の変更を、オクターブ単位で実行している。人は、通常、同一の音名であればオクターブ(音階)が異なっても、同じ音として認識することが知られている。よって、修正楽曲であれば、当該カラオケ装置の利用者にとって、ガイドメロディとして出力される修正後の楽音を、修正前の楽音と同様の音として認識可能な状態に維持できる。
さらには、修正楽曲において、ガイドメロディとして出力される修正後の楽音が、ガイドメロディに対する副次的な楽器音(即ち、当該楽曲の伴奏音)と不協和音となることを防止できる。
これらの結果、修正楽曲は、当該カラオケ装置の利用者にとって、ガイドメロディとして出力される修正後の楽音を修正前の楽音と同様の音として認識可能である共に、利用者自身が発した歌声を聞き取りやすいため、歌いやすくなる。換言すれば、本発明の楽曲データ修正装置によれば、カラオケ装置にて演奏される楽曲が歌いやすくなるように楽曲データを修正する技術を提供することができる。
なお、ここで言う楽音の音高とは、楽音の音の高さを表す概念であり、例えば、音名に対応する特定の周波数や、その特定の周波数を含む周波数帯域を含む概念である。
ところで、本発明の楽曲データ修正装置においては、修正楽曲データにおけるガイドメロディを修正メロディとしても良い。この場合、本発明における楽曲データ修正手段は、歌唱音域における音域の代表値である歌唱代表値と、修正メロディにおけるガイメロ音域での音域の代表値であるガイメロ代表値との差が、1オクターブ以上かつ1.5オクターブ以下の音域となるように、ガイドメロディを構成する楽音の音高を変更する。
つまり、本発明の楽曲データ修正装置では、歌唱代表値が、予め生成された修正前の楽曲データ(以下、未修正楽曲データとする)におけるガイメロ代表値から0.5オクターブを超えて高ければ、ガイドメロディを構成する楽音の音高を2オクターブ高くする。一方、歌唱代表値が、未修正楽曲データにおけるガイメロ代表値から0.5オクターブの範囲内で高ければ、ガイドメロディを構成する楽音の音高を1オクターブ低くする。
また、本発明の楽曲データ修正装置では、歌唱代表値が、未修正楽曲データにおけるガイメロ代表値から0.5オクターブを超えて低ければ、ガイドメロディを構成する楽音の音高を2オクターブ低くする。一方、歌唱代表値が、未修正楽曲データにおけるガイメロ代表値から0.5オクターブの範囲内で低ければ、ガイドメロディを構成する楽音の音高を1オクターブ高くする。
そして、カラオケ装置の利用者が修正楽曲を歌唱する場合、その利用者が一般的な利用者であれば、発する歌声の音高は、ガイドメロディとして出力される修正後の楽音の音高に引っ張られる。
このことから、本発明のデータ修正装置によれば、カラオケ装置の利用者にとって歌唱しやすいオクターブのガイドメロディを生成することができる。
なお、歌唱代表値とは、歌唱音域における音域の代表値を表す音高(周波数の範囲)であり、例えば、歌唱音域の音高中心であっても良いし、歌唱音域の最低音高,または最高音高であっても良い。さらに、ガイメロ代表値とは、ガイメロ音域における音域の代表値を表す音高(周波数の範囲)であり、例えば、ガイメロ音域の音高中心であっても良いし、ガイメロ音域の最低音高,または最高音高であっても良い。
さらに、本発明における楽曲データ修正手段は、ガイドメロディを形成する個々の楽音について、音高を階級とした度数分布を導出し、該度数分布において、度数が予め規定された規定閾値以上である音高の中で、最も低い音高を最低音高とし、度数が規定閾値以上である音高の中で、最も高い音高を最高音高とする。
このような楽曲データ修正装置であれば、ガイメロ音域を容易に特定することができる。
本発明が適用されたデータ修正装置の概略構成を示すブロック図である。 楽譜トラックの構造を模式的に示す図である。 MIDIアレンジ処理の処理手順を示すフローチャートである。 MIDIアレンジ処理においてガイメロ音域を特定する手法の概要を示す図である。 取得楽曲データ及び修正楽曲データにおけるガイメロ音域と歌唱音域との関係を示す図面である。 取得楽曲データ及び修正楽曲データにおけるガイメロ音域と歌唱音域との関係を示す図面である。 修正楽曲データの構造を模式的に示す図である。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第一実施形態]
本発明が適用された楽曲データ修正装置は、カラオケ装置にて演奏される楽曲を表す楽曲データを修正する装置である。以下、楽曲データ修正装置にて修正した楽曲データを修正楽曲データと称す。
なお、本実施形態における楽曲データ修正装置は、図1に示すカラオケ装置10の一つの機能として実現されている。このカラオケ装置10は、楽曲データや修正楽曲データに基づいて、それらデータに対応する楽曲を演奏する装置である。
この楽曲データ(ここでは、修正楽曲データも含む)によって表わされる楽曲とは、作曲者が作曲した楽曲を、カラオケの用途のために編曲した楽曲であり、通常、当該楽曲にて歌唱されるべき旋律を表すガイドメロディと、そのガイドメロディに対する副次的な旋律を表す少なくとも一つの伴奏メロディと、当該楽曲のリズムを表すリズム旋律とを有する。ここで言う伴奏メロディには、ガイドメロディとは異なる旋律に加えて、ガイドメロディの和音に相当する旋律を含む。
〈カラオケ装置について〉
図1に示すように、カラオケ装置10は、通信部11と、入力受付部13と、表示部14と、音声入力部15と、音声出力部16と、音源モジュール17と、記憶部18と、制御部20とを備えている。
このうち、通信部11は、カラオケ装置10をネットワーク(例えば、専用回線やWAN)に接続し、その接続されたネットワークを介して外部と通信を行うものである。
入力受付部13は、外部からの操作に従って情報や指令の入力を受け付ける入力機器(例えば、リモートコントローラ)である。表示部14は、画像を表示する表示装置(例えば、液晶ディスプレイやCRT等)である。また、音声入力部15は、音声を電気信号に変換して制御部20に入力する装置(いわゆるマイクロホン)である。音声出力部16は、制御部20からの電気信号を音声に変換して出力する装置(いわゆるスピーカ)である。
さらに、音源モジュール17は、楽曲データに基づいて、予め規定された種類の楽器の音(以下、楽器音とする)を出力する装置である。本実施形態においては、音源モジュール17は、周知のMIDI(Musical Instrument Digital Interface)音源によって構成されている。そして、音源モジュール17にて出力される楽器音は、鍵盤楽器(例えば、ピアノやパイプオルガンなど)の楽器音、弦楽器(例えば、バイオリンやビオラ、ギター、ベース、琴など)の楽器音、打楽器(例えば、ドラムやシンバル、ティンパニー、木琴、ビブラフォンなど)の楽器音、及び管楽器(例えば、クラリネットやトランペット、フルート、尺八など)の楽器音などである。
次に、楽曲データは、楽曲を区別するデータである識別データと、当該楽曲の歌詞を表す歌詞データと、当該楽曲にて用いられる楽器各々についての楽譜を表す楽譜トラックとを少なくとも有し、周知のMIDI規格によって表されている。
楽譜トラックとしては、ガイドメロディと、伴奏メロディと、リズム旋律とのそれぞれに対応するデータが予め生成されている。つまり、楽譜トラックには、ガイドメロディの演奏を担当する楽器(以下、ガイメロ楽器とする)に対応する楽譜トラック、伴奏メロディの演奏を担当する楽器(以下、伴奏メロディ楽器とする)に対応する楽譜トラック、リズム旋律の演奏を担当する楽器(以下、リズム楽器とする)に対応する楽譜トラックが存在する。
なお、実施形態においては、ガイメロ楽器として、例えば、ビブラフォンが規定され、リズム楽器として、例えば、ドラムやシンバルなどが規定されている。また、実施形態における伴奏メロディ楽器には、当該伴奏メロディ楽器の楽器音における周波数のスペクトル構造が人の声と同様のスペクトル構造(即ち、倍音構造)となる楽器(以下、ハーモニー伴奏楽器とする)が含まれる。このハーモニー伴奏楽器には、例えば、バイオリンやビオラ、ギター、ベース(いわゆるベースギター)などが含まれる。
各楽譜トラックには、楽器の種類に応じてインデックス番号が割り振られており、このインデックス番号によって、各楽譜トラックに対応する楽器の種類を特定可能となる。
ところで、各楽譜トラックに規定される内容には、個々の楽音(即ち、楽器音)の音符長、個々の楽音の音高(いわゆるノートナンバー)、個々の楽音の強さ(いわゆるアタック、ベロシティ、ディケイなど)がある。
ただし、楽譜トラックでの音符長は、当該楽音(楽器音)の出力を開始する、当該楽曲の演奏開始からの時刻を表す演奏開始タイミング(いわゆるノートオンタイミング)と、当該演奏音の出力を終了する、当該楽曲の演奏開始からの時刻を表す終了タイミング(いわゆるノートオフタイミング)とによって規定されている。
つまり、各楽譜トラックは、図2に示すように、時間の進行に沿った楽音それぞれについて、ノートナンバー、ノートオンタイミング、及びノートオフタイミングが規定されることによって、楽器にて演奏すべき楽譜を表している。
また、記憶部18は、記憶内容を読み書き可能に構成された不揮発性の記憶装置(例えば、ハードディスク装置)である。この記憶部18には、処理プログラムや、通信部11を介して取得された楽曲データが少なくとも格納される。さらに、記憶部18には、カラオケ装置10の利用者が過去に歌唱したときの歌声を記録した歌声波形データが、当該利用者を識別する利用者識別番号及び楽曲を識別する識別データと対応付けて格納されている。ここで言う歌声波形データは、歌声の音圧が時間軸に沿って推移した波形を表すデータである。
制御部20は、電源が切断されても記憶内容を保持する必要がある処理プログラムやデータを格納するROM21と、処理プログラムやデータを一時的に格納するRAM22と、ROM21やRAM22に記憶された処理プログラムに従って各処理(各種演算)を実行するCPU23とを少なくとも有した周知のコンピュータを中心に構成されている。
なお、本実施形態における処理プログラムとして、入力受付部13を介して指定された楽曲(以下、対象楽曲)に対応する楽曲データを、カラオケ装置10の利用者が歌唱しやすい楽曲に対応する楽曲データとなるように修正する(即ち、修正楽曲データを生成する)と共に、その修正楽曲データに基づいて当該楽曲を演奏するMIDIアレンジ処理の処理手順を表した処理プログラムが予め用意されている。
〈MIDIアレンジ処理について〉
次に、制御部20が実行するMIDIアレンジ処理について説明する。
ここで、図3は、MIDIアレンジ処理の処理手順を示すフローチャートである。
このMIDIアレンジ処理は、入力受付部13を介して起動指令が入力されると、実行が開始されるものである。
そのMIDIアレンジ処理は、起動されると、図3に示すように、まず、入力受付部13を介して入力された利用者識別番号を取得し(S110)、その取得した利用者識別番号と対応付けられた歌声波形データを記憶部18から取得する(S120)。
続いて、少なくとも、S120にて取得した歌声波形データに基づいて、該歌声波形データに表された歌声を発した人物の声域における最低音高vf0min、最高音高vf0max、及び声域を表す歌唱音域を推定する(S130)。
本実施形態のS130では、具体的に、S120で取得した歌声波形データに対応付けられている識別データに基づいて、該識別データによって特定される楽曲に対応する楽曲データ(以下、分析楽曲データと称す)を取得する。これと共に、その分析楽曲データと、S120にて取得した歌声波形データとに基づいて、最低音高vf0min(ノートナンバー)、最高音高vf0max(ノートナンバー)を推定する。さらに、その最低音高vf0minから最高音高vf0maxまでの音高の範囲(ノートナンバーの範囲)を歌唱音域として推定する。
これら最低音高vf0min、最高音高vf0max、及び歌唱音域を推定する方法としては、周知の方法を用いれば良く、例えば、特開2010−085654号公報に開示された方法や、特開2010−085655号公報に開示された方法、特開2010−085656号公報に開示された方法、特開2010−197738号公報に開示された方法の中から少なくとも一つの方法を用いれば良い。
続いて、対象楽曲に対応する楽曲データを記憶部18から取得する(S140)。そして、S140にて取得した楽曲データ(以下、取得楽曲データと称す)において、ガイドメロディを形成する楽音の音高が含まれる音高の範囲(以下、ガイメロ音域とする)を特定する(S150)。
具体的には、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックから、当該楽譜トラックに規定されている全ての楽音の音高について度数分布(即ち、楽音の音高を階級としたヒストグラム)を求める。図4(A)に示すように、その求めた度数分布において、度数が予め規定された音高閾値thf以上となる音高(ノートナンバー)の中で、最も低い音高を最低音高mf0minとして特定する。さらに、度数分布において、度数が音高閾値thf以上となる音高(ノートナンバー)の中で、最も高い音高を最高音高mf0maxとして特定する。それら特定された最低音高mf0minから最高音高mf0maxまでの音高範囲(ノートナンバーの範囲)を、ガイメロ音域として特定する。
続いて、ガイメロ音域の代表値(以下、ガイメロ代表値とする)と、歌唱音域の代表値(以下、歌唱代表値とする)とを導出すると共に、それらガイメロ代表値と歌唱代表値とに基づいて、取得楽曲データに対する修正量GSを決定する(S160)。
本実施形態のS160を具体的に説明すると、S160では、まず、歌唱音域の中心値(以下、歌唱音域中心とする)vf0cを歌唱代表値として、ガイメロ音域の中心値(以下、ガイメロ中心)mf0cをガイメロ代表値として導出する。
この歌唱音域中心vf0cは、下記(1)式に従って、ガイメロ中心mf0cは、下記(2)式に従って導出される。
続いて、歌唱音域中心vf0cとガイメロ中心mf0cとの差である音高差dfcを、下記(3)式に従って導出する。
さらに、修正量GSを下記(4)式に従って導出する。
ただし、(4)式中のroundは、入力値を整数に近似(即ち、小数点以下を四捨五入)する関数であり、(4)式中のsignは、入力値が負の値であれば「1」を、入力値が正の値であれば「−1」を出力する符号関数である。
つまり、(4)式に従って導出される修正量GSは、歌唱音域中心vf0c(即ち、歌唱代表値)が、ガイメロ中心mf0c(即ち、ガイメロ代表値)に比べて、0.5オクターブまでの範囲内で高ければ、換言すれば、音高差dfcが「5」以内であれば、「−1」となる。また、歌唱音域中心vf0cが、ガイメロ中心mf0cに比べて、0.5オクターブを超え1.5オクターブまでの間で高ければ、換言すれば、音高差dfcが「6」以上かつ「18」以下であれば、修正量GSは「2」となる。
一方、歌唱音域中心vf0cが、ガイメロ中心mf0cに比べて、0.5オクターブの範囲内で低ければ、換言すれば、音高差dfcが「−5」以内であれば、修正量GSは「1」となる。また、歌唱音域中心vf0cが、ガイメロ中心mf0cに比べて、0.5オクターブを超え1.5オクターブまでの間で低ければ、換言すれば、音高差dfcが「−6」以下かつ「−17」以上であれば、修正量GSは「−2」となる。
MIDIアレンジ処理では、続いて、取得楽曲データにおいて、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックに規定された個々の楽音の音高を修正量GSオクターブ・シフトする(S170)。このS170にて、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックに規定された個々の楽音の音高を修正量GSオクターブ・シフトすることで生成された楽曲データが、修正楽曲データとなる。
なお、本実施形態のS170では、具体的に、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックに規定された個々の楽音の音高(即ち、取得楽曲データにおけるガイドメロディを構成する個々の楽音として予め規定されたノートナンバー)に、修正量GS×12によって表される値(ノートナンバー)を加算する。
ここで、図5(A)は、取得楽曲データにおけるガイメロ音域と歌唱音域との関係を示す図であり、図5(B)は、修正楽曲データにおけるガイメロ音域と歌唱音域との関係を示す図である。また、図6(A)は、取得楽曲データにおけるガイメロ音域と歌唱音域との関係を示す図であり、図6(B)は、修正楽曲データにおけるガイメロ音域と歌唱音域との関係を示す図である。
具体的に、図5(A)に示すように、取得楽曲データにおけるガイメロ中心mf0cに比べて、歌唱音域中心vf0cが、0オクターブから0.5オクターブまでの範囲内で高い場合を想定する。この場合、修正量GSは「−1」であり、本実施形態のS170では、この修正量GSに従って、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックに規定された個々の楽音の音高を1.0オクターブ低くする。この結果、図5(B)に示すように、修正楽曲データにおけるガイメロ中心mf0c'は、歌唱音域中心vf0cに比べて、1オクターブを超えて1.5オクターブまでの範囲内で低くなる。
また、図6(A)に示すように、取得楽曲データにおけるガイメロ中心mf0cに比べて、歌唱音域中心vf0cが、0オクターブから0.5オクターブまでの範囲内で低い場合を想定する。この場合、修正量GSは「1」であり、本実施形態のS170では、この修正量GSに従って、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックに規定された個々の楽音の音高を1.0オクターブ高くする。この結果、図6(B)に示すように、修正楽曲データにおけるガイメロ中心mf0c'は、歌唱音域中心vf0cに比べて、1オクターブを超えて1.5オクターブまでの範囲内で高くなる。
換言すれば、本実施形態のS170では、修正楽曲データにおけるガイメロ中心mf0c'と、歌唱音域中心vf0cとの差が、1オクターブ以上となるように、取得楽曲データにおいて、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックに規定された個々の楽音の音高をオクターブ単位でシフトしている。
したがって、修正楽曲データは、図7(A)に示す、取得楽曲データにおいて、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックに規定された個々の楽音(図中,GNO)の音高が、図7(B)に示すように、オクターブ単位でシフトされた楽曲データとなる。なお、修正楽曲データにおいては、ガイメロ楽器に対応する楽譜トラックに規定された楽音以外の楽音(図中:ANO)、即ち、伴奏メロディ楽器に対応する楽譜トラックに規定された楽音や、リズム楽器に対応する楽譜トラックに規定された楽音の音高は、取得楽曲データにおいて規定されている音高に維持されている。
そして、S170にて生成された修正楽曲データに基づいて、修正楽曲データに対応する楽曲を演奏して、演奏音を音声出力部16から放音すると共に、歌詞データに基づく歌詞を表示部14に表示する(S180)。
その後、本MIDIアレンジ処理を終了する。
[実施形態の効果]
以上説明したように、修正楽曲データに基づいてカラオケ装置10にて演奏した楽曲(以下、修正楽曲とする)では、当該修正楽曲に対してカラオケ装置10の利用者が発した歌声の音高と、修正楽曲におけるガイドメロディ(以下、修正メロディとする)として出力される修正後の楽音の音高との間に音高差が生じる。
しかも、カラオケ装置10では、ガイドメロディを構成する楽音の音高の変更を、オクターブ単位で実行している。人は、通常、同一の音名であればオクターブ(音階)が異なっても、同じ音として認識することが知られている。よって、カラオケ装置10によって生成される修正楽曲データに基づく修正楽曲であれば、当該カラオケ装置10の利用者にとって、修正メロディを構成する楽音を、修正前のガイドメロディを構成する楽音と同様の音として認識可能な状態に維持できる。
さらには、修正楽曲において、修正メロディを構成する楽音が、当該修正メロディに対する副次的な旋律(即ち、当該楽曲の伴奏音)と不協和音となることを防止できる。
これらの結果、修正楽曲は、カラオケ装置10の利用者にとって、修正メロディを構成する楽音を修正前のガイドメロディを構成する楽音と同様の音として認識可能である共に、利用者自身が発した歌声を聞き取りやすいため、歌いやすくなる。換言すれば、カラオケ装置10によれば、当該カラオケ装置10にて演奏される楽曲が歌いやすくなるように楽曲データを修正する技術を提供することができる。
なお、カラオケ装置10の利用者が修正楽曲を歌唱する場合、その利用者が一般的な利用者(ここでは、プロの歌手ではない人物)であれば、その利用者が発する歌声の音高は、修正メロディを構成する楽音の音高に引っ張られる。
このことから、カラオケ装置10によれば、当該カラオケ装置10の利用者にとって歌唱しやすい音域(オクターブ)のガイドメロディへと変更することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
例えば、歌唱音域の代表値は、歌唱音域中心vf0cに限るものではなく、最低音高vf0minや、最高音高vf0maxでも良い。ただし、前者の場合、ガイメロ音域の代表値は最低音高mf0minであり、後者の場合、ガイメロ音域の代表値は最高音高mf0maxである必要がある。
なお、上記実施形態においては、楽曲データ修正装置を、カラオケ装置10の一つの機能として実現していたが、本発明における楽曲データ修正装置は、これに限るものではない。例えば、通信カラオケシステムとして、カラオケ端末と、カラオケ端末に楽曲データを配信するサーバとを備えた通信カラオケシステムが構成されている場合には、サーバを楽曲データ修正装置として機能させても良い。また、楽曲データ修正装置として専用の装置を設けても良い。
[実施形態と特許請求の範囲との対応関係]
最後に、上記実施形態の記載と、特許請求の範囲の記載との関係を説明する。
上記実施形態のMIDIアレンジ処理におけるS140が、特許請求の範囲における楽曲データ取得手段に相当し、MIDIアレンジ処理におけるS110,S120が、特許請求の範囲における歌声データ取得手段に相当する。さらに、上記実施形態のMIDIアレンジ処理におけるS130が、特許請求の範囲における声域特定手段に相当し、MIDIアレンジ処理におけるS150〜S170が、特許請求の範囲における楽曲データ修正手段に相当する。
10…カラオケ装置 11…通信部 13…入力受付部 14…表示部 15…音声入力部 16…音声出力部 17…音源モジュール 18…記憶部 20…制御部 21…ROM 22…RAM 23…CPU

Claims (3)

  1. 1種類以上の楽器の音を出力可能なカラオケ装置にて演奏される楽曲を表し、少なくとも、該楽曲にて歌唱されるべき旋律を表すガイドメロディについて、個々の楽音の音高、及び演奏開始タイミングが少なくとも規定された楽曲データを取得する楽曲データ取得手段と、
    予め用意され、時間軸に沿った歌声の波形を表す歌声波形データを取得する歌声データ取得手段と、
    少なくとも、前記歌声データ取得手段で取得した歌声波形データに基づいて、前記歌声を発した人物の声域である歌唱音域を特定する声域特定手段と、
    前記ガイドメロディを構成する楽音の最低音高から最高音高までの音高範囲であるガイメロ音域について、前記声域特定手段にて特定した歌唱音域に重なる範囲が低減するように、前記楽曲データ取得手段で取得した楽曲データにおけるガイドメロディを構成する楽音の音高を、オクターブ単位で変更した楽曲データである修正楽曲データを生成する楽曲データ修正手段と
    を備えることを特徴とする楽曲データ修正装置。
  2. 前記修正楽曲データにおけるガイドメロディを修正メロディとし、
    前記楽曲データ修正手段は、
    前記歌唱音域における音域の代表値である歌唱代表値と、前記修正メロディにおける前記ガイメロ音域での音域の代表値であるガイメロ代表値との差が、1オクターブ以上かつ1.5オクターブ以下の音域となるように、前記ガイドメロディを構成する楽音の音高を変更する
    ことを特徴とする請求項1に記載の楽曲データ修正装置。
  3. 前記楽曲データ修正手段は、
    前記ガイドメロディを構成する個々の楽音について、音高を階級とした度数分布を導出し、該度数分布において、度数が予め規定された規定閾値以上である音高の中で、最も低い音高を前記最低音高とし、
    前記度数が規定閾値以上である音高の中で、最も高い音高を前記最高音高とする
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の楽曲データ修正装置。
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