JP5413083B2 - 泳動粒子分散液、表示媒体および表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、泳動粒子分散液、表示媒体および表示装置に関するものである。
メモリー性を有するディスプレイとして電気泳動表示素子が盛んに研究されている。本表示方式では、液体中に帯電した着色粒子(泳動粒子)が分散された電気泳動材料を用いて、電場付与によって泳動粒子をセル内(二枚の電極基板を重ねて該基板に挟まれる領域に電気泳動材料を封入した構成)の視野面および背面へ交互に移動させることによって表示が行なわれる。
本技術では、前記の電気泳動材料が重要な要素になっており、様々な技術開発がなされている。また、粒子を分散する液体として、揮発性が低く、化学物質としての安全性の高い材料が望まれる。この安全性の高い液体として、石油由来高沸点成分であるイソパラフィン系炭化水素分散媒(市販されている製品としてはエクソン社製のアイソパー系材料等が挙げられる)、シリコーンオイル、フッ素系液体等が望ましく、この液体中で安定に分散し、帯電性や電気泳動性に優れた材料が必要となっている。特にシリコーンオイルは揮発性や可燃性が低く、安全性が高いことから有用である。
従来技術としては、例えば、シリコーン系の帯電制御高分子分散剤を用いた技術が特許文献1および特許文献2に提案され、シリコーンオイルに分散する泳動粒子として電荷調整剤を含有する構成が開示されている。
特許第3936588号明細書 特開2002−212423号公報
本発明の目的は、帯電制御性の高分子化合物としてゲル状の粒子でないものを含む泳動粒子分散液の場合に比べ、粘度を低減することにある。
上記課題は、以下の本発明により達成される。即ち、
請求項1に係る発明は、
少なくとも、泳動粒子と、分散媒と、体積平均粒子径が前記泳動粒子よりも小さいゲル状であり、かつ、泳動粒子分散液の粘度を低くする帯電制御性の高分子化合物粒子と、を含有する泳動粒子分散液である。
請求項2に係る発明は、
前記帯電制御性の高分子化合物粒子の吸液量が、該粒子の自重の1倍以上50倍以下である請求項1に記載の泳動粒子分散液である。
請求項3に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板に挟まれる領域に封入された請求項1または請求項2に記載の泳動粒子分散液と、
を備えた表示媒体である。
請求項4に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板に挟まれる領域に封入された請求項1または請求項2に記載の泳動粒子分散液と、
前記一対の基板に電圧を印加する電圧印加装置と、
を備えた表示装置である。
請求項1に係る発明によれば、帯電制御性の高分子化合物としてゲル状の粒子でないものを含む泳動粒子分散液の場合に比べ、粘度が低減された泳動粒子分散液が提供される。
請求項2に係る発明によれば、吸液量が1倍未満または50倍を超える場合に比べ、粘度が低減された泳動粒子分散液が提供される。
請求項3に係る発明によれば、泳動粒子分散液における帯電制御性の高分子化合物がゲル状の粒子でない場合に比べ、泳動粒子の移動が良好に行われる表示媒体が提供される。
請求項4に係る発明によれば、泳動粒子分散液における帯電制御性の高分子化合物がゲル状の粒子でない場合に比べ、泳動粒子の移動が良好に行われる表示装置が提供される。
第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。 第1実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。 第2実施形態に係る表示装置の概略構成図である。 第2実施形態に係る表示装置における、印加する電圧と粒子の移動量(表示濃度)との関係を模式的に示す線図である。 表示媒体の基板間へ印加する電圧態様と、粒子の移動態様との関係を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<泳動粒子分散液>
本実施形態に係る泳動粒子分散液は、少なくとも、泳動粒子と、分散媒と、体積平均粒子径が前記泳動粒子よりも小さいゲル状の帯電制御性の高分子化合物粒子(以下単に「帯電制御高分子ゲル粒子」と称す場合がある)と、を含有することを特徴とする。ただし、本実施形態に係る泳動粒子分散液には、泳動粒子分散液の粘度を低くする帯電制御高分子ゲル粒子を適用する。
尚、上記帯電制御高分子ゲル粒子は、後述するイソパラフィンやシリコーンオイル等の分散媒を吸収して膨潤する特性を持った高分子ゲル粒子である。
ここで、上記「ゲル状の高分子化合物粒子」とは、高分子化合物の架橋体であって後述の分散媒を吸収した膨潤体を表す。尚、上記帯電制御高分子ゲル粒子が高分子ゲルの状態であるか否かは、以下の方法により分析される。
まず、作製した高分子ゲルをその構成要素である高分子良分散媒(分散媒)に分散し、攪拌を行い、その後顕微鏡観察によってゲルの形態を光学的に観察する。ゲルを形成している場合であれば、分散媒に不溶であり膨潤した状態を示す。一方、ゲル化していない場合であれば、分散媒に溶解し溶液を示すものとなる。こうして顕微鏡観察による外観の差異によってゲル化の状態の有無が判断される。
尚、この他にもガラス転移温度や熱分解温度などの熱物性の差異による方法など、公知の方法によってゲル化の有無を判断してもよい。
また、上記「帯電制御性の高分子化合物」とは、後述する帯電官能基を有する高分子化合物を表す。
本実施形態に係る泳動粒子分散液は、帯電制御性の高分子化合物を含有した場合に比べて同等の帯電制御性を保持しつつ、且つ分散液の粘度が低減され、その結果泳動粒子の移動が良好に行われる。
これは、ゲル状の帯電制御性の高分子化合物粒子(帯電制御高分子ゲル粒子)を含有しており、ゲル状であることから分散媒が吸収され、粘度が低減されるものと推察される。
・吸液量
尚、前記帯電制御高分子ゲル粒子の平衡膨潤状態における吸液量(後述の分散媒を吸液する量)としては、該粒子の自重の1倍以上50倍以下であることが望ましく、更には1倍以上20倍以下であることがより望ましく、1倍以上10倍以下であることが特に望ましい。
上記吸液量が1倍以上であることにより、分散液における粘度が効果的に低減され、且つ帯電制御高分子ゲル粒子による光の散乱が抑制される。一方、50倍以下であることにより、泳動粒子分散液における帯電制御高分子ゲル粒子の体積分率が抑制されることから、分散液における粘度が効果的に低減される利点がある。
尚、上記平衡膨潤状態における吸液量は以下の方法により測定され、本明細書に記載の値は下記方法によって測定されたものである。まず、乾燥状態(分散媒を全く含んでいない状態)の帯電制御高分子ゲル粒子を分散媒中に室温(22℃)で24時間浸漬し、その前後の大きさの変化を測定し、これに分散媒および帯電制御高分子ゲル粒子の比重を考慮して乾燥した帯電制御高分子ゲル粒子の質量当たりの分散媒質量の比として算出する。
以下、本実施形態に係る泳動粒子分散液の各構成成分について説明する。
(ゲル状の帯電制御性の高分子化合物粒子(帯電制御高分子ゲル粒子))
本実施形態に係る泳動粒子分散液に用いられる帯電制御高分子ゲル粒子について説明する。
帯電制御高分子ゲル粒子に用いられる高分子ゲルとしては、例えば、下記に列挙するモノマー群から選択される1種以上のモノマーからなる単独重合体の架橋体(高分子ゲル)、2種以上のモノマーからなる共重合体の架橋体(高分子ゲル)が挙げられる。尚、該高分子ゲルとは、後述の分散媒に不溶である膨潤体を形成する性質を持つものである。また、上記高分子ゲルとしては、下記モノマー群からなる重合体または共重合体の架橋体の他にも、ポリエステル系高分子の架橋体、ポリビニルアセタール誘導体の架橋体、ポリウレタン系高分子の架橋体、ポリウレア系高分子の架橋体、ポリエーテル系高分子の架橋体、ポリアミド系高分子の架橋体、またはポリカーボネート系高分子の架橋体等も挙げられる。
−モノマー群−
例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族置換基をもった(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シリコーン鎖をもった(メタ)アクリレート系モノマー、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミン、スチレン、ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、スチレン、スチレン誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。なお、これらの表記において、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」および「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。
尚、重合反応時に高分子ゲルを形成する場合には、架橋性モノマーでもある多官能モノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シリコーン系の多官能性(メタ)アクリレートモノマー(例えば、信越化学工業社製:XX−22−164、XX−22−164AS、XX−22−164A、XX−22−164B、XX−22−164C、XX−22−164Eなど)、メチレンビスアクリルアミド、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが使用される。
・帯電官能基を有するモノマー
また、帯電制御高分子ゲル粒子には酸基(またはその塩)や塩基(またはその塩)等の帯電官能基が含有される。
帯電制御性を付与するために共重合するモノマーとしては、アミノ基や酸基等の帯電官能基を持ったモノマーが挙げられる。また、これらの帯電官能基のうち、アミノ基は酸と反応させた塩として、あるいはアルキルハライドやトシラートと反応させた4級化物とすることが望ましい。そのためにはモノマーとして処理されたものを使用しても、あるいは重合後に上記反応によって処理してもいずれでも構わない。
帯電官能基をもったモノマーとしては、アミノ基、4級アンモニウム基、酸基、酸塩基などをもったモノマー、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミンおよびこれらの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸およびその塩、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩、ビニルスルホン酸およびその塩等が挙げられる。特に、4級アンモニウム塩が望ましく、具体的にはテトラアルキルアンモニウム・ハライド塩、テトラアルキルアンモニウム・スルホン酸塩、テトラアルキルアンモニウム・テトラフェニルボロン塩が有用である。また、酸の塩としてはカルボン酸、スルホン酸やりん酸のアンモニウム塩等が有用である。
本実施形態において帯電制御高分子ゲル粒子は、上記したモノマー群から選択されたものを重合し、例えば架橋性モノマーを用いて重合の際にゲル化を行うことにより製造し得る。また、重合時には架橋性モノマーを添加せず、生成した帯電制御性の高分子化合物に架橋剤を添加して紫外線や電子線などの放射線や熱を付与することによっても製造し得る。尚、上記架橋剤としては、周知のごとく、多官能イソシアネート、多官能エポキシ、メラミン等が使用される。
本実施形態において特に、高分子ゲルとしては、架橋されたシリコーン系高分子化合物、または架橋された長鎖アルキル系高分子化合物が好適に挙げられる。以下に詳しく説明する。
・架橋されたシリコーン系高分子化合物
例えば、以下の各成分(A.シリコーン鎖成分、B.帯電成分、C.その他共重合成分)からなる共重合体が好適に挙げられる。
A.シリコーン鎖成分
シリコーン鎖成分としては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越化学工業社製:X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等、Gelest Inc.社製:RMS−044,RMS−033,RMS−083等の単官能モノマーや、信越化学工業社製:XX−22−164,XX−22−164AS,XX−22−164A,XX−22−164B,XX−22−164C,XX−22−164E等、Gelest Inc.社製:DMS−R05,DMS−R11,DMS−R18,DMS−R22,DMS−R31,DMS−U22,DBE−U12,DBE−U22,SIB1400等)が挙げられる。
B.帯電成分
帯電成分としては、上記した帯電官能基を有するモノマーが挙げられる。
C.その他共重合成分
共重合し得るなその他共重合成分を添加してもよい。
その他共重合成分としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドユニットを持ったモノマー、例えばテトラエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートなどのアルキルオキシオリゴエチレングリコールの(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの片末端(メタ)アクリレート、前記した架橋性モノマーなどが挙げられる。
尚、架橋されたシリコーン系高分子化合物においては、上記のうち成分A,Bは必須成分であり、成分Cは更に共重合してもよい成分である。3成分の共重合比は、A.シリコーン鎖成分は20質量%以上が望ましく、50質量%以上がより望ましい。また、B.帯電成分は1質量%以上50質量%以下が望ましい。
これら高分子化合物の架橋によるゲル化は、前述の通り、前記したモノマー群から選択されたものを重合し、例えば架橋モノマーを用いて重合の際にゲル化を行う方法、生成した高分子化合物に架橋剤を添加して紫外線や電子線などの放射線や熱を付与する方法、等によって行われる。
シリコーン系モノマーとしては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(下記構造式2で示されるシリコーン化合物:例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越シリコーン(株):X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等)が挙げられる。

構造式2中、Rは、水素原子またはメチル基を示す。R’は、水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは自然数(例えば1以上1000以下、望ましくは3以上100以下)を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
・架橋された長鎖アルキル系高分子化合物
一方、長鎖アルキル系高分子化合物としては、例えば上記したシリコーン系共重合体と類似した構成のもので、成分A.シリコーン鎖成分の代わりに長鎖アルキル成分A’として長鎖アルキル(メタ)アクリレートを用いたものが挙げられる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、炭素数4以上のアルキル鎖をもったものが望ましく、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、共重合体中の成分A’,B,Cの組成比は前述のシリコーン系高分子化合物における範囲から選択される。
なお、長鎖アルキル系高分子の「長鎖」とは、例えば、炭素数4以上30以下のアルキル鎖を側鎖に有する高分子を意味する。
−帯電制御高分子ゲル粒子の作製方法(重合法)−
帯電制御高分子ゲル粒子は架橋された高分子化合物であり、上記した各材料(モノマー)を用いて以下の組み合わせで作製される。
(1)少なくとも、前記モノマー群におけるモノマーと、前記帯電官能基を有するモノマーと、架橋剤と、を重合して形成する。上記架橋剤としては例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多官能モノマーや、前記した多官能モノマーが使用される。なお、この場合には架橋剤である多官能モノマーは、モノマー全体量に対して0.01質量%以上90質量%以下の範囲で添加することが望ましい。
(2)前記した多官能モノマーを主成分として重合する。尚、ここで「主成分」とは、高分子ゲルの組成として最も多い質量比をもったものであることを表す。例えばシリコーン系の多官能モノマーを主成分として、これに帯電官能基を有するモノマーを配合して重合することでシリコーン系高分子ゲルが作製される。
・物性
尚前述の通り、前記帯電制御高分子ゲル粒子の吸液量は、該粒子の自重の1倍以上50倍以下であることが望ましい。
また、帯電制御高分子ゲル粒子は、特に限定されるものではないが無色あるいは透明であることが望ましい。
さらに、帯電制御高分子ゲル粒子の大きさは、体積平均粒子径で500nm以下であることが望ましく、更には30nm以上200nm以下であることがより望ましい。
但し、帯電制御高分子ゲル粒子の大きさは、泳動粒子の大きさよりも小さい。
(泳動粒子)
本実施形態に係る泳動粒子分散液には泳動粒子が含有される。該泳動粒子とは、観察者が視認できる色を有し、且つ外部から印加される電界に従って移動を行うように帯電された粒子を指す。
泳動粒子としては、ガラスビーズ、アルミナ、酸化チタン等の絶縁性の金属酸化物粒子等、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂粒子、これらの樹脂粒子の表面に着色剤を固定したもの、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂中に着色剤を含有する粒子、およびプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子等が挙げられる。
・樹脂
泳動粒子に使用される上記熱可塑性樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体が例示される。
また、泳動粒子に使用される熱硬化性樹脂としては、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体や架橋ポリメチルメタクリレート等の架橋樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
・帯電官能基を有するモノマー
また、泳動粒子には酸基(またはその塩)や塩基(またはその塩)等の帯電官能基が含有されることが望ましい。
帯電制御性を付与するために共重合するモノマーとしては、アミノ基や酸基等の帯電官能基を持ったモノマーが挙げられる。また、これらの帯電官能基のうち、アミノ基は酸と反応させた塩として、あるいはアルキルハライドやトシラートと反応させた4級化物とすることが望ましい。そのためにはモノマーとして処理されたものを使用しても、あるいは重合後に上記反応によって処理してもいずれでも構わない。
帯電官能基をもったモノマーとしては、アミノ基、4級アンモニウム基、酸基、酸塩基などをもったモノマー、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミンおよびこれらの4級アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸およびその塩、マレイン酸、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩、ビニルスルホン酸およびその塩等が挙げられる。特に、4級アンモニウム塩が望ましく、具体的にはテトラアルキルアンモニウム・ハライド塩、テトラアルキルアンモニウム・スルホン酸塩、テトラアルキルアンモニウム・テトラフェニルボロン塩が有用である。また、酸の塩としてはカルボン酸、スルホン酸やりん酸のアンモニウム塩等が有用である。
尚、帯電制御性の観点から、前述の帯電制御高分子ゲル粒子に含有される帯電官能基と、上記泳動粒子に含有される帯電官能基とは、例えば以下の組合せであることが特に望ましい。
・(泳動粒子)酸基と、(帯電制御高分子ゲル粒子)塩基 との組合せ
・(泳動粒子)酸基と、(帯電制御高分子ゲル粒子)酸基 との組合せ
・(泳動粒子)酸基と、(帯電制御高分子ゲル粒子)ヒドロキシル基との組合せ
・(泳動粒子)塩基と、(帯電制御高分子ゲル粒子)酸基 との組合せ
・(泳動粒子)塩基と、(帯電制御高分子ゲル粒子)塩基 との組合せ
・(泳動粒子)塩基と、(帯電制御高分子ゲル粒子)ヒドロキシル基との組合せ
・着色剤
泳動粒子を着色する着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等が使用され、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして例示される。
泳動粒子の樹脂中には、更に帯電制御剤を混合してもよい。帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用され、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子が挙げられる。
泳動粒子の内部には、磁性材料を混合してもよい。磁性材料はカラーコートした無機磁性材料や有機磁性材料等が使用される。また、透明な磁性材料、特に透明有機磁性材料がより望ましい。
泳動粒子の平均粒径は、0.1μm以上10μm以下であることが望ましいが、これに限定されない。
尚、上記泳動粒子の平均粒径は、Photal FPAR−1000(動的光散乱式粒径分布測定装置)を用いて測定され、MARQUARDT法により解析が行われる。本明細書に記載の数値は該方法によって測定されたものである。
泳動粒子を作製する方法としては、従来公知のどの方法を用いてもよい。例えば、特開平7−325434号公報記載のごとく、樹脂や顔料等を定められた混合比になるよう計量し、樹脂を加熱溶融させた後に顔料を添加して混合、分散させ、冷却した後、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル等の粉砕機を用いて粒子を調製し、得られた粒子をその後分散媒に分散する方法が使用される。また、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やコアセルベーション、メルトディスパージョン、エマルジョン凝集法で粒子を調製し、その後分散媒に分散して粒子分散媒を作製してもよい。さらにまた、樹脂が可塑化し得るもので、分散媒が沸騰せず、かつ、樹脂および着色剤の少なくとも一方の分解点よりも低温で、前記の樹脂、着色剤および分散媒の原材料を分散および混錬する適当な装置を用いる方法がある。具体的には、流星型ミキサー、ニーダー等で顔料と樹脂を分散媒中で加熱溶融し、樹脂の分散媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を攪拌しながら冷却し、凝固/析出させて粒子を作製する。
さらにまた、分散および混練のための粒状メデイアを装備した適当な容器、例えばアトライター、加熱したボールミル等の加熱された振動ミル中に上記の原材料を投入し、この容器を望ましい温度範囲、例えば80℃以上160℃以下で分散および混練する方法を使用してもよい。粒状メデイアとしては、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が望ましく用いられる。この方法によって粒子を作製するには、あらかじめ流動状態にした原材料をさらに粒状メデイアによって容器内に分散させた後、分散媒を冷却して分散媒から着色剤を含む樹脂を沈殿させる。粒状メデイアは冷却中および冷却後にも引き続き運動状態を保ちながら、剪断および/または衝撃を発生させ粒子径を小さくする。
(分散媒)
本実施形態に係る泳動粒子分散液は、粒子を分散するための分散媒を含有する。
前記分散媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、パーフルオロエーテル類、高純度石油、エチレングリコール、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン等や、これらの混合物が使用される。
中でも、イソパラフィンまたはシリコーンオイル、或いはこれらと他の分散媒との混合物が好適に用いられる。
上記シリコーンオイルとして具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等)、変性シリコーンオイル(例えば、フッ素変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル等)が挙げられる。これらの中も、ジメチルシリコーンオイルが特に望ましい。
シリコーンオイルの粘度は、温度20℃の環境下において、0.1mPa・s以上20mPa・s以下であることが望ましく、より望ましくは0.1mPa・s以上2mPa・s以下である。なお、この粘度の測定には、東京計器製B−8L型粘度計を用いる。
パラフィン系炭化水素分散媒としては、炭素数20以上(沸点80℃以上)のノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素が挙げられるが、イソパラフィンを用いることがより望ましい。具体的には、シェルゾル71(シェル石油製)、アイソパーO、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーG、アイソパーM(アイソパーはエクソン社の商品名)やアイピーソルベント(出光石油化学製)等が挙げられる。
本実施形態に係る泳動粒子分散液中の泳動粒子の濃度は、表示特性や応答特性あるいはその用途によって種々選択されるが0.1質量%以上30質量%以下の範囲で選択されることが望ましい。色の異なった多粒子を混合する場合にはその粒子総量がこの範囲であると望ましい。
また、色や帯電極性の異なる複数種の粒子を混合して使用し、カラー表示を得るということも望ましく実施される。
本実施形態に係る泳動粒子の平衡膨潤状態における吸液量(前記分散媒を吸液する量)は0.1g/g以上50g/g以下の範囲が望ましく、より望ましくは0.2g/g以上50g/g以下、特に望ましくは0.5g/g以上20g/g以下である。
尚、上記平衡膨潤状態における吸液量は以下の方法により測定され、本明細書に記載の値は下記方法によって測定されたものである。まず、乾燥状態(分散媒を全く含んでいない状態)の泳動粒子を分散媒中に室温(22℃)で24時間浸漬し、その前後の大きさの変化を測定し、これに分散媒および泳動粒子の比重を考慮して乾燥泳動粒子質量当たりの分散媒質量の比として算出する。
本実施形態に係る泳動粒子分散液は、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)、液体現像方式電子写真システムの液体トナーなどに利用される。なお、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)としては、公知である電極(基板)面に対して垂直方向に粒子群を移動させる方式、それとは異なり水平方向に移動させる方式(いわゆるインプレーン型素子)、またはこれらを組み合わせたハイブリッド素子がある。
<表示媒体、表示装置>
次いで、本実施形態に係る表示媒体、および表示装置について説明する。
本実施形態に係る表示媒体は、少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、前記一対の基板に挟まれる領域に封入された前記本実施形態に係る泳動粒子分散液と、を備えたことを特徴とする。
また、本実施形態に係る表示装置は、前記表示媒体と、前記表示媒体の前記一対の基板に電圧を印加する電圧印加装置と、を備えたことを特徴とする。
以下、本実施形態に係る表示媒体、および表示装置の一例について図面を用いて説明する。
−第1実施形態−
まず、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図2は、第1実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
第1実施形態に係る表示装置10は、その表示媒体12の分散媒50と粒子群34とを含む粒子分散液として、前記本実施形態に係る泳動粒子分散液を適用する形態である。
第1実施形態に係る表示装置10は、図1に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を定められた間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34、および粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する大径着色粒子群36を含んで構成されている。
上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域を示している。このセル中には、分散媒50が封入されている。粒子群34は、複数の粒子から構成されており、この分散媒50中に分散され、セル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との基板間を大径着色粒子群36の間隙を通じて移動する。
なお、本実施形態では、1つのセル内に封入されている粒子群34は、定められた色を有すると共に、正または負に帯電処理されて予め調製されているものとして説明する。
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎に表示し得るように構成してもよい。
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。以下、各構成について詳細に説明する。
まず、一対の基板について説明する。表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40および表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46および表面層48を積層した構成となっている。
表示基板20、または表示基板20と背面基板22との双方は、透光性を有している。ここで、本実施形態における透光性とは、可視光の透過率が60%以上であることを示している。
支持基板38および支持基板44としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
表面電極40および背面電極46には、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が使用される。これらは単層膜、混合膜あるいは複合膜として使用でき、蒸着法、スパッタリング法、塗布法等で形成される。また、その厚さは、蒸着法、スパッタリング法によれば、通常100Å以上2000Å以下である。背面電極46および表面電極40は、従来の液晶表示媒体あるいはプリント基板のエッチング等従来公知の手段により、所望のパターン、例えば、マトリックス状、またはパッシブマトリックス駆動をし得るストライプ状に形成してもよい。
また、表面電極40を支持基板38に埋め込んでもよい。また、背面電極46を支持基板44に埋め込んでもよい。この場合、支持基板38および支持基板44の材料を粒子群34の各粒子の組成等に応じて選択する。
なお、背面電極46および表面電極40各々を表示基板20および背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
なお、上記では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極40および背面電極46)を備える場合を説明したが、何れか一方にだけ設けるようにして、アクティブマトリクス駆動させるようにしてもよい。
また、アクティブマトリックス駆動を採用にするために、支持基板38および支持基板44は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。配線の積層化および部品実装が容易であることから、TFTは表示基板ではなく背面基板22に形成することが望ましい。
上記表面電極40および背面電極46が、各々支持基板38および支持基板44上に形成されている場合、表面電極40および背面電極46各々上に誘電体膜としての表面層42および表面層48を形成してもよい。
この表面層42および表面層48を形成する材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂、フッ素樹脂等を用いてもよい。
また、上記した絶縁材料の他に、絶縁材料中に電荷輸送物質を含有させたものも使用され得る。
電荷輸送物質としては、例えば、正孔輸送物質であるヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、アリールアミン化合物等が挙げられる。また、電子輸送物質であるフルオレノン化合物、ジフェノキノン誘導体、ピラン化合物、酸化亜鉛等も使用してもよい。さらに、電荷輸送性を有する自己支持性の樹脂を用いてもよい。
具体的には、ポリビニルカルバゾール、米国特許第4806443号に記載の特定のジヒドロキシアリールアミンとビスクロロホルメートとの重合によるポリカーボネート等が挙げられる。誘電体膜は、粒子の組成等に応じて選択する。基板の一方である表示基板は光を透過する必要があるので、上記各材料のうち透明のものを使用することが望ましい。
次に、間隙部材について説明する。表示基板20と背面基板22との基板の間隙を保持するための間隙部材24は、表示基板20の透光性を損なわないように形成され、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で形成される。
間隙部材24は表示基板20および背面基板22の何れか一方と一体化されてもよい。この場合には、支持基板38または支持基板44をエッチングするエッチング処理、レーザー加工処理、予め作製した型を使用してプレス加工処理または印刷処理等を行うことによって作製する。
この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、または双方に作製する。
間隙部材24は有色でも無色でもよいが、表示媒体12に表示される表示画像に悪影響を及ぼさないように無色透明であることが望ましく、その場合には、例えば、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂等が使用される。
また、粒子状の間隙部材24もまた透明であることが望ましく、ポリスチレン、ポリエステルまたはアクリル等の透明樹脂粒子の他、ガラス粒子も使用される。
なお、「透明」とは、可視光に対して、透過率60%以上有することを示している。
次に、大径着色粒子群について説明する。大径着色粒子群36は、帯電されていない粒子群であり、粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する大径着色粒子から構成され、粒子群34とは異なる色を表示する反射部材として機能するものである。そして、表示基板20と背面基板22との基板間の移動を阻害することなく、移動させる空隙部材としての機能も有している。すなわち、大径着色粒子群36の間隙を通って、背面基板22側から表示基板20側、または表示基板20側から背面基板22側へ粒子群34の各粒子は移動される。この大径着色粒子群子36の色としては、例えば、背景色となるように白色または黒色を選択することが望ましい。なお、本実施形態では、大径着色粒子群36は白色である場合を説明するが、この色に限定されることはない。
大径着色粒子群36は、例えば、酸化チタンや酸化ケイ素、酸化亜鉛などの白色顔料を、ポリスチレンやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、PMMA、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物などに分散した粒子が使用される。また、着色部材を構成する粒子として、白色以外の粒子を適用する場合、例えば、所望の色の顔料、あるいは染料を内包した前記した樹脂粒子を使用してもよい。顔料や染料は、例えばRGBやYMC色であれば、印刷インキやカラートナーに使用されている一般的な顔料あるいは染料を使用してもよい。
大径着色粒子群36を基板間へ封入するには、例えば、インクジェット法などにより行う。また、大径着色粒子群36を固定化する場合、例えば、大径着色粒子群36を封入した後、加熱(および必要があれば加圧)して、大径着色粒子群36の粒子群表層を溶かすことで、粒子間隙を維持させつつ行われる。
表示媒体12における上記セルの大きさとしては、表示媒体12の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど高解像度な画像を表示し得る表示媒体12が作製される観点から、通常、表示媒体12の表示基板20の板面方向の長さが10μm以上1mm以下である。
上記表示基板20および背面基板22を、間隙部材24を介して互いに固定するには、ボルトとナットの組み合わせ、クランプ、クリップ、基板固定用の枠等の固定手段を使用する。また、接着剤、熱溶融、超音波接合等の固定手段を使用してもよい。
このように構成される表示媒体12は、例えば、画像の保存および書換えし得る掲示板、回覧版、電子黒板、広告、看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、および複写機・プリンタと共用するドキュメントシート等に使用する。
上記に示したように、本実施形態に係る表示装置10は、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18とを含んで構成されている(図1参照)。
電圧印加部16は、表面電極40および背面電極46に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、表面電極40および背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40および背面電極46の一方が、接地されており、他方が電圧印加部16に接続された構成であってもよい。
電圧印加部16は、制御部18に信号を授受し得るよう接続されている。
制御部18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRandom Access Memoryと、装置全体を制御する制御プログラム等の各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。
電圧印加部16は、表面電極40および背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40および背面電極46間に印加する。
次に、表示装置10の作用を説明する。この作用は制御部18の動作に従って説明する。
ここで、表示媒体12に封入されている粒子群34は、黒色であり且つ負極性に帯電されている場合を説明する。また、分散媒50は透明であり、大径着色粒子群36が白色であるものとして説明する。すなわち、本実施形態では、表示媒体12は、粒子群34の移動によって黒色または白色を表示する場合を説明する。
まず、電圧を、定められた時間、表面電極40が負極となり背面電極46が正極となるように印加することを示す初期動作信号を、電圧印加部16へ出力する。基板間に負極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、負極に帯電している粒子群34を構成する粒子が背面基板22側へと移動して、背面基板22に到る(図2(A)参照)。
このとき、表示基板20側から視認される表示媒体12の色は、大径着色粒子群36の色としての白色として視認される。
このT1時間は、初期動作における電圧印加における電圧印加時間を示す情報として、予め制御部18内の図示を省略するROM等のメモリ等に記憶しておけばよい。そして、処理実行のときに、この定められた時間を示す情報を読み取るようにすればよい。
次に、表面電極40と背面電極46との電極間に、基板間に印加した電圧とは極性を反転させて、表面電極40を正極とし背面電極46を負極として電圧を印加すると、図2(B)に示すように、粒子群34は表示基板20側へと移動して表示基板20側に到達し、粒子群34による黒表示がなされる。
−第2実施形態−
以下、第2実施形態に係る表示装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図4は、第2実施形態に係る表示装置における、印加する電圧と粒子の移動量(表示濃度)との関係を模式的に示す線図である。図5は、第2実施形態に係る表示装置における、表示媒体の基板間へ印加する電圧態様と、粒子の移動態様との関係を模式的に示す説明図である。
第2実施形態に係る表示装置10は、2種類以上の粒子群を適用した形態である。なお、2種類以上の粒子群は、全て同じ極性で帯電されている。
本実施形態に係る表示装置10は、図3に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
なお、本実施形態に係る表示装置10は、上記第1実施形態で説明した表示装置10と略同一の構成であるため、同一構成には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を定められた間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34、および粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する大径着色粒子群36を含んで構成されている。
表示基板20および背面基板22の対向面は、第1実施形態に記載のごとく帯電処理されており、この対向面上には、表面層42および表面層48各々が設けられている。
本実施形態では、粒子群34として、互いに色の異なる複数種の粒子群34が分散媒50に分散されている。
なお、本実施形態では3種類の粒子群34として、互いに色の異なる粒子群34、即ちイエロー色のイエロー粒子群34Y、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、およびシアン色のシアン粒子群34Cが分散されているとして説明するが、3種類に限られない。
この複数種類の粒子群34は、基板間を電気泳動する粒子群であり、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。すなわち、各色の粒子群34(イエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、およびシアン粒子群34C)は、色毎に各色の粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲を有し、当該電圧範囲がそれぞれ異なる。
この電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が異なる複数種の粒子群34の各粒子としては、前述の泳動粒子を構成する材料の内の、例えば、粒子を構成する樹脂の種類や濃度、帯電制御剤の量等を換える等して、帯電量の異なる粒子を含む粒子分散液をそれぞれ作製し、これを混合することで得られる。
ここで、上述のように、本実施形態に係る表示媒体12には3種類の粒子群34として、互いに色の異なるイエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、およびシアン粒子群34Cが分散されており、これらの複数種類の粒子群34は、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。
なお、本実施形態では、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、およびイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の粒子群各々が移動を開始するときの電圧の絶対値として、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vtm|、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vtc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vty|であるとして説明する。また、各色粒子群34のゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、およびイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の粒子群各々を全て移動させるための最大電圧の絶対値として、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vdm|、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vdc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vdy|であるとして説明する。
なお、以下で説明するVtc、−Vtc、Vdc、−Vdc、Vtm、−Vtm、Vdm、−Vdm、Vty、−Vty、Vdy、および−Vdyの絶対値は、|Vtc|<|Vdc|<|Vtm|<|Vdm|<|Vty|<|Vdy|の関係であるとして説明する。
具体的には、図4に示すように、例えば、3種類の粒子群34は、全て同極性に帯電された状態で分散媒50内に分散され、シアン粒子群34Cを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtc≦Vc≦Vdc|(Vtc以上Vdc以下の値の絶対値)、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(Vtm以上Vdm以下の値の絶対値)、およびイエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以下の値の絶対値)が、この順で重複することなく、大きくなるように設定されている。
また、各色の粒子群34を独立駆動するために、シアン粒子群34Cを全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdc|が、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(Vtm以上Vdm以下の値の絶対値)、およびイエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以下の値の絶対値)よりも小さく設定されている。また、マゼンタ粒子群34Mを全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdm|が、イエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以上の値の絶対値)よりも小さく設定されている。
即ち、本実施形態では、各色の粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲が重ならないように設定することによって、各色の粒子群34が独立駆動されるようにしている。
なお、「粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲」とは、粒子が移動開始するために必要な電圧と移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和するまでの電圧範囲を示す。
また、「粒子群34を全て移動させるために必要な最大電圧」とは上記の移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和する電圧を示す。
また、「全て」とは、各色の粒子群34の特性ばらつきがあるため、一部の粒子群34の特性が表示特性に寄与しない程度異なるものがあることを含む。すなわち上述した移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和した状態である。
また、「表示濃度」は、表示面側における色濃度を光学濃度(Optical Density=OD)の反射濃度計X−rite社の反射濃度計で測定しながら、表示面側と背面側との間に電圧を印加して且つこの電圧を測定濃度が増加する方向に徐々に変化(印加電圧を増加または減少)させて、単位電圧あたりの濃度変化が飽和し、且つその状態で電圧および電圧印加時間を増加させても濃度変化が生じず、濃度が飽和したときの濃度を示している。
そして、本実施形態に係る表示媒体12では、表示基板20と背面基板22との基板間に0Vから電圧を印加して除々に印加電圧の電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtcを超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdcとなると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
さらに電圧値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vtmを超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtyを超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
反対に、表示基板20と背面基板22との基板間に0Vからマイナス極の電圧を印加して除々に電圧の絶対値を上昇させ、基板間に印加された電圧−Vtcの絶対値を超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの基板間の移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値の絶対値を上昇させ、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdc以上となると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
さらに電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表示基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtmの絶対値を超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
さらに電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表示基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtyの絶対値を超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、基板間に印加された電圧が−Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
すなわち、本実施形態では、図4に示すように、基板間に印加される電圧が−Vtcから+Vtcの範囲内(電圧範囲|Vtc|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子群34(シアン粒子群34C、マゼンタ粒子群34M、およびイエロー粒子群34Y)の粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtcおよび電圧−Vtcの絶対値より高い電圧が印加されると、3色の粒子群34の内のシアン粒子群34Cについて表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じはじめて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdcおよび電圧Vdcの絶対値|Vdc|以上の電圧が印加されると、単位電圧あたりの表示濃度に変化は生じなくなる。
さらに、基板間に印加される電圧が−Vtmから+Vtmの範囲内(電圧範囲|Vtm|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程のマゼンタ粒子群34Mおよびイエロー粒子群34Yの粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtmおよび電圧−Vtmの絶対値より高い電圧が印加されると、マゼンタ粒子群34Mおよびイエロー粒子群34Yの内のマゼンタ粒子群34Mについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じはじめて単位電圧あたりの表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdmおよび電圧Vdmの絶対値|Vdm|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
さらに、基板間に印加する電圧が−Vtyから+Vtyの範囲内(電圧範囲|Vty|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程のイエロー粒子群34Yの粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtyおよび電圧−Vtyの絶対値より高い電圧が印加されると、イエロー粒子群34Yについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じ始めて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdyおよび電圧Vdyの絶対値|Vdy|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
次に、図5を参照して、表示媒体12に画像を表示するときの粒子移動のメカニズムを説明する。
例えば、表示媒体12に、複数種類の粒子群34として、図4を用いて説明したイエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34Cが封入されているとして説明する。
また、以下では、イエロー粒子群34Yを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つイエロー粒子群34Yの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「大電圧」と称し、マゼンタ粒子群34Mを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つマゼンタ粒子群34Mの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「中電圧」と称し、シアン粒子群34Cを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つシアン粒子群34Cの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「小電圧」と称して説明する。
また、表示基板20側に背面基板22側より高い電圧を基板間に印加する場合には、各々の電圧を、「+大電圧」、「+中電圧」、および「+小電圧」と各々と称する。また、背面基板22側に表示基板20側より高い電圧を基板間に印加する場合には、各々の電圧を、「−大電圧」、「−中電圧」、および「−小電圧」と各々と称して説明する。
図5(A)に示すように、初期状態では全ての粒子群としてのマゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yの全てが背面基板22側に位置されるとすると(白色表示状態)、この初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+大電圧」を印加させると、全ての粒子群として、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yが表示基板20側に移動する。この状態で、電圧印加を解除しても、各粒子群各々は表示基板20側に付着したまま移動せずに、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yによる減色混合(マゼンタと、シアンと、イエロー色の減色混合)により黒色を表示したままの状態となる。(図5(B)参照)。
次に、図5(B)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−中電圧」を印加させると、全ての色の粒子群34の内、マゼンタ粒子群34Mと、シアン粒子群34Cと、が背面基板22側に移動する。このため、表示基板20側にはイエロー粒子群34Yのみが付着した状態となることから、イエロー色表示がなされる(図5(C)参照)。
さらに、図5(C)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+小電圧」を印加させると、背面基板22側に移動したマゼンタ粒子群34Mおよびシアン粒子群34Cの内、シアン粒子群34Cが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、イエロー粒子群34Yおよびシアン粒子群34Cが付着した状態となり、イエローとシアンとの減色混合による緑色が表示される(図5(D)参照)。
また、上記図5(B)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−小電圧」を印加させると、全ての粒子群34の内、シアン粒子群34Cが背面基板22側に移動する。このため、表示基板20側にはイエロー粒子群34Yとマゼンタ粒子群34Mが付着した状態となることから、シアンとマゼンタの加色混合による赤色表示がなされる(図5(I)参照)。
一方、図5(A)に示す上記初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+中電圧」を印加させると、全ての粒子群34(マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Y)の内、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cとが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cとが付着するので、マゼンタとシアンの減色混合による青色が表示される(図5(E)参照)。
この図5(E)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−小電圧」を印加させると、表示基板20側に付着しているマゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cの内の、シアン粒子群34Cが背面基板22側に移動する。
このため、表示基板20側には、マゼンタ粒子群34Mのみが付着した状態となるので、マゼンタ色が表示される(図5(F)参照)。
この図5(F)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、表示基板20側に付着しているマゼンタ粒子群34Mが背面基板22側に移動する。
このため、表示基板20側には、何も付着しない状態となるため、大径着色粒子群36の色としての白色が表示される(図5(G)参照)。
また、上記図5(A)に示す上記初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+小電圧」を印加させると、全ての粒子群34(マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Y)の内、シアン粒子群34Cが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、シアン粒子群34Cが付着するので、シアン色が表示される(図5(H)参照)。
さらに、上記図5(I)に示す状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、図5(G)に示すように全ての粒子群34が背面基板22側に移動して白色表示がなされる。
また、上記図5(D)に示す状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、図5(G)に示すように全ての粒子群34が背面基板22側に移動して白色表示がなされる。
本実施形態では、各粒子群34に応じた電圧を基板間に印加することで、当該電圧による電界に応じて選択的に所望の粒子を移動させるので、所望の色以外の色の粒子が分散媒50中を移動することを抑制することができ、所望の色以外の色が混じる混色が抑制され、表示媒体12の画質劣化を抑制しつつ、カラー表示がなされる。なお、各粒子群34は、互いに電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が異なれば、互いに電界に応じて移動するために必要な電圧範囲が重なっていても、鮮明なカラー表示が実現されるが、当該電圧範囲が互いに異なるほうが、より混色を抑制してカラー表示が実現される。
また、シアン、マゼンタ、イエローの3色の粒子群34を分散媒50中に分散することによって、シアン、マゼンタ、イエロー、青色、赤色、緑色、および黒色を表示するとともに、例えば、白色の大径着色粒子群36によって白色を表示し、特定のカラー表示を行うことが実現される。
このように、本実施形態に係る表示装置10でも、上記第1実施形態で説明した表示装置10に記載のごとく、粒子群34が表示基板20または背面基板22に到達して、付着することで表示が行われる。
以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚、以下において「部」は、特に限定のない限り質量基準である。
〔実施例1〕
(シリコーン系の帯電制御高分子ゲル粒子(A1)の作製)
まず、アミノ基をもったシリコーン系の帯電制御高分子ゲル粒子を以下の方法で作製した。
サイラプレーンFM−0711(2官能性重合性シリコーンモノマー、分子量1000、チッソ(株)製)95部、帯電官能基を持ったモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート5部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート1部を用いて、沈殿重合法によって、帯電制御高分子ゲル粒子(A1)を合成した。
尚、重合の際の条件としては、重合溶媒1,4−ジオキサン100部、開始剤V−65(油溶性アゾ重合開始剤、和光純薬)0.05部を混合し、55℃で10時間反応を行った。
得られた帯電制御高分子ゲル粒子は、シリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中の平衡膨潤状態をドップラー式粒度測定器で測定すると50nmであった。
また、帯電制御高分子ゲル粒子における分散媒の吸液量を前述の方法により測定したところ、自重の6倍であった。
(泳動粒子分散液(B1)の作製)
酸基を持った泳動粒子を以下の方法で作製した。
Ciba Specialty Chemicals社製の水分散顔料溶液(ユニスパース・シアン色:顔料濃度26質量%)1部に、ポリメタクリル酸−トリエチルアミン塩の10質量%水溶液3部を混合して、高分子化合物および顔料を含む水溶液を調製した。
次に、ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)に乳化剤としてシリコーン変性アクリルポリマーKP545(信越化学社製)を添加した、KP545の3質量%シリコーン溶液を調製した。そして、当該水溶液をKP545の3質量%シリコーン溶液10部に混合した後、これを超音波破砕機(エスエムテー社製UH−600S)で分散し、高分子化合物および顔料が含まれる水溶液をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に分散した懸濁液を調製した。
次に、この懸濁液を減圧(2kPa)、加熱(70℃)を2時間実施して水分を除去し、シリコーンオイル中に高分子化合物および顔料を含んだ泳動粒子が分散した泳動粒子分散液(B1)を得た。
作製した泳動粒子分散液の固形分濃度を、シリコーンオイルの乾燥前後の重量測定から測定したところ8.1質量%であった。また、分散液中の泳動粒子の体積平均粒子径を測定(ホリバLA−300:レーザー光散乱・回折式粒度測定装置)した結果、310nmであった。
前記泳動粒子分散液(B1)に前記帯電制御高分子ゲル粒子(A1)を濃度0.1質量%で混合し調製して、実施例1に係る泳動粒子分散液を得た。
〔実施例2〕
(シリコーン系の帯電制御高分子ゲル粒子(A2)の作製)
まず、酸基をもったシリコーン系の帯電制御高分子ゲル粒子を以下の方法で作製した。
サイラプレーンFM−0711(2官能性重合性シリコーンモノマー、分子量1000、チッソ(株)製)95部、帯電官能基を持ったモノマーとしてメタクリル酸5部、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート1部を用いて、沈殿重合法によって、帯電制御高分子ゲル粒子(A2)を合成した。
また、帯電制御高分子ゲル粒子における分散媒の吸液量を前述の方法により測定したところ、自重の16倍であった。
実施例1で作製した泳動粒子分散液(B1)に前記帯電制御高分子ゲル粒子(A2)を濃度0.1質量%で混合し調製して、実施例2に係る泳動粒子分散液を得た。
〔実施例3〕
(泳動粒子分散液(B2)の作製)
塩基を持った泳動粒子を以下の方法で作製した。
Ciba Specialty Chemicals社製の水分散顔料溶液(ユニスパース・シアン色:顔料濃度26質量%)1部に、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドポリジメチルアクリルアミドの10質量%水溶液3部を混合して、高分子化合物および顔料を含む水溶液を調製した。
次に、ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)に乳化剤としてシリコーン変性アクリルポリマーKP545(信越化学社製)を添加した、KP545の3質量%シリコーン溶液を調製した。そして、当該水溶液をKP545の3質量%シリコーン溶液10部に混合した後、これを超音波破砕機(エスエムテー社製UH−600S)で分散し、高分子化合物および顔料が含まれる水溶液をシリコーンオイル(信越シリコーン社製、商品名:KF−96L 2cs)中に分散した懸濁液を調製した。
次に、この懸濁液を減圧(2kPa)、加熱(70℃)を2時間実施して水分を除去し、シリコーンオイル中に高分子化合物および顔料を含んだ泳動粒子が分散した泳動粒子分散液(B2)を得た。
前記泳動粒子分散液(B2)に実施例1で作製した帯電制御高分子ゲル粒子(A1)を濃度0.1質量%で混合し調製して、実施例3に係る泳動粒子分散液を得た。
〔実施例4〕
実施例3で作製した泳動粒子分散液(B2)に実施例2で作製した帯電制御高分子ゲル粒子(A2)を濃度0.1質量%で混合し調製して、実施例4に係る泳動粒子分散液を得た。
〔実施例5〕
実施例1の(シリコーン系の帯電制御高分子ゲル粒子(A1)の作製)において、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートを2部に変更した以外は、実施例1に記載の方法により帯電制御高分子ゲル粒子(A3)を合成した。
また、帯電制御高分子ゲル粒子における分散媒の吸液量を前述の方法により測定したところ、自重の1.4倍であった。
実施例1で作製した泳動粒子分散液(B1)に前記帯電制御高分子ゲル粒子(A3)を濃度0.1質量%で混合し調製して、実施例5に係る泳動粒子分散液を得た。
〔実施例6〕
実施例1の(シリコーン系の帯電制御高分子ゲル粒子(A1)の作製)において、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートを5部に変更した以外は、実施例1に記載の方法により帯電制御高分子ゲル(A4)を合成した。
また、帯電制御高分子ゲル粒子における分散媒の吸液量を前述の方法により測定したところ、自重の0.7倍であった。
実施例1で作製した泳動粒子分散液(B1)に前記帯電制御高分子ゲル粒子(A4)を濃度0.1質量%で混合し調製して、実施例6に係る泳動粒子分散液を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、帯電制御高分子ゲル粒子(A1)を混合しなかった以外は、実施例1に記載の方法により泳動粒子分散液を得た。
〔比較例2〕
実施例1の(シリコーン系の帯電制御高分子ゲル粒子(A1)の作製)において、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートを0部に変更した以外は、実施例1に記載の方法により帯電制御性の高分子化合物(ゲル状でない高分子化合物)(A5)を合成した。
実施例1で作製した泳動粒子分散液(B1)に前記帯電制御性の高分子化合物(A5)を濃度0.1質量%で混合し調製して、比較例2に係る泳動粒子分散液を得た。
<評価試験>
−帯電性能−
2枚の電極基板間に、上記実施例および比較例にて得た泳動粒子分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価することで、分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を求めた。その結果、前記比較例1では正・負、両極の泳動粒子が存在し、粒子の極性が揃っていなかった(評価:×)。一方、前記実施例1では、全ての粒子が負帯電であり、極性が揃っていた(評価:○)。また、電圧を切った後のメモリー性(1時間後の光学濃度測定による)も優れていた。
また、実施例2乃至5についても、実施例1と同等の結果が得られた。実施例6では泳動粒子の帯電極性がわずかながら帯電極性が揃っていなかった(評価:△)が,概ね負帯電であった。
−粘度の測定−
上記実施例および比較例にて得た泳動粒子分散液の粘度を、東京計器製B−8L型粘度計を用いて測定した。測定結果を下記表1に示す。
−泳動粒子の移動の評価−
上記実施例および比較例にて得た泳動粒子分散液における、泳動粒子の移動の度合いを以下の方法により評価した。
2枚の電極基板間に、上記実施例および比較例にて得た泳動粒子分散液を封入し、矩形波電圧(±30V,1Hz乃至20Hz)を印加した。どの周波数まで泳動粒子が追随し得るかどうかを電極基板面の色変化が飽和に達するかどうかによって判断することで、粒子の移動性能の評価を行った。
測定結果を下記表1に示す。

10 表示装置、12 表示媒体、16 電圧印加部、18 制御部、20 表示基板、22 背面基板、24 間隙部材、34 粒子群、34Y イエロー粒子群、34C シアン粒子群、34M マゼンタ粒子群、36 大径着色粒子群、38 支持基板、40 表面電極、42 表面層、44 支持基板、46 背面電極、48 表面層、50 分散媒

Claims (4)

  1. 少なくとも、泳動粒子と、分散媒と、体積平均粒子径が前記泳動粒子よりも小さいゲル状であり、かつ、泳動粒子分散液の粘度を低くする帯電制御性の高分子化合物粒子と、を含有する泳動粒子分散液。
  2. 前記帯電制御性の高分子化合物粒子の吸液量が、該粒子の自重の1倍以上50倍以下である請求項1に記載の泳動粒子分散液。
  3. 少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
    前記一対の基板に挟まれる領域に封入された請求項1または請求項2に記載の泳動粒子分散液と、
    を備えた表示媒体。
  4. 少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
    前記一対の基板に挟まれる領域に封入された請求項1または請求項2に記載の泳動粒子分散液と、
    前記一対の基板に電圧を印加する電圧印加装置と、
    を備えた表示装置。
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