JP5413074B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
図1に本発明の熱転写シートである一つの実施形態を示す。基材シート1の一方の面に、耐熱滑性層2として、耐熱滑性層A(21)と耐熱滑性層B(22)が塗り分けられて形成され、耐熱滑性層Aが形成された位置の基材シート1の反対側に、染料層3が設けられ、耐熱滑性層Bが形成された位置の基材シート1の反対側に、熱転写性保護層4が設けられ、その染料層3として、イエロー染料層31、マゼンタ染料層32、シアン染料層33、さらに熱転写性保護層4を基材シート1の流れ方向に、面順次に繰り返し設けた構成である。
(基材シート)
本発明の熱転写シートを構成する基材シート1としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは3〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルムの他に、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類や不織布等、又は紙や不織布と樹脂との複合体であってもよい。
耐熱滑性層2は、印画時におけるサーマルヘッドの走行性、耐熱性等を向上させる目的で、形成されるが、本発明では、耐熱滑性層は2種類の層である耐熱滑性層Aと耐熱滑性層Bが、基材シートに塗り分けられる。耐熱滑性層Aは硬化型樹脂を含まなく、非硬化型樹脂に滑剤を含有する構成であり、柔軟性があり、熱転写シートの染料層から染料を、熱転写受像シートに熱転写して、印画する時の熱転写シートのシワ発生を防止する。耐熱滑性層Bは、硬化型樹脂にフィラーを含有する構成で、耐熱滑性層Aのサーマルヘッドにカスが堆積しやすい欠点を、解消することができる。すなわち、耐熱滑性層Bの位置で、熱溶融性着色インキ層及び/または熱転写性保護層を転写する際に、上記サーマルヘッドカスを耐熱滑性層Bでクリーニングすることができる。耐熱滑性層Bを構成する硬化型樹脂自体の耐熱性が高く、加熱により、あまりダメージを受けない(カスにもならない)ために、硬化型樹脂自体に、上記のクリーニング効果がある。また、散弾式摩耗度が15〜100mgのような硬いフィラーを含有させることで、よりクリーニング効果をもたせることができる。
基材シートの耐熱滑性層Aの設けられている面の他方の面に形成される染料層3は、昇華性染料を含む層である。その昇華型染料としては、従来、公知の熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であり、特に限定されない。これらの染料としてはジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン等のメチン系、インドアニリン系、アセトフェノンアゾメチン,ピラゾロアゾメチン,イミダゾルアゾメチン,ピリドンアゾメチン等のアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン,トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、そしてピリドンアゾ,チオフェンアゾ,イソチアゾールアゾ,ピロールアゾ,ピラゾールアゾ,イミダゾールアゾ,チアジアゾールアゾ,トリアゾールアゾ,ジスアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等があげられる。具体的には次のような染料が用いられる。
C.I.ディスパースブルー24,56,14,301,334,165,19,72,87,287,154,26,354
C.I.ディスパースレッド135,146,59,1,73,60,167
C.I.ディスパースオレンジ149
C.I.ディスパースバイオレット4,13,26,36,56,31
C.I.ソルベントイエロー56,14,16,29
C.I.ソルベントブルー70,35,63,36,50,49,111,105,97,11
C.I.ソルベントレッド135,81,18,25,19,23,24,143,146,182
C.I.ソルベントバイオレット13
C.I.ソルベントブラック3
C.I.ソルベントグリーン3
基材シートの耐熱滑性層Bの設けられている面の他方の面に形成される熱溶融性着色インキ層5は、以下の熱溶融性着色インキから形成される。本発明において用いられる熱溶融性着色インキは、着色剤とビヒクルからなり、更に必要に応じて種々の添加剤を加えたものである。着色剤としては、有機または無機の顔料あるいは染料のうち、記録材料として要求される着色濃度を有し、光、熱、温度等により変褪色しないものが好ましい。また加熱により発色するような物質や、被転写体に塗布されている物質と接触することにより発色するような物質を用いることもできる。そして、着色剤は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等の他に、種々の色の着色剤を使用することができる。
本発明における熱転写性保護層4の保護層形成材料および形成方法としては、従来から保護層形成用樹脂として知られている各種の樹脂で形成することができる。保護層形成用樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂を例示することができる。上記の樹脂を溶剤に溶解して塗工液を作製し、該塗工液を塗布および乾燥して熱転写性保護層が形成される。その保護層の厚さは0.5μm〜10μm程度である。
(実施例1)
厚さ6μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムの基材シートの一方の面に、グラビアコーターを用い、下記耐熱滑性層用A塗工液1を固形分換算で1.0g/m2の割合で、図1に示すような配置で、パターンで塗布、乾燥させ、耐熱滑性層Aを形成した。
・アクリル樹脂 65部
(ダイヤナールBR−80、三菱レイヨン(株)製)
・タルク(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製) 5部
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT1830精製、堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF、堺化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10部
(ポリワックスTM 1000、ベーカーペトロライト製)
・蛍光増白剤 1部
(UVITEX OB、チバ・ジャパン(株)製)
・メチルエチルケトン 400.0部
・トルエン 400.0部
<耐熱滑性層B用塗工液1>
・ポリビニルブチラール樹脂 30部
(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・ポリイソシアネート 110部
(バーノックD750−45、固形分45質量%、大日本インキ化学工業(株)製)
・リン酸エステル系界面活性剤 15部
(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製)
・タルク(ミクロエースL−3、日本タルク工業(株)製) 5部
・メチルエチルケトン 400.0部
・トルエン 400.0部
・分散染料(ホロンブリリアントイエロー−S−6GL) 5.5部
・バインダー樹脂 4.5部
(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製)
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
・分散染料(MSレッドG) 1.5部
・分散染料(マクロレックスレッドバイオレットR) 2.0部
・バインダー樹脂 4.5部
(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製)
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
・分散染料(カヤセットブルー714) 4.5部
・バインダー樹脂
(ポリビニルアセトアセタール樹脂KS−5、積水化学工業(株)製) 4.5部
・リン酸エステル系界面活性剤 0.1部
(プライサーフA208N、第一製薬工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 0.1部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
<熱転写性保護層用塗工液>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 100.0部
(ソルバインCNL 日信化学工業(株)製)
・トルエン 150.0部
・メチルエチルケトン 150.0部
・ウレタン樹脂(クリスボン9004、DIC製) 20.0部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(KS−5、積水化学工業(株)製) 5.0部
・ジメチルホルムアルマイド 80.0部
・メチルエチルケトン 120.0部
厚さ6μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムの基材シートの一方の面に、グラビアコーターを用い、実施例1で使用した耐熱滑性層用B塗工液1を固形分換算で1.0g/m2の割合で、基材シート全面に塗布、乾燥させ、耐熱滑性層Bを形成した。さらに、図2に示すような配置で、上記の耐熱滑性層Bの上に、実施例1で使用した耐熱滑性層用A塗工液1を固形分換算で1.0g/m2の割合で、パターンで塗布、乾燥させ、耐熱滑性層Aを形成した。
<熱溶融性ブラックインキ>
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂溶液 20.0部
(ソルバインCNL 日信化学工業(株)製)
・カーボンブラック 10.0部
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 70.0部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、耐熱滑性層A用塗工液のみを、下記に変更し、その他は実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シートを作製した。
<耐熱滑性層A用塗工液2>
・ポリビニルブチラール樹脂 65部
(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)
・タルク(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製) 5部
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT1830精製、堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF、堺化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10部
(ポリワックスTM 1000、ベーカーペトロライト製)
・蛍光増白剤 1部
(UVITEX OB、チバ・ジャパン(株)製)
・メチルエチルケトン 400.0部
・トルエン 400.0部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、耐熱滑性層A用塗工液のみを、下記に変更し、その他は実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シートを作製した。
<耐熱滑性層A用塗工液3>
・ポリエステルウレタン樹脂 65部
(バイロンUR−3200、東洋紡績(株)製)
・タルク(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製) 5部
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT1830精製、堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF、堺化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10部
(ポリワックスTM 1000、ベーカーペトロライト製)
・蛍光増白剤 1部
(UVITEX OB、チバ・ジャパン(株)製)
・メチルエチルケトン 400.0部
・トルエン 400.0部
実施例1で作製した熱転写シートにおいて、耐熱滑性層A用塗工液のみを、下記に変更し、その他は実施例1と同様にして、実施例5の熱転写シートを作製した。
<耐熱滑性層A用塗工液4>
・ポリアミドイミド樹脂 65部
(バイロマックスHR−15ET、積水化学工業(株)製)
・タルク(ミクロエースP−3、日本タルク工業(株)製) 5部
・ステアリルリン酸亜鉛 10部
(LBT1830精製、堺化学工業(株)製)
・ステアリン酸亜鉛 10部
(SZ−PF、堺化学工業(株)製)
・ポリエチレンワックス 10部
(ポリワックスTM 1000、ベーカーペトロライト製)
・蛍光増白剤 1部
(UVITEX OB、チバ・ジャパン(株)製)
・メチルエチルケトン 400.0部
・トルエン 400.0部
実施例1で作製した熱転写シートで、耐熱滑性層を2種類の層を塗り分けるものでなく、実施例1で使用した耐熱滑性層A用塗工液1を用いて、基材シートの一方の面の全面に、塗工、乾燥して耐熱滑性層Aを形成した。耐熱滑性層は、これ以外は設けなかった。その他の染料層、熱転写性保護層は実施例1と同様にして形成して、比較例1の熱転写シートを作製した。
実施例1で作製した熱転写シートで、耐熱滑性層を2種類の層を塗り分けるものでなく、実施例1で使用した耐熱滑性層B用塗工液1を用いて、基材シートの一方の面の全面に、塗工、乾燥して耐熱滑性層Bを形成した。耐熱滑性層は、これ以外は設けなかった。その他の染料層、熱転写性保護層は実施例1と同様にして形成して、比較例2の熱転写シートを作製した。
評価方法
1.印画シワ
各例で作製した熱転写シートを以下に示す被転写体を用いて、以下の印画条件にて、印画を行い、その際に、印画シワの状況を肉眼で評価した。
<印画条件>
被転写体:三菱電機(株)製CP8000D用
プリンター:三菱電機(株)製CP8000D 昇華プリンター
ベタパターンとハーフトーンの連続パターンを、連続で100画面(100枚)印画して、印画物のシワによる画質を調べた。
印画シワの評価の判断基準は以下の通りである。
○:印画シワなし。
△:印画物の端部に細かい印画シワが有る。
×:印画物に目立った印画シワが有る。
上記の印画シワの評価を行なった際の印画条件で、但し、各例において、100枚を連続して印画して、その後にサーマルヘッドをプリンターから取り外して、顕微鏡にてサーマルヘッドカスの付着量を評価した。但し、各例で、最初の印画開始時点ではサーマルヘッドにカスは付着していない条件である。サーマルヘッドカスは、サーマルヘッドに熱転写シートの両サイドが当たる部分で多く発生する傾向が見られたため、判定は、サーマルヘッド付着物が、熱転写シートの両サイドが当たる部分のサーマルヘッドにおいて、サーマルヘッドのヒーターラインを覆うほど発生している場合を×、若干の付着はあってもヒーターラインを覆うほどではない場合を○とした。
上記の印画シワの評価を行なった際の印画条件で、但し、連続印画の枚数を100枚ではなく、30000枚の印画を行なった後に、サーマルヘッドの熱転写シートとの摩擦面を、マイクロスコープにて確認し、サーマルヘッドの耐久性を調べた。
そのサーマルヘッドの耐久性の評価の判断基準は以下の通りである。
○:サーマルヘッドの磨耗は、ほとんど確認できない。
×:サーマルヘッドの磨耗が明らかに確認できる。
2 耐熱滑性層
3 染料層
4 熱転写性保護層
5 熱溶融性ブラックインキ層
21 耐熱滑性層A
22 耐熱滑性層B
31 イエロー染料層
32 マゼンタ染料層
33 シアン染料層
Claims (3)
- 基材シートの一方の面に、染料層を必須として有し、さらに熱溶融性着色インキ層及び/または熱転写性保護層を面順次に形成し、該基材シートの他方の面に耐熱滑性層が形成されている熱転写シートにおいて、該耐熱滑性層は2種類の層が、塗り分けられ、1種類の耐熱滑性層Aが表面に露出する位置の基材シートの反対側に、前記染料層が設けられ、もう1種類の耐熱滑性層Bが表面に露出する位置の基材シートの反対側に、前記熱溶融性着色インキ層及び/または熱転写性保護層が設けられ、耐熱滑性層Aは非硬化型樹脂に滑剤を含有するもので、耐熱滑性層Bは硬化型樹脂にフィラーを含有することを特徴とする熱転写シート。
- 前記の耐熱滑性層Bにおける硬化型樹脂は、イソシアネート、あるいはキレートにより硬化可能な樹脂であり、耐熱滑性層Aの非硬化型樹脂は、イソシアネート、あるいはキレートにより硬化可能な硬化性樹脂を含有しない、熱可塑性樹脂を主体に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記の耐熱滑性層Bが基材シートの裏面側に全面に設けられ、前記染料層の設けられた領域の基材シートの反対側に、前記耐熱滑性層Aが耐熱滑性層Bの上に、設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写シート。
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