JP5411581B2 - 電流分配装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電流を分岐し、分岐された電流を複数の負荷装置へ供給する電流分配装置に関する。
電流分配装置は、商用電源の交流電流を直流電流に変換する整流装置から出力された直流電流を分岐し、分岐された直流電流を複数の負荷装置へ供給する装置である。なお、以降、単に電流といった場合は直流電流のことを指す。
図5は、電流分配装置を含む給電システムの構成の一例を示すブロック図である。
図5に示す給電システムは、商用電源50と、整流装置51と、電流分配装置60と、給電ケーブル80−1,80−2によって電流分配装置60と接続された負荷装置である通信装置70−1,70−2とを備えている。
整流装置51は、商用電源50の交流電流を直流電流に変換して電流分配装置60へ出力する。
電流分配装置60は、整流装置51から出力された電流を分岐し、給電ケーブル80−1,80−2のそれぞれを介して通信装置70−1,70−2のそれぞれへ分岐された電流を供給する。電流分配装置60は、電流分配装置内コンデンサ61と、系統保護用ヒューズ62−1,62−2とを備えている。
通信装置70−1,70−2のそれぞれは、入力コンデンサ71−1,71−2と、通信装置70−1,70−2のそれぞれの機能を実装した通信装置ユニット72−1,72−2とを備えている。
図5に示す給電システムにおいて、電流分配装置60によって分岐された電流は、電流分配装置60の系統保護用ヒューズ62−1,62−2を経て、通信装置70−1,70−2へ供給される。通信装置70−1,70−2では、入力コンデンサ71−1,71−2を充電しながら通信装置ユニット72−1,72−2に電流が送られる。
図6は、図5に示した給電システムの通信装置ユニット72−1に短絡事故が発生した場合の様子を説明するための図である。
通信装置ユニット72−1に短絡事故が発生した場合、電流分配装置内コンデンサ61と、整流装置51と、通信装置70−1の入力コンデンサ71−1とから通信装置ユニット72−1へ短絡電流が流れる。この短絡電流によって系統保護用ヒューズ62−1が溶断する。これにより、通信装置70−1への給電系統が給電システムから切り離され、短絡事故の影響から給電システムが保護される。
しかし、系統保護用ヒューズ62−1が溶断してから、短絡事故が発生した給電系統を切り離すまでの過渡的な状態下では、溶断した系統保護用ヒューズ62−1の両端の電圧が大きく変動する。
図7は、図5及び図6に示した通信装置ユニット72−1に短絡事故が発生した際の電流及び電圧の一例を示す図であり、(a)は系統保護用ヒューズ62−1に流れる短絡電流の一例を示す図、(b)は系統保護用ヒューズ62−1の両端の電圧の変動の一例を示す図である。
図7においてΔt1は溶断時間を示し、Δt2はアーク時間を示している。系統保護用ヒューズ62−1に短絡電流が流れると、系統保護用ヒューズ62−1内のヒューズ金属エレメント(不図示)が発熱する。そして、温度がそのヒューズ金属エレメントの融点に達すると、ヒューズ金属エレメントが溶断する。これを、エネルギー量から見ると、系統保護用ヒューズ62−1に流れる電流Iの2乗に比例したエネルギー量(ジュール熱)が、系統保護用ヒューズ62−1が溶断する溶断エネルギー量QF(一般的に「溶断I2t」と呼ばれる)以上の値となった際に、系統保護用ヒューズ62−1が溶断する。ここまでの時間が溶断時間(Δt1)である。なお、溶断エネルギー量QFは系統保護用ヒューズ62−1に固有の値である。
その後、アークが発生し、アークエネルギーが周囲に放散してアークが消え、系統保護用ヒューズ62−1の両端は電気的に開放された状態となる。溶断時間の終了後からここまでの時間がアーク時間(Δt2)である。短絡事故が発生した給電系統は、アーク時間の終了後に給電システムから切り離される。
ここで、図7(b)に示すように、系統保護用ヒューズ62−1が溶断した直後(時間Δt1の直後)に、系統保護用ヒューズ62−1の両端の電圧がスパイク状に変動している。つまり、系統保護用ヒューズ62−1が溶断してから短絡事故が発生した給電系統を切り離すまでの過渡的な状態下において、系統保護用ヒューズ62−1の両端の電圧が大きく変動している。この電圧の変動は、給電回路の素子パラメータ(インピーダンス特性)に応じて発生する。以降、この電圧の変動のことを過渡的電圧変動という。なお、スパイク状とは、ピークに達するまでの形状が急峻で階段状や放物線状ではない形状のことをいう。
この過渡的電圧変動の大きさは、系統保護用ヒューズ62−1の挙動に依存する。短絡電流は、系統保護用ヒューズ62−1が溶断するまで給電ケーブル80−1に流れ続け、系統保護用ヒューズ62−1が溶断した後のアーク時間に入ると急激に減少する。このとき、短絡電流の電流値が減少する傾き(単位時間あたりの電圧降下)が急激であればあるほど、電流分配装置60内の接続点A(図5及び図6参照)における過渡的電圧変動が大きくなる。また同様に、接続点Bの過渡的電圧変動も大きくなる。この過渡的電圧変動は、電流分配装置60に接続されている通信装置70−2にも伝搬する。
図8は、図5及び図6に示した通信装置ユニット72−1に短絡事故が発生した際の電流値及び電圧値の一例を示す図であり、(a)は系統保護用ヒューズ62−1に流れる短絡電流の一例を示す図、(b)は通信装置70−2の入力端点Xに伝搬した過渡的電圧変動の一例を示す図である。なお、上述したようにここでは、通信装置70−2に短絡事故は発生していない。
図8(b)に示すように、短絡電流の電流値の急激な減少に伴う過渡的電圧変動が、電流分配装置60を介して通信装置70−2の入力端点Xにまで伝搬している。
この場合、通信装置70−2の入力端点Xへ伝搬する過渡的電圧変動が通信装置70−2の許容する許容電圧範囲よりも大きいと、通信装置70−2の停止や破壊を引き起こす可能性がある。
また、非特許文献1に記載されているように、一般的に過渡的電圧変動のピーク値が高くなれば、短絡電流を遮断することが難しくなる。この場合、短絡電流を遮断する際にアークが切れないと、アークによる高温の発熱により、系統保護用ヒューズの破裂や火災等の重大な事故につながる可能性もある。
ここで、短絡事故が発生していない給電系統に短絡事故の影響が及ぶのを回避するための技術が例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。
特許文献1に開示されている技術は、給電系統にダイオードを挿入することにより、短絡事故が発生した際、短絡事故が発生していない給電系統に流れる過電流を遮断するというものである。
特開2007−325413号公報 特開昭50−133543号公報
A. Wright and P. G. Newvery "Electric fuses, 3rd edition," The institution of electrical engineers, pp. 41-56, 2004.
特許文献1に開示されている技術では、上述したような過渡的電圧変動を考慮しておらず、短絡事故が発生していない給電系統に短絡事故の影響が及ぶのを回避するのには十分ではない。
そこで、過渡的電圧変動の伝搬を抑制する方法として、電流分配装置や負荷装置の入力端点に大容量のコンデンサを搭載する方法がある。
しかし、この方法では、コンデンサの容量の確定が難しいうえに、大容量のコンデンサを搭載することによって電流分配装置や負荷装置が大型化するという問題点がある。
本発明は、大容量のコンデンサを搭載することなく、短絡事故が発生していない給電系統に短絡事故の影響が及ぶのを回避することができる電流分配装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、
複数の負荷装置のそれぞれに対応して接続された複数の給電系統を具備し、外部から供給された電流を分岐し、当該分岐した電流を前記複数の給電系統のそれぞれを介して前記複数の負荷装置のそれぞれへ供給する電流分配装置であって、
前記複数の給電系統のそれぞれは、
当該給電系統に流れる電流と該電流が流れた時間とに応じて発生するエネルギー量が、所定の溶断エネルギー量に達すると溶断するヒューズと、
当該給電系統に流れる電流が増加していく場合、前記エネルギー量が前記所定の溶断エネルギー量に達していない状態において、前記電流の増加を抑制する電圧変動抑制部と、を有し、
前記電圧変動抑制部は第1および第2の可変抵抗素子から成り、
前記複数の給電系統のそれぞれにおいて、前記ヒューズの両端に設けられた電極のうち、一方の電極に前記第1の可変抵抗素子が組み込まれ、他方の電極に前記第2の可変抵抗素子が組み込まれている
本発明によれば、電流分配装置は、複数の負荷装置のそれぞれに対応して接続された複数の給電系統を具備し、外部から供給された電流を分岐し、分岐した電流を複数の給電系統のそれぞれを介して複数の負荷装置のそれぞれへ供給する。複数の給電系統のそれぞれは、給電系統に流れる電流と電流が流れた時間とに応じて発生するエネルギー量が、所定の溶断エネルギー量に達すると溶断するヒューズと、給電系統に流れる電流が増加していく場合、エネルギー量が所定の溶断エネルギー量に達していない状態において、電流の増加を抑制する電圧変動抑制部とを有する。
これにより、ヒューズが溶断した際に短絡電流の電流値が減少する傾きが緩やかとなり、過渡的電圧変動の大きさが抑制され、短絡事故が発生していない給電系統へ過電圧変動が伝搬しにくくなる。
そのため、大容量のコンデンサを搭載することなく、短絡事故が発生していない給電系統に短絡事故の影響が及ぶのを回避することができる。
本発明の電流分配装置を適用した給電システムの実施の一形態の構成を示すブロック図である。 図1に示した可変抵抗素子として利用することができるPTCサーミスタの抵抗値と温度との関係を示す図である。 可変抵抗素子(PTCサーミスタ)を系統保護用ヒューズに組み込んで一体化した場合の構成の一例を示す図である。 系統保護用ヒューズへの可変抵抗素子(PTCサーミスタ)の装着と、系統保護用ヒューズからの可変抵抗素子(PTCサーミスタ)の脱着とを可能な構成とした場合の一例を示す図である。 電流分配装置を含む給電システムの構成の一例を示すブロック図である。 図5に示した給電システムの通信装置ユニットに短絡事故が発生した場合の様子を説明するための図である。 図5及び図6に示した通信装置ユニットに短絡事故が発生した際の電流及び電圧の一例を示す図であり、(a)は系統保護用ヒューズに流れる短絡電流の一例を示す図、(b)は系統保護用ヒューズの両端の電圧の変動の一例を示す図である。 図5及び図6に示した通信装置ユニットに短絡事故が発生した際の電流値及び電圧値の一例を示す図であり、(a)は系統保護用ヒューズに流れる短絡電流の一例を示す図、(b)は通信装置の入力端点に伝搬した過渡的電圧変動の一例を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の電流分配装置を適用した給電システムの実施の一形態の構成を示すブロック図である。
本実施形態の給電システムは、商用電源10と、整流装置11と、電流分配装置20と、給電ケーブル40−1,40−2によって電流分配装置20と接続された通信装置30−1,30−2とを備えている。なお、ここでは電流分配装置20から電流が供給される負荷装置の一例として通信装置を挙げているが、負荷装置は通信装置に限定されない。また、負荷装置の数は2台に限定されない。
通信装置30−1,30−2のそれぞれは、入力コンデンサ31−1,31−2と、通信装置30−1,30−2のそれぞれの機能を実装した通信装置ユニット32−1,32−2とを備えている。
整流装置11は、商用電源10の交流電流を直流電流に変換して電流分配装置20へ出力する。
電流分配装置20は、整流装置11から出力された電流を分岐し、給電ケーブル40−1,40−2のそれぞれを介して通信装置30−1,30−2のそれぞれへ分岐された電流を供給する。電流分配装置20は、電流分配装置内コンデンサ21と、系統保護用ヒューズ22−1,22−2と、電圧変動抑制部である可変抵抗素子23−1,23−2とを備えている。
電流分配装置20によって分岐された電流は、電流分配装置20の系統保護用ヒューズ22−1,22−2及び可変抵抗素子23−1,23−2を経て、通信装置30−1,30−2へ供給される。通信装置30−1,30−2では、入力コンデンサ31−1,31−2を充電しながら通信装置ユニット32−1,32−2に電流が送られる。
ここで、本実施形態において電流分配装置20では、それぞれの給電系統において系統保護用ヒューズと可変抵抗素子とが直列に接続されている。具体的には、系統保護用ヒューズ22−1と可変抵抗素子23−1とが直列に接続され、系統保護用ヒューズ22−2と可変抵抗素子23−2とが直列に接続されている。
以下に、図1に示した通信装置ユニット32−1に短絡事故が発生した場合を一例として可変抵抗素子23−1の動作について説明する。なお、図1に示した通信装置ユニット32−2に短絡事故が発生した場合の可変抵抗素子23−2の動作も同様である。
通信装置ユニット32−1に短絡事故が発生した場合、系統保護用ヒューズ22−1と可変抵抗素子23−1とが接続された給電系統に短絡電流が流れる。このとき、可変抵抗素子23−1は、この短絡電流に応じて抵抗値を過渡的に大きくする。
具体的には、可変抵抗素子23−1は、可変抵抗素子23−1を流れる短絡電流によるエネルギー量が所定のエネルギー量QRとなった場合に、抵抗値が大きくなるように設定される。この所定のエネルギー量QRは、系統保護用ヒューズ22−1が溶断する溶断エネルギー量QFよりも小さな値である。この場合、系統保護用ヒューズ22−1が溶断する直前に可変抵抗素子23−1の抵抗値が大きくなり、系統保護用ヒューズ22−1を流れる短絡電流の増加が抑制される。
これにより、系統保護用ヒューズ22−1が溶断した際に短絡電流の電流値が減少する傾きが緩やかとなり、系統保護用ヒューズ22−1が溶断した直後に発生するスパイク状の過渡的電圧変動の大きさが抑制される。また、系統保護用ヒューズ22−1が溶断した後のアーク時間においては、抵抗の限流効果によってアークを確実に消弧することができる。
可変抵抗素子23−1,23−2としては、例えばPTC(Positive Temperature Coefficient Thermister)サーミスタ等が利用できる。
「H. Netz・A. Paul編,“工学技術の公式,”株式会社技術評論社, pp. 220, Oct., 2000.」に記載されているように、温度がTyのときのPTCサーミスタの抵抗値Ryは、以下に示す(1)式によって表すことができる。なお、(1)式において、Ryは温度Tyの時の抵抗値であり、Rxは温度Txの時の抵抗値であり、kTRは材料の温度係数である。
y=Rx・exp(kTR・(Ty・Tx)) (1)
図2は、図1に示した可変抵抗素子23−1,23−2として利用することができるPTCサーミスタの抵抗値と温度との関係を示す図である。
図2に示すようにPTCサーミスタは、PTCサーミスタを流れる電流による自己発熱により、PTCサーミスタの温度がキュリー温度TCを超えると急激に抵抗値が増加する。なお、キュリー温度とは、物質が磁性を失う境界となる温度のことである。
また、図2に示すようにPTCサーミスタは、通常の温度T1においては低い抵抗値を維持する。通常の温度とは例えば25℃程度である。
キュリー温度TCは、材料の組成によって50℃〜120℃程度まで自在に設定することが可能であるため、給電システムの特性に合わせて設定することができる。
具体的には、上述した所定のエネルギー量QRから得られる温度の上昇により、PTCサーミスタの温度がキュリー温度TC以上となるようにPTCサーミスタを組成する。これにより、系統保護用ヒューズが溶断した際の過渡的電圧変動から、短絡事故が発生していない給電系統を保護する機能をPTCサーミスタに担わせることができる。つまり、PTCサーミスタは、本実施形態に用いる可変抵抗素子23−1,23−2としての役割を十分に果たすことができる。
このように本実施形態において電流分配装置20は、通信装置30−1,30−2のそれぞれに対応して接続された2つの給電系統を具備し、整流装置11から出力された電流を分岐し、分岐した電流を2つの給電系統のそれぞれを介して通信装置30−1,30−2のそれぞれへ供給する。2つの給電系統のそれぞれは、給電系統に流れる電流と電流が流れた時間とに応じて発生するエネルギー量が、溶断エネルギー量QFに達すると溶断する系統保護用ヒューズ22−1,22−2と、給電系統に流れる電流が増加していく場合、エネルギー量が溶断エネルギー量QFに達していない状態において、電流の増加を抑制する可変抵抗素子23−1,23−2とを有する。
これにより、系統保護用ヒューズ22−1,22−2が溶断した際に短絡電流の電流値が減少する傾きが緩やかとなり、過渡的電圧変動の大きさが抑制され、短絡事故が発生していない給電系統へ過電圧変動が伝搬しにくくなる。
また、これは、系統保護用ヒューズ22−1,22−2に印加される電圧を分圧し、アーク時間中にかかるエネルギーを分散させることにもなる。
そのため、大容量のコンデンサを搭載することなく、短絡事故が発生していない給電系統に短絡事故の影響が及ぶのを回避することができる。
また、本実施形態において定格電圧の範囲は、可変抵抗素子23−1,23−2の耐圧に依存する。そのため、可変抵抗素子23−1,23−2の耐圧範囲内であれば、通信用電力設備に用いられていた直流48Vの給電システムだけではなく、直流300Vを超えるような高電圧の給電システムにおいても、過渡的電圧変動の抑制のために本発明を利用することができる。
さらに、上述したように可変抵抗素子としてPTCサーミスタのようなパッシブな素子を利用した場合、アクティブな回路を利用した場合と比べ、高い信頼性を保ちつつ、短絡事故が発生していない負荷装置に短絡事故の影響が及ぶことを回避することができる。
なお、本実施形態においては、系統保護用ヒューズ22−1と可変抵抗素子23−1、及び、系統保護用ヒューズ22−2と可変抵抗素子23−2は、それぞれ直列に接続されていた。しかし、可変抵抗素子を系統保護用ヒューズに組み込んで一体化した構成とすることも可能である。
図3は、可変抵抗素子(PTCサーミスタ)を系統保護用ヒューズに組み込んで一体化した場合の構成の一例を示す図である。
本構成では図3に示すように、系統保護用ヒューズの電極122,124の間にPTCサーミスタ123を組み込む。なお、この他にも、PTCサーミスタ123を遮断器内や断路器内に組み込む方法も考えられる。
これにより、短絡事故が発生していない給電系統を保護する電流分配装置を簡易に構成することができる。また、短絡事故が発生した場合における系統保護用ヒューズの負担を減らすことができる。
さらに、給電システムの特性等に応じ、可変抵抗素子を任意に選択することが可能となり、系統保護用ヒューズによる給電系統の遮断と可変抵抗素子による過渡的電圧変動の大きさの抑制とを相補的に組み合わせたフレキシブルな電流分配装置を構成することができる。
なお、本構成の場合でも、設置される位置は、図1における電流分配装置20内の系統保護用ヒューズ22−1,22−2が設置されている位置と同じとする。
また、系統保護用ヒューズへの可変抵抗素子(PTCサーミスタ)の装着と、系統保護用ヒューズからの可変抵抗素子(PTCサーミスタ)の脱着とを可能な構成にすることもできる。
図4は、系統保護用ヒューズへの可変抵抗素子(PTCサーミスタ)の装着と、系統保護用ヒューズからの可変抵抗素子(PTCサーミスタ)の脱着とを可能な構成とした場合の一例を示す図である。
本構成では図4に示すように、ナット状のPTCサーミスタ223を系統保護用ヒューズの電極222とともに取り付け用ボルト225でヒューズ端子台226に固定する。
これにより、PTCサーミスタなどの可変抵抗素子を系統保護用ヒューズへ装着したり、系統保護用ヒューズから脱着したりすることが容易となる。従って、様々な形状の電流分配装置や系統保護用ヒューズに対応することが可能となり、より簡易でフレキシブルな電流分配装置を構成することができる。
なお、本構成の場合でも、設置される位置は、図1における電流分配装置20内の系統保護用ヒューズ22−1,22−2が設置されている位置と同じとする。
また、本実施形態では、電圧変動抑制部として可変抵抗素子を用いた場合について説明したが、電圧変動抑制部として熱変換素子を用いることも可能である。
熱変換素子は、熱変換素子を流れる短絡電流によって発生するエネルギー量が上述した所定のエネルギー量QRとなった場合に、そのエネルギー量の一部を熱変換する。なお、上述したように所定のエネルギー量QRは、系統保護用ヒューズが溶断する溶断エネルギー量QFよりも小さな値であるため、系統保護用ヒューズが溶断するのを妨げることはない。
このように、熱変換素子は、短絡電流によって発生するエネルギー量の一部を熱変換することにより、給電系統に流れる短絡電流の増加を抑制する。
これにより、系統保護用ヒューズ22−1,22−2が溶断した際に短絡電流の電流値が減少する傾きが緩やかとなり、過渡的電圧変動の大きさが抑制され、短絡事故が発生していない給電系統に過電圧変動が伝搬しにくくなる。
そのため、大容量のコンデンサを搭載することなく、短絡事故が発生していない給電系統に短絡事故の影響が及ぶのを回避することができる。
10 商用電源
11 整流装置
20 電流分配装置
21 電流分配装置内コンデンサ
22−1,22−2 系統保護用ヒューズ
23−1,23−2 可変抵抗素子
30−1,30−2 通信装置
31−1,31−2 入力コンデンサ
32−1,32−2 通信装置ユニット
40−1,40−2 給電ケーブル
121,221 ヒューズ管
122,124,222 電極
123,223 PTCサーミスタ
225 取り付け用ボルト
226 ヒューズ端子台

Claims (3)

  1. 複数の負荷装置のそれぞれに対応して接続された複数の給電系統を具備し、外部から供給された電流を分岐し、当該分岐した電流を前記複数の給電系統のそれぞれを介して前記複数の負荷装置のそれぞれへ供給する電流分配装置であって、
    前記複数の給電系統のそれぞれは、
    当該給電系統に流れる電流と該電流が流れた時間とに応じて発生するエネルギー量が、所定の溶断エネルギー量に達すると溶断するヒューズと、
    当該給電系統に流れる電流が増加していく場合、前記エネルギー量が前記所定の溶断エネルギー量に達していない状態において、前記電流の増加を抑制する電圧変動抑制部と、を有し、
    前記電圧変動抑制部は第1および第2の可変抵抗素子から成り、
    前記複数の給電系統のそれぞれにおいて、前記ヒューズの両端に設けられた電極のうち、一方の電極に前記第1の可変抵抗素子が組み込まれ、他方の電極に前記第2の可変抵抗素子が組み込まれている、電流分配装置。
  2. 請求項1に記載の電流分配装置において、
    前記電圧変動抑制部は、前記給電系統に流れる電流に応じて当該電圧変動抑制部の抵抗値を変化させることにより、当該給電系統に流れる電流の増加を抑制する電流分配装置。
  3. 請求項2に記載の電流分配装置において、
    前記電圧変動抑制部は、前記給電系統に流れる電流によって当該電圧変動抑制部の温度が所定の温度よりも高くなると、前記抵抗値を大きくする電流分配装置。
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