JP2012210009A - サージ防護デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧制限型のサージ防護素子が故障した場合にサージ防護素子が発火、発煙することを防止する。
【解決手段】サージ防護デバイス10は、防護対象機器5と並列に接続され、MOV22と、MOV22と直列に接続されるSPD分離器30と、を備え、SPD分離器30は、GDT32と、GDT32と並列に接続される抵抗素子34と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】サージ防護デバイス10は、防護対象機器5と並列に接続され、MOV22と、MOV22と直列に接続されるSPD分離器30と、を備え、SPD分離器30は、GDT32と、GDT32と並列に接続される抵抗素子34と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、サージ防護デバイスに関する。
落雷等により電力線に誘起されたサージ電圧やサージ電流から電気機器を防護するためにサージ防護デバイス(SPD:Surge Protective Device)を設けることがある(例えば下記の特許文献1を参照)。こうしたサージ防護デバイスには、印加される電圧が高くなるとインピーダンスが低くなる非線形のインピーダンス特性を備えた金属酸化物バリスタ(MOV:Metal Oxide Varistor)やガス放電管(GDT:Gas Discharge Tubes)等のサージ防護素子が用いられている。サージ防護素子が劣化して短絡の故障が発生した場合には、サージ防護デバイスに流れる故障電流が大きくなりサージ防護デバイスに発火等の危険性があるため、サージ防護デバイスには遮断容量の大きな電流ヒューズや配線用遮断器(MCCB:Molded Case Circuit Breaker)等のSPD分離器を備えているものがある。
図9には、従来技術に係るSPD分離器112を備えたサージ防護デバイス110の一例を示した。図9に示されるように、サージ防護デバイス110は、電流ヒューズ又はMCCBにより構成されるSPD分離器112と、MOV122と温度ヒューズ124が直列接続されたSPD部120とを備え、SPD分離器112とSPD部120とは直列接続される。また、サージ防護デバイス110は防護対象機器5と並列に接続されており、サージ防護デバイス110と防護対象機器5は共に、電源3とアース7との間に接続される。また、MOV122はサージ電圧が発生していない定格電圧での通常動作時には絶縁体として機能することで、通常動作時には電源3から供給される電流はサージ防護デバイス110には流れず防護対象機器5に流れることとなる。一方で、サージ電圧が発生した場合には、MOV122のインピーダンスが急激に低下することで、サージ電流はサージ防護デバイス110側に流れ込むこととなり防護対象機器5の故障を防止している。
図11には、図9に示したサージ防護デバイス110に備えられた各素子(SPD分離器112(電流ヒューズ、配線用遮断器:MCCB)、温度ヒューズ124等)の動作特性を示した。なお、図11に示した動作特性は、図10に示される試験回路に基づいて得たものであり、故障電流の流入から各素子が動作(すなわち、遮断)するまでの時間と故障電流との関係を表している。また、図11における横軸は遮断時間(秒)、縦軸は故障電流(A)を表す。なお、図11における(1)はSPD分離器112(電流ヒューズ)、(2)は電源側のMCCB130、(3)は温度ヒューズ124の動作特性を表している。
ここで、図11に示した試験回路について説明すると、図9に示した回路において電源3とサージ防護デバイス110との間にMCCB130と可変抵抗器132を直列に設けたものである。そして、図11に示した動作特性は、図10に示した試験回路において、例えば100V用のサージ防護デバイス110を200Vの電源に誤接続して過電圧がかかった場合の、SPD分離器112(電流ヒューズ)、MCCB130、温度ヒューズ124の動作特性を表している。
図11に示されるように、例えば故障電流が100A程度あった場合には、温度ヒューズ124は遮断機能を持たない領域であり、SPD分離器112(電流ヒューズ)、MCCB130が動作するまでには1秒程度かかっているためMOV122が発火してしまうことがある。また、故障電流が100A以下であった場合にも、MOV122の発熱で溶断する温度ヒューズ124が動作するまでに時間がかかるため、こうした場合にもMOV122が発火しないまでも発煙に至ることとなり危険である。
このように、従来技術に係るサージ防護デバイス110では、MOV122が劣化しサージ防護デバイス110に流れ込む故障電流が増えると、SPD分離器112を設けていてもサージ防護デバイス110の電源3からの切断までの遅れにより、MOV122が発火、発煙するおそれがあった。
本発明の目的は、サージ防護素子が故障した場合にサージ防護素子が発火、発煙することを防止できるサージ防護デバイスを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るサージ防護デバイスは、防護対象機器と並列に接続されるサージ防護デバイスであって、第1のサージ防護素子と、前記第1のサージ防護素子と直列に接続される分離回路と、を含み、前記分離回路は、第2のサージ防護素子と、前記第2のサージ防護素子と並列に接続される抵抗素子と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の一態様では、前記分離回路は、前記抵抗素子が発熱することで溶断する温度ヒューズをさらに含み、前記温度ヒューズは、前記第1のサージ防護素子と直列に接続されることとする。
また、本発明の一態様では、前記第1のサージ防護素子は、電圧制限型のサージ防護素子であり、前記第2のサージ防護素子は、電圧スイッチング型のサージ防護素子であることとする。
また、本発明の一態様では、前記第1のサージ防護素子は、金属酸化物バリスタであり、前記第2のサージ防護素子は、ガス放電管であることとする。
本発明の一態様によれば、第1のサージ防護素子が故障した場合に第1のサージ防護素子に流れる故障電流を抑制して、第1のサージ防護素子が発火、発煙することを防止できる。
本発明の一態様によれば、第1のサージ防護素子が故障した場合にサージ防護デバイスの電気的接続を切ることで、第1のサージ防護素子が発火、発煙や継続的な電力損失を防止できる。
本発明の一態様によれば、落雷や所定電圧より防護対象機器に過渡的に過電圧がかかる場合に過電圧を低減し、防護対象機器に流れる電流を抑制し、機器を防護できる。
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
図1には、本実施形態に係るサージ防護デバイス10の構成を示した。図1に示されるように、サージ防護デバイス10は、SPD部20と、故障発生時にサージ防護デバイス10を電源3から分離するSPD分離器30とを備え、SPD部20とSPD分離器30とは直列に接続される。サージ防護デバイス10は、電源3から電力の供給を受ける防護対象機器5(例えば電化製品等)と並列に接続され、サージ防護デバイス10と防護対象機器5は共に電源3とアース7との間に接続される。
SPD部20は、電圧制限型のサージ防護素子により構成され、本実施形態では金属酸化物バリスタ22(MOV22)により構成することとする。MOV22のバリスタ電圧(バリスタに1mAの電流が流れる時の両端電圧)は、電源3のピーク電圧よりも高いものを用いる。
SPD分離器30は、電圧スイッチング型のサージ防護素子と、抵抗素子34と、温度ヒューズ36とを備え、電圧スイッチング型のサージ防護素子と抵抗素子34とは並列に接続される。また、温度ヒューズ36は、抵抗素子34の発熱により溶断し、且つ、MOV22と直列接続となるように設けられる。例えば、温度ヒューズ36は、抵抗素子34と、SPD分離器30及び給電線の接点と密着するように設けられることとしてよい。このように温度ヒューズ36を構成することにより、抵抗素子34に継続的に電流が流れた場合には、抵抗素子34の発熱により温度ヒューズ36が溶断して、サージ防護デバイス10を電源3から遮断することができる。また、本実施形態では、SPD分離器30に備えられる電圧スイッチング型のサージ防護素子には、ガス放電管32(GDT32)を用いることとし、このGDT32には、MOV22と同等以上のサージ電流耐量を有するものを用いる。
次に、図2乃至図8を参照しながら、サージ防護デバイス10の動作について説明する。
図2には、サージが発生していない通常動作時(正常時)におけるサージ防護デバイス10を構成する各素子の電流及び電圧の状態を示した。図2に示されるように、MOV22のバリスタ電圧は印加されるピーク電圧よりも高いため、MOV22は絶縁体として機能し、サージ防護デバイス10側には電流が流れない。なお、図中のIは電源3から供給される電流を示す。
次に、図3及び図4を参照しながら、落雷等によりサージが発生した場合のサージ防護デバイス10の動作について説明する。
図3には、サージ発生後であって、GDT32が動作する前(すなわち、GDT32側に電流が流れる前)の各素子の電流及び電圧の状態を示した。図中のIsはサージ電流、IaはMOV22を流れる電流、IbはGDT32を流れる電流、Icは抵抗素子34を流れる電流とし、各電流に対応する矢印の太さは電流の大きさに対応している。図3に示されるように、サージ電圧によりMOV22のインピーダンスが低下すると、サージ電流は殆どMOV22側に流れ、またGDT32の両端電圧VBが放電開始電圧に達するまでGDT32は絶縁体として機能するため、IaとIcは略等しくなる。また、MOV22側の電圧Vaは、MOV22を流れるサージ電流が比較的小さい場合のバリスタ電圧(V1)に略等しくなる(実際は1.5倍ほどになる場合もある)。
図4には、サージ発生後であって、GDT32が動作した後(すなわち、GDT32側に電流が流れた後)の各素子の電流及び電圧の状態を示した。図4に示されるように、GDT32の両端電圧が放電開始電圧(V2)を超えると、GDT32の両端電圧はアーク電圧(V3、例えば数十V程度)となる。この際、GDT32のインピーダンスは急激に低下するため、殆どのサージ電流はMOV22を通ってGDT32に流れ込む。
図5には、サージ発生前後におけるサージ防護デバイス10の電流及び電圧の推移を示した。図5に示される期間Aはサージ発生前、期間Bはサージ発生〜GDT32動作前、期間CはGDT32動作後〜正常状態への回復前、期間Dは正常状態への回復後の状態に対応している。
図5に示されるように、期間Aではサージ防護デバイス10の電圧は100Vで一定であり、バリスタ電圧より低いので電流は流れない。そして、サージが発生すると、サージ電圧はMOV22のバリスタ電圧(V1)を超えるため、サージ防護デバイス10に電流が流れる。サージ発生後の期間Bでは、サージ防護デバイス10に流れる電流は、MOV22、抵抗素子34側を通ってアース7に流れる。そして、GDT32の両端に印加される電圧Vbが放電開始電圧(V2)に達すると、GDT32が動作を開始し、GDT32のインピーダンスが急激に低下する。GDT32が動作を開始した後の期間Cでは、抵抗素子34側に流れていた電流は急激に低下し、サージ防護デバイス10に流れる電流は、MOV22、GDT32側を通ってアース7に流れる。期間Cにおける、GDT32の両端電圧Vbはアーク電圧(V3)程度であり、サージ防護デバイス10の両端電圧がMOV22のバリスタ電圧(V1)より低くなると、サージ防護デバイス10に電流が流れ込まなくなる。正常状態への回復後の期間Dは、期間Aと同じ特性となるため説明を省略する。
次に、サージ防護デバイス10に備えられるMOV22が劣化した場合のサージ防護デバイス10の動作について説明する。MOV22が劣化した場合には、MOV22のバリスタ電圧がV1からV1−α(>0)に低下する。このとき、例えば電源のピーク電圧よりもMOV22のバリスタ電圧が低くなると、サージ防護デバイス10に定常的に電流(漏れ電流)が流れる。
図6には、SPD部20に漏れ電流が発生した場合における、サージ防護デバイス10の各素子の電流及び電圧の状態を示した。図6に示されるように、MOV22側にかかる電圧VaはV1−α、GDT32側にかかる電圧Vbは100−(V1−α)となり、VbはGDT32の放電開始電圧(V2)に満たないためGDT32は絶縁体として機能し、サージ防護デバイス10に流れる電流はMOV22を通って、抵抗素子34に流れる。抵抗素子34では、抵抗素子34の抵抗値をRとした場合に、単位時間当たりW=(Vb)2/Rのジュール熱が発生し、抵抗素子34の発熱が継続して温度ヒューズ36の動作温度に達すると、温度ヒューズ36が溶断する。
図7には、温度ヒューズ36が溶断した場合における、サージ防護デバイス10の各素子の電流及び電圧の状態を示した。図7に示されるように、サージ防護デバイス10には電源3から供給される大きな電流は流れ込まないため、MOV22が発火したり著しい発熱をしたりする危険性は回避されている。また、サージ防護デバイス10の温度ヒューズ36が溶断した場合には、MOV22が劣化したことを表しているため、こうした場合には速やかにMOV22の部品交換をしたりサージ防護デバイス10そのものを交換したりする必要がある。
図8には、MOV22の劣化発生前後におけるサージ防護デバイス10の電流及び電圧の推移を示した。図8に示される期間EはSPD部20の漏れ電流の発生前、期間FはSPD部20の漏れ電流の発生〜温度ヒューズ36の溶断前、期間Gは温度ヒューズ36の溶断後の状態に対応している。
図8に示されるように、期間Eではサージ防護デバイス10の電圧は100Vで一定であり、電流は流れない。そして、MOV22の劣化によりSPD部20に漏れ電流が発生すると、サージ防護デバイス10に電流が流れる。漏れ電流発生後の期間Fでは、サージ防護デバイス10に流れる電流は、MOV22を通って、抵抗素子34側に流れ込む。そして、漏れ電流による抵抗素子34の発熱が継続して温度ヒューズ36の動作温度を超えると、温度ヒューズ36が溶断する。温度ヒューズ36が溶断した後の期間Gでは、サージ防護デバイス10と電源3との接続が切れているため、サージ防護デバイス10には電流が流れない。これにより、MOV22が劣化した場合に、サージ防護デバイス10の素子が発熱し、発火、発煙に至ることを防止できる。
以上説明した本実施形態に係るサージ防護デバイス10によれば、防護対象機器5をサージによる故障から保護すると共に、サージ防護デバイス10に用いられているMOV22が劣化した場合には、サージ防護デバイス10を回路からより安全に切断するように構成したことにより、MOV22が発火、発煙することを防止できる。これにより、より安全性の高いサージ防護デバイス10を提供することができる。また、MOV22の劣化時の漏れ電流を抑制することにより、サージ防護デバイス10に要求される遮断容量を低く抑えることができる。また、本実施形態に係るサージ防護デバイス10によれば、従来、SPD分離器30に用いられてきたヒューズや配線用遮断器のような大きな部品を用いずとも済むため、サージ防護デバイス10の設置に必要なスペースやコストを抑えることができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記のサージ防護デバイス10において、温度ヒューズ36を設けないこととしてもよく、こうした場合であっても抵抗素子34を設けたことにより、SPD部20の故障時に漏れ電流を小さく抑えることができる。
3 電源、7 アース、5 防護対象機器、10 サージ防護デバイス、20 SPD部、22 MOV、30 SPD分離器、32 GDT、34 抵抗素子、36 温度ヒュー、110 サージ防護デバイス、112 SPD分離器、120 SPD部、122 MOV、124 温度ヒュー、130 MCCB、132 可変抵抗器。
Claims (4)
- 防護対象機器と並列に接続されるサージ防護デバイスであって、
第1のサージ防護素子と、
前記第1のサージ防護素子と直列に接続される分離回路と、を含み、
前記分離回路は、
第2のサージ防護素子と、
前記第2のサージ防護素子と並列に接続される抵抗素子と、を含む
ことを特徴とするサージ防護デバイス。 - 前記分離回路は、
前記抵抗素子が発熱することで溶断する温度ヒューズをさらに含み、
前記温度ヒューズは、前記第1のサージ防護素子と直列に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のサージ防護デバイス。 - 前記第1のサージ防護素子は、電圧制限型のサージ防護素子であり、
前記第2のサージ防護素子は、電圧スイッチング型のサージ防護素子である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサージ防護デバイス。 - 前記第1のサージ防護素子は、金属酸化物バリスタであり、
前記第2のサージ防護素子は、ガス放電管である
ことを特徴とする請求項3に記載のサージ防護デバイス。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140128 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20150303 |