以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る半導体装置の主要な構成を図示する。図1は、特に薄膜トランジスタの構成を示している。なお、ここで示す図面は一例であり、所望のレイアウトにより適宜変更されうるものとする。
図1に示す半導体装置は、基板100上に下地絶縁膜として機能する絶縁膜102及び絶縁膜104を介して設けられた薄膜トランジスタを有している。薄膜トランジスタは、島状に設けられた半導体層106と、半導体層106上に設けられた絶縁層112と、当該絶縁層112を介して半導体層106上に設けられたゲート電極124と、ゲート電極上に設けられた第1の層間絶縁膜126と、第1の層間絶縁膜上に設けられた第2の層間絶縁膜128と、を有している。
ゲート電極124は、導電層120及び導電層122の積層構造で形成される。ここでは、ゲート電極124は、島状の半導体層106を横断するように設けられている。なお、図1ではゲート電極124を導電層120、122の2層の積層構造で形成する例を示すが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造としてもよい。
半導体層106とゲート電極124との間には絶縁層112が形成されている。絶縁層112はゲート絶縁層として機能する。なお、絶縁層112の膜厚は、1nm乃至110nm、好ましくは2nm乃至20nmとする。ゲート絶縁層を薄膜化すると、チャネル長の短いTFTにおいて、短チャネル効果を抑制できるため、トランジスタを低電圧で高速に動作させることが可能になり好ましい。
半導体層106は、ソース領域又はドレイン領域として機能する一対の不純物領域110と、一対の不純物領域110の間に位置するチャネル形成領域108と、を有する。不純物領域110には、一導電型を付与する不純物元素が添加されている。なお、半導体層106の膜厚は、5nm乃至150nm、好ましくは10nm乃至25nmとする。本実施の形態では、半導体層106は、膜厚10nmとする。
ゲート電極124上には、第1の層間絶縁膜126が形成されている。また、第1の層間絶縁膜126上には、第2の層間絶縁膜128が形成されている。ここで、第1の層間絶縁膜126は、一対の不純物領域110に対して、特定波長領域の光の反射率を減少させる光学膜厚で成膜されている。また、第2の層間絶縁膜128は、ゲート電極124に対して、特定波長領域の光の反射率を増大させる光学膜厚で成膜される。なお、第2の層間絶縁膜128は、コンタクトホールを有しており、一対の不純物領域110の上部に位置する第1の層間絶縁膜126の少なくとも一部が露出している。
次に、図1で示した半導体装置の作製方法の一例に関して、図面を用いて説明する。
はじめに、図2(A)に図示する通り、絶縁表面を有する基板100の片面に、下地絶縁膜を成膜する。下地絶縁膜の成膜方法は、プラズマCVD法や低圧CVD法に代表されるCVD法、スパッタ法などの方法を用いればよい。また、基板100としては、例えばバリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、セラミック基板等を用いることができる。また、プラスチック等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板は、一般的に上記基板と比較して耐熱温度が低い傾向にあるが、作製工程における処理温度に耐えうるのであれば用いることが可能である。すなわち、耐熱性を有するプラスチック基板も基板100として用いることが可能である。
下地絶縁膜としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜のいずれか一を用いる単層構造としてもよいし、これらを適宜積層する構造としても良い。なお、本明細書中において、酸化窒化珪素とは酸素の組成比が窒素の組成比よりも大きい物質のことを指し、窒素を含む酸化珪素ということもできる。また、本明細書中において、窒化酸化珪素とは窒素の組成比が酸素の組成比よりも大きい物質のことを指し、酸素を含む窒化珪素ということもできる。本実施の形態では下地絶縁膜として、膜厚30nm以上150nm以下の窒化珪素からなる絶縁膜102、及び、膜厚20nm以上150nm以下の酸化珪素からなる絶縁膜104を順に積層する構成とする。
次に、下地絶縁膜上に、半導体膜として、非晶質半導体膜を成膜する。半導体膜の成膜方法は、下地絶縁膜と同様に、CVD法またはスパッタ法などの方法を用いればよい。本実施の形態では、プラズマCVD法を用い、10nmの非晶質珪素膜を成膜する。
なお、不純物の拡散を防ぐためのブロッキング膜として機能する下地絶縁膜は、必要に応じて設ければ良い。基板100が不純物、特に移動し易い可動イオンを含むガラス基板である場合は、ガラスからの不純物が半導体膜に拡散することを防止するものであるが、基板100として石英基板を用いた場合は、ブロッキング膜として機能する下地絶縁膜を設ける必要はない。
また、下地絶縁膜上に半導体膜を形成する際に、下地絶縁膜と半導体膜との界面が大気に曝されないようにすると、界面の汚染を防ぐことが可能となり、作製されるTFTの特性のバラツキを低減させることができる。
なお、ガラスからの不純物拡散を防ぐブロッキング能力は酸化珪素膜よりも窒化珪素膜の方が高い。一方、半導体膜に接する下地絶縁膜との界面に発生する界面準位は窒化珪素膜よりも酸化珪素膜の方が少ない。従って、下地絶縁膜の構成は基板側に接する下地絶縁膜は窒化珪素膜が好ましく、半導体膜側に接する下地絶縁膜は酸化珪素膜が好ましい。なぜならば、窒化珪素膜が半導体膜に接すると界面準位が形成され、TFTを作製した場合に、下地絶縁膜と半導体膜間の界面準位に電荷がトラップされ、トラップされた電荷による電界の影響のため、しきい値電圧が大きく変動するためである。
なお、半導体膜は、本実施の形態では非晶質珪素を用いるが、多結晶珪素を用いてもよく、例えば、非晶質珪素膜成膜後、非晶質珪素膜にニッケル、パラジウム、ゲルマニウム、鉄、アルミニウム、パラジウム、スズ、鉛、コバルト、白金、銅、金等の元素を微量添加し、その後650℃で6分の熱処理を施すことによって、多結晶珪素膜を形成することができる。または、非結晶珪素に代えて、シリコンゲルマニウム(Si1−xGex(0<x<0.1))なども用いてもよく、さらに単結晶がダイヤモンド構造であるシリコンカーバイトを用いることができる。また、これらの膜を適宜積層させても良い。
また、半導体膜として非晶質珪素膜を形成した後、非晶質珪素膜から水素を放出するために電気炉内で500℃、1時間加熱してもよい。なお、水素を放出するのは、半導体膜にレーザビームを照射したときに半導体膜中の水素ガスが突沸し、半導体膜がアブレーションすることを防ぐためであり、半導体膜に含まれる水素が少なければ省略できる。
次いで、非晶質構造を有する半導体膜を、レーザ照射によって結晶化処理し、結晶構造を有する半導体膜を得る。なお、結晶化処理は、レーザ結晶化法に限られず、RTAやファーネスアニール炉等を利用した熱結晶化法、ニッケル等の触媒を用いた熱結晶化法等の方法を用いることができる。
結晶化の際のレーザ照射に用いるレーザ発振器としては、紫外光、可視光、又は赤外光を発振することが可能なレーザ発振器を用いることができる。レーザ発振器としては、KrF、ArF、XeCl、XeF等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした固体レーザ媒質を使った固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波の第2高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。
例えば、レーザ光として波長400nm以下のエキシマレーザ光や、YAGレーザの第2高調波、第3高調波を用いる。例えば、繰り返し周波数10Hz〜100MHz程度のパルスレーザ光を用いる。
なお、固体レーザや半導体レーザなどの発振波長は主に近赤外光より長波長であり、半導体層に吸収されないことが多い。その様なレーザ発振器を結晶化に用いる場合は、半導体層の上層、或いは下層に発振波長の光を吸収する光吸収層を設け、光吸収層からの熱伝導で間接的に半導体層を加熱する手段を取ることが可能である。光吸収層には、半導体層よりもレーザ波長の光吸収率が高い材料を用いるのが好ましい。また、さらに好ましくは、半導体層よりもレーザ波長の光吸収率が高く、かつ、融点・昇華点などの相変化温度が半導体層よりも高い材料が好ましい。このような光吸収層としては、Cr、Mo、W、Tiなどの、半導体層への拡散が少なく且つ高融点の金属層や、アモルファスカーボンなどの無機層が挙げられる。
なお、光吸収層が半導体層と反応するおそれ、或いは光吸収層から不純物が拡散するおそれがある場合は、光吸収層と半導体層の間にバッファー層を設けることが望ましい。このようなバッファー層としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸窒化珪素膜、または、窒酸化珪素膜が挙げられる。
半導体膜を結晶化した後、フォトリソ技術を用いて選択的にエッチングを行い、半導体層106を得る(図2(A))。エッチングにおけるレジストマスク形成を行う前には半導体層を保護するためにオゾン含有水溶液、または酸素雰囲気でのUV照射によってオゾンを発生させて酸化膜を形成している。ここでの酸化膜はレジストのぬれ性を向上させる効果もある。
なお、半導体層106の膜厚を50nm以下とする場合、50nm以上の膜厚で半導体層を形成した後、該半導体層をエッチングして薄膜化してもよい。例えば、ドライエッチング法を用いて半導体層を薄膜化する場合は、Cl2、BCl3、若しくはSiCl4等の塩素系ガス、CF4、NF3、若しくはSF6等のフッ素系ガス、又はHBrガスを用いることができる。さらにHe、Ar、Xeなどの不活性ガスを適宜加えてもよい。また、フッ素系ガスにO2ガスを加えてもよい。また、半導体層を部分的に変質させて、該変質した領域を選択的にエッチングすることもできる。半導体層の変質とは、例えば半導体層の酸化処理、窒化処理等を示し、所望の処理をしてエッチングしたい領域を変質させればよい。
なお、半導体層は、種々の結晶化法を用いる薄膜プロセスに換えて、絶縁表面に単結晶半導体層を設けたSOI基板を用いてもよい。この場合、絶縁表面に設けられた単結晶半導体層を用いて、半導体層106を形成することができる。
なお、必要があれば、選択的なエッチングを行う前に、TFTのしきい値電圧を制御するために、微量な一導電型を付与する不純物元素(例えば、ボロンまたはリン)のドーピングを、上記酸化膜を介して行う。上記酸化膜を介してドーピングを行った場合には、酸化膜を除去し、再度オゾン含有水溶液によって酸化膜を形成することが好ましい。
次いで、半導体層106の表面を覆って、ゲート絶縁層となる珪素を主成分とする絶縁層112を形成する。ここでは、絶縁層112を形成する前に、半導体層106の表面に形成された酸化膜を、フッ酸を含むエッチャントにより除去する。なお、工程数削減のため、半導体層106の表面に形成される酸化膜を除去せずに絶縁層112を形成しても良い。また、半導体層106の酸化膜を完全に除去する必要は特になく、薄く酸化膜を残していてもよい。半導体層106の表面に形成された酸化膜をオーバーエッチングして半導体層106を露呈させてしまうと、半導体層106の表面が不純物で汚染される恐れがある。絶縁層112の表面を洗浄した後、絶縁層112上に導電層を形成する。ここでは導電層として、導電層119、導電層121の積層構造を形成する(図2(C)参照)。
導電層119、121は、CVD法やスパッタリング法により、導電材料を用いて形成する。導電材料としては、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、クロム、アルミニウム、銅、又はニオブ等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。また、リン等の一導電型を付与する不純物元素が添加された多結晶シリコン等の半導体材料を用いることもできる。なお、ここでは導電層119、121の積層構造を形成している例を示すが、絶縁層118上に形成する導電層は単層構造でもよい。導電層(導電層119及び導電層121の積層構造)は、膜厚50nm乃至1000nm、好ましくは100nm乃至800nm、より好ましくは200nm乃至500nmの範囲で形成する。
本実施の形態では、導電層119として膜厚30nmの窒化タンタル層を形成し、導電層121として膜厚170nmのタングステン層を形成する。
次に導電層119、導電層121を選択的にエッチングして、ゲート電極を形成する。ここでは、導電層121、導電層119を順にエッチングして、ゲート電極を形成する例を示す。
まず、導電層121を選択的にエッチングして、導電層122を形成する。導電層122は、基板全面に形成した導電層121を選択的にレジストマスクで覆い、当該レジストマスクに覆われていない部分をエッチングして形成することができる。
次に、導電層122をマスクとして導電層119を選択的にエッチングし、導電層120を形成する。これによって、導電層120及び導電層122の積層構造よりなる、ゲート電極124を形成することができる。また、ここで、ゲート電極124をマスクとして、絶縁層112をエッチングしても良い(図3(A)参照)。
次いで、ゲート電極124をマスクとして、半導体に一導電型を付与する不純物元素(例えば、リン、ボロン等)、ここではリンを適宜添加して、ソース領域またはドレイン領域となる一対の不純物領域110を形成し、チャネル形成領域108を画定する(図3(B))。
次いで、一対の不純物領域110、及びゲート電極124を覆うように、第1の層間絶縁膜126を形成する。第1の層間絶縁膜126は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用いて、窒化酸化珪素、または窒化珪素を材料として形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を形成した。
ここで、第1の層間絶縁膜126は、一対の不純物領域110に照射される特定波長領域の光の反射率を、減少させるような光学膜厚d1で成膜されている。したがって、第1の層間絶縁膜126を形成することで、後の工程で波長λのレーザビームを照射した時に、当該レーザビームのエネルギーを効率よく一対の不純物領域110に吸収させることができる。具体的には、第1の層間絶縁膜126の有する屈折率をn1、半導体層106の有する屈折率、消衰係数をそれぞれnSi、kSiとしたときに、下記の数式(3)を満たすように形成する。
なお、数式(3)において、φ1は、半導体層106と、第1の層間絶縁膜126の界面での反射で生じる位相差を表し、φ1=(nSi−ikSi−n1)/(nSi−ikSi+n1)の偏角、として示される。また、数式(3)において、mは自然数を表し、Δは、計算結果のずれと成膜ばらつきの補正値を示し、|Δ|<10nmである。
本実施の形態では、半導体層106として珪素膜が形成されているため、半導体層106の有する屈折率(nSi)は、3.85とし、消衰係数(kSi)は3.58とする。また、本実施の形態において、第1の層間絶縁膜126として、窒化酸化珪素膜が形成されているため、第1の層間絶縁膜126の有する屈折率(n1)は1.94とする。したがって、これらの値より、φ1は0.53[radian]となる。
本実施の形態では、式(3)において、m=5として、第1の層間絶縁膜125の膜厚d1を、432±Δnm(但し|Δ|<10nm)とする。
次いで、第1の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜128を形成する。第2の層間絶縁膜は、プラズマCVD法、またはスパッタ法を用いて、酸化窒化珪素、または酸化珪素を材料として形成する。本実施の形態では、プラズマCVD法により、酸化窒化珪素膜を形成した。
ここで、第2の層間絶縁膜128は、第1の層間絶縁膜126を介してゲート電極124に照射される特定波長領域の光の反射率を、増大させるような光学膜厚d2で成膜されている。したがって、第2の層間絶縁膜を形成することで、後の工程で波長λのレーザビームを照射した時に、当該レーザビームのエネルギーによって、ゲート電極124、及び、ゲート電極124の下に存在する半導体層(特にチャネル形成領域108)へのダメージを防ぐことができる。具体的には、第2の層間絶縁膜128の有する屈折率をn2、ゲート電極124の有する屈折率及び消衰係数を、それぞれnGE、kGEとしたときに、下記の式(4)を満たすように形成する。ただし、ゲート電極が導電膜を積層した構造の場合は、積層された導電層のうち最上面に設けられた層(第1の層間絶縁膜126と接する層)の有する屈折率及び消衰係数をnGE、kGEとする。
なお、数式(4)において、φ2は、ゲート電極124と、第1の層間絶縁膜126の界面での反射で生じる位相差を表し、φ2=(nGE−ikGE−n2)/(nGE−ikGE+n2)の偏角、として示される。また、数式(4)において、mは自然数を表し、Δは、計算結果のずれと成膜ばらつきの補正値を示し、|Δ|<10nmである。
本実施の形態では、第2の層間絶縁膜として、酸化窒化珪素膜が形成されているため、第2の層間絶縁膜128の有する屈折率(n2)を、1.51とする。また、本実施の形態において、ゲート電極124のうち、最上面(第1の層間絶縁膜125と接する面)には、タングステン膜が形成されているため、nGEを1.2、kGEを2とする。したがって、これらの値からφ2は1.4[radian]となる。
本実施の形態では、式(4)において、m=5として、第2の層間絶縁膜128の膜厚d2を544±Δnm(但し、|Δ|<10nm)とする。
次いで、第2の層間絶縁膜128にコンタクトホール130を形成する(図4(A)参照)。コンタクトホール130は、第2の層間絶縁膜128の上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして第2の層間絶縁膜128をエッチングすることにより形成される。また、コンタクトホール130は、一対の不純物領域110と重なる領域に位置するように形成されており、第1の層間絶縁膜125は、エッチングストッパーとして機能している。
その後、不純物元素を活性化するために、波長λのレーザビーム132の照射を行う(図4(B)参照)。レーザビーム132を照射する際は、レーザ発振器から射出されたレーザビームを、光学系によって、線状ビームに成形した後、線状の短軸方向に走査する。なお、レーザ発振器としては、XeCl、KrCl、KrF、ArF、XeF等の各種エキシマレーザ発振器を好ましく用いることができる。
本実施の形態では、レーザビーム132として発振周波数30Hz、波長308nm、出力20W(670mJ/pulse)のXeClレーザを使用した。また、光学系にてレーザビームを130mm×0.4mm幅の線状レーザに形成し、エネルギー密度を300mJ/cm2として、線状レーザの長軸方向と垂直な方向に1.0mm/sec.の速度でステージを移動しながら、基板100の全面にレーザビームを照射した。
ここで、一対の不純物領域110上には、半導体層106に直接レーザビームを照射した場合と比較して、レーザビーム132の反射率を減少させる膜厚d1で、第1の層間絶縁膜126が形成されている。これによって、照射されたレーザビーム132のエネルギーを効率よくソース領域及びドレイン領域となる一対の不純物領域110の活性化に用いることができる。また、ゲート絶縁層となる絶縁層112と、レーザ照射の際にキャップ膜として機能する第1の層間絶縁膜126とは、別々の層で形成されているため、絶縁層112の膜厚は、レーザビームの波長によらずに自由に設定することができる。したがって、微細構造のTFTにおいて、ゲート絶縁膜を薄膜化して短チャネル効果を抑制することができる。
さらに、第1の層間絶縁膜125を介してゲート電極124上には、当該第1の層間絶縁膜126を介してゲート電極124にレーザビームを照射した場合と比較して、レーザビームの反射率を増大させる膜厚d2で、第2の層間絶縁膜128が形成されている。これによって、照射されたレーザビーム132のエネルギーがゲート電極124へ吸収されるのを抑制することができる。つまり、ゲート電極124上において、第1の層間絶縁膜125及び第2の層間絶縁膜128を積層させることで、レーザビーム132の反射膜として機能している。また、本発明の半導体装置では、ゲート電極上の反射膜が第1の層間絶縁膜と第2の層間絶縁膜の積層構造であるため、単層構造の反射膜を形成した場合と比較して、より高い反射率を有する反射膜とすることができる。
次いで第2の層間絶縁膜128上及びコンタクトホール130に導電膜(例えばAl合金配線)を形成し、この導電膜をパターニングすることにより、ソース電極、ドレイン電極を形成する。以上の工程によりTFT(nチャネル型TFT)が形成される。
なお本発明は、本実施の形態に示したTFT構造に限定されず、他の構造を有するTFTに適用することも可能である。例えば、n型不純物元素に代えてp型不純物元素を用いることによってpチャネル型TFTを形成することができることは言うまでもない。また本実施形態ではトップゲート型TFTを例として説明したが、例えば逆スタガ型TFTに適用することが可能である。
本発明の半導体装置の作製方法は、TFTのソース領域またはドレイン領域となる一対の不純物領域上に位置する第1の層間絶縁膜を、レーザビームの反射率を減少させる膜厚で形成することで、照射したレーザビームのエネルギーを効率よく一対の不純物領域へ吸収させることができる。一方で、チャネル形成領域上においては、第1の層間絶縁膜上に、レーザビームの反射率を増加させる膜厚で第2の層間絶縁膜を形成することで、レーザビームを照射した際のゲート電極に吸収されるエネルギーを縮小することができる。
また、本発明の半導体装置の作製方法において、レーザビームを照射する際に、半導体層が露出していないため、レーザビームの照射によって生じる半導体層の表面荒れを低減させることができる。さらに、ゲート電極に直接レーザビームを照射しないため、レーザビームによるゲート電極の歪みや、表面酸化を防止することができる。
また、本発明の半導体装置の作製方法を用いることにより、ゲート電極またはゲート電極直下の半導体膜に熱ダメージをあたえることなく、ソース領域及びドレイン領域となる一対の不純物領域を選択的に活性化することが可能となる。本発明は、微細化されたTFT、つまりゲート絶縁膜または、チャネル形成領域の半導体膜が薄膜されたTFTにおいて特に有効である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の半導体装置の例について、図面を用いて説明する。具体的には、上記実施の形態1の構成において、ゲート電極の構成が異なる例を示す。なお、上記実施の形態1と重複する構成は、簡略化及び一部省略して説明する。
本実施の形態に係る半導体装置の作製方法の一例に関して、図5を用いて説明する。
基板200上に下地絶縁膜として機能する絶縁膜202及び絶縁膜204を介して島状の半導体層206を形成する。次に、半導体層206上にゲート絶縁層として機能する絶縁層218を形成する。次に、絶縁層218を介して半導体層206上にゲート電極224を形成する。ここでは、導電層220、導電層222の積層構造を形成する(図5(A)参照)。ゲート電極224を形成するまでの工程は、上記実施の形態1で示した基板100、絶縁膜102、104、半導体層106、絶縁層112、導電層120、122等の形成工程に準じるため、説明は省略する。
ゲート電極224をマスクとして第1の濃度の一導電型を付与する不純物元素を添加した後、ゲート電極224の側面にサイドウォール絶縁層226を形成する。
まず、ゲート電極224が埋め込まれるように、ゲート電極224を覆う絶縁層215を形成する(図5(B)参照)。次に、絶縁層215を選択的にエッチングして、ゲート電極224の側面にサイドウォール絶縁層226を形成する(図5(C)参照)。サイドウォール絶縁層226の形状は特に限定されないが、概略三角形状とするのが好ましい。また、サイドウォール絶縁層226は、後にLDD領域を形成する際にドーピング用マスクとして用いることができる。
次に、ゲート電極224及びサイドウォール絶縁層226をマスクとして第2の濃度の一導電型を付与する不純物元素を添加して、自己整合的に一対の高濃度不純物領域212と、一対の低濃度不純物領域210と、チャネル形成領域208を形成する(図6(A)参照)。ここで、第1の濃度の不純物元素及び第2の濃度の不純物元素は、同じ導電型の不純物元素を添加し、例えばn型を付与する不純物元素であるリン(P)、ヒ素(As)、p型を付与する不純物元素であるボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)等を添加することができる。
ここで形成される高濃度不純物領域212はソース領域又はドレイン領域として機能し、低濃度不純物領域210はLDD領域として機能する。なお、第1の濃度と比較して、第2の濃度を高くして不純物元素を添加する。よって、高濃度不純物領域212には、低濃度不純物領域210と比較して高い濃度の不純物元素が添加される。本実施の形態では、不純物元素としてn型を付与する元素であるリンをピーク濃度で約1×1021cm−3程度となるように添加する。
次いで、一対の高濃度不純物領域212、サイドウォール絶縁層226、及びゲート電極224を覆うように、第1の層間絶縁膜225を形成する(図6(B)参照)。第1の層間絶縁膜225は、プラズマCVD法またはスパッタ法を用いて、窒化酸化珪素、または窒化珪素を材料として形成する。
ここで、第1の層間絶縁膜225は、一対の高濃度不純物領域212に照射される特定波長領域の光の反射率を、減少させるような光学膜厚d1で成膜されている。したがって、第1の層間絶縁膜を形成することで、後の工程で波長λのレーザビームを照射した時に、当該レーザビームのエネルギーを効率よく一対の高濃度不純物領域212に吸収させることができる。具体的には、第1の層間絶縁膜225の有する屈折率をn1、半導体層206の有する屈折率、消衰係数をそれぞれnSi、kSiとしたときに、下記の数式(5)を満たすように形成する。
なお、数式(5)において、φ1は、半導体層206と、第1の層間絶縁膜225の界面での反射で生じる位相差を表し、φ1=(nSi−ikSi−n1)/(nSi−ikSi+n1)の偏角、として示される。また、数式(5)において、mは自然数を表し、Δは、計算結果のずれと成膜ばらつきの補正値を示し、|Δ|<10nmである。
次いで、第1の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜228を形成する(図7(A)参照)。第2の層間絶縁膜は、プラズマCVD法、またはスパッタ法を用いて、酸化窒化珪素、または酸化珪素を材料として形成する。
ここで、第2の層間絶縁膜228は、第1の層間絶縁膜225を介してゲート電極224に照射される特定波長領域の光の反射率を、増大させるような光学膜厚d2で成膜されている。したがって、第2の層間絶縁膜を形成することで、後の工程で波長λのレーザビームを照射した時に、当該レーザビームのエネルギーによって、ゲート電極224、及び、ゲート電極224と重なる領域に位置する半導体層(特にチャネル形成領域208)へのダメージを防ぐことができる。具体的には、第2の層間絶縁膜228の有する屈折率をn2、ゲート電極224の有する屈折率及び消衰係数を、それぞれnGE、kGEとしたときに、下記の式(6)を満たすように形成する。ただし、ゲート電極が導電膜を積層した構造の場合は、積層された導電層のうち最上面に設けられた層(第1の層間絶縁膜と接する層)の有する屈折率及び消衰係数をnGE、kGEとする。
なお、数式(6)において、φ2は、ゲート電極124と、第1の層間絶縁膜125の界面での反射で生じる位相差を表し、φ2=(nGE−ikGE−n2)/(nGE−ikGE+n2)の偏角、として示される。また、数式(6)において、mは自然数を表し、Δは、計算結果のずれと成膜ばらつきの補正値を示し、|Δ|<10nmである。
次いで、第2の層間絶縁膜228にコンタクトホール230を形成する(図7(B)参照)。コンタクトホール230は、第2の層間絶縁膜228の上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして第2の層間絶縁膜228をエッチングすることにより形成される。また、コンタクトホール230は、一対の高濃度不純物領域212と重なる領域に位置するように形成されており、第1の層間絶縁膜225は、エッチングストッパーとして機能している。
その後、不純物元素を活性化するために、波長λのレーザビーム232の照射を行う(図7(C)参照)。レーザビーム232を照射する際は、レーザ発振器から射出されたレーザビームを、光学系によって、線状ビームに成形した後、線状の短軸方向に走査する。なお、レーザ発振器としては、XeCl、KrCl、KrF、ArF、XeF等の各種エキシマレーザ発振器を好ましく用いることができる。
ここで、一対の高濃度不純物領域212上には、半導体層206に直接レーザビームを照射した場合と比較して、レーザビーム232の反射率を減少させる膜厚d1で、第1の層間絶縁膜225が形成されている。これによって、照射されたレーザビーム232のエネルギーを効率よくソース領域及びドレイン領域となる一対の高濃度不純物領域212の活性化に用いることができる。なお、本発明の半導体装置の作成方法は、レーザビームのエネルギーを効率よく高濃度不純物領域に吸収させることができるため、一対の低濃度不純物領域210上にレーザビーム132を照射しなくても、高濃度不純物領域212に吸収されたエネルギーによって、低濃度不純物領域210を活性化することができる。
また、ゲート絶縁層となる絶縁層218と、レーザ照射の際にキャップ膜として機能する第1の層間絶縁膜225とは、別々の層で形成されているため、絶縁層218の膜厚は、レーザビームの波長によらずに設定することができる。したがって、微細構造のTFTにおいて、ゲート絶縁膜を薄膜化して短チャネル効果を抑制することができる。
また、サイドウォール絶縁層226上に第1の層間絶縁膜225が形成されており、レーザビーム232を直接照射しないため、レーザビーム照射によっておこるサイドウォール絶縁層の膜はがれを防止することができる。
さらに、第1の層間絶縁膜225を介してゲート電極224上には、当該第1の層間絶縁膜225を介してゲート電極224にレーザビームを照射した場合と比較して、レーザビームの反射率を増大させる膜厚d2で、第2の層間絶縁膜228が形成されている。これによって、照射されたレーザビーム232のエネルギーがゲート電極224へ吸収されるのを抑制することができる。つまり、ゲート電極224上において、第1の層間絶縁膜225及び第2の層間絶縁膜228は、レーザビーム232の反射膜として機能している。なお、本発明の半導体装置では、ゲート電極上の反射膜が第1の層間絶縁膜と第2の層間絶縁膜の積層構造であるため、単層構造の反射膜を形成した場合と比較して、より高い反射率を有する反射膜とすることができる。
次いで第2の層間絶縁膜228上及びコンタクトホール230に導電膜(例えばAl合金配線)を形成し、この導電膜をパターニングすることにより、ソース電極、ドレイン電極を形成する。以上の工程によりTFT(nチャネル型TFT)が形成される。
なお本発明は、本実施の形態に示したTFT構造に限定されず、他の構造を有するTFTに適用することも可能である。
本発明の半導体装置の作製方法は、TFTのソース領域またはドレイン領域となる一対の不純物領域上に位置する第1の層間絶縁膜を、レーザビームの反射率を減少させる膜厚で形成することで、照射したレーザビームのエネルギーを効率よく一対の不純物領域へ吸収させることができる。一方で、チャネル形成領域上においては、第1の層間絶縁膜上に、レーザビームの反射率を増加させる膜厚で第2の層間絶縁膜を形成することで、レーザビームを照射した際のゲート電極に吸収されるエネルギーを縮小することができる。
また、本発明の半導体装置の作製方法において、レーザビームを照射する際に、半導体層が露出していないため、レーザビームの照射によって生じる半導体層の表面荒れを低減させることができる。さらに、ゲート電極に直接レーザビームを照射しないため、レーザビームによるゲート電極の歪みや、表面酸化を防止することができる。
また、本発明の半導体装置の作製方法を用いることにより、ゲート電極またはゲート電極直下の半導体膜に熱ダメージをあたえることなく、ソース領域及びドレイン領域となる一対の不純物領域を選択的に活性化することが可能となる。本発明は、微細化されたTFT、つまりゲート絶縁膜または、チャネル形成領域の半導体膜が薄膜されたTFTにおいて特に有効である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる半導体装置の作製方法の一例について、図面を用いて説明する。なお、上記実施の形態1または2と重複する構成は、簡略化及び一部省略して説明する。
本実施の形態に係る半導体基板の作製方法について、図8を用いて説明する。
図8(A)に示す半導体基板601は清浄化されており、その表面から電界で加速された水素イオンを所定の深さに導入(注入)し、脆化層603を形成する。イオンの導入は、後の工程でベース基板に転置したときの、単結晶半導体層の厚さを考慮して行われる。当該単結晶半導体層の厚さは5nm乃至500nm、好ましくは10nm乃至200nmの厚さとする。イオンを照射する際の加速電圧はこのような厚さを考慮して、半導体基板601に導入されるようにする。
なお、半導体基板601としては、代表的には単結晶シリコン基板が適用される。その他に、単結晶ガリウムヒ素基板等を用いることができる。また、シリコン、ゲルマニウムガリウムヒ素等の多結晶からなる半導体基板、若しくは、シリコン、ゲルマニウムガリウムヒ素等が形成された基板を用いることも可能である。
脆化層の形成に当たってはイオンを高ドーズ条件で照射する必要があり、半導体基板601の表面が粗くなってしまう場合がある。そのためイオンが照射される表面に窒化シリコン膜若しくは窒化酸化シリコン膜などによりイオン照射に対する保護膜を50nm乃至200nmの厚さで設けておいても良い。
次に、図8(B)で示すようにベース基板と接合を形成する面に接合層604として酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜としては、有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜が好ましい。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、トリメチルシラン(TMS:(CH3)3SiH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。その他に、シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜を適用することもできる。化学気相成長法による成膜では、単結晶半導体基板に形成した脆化層603から脱ガスが起こらない温度として、例えば350℃以下の成膜温度が適用される。また、単結晶若しくは多結晶半導体基板から単結晶半導体層を剥離する熱処理は、成膜温度よりも高い熱処理温度が適用される。
図8(C)はベース基板600と半導体基板601の接合層604が形成された面とを密接させ、この両者を接合させる態様を示す。接合を形成する面は、十分に清浄化しておく。そして、ベース基板600と接合層604を密着させることにより接合が形成される。この接合はファン・デル・ワールス力が作用しており、ベース基板600と半導体基板601とを圧接することで水素結合により強固な接合を形成することが可能である。
良好な接合を形成するために、基板表面を活性化しておいても良い。例えば、接合を形成する面に原子ビーム若しくはイオンビームを照射する。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。その他に、プラズマ照射若しくはラジカル処理を行う。このような表面処理により200℃乃至400℃の温度であっても異種材料間の接合を形成することが容易となる。
なお、ベース基板600は、絶縁表面を有する基板若しくは絶縁基板であり、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電子工業用に使われる各種ガラス基板を適用される。その他に石英ガラス、シリコンウエハのような半導体基板も適用可能である。
ベース基板600と半導体基板601を、接合層604を介して貼り合わせた後は、加熱処理又は加圧処理を行うことが好ましい。加熱処理又は加圧処理を行うことで接合強度を向上させることが可能となる。加熱処理の温度は、ベース基板600の耐熱温度以下であることが好ましい。加圧処理においては、接合面に垂直な方向に圧力が加わるように行い、ベース基板600及び半導体基板601の耐圧性を考慮して行う。
図9において、ベース基板600と半導体基板601を貼り合わせた後、熱処理を行い脆化層603を劈開面として半導体基板601とベース基板600とを分離する。熱処理の温度は接合層604の成膜温度以上、ベース基板600の耐熱温度以下で行うことが好ましい。例えば、400℃乃至600℃の熱処理を行うことにより、脆化層603に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、脆化層603に沿って劈開することが可能となる。接合層604はベース基板600と接合しているので、ベース基板600上には半導体基板601と同じ結晶性の単結晶半導体層602が残存することとなる。
以上、接合層604を半導体基板側に有する例を示したが、ベース基板600と単結晶半導体層602との接合強度に問題が無ければ、接合層604は形成せず、ベース基板600と単結晶半導体層602とを直接接合しても良い。または、接合層604をベース基板側に設けても良いし、ベース基板と半導体基板の双方に設けても良い。
なお、ベース基板600に接合層604を設ける場合、ベース基板600と接合層604との間にはバリア層が設けられていることが好ましい。バリア層を設けることで、単結晶半導体層602をベース基板600に接合した際に、ベース基板600として用いられるガラス基板からアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のような可動イオン不純物が拡散して単結晶半導体層602が汚染されることを防ぐことができる。バリア層としては、例えば、窒化シリコン層と酸化シリコン層を積層することができる。なお、窒化シリコン層に換えて、窒化酸化シリコン層、窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層を適用しても良い。
次いで、本実施の形態で形成した半導体基板を用いた半導体装置について図10と図11を参照して説明する。図10(A)において、ベース基板600に接合層604を介して単結晶半導体層602が設けられている。単結晶半導体層602の膜厚は5nm乃至500nm、好ましくは10nm乃至200nmの厚さとすることが好ましい。単結晶半導体層602の厚さは、図8で説明した脆化層603の深さを制御することにより適宜設定できる。単結晶半導体層602にはしきい値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型不純物を添加してもよい。例えば、p型不純物として硼素を5×1017cm−3以上1×1018cm−3以下の濃度で添加されていても良い。ベース基板600にはバリア層605として窒化シリコン層と酸化シリコン層が積層形成されている。
次いで、単結晶半導体層602をエッチングして、半導体素子の配置に合わせて島状の単結晶半導体層613を形成する(図10(B)参照)。
次いで、図10(C)に示すように、島状の単結晶半導体層613上に絶縁層612を形成し、該絶縁層612を介して島状の単結晶半導体層613上にゲート電極624を形成する。ここでは、導電層620、導電層622の積層構造とする。
次いで、ゲート電極624をマスクとして、半導体に一導電型を付与する不純物元素(例えば、リン、ボロン等)、ソース領域またはドレイン領域となる一対の不純物領域610を形成し、チャネル形成領域608を画定する。
次いで、一対の不純物領域610、及びゲート電極624を覆うように、第1の層間絶縁膜625を形成する(図10(D))。第1の層間絶縁膜625は、一対の不純物領域610に照射される特定波長領域の光の反射率を、減少させるような光学膜厚d1で成膜されている。したがって、第1の層間絶縁膜を形成することで、後の工程で波長λのレーザビームを照射した時に、当該レーザビームのエネルギーを効率よく一対の不純物領域610に吸収させることができる。具体的には、第1の層間絶縁膜125の有する屈折率をn1、島状の単結晶半導体層613の有する屈折率、消衰係数をそれぞれnSi、kSiとしたときに、下記の数式(7)を満たすように形成する。
なお、数式(7)において、φ1は、島状の単結晶半導体層613と、第1の層間絶縁膜625の界面での反射で生じる位相差を表し、φ1=(nSi−ikSi−n1)/(nSi−ikSi+n1)の偏角、として示される。また、数式(7)において、mは自然数を表し、Δは、計算結果のずれと成膜ばらつきの補正値を示し、|Δ|<10nmである。
次いで、第1の層間絶縁膜上に第2の層間絶縁膜628を形成する。第2の層間絶縁膜628は、第1の層間絶縁膜625を介してゲート電極624に照射される特定波長領域の光の反射率を、増大させるような光学膜厚d2で成膜されている。したがって、第2層間絶縁膜を形成することで、後の工程で波長λのレーザビームを照射した時に、当該レーザビームのエネルギーによって、ゲート電極624、及び、ゲート電極624の下に存在する半導体層(特にチャネル形成領域608)へのダメージを防ぐことができる。具体的には、第2の層間絶縁膜628の有する屈折率をn2、ゲート電極624の有する屈折率及び消衰係数を、それぞれnGE、kGEとしたときに、下記の式(8)を満たすように形成する。ただし、ゲート電極が導電膜を積層した構造の場合は、積層された導電層のうち最上面に設けられた層(第1の層間絶縁膜と接する層)の有する屈折率及び消衰係数をnGE、kGEとする。
なお、数式(8)において、φ2は、ゲート電極624と、第1の層間絶縁膜625の界面での反射で生じる位相差を表し、φ2=(nGE−ikGE−n2)/(nGE−ikGE+n2)の偏角、として示される。また、数式(8)において、mは自然数を表し、Δは、計算結果のずれと成膜ばらつきの補正値を示し、|Δ|<10nmである。
次いで、上記実施の形態と同様に、第1の層間絶縁膜625をエッチングストッパーとして、一対の不純物領域610の直上に位置する第2の層間絶縁膜628にコンタクトホール630を形成した後、不純物元素を活性化するために、波長λのレーザビーム632の照射を行う(図11)。
その後、コンタクトホール630に合わせて配線を形成する。配線はアルミニウム若しくはアルミニウム合金で形成し、上層と下層にはバリアメタルとしてモリブデン、クロム、チタンなどの金属膜で形成する。
このように、ベース基板600に接合された単結晶半導体層602を用いて電界効果トランジスタを作製することができる。本実施の形態に係る単結晶半導体層602は、結晶方位が一定の単結晶半導体であるため、均一で高性能な電界効果トランジスタを得ることができる。すなわち、閾値電圧や移動度などトランジスタ特性として重要な特性値の不均一性を抑制し、高移動化などの高性能化を達成することができる。
また、本発明の半導体装置の作製方法は、TFTのソース領域またはドレイン領域となる一対の不純物領域上に位置する第1の層間絶縁膜を、レーザビームの反射率を減少させる膜厚で形成することで、照射したレーザビームのエネルギーを効率よく一対の不純物領域へ吸収させることができる。一方で、チャネル形成領域上においては、第1の層間絶縁膜上に、レーザビームの反射率を増加させる膜厚で第2の層間絶縁膜を形成することで、レーザビームを照射した際のゲート電極に吸収されるエネルギーを縮小することができる。
また、本発明の半導体装置の作製方法において、レーザビームを照射する際に、半導体層が露出していないため、レーザビームの照射によって生じる半導体層の表面荒れを低減させることができる。さらに、ゲート電極に直接レーザビームを照射しないため、レーザビームによるゲート電極の歪みや、表面酸化を防止することができる。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態4)
本発明に係る半導体装置は、CPU(中央演算回路:Central Processing Unit)等の集積回路に適用することができる。本実施の形態では、上記実施の形態1または2に示した半導体装置を適用したCPUの例に関して、図面を用いて以下に説明する。
図13に示すCPU3660は、基板3600上に演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)3601、演算回路用制御回路部(ALU Controller)3602、命令解析部(Instruction Decoder)3603、割り込み制御部(Interrupt Controller)3604、タイミング制御部(Timing Controller)3605、レジスタ(Register)3606、レジスタ制御部(Register Controller)3607、バスインターフェース(Bus I/F)3608、書き換え可能なROM3609、ROMインターフェース(ROM I/F)3620を主に有している。また、ROM3609及びROMインターフェース3620は、別チップに設けても良い。これらCPU3660を構成する様々な回路は、上記実施の形態1乃至4に示される薄膜トランジスタ、当該薄膜トランジスタを組み合わせたCMOS回路、nMOS回路、pMOS回路等を用いて構成することが可能である。
図13に示すCPU3660は、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。したがって、本発明を適用するCPUの構成は、図13に示すものに限定されるものではない。
バスインターフェース3608を介してCPU3660に入力された命令は、命令解析部3603に入力され、デコードされた後、演算回路用制御回路部3602、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607、タイミング制御部3605に入力される。
演算回路用制御回路部3602、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607、タイミング制御部3605は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行う。具体的に演算回路用制御回路部3602は、演算回路3601の駆動を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部3604は、CPU3660のプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタ制御部3607は、レジスタ3606のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ3606の読み出しや書き込みを行う。
またタイミング制御部3605は、演算回路3601、演算回路用制御回路部3602、命令解析部3603、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607の駆動のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部3605は、基準クロック信号CLK1(3621)を元に、内部クロック信号CLK2(3622)を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
ここで、CPU3660に適用することができるCMOS回路の一例を示す(図14参照)。ここで示すCMOS回路は、基板800上に絶縁層802、804を介して、nチャネルトランジスタ810及びpチャネルトランジスタ820が形成されている。また、nチャネルトランジスタ810及びpチャネルトランジスタ820を覆うように絶縁層830が形成され、該絶縁層830を介してトランジスタ810又はトランジスタ820と電気的に接続される導電層840が形成されている。また、トランジスタ810及びトランジスタ820は、導電層840により電気的に接続されている。
基板800は、絶縁表面を有する基板を用いればよい。例えばガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、表面に絶縁層が形成された金属基板などを用いることができる。
絶縁層802、804は、CVD法やスパッタリング法やALD法を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の材料を用いて形成する。絶縁層802、804は、基板800からトランジスタ810及びトランジスタ820へアルカリ金属等が拡散して汚染されることを防ぐブロッキング層として機能する。また、基板800の表面に凹凸がある場合、平坦化する層としても機能することができる。なお、絶縁層802、804は、基板800からの不純物拡散や基板800表面の凹凸が問題とならなければ、形成しなくともよい。また、ここでは下地絶縁層を2層構造としているが、単層構造でも、3層以上の積層構造としてもよい。
トランジスタ810及びトランジスタ820は、上記実施の形態1または2で示したトランジスタを適用すればよい。なお、トランジスタ810及びトランジスタ820は、相異なる導電型を有するものとする。例えば、トランジスタ810をnチャネルトランジスタとし、トランジスタ820をpチャネルトランジスタで形成すればよい。
絶縁層830は、CVD法やスパッタリング法、ALD法、塗布法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の酸素若しくは窒素を含む無機絶縁材料や、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む絶縁材料、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機絶縁材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料を用いて形成する。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、絶縁層830は、CVD法やスパッタリング法、ALD法を用いて絶縁層を形成した後、当該絶縁層に酸素雰囲気下又は窒素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことにより形成してもよい。ここでは絶縁層830は単層構造の例を示すが、2層以上の積層構造としてもよい。また、無機絶縁層や、有機絶縁層を組み合わせて形成してもよい。
導電層840は、CVD法やスパッタリング法を用いて、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジム(Nd)等の金属元素、炭素(C)、シリコン(Si)等の元素、又はこれらの元素を含む合金材料若しくは化合物材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。アルミニウムを含む合金材料としては、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素とシリコンの一方又は両方とを含む合金材料があげられる。導電層840は、例えば、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層とバリア層の積層構造、バリア層とアルミニウムシリコン層と窒化チタン層とバリア層の積層構造を採用することができる。なお、バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電層840を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができるため好ましい。
導電層840は、ソース電極又はドレイン電極として機能する。導電層840は、絶縁層830に形成された開口を介してトランジスタ810、トランジスタ820と電気的に接続される。具体的には、導電層840は、トランジスタ810のソース領域又はドレイン領域、トランジスタ820のソース領域又はドレイン領域と電気的に接続される。また、トランジスタ810のソース領域又はドレイン領域は、トランジスタ820のソース領域又はドレイン領域と、導電層840を間に介して電気的に接続される。以上により、CMOS回路を形成することができる。
また、図15には、画素部と、CPU、その他の回路が同一基板に形成された表示装置、いわゆるシステムオンパネルを示す。基板3700上に画素部3701、当該画素部3701が有する画素を選択する走査線駆動回路3702と、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路3703とが設けられている。走査線駆動回路3702、及び信号線駆動回路3703から引き回される配線によりCPU3704、その他の回路(例えばコントロール回路3705)が接続されている。なおコントロール回路にはインターフェースが含まれている。そして、基板の端部にFPC端子との接続部を設け、外部信号とのやりとりを行う。
その他の回路としては、コントロール回路3705の他、映像信号処理回路、電源回路、階調電源回路、ビデオRAM、メモリ(DRAM、SRAM、PROM)等を設けることができる。またこれら回路は、ICチップにより形成し、基板上に実装してもよい。さらに必ずしも走査線駆動回路3702、及び信号線駆動回路3703を同一基板に形成する必要はなく、例えば走査線駆動回路3702のみを同一基板に形成し、信号線駆動回路3703をICチップにより形成し、実装してもよい。
なお、本実施の形態では、本発明に係る半導体装置をCPUに適用する例を説明したが、本発明は特に限定されない。例えば、本発明に係る半導体装置は、有機発光素子、無機発光素子、又は液晶表示素子等を備えた表示装置の画素部及び駆動回路部等に適用することができる。また、その他、本発明を適用して、デジタルカメラ、カーオーディオなどの音響再生装置、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(携帯電話機、携帯型ゲーム機等)、家庭用ゲーム機などの記録媒体を備えた画像再生装置などを作製することも可能である。
本発明を適用した半導体装置は、作製過程において半導体膜やゲート電極へのダメージが回避されている。よって、歩留まり良く、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能になる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置の使用形態の一例について説明する。具体的には、非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して、図面を用いて以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によって、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップとも呼ばれる。
本実施の形態で示す半導体装置の上面構造の一例について、図16(A)を参照して説明する。図16に示す半導体装置2180は、メモリ部やロジック部を構成する複数の薄膜トランジスタ等の素子が設けられた薄膜集積回路2131と、アンテナとして機能する導電層2132を含んでいる。アンテナとして機能する導電層2132は、薄膜集積回路2131に電気的に接続されている。薄膜集積回路2131には、上記実施の形態1または2で示した本発明に係る薄膜トランジスタを適用することができる。
また、図16(B)、(C)に図16(A)の断面の模式図を示す。アンテナとして機能する導電層2132は、メモリ部及びロジック部を構成する素子の上方に設ければよく、例えば、上記実施の形態で示した薄膜トランジスタで構成された薄膜集積回路2131上方に、絶縁層2130を介してアンテナとして機能する導電層2132を設けることができる(図16(B)参照)。他にも、アンテナとして機能する導電層2132を基板2133に別に設けた後、当該基板2133及び薄膜集積回路2131を、導電層2132が間に位置するように貼り合わせて設けることができる(図16(C)参照)。図16(C)では、絶縁層2130上に設けられた導電層2136とアンテナとして機能する導電層2132とが、接着性を有する樹脂2135中に含まれる導電性粒子2134を介して電気的に接続されている例を示す。
なお、本実施の形態では、アンテナとして機能する導電層2132をコイル状に設け、電磁誘導方式または電磁結合方式を適用する例を示すが、本発明の半導体装置はこれに限られずマイクロ波方式を適用することも可能である。マイクロ波方式の場合は、用いる電磁波の波長によりアンテナとして機能する導電層2132の形状を適宜決めればよい。
例えば、半導体装置2180における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860MHz帯乃至960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよい。例えば、アンテナとして機能する導電層を線状(例えば、ダイポールアンテナ(図17(A)参照))、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ(図17(B)参照)またはリボン型の形状(図17(C)、(D)参照))等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電層2132の形状は直線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
アンテナとして機能する導電層2132は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電層2132を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下の微粒子)を用いる場合、150℃乃至300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電層を形成することができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーはんだは、低コストであるといった利点を有している。
本発明を適用した半導体装置は、作製過程でのゲート電極及び半導体膜へのダメージを抑えることができ、歩留まり良く信頼性の高い半導体装置を提供することが可能になる。また、本実施の形態のように、非接触でデータの入出力が可能で、且つ小型な半導体装置に適用することもできる。
次に、本実施の形態に係る半導体装置の動作例について説明する。
半導体装置2180は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路81、電源回路82、リセット回路83、クロック発生回路84、データ復調回路85、データ変調回路86、他の回路の制御を行う制御回路87、記憶回路88およびアンテナ89を有している(図18(A)参照)。高周波回路81はアンテナ89より信号を受信して、データ変調回路86より受信した信号をアンテナ89から出力する回路である。電源回路82は受信信号から電源電位を生成する回路である。リセット回路83はリセット信号を生成する回路である。クロック発生回路84はアンテナ89から入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路である。データ復調回路85は受信信号を復調して制御回路87に出力する回路である。データ変調回路86は制御回路87から受信した信号を変調する回路である。また、制御回路87としては、例えばコード抽出回路91、コード判定回路92、CRC判定回路93および出力ユニット回路94が設けられている。なお、コード抽出回路91は制御回路87に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路であり、コード判定回路92は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容を判定する回路であり、CRC判定回路93は判定されたコードに基づいて送信エラー等の有無を検出する回路である。図18(A)では、制御回路87の他に、アナログ回路である高周波回路81、電源回路82を含んでいる。
次に、上述した半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ89により無線信号が受信される。無線信号は高周波回路81を介して電源回路82に送られ、高電源電位(以下、VDDと記す)が生成される。VDDは半導体装置2180が有する各回路に供給される。また、高周波回路81を介してデータ復調回路85に送られた信号は復調される(以下、復調信号という)。さらに、高周波回路81を介してリセット回路83およびクロック発生回路84を通った信号及び復調信号は制御回路87に送られる。制御回路87に送られた信号は、コード抽出回路91、コード判定回路92およびCRC判定回路93等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記憶回路88内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置の情報は出力ユニット回路94を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装置2180の情報はデータ変調回路86を通って、アンテナ89により無線信号に載せて送信される。なお、半導体装置2180を構成する複数の回路においては、低電源電位(以下、VSSという)は共通であり、VSSはGNDとすることができる。
このように、通信手段(例えばリーダ/ライタ、又はリーダ或いはライタいずれかの機能を有する手段)から半導体装置2180に信号を送り、当該半導体装置2180から送られてきた信号をリーダ/ライタで受信することによって、半導体装置のデータを読み取ることが可能となる。
また、半導体装置2180は、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリー)を搭載せず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電磁波と電源(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
次に、非接触でデータの入出力が可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。表示部3210を含む携帯端末の側面には、通信手段3200が設けられ、品物3220の側面には半導体装置3230が設けられる(図18(B)参照)。なお、通信手段3200は、例えばリーダ/ライタのように信号を読み取る機能及び信号を送信する機能を備えるもの、又は信号を読み取る機能或いは信号を送信するいずれかの機能のみを備えるものである。品物3220が含む半導体装置3230に通信手段3200をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品3260をベルトコンベアにより搬送する際に通信手段3240と、商品3260に設けられた半導体装置3250を用いて、該商品3260の検品を行うことができる(図18(C)参照)。半導体装置3230、半導体装置3250としては、上述した半導体装置2180を適用することができる。このように、システムに本発明に係る半導体装置を活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。また、本発明に係る半導体装置は信頼性が高く、商品の検品等を確実に行うことも可能となる。
なお、上述した以外にも本発明に係る半導体装置の用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図19を用いて説明する。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指す(図19(A)参照)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指す(図19(B)参照)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す(図19(C)参照)。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す(図19(D)参照)。書籍類とは、書物、本等を指す(図19(E)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す(図19(F)参照)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指す(図19(G)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指す(図19(H))。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話機等を指す。
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等に半導体装置2180を設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等に半導体装置2180を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等に半導体装置2180を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。半導体装置2180の設け方としては、物品の表面に貼る、或いは物品に埋め込んで設ける。例えば、本の場合は紙に埋め込めばよく、有機樹脂からなるパッケージであれば有機樹脂に埋め込めばよい。
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサーを備えた半導体装置を埋め込む又は取り付けることによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。