本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更しうることは、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る半導体装置の主要な構成を説明するための上面図及び断面図である。図1は、特に薄膜トランジスタの構成を示しており、図1(A)は上面図、図1(B)は図1(A)における破線OP間の断面図、図1(C)は図1(A)における破線QR間の断面図を示している。なお、図1(A)は、一部薄膜等を省略している。
図1に示す半導体装置は、基板102上に絶縁層104を介して設けられた薄膜トランジスタ100を有している。薄膜トランジスタ100は、島状の半導体層105と、当該半導体層105の側面と接して設けられた絶縁層112と、半導体層105の一表面上に設けられた絶縁層114と、当該絶縁層114を介して半導体層105上に設けられた導電層116及び導電層118と、半導体層105上に絶縁層114、絶縁層120を介して設けられたソース電極又はドレイン電極を形成する導電層122と、を有している。導電層122は、絶縁層114、120を介して半導体層105と電気的に接続されている。
ゲート電極119は、導電層116及び導電層118の積層構造で形成されている。ゲート電極119は、島状の半導体層105を横断するように設けられている。なお、図1ではゲート電極を導電層116、118の2層の積層構造で形成する例を示すが、本発明は特に限定されない。例えば、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造としてもよい。また、ゲート電極として形成される導電層の側面をテーパ形状にしてもよいし、2層以上の導電層の積層構造として各層でテーパ角度が異なるようにしてもよい。また、導電層の積層構造でゲート電極を形成する場合、各層の幅(キャリアがチャネル形成領域を流れる方向(ソース領域とドレイン領域を結ぶ方向)に平行な方向の長さ)が概略一致するように形成してもよいし、上層と比較して下層の導電層の幅が大きくなるように形成してもよい。その他、ゲート電極を形成する導電層の側面に接して、サイドウォールといわれる絶縁層(以下、サイドウォール絶縁層ともいう)を形成してもよい。
島状に設けられた半導体層105は、チャネル形成領域106と、LDD領域として機能する一対の不純物領域108と、ソース領域又はドレイン領域として機能する一対の不純物領域110と、を有する。以下、本明細書ではLDD領域として機能する不純物領域を低濃度不純物領域ともいう。また、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域を高濃度不純物領域ともいう。本実施の形態では、低濃度不純物領域108、高濃度不純物領域110とする。
また、半導体層105において、導電層122と接する領域は、チャネル形成領域106が形成される領域と比較して厚くなっている。本発明は、半導体層においてソース電極又はドレイン電極として機能する導電層を接続させる領域を、チャネル形成領域よりも厚くすることを特徴の1つとしている。なお、半導体層においてソース電極又はドレイン電極として機能する導電層を接続させる領域は、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域の一部である。よって、本発明は、高濃度不純物領域が、チャネル形成領域よりも厚い領域を有することを特徴の1つとしている。
半導体層105において、チャネル形成領域106と比較して、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層122を接続させる領域を厚くすることで、後に導電層122及び半導体層105(具体的には高濃度不純物領域110)を接続させるための開口を形成する際に、該開口近傍の半導体層105まで除去されてしまうことを防止する効果がある。特に、チャネル形成領域を薄膜化するのに伴いその他の領域の膜厚も薄くする場合は、上述した開口形成の際に該開口近傍の半導体層が消失してしまう可能性も大きくなるため、本発明の構成とすることは非常に効果的である。
半導体層105の膜厚は非晶質半導体層の結晶化可能な範囲とし、具体的には30nm乃至200nm(但し30nmは除く)程度とする。好ましくはチャネル形成領域106を膜厚30nm乃至150nm(但し30nmは除く)程度、より好ましくは50nm乃至70nm程度とし、導電層122を接続させる領域をチャネル形成領域106よりも厚くする。例えば、導電層122を接続させる領域を、膜厚40nm乃至200nm程度、好ましくは80nm乃至100nm程度とする。
また、島状に設けられた半導体層105の端部は、テーパ形状とすることができる。例えば、テーパ角が45°以上95°未満、好ましくは60°以上95°未満となるような形状としてもよいし、テーパ角が45°未満の緩やかな形状とすることもできる。なお、テーパ角とはテーパ形状を有する層において、当該層の側面と底面がなす傾斜角を示す。ここでは、90°に近いテーパ角を有するテーパ形状とする。
チャネル形成領域106は一対の高濃度不純物領域110の間に位置しており、低濃度不純物領域108はチャネル形成領域106と高濃度不純物領域110の間にそれぞれ位置している。つまり、チャネル形成領域106は、一対の高濃度不純物領域110の間及び一対の低濃度不純物領域108の間に位置しており、且つ一対の低濃度不純物領域108に接している。なお、高濃度不純物領域110は、低濃度不純物領域108と比較して、高い濃度で一導電型を付与する不純物元素が添加されている。
また、チャネル形成領域106は、半導体層105において該半導体層105及びゲート電極119を形成する導電層118が重なる領域に形成されている。つまり、ゲート電極119は半導体層105を横断するように、且つチャネル形成領域106上に設けられている。なお、チャネル形成領域106は、トランジスタの閾値電圧を制御するための一導電型を付与する不純物元素が添加されていてもよい。
高濃度不純物領域110は、絶縁層114、120を介してソース電極又はドレイン電極として機能する導電層122と電気的に接続されている。このとき、少なくとも高濃度不純物領域110の一部をチャネル形成領域106よりも厚く形成し、該厚く形成された領域と接して電気的に接続されるようにソース電極又はドレイン領域として機能する導電層122を形成する。このようにすることで、絶縁層114、120に導電層122を形成するための開口を形成する際に、形成する開口近傍の半導体層(高濃度不純物領域)まで除去されてしまうことを防止できる。なお、高濃度不純物領域110全体を、チャネル形成領域106よりも厚く形成しても構わない。
低濃度不純物領域108は、チャネル形成領域106と高濃度不純物領域110の間に形成されている。半導体層105において低濃度不純物領域108を形成することで、ドレイン領域近傍の電界を緩和することができ、その結果ホットキャリアの発生を抑制することができる。ホットキャリアの発生は、閾値電圧を不安定に変化させる要因になり、動作特性を著しく低下させる恐れがある。特に、素子を微細化する、例えばチャネル長(チャネル形成領域において、キャリアが流れる方向(ソース領域とドレイン領域を結ぶ方向)に平行な方向の長さ)を短くすると、ドレイン領域近傍が高電界化する問題が顕著となるため、LDD領域として機能する低濃度不純物領域を形成することは、非常に効果的である。
低濃度不純物領域108は、半導体層105において該半導体層105及び導電層116が重なる領域に形成されている。高濃度不純物領域110は、半導体層105において該半導体層105並びにゲート電極119を形成する導電層116及び導電層118が重ならない領域に形成されている。
なお、図1では半導体層105にLDD領域として機能する低濃度不純物領域を形成する例を示すが、本発明は特に限定されず、LDD領域は形成しなくともよい。LDD領域を形成しない場合は、半導体層はソース領域又はドレイン領域として機能する一対の不純物領域の間に接してチャネル形成領域を有する構成となればよい。このとき、図1に示すようにゲート電極を積層構造とし、且つ下層の導電層の幅を大きくする場合は、上層の幅が小さい導電層と略重なるようにチャネル形成領域を形成し、上層の導電層と略重ならない領域にソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域を形成すればよい。ゲート電極を単層構造、又は各層の幅が略一致する導電層の積層構造とする場合は、ゲート電極と略重なるようにチャネル形成領域を形成し、ゲート電極と略重ならない領域にソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域を形成すればよい。
また、LDD領域を、ゲート電極を形成する導電層と重ならない領域の半導体層に形成してもよいし、ゲート電極を形成する導電層と一部が重なり一部が重ならない領域の半導体層に形成してもよい。また、ゲート電極の側面に接してサイドウォール絶縁層を形成し、当該サイドウォール絶縁層と重なる領域の半導体層にLDD領域を形成してもよい。なお、図1ではLDD領域として機能する低濃度不純物領域108を、チャネル形成領域と略同じ膜厚の領域に形成する例を示すが、チャネル形成領域よりも膜厚が大きい領域に形成してもよいし、チャネル形成領域よりも膜厚が大きい領域及び略同じ領域の両方に掛かるように形成してもよい。
島状に設けられた半導体層105の側面と接して絶縁層112(以下、側面絶縁層112ともいう)が形成されている。また、半導体層105の一表面上及び側面絶縁層112に接して絶縁層114が形成されている。絶縁層114は、薄膜トランジスタ100のゲート絶縁層として機能する。
ゲート絶縁層として機能する絶縁層114の膜厚は1nm乃至50nm、好ましくは1nm乃至20nm、より好ましくは1nm乃至10nmとする。ゲート絶縁層を薄膜化すると、トランジスタを低電圧で高速に動作させることが可能になるため好ましい。
絶縁層114は、半導体層105及び半導体層105の側面と接する側面絶縁層112を覆うように形成されている。よって、半導体層105の端部は側面絶縁層112及び絶縁層114で被覆性良く覆うことができる。したがって、半導体層端部におけるゲート絶縁層の被覆不良に起因する不良、特にゲート電極と半導体層端部が重畳する領域(ゲート電極が半導体層端部を乗り越える領域)における絶縁層の被覆不良に起因する不良を防止することができる。例えば、半導体層とゲート電極層の短絡、リーク電流の発生、静電破壊等を防止することができる。その結果、完成する半導体装置の信頼性を向上させることが可能となる。
ここでは、側面絶縁層112は、半導体層105の側面と接しない面を湾曲状に形成している。
また、ここでは、側面絶縁層112を、島状に形成された半導体層105の周囲を囲うように半導体層105の側面と接して形成している。なお、半導体層を島状に形成した場合は、特にゲート電極と半導体層端部が重畳する領域(ゲート電極が半導体層端部を乗り越える領域)で不良が生じやすい。この要因としては、半導体層端部及びゲート電極が、両者が重畳する領域において、半導体層端部のゲート絶縁層が局所的に薄くなりやすいこと、半導体層やゲート電極(導電層)の加工工程の影響を受けやすいこと等が挙げられる。例えば、図12(B)の破線9007に示すように、半導体層9006の端部においてゲート絶縁層9004が局所的に薄くなる場合がある。また、図12(C)の破線9009に示すように、半導体層9006を島状に形成する際のエッチング工程やフッ酸(HF)等を用いた洗浄工程の影響で、半導体層9006の下層に設けられた絶縁層9002が除去されてしまい、ゲート絶縁層9004の被覆性が悪くなる場合がある。この場合、破線9020の領域では、さらにゲート電極を形成する際のエッチングの影響も受けやすい。このような加工工程の影響は、素子の微細化に伴いゲート絶縁層の薄膜化が進むにつれ顕著になりやすい。したがって、少なくともゲート電極を形成する導電層と半導体層端部が重畳する領域(ゲート電極が半導体層端部を乗り越える領域)において、半導体層の側面と接して絶縁層が形成されていることが好ましい。本発明は、半導体層の側面と接する側面絶縁層を形成することを特徴の1つとしている。
なお、半導体層105の一表面上に形成された絶縁層114の膜厚と比較して、半導体層105の側面と接して形成された側面絶縁層112及び絶縁層114を合わせた膜厚が厚いことが好ましい。また、半導体層105の一表面上に形成された絶縁層114と比較して、半導体層105の側面と接する側面絶縁層112の誘電率が小さいことが好ましい。半導体層と接して形成する絶縁層の膜厚、誘電率等を制御することで、半導体層105端部に掛かる電界を効果的に緩和することができ、リーク電流の発生等を防止することができる。よって、歩留まりよく半導体装置を製造することが可能になり、完成する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
また、図1ではソース領域又はドレイン領域として機能する高濃度不純物領域110は、導電層122に直接接して電気的に接続される領域以外で、低濃度不純物領域108と接する側はチャネル形成領域106と略同じ膜厚とする例を示すが、本発明は特に限定されない。例えば、図5(A)に示すように、半導体層155に形成された高濃度不純物領域160において、導電層122に直接接して電気的に接続される領域以外で、側面絶縁層162が形成される側をチャネル形成領域106と略同じ膜厚としてもよい。また、高濃度不純物領域全体を、チャネル形成領域よりも膜厚を大きくした領域に形成してもよい。
次に、図1で示した半導体装置の作製方法の一例に関して、図面を用いて以下に説明する。
基板102上に絶縁層104を介して半導体層101を形成する(図2(A)参照)。
基板102は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、又は表面に絶縁層が形成された金属基板或いはシリコン基板等の半導体基板などを用いることができる。
絶縁層104は、CVD法、スパッタリング法、ALD法等により、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)等を用いて形成する。絶縁層104は、下地絶縁層として機能する。具体的には、基板102から半導体層へアルカリ金属等が拡散し、半導体層が汚染することを防ぐブロッキング層として機能する。また、基板102の表面に凹凸がある場合、平坦化する層としても機能することができる。なお、絶縁層104は、基板102からの不純物拡散や基板102表面の凹凸が問題とならなければ、形成しなくともよい。また、ここでは下地絶縁層を単層構造としているが、積層構造としてもよい。例えば、下地絶縁層を2層の積層構造とする場合、1層目に窒化酸化シリコン層、2層目に酸化窒化シリコン層を形成することができる。また、1層目に窒化シリコン層を形成し、2層目に酸化シリコン層を形成してもよい。
半導体層101は、単結晶半導体又は結晶性半導体で形成されたものを用いることが好ましい。また、半導体層101は膜厚30nm乃至200nm(但し30nmは除く)の範囲、好ましくは50nm乃至100nmの範囲で形成する。
例えば、半導体層101は、CVD法やスパッタリング法によって基板102全面に半導体層(例えば非晶質半導体層)を形成し、当該半導体層を結晶化することが好ましい。半導体層101を形成する半導体材料としてはシリコンを主成分とする材料を用いるのが好ましく、具体的には、シリコン、シリコンゲルマニウム等を用いて形成することができる。また、ゲルマニウムを用いて形成してもよい。半導体層の結晶化法としては、レーザ結晶化法、瞬間熱アニール(RTA)又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる結晶化法又はこれらの方法を組み合わせた方法等により行うことができる。
レーザ結晶化を適用する場合は、連続発振型のレーザ(以下、CWレーザともいう)やパルス発振型のレーザ(以下、パルスレーザともいう)から得られるレーザビームを用いることができる。ここで用いることができるレーザの例としては、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザ、銅蒸気レーザ若しくは金蒸気レーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4、YAlO3、GdVO4)、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、アレキサンドライトレーザ、ルビーレーザ若しくはTi:サファイアレーザなどの固体レーザ等が挙げられる。固体レーザの場合は、発振されるレーザビームの基本波から第4高調波までを適宜選択して照射することができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。Nd:YVO4レーザをCWレーザとして用いる場合は、レーザのパワー密度は0.01MW/cm2〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1MW/cm2〜10MW/cm2)必要である。そして、走査速度を10cm/sec〜2000cm/sec程度として照射する。なお、ここでは第2高調波(532nm)を用いることが好ましい。これは、第2高調波はエネルギー効率の点で、さらに高次の高調波より優れているためである。
CWレーザを用いてレーザ結晶化を行う場合は、連続的に半導体層にエネルギーを与えることができるため、一旦半導体層を溶融状態にすると、溶融状態を継続させることができる。さらに、CWレーザを走査することによって半導体層の固液界面を移動させ、この移動の方向に沿って一方向に長い結晶粒を形成することができるため好ましい。このとき、固体レーザを用いると、気体レーザ等と比較して、出力の安定性が高く、安定した処理が見込まれるため好ましい。なお、CWレーザに限らず、繰り返し周波数が10MHz以上のパルスレーザを用いると、同様の効果を期待できる。繰り返し周波数が高いパルスレーザを用いると、半導体層が溶融してから固化するまでの時間よりもレーザのパルス発振の間隔が短ければ、常に半導体層を溶融状態にとどめることができ、固液界面の移動により一方向に長い結晶粒で構成される半導体層を形成することができる。また、レーザビームをTEM00(シングル横モード)で発振して射出すると、被照射面において得られる線状のビームスポットのエネルギー均一性を上げることができるので好ましい。
本実施の形態では、非晶質シリコン層を形成した後に該非晶質シリコン層をレーザ結晶化法を用いて結晶化して、半導体層101として膜厚100nmの結晶性シリコン層を形成する。
なお、ここでは種々の結晶化法を用いて半導体層101を形成する例を示したが、このような薄膜プロセスに換えて、絶縁表面に単結晶半導体層を設けたSOI基板を用いてもよい。この場合、絶縁表面に設けられた単結晶半導体層が半導体層101となる。
次に、半導体層101を選択的にエッチングして、島状の半導体層103を形成する(図2(B)、図4(A)、図6(A)参照)。
半導体層103は、半導体層101を選択的にレジストマスクで覆い、当該レジストマスクに覆われていない半導体層101をエッチングすることによって、島状に形成される。島状の半導体層103を形成した後、レジストマスクは除去する。
半導体層101をエッチングして、島状の半導体層103を形成する方法は、ドライエッチングやウェットエッチングを用いることができる。ドライエッチングを行う場合、エッチングガスは下地絶縁層とのエッチング選択比が十分取れるものを用いる。つまり、ここでは絶縁層104に対するエッチングレートが低く、半導体層101に対するエッチングレートが高いものを用いればよい。エッチングガスとしては、例えばCl2、BCl3、若しくはSiCl4等の塩素系ガス、CF4、NF3、若しくはSF6等のフッ素系ガス、又はHBrガスを用いることができる。さらにHe、Ar、Xeなどの不活性ガスを適宜加えてもよい。また、フッ素系ガスに適宜O2ガスを加えてもよい。
なお、半導体層103は、端部が垂直に近いテーパ形状となるように形成してもよいし、緩やかなテーパ形状となるように形成してもよい。例えば、テーパ角が45°以上95°未満、好ましくは60°以上95°未満となるような形状としてもよいし、テーパ角が45°未満の緩やかな形状としてもよい。半導体層103の端部の形状は、エッチング条件等を変化させることにより、適宜選択することができる。
次に、半導体層103が埋め込まれるように絶縁層を形成し、当該絶縁層を垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、半導体層103の端部の側面と接する側面絶縁層112を形成する(図2(C)、図4(B)、図6(A)参照)。
側面絶縁層112は、CVD法やスパッタリング法により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、SiOF、SiOC、DLC、ポーラスシリカ等の材料を用いて絶縁層を形成した後、当該絶縁層を選択的にエッチングして形成する。このとき、半導体層が埋め込まれるように形成する絶縁層は、少なくとも島状の半導体層103を十分に被覆できる膜厚で形成する。具体的には、半導体層103の1.5倍乃至3倍の膜厚で形成するのが好ましい。
また、側面絶縁層112を形成するためのエッチングは、垂直方向を主体とした異方性エッチングを行うことが好ましい。例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチングを利用することができる。なお、反応性イオンエッチングは、プラズマ発生法により、平行平板方式、マグネトロン方式、2周波方式、ECR方式、ヘリコン方式、ICP方式などに分類される。このとき用いるエッチングガスは、側面絶縁層112を形成する絶縁層と半導体層103とのエッチング選択比が十分取れるものを用いる。エッチングガスとしては、例えば、CHF3、CF4、C4F8、C2F6等のフッ素系のガスを用いることができる。さらに、フッ素系ガスにヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)などの不活性ガス、又はO2ガス、H2ガスを適宜加えてもよい。
側面絶縁層112の形状は、薄膜を形成する材料、エッチング条件等を適宜選択することにより変更することができる。本実施の形態では、側面絶縁層112は、半導体層103の側面と接しない面を湾曲状に形成している。具体的には、任意の曲率を有し、接する半導体層103の側面に対して凸形状に湾曲するように形成している。側面絶縁層112の形状は特に限定されないが、丸みを帯びた形状とするのが好ましい。また、下方(絶縁層104と接する方)の膜厚が大きくなるような形状とするのが好ましい。側面絶縁層112の半導体層103と接しない面を緩やかな形状とすると、上層に積層される層(ここでは絶縁層114)の被覆性を良好にすることができる。なお、エッチング条件は、エッチングガスの種類、各ガスの流量比の他、基板を載置した電極に印加される電力量、基板が載置した電極の電極温度、チャンバー内圧力等を示す。
次に、半導体層103を選択的にエッチングして、異なる膜厚の領域を有する半導体層105を形成する(図2(D)、図4(C)、図6(C)参照)。
半導体層105は、半導体層103を選択的にエッチングする。具体的には、半導体層103を選択的にレジストマスク132で覆い、当該レジストマスク132に覆われていない領域を、所望の膜厚の半導体層が残存するようにエッチングして、異なる膜厚の領域を有する半導体層105を形成する。レジストマスク132に覆われた領域は、レジストマスク132で覆われなかった領域と比較して膜厚が大きい領域となる。半導体層103のエッチングは、半導体層103においてレジストマスク132が形成された側から絶縁層104と接する面側へ、垂直方向を主体とした方向で行われるのが好ましい。エッチング条件は、レジストマスク132に覆われていない領域で所望の膜厚の半導体層が残存するように適宜制御すればよい。エッチング後、形成された半導体層105は凹凸を有する。半導体層105において、凸部は後にソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域が形成され、且つソース電極又はドレイン電極として機能する導電層と接する領域となる。所望の形状の半導体層105を形成した後、レジストマスク132は除去する。
半導体層103を選択的にエッチングする方法は、ドライエッチングやウェットエッチングを用いることができる。例えば、ドライエッチングを行う場合、エッチングガスとしては、Cl2、BCl3、若しくはSiCl4等の塩素系ガス、CF4、NF3、若しくはSF6等のフッ素系ガス、又はHBrガスを用いることができる。さらにHe、Ar、Xeなどの不活性ガスを適宜加えてもよい。また、フッ素系ガスに適宜O2ガスを加えてもよい。また、レジストマスク132で覆われていない半導体層103を部分的に変質させて、該変質した領域を選択的にエッチングすることもできる。半導体層の変質とは、例えば半導体層の酸化処理、窒化処理等を示し、エッチングしたい領域を所望の処理をして変質させればよい。
半導体層105の膜厚は、非晶質半導体層の結晶化可能な膜厚範囲とし、具体的には30nm乃至200nm(但し30nmは除く)程度とする。好ましくはチャネル形成領域106を膜厚30nm乃至150nm(但し30nmは除く)程度、より好ましくは50nm乃至70nm程度とし、導電層122を接続させる領域をチャネル形成領域106よりも厚くする。例えば、導電層122を接続させる領域を、膜厚40nm乃至200nm程度、より好ましくは80nm乃至100nm程度とする。本実施の形態では、レジストマスク132で覆われた領域(凸部)を膜厚100nmとし、レジストマスク132で覆われなかった領域(凹部)を膜厚50nmとする。
なお、半導体層103を選択的にエッチングする際、レジストマスク132に覆われていない領域の側面絶縁層112もほぼ同じ高さになるようにエッチングするのが好ましい。これは、半導体層103及び側面絶縁層112のエッチングレートが略同じになるようなエッチング条件、つまりエッチングの選択比を1に近い条件とすればよい。これは、例えば、フッ素系のエッチングガスにO2ガスを適宜加えていくことで可能である。また、フッ素系のガスにO2ガスを加えたエッチングガスに換えてHBrガス、又はHBrとCl2との混合ガスを用いてもよい。このとき、エッチングガスにHeやArなどの不活性ガスを加えてもよい。
次に、半導体層105及び側面絶縁層112上に絶縁層114を形成する(図2(E)参照)。
絶縁層114は、CVD法、スパッタリング法、ALD法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム等の材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。絶縁層114の膜厚は1nm乃至50nm、好ましくは1nm乃至20nm、より好ましくは1nm乃至10nmの範囲で形成する。本実施の形態では、絶縁層114として酸化窒化シリコン層を膜厚10nmで形成する。
また、絶縁層114は、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成することもできる。例えば、半導体層105及び側面絶縁層112を、プラズマ処理により酸化又は窒化して、絶縁層114を形成することができる。半導体層105を、プラズマ処理により酸化又は窒化することで、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れる絶縁層114を形成することができる。
プラズマ処理による固相酸化処理若しくは固相窒化処理として、マイクロ波(代表的には2.45GHz)等の高周波で励起され、電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下、且つ電子温度が0.5eV以上1.5eV以下のプラズマを利用して行うことが好ましい。固相酸化処理若しくは固相窒化処理において、500℃以下の温度において、緻密な絶縁層を形成すると共に実用的な反応速度を得るためである。
プラズマ処理により、半導体層105及び側面絶縁層112の表面を酸化する場合には、酸素を含む雰囲気下(例えば、酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)若しくは二酸化窒素(NO2)、及び希ガス(ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)の少なくとも1つを含む)を含む雰囲気下、又は酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)若しくは二酸化窒素(NO2)と、水素(H2)と、希ガスと、を含む雰囲気下)で行う。また、プラズマ処理により半導体層105及び側面絶縁層112の表面を窒化をする場合には、窒素を含む雰囲気下(例えば、窒素(N2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)を含む雰囲気下、窒素と水素と希ガスを含む雰囲気下、又はNH3と希ガスを含む雰囲気下)でプラズマ処理を行う。希ガスとしては、例えばArを用いることが好ましい。また、ArとKrを混合したガスを用いてもよい。
ここで、プラズマ処理を行うためのプラズマ処理装置1080の構成例を図14に示す。当該プラズマ処理装置1080は、支持台1088と、ガスを供給するためのガス供給部1084、ガスを排気するために真空ポンプに接続する排気口1086、アンテナ1098、誘電体板1082、プラズマ発生用の高周波を入力する高周波供給部1092を有している。被処理体1010は、支持台1088によって保持される。また、支持台1088に温度制御部1090を設けることによって、被処理体1010の温度を制御することも可能である。被処理体1010は、プラズマ処理をする基体であり、本実施の形態では基板102上に絶縁層104、島状の半導体層105及びその側面と接する側面絶縁層112を順に積層形成したものに相当する。
以下、図14に示すプラズマ処理装置1080を用いて半導体層表面に絶縁層を形成する具体例を述べる。なお、プラズマ処理とは、基板、半導体層、絶縁層、導電層に対する酸化処理、窒化処理、酸化窒化処理、水素化処理、表面改質処理を範疇に含んでいる。これらの処理は、その目的に応じて、ガス供給部1084から供給するガスを選択すれば良い。
まず、図14に示すプラズマ処理装置1080の処理室内を真空にする。そして、ガス供給部1084から希ガス、酸素又は窒素を含むガスを供給する。被処理体1010は室温、若しくは温度制御部1090により100℃以上550℃以下の範囲で加熱する。被処理体1010と誘電体板1082との間隔(以下、電極間隔ともいう)は、20mm以上200mm以下(好ましくは20nm以上60mm以下)程度である。
次に、高周波供給部1092からアンテナ1098に高周波を入力する。ここでは、高周波としてマイクロ波(周波数2.45GHz)を入力する。そしてマイクロ波をアンテナ1098から誘電体板1082を通して処理室内に入力することによって、プラズマ1094を生成し、当該プラズマ1094によって酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)又は窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)を生成する。このとき、プラズマ1094は、供給されたガスによって生成される。
マイクロ波等の高周波の入力によりプラズマ1094を生成すると、低電子温度(3eV以下、好ましくは1.5eV以下)で高電子密度(1×1011cm−3以上)のプラズマを生成することができる。具体的には、電子温度が0.5eV以上1.5eV以下、且つ電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm以下のプラズマ生成することが好ましい。なお、本明細書では、マイクロ波の入力により生成された低電子温度で高電子密度のプラズマを高密度プラズマともいう。また、高密度プラズマを利用してプラズマ処理を行うことを高密度プラズマ処理ともいう。
プラズマ1094により生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)又は窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、被処理体1010に形成された半導体層の表面が酸化又は窒化されて絶縁層が形成される。このとき、供給するガスにアルゴンなどの希ガスを混合させると、希ガスの励起種により酸素ラジカルや窒素ラジカルを効率良く生成することができる。なお。供給ガスに希ガスを用いる場合、形成された絶縁層に希ガスが含まれる場合がある。この方法は、プラズマで励起した活性なラジカルを有効に使うことにより、500℃以下の低温で固相反応による酸化、窒化を行うことができる。
図14に示す装置を用いた高密度プラズマ処理により形成される好適な絶縁層114の一例は、酸素を含む雰囲気下のプラズマ処理により半導体層105の一表面上に3nm乃至6nmの厚さで酸化シリコン層を形成し、その後窒素を含む雰囲気下でその酸化シリコン層の表面を窒化プラズマで処理した窒素プラズマ処理層(窒化シリコン層)を形成する。具体的には、まず、酸素を含む雰囲気下でのプラズマ処理により半導体層105の一表面上に3nm乃至6nmの厚さで酸化シリコン層を形成する。その後、続けて窒素を含む雰囲気下でプラズマ処理を行うことにより酸化シリコン層の表面又は表面近傍に窒素濃度の高い窒素プラズマ処理層を設ける。なお、表面近傍とは、酸化シリコン層の表面から概略0.5nm乃至1.5nmの範囲の深さをいう。例えば、窒素を含む雰囲気下でプラズマ処理を行うことによって、酸化シリコン層の表面から垂直方向に概略1nmの深さに窒素を20原子%乃至50原子%の割合で含有した構造となる。また、高密度プラズマ処理により絶縁層114の表面も酸化又は窒化することができる。
例えば、半導体層105としてシリコン層を形成し、該シリコン層の表面をプラズマ処理で酸化することで、界面に歪みのない緻密な酸化層を形成することができる。また、当該酸化層をプラズマ処理で窒化することで、表層部の酸素を窒素に置換して窒化層を形成すると、さらに緻密化することができる。それにより絶縁耐圧が高い絶縁層を形成することができる。
いずれにしても、上記のようなプラズマ処理による固相酸化処理若しくは固相窒化処理を用いることで、耐熱温度が700℃以下のガラス基板を用いても、950℃乃至1050℃の範囲で形成される熱酸化膜と同等な絶縁層を得ることができる。すなわち、半導体素子、特に薄膜トランジスタや不揮発性記憶素子のゲート絶縁膜として機能する絶縁層として信頼性の高い絶縁層を形成することができる。
また、絶縁層114を、高誘電率材料を用いて形成してもよい。絶縁層114に高誘電率材料を用いることにより、リーク電流を低減することができる。高誘電率材料としては、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどを用いることができる。また、高誘電率材料を用いて絶縁層を形成した後、プラズマ処理による固相酸化により酸化シリコン層を積層形成しても良い。
以上で形成される絶縁層114は、ゲート絶縁層として機能する。また、本発明は、半導体層の側面と接して側面絶縁層112を形成することで、半導体層の端部においてゲート絶縁層の被覆性を良好にすることができる。また、半導体層を島状に加工する際のエッチングや様々な工程に付随するフッ酸(HF)等を用いた洗浄工程の影響により、半導体層の端部下及びその付近の絶縁層(下地絶縁層)が除去される場合でも、半導体層を十分に被覆することができる。よって、半導体層の端部におけるゲート絶縁層の被覆不良に起因した半導体層とゲート電極の短絡、リーク電流の発生、静電破壊等を防止することができる。
次に、絶縁層114を介して半導体層105上にゲート電極119として機能する導電層116、導電層118を形成する(図3(A)、図4(D)、図6(D)参照)。ゲート電極119は、半導体層105において選択的にエッチングされた領域上に形成する。なお、半導体層105の選択的にエッチングされた領域には、後にチャネル形成領域106を形成する。ゲート電極119は、チャネル形成領域106上に、半導体層105を横断するように形成される。
ゲート電極119を形成する導電層は、CVD法やスパッタリング法により、導電材料を用いて基板全面に導電層を形成した後、当該導電層を選択的にエッチングして所望の形状に加工する。導電材料としては、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はニオブ(Nb)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。また、リン等の一導電型を付与する不純物元素が添加された多結晶シリコンに代表される半導体材料を用いることもできる。ゲート電極119は、これらの導電材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。ゲート電極119を形成する導電層は、膜厚50nm乃至1000nm、好ましくは100nm乃至800nm、より好ましくは200nm乃至500nmの範囲で形成する。
本実施の形態では、ゲート電極119を形成する導電層116、118として、窒化タンタル層、タングステン層の積層構造を形成する。また、上層の導電層118(タングステン層)と比較して下層の導電層116(窒化タンタル層)の幅が大きくなるように形成する。なお、各層の導電層の幅は概略一致するようにしてもよいし、導電層の側面をテーパ形状にしてもよい。また、ゲート電極の側面に接してサイドウォール絶縁層を形成してもよい。
ゲート電極119は、半導体層105の選択的にエッチングされた領域に形成する。そのため、選択的にエッチングする領域は広い方がゲート電極を形成しやすい。
次に、半導体層105に対して一導電型を付与する不純物元素を第1の濃度で選択的に添加し、一対の低濃度不純物領域107と、チャネル形成領域106を形成する(図3(B)、図7(A)参照)。ここでは導電層118をマスクとして不純物元素を添加し、自己整合的に一対の低濃度不純物領域107と、当該一対の低濃度不純物領域107の間に位置するチャネル形成領域106を形成する。ここで形成される低濃度不純物領域107の一部は、後にLDD領域を形成する。一導電型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)等のp型を付与する元素、リン(P)、ヒ素(As)等のn型を付与する元素を用いることができる。本実施の形態では、不純物元素としてn型を付与する元素であるリンをピーク濃度で約1×1018cm−3程度となるように添加する。
次に、半導体層105に対して一導電型を付与する不純物元素を第2の濃度で選択的に添加し、一対の高濃度不純物領域110と、一対の低濃度不純物領域108を形成する(図3(C)、図7(B)参照)。ここでは、導電層116及び導電層118をマスクとして不純物元素を添加し、自己整合的に一対の高濃度不純物領域110と、一対の低濃度不純物108を形成する。ここで形成される高濃度不純物領域110はソース領域又はドレイン領域として機能し、低濃度不純物領域108はLDD領域として機能する。一導電型を付与する不純物元素は、前述の低濃度不純物領域107を形成する際に添加する元素と同じ導電型の不純物元素を用いることができる。なお、第1の濃度と比較して、第2の濃度を高くして不純物元素を添加する。よって、高濃度不純物領域110には、低濃度不純物領域108と比較して高い濃度の不純物元素が添加される。本実施の形態では、不純物元素としてn型を付与する元素であるリンをピーク濃度で約1×1021cm−3程度となるように添加する。
以上で、半導体層105にチャネル形成領域106、一対の低濃度不純物領域108、一対の高濃度不純物領域110が形成される。一対の高濃度不純物領域110の間にチャネル形成領域106が位置し、高濃度不純物領域110とチャネル形成領域106の間に、それぞれ接して低濃度不純物領域108が形成されている。チャネル形成領域106は、半導体層105において導電層118と重なる領域に形成される。低濃度不純物108は、半導体層105において導電層116と重なる領域で、且つ導電層118と重ならない領域に形成される。高濃度不純物領域110は、半導体層105において導電層116及び導電層118と重ならない領域に形成される(図3(C)、図7(B)参照)。
また、チャネル形成領域106に、トランジスタの閾値電圧を制御するための一導電型を付与する不純物元素を添加してもよい。チャネル形成領域106に所定の濃度の不純物元素を添加することで、強制的にトランジスタの閾値電圧をシフトさせ、所望の閾値電圧とすることが可能である。一導電型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)等のp型を付与する元素、リン(P)、ヒ素(As)等のn型を付与する元素を用いることができる。本実施の形態の場合は、p型を付与する元素を用いることができ、例えばボロンを約1×1016cm−3以上1×1018cm−3以下の濃度で添加することができる。なお、チャネル形成領域106に対する不純物元素の添加は、ゲート電極119を形成する前に行えばよい。
また、半導体層105に一導電型を付与する不純物元素を添加した後、熱処理を行って添加した不純物元素を活性化することが好ましい。熱処理は、レーザビームの照射、又はRTA若しくはファーネスアニール炉を用いて行うことができる。具体的には、400℃乃至700℃、好ましくは500℃乃至650℃の温度範囲で行うとよい。また、熱処理は窒素雰囲気下で行うことが好ましい。例えば、550℃4時間の加熱を行うことにより、活性化を行うことができる。
また、側面絶縁層112を形成する際、エッチング条件やそれぞれの薄膜を形成する材料、膜厚等により、半導体層の一部が非晶質化する場合がある。この場合、熱処理を行うことにより、活性化とともに半導体層の再結晶化を行うことも可能である。
次に、基板102上に設けられた絶縁層や導電層等を覆うように絶縁層120を形成する。次に、絶縁層120を介して半導体層105に形成された高濃度不純物領域110と電気的に接続される導電層122を形成する(図3(D)、図4(E)、図6(C)参照)。導電層122は、ソース電極又はドレイン電極として機能する。また、導電層122は、半導体層105においてチャネル形成領域106と比較して膜厚が大きい領域と接して電気的に接続されるように形成する。
絶縁層120は、CVD法、スパッタリング法、ALD法、塗布法、又はそれらの組み合わせ法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機絶縁材料や、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む絶縁材料、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機絶縁材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料を用いて形成する。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、絶縁層120は、CVD法やスパッタリング法、ALD法等を用いて絶縁層を形成した後、当該絶縁層に酸素雰囲気下又は窒素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行ってもよい。なお、ここでは、ゲート電極119等の上層に単層構造の絶縁層120を形成しているが、2層以上の積層構造としてもよい。絶縁層を積層構造にする場合、下層の絶縁層(ゲート電極等と接する側)は無機絶縁材料を用いて形成するのが好ましい。
絶縁層120に、チャネル形成領域106と比較して膜厚が大きい領域に形成された高濃度不純物領域110に達する開口を形成する。開口は、適宜ドライエッチングやウェットエッチングを利用して形成する。そして、開口を介して高濃度不純物領域と電気的に接続されるように、ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層122を形成する。
ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層122は、CVD法やスパッタリング法により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)又はネオジウム(Nd)から選ばれる金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。アルミニウムを含む合金材料としては、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素とシリコンの一方又は両方とを含む合金材料があげられる。導電層122は、例えば、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層とバリア層の積層構造、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層と窒化チタン(TiN)層とバリア層の積層構造を採用することができる。なお、バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電層122を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができるため好ましい。
本実施の形態では、導電層122として、チタン層、窒化チタン層、アルミニウム層、のチタン層の積層構造を形成する。
本発明において、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層は、島状の半導体層においてチャネル形成領域よりも膜厚が大きい領域に接して形成される。このような構成とすることで、チャネル形成領域を50nm程度の薄膜とする場合でも、導電層及び半導体層を接続させるための開口を形成する際に、該開口近傍の半導体層が除去されてしまうことを防止することができる。
以上により、本発明を適用した薄膜トランジスタ100を形成することができる。なお、本実施の形態で示したトランジスタの構造は一例であり、図示した構造に限定されるものではない。
例えば、上述した図5(A)で示す構造とすることができる。図5(A)に示す薄膜トランジスタ150は、半導体層155に形成された高濃度不純物領域160において、導電層122に直接接して電気的に接続される領域及びその近傍が、チャネル形成領域106よりも厚くなっている。ここで、半導体層155において側面絶縁層162が形成される側はチャネル形成領域106とほぼ同じ膜厚としている。以下に、半導体層155の作製方法の一例を説明する。
基板102上に絶縁層104を介して形成された島状の半導体層103の側面と接して側面絶縁層162を形成する(図5(B)参照)。
側面絶縁層162は、半導体層103と比較して、底面(絶縁層104と接する面)からの垂直方向の高さが低くなるように、エッチング条件を制御する。好ましくは、後に半導体層103を選択的にエッチングした際に、エッチングされた領域の半導体層の底面からの垂直方向の高さと同程度になるようにする。例えば、半導体層103を選択的にエッチングして、当該エッチングした領域を膜厚50nmとする場合、側面絶縁層162の高さもおよそ50nmとする。側面絶縁層162の材料や形成方法等は、上述の側面絶縁層112と同様にすればよい。
次に、半導体層103を選択的にエッチングして異なる膜厚の領域を有する半導体層155を形成する(図5(C)参照)。
半導体層155は、半導体層103を選択的にエッチングする。ここで、図5に示す半導体層155と、上述の図1に示す半導体層105との違いは、OP断面図における側面絶縁層と接する領域の半導体層の膜厚である。図1では、OP断面図における半導体層105の端部はエッチングされていないのに対し、図5(A)では、OP断面図における半導体層の端部もエッチングされて側面絶縁層の高さがチャネル形成領域106と略一致する。
半導体層155は、半導体層103を選択的にレジストマスク164で覆い、当該レジストマスク164に覆われていない半導体層103を選択的にエッチングする。レジストマスク164に覆われていない領域は、所望の膜厚の半導体層が残存するようにエッチング条件を制御する。レジストマスク164に覆われた領域は、エッチングされた領域と比較して膜厚が大きい領域となる。選択的にエッチングする方法は、上述の半導体層105を形成する方法と同様である。エッチング後、形成された半導体層155は凹凸を有する。凸部は、レジストマスク164に覆われエッチングされなかった領域であり、後に導電層122と接する領域となる。所望の形状の半導体層155を形成した後、レジストマスク164は除去する。なお、半導体層155の膜厚は30nm乃至200nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至100nmの範囲とする。エッチングされた領域の膜厚は30nm乃至150nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至70nm程度とする。
この後、半導体層155及び側面絶縁層162上に絶縁層114を形成する以降の工程は、図1乃至図4等で説明したものと同様である。
なお、図5(A)に示す薄膜トランジスタ150は、上記作製方法に限定されない。図2(C)に示すように島状の半導体層103及びその側面と接する側面絶縁層112を形成した後、半導体層103及び側面絶縁層112のエッチングレートが略同じになるようなエッチング条件で半導体層103及び側面絶縁層112を選択的にエッチングすることで、図5(C)に示す半導体層155を形成することも可能である。例えば、フッ素系のガスに適宜O2ガスを加えたエッチングガスを用いることで、半導体層及び側面絶縁層を選択比1に近い条件でエッチングすることができる。
本発明を適用して作製した半導体装置は、導電層及び半導体層の接続に起因する不良を防止することができる。また、半導体層の端部に起因する不良を低減させることができる。よって、半導体装置を歩留まり良く製造することができる。また、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と、適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の半導体装置の例について、図面を用いて説明する。なお、上記実施の形態1と重複する構成は、簡略化及び一部省略して説明する。
図8に、本実施の形態に係る半導体装置の主要な構成を説明するための上面図及び断面図を示す。図8は、特に薄膜トランジスタの構成を示しており、図8(A)は上面図、図8(B)は図8(A)における破線OP間の断面図、図8(C)は図8(A)における破線QR間の断面図を示している。なお、図8(A)は、一部薄膜等を省略している。
図8に示す半導体装置は、基板202上に絶縁層204を介して設けられた薄膜トランジスタ200を有している。薄膜トランジスタ200は、島状に設けられた島状の半導体層205と、当該半導体層205の側面と接して設けられた側面絶縁層212と、半導体層205の一表面上に設けられた絶縁層214と、当該絶縁層214を介して半導体層205上に設けられた導電層216及び導電層218と、導電層216及び導電層218の側面と接して設けられたサイドウォール絶縁層226と、半導体層205上に絶縁層220を介して設けられたソース電極又はドレイン電極を形成する導電層222と、を有している。導電層222は、絶縁層220を介して半導体層205と電気的に接続されている。
ゲート電極219は、上記実施の形態1のゲート電極119と同様に、導電層216、導電層218の積層構造で形成されている。また、本実施の形態ではゲート電極219の側面と接してサイドウォール絶縁層226を形成している。なお、本実施の形態のゲート電極は特に限定されない。例えば、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造としてもよい。また、ゲート電極として形成される導電層の側面をテーパ形状にしてもよいし、2層以上の導電層の積層構造として各層でテーパ角度が異なるようにしてもよい。また、導電層の積層構造でゲート電極を形成する場合、各層の幅(キャリアがチャネル形成領域を流れる方向(ソース領域とドレイン領域を結ぶ方向)に平行な方向の長さ)が概略一致するように形成してもよいし、上層と比較して下層の導電層の幅が大きくなるように形成してもよい。なお、ゲート電極の構成にかかわらず、該ゲート電極の側面と接するサイドウォール絶縁層は形成するものとする。
島状に設けられた半導体層205は、チャネル形成領域206と、LDD領域として機能する一対の低濃度不純物領域208と、ソース領域又はドレイン領域として機能する一対の高濃度不純物領域211と、高濃度不純物領域211上に接するシリサイド領域224を有する。なお、シリサイド領域224は、高濃度不純物領域の一部に形成されているともいえる。
また、半導体層205は異なる膜厚の領域を有する。具体的には、半導体層205において、導電層222と接続される領域は、チャネル形成領域206と比較して厚くなっている。このようにすることで、導電層222を形成するための開口を形成する際に、該開口近傍の半導体層まで除去されてしまうことを防止することができる。なお、半導体層205においてソース電極又はドレイン電極として機能する導電層222を接続させる領域は、シリサイド領域224及び高濃度不純物領域211の一部である。なお、上述したように、シリサイド領域は高濃度不純物領域の一部ともいえる。よって、高濃度不純物領域が、チャネル形成領域よりも厚い領域を有している。
半導体層205の膜厚は非晶質半導体層の結晶化可能な範囲とし、具体的には30nm乃至200nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至100nmとする。好ましくはチャネル形成領域206を膜厚30nm乃至150nm(但し30nmは除く)程度、より好ましくは50nm乃至70nm程度とし、導電層222を接続させる領域をチャネル形成領域206よりも厚くする。例えば、導電層222を接続させる領域を、膜厚40nm乃至200nm程度、好ましくは80nm乃至100nm程度とする。また、半導体層205の端部は、実施の形態1の半導体層105と同様、テーパ形状とすることができる。
シリサイド領域224は、少なくともその一部が、半導体層205においてチャネル形成領域よりも膜厚が大きい領域に形成される。また、シリサイド領域224は、半導体層205において高濃度不純物領域211上に接する領域で、且つ半導体層205、並びにサイドウォール絶縁層226及びゲート電極219が重ならない領域に形成されている。なお、ゲート絶縁層として機能する絶縁層214は、半導体層205と、サイドウォール絶縁層226及びゲート電極219が重なる領域のみに形成されている。また、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層222はシリサイド領域224に接し、当該シリサイド領域224を間に介して高濃度不純物領域211と電気的に接続されている。半導体層205において、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層222及び高濃度不純物領域211を電気的に接続させる際に、シリサイド領域224を間に介する構造とすることで、コンタクト抵抗(半導体層及び導電層の接触抵抗)を低減することができる。素子を微細化していくにつれコンタクト抵抗増大の問題は顕著になるため、シリサイド領域224を形成してコンタクト抵抗増加を抑えることは非常に効果的である。このようにコンタクト抵抗の低減を図ることで、完成する半導体装置の信号遅延防止や低消費電力化が可能になる。また、シリサイド領域を形成することで、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域の低抵抗化を図ることができる。よって、オン電流の低下を抑えることができ、半導体装置の動作特性の劣化を防止することができる。
チャネル形成領域206は一対の高濃度不純物領域211の間に位置しており、低濃度不純物領域208はチャネル形成領域206と高濃度不純物領域211の間にそれぞれ位置している。つまり、チャネル形成領域206は、一対の高濃度不純物領域211の間及び一対の低濃度不純物領域208の間に位置しており、且つ一対の低濃度不純物領域208に接している。なお、高濃度不純物領域211は、低濃度不純物領域208と比較して、同じ導電型の不純物元素が高い濃度で添加されている。半導体層205に低濃度不純物領域208を設けることで、ホットキャリアの発生を抑制することができる。また、チャネル形成領域206に、トランジスタの閾値電圧を制御するための一導電型を付与する不純物元素が添加されていてもよい。
高濃度不純物領域211は、シリサイド領域224を間に介してソース電極又はドレイン電極として機能する導電層222と電気的に接続されている。このとき、高濃度不純物領域211及びシリサイド領域224の積層構造の一部をチャネル形成領域206よりも厚く形成し、該厚く形成された領域のシリサイド領域224と接続されるように導電層222を形成する。このようにすることで、絶縁層220に導電層222を形成するための開口を形成する際に、形成する開口近傍の半導体層(高濃度不純物領域)まで除去され消失してしまい、歩留まりが低下するのを防止することができる。なお、高濃度不純物領域211及びシリサイド領域224の積層構造全体を、チャネル形成領域206より厚く形成しても構わない。
なお、図10(A)に示すように、高濃度不純物領域260及びその上層にシリサイド領域274が形成された半導体層255において、導電層222に接する領域以外で、側面絶縁層262が形成される側をチャネル形成領域206と略同じ膜厚としてもよい。
チャネル形成領域206は、半導体層205において該半導体層205及びゲート電極219を形成する導電層218が重なる領域に形成されている。つまり、ゲート電極219は半導体層205を横断するように、且つチャネル形成領域206上に設けられている。
低濃度不純物領域208は、半導体層205において該半導体層205及び導電層216が重なる領域に形成されている。高濃度不純物領域210は、少なくともその一部が、半導体層205においてチャネル形成領域206よりも厚い領域に形成される。また、高濃度不純物領域210は、半導体層205において該半導体層205、並びに導電層216及び導電層218が重ならない領域に形成されている。
なお、半導体層205にLDD領域を形成しなくともよい。LDD領域を形成しない場合は、半導体層はソース領域又はドレイン領域として機能する一対の不純物領域の間に接してチャネル形成領域を有する構成となればよい。このとき、図8に示すようにゲート電極を積層構造とし、且つ下層の導電層の幅を大きくする場合は、上層の幅が小さい導電層と略重なるようにチャネル形成領域を形成し、上層の導電層と略重ならない領域にソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域を形成すればよい。ゲート電極を単層構造、又は各層の幅が略一致する導電層の積層構造とする場合は、ゲート電極と略重なるようにチャネル形成領域を形成し、ゲート電極と略重ならない領域にソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域を形成すればよい。また、LDD領域は、ゲート電極と重ならない領域に形成してもよいし、ゲート電極を形成する導電層と一部が重なり一部が重ならない領域の半導体層に形成してもよい。
島状に設けられた半導体層205の側面と接して側面絶縁層212が形成されている。図8(A)、(C)に示されるように、半導体層205においてゲート電極219が横断する領域(ゲート電極219が半導体層205端部を乗り越える領域)では、半導体層205及びその側面と接して形成された側面絶縁層212上にゲート絶縁層として機能する絶縁層214が形成されている。よって、半導体層205の端部、特に半導体層205端部とゲート電極219が重畳する領域(ゲート電極219が半導体層205端部を乗り越える領域)におけるゲート絶縁層の被覆不良に起因した不良、例えば半導体層とゲート電極の短絡、リーク電流の発生、静電破壊等を防止することができる。その結果、完成する半導体装置の信頼性を向上させることが可能となる。
ここでは側面絶縁層212は、半導体層205の側面と接しない面を湾曲状に形成している。
また、側面絶縁層212は、図8(A)に示されるように半導体層205の周囲を囲うように形成してもよいし、ゲート電極を形成する導電層と半導体層端部とが重畳する領域のみに形成してもよい。
次に、図8で示した半導体装置の作製方法の一例に関して、図面を用いて以下に説明する。
基板202上に絶縁層204を介して、島状の半導体層を形成した後、該半導体層の側面と接して側面絶縁層212を形成する。次に、島状の半導体層を選択的にエッチングして、異なる膜厚の領域を有する半導体層205を形成する。次に、半導体層205及び側面絶縁層212上に絶縁層214を形成した後、絶縁層214を介して半導体層205上にゲート電極219として機能する導電層216、218を形成する。次に、導電層218をマスクとした第1の濃度の一導電型を付与する不純物元素を添加した後、導電層216及び導電層218をマスクとした第2の濃度の不純物元素の添加を行って、自己整合的に一対の高濃度不純物領域210と、一対の低濃度不純物領域208と、チャネル形成領域206を形成する。ここで、第1の濃度の不純物元素及び第2の濃度の不純物元素は、同じ導電型の不純物元素を添加し、例えばp型を付与する不純物元素であるボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、n型を付与する不純物元素であるリン(P)、ヒ素(As)等を添加することができる。また、第1の濃度と比較して、第2の濃度を高くする(図9(A)参照)。ゲート電極219を形成した後、半導体層にチャネル形成領域206、低濃度不純物領域208、高濃度不純物領域210を形成するまでは、上記実施の形態1で示した基板102、絶縁層104、半導体層105、側面絶縁層112、絶縁層114、導電層116、及び導電層118等の説明に準じるため、省略する。
なお、図9(A)において、チャネル形成領域206にトランジスタの閾値電圧を制御するための一導電型を付与する不純物元素を添加してもよい。チャネル形成領域206に対する不純物元素の添加は、ゲート電極219を形成する前に行えばよい。
また、一導電型を付与する不純物元素を添加した後、熱処理を行って添加した不純物元素を活性化してもよい。熱処理は、レーザビームの照射、又はRTA若しくはファーネスアニール炉を用いて行うことができ、400℃乃至700℃、好ましくは500℃乃至650℃の温度範囲で行えばよい。また、熱処理は窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
次に、導電層216及び導電層218の側面と接するサイドウォール絶縁層226を形成する(図9(B)参照)。
サイドウォール絶縁層226は、導電層216及び導電層218が埋め込まれるように絶縁層を形成し、当該絶縁層を垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして形成する。具体的には、CVD法やスパッタリング法により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機材料、有機樹脂などの有機材料を用いて単層構造又は積層構造の絶縁層を形成し、当該絶縁層を選択的にエッチングして形成することができる。サイドウォール絶縁層226は、後にシリサイド領域を形成する際のシリサイド用マスクとして用いる。また、ここでは、サイドウォール絶縁層226は、導電層216、218の側面と接しない面を湾曲状に形成している。なお、サイドウォール絶縁層226は、ゲート電極219を形成する導電層216及び導電層218の側面を完全に覆うように形成する。
また、サイドウォール絶縁層226を形成する際のエッチングにより下層の絶縁層214もエッチングして、半導体層205の一部を選択的に露出させる。具体的にはサイドウォール絶縁層226と重ならない領域の高濃度不純物領域210を露出させる。なお、エッチング条件によっては高濃度不純物領域210上層もエッチングされて膜厚が減少する(膜減りといわれる)ことがある。
次に、露出させた半導体層205上に金属層223を形成する(図9(C)参照)。
金属層223は、少なくとも露出させた半導体層205上に形成する。つまり、半導体層205においてサイドウォール絶縁層226と重ならない領域に形成する。ここでは、金属層223を基板全面に形成する。金属層223は、半導体層と反応してシリサイドを形成する材料を用いて形成する。例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、又は白金(Pt)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料を用いることができる。金属層223は、これらの材料を用いてスパッタリング法、蒸着法、めっき法等により形成する。金属層223の膜厚は、形成したいシリサイド領域の膜厚により適宜選択する必要がある。本実施の形態では、金属層223として、膜厚10nmのニッケル層を形成する。なお、金属層223を形成する際に、露出させた半導体層205上に自然酸化膜が形成されている場合は、自然酸化膜を除去してから金属層223を形成する。
次に、半導体層205の一部にシリサイド領域224を形成する(図9(C)参照)。
シリサイド領域224は、熱処理を行うことにより、半導体層205及び金属層223が接する領域が反応して形成される。また、シリサイド領域224は、金属層223が接する領域の半導体層205の一部がシリサイド化して形成される。このとき、半導体層205に形成された高濃度不純物領域210は、その一部がシリサイド化されて領域が減少されて高濃度不純物領域211となる。なお、高濃度不純物領域の一部にシリサイド領域が形成されるともいえる。例えば、金属層223としてニッケルを形成した場合はシリサイド領域224としてニッケルシリサイドが形成される。同様に、金属層223としてチタン、コバルト、又は白金を形成した場合は、それぞれシリサイド領域224としてチタンシリサイド、コバルトシリサイド、白金シリサイドが形成される。
熱処理は、RTA又はファーネスアニール炉を用いて行うことができる。具体的には、300℃乃至700℃の温度範囲で、10秒乃至1時間、好ましくは20秒乃至30分の範囲で行うとよい。本実施の形態では、550℃30秒の熱処理を行って、ニッケルシリサイドでなるシリサイド領域224を形成する。
図9(C)では、シリサイド領域224を、半導体層205においてチャネル形成領域206が形成されている領域の膜厚未満となるように形成する。詳しくは、サイドウォール絶縁層226と重ならない領域の半導体層205において、該領域における半導体層205の絶縁層204と接する側に高濃度不純物211が形成され、当該高濃度不純物211の上層に接してシリサイド領域224が形成される。
なお、シリサイド領域224の形状、膜厚等は、反応させる金属層223の膜厚、熱処理の温度、熱処理の時間等を適宜制御することにより、選択することができる。例えば、図11(A)に示すように、サイドウォール絶縁層226と重ならない領域の半導体層305において、該領域における半導体層305の一部又は全体に、上面から下面までの全体をシリサイド化したシリサイド領域314を形成してもよい。ここで上面とは半導体層305においてシリサイド化のための金属層が形成される面側であり、下面とは絶縁層204と接する面側である。また、図11(A)では、シリサイド領域314下に高濃度不純物領域310がある例を示すが、サイドウォール絶縁層226と重ならない領域の半導体層305全体をシリサイド領域とすることも可能である。サイドウォール絶縁層226下には高濃度不純物領域があるものとする。なお、本発明は特に限定されず、シリサイド領域の一部が、サイドウォール絶縁層226下の半導体層305(但し、チャネル形成領域306は除く)まで形成されていてもよい。
また、上述した図10(A)に示すように、半導体層255に形成された高濃度不純物領域260及びその上層に形成されたシリサイド領域274において、導電層222に接する領域及びその近傍以外が、チャネル形成領域206が形成されている領域とほぼ同じ膜厚となるようにエッチングされている場合も、図11(B)に示すように、サイドウォール絶縁層226と重ならない領域の半導体層355において、該領域における半導体層355の一部又は全体に、上面から下面までの全体をシリサイド化したシリサイド領域314を形成してもよい。図11(B)では、シリサイド領域364下に高濃度不純物領域360があり、サイドウォール絶縁層226下に高濃度不純物領域309がある例を示す。
また、未反応の金属層が残存する場合は、熱処理によるシリサイド領域224形成後に未反応の金属層を除去する。具体的には、側面絶縁層212、サイドウォール絶縁層226、導電層218及び絶縁層204上に形成された金属層223を除去する。また、形成されたシリサイド領域224上に未反応の金属層が残存する場合は、その残存する金属層も除去する。未反応の金属層除去は、ウェットエッチングやドライエッチングを用いることができる。このとき、エッチングガス又はエッチング溶液としては、未反応の金属層と他の層(例えば、側面絶縁層212、サイドウォール絶縁層226、導電層218、絶縁層204及びシリサイド領域224)とのエッチング選択比が十分にとれるものを用いる。つまり、金属層に対するエッチングレートが高く、他の層に対するエッチングレートが低いものを用いればよい。例えば、金属層223としてニッケルを用いて形成した場合、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)及び純水(H2O)の混合溶液を用いたウェットエッチングにより除去することができる。例えば、溶液の混合比は、HCl:HNO3:H2O=3:2:1とすることができる。
なお、本発明は、半導体層端部の側面と接して側面絶縁層を形成することを特徴の1つとしている。側面絶縁層を形成しておくことで、未反応の金属層をエッチング除去する際に、半導体層の側面がエッチングされてしまうことを防止することもできる。
なお、シリサイド領域を形成する場合には、該シリサイド領域及びゲート電極を形成する導電層が接しないようにする必要がある。これは、シリサイド領域及びゲート電極が接してしまうと、ゲート電極と、ソース領域又はドレイン領域がショートしてスイッチング特性(オンオフ比)が取れなくなり、半導体装置として動作することができなくなるからである。したがって、本実施の形態では、ゲート電極219を形成する導電層216、218の幅をゲート絶縁層として機能する絶縁層214よりも小さくし、サイドウォール絶縁層226の端部を絶縁層214の端部と略一致するようにする。
次に、基板202上に設けられた絶縁層や導電層等を覆うように絶縁層220を形成する。次に、シリサイド領域224を間に介して、半導体層205に形成された高濃度不純物領域211と電気的に接続される導電層222を形成する(図9(D)参照)。導電層222は、ソース電極又はドレイン電極として機能する。絶縁層220、導電層222は、上記実施の形態1で示した絶縁層120、導電層122と同様に形成すればよい。
なお、導電層222は、半導体層205においてチャネル形成領域206と比較して膜厚が大きい領域に形成されたシリサイド領域224と接するように形成される。よって、絶縁層220に導電層222を形成する開口を形成する際に、該開口近傍の半導体層が除去されるのを防止することができる。その結果、製造工程において歩留まりの低下を防止することができる。また、本実施の形態では、半導体層及びソース電極又はドレイン電極として機能する導電層を電気的に接続させる際に、シリサイド領域を間に介する構成としている。よって、コンタクト抵抗の低減を図ることができるため、低消費電力化を可能とする。
以上により、本発明を適用した薄膜トランジスタ200を形成することができる。なお、本実施の形態で示したトランジスタの構造は一例であり、図示した構造に限定されるものではない。
例えば、上述した図10(A)に示す薄膜トランジスタは、高濃度不純物領域260及びシリサイド領域274が形成された領域の半導体層255において、導電層222接する領域及びその近傍以外はチャネル形成領域206と略同じ膜厚にエッチングされている。ここで、半導体層255の作製方法の一例を説明する。
基板202上に絶縁層204を介して形成された島状の半導体層203の側面と接して側面絶縁層262を形成する(図10(B)参照)。
側面絶縁層262は、半導体層203と比較して、底面(絶縁層204と接する面)からの垂直方向の高さが低くなるように、エッチング条件を制御する。好ましくは、後に半導体層203を選択的にエッチングした際に、エッチングされた領域の半導体層の底面からの垂直方向の高さと同程度になるようにする。例えば、半導体層203を選択的にエッチングして、当該エッチングした領域を膜厚50nmとする場合、側面絶縁層262の高さを50nmとする。側面絶縁層262の材料や形成方法等は、上記実施の形態1で示した側面絶縁層112と同様にすればよい。また、半導体層203の形成方法も、上記実施の形態1で示した半導体層103の説明に準じる。
次に、半導体層203を選択的にエッチングして、異なる膜厚の領域を有する半導体層255を形成する(図10(C)参照)。
半導体層255は、半導体層203を選択的にエッチングする。ここで、図10(A)のOP断面図に示す半導体層255と、上述の図8(A)に示すOP断面図の半導体層205との違いは、側面絶縁層と接する領域の半導体層の膜厚である。図8(A)のOP断面図では半導体層205の端部はエッチングされていないのに対し、図10(A)のOP断面図では半導体層の端部もエッチングされて側面絶縁層の高さがチャネル形成領域206と略一致する。なお、少なくとも、半導体層255においてソース電極又はドレイン電極を形成する導電層222と接する領域はエッチングしないものとする。
半導体層255は、半導体層203を選択的にレジストマスク264で覆い、当該レジストマスク264に覆われていない半導体層203を選択的にエッチングする。レジストマスク264に覆われていない領域は、所望の膜厚の半導体層が残存するようにエッチング条件を制御する。レジストマスク264に覆われた領域は、エッチングされた領域と比較して膜厚が大きい領域となる。選択的にエッチングする方法は、上記実施の形態1の半導体層105を形成する方法と同様である。エッチング後、形成された半導体層255は凹凸を有する。凸部はレジストマスク264に覆われてエッチングされなかった領域であり、後に導電層222と接する領域となる。所望の形状の半導体層255を形成した後、レジストマスク264は除去する。なお、半導体層255の膜厚は30nm乃至200nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至100nmの範囲とする。エッチングされた領域の膜厚は、30nm乃至150nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至70nm程度とする。
この後、半導体層255上に絶縁層214を形成する以降の工程は、図9で説明したものと同様である。
なお、図10(A)に示す薄膜トランジスタ250は、上記作製方法に限定されない。島状の半導体層203及びその側面と接し、且つ半導体層側面の高さと略一致する側面絶縁層を形成した後、半導体層203及び側面絶縁層のエッチングレートが略同じになるようなエッチング条件で半導体層203及び側面絶縁層を選択的にエッチングすることで、図10(C)に示す半導体層155を形成することも可能である。
本発明を適用して作製した半導体装置は、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層及び半導体層の接続領域の不良を防止することができる。また、半導体層の端部に起因する不良を低減させることができる。よって、半導体装置を歩留まり良く製造することができる。また、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
また、ソース領域又はドレイン領域として機能する高濃度不純物領域と、ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層と、を電気的に接続する際に、両者の間にシリサイド領域を間に介する構造としている。その結果、コンタクト抵抗を低減することができるため、半導体装置の消費電力を低減させることが可能である。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と、適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の半導体装置の例について、図面を用いて説明する。具体的には、ゲート電極の側面に接してサイドウォール絶縁層を形成し、該サイドウォール絶縁層をLDD領域を形成する際のドーピング用マスクとして利用する例を示す。なお、上記実施の形態1又は2と重複する構成は、簡略化及び一部省略して説明する。
基板402上に絶縁層404を介して島状の半導体層を形成した後、当該半導体層の側面と接して側面絶縁層412を形成する。次に、島状の半導体層を選択的にエッチングして異なる膜厚の領域を有する半導体層405を形成する。次に、半導体層405及び側面絶縁層412上に絶縁層414を形成する。次に、絶縁層414を介して半導体層405上にゲート電極419として機能する導電層416、導電層418を積層形成する。次に、半導体層405に対して第1の濃度の一導電型を付与する不純物元素を選択的に添加して、一対の低濃度不純物領域407と、チャネル形成領域406を形成する(図13(A)参照)。ここでは、導電層418をマスクとして、自己整合的に一対の低濃度不純物領域407と、当該一対の低濃度不純物領域407の間に位置するチャネル形成領域406を形成する。
ゲート電極419を形成して、一対の低濃度不純物領域407を形成するまでは、上記実施の形態1で示した基板102、絶縁層104、半導体層105、側面絶縁層112、絶縁層114、導電層116、導電層118、チャネル形成領域106、及び低濃度不純物領域107等の説明に準じるため、省略する。
次に、導電層416及び導電層418の側面と接するサイドウォール絶縁層426を形成する。そして、半導体層405に対して第2の濃度の不純物元素を選択的に添加して、LDD領域として機能する低濃度不純物領域408と、ソース領域又はドレイン領域として機能する高濃度不純物領域410を形成する(図13(B)参照)。ここでは、サイドウォール絶縁層426及びゲート電極419をマスクとして、自己整合的にLDD領域として機能する低濃度不純物領域408と、ソース領域又はドレイン領域として機能する高濃度不純物領域410を形成する。ここで、第1の濃度の不純物元素及び第2の濃度の不純物元素は、同じ導電型の不純物元素を添加し、例えばp型を付与する不純物元素であるボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、n型を付与する不純物元素であるリン(P)、ヒ素(As)等を添加することができる。また、第1の濃度と比較して、第2の濃度を高くして、不純物元素を添加する。つまり、高濃度不純物領域410には、低濃度不純物領域407と比較して高い濃度の不純物元素が含まれるようにする。
ここでは、サイドウォール絶縁層426及びゲート電極419をマスクとして不純物元素を添加する。よって、LDD領域として機能する低濃度不純物領域408は、半導体層405においてサイドウォール絶縁層426及び導電層416が重なる領域であって、且つ導電層418とは重ならない領域に形成される。また、高濃度不純物領域410は、半導体層405においてサイドウォール絶縁層426及びゲート電極419と重ならない領域に形成される。
LDD領域として機能する低濃度不純物領域408は、ドレイン領域近傍の電界を緩和する効果がある。よって、ホットキャリアの発生を抑制することができる。
なお、チャネル形成領域406にトランジスタの閾値電圧を制御するための一導電型を付与する不純物元素を添加してもよい。チャネル形成領域406に対する不純物元素の添加は、ゲート電極419を形成する前に行えばよい。
また、一導電型を付与する不純物元素を添加した後、熱処理を行って添加した不純物元素を活性化してもよい。熱処理は、レーザビームの照射、又はRTA若しくはファーネスアニール炉を用いて行うことができ、400℃乃至700℃、好ましくは500℃乃至650℃の温度範囲で行えばよい。また、熱処理は窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
なお、サイドウォール絶縁層426を形成する際のエッチングにより、下層の絶縁層414もエッチングされて、半導体層405の一部、具体的にはサイドウォール絶縁層426と重ならない領域が選択的に露出される。このとき、エッチング条件によっては、半導体層405上層もエッチングされて膜厚が減少する場合がある。
次に、露出させた半導体層405上に金属層を形成した後、熱処理によりシリサイド領域424を形成する(図13(C)参照)。
シリサイド領域424は、少なくとも露出させた半導体層405上に金属層を形成した後、熱処理することによって形成することができる。ここで金属層は、半導体層と反応してシリサイドを形成する材料、例えばニッケル(Ni)、チタン(Ti)、(Co)、又は白金(Pt)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料を用いて、スパッタリング法等により形成する。熱処理を行うことによって半導体層405及び金属層が接する領域が反応し、該領域の半導体層405の一部がシリサイド化してシリサイド領域424が形成される。このとき、半導体層405に形成されている高濃度不純物領域410は、その一部がシリサイド化されて領域が減少し、高濃度不純物領域411となる。なお、シリサイド領域は、高濃度不純物領域の一部に形成されるともいえる。熱処理は、RTA又はファーネスアニール炉を用いればよい。また、露出させた半導体層405上に自然酸化膜が形成されている場合は、自然酸化膜を除去してから金属層を形成する。
なお、シリサイド領域424の形状、膜厚等は、反応させる金属層の膜厚、熱処理温度、又は熱処理時間等を適宜制御することによって選択できる。ここでは、シリサイド領域424は、半導体層405においてチャネル形成領域406の膜厚未満となるように形成されている例を示す。もちろん、半導体層405において、サイドウォール絶縁層426及びゲート電極419と重ならない領域全体がシリサイド化されたシリサイド領域を形成してもよい。また、シリサイド領域が、サイドウォール絶縁層426下の半導体層405まで形成されていてもよい。なお、シリサイド領域424形成後、未反応の金属層はウェットエッチングやドライエッチングを用いて除去する。なお、半導体層の側面には側面絶縁層が形成されているため、未反応の金属層をエッチング除去する際に半導体層の側面までエッチングされてしまうのを防止することもできる。
次に、基板402上に形成された絶縁層や導電層等を覆うように絶縁層420を形成する。次に、シリサイド領域424を間に介して、半導体層405に形成された高濃度不純物領域411と電気的に接続される導電層422を形成する(図13(D)参照)。導電層422は、ソース電極又はドレイン電極として機能する。絶縁層420、導電層422は、上記実施の形態1で示した絶縁層120、導電層122と同様に形成すればよい。
なお、導電層422は、半導体層405においてチャネル形成領域406と比較して膜厚が大きい領域に形成されたシリサイド領域424と接するように形成される。よって、絶縁層420に導電層422を形成する開口を形成する際に、該開口近傍の半導体層が除去されるのを防止することができ、且つコンタクト抵抗の低減を防止することができる。その結果、製造工程において歩留まりの低下を防止できる。また、本実施の形態では、半導体層及びソース電極又はドレイン電極として機能する導電層を電気的に接続させる際に、シリサイド領域を間に介する構成としている。よって、コンタクト抵抗の低減を図ることができるため、低消費電力化を可能とする。また、シリサイド領域を形成することで、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域の低抵抗化を図ることができる。よって、オン電流の低下を抑えることができ、半導体装置の動作特性の劣化を防止することができる。
以上により、本発明を適用した薄膜トランジスタ400を形成することができる。なお、本実施の形態で示したトランジスタの構造は一例であり、図示した構造に限定されるものではない。
本発明を適用して作製した半導体装置は、ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層と接続する領域を、チャネル形成領域よりも膜厚が大きい領域としている。このようにすることで、チャネル形成領域を薄膜とする場合も、コンタクト開口の際の半導体層消失等の不良を防止することができる。さらに、ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層及びソース領域又はドレイン領域として機能する高濃度不純物領域を、両者の間にシリサイド領域を介する構成とするため、コンタクト抵抗を低減することができ、半導体装置の低消費電力化が可能になる。また、半導体層の端部に側面絶縁層を形成することで、半導体層の形状に起因する不良を低減させることができ、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。よって、信頼性の高い半導体装置を、歩留まり良く製造することが可能となる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と、適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の半導体装置の例について、図面を用いて説明する。具体的には、トランジスタの閾値電圧を制御するための一導電型を付与する不純物元素を添加する例について説明する。なお、上記実施の形態1乃至3と重複する構成は、簡略化及び一部省略して説明する。
基板602上に第1絶縁層604を形成する(図29(A)参照)。
基板602は、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、又は表面に絶縁層が形成された金属基板或いはシリコン基板等の半導体基板などを用いることができる。
第1絶縁層604は、CVD法、スパッタリング法、ALD法等により、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)、酸化窒化シリコン(SiOxNy)、窒化酸化シリコン(SiNxOy)等を用いて形成する。第1絶縁層604は、下地絶縁層として機能する。具体的には、基板602から半導体層へアルカリ金属等が拡散し、半導体層が汚染することを防ぐブロッキング層として機能する。また、基板602の表面に凹凸がある場合、平坦化する層としても機能することができる。また、下地絶縁層として機能する絶縁層は単層構造でも、2層以上の積層構造でもよい。
次に、第1絶縁層604に対して一導電型を付与する不純物元素606を添加し、第2絶縁層608を形成する(図29(B)参照)。第2絶縁層608は、添加された不純物元素606を含む第1絶縁層604に相当する。
一導電型を付与する不純物元素606としては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)等のp型を付与する元素、リン(P)、ヒ素(As)等のn型を付与する元素を用いることができる。不純物元素606は、イオン注入法や熱拡散法等のドーピング法を用いて添加すればよい。なお、第1絶縁層604に対する不純物元素606添加の際、下方の基板602まで不純物元素606が添加される場合もある。
第2絶縁層608上に半導体層610を形成する(図29(C)参照)。本実施の形態では、半導体層610として非晶質半導体層を形成する。半導体層はシリコンを主成分とする材料を用いて形成するのが好ましく、具体的には、シリコン、シリコンゲルマニウム等を用いて、CVD法やスパッタリング法により形成することができる。また、ゲルマニウムを用いて形成してもよい。
次に、半導体層610を結晶化して、結晶性を有する半導体層614を形成する。半導体層614には、結晶化の際の熱処理により、第2絶縁層608に含まれる不純物元素606が拡散される(図29(D)参照)。半導体層の結晶化法としては、レーザ結晶化法、瞬間熱アニール(RTA)若しくはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる結晶化法、を又はそれらの方法を組み合わせた方法等を適用する。詳しい結晶化法の説明は、上記実施の形態1に準じる。例えば、本実施の形態では、CWレーザを用いて結晶化を行うことができる。このとき、レーザビーム612の照射によって第2絶縁層608に含まれる不純物元素606が半導体層610に拡散して、結晶性を有する半導体層614が形成される。半導体層614には、第2絶縁層608から拡散された不純物元素606が含まれ、該不純物元素により閾値電圧を制御することができる。
半導体層614に含まれる不純物元素の濃度は、所望の閾値電圧により異なる。例えば、p型を付与する不純物元素が含まれる場合、約1×1016cm−3乃至1×1018cm−3程度となるようにすればよい。半導体層614の一部は後にチャネル形成領域を形成するため、半導体層614に所定の濃度の不純物元素を拡散させることで、強制的にトランジスタの閾値電圧をシフトさせ、所望の閾値電圧とすることが可能である。
なお、第2絶縁層608は、結晶化の際の熱処理により含んでいた不純物元素606が半導体層に拡散される。よって、半導体層結晶化後の第2絶縁層608は、含まれる不純物元素の濃度が減少する。
以上で得られた結晶性の半導体層614を所望の形状に加工することによって、実施の形態1乃至3における半導体装置の半導体層として用いることができる。
本実施の形態によれば、下地絶縁層に不純物元素を添加し、該不純物元素を結晶化を利用して半導体層に間接的に添加することができる。よって、半導体層に直接不純物元素をドーピング法等によって添加せずにすむため、ドーピングの際に生じる欠陥等も防止でき、半導体層の結晶性に影響を及ぼすことを防止することができる。また、結晶化のための熱処理によって、不純物元素の活性化も行うことができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と、適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる半導体装置及びその作製方法の例について、図15乃至図22を用いて説明する。具体的には、異なる導電型の薄膜トランジスタを具備する半導体装置の例を示す。
図15は、本実施の形態で示す半導体装置の上面図及び断面図であり、複数のトランジスタを具備する半導体装置の構成を示している。図15(A)は上面図、図15(B)は図15(A)における破線A1B1間の断面図を示し、図15(C)は図15(A)における破線A2B2間の断面図を示している。なお、図15(A)は、一部薄膜等の構成要素を省略している。
図15に示す半導体装置は、基板800上に絶縁層802を介して島状に設けられた半導体層805、半導体層813と、当該半導体層805、813上に絶縁層822を介して設けられたゲート電極を形成する導電層824、導電層826と、当該導電層826上に絶縁層836、絶縁層838を介して設けられたソース電極又はドレイン電極を形成する導電層840と、を有している(図15(A)乃至(C)参照)。
ゲート電極は、導電層824及び導電層826の積層構造で形成されている。導電層824、826は、島状の半導体層805、813をそれぞれ横断するように設けられている。また、導電層824及び導電層826の側面に接してサイドウォール絶縁層828が設けられている。なお、ここではゲート電極を導電層824、826の2層の積層構造で形成する例を示したが、本発明は特に限定されず、ゲート電極は単層構造でもよいし、3層以上の積層構造でもよい。また、ゲート電極を積層構造にする場合、下層の導電層の幅が大きくなるようにしてもよい。さらに、ゲート電極として形成される導電層の側面をテーパ形状にしてもよいし、2層以上の導電層の積層構造として各層でテーパ角度が異なるようにしてもよい。また、後にシリサイド領域を形成しない場合には、サイドウォール絶縁層828を形成しなくともよい。
島状に設けられた半導体層805は、チャネル形成領域806と、LDD領域として機能する一対の低濃度不純物領域808と、ソース領域又はドレイン領域として機能する一対の高濃度不純物領域810と、高濃度不純物領域810に接するシリサイド領域861を有する。なお、シリサイド領域861は、高濃度不純物領域の一部ともいえる。
半導体層805は異なる膜厚の領域を有し、具体的にはチャネル形成領域806と比較して、ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層840と接続される領域の膜厚が大きくなっている。半導体層805に形成されたチャネル形成領域806は、絶縁層822を介して導電層824、826と重なる領域に形成されている。高濃度不純物領域810は、絶縁層822を介して導電層824、導電層826及びサイドウォール絶縁層828と重ならない領域の半導体層805に形成されている。また、半導体層805において、絶縁層822を介して導電層824、導電層826及びサイドウォール絶縁層828と重ならない領域で、且つ高濃度不純物領域810上に接してシリサイド領域861が形成されている。高濃度不純物領域810及びシリサイド領域861の積層部分は、少なくともその一部にチャネル形成領域806よりも厚い領域を有している。なお、上述したように、シリサイド領域861は高濃度不純物領域の一部とも言える。よって、高濃度不純物領域が、チャネル形成領域よりも厚い領域を有している。このようにすることで、導電層840を形成するための開口を形成する際に、該開口近傍の半導体層まで除去され消失することを防止することができる。低濃度不純物領域808は、絶縁層822を介してサイドウォール絶縁層828と重なる領域の半導体層805に形成されている。
シリサイド領域861は、少なくともその一部が、半導体層805においてチャネル形成領域806よりも膜厚が大きい領域に形成される。なお、ここではシリサイド領域861を、半導体層805においてチャネル形成領域の膜厚未満となるように形成する例を示すが、特に限定されない。例えば、サイドウォール絶縁層828と重ならない領域の半導体層805において、該領域における半導体層805の一部又は全体に、上面から下面までの全体をシリサイド化したシリサイド領域を形成してもよい。ここで上面とは半導体層805においてシリサイド化のための金属層が形成される面側であり、下面とは絶縁層802と接する面側である。また、シリサイド領域の一部が、サイドウォール絶縁層828下の半導体層805(但し、チャネル形成領域806は除く)まで形成されていてもよい。
また、ゲート絶縁層として機能する絶縁層822は、半導体層805と、サイドウォール絶縁層828及びゲート電極を形成する導電層824、826が重なる領域のみに形成されている。なお、シリサイド領域861を形成しない場合には、ゲート絶縁層として機能する絶縁層822は、半導体層全体を覆うように形成してもよい。また、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層840はシリサイド領域861に接し、当該シリサイド領域861を間に介して高濃度不純物領域810と電気的に接続されている。
チャネル形成領域806は一対の高濃度不純物領域810の間に位置しており、低濃度不純物領域808はチャネル形成領域806と高濃度不純物領域810の間にそれぞれ位置している。つまり、チャネル形成領域806は、一対の高濃度不純物領域810の間、及び一対の低濃度不純物領域808の間に位置しており、且つ一対の低濃度不純物領域808に接して形成されている。また、高濃度不純物領域810は、低濃度不純物領域808と比較して、高い濃度で一導電型を付与する不純物元素が添加されている。また、半導体層805の側面に接して、側面絶縁層812が設けられている。
同様に、島状に設けられた半導体層813は、チャネル形成領域814と、LDD領域として機能する低濃度不純物領域と816と、ソース領域又はドレイン領域として機能する高濃度不純物領域818と、高濃度不純物領域818上に接するシリサイド領域863を有する。なお、シリサイド領域863は、高濃度不純物領域の一部ともいえる。半導体層813は異なる膜厚の領域を有し、具体的にはチャネル形成領域814と比較して、ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層840と接続される領域の膜厚が大きくなっている。半導体層813に形成されたチャネル形成領域814は、絶縁層822を介して導電層824、826と重なる領域の半導体層813に形成されている。高濃度不純物領域818は、絶縁層822を介して導電層824、導電層826及びサイドウォール絶縁層828と重ならない領域の半導体層813に形成されている。また、半導体層813において、絶縁層822を介して導電層824、導電層826及びサイドウォール絶縁層828と重ならない領域で、且つ高濃度不純物領域818上に接してシリサイド領域863が形成されている。高濃度不純物領域818及びシリサイド領域863の積層部分は、少なくともその一部にチャネル形成領域814よりも厚い領域を有している。なお、上述したように、シリサイド領域863は高濃度不純物領域の一部とも言える。よって、高濃度不純物領域が、チャネル形成領域814よりも厚い領域を有している。このようにすることで、導電層840を形成するための開口を形成する際に、該開口近傍の半導体層まで除去され消失することを防止することができる。低濃度不純物領域816は、絶縁層822を介してサイドウォール絶縁層828と重なる領域の半導体層813に形成されている。
シリサイド領域863は、少なくともその一部が、半導体層813においてチャネル形成領域814よりも膜厚が大きい領域に形成される。なお、ここではシリサイド領域863を、半導体層813においてチャネル形成領域814の膜厚未満となるように形成する例を示すが、特に限定されない。例えば、サイドウォール絶縁層828と重ならない領域の半導体層813において、該領域における半導体層813の一部又は全体に、上面から下面までの全体をシリサイド化したシリサイド領域を形成してもよい。ここで上面とは半導体層813においてシリサイド化のための金属層が形成される面側であり、下面とは絶縁層802と接する面側である。また、シリサイド領域の一部が、サイドウォール絶縁層828下の半導体層813(但し、チャネル形成領域814は除く)まで形成されていてもよい。
また、ゲート絶縁層として機能する絶縁層822は、半導体層813と、サイドウォール絶縁層828及びゲート電極を形成する導電層824、826が重なる領域のみに形成されている。なお、シリサイド領域863を形成しない場合には、ゲート絶縁層として機能する絶縁層822は、半導体層全体を覆うように形成してもよい。また、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層840はシリサイド領域863に接し、当該シリサイド領域863を間に介して高濃度不純物領域810と電気的に接続されている。
チャネル形成領域814は一対の高濃度不純物領域818の間に位置しており、低濃度不純物領域816はチャネル形成領域814と高濃度不純物領域818の間にそれぞれ位置している。つまり、チャネル形成領域814は、一対の高濃度不純物領域818の間、及び一対の低濃度不純物領域816の間に位置しており、且つ一対の低濃度不純物領域816に接して形成されている。また、高濃度不純物領域818は、低濃度不純物領域816と比較して、高い濃度で一導電型を付与する不純物元素が添加されている。また、半導体層813の側面に接して、側面絶縁層820が設けられている。
本実施の形態において、半導体層805及び半導体層813には、相異なる導電型の不純物元素が添加されているものとする。つまり、低濃度不純物領域808及び高濃度不純物領域810は、低濃度不純物領域816及び高濃度不純物領域818と異なる導電型を付与する不純物元素が添加されている。また、シリサイド領域861にも、シリサイド領域863と異なる導電型を付与する不純物元素が添加されている場合もある。
半導体層805及び半導体層813と、ゲート電極を形成する導電層824、826との間には、絶縁層822が設けられている。絶縁層822は、ゲート絶縁層として機能する。また、半導体層805の側面と接して側面絶縁層812が形成され、同様に半導体層813の側面と接して側面絶縁層820が形成されている。なお、図15(A)、(C)に示されるように、半導体層805においてゲート電極を形成する導電層824、826が横断する領域では、半導体層805及びその側面と接して形成された側面絶縁層812上にゲート絶縁層として機能する絶縁層822が形成されている。同様に、半導体層813においてゲート電極を形成する導電層824、826が横断する領域では、半導体層813及びその側面と接して形成された側面絶縁層820上にゲート絶縁層として機能する絶縁層822が形成されている。よって、半導体層805及び半導体層813の端部、特に半導体層805及び半導体層813においてゲート電極を形成する導電層824、826が横断する領域(ゲート電極が半導体端部を乗り越える領域)における絶縁層の被覆不良に起因した不良、例えば半導体層とゲート電極の短絡、リーク電流の発生、静電破壊等を防止することができる。その結果、完成する半導体装置の信頼性を向上させることが可能となる。
ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層840は、絶縁層836、絶縁層838に形成された開口を介して半導体層805に形成された高濃度不純物領域810、半導体層813に形成された高濃度不純物領域818と電気的に接続されるように設けられている。このとき、導電層840及び高濃度不純物領域810は、シリサイド領域861を間に介して接続される。同様に、導電層840及び高濃度不純物領域818は、シリサイド領域863を間に介して接続される。また、導電層840は、半導体層805及び半導体層813においてチャネル形成領域806及びチャネル形成領域814と比較して膜厚が大きい領域に接続される。なお、図15に示すように、半導体層805に形成された高濃度不純物領域810と、半導体層813に形成され、且つ高濃度不純物領域810と導電型が異なる高濃度不純物領域818とを電気的に接続することにより、CMOS回路を形成してもよい。
次に、図15で示した半導体装置の作製方法の一例に関して、図面を用いて説明する。
まず、基板800上に絶縁層802を介して島状の半導体層801、島状の半導体層803を形成する(図16(A)、図20(A)、図21(A)参照)。
基板800は、絶縁表面を有する基板を用いればよい。例えばガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、表面に絶縁層が形成された金属基板などを用いることができる。
絶縁層802は、CVD法やスパッタリング法やALD法を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の材料を用いて形成する。絶縁層802は、基板800から半導体層801、803へアルカリ金属等が拡散し、半導体層801、803が汚染することを防ぐブロッキング層として機能する。また、基板800の表面に凹凸がある場合、平坦化する層としても機能することができる。なお、絶縁層802は、基板800からの不純物拡散や基板800表面の凹凸が問題とならなければ、形成しなくともよい。また、ここでは下地絶縁層を単層構造としているが、2層以上の積層構造としてもよい。
半導体層801、803は、CVD法やスパッタリング法を用いて、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム等のシリコンを主成分とする材料を用いて形成するのが好ましい。例えば、半導体層801、803は、シリコンを主成分とする材料を用いて非晶質半導体層を形成し、当該非晶質半導体層を結晶化させた後に選択的にエッチングすることによって、島状の半導体層を形成することができる。非晶質半導体層を結晶化する場合は、レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、又はこれらの方法を組み合わせて行うことができる。なお、レーザ結晶化法を行う場合、CWレーザや繰り返し周波数が10MHz以上のパルスレーザを用いると、一方向に長い結晶粒を形成することができるため好ましい。半導体層801、803の膜厚は、30nm乃至200nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至100nmの範囲で形成する。
なお、半導体層801、813は、端部がテーパ形状となるように形成してもよいし、垂直形状となるように形成してもよい。半導体層の端部の形状は、エッチング条件を適宜選択することにより制御することができる。
なお、ここでは種々の結晶化法を用いて半導体層801、803を形成する例を示したが、このような薄膜プロセスに換えて、絶縁表面に単結晶半導体層を設けたSOI基板を用いてもよい。この場合、絶縁表面に設けられた単結晶半導体層が半導体層801、803となる。
次に、半導体層801の側面と接する側面絶縁層812、及び半導体層803の側面と接する側面絶縁層820を形成する(図16(B)、図20(A)、図21(B)参照)。
側面絶縁層812、側面絶縁層820は、島状に設けられた半導体層801及び半導体層803を覆って埋め込むように絶縁層を形成し、当該絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングを行うことにより選択的にエッチングして半導体層801、803の側面と接する領域のみ残存させて形成することができる。
具体的には、まず、半導体層801及び半導体層803を埋め込むように絶縁層を形成する。当該絶縁層は、CVD法やスパッタリング法を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、SiOF、SiOC、DLC、ポーラスシリカ等の材料を用いて形成する。好ましくは、後に半導体層801及び半導体層803上に形成する絶縁層822と比較して誘電率が小さい層を形成すると、半導体層端部の形状に起因する電界集中を緩和することができる。また、半導体層801、803上を覆うように形成する絶縁層は、少なくとも半導体層801、803の端部を十分に被覆できる膜厚で形成し、好ましくは半導体層801、803の1.5倍乃至3倍の膜厚で形成する。
次に、半導体層801及び半導体層803を覆うように形成した絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングを行うことにより選択的にエッチングして、側面絶縁層812、820を形成する。側面絶縁層812、820は丸みを帯びた形状でも、角を有する形状としてもよい。好ましくは、側面絶縁層812、820のコーナー部を緩やかな形状とすることで、上層に積層される層の被覆性を良好にすることができる。
なお、側面絶縁層812、820を形成する際のエッチングの影響により、半導体層801、803の一部が非晶質化する場合がある。この場合、半導体層801、803の非晶質化された領域を選択的にエッチングしてもよい。また、レーザビームの照射、又はRTA若しくはファーネスアニール炉を用いて熱処理を行い、半導体層801、803を再結晶化してもよい。また、半導体層に一導電型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成した後、不純物元素を活性化するための熱処理と併せて再結晶化してもよい。
次に、半導体層801及び半導体層803を選択的にエッチングして、異なる膜厚の領域を有する半導体層805及び半導体層813を形成する(図16(C)、図20(B)、図21(C)参照)。
半導体層805は、半導体層801を選択的にエッチングして形成する。同様に、半導体層813は、半導体層803を選択的にエッチングして形成する。このとき、エッチングしたくない領域は、レジストマスク849で覆っておく。なお、レジストマスクで覆われていない領域において、所望の膜厚の半導体層が残存するように、エッチング条件を制御する必要がある。半導体層801、803のエッチングは、レジストマスク849が形成された側から絶縁層802側へ、垂直方向を主体として行われるのが好ましい。エッチング後、形成された半導体層805及び半導体層813は凹凸を有し、凸部は後にソース電極又はドレイン電極を形成する導電層840が接続される領域となる。なお、半導体層をエッチングした後、レジストマスク849は除去する。
半導体層805及び半導体層813の膜厚範囲は30nm乃至200nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至100nmとする。そして、半導体層805及び半導体層813のエッチングされた領域を膜厚30nm乃至150nm(但し30nmは除く)程度、好ましくは50nm乃至70nm程度とする。
なお、半導体層801、803を選択的にエッチングして異なる膜厚の領域を形成する際、レジストマスク849に覆われていない領域の側面絶縁層112もほぼ同じ高さになるようにエッチングするのが好ましい(図20(B)、図21(C)参照)。これは、半導体層801、803及び側面絶縁層812、820のエッチングレートが略同じになるようなエッチング条件、つまりエッチングの選択比を1に近い条件とすればよい。
なお、後に完成する薄膜トランジスタの閾値電圧を制御するため、半導体層805、813に低濃度の一導電型を付与する不純物元素を添加してもよい。この場合は、完成する薄膜トランジスタのチャネル形成領域にも不純物元素が添加されることになる。一導電型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)等のn型を付与する不純物元素、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等のp型を付与する不純物元素を用いることができる。例えば、不純物元素として、ボロンを1×1016cm−3乃至1×1018cm−3の濃度で半導体層805、813に含まれるように添加することが可能である。このとき、半導体層805、813には、異なる濃度の不純物元素を添加してもよいし、異なる導電型の不純物元素を添加してもよい。
次に、半導体層805及びその側面と接する側面絶縁層812、並びに半導体層813及びその側面と接する側面絶縁層820上に絶縁層822を形成する(図16(D)、図21(D)参照)。
絶縁層822は、CVD法やスパッタリング法、ALD法により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム等の材料を用いて形成する。好ましくは、半導体層805の側面と接する側面絶縁層812、及び半導体層813の側面と接する側面絶縁層820よりも誘電率が大きい材料を用いて形成するとよい。絶縁層822は、上述した材料のうち1つ又は複数を用いて単層構造又は積層構造で形成する。また、絶縁層822は、高密度プラズマ処理による半導体層805、813の固相酸化若しくは固相窒化で形成してもよい。絶縁層822はゲート絶縁層として機能する。絶縁層822の膜厚は1nm乃至50nm、好ましくは1nm乃至20nm、より好ましくは1nm乃至10nmとする。
次に、絶縁層822を介して半導体層805、半導体層813上に、ゲート電極として機能する導電層824、導電層826を、それぞれ積層形成する(図17(A)、図20(C)、図22(A)参照)。なお、ゲート電極を形成する導電層824、826は、半導体層805、813において、選択的にエッチングされた領域上に形成する。
ゲート電極を形成する導電層は、CVD法やスパッタリング法により、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はニオブ(Nb)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料を用いて基板全面に導電層を形成した後、当該導電層を選択的にエッチングして形成することができる。また、リン等の一導電型を付与する不純物元素が添加された多結晶シリコンに代表される半導体材料を用いて形成することもできる。なお、ゲート電極を形成する導電層は単層構造でも3層以上の積層構造でもよい。また、導電層の側面をテーパ形状としてもよい。ゲート電極を導電層の積層構造とする場合、下層の導電層の幅を大きくしてもよいし、各層の側面を異なる角度のテーパ形状としてもよい。
本実施の形態では、導電層を基板上全面に成膜した後、該導電層を選択的にエッチングして所望の形状に加工して導電層824、826を形成している。ここでは、島状の半導体層805、813を、分離した導電層がそれぞれ横断するように、基板全面に形成した導電層をエッチング加工している。このとき、分離した導電層は、島状の半導体層805、813と重ならない領域で一体となるように加工する。つまり、連続する導電層から枝分かれした2本の導電層が、それぞれ島状の半導体層805、813を横断するように形成している。
次に、半導体層813上を覆うようにレジストマスク850を選択的に形成し、当該レジストマスク850、導電層824及び導電層826をマスクとして、半導体層805に第1の濃度の一導電型を付与する不純物元素851を添加して、不純物領域807を形成する(図17(B)、図20(C)参照)。ここでは、導電層824、826をマスクとして不純物元素851を添加し、自己整合的に一対の不純物領域807と、当該一対の不純物領域807の間に位置するチャネル形成領域806を形成する。不純物元素851としては、リンやヒ素等のn型を付与する不純物元素、ボロンやアルミニウム、ガリウム等のp型を付与する不純物元素等を用いることができる。ここでは、不純物元素851として、リン(P)を添加する。なお、不純物領域807は、後のLDD領域として機能する低濃度不純物領域の一部を形成する。また、導電層824、826下の半導体層805には、チャネル形成領域806が形成される。よって、チャネル形成領域806は、半導体層805において選択的にエッチングされた領域に形成される。
次に、半導体層805上を覆うようにレジストマスク852を選択的に形成し、当該レジストマスク852、導電層824、導電層826をマスクとして、半導体層813に第2の濃度の一導電型を付与する不純物元素853を添加して、不純物領域815を形成する(図17(C)、図20(C)参照)。ここでは、導電層824、826をマスクとして不純物元素を添加し、自己整合的に一対の不純物領域815と、当該一対の不純物領域815の間に位置するチャネル形成領域814を形成する。不純物元素853は、先に半導体層805に添加した不純物元素851と異なる導電型の元素を添加するものとする。本実施の形態では、ボロン(B)を添加する。なお、不純物領域815は、後のLDD領域として機能する低濃度不純物領域の一部を形成する。また、導電層824、826下の半導体層813には、チャネル形成領域814が形成される。よって、チャネル形成領域814は、半導体層813において選択的にエッチングされた領域に形成される。
次に、導電層824及び導電層826の側面と接するサイドウォール絶縁層828を形成する(図17(D)、図20(C)、図22(A)参照)。サイドウォール絶縁層828は、CVD法やスパッタリング法により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機材料、有機樹脂などの有機材料を用いて、単層構造又は積層構造の絶縁層を形成し、当該絶縁層を垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電層824及び導電層826の側面に形成することができる。ここでは、サイドウォール絶縁層828は、導電層824、826の側面と接しない面を湾曲状に形成する。具体的には、任意の曲率を有し、接する導電層824、826の側面に対して凸形状に湾曲するように形成する。もちろん、本発明は特に限定されず、サイドウォール絶縁層828は丸みを帯びた形状でなく、角を有する形状としてよい。なお、サイドウォール絶縁層828は、LDD領域として機能する低濃度不純物領域を形成する際のドーピング用マスクとして用いることができる。
また、サイドウォール絶縁層828を形成する際のエッチングにより下層の絶縁層822もエッチングして、半導体層805及び半導体層の一部、詳しくはサイドウォール絶縁層828と重ならない領域を選択的に露出させる。絶縁層822は、サイドウォール絶縁層828及び導電層824、826、並びに半導体層803又は半導体層813が重なる領域に残存する。また、サイドウォール絶縁層828を形成する際のエッチング条件によっては、半導体層805、813上層もエッチングされて膜厚が減少する場合もある。
次に、半導体層813上を覆うようにレジストマスク854を選択的に形成する。当該レジストマスク854、導電層824、826及びその側面に接するサイドウォール絶縁層828をマスクとして、半導体層805に第3の濃度の一導電型を付与する不純物元素855を添加する(図18(A)、図20(C)参照)。ここでは、導電層824、826及びその側面に接するサイドウォール絶縁層828をマスクとして半導体層805に不純物元素855を添加し、自己整合的に一対の高濃度不純物領域809、一対の低濃度不純物領域808を形成する。高濃度不純物領域809はソース領域又はドレイン領域として機能し、低濃度不純物領域808はLDD領域として機能する。不純物元素855は、先に半導体層805に添加した不純物元素851と同じ導電型の不純物元素を添加するものとする。本実施の形態ではリン(P)を添加する。また、第1の濃度と比較して、第3の濃度を高くして不純物元素を添加する。よって、高濃度不純物領域809には、低濃度不純物領域808と比較して高い濃度の不純物元素が添加される。
次に、半導体層805上を覆うようにレジストマスク856を選択的に形成する。当該レジストマスク856、導電層824、826及びその側面と接するサイドウォール絶縁層828をマスクとして、半導体層813に第4の濃度の一導電型を付与する不純物元素857を添加する(図18(B)、図20(C)参照)。ここでは、導電層824、826及びその側面に接するサイドウォール絶縁層828をマスクとして半導体層813に不純物元素855を添加し、自己整合的に一対の高濃度不純物領域817、一対の低濃度不純物領域816を形成する。高濃度不純物領域817はソース領域又はドレイン領域として機能し、低濃度不純物領域816はLDD領域として機能する。不純物元素857は、先に半導体層813に添加した不純物元素853と同じ導電型の不純物元素を添加するものとする。本実施の形態では、ボロン(B)を添加する。また、第2の濃度と比較して、第4の濃度を高くして不純物元素を添加する。よって、高濃度不純物領域817には、低濃度不純物領域816と比較して高い濃度の不純物元素が添加される。
以上により、半導体層805にソース領域又はドレイン領域として機能する高濃度不純物領域809と、LDD領域として機能する低濃度不純物領域808と、チャネル形成領域806が形成される。また、半導体層813にソース領域又はドレイン領域として機能する高濃度不純物領域817と、LDD領域として機能する低濃度不純物領域816と、チャネル形成領域814が形成される。本実施の形態では、チャネル形成領域806、814は、導電層824、826を用いて自己整合的に形成することができる。また、低濃度不純物領域808、816は、導電層824、826及びその側面と接するサイドウォール絶縁層828を用いて自己整合的に形成することができる。
次に、露出させた半導体層805、813上に金属層860を形成する(図19(A)参照)。
金属層860は、少なくとも露出させた半導体層805、813上に形成する。ここでは、基板全面に金属層860を形成する。金属層860は、半導体層と反応してシリサイドを形成する材料を用いて形成すればよく、例えばニッケル、チタン、コバルト、白金等の金属元素又は当該金属元素を含む合金材料を用いて、スパッタリング法等により形成すればよい。なお、金属層860の膜厚は、形成したいシリサイド領域の形状、膜厚等により、適宜選択すればよい。金属層860を形成する際に、露出させた半導体層上に自然酸化膜が形成されている場合は、自然酸化膜を除去してから形成する。
次に、熱処理を行うことにより、半導体層805の一部にシリサイド領域861、半導体層813の一部にシリサイド領域863を形成する(図19(B)、図20(D)参照)。
シリサイド領域861は、熱処理を行うことにより、半導体層805及び金属層860、並びに半導体層813及び金属層860が接する領域が反応し、該領域の半導体層の一部がシリサイド化して形成される。なお、本実施の形態では、半導体層805に形成されている高濃度不純物領域809の一部はシリサイド化されて領域が減少し、高濃度不純物領域810となる。同様に、半導体層813に形成されている高濃度不純物領域817の一部はシリサイド化されて領域が減少し、高濃度不純物領域818となる。なお、シリサイド領域は、高濃度不純物領域の一部に形成されているともいえる。熱処理は、RTA又はファーネスアニール炉を用いればよい。
なお、シリサイド領域861、863の膜厚、形状等は、金属層860の膜厚、熱処理時間、熱処理温度等を適宜制御することによって選択できる。本実施の形態では、シリサイド領域861、863は、それぞれ半導体層805、813に形成されたチャネル形成領域806、814の膜厚未満となるように形成されている例を示す。なお、半導体層層805、813において、ゲート電極を形成する導電層824、826及びその側面と接するサイドウォール絶縁層828と重ならない領域全体をシリサイド化してもよい。また、サイドウォール絶縁層828と重なる領域まで入り込んでシリサイド領域が形成されてもよいが、チャネル形成領域まではシリサイド化されないようにする。
所望のシリサイド領域861、863を形成した後、未反応の金属層をエッチングにより除去する。例えば、本実施の形態では基板全面に金属層を形成しているので、絶縁層802、側面絶縁層812、820、サイドウォール絶縁層828、導電層826上に形成された金属層を除去する。また、シリサイド領域861、863上に未反応の金属層が残存する場合は、その金属層も除去する。
次に、基板800上に設けられた絶縁層や導電層等を覆うように絶縁層836、絶縁層838を形成し、当該絶縁層838上に半導体層805に形成された高濃度不純物領域810、半導体層813に形成された高濃度不純物領域818と電気的に接続される導電層840を形成する(図19(C)、図20(D)、図22(B)参照)。導電層840はソース電極又はドレイン電極として機能する。
絶縁層836、838は、CVD法やスパッタリング法、ALD法、塗布法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の酸素若しくは窒素を含む無機絶縁材料や、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む絶縁材料、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機絶縁材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料を用いて形成する。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、絶縁層836、838は、CVD法やスパッタリング法、ALD法を用いて絶縁層を形成した後、当該絶縁層に酸素雰囲気下又は窒素雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことにより形成してもよい。ここでは、導電層826等の上層に絶縁層836、838の2層の積層構造を形成しているが、単層構造としても3層以上の積層構造としてもよい。
絶縁層836、838に、チャネル形成領域806と比較して膜厚が大きい領域に形成されたシリサイド領域861に達する開口を形成する。同様に、チャネル形成領域814と比較して膜厚が大きい領域に形成されたシリサイド領域863に達する開口を形成する。開口は、適宜ドライエッチングやウェットエッチングを利用して形成する。そして、開口を介して高濃度不純物領域と電気的に接続されるように、ソース電極又はドレイン電極を形成する導電層840を形成する。
導電層840は、CVD法やスパッタリング法を用いて、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)、炭素(C)、シリコン(Si)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。アルミニウムを含む合金材料としては、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素とシリコンの一方又は両方とを含む合金材料があげられる。導電層840は、例えば、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層とバリア層の積層構造、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層と窒化チタン(TiN)層とバリア層の積層構造を採用することができる。なお、バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電層840を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができるため好ましい。
導電層840は、半導体層805においてチャネル形成領域806よりも膜厚が大きい領域と接して電気的に接続されるように形成する。同様に、半導体層813においてもチャネル形成領域814よりも膜厚が大きい領域と接して電気的に接続されるように形成する。このようにすることで、導電層840を形成するため絶縁層836、838に開口を形成する際に、半導体層805、813が一部消失するような不良を防止することができ、製造工程における歩留まりの低下を防止できる。また、導電層840は、シリサイド領域861又はシリサイド領域863を間に介して、高濃度不純物領域810又は高濃度不純物領域818と電気的に接続されるため、コンタクト抵抗(導電層及び半導体層の接触抵抗)を低減することができ、消費電力を低減させることができる。
以上により、半導体層805を用いて形成されたnチャネルトランジスタ870及び半導体層813を用いて形成されたpチャネルトランジスタ880を具備する半導体装置を作製することができる。本実施の形態では、半導体層805に形成された高濃度不純物領域810と電気的に接続される導電層840と、半導体層813に形成された高濃度不純物領域818と電気的に接続される導電層840と、を電気的に接続させることによって、nチャネルトランジスタ及びpチャネルトランジスタを有するCMOS回路を形成している。
なお、本実施の形態では相異なる導電型を有する2つの薄膜トランジスタを具備するCMOS回路を作製する例を示したが、本発明は特に限定されない。例えば、複数のnチャネル薄膜トランジスタを具備するnMOS回路、複数のpチャネル薄膜トランジスタを具備するpMOS回路等を作製することもできる。nMOS回路、pMOS回路等は、半導体層に添加する不純物元素を適宜選択すればよい。また、本発明に係るCMOS回路を構成する薄膜トランジスタは、本実施の形態に示す薄膜トランジスタの構成に限定されず、他の実施形態で示した薄膜トランジスタを、適宜適用することができる。
本発明を適用した半導体装置は、導電層及び半導体層の接続に起因する不良を防止することができる。また、半導体層の端部の形状及び特性等の影響による不良を防止、低減することができる。よって、半導体装置を歩留まり良く製造することができる。また、半導体装置の信頼性を向上させることも可能になる。さらに、半導体層及び電極(配線)のコンタクト抵抗を低減することができるため、低消費電力化を実現することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と、適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本発明に係る半導体装置は、CPU(中央演算回路:Central Processing Unit)等の集積回路に適用することができる。本実施の形態では、図15に示した半導体装置を適用したCPUの例に関して、図面を用いて以下に説明する。
図23に示すCPU3660は、基板3600上に演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)3601、演算回路用制御回路部(ALU Controller)3602、命令解析部(Instruction Decoder)3603、割り込み制御部(Interrupt Controller)3604、タイミング制御部(Timing Controller)3605、レジスタ(Register)3606、レジスタ制御部(Register Controller)3607、バスインターフェース(Bus I/F)3608、書き換え可能なROM3609、ROMインターフェース(ROM I/F)3620を主に有している。また、ROM3609及びROMインターフェース3620は、別チップに設けても良い。これらCPU3660を構成する様々な回路は、上記実施の形態1乃至5に示される薄膜トランジスタ、当該薄膜トランジスタを組み合わせたCMOS回路、nMOS回路、pMOS回路等を用いて構成することが可能である。
なお、図23に示すCPU3660は、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。したがって、本発明を適用するCPUの構成は、図23に示すものに限定されるものではない。
バスインターフェース3608を介してCPU3660に入力された命令は、命令解析部3603に入力され、デコードされた後、演算回路用制御回路部3602、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607、タイミング制御部3605に入力される。
演算回路用制御回路部3602、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607、タイミング制御部3605は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行う。具体的に演算回路用制御回路部3602は、演算回路3601の駆動を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部3604は、CPU3660のプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタ制御部3607は、レジスタ3606のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ3606の読み出しや書き込みを行う。
またタイミング制御部3605は、演算回路3601、演算回路用制御回路部3602、命令解析部3603、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607の駆動のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部3605は、基準クロック信号CLK1(3621)を元に、内部クロック信号CLK2(3622)を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
また、図24には、画素部と、CPU、その他の回路が同一基板に形成された表示装置、いわゆるシステムオンパネルを示す。基板3700上に画素部3701、当該画素部3701が有する画素を選択する走査線駆動回路3702と、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路3703とが設けられている。走査線駆動回路3702、及び信号線駆動回路3703から引き回される配線によりCPU3704、その他の回路、例えばコントロール回路3705とが接続されている。なおコントロール回路にはインターフェースが含まれている。そして、基板の端部にFPC端子との接続部を設け、外部信号とのやりとりを行う。
その他の回路としては、コントロール回路3705の他、映像信号処理回路、電源回路、階調電源回路、ビデオRAM、メモリ(DRAM、SRAM、PROM)等を設けることができる。またこれら回路は、ICチップにより形成し、基板上に実装してもよい。さらに必ずしも走査線駆動回路3702、及び信号線駆動回路3703を同一基板に形成する必要はなく、例えば走査線駆動回路3702のみを同一基板に形成し、信号線駆動回路3703をICチップにより形成し、実装してもよい。
なお、本実施の形態では、本発明に係る半導体装置をCPUに適用する例を説明したが、本発明は特に限定されない。例えば、本発明に係る半導体装置は、有機発光素子、無機発光素子、又は液晶素子等を備えた表示装置の画素部及び駆動回路部等に適用することができる。また、その他、本発明を適用して、デジタルカメラ、カーオーディオなどの音響再生装置、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(携帯電話機、携帯型ゲーム機等)、家庭用ゲーム機などの記録媒体を備えた画像再生装置などを作製することも可能である。
本発明を適用した半導体装置は、歩留まり良く製造することが可能である。また、ゲート絶縁層を薄膜化した場合でも不良を防止・低減することができ、高速での回路駆動が実現できる。
また、上記実施の形態2乃至5に示すようなシリサイド領域を有する構成のトランジスタを適用した場合、コンタクト抵抗を低減できるため、信号遅延等を防止できる。よって、より高速での回路駆動が可能となる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置の使用形態の一例について説明する。具体的には、非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して、図面を用いて以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によって、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップとも呼ばれる。
本実施の形態で示す半導体装置の上面構造の一例について、図26(A)を参照して説明する。図26に示す半導体装置2180は、メモリ部やロジック部を構成する複数の薄膜トランジスタ等の素子が設けられた薄膜集積回路2131と、アンテナとして機能する導電層2132を含んでいる。アンテナとして機能する導電層2132は、薄膜集積回路2131に電気的に接続されている。薄膜集積回路2131には、上記実施の形態1乃至4で示した本発明に係る薄膜トランジスタを適用することができる。
また、図26(B)、(C)に図26(A)の断面の模式図を示す。アンテナとして機能する導電層2132は、メモリ部及びロジック部を構成する素子の上方に設ければよく、例えば、上記実施の形態5で示した構造の上方に、絶縁層2130を介してアンテナとして機能する導電層2132を設けることができる(図26(B)参照)。他にも、アンテナとして機能する導電層2132を基板2133に別に設けた後、当該基板2133及び薄膜集積回路2131を、導電層2132が間に位置するように貼り合わせて設けることができる(図26(C)参照)。図26(C)では、絶縁層2130上に設けられた導電層2136とアンテナとして機能する導電層2132とが、接着性を有する樹脂2135中に含まれる導電性粒子2134を介して電気的に接続されている例を示す。
なお、本実施の形態では、アンテナとして機能する導電層2132をコイル状に設け、電磁誘導方式または電磁結合方式を適用する例を示すが、本発明の半導体装置はこれに限られずマイクロ波方式を適用することも可能である。マイクロ波方式の場合は、用いる電磁波の波長によりアンテナとして機能する導電層2132の形状を適宜決めればよい。
例えば、半導体装置2180における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860MHz帯乃至960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよい。例えば、アンテナとして機能する導電層を線状(例えば、ダイポールアンテナ(図27(A)参照))、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ(図27(B)参照)またはリボン型の形状(図27(C)、(D)参照))等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電層2132の形状は直線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
アンテナとして機能する導電層2132は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電層2132を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下の微粒子)を用いる場合、150℃乃至300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電層を形成することができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーはんだは、低コストであるといった利点を有している。
本発明を適用することで、非接触でデータの入出力が可能で、且つ小型な半導体装置を歩留まり良く製造することができる。また、信頼性を向上させることも可能である。
次に、本実施の形態に係る半導体装置の動作例について説明する。
半導体装置2180は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路81、電源回路82、リセット回路83、クロック発生回路84、データ復調回路85、データ変調回路86、他の回路の制御を行う制御回路87、記憶回路88およびアンテナ89を有している(図28(A)参照)。高周波回路81はアンテナ89より信号を受信して、データ変調回路86より受信した信号をアンテナ89から出力する回路である。電源回路82は受信信号から電源電位を生成する回路である。リセット回路83はリセット信号を生成する回路である。クロック発生回路84はアンテナ89から入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路である。データ復調回路85は受信信号を復調して制御回路87に出力する回路である。データ変調回路86は制御回路87から受信した信号を変調する回路である。また、制御回路87としては、例えばコード抽出回路91、コード判定回路92、CRC判定回路93および出力ユニット回路94が設けられている。なお、コード抽出回路91は制御回路87に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路であり、コード判定回路92は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容を判定する回路であり、CRC判定回路93は判定されたコードに基づいて送信エラー等の有無を検出する回路である。図28(A)では、制御回路87の他に、アナログ回路である高周波回路81、電源回路82を含んでいる。
次に、上述した半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ89により無線信号が受信される。無線信号は高周波回路81を介して電源回路82に送られ、高電源電位(以下、VDDと記す)が生成される。VDDは半導体装置2180が有する各回路に供給される。また、高周波回路81を介してデータ復調回路85に送られた信号は復調される(以下、復調信号という)。さらに、高周波回路81を介してリセット回路83およびクロック発生回路84を通った信号及び復調信号は制御回路87に送られる。制御回路87に送られた信号は、コード抽出回路91、コード判定回路92およびCRC判定回路93等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記憶回路88内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置の情報は出力ユニット回路94を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装置2180の情報はデータ変調回路86を通って、アンテナ89により無線信号に載せて送信される。なお、半導体装置2180を構成する複数の回路においては、低電源電位(以下、VSSという)は共通であり、VSSはGNDとすることができる。
このように、リーダ/ライタから半導体装置2180に信号を送り、当該半導体装置2180から送られてきた信号をリーダ/ライタで受信することによって、半導体装置のデータを読み取ることが可能となる。
また、半導体装置2180は、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリー)を搭載せず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電磁波と電源(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
次に、非接触でデータの入出力が可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。表示部3210を含む携帯端末の側面には、リーダ/ライタ3200が設けられ、品物3220の側面には半導体装置3230が設けられる(図28(B)参照)。品物3220が含む半導体装置3230にリーダ/ライタ3200をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品3260をベルトコンベアにより搬送する際にリーダ/ライタ3240と、商品3260に設けられた半導体装置3250を用いて、該商品3260の検品を行うことができる(図28(C)参照)。半導体装置3230、半導体装置3250としては、上述した半導体装置2180を適用することができる。このように、システムに本発明に係る半導体装置を活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。
なお、上述した以外にも本発明に係る半導体装置の用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図25を用いて説明する。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指す(図25(A)参照)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指す(図25(B)参照)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す(図25(C)参照)。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す(図25(D)参照)。書籍類とは、書物、本等を指す(図25(E)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す(図25(F)参照)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指す(図25(G)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指す(図25(H))。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話機等を指す。
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等に半導体装置2180を設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等に半導体装置2180を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等に半導体装置2180を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。半導体装置2180の設け方としては、物品の表面に貼る、或いは物品に埋め込んで設ける。例えば、本の場合は紙に埋め込めばよく、有機樹脂からなるパッケージであれば有機樹脂に埋め込めばよい。
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサーを備えた半導体装置を埋め込む又は取り付けることによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん現在の体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の半導体装置の例について、図30を用いて説明する。具体的には、半導体装置として、不揮発性半導体記憶装置の1つであるメモリトランジスタの例を説明する。
本実施の形態で示すメモリトランジスタは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)と類似の構造を有し、電荷を長期間蓄積することのできる領域がチャネル形成領域上に設けられている。この電荷蓄積領域は絶縁層上に形成され、周囲と絶縁分離されていることから浮遊ゲート電極とも呼ばれる。浮遊ゲート電極上には、絶縁層を介して制御ゲート電極を備えている。
上記のような構造を有するメモリトランジスタは、制御ゲート電極に印加する電圧により、浮遊ゲート電極に電荷を蓄積させ、また放出させる動作が行われる。すなわち浮遊ゲート電極に保持させる電荷の出し入れにより、データを記憶する仕組みになっている。浮遊ゲート電極への電荷の注入や引き抜きは、チャネル形成領域が形成される半導体層と、制御ゲート電極の間に高電圧を印加する。このときチャネル形成領域上の絶縁層には、ファウラー−ノルドハイム(Fowler−Nordheim)型(F−N型)トンネル電流(NAND型)や、熱電子(NOR型)が流れると言われている。チャネル形成領域上に設けられる絶縁層は、トンネル絶縁層とも呼ばれている。
図30に、本実施の形態に係る半導体装置である不揮発性半導体記憶装置の主要な構成を説明するための上面図及び断面図を示す。図30は、特にメモリトランジスタの構成を示しており、図30(A)は上面図、図30(B)は図30(A)における破線OP間の断面図、図30(C)は図30(A)における破線QR間の断面図を示している。なお、図30(A)は、一部薄膜等を省略している。
図30に示す不揮発性半導体記憶装置は、基板502上に絶縁層504を介して設けられたメモリトランジスタ500を有している。メモリトランジスタ500は、島状に設けられた半導体層505と、当該半導体層の側面と接して設けられた側面絶縁層512と、半導体層505の一表面上に順に設けられた第1絶縁層514、浮遊ゲート電極を形成する電荷蓄積層516、第2絶縁層517、制御ゲート電極を形成する導電層518の積層構造と、半導体層505上に絶縁層550を介して設けられたソース電極又はドレイン電極を形成する導電層522と、を有している。第1絶縁層514、電荷蓄積層516、第2絶縁層517、導電層518の積層構造の側面と接してサイドウォール絶縁層526が形成されている。また、導電層522は、絶縁層550を介して半導体層505と電気的に接続されている。
島状に設けられた半導体層505は、異なる膜厚の領域を有する。半導体層505の膜厚は30nm乃至200nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至100nmとする。また、半導体層505において薄い領域の膜厚は30nm乃至150nm(但し30nmは除く)、好ましくは50nm乃至70nmとする。また、半導体層505の端部は、上記実施の形態と同様、テーパ形状とすることができる。
また、半導体層505は、チャネル形成領域506と、LDD領域として機能する一対の低濃度不純物領域508と、ソース領域又はドレイン領域として機能する一対の高濃度不純物領域511と、高濃度不純物領域511上に接するシリサイド領域524を有する。シリサイド領域524は、高濃度不純物領域の一部に形成されているともいえる。チャネル形成領域506は、半導体層505において薄い膜厚の領域に形成される。シリサイド領域524を含む高濃度不純物領域は、半導体層505において厚い膜厚の領域に形成される。よって、シリサイド領域524を含む高濃度不純物領域の膜厚は、チャネル形成領域506よりも厚くなっている。
シリサイド領域524は、少なくともその一部が、半導体層505においてチャネル形成領域506よりも膜厚が大きい領域に形成される。また、シリサイド領域524は、半導体層505において高濃度不純物領域511上に接する領域で、且つ半導体層505、並びにサイドウォール絶縁層526及び導電層518が重ならない領域に形成されている。ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層522はシリサイド領域524に接し、当該シリサイド領域524を間に介して高濃度不純物領域511と電気的に接続されている。半導体層505において、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層522及び高濃度不純物領域511を電気的に接続させる際に、シリサイド領域524を間に介する構造とすることで、コンタクト抵抗(半導体層及び導電層の接触抵抗)を低減することができる。また、シリサイド領域を形成することで、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域の低抵抗化を図ることができる。このようにシリサイド領域を設けることで、完成する半導体装置の信号遅延防止や低消費電力化、並びに動作特性の劣化防止が可能になる。
また、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層522を、半導体層505においてチャネル形成領域506よりも膜厚が大きい領域と接するように形成することで、チャネル形成領域506を薄膜とする場合も、絶縁層550に導電層522を形成するための開口を形成する際に、形成する開口近傍の半導体層(高濃度不純物領域)まで除去されてしまうことを防止できる。よって、製造工程における歩留まりの低下を抑制できる。
なお、チャネル形成領域506は、半導体層505において導電層522が接続される領域と比較して、薄い膜厚の領域に形成されている。チャネル形成領域506の膜厚は30nm乃至150nm(但し30nmは除く)程度、好ましくは50nm乃至70nm程度とする。
また、メモリトランジスタを構成する半導体層は図30に示す構造に限定されず、上記実施の形態1乃至5で示したいずれの半導体層の構成を適用してもよい。例えば、シリサイド領域は形成されなくともよいし、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域全体がシリサイド化されていてもよい。
また、ここでは半導体層505にLDD領域として機能する低濃度不純物領域を形成する例を示すが、本発明は特に限定されず、LDD領域は形成しなくともよい。LDD領域を形成しない場合は、半導体層はソース領域又はドレイン領域として機能する一対の不純物領域の間に接してチャネル形成領域を有する構成となればよい。
半導体層505に形成されたチャネル形成領域506上には、第1絶縁層514、電荷蓄積層516、第2絶縁層517、導電層518が積層形成されている。また、これらの積層構造は、島状の半導体層505を横断するように設けられている。第1絶縁層514はトンネル絶縁層として機能し、電荷蓄積層516は浮遊ゲート電極として機能する。第2絶縁層517はコントロール絶縁層として機能し、導電層518は制御ゲート電極として機能する。なお、ここでは第1絶縁層514、電荷蓄積層516、第2絶縁層517、導電層518の各層を単層構造で形成する例を示すが、本発明は特に限定されず2層以上の積層構造としてもよい。
島状に設けられた半導体層505の側面と接して側面絶縁層512が形成されている。図30に示されるように、半導体層505において電荷蓄積層516、導電層518が横断する領域(電荷蓄積層516等が半導体層505端部を乗り越える領域)では、半導体層505及びその側面と接して形成された側面絶縁層512上にトンネル絶縁層として機能する第1絶縁層514が形成されている。よって、半導体層505の端部、特に半導体層505端部と電荷蓄積層516等が重畳する領域(電荷蓄積層516が半導体層505端部を乗り越える領域)における絶縁層の被覆不良に起因した不良、例えばリーク電流の発生、静電破壊等を防止することができる。また、メモリトランジスタは動作させるために高電圧を印加させるため、半導体層端部に局所的な電界集中が起きやすいが、本発明のような構成とすることで電界集中を緩和することができ、局所的劣化を抑制することができる。その結果、完成する不揮発性半導体記憶装置の信頼性を向上させることが可能となる。
半導体層505は、単結晶半導体又は結晶性半導体で形成されたものを用いることが好ましい。例えば、CVD法やスパッタリング法によって基板全面に非晶質半導体層を形成し、当該半導体層を結晶化させた後、所望の形状にエッチング加工して形成することができる。半導体材料としてはシリコンを主成分とする材料を用いるのが好ましく、具体的には、シリコン、シリコンゲルマニウム等を用いて形成することができる。また、ゲルマニウムを用いて形成してもよい。半導体層の結晶化法としては、レーザ結晶化法、瞬間熱アニール(RTA)又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる結晶化法又はこれらの方法を組み合わせた方法等により行うことができる。また、このような薄膜プロセスに換えて、絶縁表面に単結晶半導体層を設けたSOI基板を用い、絶縁表面に設けられた単結晶半導体層を加工して半導体層505を形成してもよい。
半導体層505にはチャネル形成領域506、低濃度不純物領域508、高濃度不純物領域511、シリサイド領域524が形成されている。チャネル形成領域506は一対の高濃度不純物領域511の間に位置しており、低濃度不純物領域508はチャネル形成領域506と高濃度不純物領域511の間にそれぞれ位置している。シリサイド領域524は、高濃度不純物領域511上に位置している。
低濃度不純物領域508には一導電型を付与する不純物元素が第1の濃度で添加されており、高濃度不純物領域511には一導電型を付与する不純物元素が第2の濃度で添加されている。低濃度不純物領域508及び高濃度不純物領域には同じ導電型の不純物元素が添加されている。また、第1の濃度と比較して、第2の濃度を高くして不純物元素が添加されている。一導電型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)等のp型を付与する元素、リン(P)、ヒ素(As)等のn型を付与する元素を用いることができる。
なお、チャネル形成領域506に、メモリトランジスタの閾値電圧を制御するための一導電型を付与する不純物元素を添加してもよい。チャネル形成領域506に所定の濃度の不純物元素を添加することで、強制的にトランジスタの閾値電圧をシフトさせ、所望の閾値電圧とすることが可能である。
また、シリサイド領域524に、高濃度不純物領域511と同程度の不純物元素が添加されていてもよい。
側面絶縁層512は、半導体層が埋め込まれるように絶縁層を形成し、当該絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして形成する。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、SiOF、SiOC、DLC、ポーラスシリカ等の材料を用いて形成することができる。なお、側面絶縁層512は、半導体層を島状に形成した後、該半導体層を選択的にエッチングして異なる膜厚の領域を形成する前に形成するのが好ましい。
第1絶縁層514は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム等を用いて単層構造又は積層構造で形成すればよい。第1絶縁層514は、CVD法、スパッタリング法、ALD法等により形成してもよいが、好ましくは高密度プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成するとよい。これは、半導体層をプラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化することで、緻密で絶縁耐圧が高い薄膜が形成できるためである。第1絶縁層514はメモリトランジスタのトンネル絶縁層として機能するため、薄いほどトンネル電流が流れやすくなり、また上層に形成される浮遊ゲート電極に低電圧で電荷を蓄積することが可能になるため、緻密で絶縁耐圧が高い薄膜を形成すると効果的である。また、第1絶縁層514は、CVD法、スパッタリング法、ALD法等により形成した絶縁層に対して高密度プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化をして形成してもよい。第1絶縁層514の膜厚は1nm乃至50nm、好ましくは1nm乃至20nm、より好ましくは1nm乃至10nmの範囲で形成する。
電荷蓄積層516は第1絶縁層514上に単層構造又は積層構造で形成される。電荷蓄積層516は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの半導体材料、シリコンを主成分とする化合物、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等から選ばれた金属、これら金属を主成分とする合金、およびこれら金属を主成分とする金属化合物(金属窒化物、金属酸化物等)から選ばれる材料を用いて形成すればよい。例えば、シリコンを主成分とする化合物として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、炭化シリコン、およびシリサイド(タングステンシリサイド、チタンシリサイド、ニッケルシリサイド)などがある。半導体材料として、n型またはp型のシリコン、およびゲルマニウムを10原子%未満の濃度で含むシリコンゲルマニウムなどがある。金属の化合物として、窒化タンタル、酸化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン、酸化チタンおよび酸化スズなどがある。また、シリコンを用いる場合は、リンやボロンなどの導電性を付与する不純物を添加してもよい。
また、電荷蓄積層516は、絶縁性であり、電荷を保持するトラップを有する層で形成することもできる。例えばシリコン化合物、ゲルマニウム化合物を用いて形成することができる。シリコン化合物としては、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、水素が添加された酸化窒化シリコン等がある。ゲルマニウム化合物としては、窒化ゲルマニウム、酸素が添加された窒化ゲルマニウム、窒素が添加された酸化ゲルマニウム、酸素及び水素が添加された窒化ゲルマニウム、窒素及び水素が添加された酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物等がある。
第2絶縁層517は、電荷蓄積層516上に単層構造又は積層構造で形成される。第2絶縁層517は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム等を用いて形成する。また、電荷蓄積層516に高密度プラズマ処理を行い、その表面を固相窒化した窒化膜(例えば、電荷蓄積層516としてシリコンを用いた場合には窒化シリコン)を形成してもよい。第1絶縁層514又は第2絶縁層517において、電荷蓄積層516と接する側の一方又は双方を窒化膜若しくは窒化処理された層とすることで、電荷蓄積層516の酸化を防ぐことができる。
導電層518は、第2絶縁層517上に単層構造又は積層構造で形成される。導電層518は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はニオブ(Nb)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料を用いて形成することができる。また、リン等の一導電型を付与する不純物元素が添加された多結晶シリコンに代表される半導体材料を用いることもできる。
第1絶縁層514、電荷蓄積層516、第2絶縁層517、導電層518の側面と接してサイドウォール絶縁層526が形成されている。サイドウォール絶縁層526は、CVD法やスパッタリング法により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機材料、有機樹脂などの有機材料を用いて単層構造又は積層構造の絶縁層を形成し、当該絶縁層を垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして形成することができる。サイドウォール絶縁層526は、シリサイド領域を形成する場合は、シリサイド用マスクとして機能する。また、ここではLDD領域を形成するドーピング用マスクとしても機能する。
チャネル形成領域506は、絶縁層514を介して電荷蓄積層516、導電層518と重なる領域に形成されている。つまり、電荷蓄積層516、導電層518は半導体層505を横断するように、且つチャネル形成領域506上に設けられている。低濃度不純物領域508は、サイドウォール絶縁層526と重なる領域に形成されている。高濃度不純物領域511は、電荷蓄積層516、導電層518、サイドウォール絶縁層526と重ならない領域に形成されている。また、高濃度不純物領域511は、少なくともその一部が、半導体層505においてチャネル形成領域よりも膜厚が大きい領域に形成される。
ソース電極又はドレイン電極として機能する導電層522は、基板502上に設けられた絶縁層や導電層等を覆うように絶縁層520を形成した後、該絶縁層520を介して半導体層505に形成された高濃度不純物領域511と電気的に接続されるように形成する。
絶縁層520は、CVD法、スパッタリング法、ALD法、塗布法、又はそれらの組み合わせ法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機絶縁材料や、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む絶縁材料、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機絶縁材料またはシロキサン樹脂等のシロキサン材料を用いて形成する。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、絶縁層520は、CVD法やスパッタリング法等を用いて絶縁層を形成した後、当該絶縁層に対して高密度プラズマ処理を行って形成してもよい。
導電層522は、CVD法やスパッタリング法により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)又はネオジウム(Nd)から選ばれる金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料を用いて、単層構造又は積層構造で形成する。アルミニウムを含む合金材料としては、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素とシリコンの一方又は両方とを含む合金材料があげられる。
本発明を適用した不揮発性半導体記憶装置は、導電層及び半導体層の接続に起因する不良、及び半導体層の端部の形状及び特性等の影響による不良を防止することができる。よって、歩留まり良く製造することが可能となり、また完成する不揮発性半導体記憶装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体層端部に起因するリーク電流を防止でき、また局所的な電界集中を緩和することができるため、トンネル絶縁層として機能する絶縁層を薄膜化することが可能である。よって、消費電力の低減を図ることができる。さらに、半導体層及び電極(配線)のコンタクト抵抗を低減することで、消費電力の低減を図ることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と、適宜組み合わせることができる。