本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することを目的とした半導体装置の作製方法を、図1、図3、及び図4を用いて詳細に説明する。
図1(A)乃至(D)に本発明を用いた本実施の形態の半導体層の形成方法の一例を示す。基板300上に下地膜として絶縁膜301を形成し、絶縁膜301上に半導体層302を形成する(図1(A)参照。)。
半導体層302において薄膜化する領域を選択的に除去し、開口303を有する半導体層304a及び半導体層304bを形成する(図1(B)参照。)。開口303において、絶縁膜301が露出する。
次に、半導体層304a、304b及び開口303にレーザ光305を照射し、加熱処理を行う。レーザ光305の加熱によって半導体層304a、304bの開口303における端部は溶融し、開口303の絶縁膜301上に流動する。開口303は端部より流動した半導体材料によって充填され、開口303における絶縁膜301の露出領域は半導体材料によって覆われ、開口303上にも薄膜の半導体層306が形成される(図1(C)参照。)。開口303上に形成される半導体層領域は開口端部より流動した溶融した半導体材料によって形成されるので、膜厚が薄く局所的に薄膜化した領域となる。
半導体層306を所望の形状に加工し、半導体層307を形成する(図1(D)参照。)。本実施の形態では、図1(C)の点線部が示すように、半導体層304a及び半導体層304bもレーザ光により溶融し、開口303へ流動する例を示しており、半導体層304a、半導体層304bの膜厚も全体的に薄膜化している。
薄膜トランジスタの半導体層としては結晶性半導体層を用いることが好ましい。非晶質半導体層を加熱処理によって結晶化して結晶性半導体層としてもよい。この場合の結晶化工程は、薄膜化領域を形成する半導体層への加熱処理の前でも後でもよい。
また、薄膜化領域を形成する半導体層への加熱処理によって半導体層の結晶化を同時に行ってもよい。特に加熱工程としてレーザ光の照射を行う場合、レーザ光の照射条件(照射方向、照射領域)によって半導体層の結晶成長の方向を制御することができる。もちろん、薄膜化領域を形成する半導体層への加熱処理を行った後、結晶化のための加熱工程(レーザ光の照射など)を行ってもよい。
本実施の形態では、半導体層304a、304bとして非晶質半導体層を形成し、レーザ光305によって半導体層304a、304bを溶融することで半導体層306の形状に加工しながら同時に結晶化し、半導体層307として結晶性半導体層を得る例を示す。
図3(A)(B)に本実施の形態の半導体層の作製工程の斜視図を示す。基板300上に設けられた絶縁膜301上に薄膜化領域に対応する複数の開口を有する半導体層304が形成されている。図1は、開口303を有する半導体層の断面図である。薄膜化領域はチャネル形成領域として用いるため、開口は半導体素子の半導体層においてチャネル形成領域と対応する領域に設けられる。点線309は、半導体素子の半導体層の形状を示している。加熱処理により溶融する半導体層の領域は変化するので、開口の形状及び大きさはチャネル形成領域と完全に一致しなくてもよく、少なくとも後に形成するチャネル形成領域が局所的に薄膜化された領域内に形成できればよい。
図3(A)は、半導体層304にレーザ光305のビームスポットを矢印336の方向に走査しながら照射する例である。図3(A)のようにチャネル幅方向に平行にレーザ光305を照射すると、開口に流動した半導体層は、チャネル長方向に膜厚が均一な半導体層とすることができる。
一方図3(B)は、半導体層304にレーザ光327のビームスポットを矢印328方向に走査しながら照射する例である。図3(B)のようにチャネル長方向に平行にレーザ光327を照射すると、開口に流動した半導体層は、チャネル長方向に結晶成長するように結晶化することができるために、薄膜トランジスタの移動度を向上させることができる。
このように、レーザ光のビームスポットの走査方向に長く伸びた結晶粒を有する結晶性半導体層を形成することができる。また、図3(A)(B)はレーザ光として連続発振のレーザ光(線状のビームスポット)を照射しながら走査する例を示したが、パルス発振のレーザ光を線状に集光し、半導体層に温度分布を形成することで半導体層を基板に表面に対して平行な方向(横方向ともいう)に結晶成長させてもよい。
また、下地膜となる絶縁膜上に設けられた半導体層に開口を形成する際に、開口に露出する絶縁膜表面も多少エッチングしてもよい。例えば、開口に露出する絶縁膜をすり鉢状にエッチングすると、加熱工程により溶融した半導体材料の開口への流動を促進することができる。
絶縁表面を有する基板である基板300としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、表面に絶縁層が形成された金属基板などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いても良い。プラスチック基板としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)からなる基板、可撓性基板としてはアクリル等の合成樹脂を用いることができる。
絶縁膜301としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。なお本明細書中において酸化窒化珪素とは酸素の含有量が窒素の含有量より大きい物質であり、窒素を含む酸化珪素とも言える。同様に、窒化酸化珪素とは、窒素の含有量が酸素の含有量より大きい物質であり、酸素を含む窒化珪素とも言える。
絶縁膜301は必ずしも設ける必要はないが、溶融した半導体材料を効率よく流動させるために、半導体層302の被形成領域は半導体材料に対してぬれ性の高い絶縁膜301を形成することが好ましい。半導体層として珪素膜を用いる場合、絶縁膜301に窒素珪素を含む膜と膜を用いると、半導体材料の珪素とのぬれ性が良いため好ましい。例えば、モノシラン(SiH4、)、アンモニア(NH3)、及び亜酸化窒素(N2O)を反応ガスとしてCVD法によって形成した酸化窒化珪素膜などを用いることができる。また、絶縁膜301としてシリコンカーバイドなども用いることができる。
また、絶縁膜301の他の材料として、窒化アルミニウム、酸素含有量が窒素含有量よりも多い酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。シロキサンを含む材料を用いてもよい。なお、シロキサンとは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
絶縁膜301は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemmical Vapor Deposition)、また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。
本実施の形態において、半導体層の薄膜化領域を形成する以外の加工は、フォトリソグラフィ工程などを用いてマスクを形成し、エッチングによって加工すればよい。本実施の形態において、用いるマスクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いることができる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いることもできる。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、ポジ型レジストやネガ型レジストを用いることができる。液滴吐出法などの湿式法を用いる場合、いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整する、界面活性剤等を加えるなどによって適宜調整すればよい。
所望の形状に加工するエッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良い。大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素系のガス、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
本実施の形態では、半導体層304a、304bの開口303における端部を溶融させるための加熱工程をレーザ光305の照射によって行う例を示すが、本発明はこれに限定されない。他の加熱処理工程、光照射工程を用いてもよい。
用いる光は、特に限定されず、赤外光、可視光、または紫外光のいずれか一またはそれらの組み合わせを用いることが可能である。例えば、紫外線ランプ、ブラックライト、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光を用いてもよい。その場合、ランプ光源は、必要な時間点灯させて照射してもよいし、複数回照射してもよい。
また、用いる光としてレーザ光を用いてもよく、レーザ発振器としては、紫外光、可視光、又は赤外光を発振することが可能なレーザ発振器を用いることができる。レーザ発振器としては、KrF、ArF、KrF、XeCl、Xe等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶を使った固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波の第2高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。レーザ発振器から射出されるレーザ光の形状やレーザ光の進路を調整するため、シャッター、ミラー又はハーフミラー等の反射体、シリンドリカルレンズや凸レンズなどによって構成される光学系が設置されていてもよい。
なお、照射方法は、選択的に光を照射してもよいし、光をXY軸方向に走査して光を照射することができる。この場合、光学系にポリゴンミラーやガルバノミラーを用いることが好ましい。
また、光は、ランプ光源による光とレーザ光とを組み合わせて用いることもでき、比較的広範囲な露光処理を行う領域は、ランプによる照射処理を行い、高精密な露光処理を行う領域のみレーザ光で照射処理を行うこともできる。また、複数のレーザ光を組み合わせて用いることもできる。このように光の照射処理を行うと、スループットも向上できる。
また、光照射は、他の加熱処理と同時に行っても良い。例えば、半導体層を設けた基板を加熱(好ましくは50℃〜500℃)しながら、上方(下方、もしくは上下両方)から光照射をおこない、半導体層を加熱してもよい。
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた結晶性半導体などを用いることができる。
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。また、半導体層として絶縁表面に単結晶半導体層を設けたSOI基板を用いても良い。
結晶性半導体層の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質半導体層にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質半導体層の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質半導体層にレーザ光を照射すると非晶質半導体層が破壊されてしまうからである。結晶化のための加熱処理は、加熱炉、レーザ照射、若しくはランプから発する光の照射(ランプアニールともいう)などを用いることができる。加熱方法としてGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法等のRTA法がある。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法であり、LRTAとはランプ光により加熱処理を行う方法である。
また、非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
結晶化を促進する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、希ガス元素を含む半導体層を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体層を除去する。
レーザと、半導体層とを相対的に走査することにより、レーザ照射を行うことができる。またレーザ照射において、ビームを精度よく重ね合わせたり、レーザ照射開始位置やレーザ照射終了位置を制御するため、マーカーを形成することもできる。マーカーは非晶質半導体層と同時に、基板上へ形成すればよい。
レーザ照射を用いる場合、連続発振型のレーザビーム(CW(CW:continuous−wave)レーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このレーザは、CWで射出することも、パルス発振で射出することも可能である。CWで射出する場合は、レーザのパワー密度を0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。パルス幅がピコ秒台、或いはフェムト秒(10−15秒)台のパルスレーザを用いてもよい。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体層がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体層に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体層中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上ができる。
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。またさらにレーザは、半導体層に対して入射角θ(0<θ<90度)を持たせて照射させるとよい。レーザの干渉を防止することができるからである。
この線状ビームを半導体層に照射することによって、半導体層の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
また、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光の照射により半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じるしきい値のばらつきを抑えることができる。
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
以上の工程で、局所的に薄膜化した半導体層307を形成する。得られた膜厚の異なる領域を有する半導体層307において、局所的に薄膜化した領域をチャネル形成領域とし、薄膜化していない領域をソース領域及びドレイン領域として用いることでチャネル形成領域が局所的に薄膜化された半導体層を有する半導体素子を形成することができる。半導体層307を用いて半導体素子として薄膜トランジスタを作製する工程を図4を用いて説明する。
本実施の形態の半導体装置において、薄膜トランジスタの半導体層307のチャネル形成領域の膜厚は、5nm以上30nm以下、より好ましくは10nm以上20nm以下とすればよい。
本発明では、薄膜トランジスタの半導体層307においてチャネル形成領域を局所的に薄膜化し(膜厚は、5nm以上30nm以下、より好ましくは10nm以上20nm以下)、かつソース領域及びドレイン領域においてソース電極層及びドレイン電極層と接続する領域は薄膜化されない(膜厚は、25nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以上60nm以下)ことを特徴としている。従って、半導体層において、チャネル形成領域以外の、ソース領域及びドレイン領域の一部や、チャネル形成領域とソース領域及びドレイン領域との間に設けることができる低濃度不純物領域なども、薄膜化されていてもよい。
半導体層を薄膜化することで、短チャネル効果を抑制しすることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧を小さくすることが可能であり、低電圧駆動をすることができる。
半導体層上の酸化膜を除去し、半導体層307を覆うゲート絶縁層308を形成する。本実施の形態において、薄膜トランジスタのゲート絶縁層の膜厚は、好ましくは1nm以上10nm以下、より望ましくは5nm程度とすればよい。ゲート絶縁層308の薄膜化は、薄膜トランジスタを低電圧で高速に動作させる効果がある。
本発明は、半導体層を溶融させ流動させて形状を加工するために端部が曲率を有する丸みを帯びた形状とすることができる。そのため半導体層上に形成されるゲート絶縁層によって被覆性よく覆うことができる。従ってゲート絶縁層の被覆不良による特性不良を防ぐことができ、高信頼性の半導体装置を歩留まりよく作製することができる。
ゲート絶縁層308は酸化珪素、若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層308は、スパッタ法、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。
プラズマ処理による固相酸化処理若しくは固相窒化処理として、マイクロ波(代表的には2.45GHz)で励起され、電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下、且つ電子温度が0.5eV以上1.5eV以下のプラズマを利用することが好ましい。固相酸化処理若しくは固相窒化処理において、500℃以下の温度において、緻密な絶縁膜を形成すると共に実用的な反応速度を得るためである。
このプラズマ処理により半導体層の表面を酸化する場合には、酸素雰囲気下(例えば、酸素(O2)又は一酸化二窒素(N2O)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下、若しくは酸素又は一酸化二窒素と水素(H2)と希ガス雰囲気下)で行う。また、プラズマ処理により窒化をする場合には、窒素雰囲気下(例えば、窒素(N2)と希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeの少なくとも一つを含む)雰囲気下、窒素と水素と希ガス雰囲気下、若しくはNH3と希ガス雰囲気下)でプラズマ処理を行う。希ガスとしては、例えばArを用いることができる。また、ArとKrを混合したガスを用いてもよい。
なお、プラズマ処理とは、半導体層、絶縁層、導電層に対する酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、水素化処理、表面改質処理を含んでいる。これらの処理は、その目的に応じて、供給するガスを選択すれば良い。
半導体層を酸化処理若しくは窒化処理を行うには以下のようにすれば良い。まず、処理室内を真空にし、ガス供給部から酸素又は窒素を含むプラズマ処理用ガスを導入する。基板は室温若しくは温度制御部により100℃乃至550℃に加熱する。
次に、マイクロ波供給部からアンテナにマイクロ波を供給する。そしてマイクロ波をアンテナから誘電体板を通して処理室内に導入することによって、プラズマを生成する。マイクロ波の導入によりプラズマの励起を行うと、低電子温度(3eV以下、好ましくは1.5eV以下)で高電子密度(1×1011cm−3以上)のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)及び/又は窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体層の表面を酸化又は窒化することができる。プラズマ処理用ガスにアルゴンなどの希ガスを混合させると、希ガスの励起種により酸素ラジカルや窒素ラジカルを効率良く生成することができる。この方法は、プラズマで励起した活性なラジカルを有効に使うことにより、500℃以下の低温で固相反応による酸化、窒化若しくは酸化と窒化の同時処理を行うことができる。
プラズマ処理により形成される好適なゲート絶縁層の一例は、酸化雰囲気下のプラズマ処理により半導体層に3nm乃至6nmの厚さで酸化シリコン層を形成し、その後窒素雰囲気下でその酸化シリコン層の表面を窒化して窒化シリコン層を形成した積層構造である。半導体層の代表例としてのシリコン層の表面をプラズマ処理で酸化することで、界面に歪みのない緻密な酸化膜を形成することができる。また、当該酸化膜をプラズマ処理で窒化することで、表層部の酸素を窒素に置換して窒化層を形成すると、さらに緻密化することができる。それにより絶縁耐圧が高い絶縁層を形成することができる。
いずれにしても、上記のようなプラズマ処理による固相酸化処理若しくは固相窒化処理を用いることで、耐熱温度が700℃以下のガラス基板を用いても、950℃乃至1050℃で形成される熱酸化膜と同等な絶縁層を得ることができる。すなわち、トランジスタのゲート絶縁層として信頼性の高い膜を形成することができる。
また、ゲート絶縁層308として、高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層308に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。高誘電率材料としては、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどを用いることができる。また、プラズマ処理による固相酸化により酸化シリコン層を形成しても良い。
また、薄い酸化珪素膜の形成方法としては、GRTA法、LRTA法等を用いて半導体領域表面を酸化し、熱酸化膜を形成することで、膜厚の薄い酸化珪素膜を形成することもできる。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流の少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
次いで、ゲート絶縁層308上にゲート電極層として用いる膜厚20〜100nmの第1の導電膜と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜とを積層して形成する。第1の導電膜及び第2の導電膜は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。第1の導電膜及び第2の導電膜はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジウム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、第1の導電膜として膜厚50nmのタングステン膜、第2の導電膜として膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、第3の導電膜として膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。本実施の形態では、第1の導電膜として窒化タンタル(TaN)を膜厚30nm形成し、第2の導電膜としてタングステン(W)を膜厚370nm形成する。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、第1の導電膜及び第2の導電膜を所望の形状に加工し、第1のゲート電極層310、第2のゲート電極層312を形成する(図4(A)参照。)。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、第1のゲート電極層及び第2のゲート電極層を所望のテーパー形状を有するようにエッチングすることができる。また、テーパー形状は、マスクの形状によっても角度等を制御することができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
本実施の形態では第1のゲート電極層、第2のゲート電極層を垂直な側面を有して形成する例を示すが、本発明はそれに限定されず、第1のゲート電極層及び第2のゲート電極層両方がテーパー形状を有していてもよいし、どちらか一方のゲート電極層の一層のみがテーパー形状を有し、他方は異方性エッチングによって垂直な側面を有していてもよい。テーパー角度も積層するゲート電極層間で異なっていても良いし、同一でもよい。テーパー形状を有することによって、その上に積層する膜の被覆性が向上し、欠陥が軽減されるので信頼性が向上する。
ゲート電極層を形成する際のエッチング工程によって、ゲート絶縁層308は多少エッチングされ、膜厚が減る(いわゆる膜減り)ことがある。
本実施の形態では、薄膜トランジスタを高速動作を可能とするために、ゲート電極層(第1のゲート電極層310、第2のゲート電極層312)をチャネル方向の幅を細く形成してもよい。
ゲート電極層をチャネル方向の幅を細く形成する2つの方法を以下に示す。
第1の方法はゲート電極層のマスクを形成した後、マスクを幅方向にエッチング、アッシング等により細らせ、さらに幅の細いマスクを形成する。あらかじめ幅細い形状に形成されたマスクを用いることによって、ゲート電極層も幅細い形状に形成することができる。
次に、第2の方法は通常のマスクを形成し、そのマスクを用いてゲート電極層を形成する。次に得られたゲート電極層を幅方向にさらにサイドエッチングして細らせる。よって最終的に幅の細いゲート電極層を形成することができる。以上の工程を経ることによって、後にチャネル長の短い薄膜トランジスタを形成することが可能であり、高速動作が可能な薄膜トランジスタを作製することが可能である。
次に、第1のゲート電極層310及び第2のゲート電極層312をマスクとして、一導電型を付与する不純物元素313を添加し、ソース領域又はドレイン領域である一導電型を有する不純物領域315a、315bを形成する。また、半導体層307にチャネル形成領域317が形成される(図4(B)参照。)。一導電型を付与する不純物元素は、n型を付与する不純物元素(例えばリン(P)やヒ素(As)等)であっても、p型を付与する不純物元素(例えばボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等)であってもよい。本実施の形態では、一導電型を付与する不純物元素としてn型を付与する不純物元素であるリン(P)を用いる。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を用いる。ここでは、ソース領域又はドレイン領域である一導電型を有する不純物領域315a、315bに、一導電型を付与する不純物元素が5×1019〜5×1020/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。
本発明では、不純物領域がゲート絶縁層を介してゲート電極層と重なる領域をLov領域と示し、不純物領域がゲート絶縁層を介してゲート電極層と重ならない領域をLoff領域と示す。
また、図4では、不純物領域においてハッチングと白地で示されているが、これは、白地部分に不純物元素が添加されていないということを示すのではなく、この領域の不純物元素の濃度分布がマスクやドーピング条件を反映していることを直感的に理解できるようにしたためである。なお、このことは本明細書の他の図面においても同様である。
一導電型を有する不純物領域315a、315bは、ソース領域又はドレイン領域として機能する。
不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、水素を含む絶縁膜311と、絶縁層319との積層構造とする(図4(C)参照。)。絶縁膜311と、絶縁層319は、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜311に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410度(℃)で1時間加熱処理を行う。
絶縁膜311と、絶縁層319としては他に窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザンを用いることができる。平坦性のよい塗布法によってされる塗布膜を用いてもよい。
絶縁膜311、絶縁層319は、ディップ、スプレー塗布、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、CVD法、蒸着法等を採用することができる。液滴吐出法により絶縁膜311、絶縁層319を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また、液滴吐出法のようにパターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用いることができる。
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜311、絶縁層319に半導体層に達するコンタクトホール(開口部)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。エッチングによって、絶縁膜311、絶縁層319を除去し、ソース領域又はドレイン領域である一導電型を有する不純物領域315a、315bに達する開口を形成する。エッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよく、両方用いてもよい。ウェットエッチングのエッチャントは、フッ素水素アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む混合溶液のようなフッ酸系の溶液を用いるとよい。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。
開口を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層320a、320bを形成する。配線層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、電界メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、及びSi、Ge、又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。本実施の形態では、チタン(Ti)を膜厚60nm形成し、窒化チタン膜を膜厚40nm形成し、アルミニウムを膜厚700nm形成し、チタン(Ti)を膜厚200nm形成して積層構造とし、所望な形状に加工する。
以上の工程で高速動作の可能な半導体層のチャネル形成領域が局所的に薄膜化された薄膜トランジスタ322を含む半導体装置を作製することができる(図4(C)参照。)。
本実施の形態において、薄膜トランジスタ322は、チャネル形成領域317のみを局所的に薄膜化するため、ソース領域及びドレイン領域である不純物領域315a、不純物領域315bにおいてソース電極層及びドレイン電極層である配線層320a、320bと接する領域は、薄膜化されずチャネル形成領域317より膜厚が厚い。よってソース領域及びドレイン領域を露出する開口(コンタクトホール)を形成する際、開口近くの半導体層が除去され消失するのを防止することができ、かつコンタクト抵抗(半導体層と配線層との)の増大を防止することができる。その結果、製造工程において歩留まりの低下を防止し、完成する半導体装置の高性能化を実現することができる。
また、半導体層の側面に側壁絶縁層を設けても良い。側壁絶縁層を設けることで半導体層上に形成するゲート絶縁層の被覆性を向上させることができる。半導体層側面に側壁絶縁層を設ける例を図18に示す。
なお、本明細書において、半導体層の「端部」とは、島状に形成された半導体層の縁部分(エッジ部分)を示す。半導体層の「側面」とは、半導体層の縁部分の面を示す。
図18において、薄膜トランジスタ362における半導体層307の側面は、側壁絶縁層として絶縁層355a、355bによって覆われている。半導体層307の側面と接する絶縁層355a、355bを設けることで、半導体層307の端部におけるゲート絶縁層308の被覆性を良好にすることができる。よって、半導体層307の端部におけるゲート絶縁層308の被覆不良に起因した不良、例えば半導体層とゲート電極層の短絡、リーク電流の発生、静電破壊等を防止することができる。
絶縁層355a、355bは、半導体層307を形成した後に、酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜を堆積し、異方性エッチングにより加工することで自己整合的に形成することができる。また、絶縁層355a、355bは、半導体層307の端部を酸化処理することによって選択的に絶縁化し形成することもできる。酸化処理は、酸素を含む雰囲気下でのプラズマ処理によって行うことができる。また、水溶液を用いて表面を酸化処理(ウェット酸化ともいう)してもよい。プラズマ処理の前に半導体層側端部にフッ素や塩素などのハロゲンを導入してから、プラズマ処理を行ってもよい。ハロゲン添加を行うと、酸化速度が速いため酸化が優先的に進み、半導体層側端部において膜厚の厚い絶縁層を形成することができる。
マスクを用いて半導体層の端部を露出させ、半導体装置端部を選択的にウェット酸化する場合、ウェット酸化は、例えば、5ppm以上、望ましくは20ppm以上、より望ましくは100ppm以上のオゾン(O3)を含む水溶液(代表的にはオゾン水)で半導体層端部の表面を処理することにより、半導体層の露出している部分に酸化膜からなる側壁絶縁層を形成することができる。なお、オゾンを含む水溶液にかえて、過酸化水素(H2O2)を含む水溶液、硫酸(H2SO4)を含む水溶液、ヨウ素酸(HIO3)を含む水溶液、又は硝酸(HNO3)を含む水溶液等を用いることもできる。また、それぞれの水溶液は、酢酸やしゅう酸等の有機酸を含んでいてもよい。
半導体層の端部の露出している部分から酸化を進めることができるため、半導体層の端部に選択的に厚く酸化膜を形成することができる。よって、半導体層の端部付近における電界集中を緩和することができ、ゲートリーク不良を低減し、ゲート電極の耐圧を向上させることが可能となる。
また、プラズマ処理を用いて半導体層の端部に側壁絶縁層を形成する場合、ウェット酸化で説明したように半導体層の端部のみ露出させた状態で酸素を含む雰囲気下で半導体層の端部をプラズマ処理することにより、側壁絶縁層を形成してもよい。また、島状の半導体層全面にプラズマ処理行い、半導体層表面を覆うように絶縁層を形成してもよい。
ゲート絶縁層308により半導体層307の端部を十分に被覆する、好ましくは半導体層307の側面と接する領域の膜厚を厚くすることで、半導体層307の端部に掛かる電界を緩和することができ、リーク電流の発生等を防止することができる。
また、ゲート絶縁層308と比較して、絶縁層355a、355bの誘電率を小さくすることが好ましい。ゲート絶縁層308と比較して、絶縁層355a、355bの誘電率を小さくすることで、半導体層の端部、特にコーナー部(角部)に電界が集中することを緩和できる。例えば、絶縁層355a、355bを比誘電率が2.5以下の低誘電率材料で形成しても良い。低誘電率材料としては、CVD法で作製される多孔質酸化シリコン、炭素若しくはフッ素含有酸化シリコンなどを用いることができる。絶縁層355a、355bを低誘電率材料で形成することで、膜厚を厚くした場合と同様な効果を得ることができる。ゲート絶縁層308に局所的に過度な電界が掛かることを防止でき、ゲート絶縁層308の絶縁不良を防止することができる。よって薄膜トランジスタ362を歩留まり良く製造することができ、完成する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
本実施の形態の半導体装置はゲート絶縁層の被覆不良によるゲート電極と半導体層とのショート及びリーク電流などの不良が防止された信頼性の高い半導体装置とすることができる。
従って、本発明により、サブスレッショルド値が低く、かつオン電流の低下を抑えた高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することを目的とした半導体装置の作製工程において、半導体層の他の作製方法を、図2及び図19を用いて説明する。なお、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
図2(A)乃至(D)に本発明を用いた本実施の形態の半導体層の形成方法の一例を示す。基板300上に下地膜として絶縁膜301を形成し、絶縁膜301上に半導体層302を形成する(図2(A)参照。)。
半導体層302において薄膜化する領域を選択的に除去し、スリット状に半導体層334b、334cが設けられた開口333を有する半導体層334a乃至334dを形成する(図2(B)参照。)。開口333において、半導体層334aと半導体層334bとの間、半導体層334bと半導体層334cとの間、半導体層334cと半導体層334dとの間に設けられたスリット(開口)において絶縁膜301が露出する。
次に、開口333を含む半導体層334a乃至334dにレーザ光335を照射し、加熱処理を行う。レーザ光335の加熱によって半導体層334a、334dの開口333における端部、及び半導体層334b、334cは溶融し、開口333の絶縁膜301上に流動する。開口333は半導体層334a、334dの開口333における端部及び半導体層334b、334cが溶融して流動した半導体材料によって充填され、開口333における絶縁膜301の露出領域は半導体材料によって覆われ、開口333上にも薄膜の半導体層338が形成される(図2(C)参照。)。開口333上に形成される半導体層領域は開口端部及び開口内に残存した半導体層334b、334dが流動した溶融した半導体材料によって形成されるので、膜厚が薄く局所的に薄膜化した領域となる。
このように開口に流動させる半導体材料は開口における半導体層端部領域の他に、薄膜化したい領域の半導体層を全て除去せず、一部開口に残存するように選択的に除去してもよい。例えば、本実施の形態のように開口をスリット状とし、加熱処理によってスリット間の半導体層を溶融し開口に流動させてもよい。加熱処理によってスリット間の半導体層は溶融するのでスリットは埋められスリット間の半導体層は一体となり、固化することによって連続的な薄膜となる。
開口に残存させる半導体層の形状はスリット状に限定されず、開口の面積、開口に形成する薄膜の膜厚、及び加える加熱処理のエネルギーによって適宜設定すればよい。
半導体層338を所望の形状に加工し、半導体層339を形成する(図2(D)参照。)。本実施の形態でも、図2(C)の点線部が示すように、半導体層334a及び半導体層334dもレーザ光により溶融し、開口333へ流動する例を示しており、半導体層334a、半導体層334dの膜厚も全体的に薄膜化している。しかし、開口333に半導体層334b、334cが設けられていたことから半導体層334b、334cの半導体材料も開口333を充填する材料として供給されるため、半導体層334a、半導体層334dの薄膜化は制御することができる。このように、開口に残存させる半導体層は、開口の面積や形成する薄膜の膜厚によって適宜設定することができる。
また、薄膜化領域を形成する半導体層への加熱処理によって半導体層の結晶化を同時に行ってもよい。特に加熱工程としてレーザ光の照射を行う場合、レーザ光の照射条件(照射方向、照射領域)によって半導体層の結晶成長の方向を制御することができる。もちろん、薄膜化領域を形成する半導体層への加熱処理を行った後、結晶化のための加熱工程(レーザ光の照射など)を行ってもよい。
本実施の形態では、半導体層334a、334bとして非晶質半導体層を形成し、レーザ光335によって半導体層334a、334bを溶融することで半導体層338の形状に加工しながら同時に結晶化し、半導体層339として結晶性半導体層を得る例を示す。
図19(A)(B)に本実施の形態の半導体層の作製工程の斜視図を示す。基板330上に設けられた絶縁膜331上に薄膜化領域に対応する複数のスリット状の開口を有する半導体層334が形成されている。図2は、開口333を有する半導体層の断面図である。薄膜化領域はチャネル形成領域として用いるため、開口は半導体素子の半導体層においてチャネル形成領域と対応する領域に設けられる。点線339は、半導体素子の半導体層の形状を示している。加熱処理により溶融する半導体層の領域は変化するので、開口の形状及び大きさはチャネル形成領域と完全に一致しなくてもよく、少なくとも後に形成するチャネル形成領域が局所的に薄膜化された領域内に形成できればよい。
図19(A)は、半導体層334にレーザ光335のビームスポットを矢印337の方向に走査しながら照射する例である。図19(A)のようにチャネル幅方向に平行にレーザ光335を照射すると、スリット状の開口間に設けられた半導体層及び開口において半導体層端部より開口に流動した半導体層は、チャネル長方向に膜厚が均一な半導体層とすることができる。
一方図19(B)は、半導体層334にレーザ光325のビームスポットを矢印326方向に走査しながら照射する例である。図19(B)のようにチャネル長方向に平行にレーザ光325を照射すると、開口に流動した半導体層は、チャネル長方向に結晶成長するように結晶化することができるために、薄膜トランジスタの移動度を向上させることができる。
以上の工程で、局所的に薄膜化した半導体層307を形成する。得られた膜厚の異なる領域を有する半導体層307において、局所的に薄膜化した領域をチャネル形成領域とし、薄膜化していない領域をソース領域及びドレイン領域として用いることでチャネル形成領域が局所的に薄膜化された半導体層を有する半導体素子を形成することができる。
得られる薄膜トランジスタは、半導体層(又は、さらにゲート絶縁層も)を薄膜化することによって、微細化できるため半導体装置の小型化が達成でき、かつより高速動作が可能となり、駆動電圧も低くすることができる。半導体層のチャネル形成領域の薄膜化は、チャネル形成領域の全域を空乏層化するように作用する。従って、半導体装置を低消費電力とすることができる。
さらに薄膜トランジスタは、チャネル形成領域のみを局所的に薄膜化するため、ソース領域及びドレイン領域においてソース電極層及びドレイン電極層と接する領域は、薄膜化されずチャネル形成領域より膜厚が厚い。よってソース領域及びドレイン領域を露出する開口(コンタクトホール)を形成する際、開口近くの半導体層が除去され消失するのを防止することができ、かつコンタクト抵抗(半導体層と電極層との)の増大を防止することができる。その結果、製造工程において歩留まりの低下を防止し、完成する半導体装置の高性能化を実現することができる。
従って、本実施の形態により、サブスレッショルド値が低く、かつオン電流の低下を抑えた高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することを目的とした半導体装置の作製工程において、半導体層の他の作製方法を、図5乃至図7を用いて説明する。なお、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
実施の形態1において半導体層を局所的に溶融させるための加熱処理にレーザ光の照射を用いる例を示した。図1においては開口及び開口周辺の半導体層へもレーザ光を照射し、半導体層304a、及び半導体層304bも完全に溶融させて開口へ半導体材料を流動させ、半導体層304a及び半導体層304bもやや均等に薄膜化している。レーザ光の照射領域及びエネルギーなどの照射条件を変えた他の例を説明する。
図5は、レーザ光を開口303付近のみに選択的に照射する例である。図5(A)に示すように基板300上に絶縁膜301が設けられ、絶縁膜301上に半導体層を302が形成されている。図1と同様に半導体層302を選択的に除去し、開口303を有する半導体層304a及び半導体層304bを形成する(図5(B)参照。)。次に、開口303及び半導体層304a、304bの開口端部のみに選択的にレーザ光340を照射する。レーザ光340によって半導体層304a、304bの開口における端部は局所的に溶融し、開口303に流動する。図1と異なり、半導体層304a、304bの全面にはレーザ光を照射しないため、開口303に流動する半導体材料は開口周囲の半導体層304a、304bの端部のみであるために半導体層304a、304bにおいて膜厚の減少を抑えることができる。図5(C)においては半導体層304a、304bの端部のみしか開口303に流動しないため、得られた半導体層341において局所的に薄膜化された領域342は開口303の領域よりやや広くなっている。このようにレーザ光の照射領域によって得られる薄膜化領域は制御することができる。半導体層341をエッチングにより加工し、局所的に薄膜化された島状の半導体層343を形成することができる(図5(D)参照。)。
レーザ光照射領域において、レーザ光のエネルギー分布を有してレーザ光を照射し加熱工程を行う例を図6(A)乃至(C)に示す。図6(A)は開口を有する半導体層において、開口及びその周辺に照射するレーザ光370を他の領域に照射するレーザ光371a、371bより高いエネルギーとし、局所的に薄膜化された半導体層372を形成する例である。
図6(B)は開口を有する半導体層において、開口端部を露出した保護層376a、376bを設けレーザ光375のエネルギーを消失、または軽減するマスクとして用いるものである。保護層376a、376bにより開口及びその周辺に照射するレーザ光375を他の領域に照射するレーザ光375より高いエネルギーとし、局所的に薄膜化された半導体層377を形成することができる。
図6(C)は開口を有する半導体層において、開口端部とそれ以外の領域のレーザ光に対する特性を変化させた例である。例えば半導体層を選択的に結晶化し、開口端部とそれ以外の半導体層において結晶性を異なせておく。図6(C)においては、開口端部を非晶質半導体領域とし、他の領域をより結晶性の高い結晶性半導体領域381a、381bとする。レーザ光380に対して吸収が異なる領域を有する半導体層にレーザ光380を照射することによって開口及びその周辺に照射するレーザ光380が与えるエネルギーを他の領域に照射するレーザ光380が与えるエネルギーより高いエネルギーとし、局所的に薄膜化された半導体層382を形成することができる。
また、半導体層を素子ごとの島状の半導体層に加工する工程を局所的に薄膜化する加熱処理の前に行ってもよい。図7に薄膜化領域を形成するために選択的に半導体層を除去する工程で、素子単位に島状に半導体層を加工する例を示す。図7(A)において、基板300上に絶縁膜301が設けられ、絶縁膜301上に半導体層302が形成されている。半導体層302を選択的にエッチングし、開口390を有する島状の半導体層391a、391bを形成する。半導体層391a、391bは後に形成される薄膜トランジスタの素子サイズに加工されている。
開口390を有する島状の半導体層391a、391bに対してレーザ光392を照射し、半導体層半導体層391a、391bの開口390端部を溶融し、半導体材料を開口390に流動させることによって、絶縁膜301上に薄膜化領域を形成する。この場合半導体層391a、391bは島状に加工されているために開口以外の半導体層端部の半導体層も同様に溶融し絶縁膜301上にやや濡れ広がる。従って、半導体層393は局所的に薄膜化された領域を有し、かつ端部に曲率を有するテーパー形状となる。本発明は、半導体層を溶融させ流動させて形状を加工するために端部が曲率を有する丸みを帯びた形状とすることができる。そのため半導体層上に形成されるゲート絶縁層によって被覆性よく覆うことができる。従ってゲート絶縁層の被覆不良による特性不良を防ぐことができ、高信頼性の半導体装置を歩留まりよく作製することができる。
得られた膜厚の異なる領域を有する半導体層において、局所的に薄膜化した領域をチャネル形成領域とし、薄膜化していない領域をソース領域及びドレイン領域として用いることでチャネル形成領域が局所的に薄膜化された半導体層を有する半導体素子を形成することができる。
得られる薄膜トランジスタは、半導体層(又は、さらにゲート絶縁層も)を薄膜化することによって、微細化できるため半導体装置の小型化が達成でき、かつより高速動作が可能となり、駆動電圧も低くすることができる。半導体層のチャネル形成領域の薄膜化は、チャネル形成領域の全域を空乏層化するように作用する。従って、半導体装置を低消費電力とすることができる。
さらに薄膜トランジスタは、チャネル形成領域のみを局所的に薄膜化するため、ソース領域及びドレイン領域においてソース電極層及びドレイン電極層と接する領域は、薄膜化されずチャネル形成領域より膜厚が厚い。よってソース領域及びドレイン領域を露出する開口(コンタクトホール)を形成する際、開口近くの半導体層が除去され消失するのを防止することができ、かつコンタクト抵抗(半導体層と電極層との)の増大を防止することができる。その結果、製造工程において歩留まりの低下を防止し、完成する半導体装置の高性能化を実現することができる。
従って、本実施の形態により、サブスレッショルド値が低く、かつオン電流の低下を抑えた高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することを目的とした半導体装置の作製方法の一例としてCMOS(相補型金属酸化物半導体:Complementary Metal Oxide Semiconductor)に関して図8及び図9を用いて説明する。なお、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
基板200上に下地膜として絶縁膜201を形成し、絶縁膜201上に半導体層を形成する。半導体層において薄膜化する領域を選択的に除去し、開口を有する半導体層202a、半導体層202b、半導体層202cを形成する(図8(A)参照。)。開口において、絶縁膜201が露出する。半導体層202a、202b、202cは実施の形態1と同様の材料及び方法で形成すればよい。
次に、半導体層202a、202b、202c及び開口にレーザ光203を照射し、加熱処理を行う。レーザ光203の加熱によって半導体層202a、202b、202cの開口における端部は溶融し、開口の絶縁膜201上に流動する。開口は端部より流動した半導体材料によって充填され、開口における絶縁膜201の露出領域は半導体材料によって覆われ、開口上にも薄膜の半導体層を有する半導体層204が形成される(図8(B)参照。)。開口上に形成される半導体層領域は開口端部より流動した溶融した半導体材料によって形成されるので、膜厚が薄く局所的に薄膜化した領域となる。
半導体層204を所望の形状に加工し、局所的に薄膜化された島状の半導体層205及び半導体層206を形成する(図8(C)参照。)。
薄膜トランジスタの半導体層205、206としては結晶性半導体層を用いることが好ましい。非晶質半導体層を加熱処理によって結晶化して結晶性半導体層としてもよい。この場合の結晶化工程は、薄膜化領域を形成する半導体層への加熱処理の前でも後でもよい。
また、薄膜化領域を形成する半導体層への加熱処理によって半導体層の結晶化を同時に行ってもよい。特に加熱工程としてレーザ光の照射を行う場合、レーザ光の照射条件(照射方向、照射領域)によって半導体層の結晶成長の方向を制御することができる。もちろん、薄膜化領域を形成する半導体層への加熱処理を行った後、結晶化のための加熱工程(レーザ光の照射など)を行ってもよい。
絶縁膜201としては、窒化珪素、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。なお本明細書中において酸化窒化珪素とは酸素の含有量が窒素の含有量より大きい物質であり、窒素を含む酸化珪素とも言える。同様に、窒化酸化珪素とは、窒素の含有量が酸素の含有量より大きい物質であり、酸素を含む窒化珪素とも言える。
絶縁膜201は必ずしも設ける必要はないが、溶融した半導体材料を効率よく流動させるために、半導体層302の被形成領域は半導体材料に対してぬれ性の高い絶縁膜301を形成することが好ましい。半導体層として珪素膜を用いる場合、絶縁膜301に窒素珪素を含む膜と膜を用いると、半導体材料の珪素とのぬれ性が良いため好ましい。例えば、モノシラン(SiH4、)、アンモニア(NH3)、及び亜酸化窒素(N2O)を反応ガスとしてCVD法によって形成した酸化窒化珪素膜などを用いることができる。また、絶縁膜301としてシリコンカーバイドなども用いることができる。
また、絶縁膜201の他の材料として、窒化アルミニウム、酸素含有量が窒素含有量よりも多い酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。シロキサンを含む材料を用いてもよい。なお、シロキサンとは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
絶縁膜201は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemmical Vapor Deposition)、また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。
本実施の形態において、半導体層の薄膜化領域を形成する以外の加工は、フォトリソグラフィ工程などを用いてマスクを形成し、エッチングによって加工すればよい。
所望の形状に加工するエッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良い。大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素系のガス、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
本実施の形態では、半導体層202a、202b、202cの開口における端部を溶融させるための加熱工程をレーザ光203の照射によって行う例を示すが、本発明はこれに限定されない。他の加熱処理工程、光照射工程を用いてもよい。
本実施の形態の半導体装置において、薄膜トランジスタの半導体層307のチャネル形成領域の膜厚は、5nm以上30nm以下、より好ましくは10nm以上20nm以下とすればよい。
本発明では、薄膜トランジスタの半導体層307においてチャネル形成領域を局所的に薄膜化し(膜厚は、5nm以上30nm以下、より好ましくは10nm以上20nm以下)、かつソース領域及びドレイン領域においてソース電極層及びドレイン電極層と接続する領域は薄膜化されない(膜厚は、25nm以上100nm以下、より好ましくは50nm以上60nm以下)ことを特徴としている。従って、半導体層において、チャネル形成領域以外の、ソース領域及びドレイン領域の一部や、チャネル形成領域とソース領域及びドレイン領域との間に設けることができる低濃度不純物領域なども、薄膜化されていてもよい。
半導体層を薄膜化することで、短チャネル効果を抑制しすることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧を小さくすることが可能であり、低電圧駆動をすることができる。
半導体層を薄膜で形成することにより、TFTをより小型化することができる。また、TFTのしきい値電圧を小さくするためにチャネル形成領域への不純物元素のドープ量を増加させた場合でも、半導体層を薄膜で形成することにより完全空乏型のTFTを作製しやすくなるため、良好なS値でしきい値電圧の小さなTFTを作製することができる。
このようにして得られた半導体層に対して、薄膜トランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ボロンまたはリン)のドーピングを選択的に行う。この不純物元素のドーピングは、結晶化工程の前の非晶質半導体膜に行ってもよい。非晶質半導体膜の状態で不純物元素をドーピングすると、その後の結晶化のための加熱処理によって、不純物の活性化も行うことができる。また、ドーピングの際に生じる欠陥等も改善することができる。
また、下地膜である絶縁膜に不純物元素を添加し、加熱処理によって半導体膜に間接的に添加してもよい。この場合、半導体層に直接不純物元素をドーピング等によって添加せずによいため、ドーピングの際に生じる欠陥等も防止でき、半導体膜の結晶性に影響を与えない。さらに、結晶化のための加熱処理によって、不純物元素の活性化も行うことができる。
半導体層上の酸化膜を除去し、半導体層205、206を覆うゲート絶縁層207を形成する。本実施の形態において、薄膜トランジスタのゲート絶縁層207の膜厚は、好ましくは1nm以上10nm以下、より望ましくは5nm程度とすればよい。ゲート絶縁層207の薄膜化は、薄膜トランジスタを低電圧で高速に動作させる効果がある。
本発明は、半導体層を溶融させ流動させて形状を加工するために端部が曲率を有する丸みを帯びた形状とすることができる。そのため半導体層上に形成されるゲート絶縁層によって被覆性よく覆うことができる。従ってゲート絶縁層の被覆不良による特性不良を防ぐことができ、高信頼性の半導体装置を歩留まりよく作製することができる。
ゲート絶縁層207は酸化珪素、若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁層207は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。
また、ゲート絶縁層207として、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどの高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁層207に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。
ゲート絶縁層207上にゲート電極層208及びゲート電極層209を形成する(図8(D)参照。)。ゲート電極層208、209は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層208、209はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジウム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層208、209としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。
半導体層206を覆うマスク211を形成する。マスク211及びゲート電極層208をマスクとして、n型を付与する不純物元素210を添加し、第1のn型不純物領域212a、212bを形成する(図8(E)参照。)。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を用いる。ここでは、第1のn型不純物領域212a、212bに、n型を付与する不純物元素が1×1017〜5×1018/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。本実施の形態では、n型を付与する不純物元素としてリン(P)を用いる。
次に、半導体層205を覆うマスク214を形成する。マスク214、ゲート電極層209をマスクとしてp型を付与する不純物元素213を添加し、第1のp型不純物領域215a、第1のp型不純物領域215bを形成する。本実施の形態では、不純物元素としてボロン(B)を用いるため、不純物元素を含むドーピングガスとしてはジボラン(B2H6)などを用いる。
マスク214を除去し、ゲート電極層208、209の側面にサイドウォール構造の側壁絶縁層216a乃至216dを形成する。側壁絶縁層216a乃至216dは、ゲート電極層208、209を覆う絶縁層を形成した後、これをRIE(Reactive ion etching:反応性イオンエッチング)法による異方性のエッチングによって加工し、ゲート電極層208、209の側壁に自己整合的にサイドウォール構造の側壁絶縁層216a乃至216dを形成すればよい。ここで、絶縁層について特に限定はなく、TEOS(Tetra−Ethyl−Orso−Silicate)若しくはシラン等と、酸素若しくは亜酸化窒素等とを反応させて形成した段差被覆性のよい酸化珪素であることが好ましい。絶縁層は熱CVD、プラズマCVD、常圧CVD、バイアスECRCVD、スパッタリング等の方法によって形成することができる。
また、本実施の形態では、絶縁層をエッチングする際、ゲート電極層上の絶縁層を除去し、ゲート電極層を露出させるが、絶縁層をゲート電極層上に残すような形状に側壁絶縁層216a乃至216dbを形成してもよい。本実施の形態では、後工程でゲート電極層上に保護膜として絶縁膜227を形成する。このようにゲート電極層を保護することによって、エッチング加工する際、ゲート電極層の膜減りを防ぐことができる。また、ソース領域及びドレイン領域にシリサイドを形成する場合、シリサイド形成時に成膜する金属膜とゲート電極層とが接しないので、金属膜の材料とゲート電極層の材料とが反応しやすい材料であっても、化学反応や拡散などの不良を防止することができる。エッチング方法は、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でもよく、種々のエッチング方法を用いることができる。本実施の形態では、ドライエッチング法を用いる。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
次に半導体層206を覆うマスク218を形成する。マスク218、ゲート電極層208、側壁絶縁層216a、216bをマスクとしてn型を付与する不純物元素217を添加し、第2のn型不純物領域219a、219b、第3のn型不純物領域220a、220bが形成される。本実施の形態では、不純物元素を含むドーピングガスとしてPH3を用いる。ここでは、第2のn型不純物領域219a、219bにn型を付与する不純物元素が5×1019〜5×1020/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。また、半導体層205にチャネル形成領域221が形成される(図9(B)参照。)。
第2のn型不純物領域219a、第2のn型不純物領域219bは高濃度n型不純物領域であり、ソース、ドレインとして機能する。一方、第3のn型不純物領域220a、220bは低濃度不純物領域であり、LDD(LightlyDoped Drain)領域となる。第3のn型不純物領域220a、220bはゲート電極層208に覆われていないLoff領域に形成されるため、オフ電流を低減する効果がある。この結果、さらに信頼性の高く、低消費電力の半導体装置を作製することが可能である。
マスク218を除去し、半導体層205を覆うマスク223を形成する。マスク223、ゲート電極層209、側壁絶縁層216c、216dをマスクとして、p型を付与する不純物元素222を添加し、第2のp型不純物領域224a、224b、第3のp型不純物領域225a、225bを形成する。
第2のp型不純物領域224a、224bにp型を付与する不純物元素が1×1020〜5×1021/cm3程度の濃度で含まれるように添加する。本実施の形態では、第3のp型不純物領域225a、225bは、側壁絶縁層216c、216dにより、自己整合的に第2のp型不純物領域224a、224bより低濃度となるように形成する。また、半導体層206にチャネル形成領域226が形成される(図9(C)参照。)。
第2のp型不純物領域224a、224bは高濃度p型不純物領域であり、ソース、ドレインとして機能する。一方、第3のp型不純物領域225a、225bは低濃度不純物領域であり、LDD(LightlyDoped Drain)領域となる。第3のp型不純物領域225a、225bはゲート電極層209に覆われていないLoff領域に形成されるため、オフ電流を低減する効果がある。この結果、さらに信頼性の高く、低消費電力の半導体装置を作製することが可能である。
マスク223を除去し、不純物元素を活性化するために加熱処理、強光の照射、又はレーザ光の照射を行ってもよい。活性化と同時にゲート絶縁層へのプラズマダメージやゲート絶縁層と半導体層との界面へのプラズマダメージを回復することができる。
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、保護膜となる水素を含む絶縁膜227と、絶縁層228との積層構造とする。絶縁膜227と絶縁層228は、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜227に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410度(℃)で1時間加熱処理を行う。
絶縁膜227、絶縁層228としては他に窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、ポリシラザンを用いることができる。平坦性のよい塗布法によってされる塗布膜を用いてもよい。
絶縁膜227、絶縁層228は、ディップ、スプレー塗布、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、CVD法、蒸着法等を採用することができる。液滴吐出法により絶縁膜227、絶縁層228を形成してもよい。液滴吐出法を用いた場合には材料液を節約することができる。また、液滴吐出法のようにパターンが転写、または描写できる方法、例えば印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)なども用いることができる。
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜227、絶縁層228に半導体層に達するコンタクトホール(開口)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。エッチングによって、絶縁膜227、絶縁層228を除去し、ソース領域又はドレイン領域である第2のn型不純物領域219a、219b、第2のp型不純物領域224a、224bに達する開口を形成する。エッチングは、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよく、両方用いてもよい。ウェットエッチングのエッチャントは、フッ素水素アンモニウム及びフッ化アンモニウムを含む混合溶液のようなフッ酸系の溶液を用いるとよい。エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。添加する不活性元素としては、He、Ne、Ar、Kr、Xeから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。
開口を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層229a、229b、230a、230bを形成する。配線層は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、電界メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba等の金属、及びSi、Ge、又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。本実施の形態では、チタン(Ti)を膜厚60nm形成し、窒化チタン膜を膜厚40nm形成し、アルミニウムを膜厚700nm形成し、チタン(Ti)を膜厚200nm形成して積層構造とし、所望な形状に加工する。
以上の工程でCMOS構造のnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ231及びpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ232を含む半導体装置を作製することができる(図9(D)参照。)。図示しないが、本実施の形態はCMOS構造であるため、薄膜トランジスタ231と薄膜トランジスタ232とは電気的に接続している。
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
従って、本発明により、サブスレッショルド値が低く、かつオン電流の低下を抑えた高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することを目的とした半導体装置の作製方法の一例としてシリサイドを有するCMOSに関して図10を用いて説明する。なお、実施の形態1と同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態は、実施の形態4においてシリサイド構造を有する半導体装置の例である。図10(A)は、図9(C)の工程後に対応している。
側壁絶縁層216a乃至216d、ゲート電極層208、209をマスクとしてゲート絶縁層207をエッチングし半導体層205、206のソース領域及びドレイン領域を露出させる。ゲート絶縁層207は選択的にエッチングされ、ゲート絶縁層250、251となる(図10(B)参照。)。
半導体層205、206、側壁絶縁層216a乃至216d上に導電膜252を形成する(図10(C)参照。)。導電膜252の材料としては、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、Ha(ハフニウム)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ネオジム(Nb)、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等を有する膜を成膜する。ここでは、スパッタリング法により、ニッケル膜を成膜する。
次に、加熱処理、GRTA法、LRTA法等により、露出されたソース領域及びドレイン領域の半導体層中の珪素と導電膜252とを反応させて、シリサイド253a、253b、シリサイド254a、254bを形成する(図10(D)参照。)。また、レーザ照射やランプによる光照射によってシリサイドを形成しても良い。この後、半導体層と反応しなかった導電膜252を除去する。図10(D)は、シリサイド253a、253b、シリサイド254a、254bはソース領域及びドレイン領域である第2のn型不純物領域219a、219b、第2のp型不純物領域224a、224b表面に形成される例を示すが、図10(E)のように第2のn型不純物領域219a、219b、第2のp型不純物領域224a、224b全域にわたってシリサイドが形成されてもよい。シリサイドは導電膜の膜厚や、加熱条件(温度、時間)によって制御することができる。
シリサイド構造によって、ソース領域及びドレイン領域の低抵抗化が可能であり、半導体装置の高速化が可能となる。さらに、低電圧での動作が可能であるため、消費電力を低減することができる。
次いで、ゲート電極層、ゲート絶縁層を覆う層間絶縁層を形成する。本実施の形態では、保護膜となる水素を含む絶縁膜257と、絶縁層258との積層構造とする。絶縁膜257と絶縁層258は、スパッタ法、またはプラズマCVDを用いた窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化珪素膜でもよく、他の珪素を含む絶縁膜を単層または3層以上の積層構造として用いても良い。
さらに、窒素雰囲気中で、300〜550℃で1〜12時間の熱処理を行い、半導体層を水素化する工程を行う。好ましくは、400〜500℃で行う。この工程は層間絶縁層である絶縁膜227に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。本実施の形態では、410度(℃)で1時間加熱処理を行う。
次いで、レジストからなるマスクを用いて絶縁膜257、絶縁層258に半導体層に達するコンタクトホール(開口)を形成する。エッチングは、用いる材料の選択比によって、一回で行っても複数回行っても良い。エッチングによって、絶縁膜257、絶縁層258を除去し、ソース領域又はドレイン領域に設けられたシリサイド253a、253b、シリサイド254a、254bに達する開口部を形成する。
開口を覆うように導電膜を形成し、導電膜をエッチングして各ソース領域又はドレイン領域の一部とそれぞれ電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層として機能する配線層259a、259b、260a、260bを形成する。
以上の工程でシリサイドを有するCMOS構造のnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ261及びpチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ262を含む半導体装置を作製することができる(図10(F)参照。)。図示しないが、本実施の形態はCMOS構造であるため、薄膜トランジスタ261と薄膜トランジスタ262とは電気的に接続している。
従って、本発明により、サブスレッショルド値が低く、かつオン電流の低下を抑えた高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態は、本実施の形態では、高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することを目的とした半導体装置の作製方法の一例として不揮発性半導体記憶装置の一例に関して図17を用いて説明する。
不揮発性記憶素子は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field effect transistor)と類似の構造を有し、電荷を長期間蓄積することのできる領域がチャネル形成領域上に設けられているところに特徴がある。この電荷蓄積領域は絶縁層上に形成され、周囲と絶縁分離されていることから浮遊ゲート電極層とも呼ぶ。また浮遊ゲート電極層は電荷を蓄積する機能を有するので電荷蓄積層ともよぶ。本明細書では主に浮遊ゲート電極層を含むこの電荷蓄積領域を電荷蓄積層とよぶ。浮遊ゲート電極層上には、さらに絶縁層を介して制御ゲート電極層を備えている。
このような構造を有する所謂浮遊ゲート型の不揮発性半導体記憶装置は、制御ゲート電極層に印加する電圧により、電荷蓄積層に電荷を蓄積させ、また放出させる動作が行われる。すなわち電荷蓄積層に保持させる電荷の出し入れにより、データを記憶する仕組みになっている。具体的に、電荷蓄積層への電荷の注入や引き抜きは、チャネル形成領域が形成される半導体層と、制御ゲート電極層の間に高電圧を印加して行われている。このときチャネル形成領域上の絶縁層には、ファウラー−ノルドハイム(Fowler−Nordheim)型(F−N型)トンネル電流(NAND型)や、熱電子(NOR型)が流れると言われている。このことより当該絶縁層は、トンネル絶縁層とも呼ばれている。
図17は本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置である半導体装置の一例である。
半導体層の下地膜として機能する絶縁層501が形成された基板500上に、不揮発性メモリ素子であるメモリ素子515、層間絶縁層である絶縁膜508、絶縁膜509が形成されている。メモリ素子515は、一導電型を有する不純物領域512a、512b、シリサイド513a、513b及びチャネル形成領域511よりなる半導体層、側壁絶縁層504a、504b、第1の絶縁層520、電荷蓄積層521、第2の絶縁層505、制御ゲート電極層506、側壁絶縁層507a、507b、配線層510a、510bを含んでいる。(図17参照。)。
本実施の形態の半導体層も実施の形態1と同様に形成する。半導体層の局所的に薄膜化された領域を、加熱処理により周辺の半導体層を溶融し、その溶融した半導体材料を流動させることによって形成する。薄膜化領域に開口を有する島状の半導体層を形成し、開口周辺の半導体層端部をレーザ光により局所的に加熱することによって溶融し、溶融した半導体材料を開口に流動させ開口を充填する。流動した半導体材料によって開口は埋められ、固化することによって膜厚の薄い半導体層領域となる。従って半導体層は局所的に薄膜化領域を有する連続した半導体層となる。
半導体層を溶融させ流動させて形状を加工するために端部が曲率を有する丸みを帯びた形状とすることができる。そのため半導体層上に形成されるゲート絶縁層によって被覆性よく覆うことができる。従ってゲート絶縁層の被覆不良による特性不良を防ぐことができ、高信頼性の半導体装置を歩留まりよく作製することができる。
得られた膜厚の異なる領域を有する半導体層において、局所的に薄膜化した領域をチャネル形成領域とし、薄膜化していない領域をソース領域及びドレイン領域として用いることでチャネル形成領域が局所的に薄膜化された半導体層を有する半導体素子を形成することができる。
得られる薄膜トランジスタは、半導体層(又は、さらにゲート絶縁層も)を薄膜化することによって、微細化できるため半導体装置の小型化が達成でき、かつより高速動作が可能となり、駆動電圧も低くすることができる。半導体層のチャネル形成領域の薄膜化は、チャネル形成領域の全域を空乏層化するように作用する。従って、半導体装置を低消費電力とすることができる。
さらに薄膜トランジスタは、チャネル形成領域のみを局所的に薄膜化するため、ソース領域及びドレイン領域においてソース電極層及びドレイン電極層と接する領域は、薄膜化されずチャネル形成領域より膜厚が厚い。よってソース領域及びドレイン領域を露出する開口(コンタクトホール)を形成する際、開口近くの半導体層が除去され消失するのを防止することができ、かつコンタクト抵抗(半導体層と電極層との)の増大を防止することができる。その結果、製造工程において歩留まりの低下を防止し、完成する半導体装置の高性能化を実現することができる。
本実施の形態では、不純物領域512a、512b、シリサイド513a、513bには一導電型を付与する不純物元素としてn型を付与する不純物元素(リン(P)、ヒ素(As)など)を含んでおり、不純物領域512a、512b、シリサイド513a、513bはメモリ素子においてソース及びドレインとして機能する領域である。また不純物領域512a、512bより低濃度な低濃度不純物領域を不純物領域512a、512bとチャネル形成領域511との間に設けてもよい。
素子領域、電荷蓄積層、制御ゲート電極層の大きさの組み合わせは図17に限定されない。素子領域、電荷蓄積層、制御ゲート電極層の大きさの組み合わせによって、電荷蓄積層及び制御ゲート電極層の間第2のゲート絶縁層に蓄えられる容量と、電荷蓄積層及び半導体層の間第1の絶縁層520に蓄えられる容量を制御することができるため、印加する電圧値も制御することができる。
層間絶縁層である、絶縁膜508、509としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素などを用いることができ、単層でも2層、3層といった積層構造でもよい。
また、絶縁膜508、509の他の材料として、窒化アルミニウム、酸素含有量が窒素含有量よりも多い酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。シロキサンを含む材料を用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
絶縁膜508、509は、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)、また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。
所望の形状に加工するエッチング加工は、プラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良い。大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素系のガス、又はCl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
半導体層は、結晶性半導体で形成されたものを用いることが好ましい。例えば、基板上にスパッタリング法、プラズマCVD法若しくは減圧CVD法によって基板の全面に形成された半導体層を結晶化させ、形成することができる。半導体材料としては、シリコンが好ましく、その他にシリコンゲルマニウム半導体を用いることもできる。半導体層の結晶化法としては、レーザ結晶化法、瞬間熱アニール(RTA)又はファーネスアニール炉を用いた熱処理による結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる結晶化法又はこれら方法を組み合わせて行う方法を採用することができる。
半導体層にはp型不純物が注入されていても良い。p型不純物として、例えばホウ素が用いられ、5×1015atoms/cm3〜1×1016atoms/cm3程度の濃度で添加されていても良い。これは、半導体素子のしきい値電圧を制御するためのものであり、チャネル形成領域253に添加されることで有効に作用する。
第1の絶縁層520は酸化シリコン若しくは酸化シリコンと窒化シリコンの積層構造で形成すればよい。第1の絶縁層254は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁層を堆積することで形成しても良いが、好ましくはプラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層(代表的にはシリコン層)を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成した絶縁層は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。第1の絶縁層520は、電荷蓄積層521に電荷を注入するためのトンネル絶縁層として用いるので、このように丈夫であるものが好ましい。この第1の絶縁層520は1nm〜20nm、好ましくは3nm〜6nmの厚さに形成することが好ましい。例えば、ゲート長を600nmとする場合、第1の絶縁層254は3nm〜6nmの厚さに形成することができる。
図17において、プラズマ処理により形成される好適な第1の絶縁層520の一例は、酸化雰囲気下のプラズマ処理により半導体層上に3nm〜6nmの厚さで酸化珪素層を形成し、その後窒素雰囲気下でその酸化珪素層の表面を窒化プラズマで処理した窒素プラズマ処理層を形成する。具体的には、まず、酸素雰囲気下でのプラズマ処理により半導体層上に3nm〜6nmの厚さで酸化珪素層を形成する。その後、続けて窒素雰囲気下でプラズマ処理を行うことにより酸化珪素層の表面又は表面近傍に窒素濃度の高い窒素プラズマ処理層を設ける。なお、表面近傍とは、酸化珪素層の表面から概略0.5nm〜1.5nmの深さをいう。例えば、窒素雰囲気下でプラズマ処理を行うことによって、酸化珪素層の表面から概略1nmの深さに窒素を20〜50原子%の割合で含有した構造となる。
半導体層の代表例としての珪素層の表面をプラズマ処理で酸化することで、界面に歪みのない緻密な酸化層を形成することができる。また、当該酸化層をプラズマ処理で窒化することで、表層部の酸素を窒素に置換して窒化層を形成すると、さらに緻密化することができる。それにより絶縁耐圧が高い絶縁層を形成することができる。
いずれにしても、上記のようなプラズマ処理による固相酸化処理若しくは固相窒化処理を用いることで、耐熱温度が700℃以下のガラス基板を用いても、950℃〜1050℃で形成される熱酸化膜と同等な絶縁層を得ることができる。すなわち、不揮発性メモリ素子のトンネル絶縁層として信頼性の高いトンネル絶縁層を形成することができる。
電荷蓄積層521は第1の絶縁層520上に形成される。この電荷蓄積層521は、単層でもよいし、複数の層を積層して設けてもよい。
電荷蓄積層521としては、半導体材料または導電性材料の層または粒子で形成し浮遊ゲートとすることができる。半導体材料としては、シリコン、シリコンゲルマニウム等がある。シリコンを用いる場合、アモルファスシリコンやポリシリコンを用いることができる。さらには、リンがドープされたポリシリコンを用いることができる。導電性材料としては、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)から選ばれた元素、前記元素を主成分とする合金、前記元素を組み合わせた合金膜(代表的にはMo−W合金膜、Mo−Ta合金膜)、あるいは導電性を付与した珪素膜で形成すれば良い。このような材料から成る導電層の下には窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)膜、窒化モリブデン(MoN)などの窒化物、タングステンシリサイド、チタンシリサイド、モリブデンシリサイドなどのシリサイドを形成しておいても良い。更には、上記半導体材料同士、導電性材料同士、または半導体材料及び導電性材料の積層構造としてもよい。例えば、シリコン層及びゲルマニウム層の積層構造としてもよい。
また、電荷蓄積層521として、絶縁性であり、電荷を保持するトラップを有する層で形成することもできる。このような材料の代表例として、代表的にはシリコン化合物、ゲルマニウム化合物がある。シリコン化合物としては、窒化珪素、酸窒化珪素、水素が添加された酸窒化珪素等がある。ゲルマニウム化合物としては、窒化ゲルマニウム、酸素が添加された窒化ゲルマニウム、窒素が添加された酸化ゲルマニウム、酸素及び水素が添加された窒化ゲルマニウム、窒素及び水素が添加された酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物等がある。
第2の絶縁層505は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン(SiOxNy)(x>y)、窒化シリコン(SiNx)又は窒化酸化シリコン(SiNxOy)(x>y)、酸化アルミニウム(AlxOy)などの一層若しくは複数層を、減圧CVD法やプラズマCVD法などで形成する。また、電荷蓄積層521にプラズマ処理を行い、その表面を窒化処理した窒化膜(例えば、電荷蓄積層521としてシリコンを用いた場合には窒化シリコン)を形成してもよい。いずれにしても、第1の絶縁層520と第2の絶縁層505が、電荷蓄積層521と接する側の一方又は双方を窒化膜若しくは窒化処理された層とすることで、電荷蓄積層521の酸化を防ぐことができる。
制御ゲート電極層506はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された金属、又はこれらの金属を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成することが好ましい。また、リン等の不純物元素を添加した多結晶シリコンを用いることができる。また、一層又は複数層の金属窒化物層と上記の金属層の積層構造で制御ゲート電極層506を形成しても良い。金属窒化物としては、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化チタンを用いることができる。金属窒化物層を設けることにより、金属層の密着性を向上させることができ、剥離を防止することができる。
配線層510a、510bは、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素(SiO2)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、またはタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物から選ぶことができる。
電荷蓄積層に電子を注入するには、熱電子を利用する方法と、F−N型トンネル電流を利用する方法がある。熱電子を利用する場合には、正の電圧を制御ゲート電極層に印加して、ドレインに高電圧を印加して熱電子を発生させる。それにより、熱電子を電荷蓄積層に注入することができる。F−N型トンネル電流を利用する場合には、正の電圧を制御ゲート電極層に印加して半導体層からF−N型トンネル電流により電荷蓄積層に注入する。
シリサイド構造によって、ソース領域及びドレイン領域の低抵抗化が可能であり、半導体装置の高速化が可能となる。さらに、低電圧での動作が可能であるため、消費電力を低減することができる。
従って、本実施の形態により、サブスレッショルド値が低く、かつオン電流の低下を抑えた高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することができる。
(実施の形態7)
本発明に係る半導体装置は、CPU(中央演算回路:Central Processing Unit)等の集積回路に適用することができる。本実施の形態では、実施の形態1乃至6に示した半導体装置を適用したCPUの例に関して、図面を用いて以下に説明する。
図11に示すCPU3660は、基板3600上に演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)3601、演算回路用制御回路部(ALU Controller)3602、命令解析部(Instruction Decoder)3603、割り込み制御部(Interrupt Controller)3604、タイミング制御部(Timing Controller)3605、レジスタ(Register)3606、レジスタ制御部(Register Controller)3607、バスインターフェース(Bus I/F)3608、書き換え可能なROM3609、ROMインターフェース(ROM I/F)3620とを主に有している。また、ROM3609及びROMインターフェース3620は、別チップに設けても良い。これらCPU3660を構成する様々な回路は、上記実施の形態1乃至3に示される薄膜トランジスタ、当該薄膜トランジスタを組み合わせたCMOS回路、NMOS回路、PMOS回路等を用いて構成することが可能である。
なお、図11に示すCPU3660は、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。したがって、本発明を適用するCPUの構成は、図11に示すものに限定されるものではない。
バスインターフェース3608を介してCPU3660に入力された命令は、命令解析部3603に入力され、デコードされた後、演算回路用制御回路部3602、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607、タイミング制御部3605に入力される。
演算回路用制御回路部3602、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607、タイミング制御部3605は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行う。具体的に演算回路用制御回路部3602は、演算回路3601の駆動を制御するための信号を生成する。また、割り込み制御部3604は、CPU3660のプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタ制御部3607は、レジスタ3606のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ3606の読み出しや書き込みを行う。
またタイミング制御部3605は、演算回路3601、演算回路用制御回路部3602、命令解析部3603、割り込み制御部3604、レジスタ制御部3607の駆動のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミング制御部3605は、基準クロック信号CLK1(3621)を元に、内部クロック信号CLK2(3622)を生成する内部クロック生成部を備えており、クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
また、図12には、画素部と、CPU、その他の回路が同一基板に形成された表示装置、いわゆるシステムオンパネルを示す。基板3700上に画素部3701、当該画素部3701が有する画素を選択する走査線駆動回路3702と、選択された画素にビデオ信号を供給する信号線駆動回路3703とが設けられている。走査線駆動回路3702、及び信号線駆動回路3703から引き回される配線によりCPU3704、その他の回路、例えばコントロール回路3705とが接続されている。なおコントロール回路にはインターフェースが含まれている。そして、基板の端部にFPC端子との接続部を設け、外部信号とのやりとりを行う。
その他の回路としては、コントロール回路3705の他、映像信号処理回路、電源回路、階調電源回路、ビデオRAM、メモリ(DRAM、SRAM、PROM)等を設けることができる。またこれら回路は、ICチップにより形成し、基板上に実装してもよい。さらに必ずしも走査線駆動回路3702、及び信号線駆動回路3703を同一基板に形成する必要はなく、例えば走査線駆動回路3702のみを同一基板に形成し、信号線駆動回路3703をICチップにより形成し、実装してもよい。
なお、本実施の形態では、本発明に係る半導体装置をCPUに適用する例を説明したが、本発明は特に限定されない。例えば、本発明に係る半導体装置は、有機発光素子、無機発光素子、又は液晶素子等を備えた表示装置の画素部及び駆動回路部等に適用することができる。また、その他、本発明を適用して、デジタルカメラ、カーオーディオなどの音響再生装置、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(携帯電話機、携帯型ゲーム機等)、家庭用ゲーム機などの記録媒体を備えた画像再生装置などを作製することも可能である。
本発明の適用により、サブスレッショルド値が低く、かつオン電流の低下を抑えた高速動作が可能で駆動電圧の低い半導体素子を有する低消費電力な半導体装置を、複雑な工程を経ることなく作製することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置の使用形態の一例について説明する。具体的には、非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して、図面を用いて以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によって、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップとも呼ばれる。
本実施の形態で示す半導体装置の上面構造の一例について、図14(A)を参照して説明する。図14に示す半導体装置2180は、メモリ部やロジック部を構成する複数の薄膜トランジスタ等の素子が設けられた薄膜集積回路2131と、アンテナとして機能する導電層2132を含んでいる。アンテナとして機能する導電層2132は、薄膜集積回路2131に電気的に接続されている。薄膜集積回路2131には、上記実施の形態1乃至3で示した本発明に係る薄膜トランジスタを適用することができる。
また、図14(B)、(C)に図14(A)の断面の模式図を示す。アンテナとして機能する導電層2132は、メモリ部及びロジック部を構成する素子の上方に設ければよく、例えば、上記実施の形態1で示した薄膜トランジスタと同様に作製することのできるCMOS構造の上方に、絶縁層2130を介してアンテナとして機能する導電層2132を設けることができる(図14(B)参照)。他にも、アンテナとして機能する導電層2132を基板2133に別に設けた後、当該基板2133及び薄膜集積回路2131を、導電層2132が間に位置するように貼り合わせて設けることができる(図14(C)参照)。図14(C)では、絶縁層2130上に設けられた導電層2136とアンテナとして機能する導電層2132とが、接着性を有する樹脂2135中に含まれる導電性粒子2134を介して電気的に接続されている例を示す。
なお、本実施の形態では、アンテナとして機能する導電層2132をコイル状に設け、電磁誘導方式または電磁結合方式を適用する例を示すが、本発明の半導体装置はこれに限られずマイクロ波方式を適用することも可能である。マイクロ波方式の場合は、用いる電磁波の波長によりアンテナとして機能する導電層2132の形状を適宜決めればよい。
例えば、半導体装置2180における信号の伝送方式として、マイクロ波方式(例えば、UHF帯(860MHz帯乃至960MHz帯)、2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮してアンテナとして機能する導電層の長さ等の形状を適宜設定すればよい。例えば、アンテナとして機能する導電層を線状(例えば、ダイポールアンテナ(図15(A)参照))、平坦な形状(例えば、パッチアンテナ(図15(B)参照)またはリボン型の形状(図15(C)、(D)参照))等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電層2132の形状は直線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状またはこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
アンテナとして機能する導電層2132は、CVD法、スパッタ法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法、メッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の金属元素、又は当該金属元素を含む合金材料若しくは化合物材料で、単層構造又は積層構造で形成する。
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電層2132を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子、または分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下の微粒子)を用いる場合、150℃乃至300℃の温度範囲で焼成することにより硬化させて導電層を形成することができる。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーはんだは、低コストであるといった利点を有している。
本発明を適用した半導体装置は低消費電力化が実現できる。よって、本実施の形態で示すような非接触でデータの入出力が可能で、且つ小型な半導体装置とした場合に有効である。
(実施の形態9)
本実施の形態では、上述した本発明を用いて形成された非接触でデータの入出力が可能である半導体装置の適用例に関して図面を参照して以下に説明する。非接触でデータの入出力が可能である半導体装置は利用の形態によっては、RFIDタグ、IDタグ、ICタグ、ICチップ、RFタグ、無線タグ、電子タグまたは無線チップともよばれる。
半導体装置800は、非接触でデータを交信する機能を有し、高周波回路810、電源回路820、リセット回路830、クロック発生回路840、データ復調回路850、データ変調回路860、他の回路の制御を行う制御回路870、記憶回路880およびアンテナ890を有している(図16(A)参照。)。高周波回路810はアンテナ890より信号を受信して、データ変調回路860より受信した信号をアンテナ890から出力する回路であり、電源回路820は受信信号から電源電位を生成する回路であり、リセット回路830はリセット信号を生成する回路であり、クロック発生回路840はアンテナ890から入力された受信信号を基に各種クロック信号を生成する回路であり、データ復調回路850は受信信号を復調して制御回路870に出力する回路であり、データ変調回路860は制御回路870から受信した信号を変調する回路である。また、制御回路870としては、例えばコード抽出回路910、コード判定回路920、CRC判定回路930および出力ユニット回路940が設けられている。なお、コード抽出回路910は制御回路870に送られてきた命令に含まれる複数のコードをそれぞれ抽出する回路であり、コード判定回路920は抽出されたコードとリファレンスに相当するコードとを比較して命令の内容を判定する回路であり、CRC判定回路930は判定されたコードに基づいて送信エラー等の有無を検出する回路である。
次に、上述した半導体装置の動作の一例について説明する。まず、アンテナ890により無線信号が受信される。無線信号は高周波回路810を介して電源回路820に送られ、高電源電位(以下、VDDと記す)が生成される。VDDは半導体装置800が有する各回路に供給される。また、高周波回路810を介してデータ復調回路850に送られた信号は復調される(以下、復調信号)。さらに、高周波回路810を介してリセット回路830およびクロック発生回路840を通った信号及び復調信号は制御回路870に送られる。制御回路870に送られた信号は、コード抽出回路910、コード判定回路920およびCRC判定回路930等によって解析される。そして、解析された信号にしたがって、記憶回路880内に記憶されている半導体装置の情報が出力される。出力された半導体装置の情報は出力ユニット回路940を通って符号化される。さらに、符号化された半導体装置800の情報はデータ変調回路860を通って、アンテナ890により無線信号に載せて送信される。なお、半導体装置800を構成する複数の回路においては、低電源電位(以下、VSS)は共通であり、VSSはGNDとすることができる。
このように、通信装置から半導体装置800に信号を送り、当該半導体装置800から送られてきた信号を通信装置で受信することによって、半導体装置のデータを読み取ることが可能となる。
また、半導体装置800は、各回路への電源電圧の供給を電源(バッテリー)を搭載せず電磁波により行うタイプとしてもよいし、電源(バッテリー)を搭載して電磁波と電源(バッテリー)により各回路に電源電圧を供給するタイプとしてもよい。
次に、非接触でデータの入出力が可能な半導体装置の使用形態の一例について説明する。表示部3210を含む携帯端末の側面には、通信装置3200が設けられ、品物3220の側面には半導体装置3230が設けられる(図16(B))。品物3220が含む半導体装置3230に通信装置3200をかざすと、表示部3210に品物の原材料や原産地、生産工程ごとの検査結果や流通過程の履歴等、更に商品の説明等の商品に関する情報が表示される。また、商品3260をベルトコンベアにより搬送する際に、通信装置3240と、商品3260に設けられた半導体装置3250を用いて、該商品3260の検品を行うことができる(図16(C))。このように、システムに半導体装置を活用することで、情報の取得を簡単に行うことができ、高機能化と高付加価値化を実現する。また、本発明に係る半導体装置は低消費電力化を実現できるため、品物に設ける半導体装置を小型化することが可能である。
以上の様に、本発明の半導体装置の適用範囲は極めて広く、広い分野の電子機器に用いることが可能である。
(実施の形態10)
本発明によりプロセッサ回路を有するチップ(以下、プロセッサチップ、無線チップ、無線プロセッサ、無線メモリ、無線タグともよぶ)として機能する半導体装置を形成することができる。本発明の半導体装置の用途は広範にわたり、非接触で対象物の履歴等の情報を明確にし、生産・管理等に役立てる商品であればどのようなものにも適用することができる。例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図13を用いて説明する。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指し、プロセッサ回路を有するチップ190を設けることができる(図13(A)参照)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指し、プロセッサ回路を有するチップ191を設けることができる(図13(B)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指し、プロセッサ回路を有するチップ197を設けることができる(図13(C)参照)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指し、プロセッサ回路を有するチップ193を設けることができる(図13(D)参照)。書籍類とは、書物、本等を指し、プロセッサ回路を有するチップ194を設けることができる(図13(E)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指、プロセッサ回路を有するチップ195を設けることができる(図13(F)参照)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指し、プロセッサ回路を有するチップ196を設けることができる(図13(G)参照)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
このような半導体装置の設け方としては、物品の表面に貼る、或いは物品に埋め込んで設ける。例えば、本の場合は紙に埋め込めばよく、有機樹脂からなるパッケージであれば有機樹脂に埋め込めばよい。
このように、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。また乗物類に半導体装置を設けることにより、偽造や盗難を防止することができる。また、動物等の生き物に埋め込むことによって、個々の生き物の識別を容易に行うことができる。例えば、家畜等の生き物にセンサーを備えた半導体装置を埋め込む又は取り付けることによって、生まれた年や性別または種類等はもちろん体温等の健康状態を容易に管理することが可能となる。
なお、本実施の形態は、上記実施の形態1乃至9と自由に組み合わせて行うことができる。