JP5410017B2 - 接着剤用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤用樹脂組成物、特には金属酸化物、金属、樹脂等の種々の被着体に対する接着性に優れた、光硬化性又は電子線硬化性の接着剤用樹脂組成物に関するものである。
従来、電子部品、機械部品等を接着するための接着剤として、熱硬化性の接着剤が知られている。しかしながら、熱硬化性の接着剤は、硬化時間が長いため、熱硬化性の接着剤を使用して部品を接着すると、生産性が低下する問題がある。一方、上記部品の接着のために、光又は電子線硬化性の接着剤が開発されており、該光又は電子線硬化性の接着剤は、光又は電子線の照射により極めて短時間で接着が完了するため、生産性を向上させることが可能である。
例えば、特開2004−115757号(特許文献1)には、数平均分子量が10000〜40000のウレタン(メタ)アクリレート30〜70重量%と、ホモポリマーのガラス転移温度が60℃以上であるエチレン性不飽和モノマー30〜60重量%とを含有する液状硬化性樹脂組成物が開示されている。そして、該液状硬化性樹脂組成物は、プラスチック基板に対して優れた接着性を有する上、耐熱性及び耐水性に優れ、塩ビシートやPETフィルムのラミネートを始め、各種部品の接着に有用であることが開示されている。
特開2004−115757号公報
ところで、昨今の電子部品の組み立てにおいては、被着体として、金やニッケル等の金属、IZOやITO等の金属酸化物、PETやポリイミド等の樹脂を同時に接着する必要があるため、特定の被着体に対する接着性のみならず、種々の被着体に対する接着性に優れた接着剤が求められている。
これに対し、本発明者らが検討したところ、特開2004−115757号に開示の液状硬化性樹脂組成物を始め、従来の光又は電子線硬化性接着剤は、IZO等の金属酸化物及び/又は金等の金属に対する接着性が悪く、十分な接着強度(剥離強度)が得られないことが分かった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、金属酸化物、金属、樹脂等の種々の被着体に対する接着性に優れた光硬化性又は電子線硬化性の接着剤用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー部を含み、該ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が特定の範囲にある2官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、(メタ)アクリロイル基を有する環式モノマーとを含む光硬化性又は電子線硬化性の接着性樹脂組成物が、IZO等の金属酸化物、金等の金属、PET、ポリイミド等の樹脂に対する接着性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物は、2官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)とモノマー成分(B)とを含む光硬化性又は電子線硬化性の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物であって、
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー部を含み、該ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が10〜30であって、
前記モノマー成分(B)がアクリロイルモルホリンを含むことを特徴とする。
本発明の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物の好適例においては、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)のウレタンプレポリマー部の形成に用いるポリエーテルポリオールの数平均分子量が200〜4000である。
本発明の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物においては、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と前記モノマー成分(B)との総配合量中の前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の割合が10〜80質量%で且つ前記アクリロイルモルホリンの割合が20〜90質量%であることが好ましい。
本発明の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物において、前記ポリイソシアネートとしては、水添ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが好ましい。
また、本発明の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物は、更に、光重合開始剤(C)を含むことが好ましい。
本発明によれば、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー部を含み、該ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が特定の範囲にある2官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、アクリロイルモルホリンとを含み、金属酸化物、金属、樹脂等の種々の被着体に対する接着性に優れた光硬化性又は電子線硬化性の接着剤用樹脂組成物を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の接着剤用樹脂組成物は、2官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)とモノマー成分(B)とを含む光硬化性又は電子線硬化性の接着剤用樹脂組成物であって、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー部を含み、該ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が10〜30であって、前記モノマー成分(B)がアクリロイルモルホリンを含むことを特徴とする。本発明の接着剤用樹脂組成物は、光又は電子線の照射により硬化するため、極めて短時間で接着を完了することができる上、IZO等の金属酸化物、金等の金属、PET、ポリイミド等の樹脂に対する接着性に優れる。なお、本発明の接着剤用樹脂組成物の使用に際し、光又は電子線の照射条件は特に限定されず、適宜設定することができる。
本発明の接着剤用樹脂組成物に用いるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、2官能で、(メタ)アクリロイルオキシ基(CH2=CHCOO−又はCH2=C(CH3)COO−)を2つ、ウレタン結合(−NHCOO−)を複数有し、例えば、下記一般式(I):
HO−R1−OH ・・・ (I)
[式中、R1はエーテル結合を有する2価の基である]で表わされるポリエーテルポリオールと、下記一般式(II):
OCN−R2−NCO ・・・ (II)
[式中、R2は2価の基である]で表わされるポリイソシアネートとから、下記一般式(III):
Figure 0005410017
[式中、R1及びR2は、上記と同義であり、nはウレタンプレポリマー部の繰り返し数である]で表わされるウレタンプレポリマーを合成し、該ウレタンプレポリマーに下記一般式(IV):
CH2=C(R4)−COO−R3−OH ・・・ (IV)
[式中、R3は2価の基であり、R4は水素又はメチル基である]で表わされる水酸基を有する(メタ)アクリレートを付加させることによって製造することができ、具体的には、下記一般式(V):
Figure 0005410017
[式中、R1、R2、R3、R4及びnは、上記と同義である]で表わすことができる。
ここで、本発明の接着剤用樹脂組成物に用いるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が10〜30であり、好ましくは10〜25である。上記ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が10未満では、各種被着体に対する接着性が低く、一方、30を超えるオリゴマーは合成が困難である。
なお、上記ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)は、平均繰り返し数であり、具体的には、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の数平均分子量(Ma)、ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mb)、ポリイソシアネートの分子量(Mc)、水酸基を有する(メタ)アクリレートの分子量(Md)から、次式:
n=(Ma−2×Md−Mc)/(Mb+Mc)
に従って求めることができる。なお、本発明において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の数平均分子量(Ma)は、GPCを用いて、ポリスチレン換算で求めた値であり、ポリエーテルポリオールの数平均分子量(Mb)は、GPCを用いて、単分散のポリプロピレングリコール(PPG)で作成した検量線から求めた値である。
上記ウレタンプレポリマーの合成に用いるポリエーテルポリオールは、エーテル結合を複数、水酸基を2つ有する化合物である。式(I)中のR1は、エーテル結合を有する2価の基であり、例えば、式:−(RO)mR−[式中、Rは、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等のアルキレン基で、mはオキシアルキレン単位の繰り返し数である]で表わされる基等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとして、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールの他、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の2価アルコールに、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させて得られたジオールが挙げられる。これらポリエーテルポリオールは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ウレタンプレポリマーの合成に用いるポリエーテルポリオールは、数平均分子量が200〜4000であることが好ましく、300〜3500であることが更に好ましい。使用するポリエーテルポリオールの数平均分子量が200未満では、プレポリマーを合成する際にゲル化が起こり易く、安定した合成が困難であり、一方、4000を超えると、接着性が低下して好ましくない。
上記ウレタンプレポリマーの合成に用いるポリイソシアネートは、イソシアネート基を2つ有する化合物である。式(II)中のR2は2価の基であり、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキレンシクロアルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレンアリーレン基等の2価の炭化水素基が挙げられ、アルキレン基としては、ヘキサメチレン基等が、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基等が、アルキレンシクロアルキレン基としては、3-メチレン-3,5,5-トリメチルシクロヘキシレン基等が、アリーレン基としては、トリレン基等が、アルキレンアリーレン基としては、メチレンフェニレン基等が、アリーレンアルキレンアリーレン基としては、フェニレンメチレンフェニレン基等が挙げられる。
上記ポリイソシアネートとして、具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等が挙げられ、これらの中でも、水添ジフェニルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが好ましい。これらポリイソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ウレタンプレポリマーの合成においては、ウレタン化反応用の触媒を用いることが好ましい。該ウレタン化反応用触媒としては、有機スズ化合物、無機スズ化合物、有機鉛化合物、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類、有機スルホン酸、無機酸、チタン化合物、ビスマス化合物、四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらの中でも、有機スズ化合物が好ましい。また、好適な有機スズ化合物としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート、オクテン酸スズ、モノブチルスズオキシド等が挙げられる。
また、上記ウレタンプレポリマーに付加させる水酸基を有する(メタ)アクリレートは、水酸基を1つ有し、(メタ)アクリロイルオキシ基を1つ有する化合物である。式(IV)中のR3は2価の基であり、例えば、アルキレン基等の2価の炭化水素基が挙げられ、該アルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、式(IV)中のR4は、水素又はメチル基であり、水素であることが好ましい。
上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとして、具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら水酸基を有する(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の接着剤用樹脂組成物は、モノマー成分(B)を含み、該モノマー成分(B)の一部又は全部がアクリロイルモルホリンである
本発明の接着剤用樹脂組成物は、上記モノマー成分(B)として、上記アクリロイルモルホリン以外のモノマーを含んでもよく、該モノマーとしては、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
本発明の接着剤用樹脂組成物において、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と前記モノマー成分(B)との総配合量中の前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の割合は、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは15〜75質量%である。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の割合が10質量%未満では、十分な接着性が得難く、一方、80質量%を超えると、粘度が高く、塗工性が低下する。
また、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と前記モノマー成分(B)との総配合量中の前記アクリロイルモルホリンの割合は、好ましくは20〜90質量%であり、より好ましくは25〜85質量%である。アクリロイルモルホリンの割合が20質量%未満では、粘度が高く、塗工性が低下し、一方、90質量%を超えると、十分な接着性が得られない。
本発明の接着剤用樹脂組成物は、更に、光重合開始剤(C)を含むことが好ましく、この場合、紫外線等の光の照射によって、接着剤用樹脂組成物を容易に硬化させることができる。該光重合開始剤(C)は、光を照射されることによって、上述したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)やモノマー成分(B)の重合を開始させる作用を有する。
上記光重合開始剤(C)としては、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン及び3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、4,4-ジメトキシベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4-ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル及びベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。これら光重合開始剤(C)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記光重合開始剤(C)の配合量は、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と上記モノマー成分(B)との合計100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましい。光重合開始剤の配合量が0.1質量部未満では、接着剤用樹脂組成物の光硬化を開始させる効果が小さく、一方、10質量部を超えると、光硬化を開始させる効果が飽和する一方、接着剤用樹脂組成物の原料コストが高くなる。
上述のように、本発明の接着剤用樹脂組成物は、IZO等の金属酸化物、金等の金属、PET、ポリイミド等の樹脂に対する接着性に優れる。そのため、本発明の接着剤用樹脂組成物は、これら様々な被着体の接着に好適に利用することができ、より具体的には、非導電フィルム(NCF)、異方導電フィルム(ACF)、電子ディスプレイの構成部品等の電子部材の低温硬化性の接着材料として有用である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを重合させて得られた2官能で且つ数平均分子量が930のポリエーテルポリオール100.0質量部と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)25.89質量部と、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.01質量部とを1リットルの3つ口フラスコに量り取り、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、分子鎖の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。
次に、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)3.1質量部を加え、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(A−1)を合成した。得られたウレタンアクリレートオリゴマー(A−1)の数平均分子量をGPCで測定したところ17600であった。
次に、上記ウレタンアクリレートオリゴマー(A−1)60.0質量部と、アクリロイルモルホリン(新中村化学(株)製「NK エステル A−MO」)40.0質量部と、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤”イルガキュアー184D”1.0質量部とを撹拌混合した後、真空脱泡してUV硬化性の接着性樹脂組成物を調製した。
次に、上記接着性樹脂組成物を用いて、下記の5種類の被着体に対する剥離強度測定用サンプルを作製した。
(1)金処理フィルム
(2)IZO処理PETフィルム
(3)ポリイミドフィルム
(4)未処理のPETフィルム
(5)易接着処理PETフィルム
<剥離強度測定用サンプルの作製>
約40×40 cmのガラス板上に約18×15 cmの被着体を置き、その上にスペーサーとして中央部を10×8 cmの寸法にくりぬいた厚さ50μmのアルミ箔を置く。剥離試験機のチャックの掴みしろが接着しないように部分的に離型PETフィルムを挟む。この上にUV硬化性接着性樹脂組成物を少量滴下した後、約18×15 cmの易接着処理PETフィルムを置く。重ね合わせたフィルムの上からローラでUV硬化性接着性樹脂組成物をフィルム面全体に延ばす。この積層フィルムを易接着処理PETフィルムが上になるようにして、約15×15×1.5 cmの台に載せ、更にフィルムの上に約15×15×0.5 cmの石英ガラスを載せる。これをコンベア式UV照射機にてUV硬化させる。なお、コンベア式UV照射機は、積算光量が3000 mJになるように、コンベアスピード、サンプル位置(距離)を調整した。硬化させたフィルムを掴みしろが端部になるように幅25 mmで裁断し、剥離強度測定用サンプルを作製した。
このようにして作製したサンプルに対して、JIS K6854に準拠して、50 mm/分の速度で剥離強度を測定したところ、(1)被着体が金処理フィルムの場合、剥離強度は1494 N/mであり、(2)被着体がIZO処理PETフィルムの場合、剥離強度は985 N/mであり、(3)被着体がポリイミドフィルムの場合、剥離強度は5800 N/mであり、(4)被着体が未処理のPETフィルムの場合、剥離強度は1329 N/mであり、(5)被着体が易接着処理PETフィルムの場合、剥離強度は10700 N/mであり、いずれの被着体に対しても、高い剥離強度を有していることが分かった。
なお、上記UV硬化性接着性樹脂組成物に用いたウレタンアクリレートオリゴマー(A−1)のウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)を、ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量17600、ポリエーテルポリオールの数平均分子量930、ポリイソシアネート(IPDI)の分子量222.28、アクリレート鎖(2-HEA)の分子量116.11を用いて計算したところ、
(17600−2×116.11−222.28)/(930+222.28)=14.9
であった。
(実施例2)
プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを重合させて得られた2官能で且つ数平均分子量が1990のポリエーテルポリオール100.0質量部と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)12.00質量部と、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.01質量部とを1リットルの3つ口フラスコに量り取り、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、分子鎖の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。
次に、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)0.79質量部を加え、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(A−2)を合成した。得られたウレタンアクリレートオリゴマー(A−2)の数平均分子量をGPCで測定したところ33700であった。
次に、上記ウレタンアクリレートオリゴマー(A−2)60.0質量部と、アクリロイルモルホリン(新中村化学(株)製「NK エステル A−MO」)40.0質量部と、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤”イルガキュアー184D”1.0質量部とを撹拌混合した後、真空脱泡してUV硬化性の接着性樹脂組成物を調製した。
次に、上記接着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして剥離強度測定用サンプルを作製し、剥離強度を測定したところ、(1)被着体が金処理フィルムの場合、剥離強度は1208 N/mであり、(2)被着体がIZO処理PETフィルムの場合、剥離強度は880 N/mであり、(3)被着体がポリイミドフィルムの場合、剥離強度は4152 N/mであり、(4)被着体が未処理のPETフィルムの場合、剥離強度は3208 N/mであり、(5)被着体が易接着処理PETフィルムの場合、剥離強度は10610 N/mであり、いずれの被着体に対しても、高い剥離強度を有していることが分かった。
なお、上記UV硬化性接着性樹脂組成物に用いたウレタンアクリレートオリゴマー(A−2)のウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)を、ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量33700、ポリエーテルポリオールの数平均分子量1990、ポリイソシアネート(IPDI)の分子量222.28、アクリレート鎖(2-HEA)の分子量116.11を用いて計算したところ、
(33700−2×116.11−222.28)/(1990+222.28)=15.0
であった。
(実施例3)
プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを重合させて得られた2官能で且つ数平均分子量が1760のポリエーテルポリオール100.0質量部と、水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)14.64質量部と、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.01質量部と、アクリロイルモルホリン(新中村化学(株)製「NK エステル A−MO」)116.0質量部とを1リットルの3つ口フラスコに量り取り、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、分子鎖の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。
次に、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)0.84質量部を加え、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(A−3)を合成した。得られたウレタンアクリレートオリゴマー(A−3)の数平均分子量をGPCで測定したところ49800であった。
次に、上記ウレタンアクリレートオリゴマー(A−3)(アクリロイルモルホリンを50質量%含有)100.0質量部と、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤”イルガキュアー184D”1.0質量部とを撹拌混合した後、真空脱泡してUV硬化性の接着性樹脂組成物を調製した。
次に、上記接着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして剥離強度測定用サンプルを作製し、剥離強度を測定したところ、(1)被着体が金処理フィルムの場合、剥離強度は1872 N/mであり、(2)被着体がIZO処理PETフィルムの場合、剥離強度は311 N/mであり、(3)被着体がポリイミドフィルムの場合、剥離強度は5646 N/mであり、(4)被着体が未処理のPETフィルムの場合、剥離強度は803 N/mであり、(5)被着体が易接着処理PETフィルムの場合、剥離強度は10000 N/mであり、いずれの被着体に対しても、高い剥離強度を有していることが分かった。
なお、上記UV硬化性接着性樹脂組成物に用いたウレタンアクリレートオリゴマー(A−3)のウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)を、ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量49800、ポリエーテルポリオールの数平均分子量1760、ポリイソシアネート(水添MDI)の分子量258.31、アクリレート鎖(2-HEA)の分子量116.11を用いて計算したところ、
(49800−2×116.11−258.31)/(1760+258.31)=24.4
であった。
(比較例1)
プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを重合させて得られた2官能で且つ数平均分子量が4400のポリエーテルポリオール100.0質量部と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)4.60質量部と、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.01質量部と、アクリロイルモルホリン(新中村化学(株)製「NK エステル A−MO」)69.9質量部とを1リットルの3つ口フラスコに量り取り、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、分子鎖の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。
次に、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)0.25質量部を加え、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(A−4)を合成した。得られたウレタンアクリレートオリゴマー(A−4)の数平均分子量をGPCで測定したところ38600であった。
次に、上記ウレタンアクリレートオリゴマー(A−4)(アクリロイルモルホリンを40質量%含有)100.0質量部と、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤”イルガキュアー184D”1.0質量部とを撹拌混合した後、真空脱泡してUV硬化性の接着性樹脂組成物を調製した。
次に、上記接着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして剥離強度測定用サンプルを作製し、剥離強度を測定したところ、(1)被着体が金処理フィルムの場合、剥離強度は919 N/mであり、(2)被着体がIZO処理PETフィルムの場合、剥離強度は201 N/mであり、(3)被着体がポリイミドフィルムの場合、剥離強度は19 N/mであり、(4)被着体が未処理のPETフィルムの場合、剥離強度は110 N/mであり、(5)被着体が易接着処理PETフィルムの場合、剥離強度は160 N/mであり、いずれの被着体に対しても、低い剥離強度を有していることが分かった。
なお、上記UV硬化性接着性樹脂組成物に用いたウレタンアクリレートオリゴマー(A−4)のウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)を、ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量38600、ポリエーテルポリオールの数平均分子量4400、ポリイソシアネート(IPDI)の分子量222.28、アクリレート鎖(2-HEA)の分子量116.11を用いて計算したところ、
(38600−2×116.11−222.28)/(4400+222.28)=8.3
であった。
(比較例2)
プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを重合させて得られた2官能で且つ数平均分子量が360のポリエーテルポリオール100.0質量部と、イソホロンジイソシアネート(IPDI)60.8質量部と、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.01質量部と、アクリロイルモルホリン(新中村化学(株)製「NK エステル A−MO」)108.6質量部とを1リットルの3つ口フラスコに量り取り、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、分子鎖の両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。
次に、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)2.14質量部を加え、撹拌混合しながら、80℃で4時間反応させて、ウレタンアクリレートオリゴマー(A−5)を合成した。得られたウレタンアクリレートオリゴマー(A−5)の数平均分子量をGPCで測定したところ5200であった。
次に、上記ウレタンアクリレートオリゴマー(A−5)(アクリロイルモルホリンを40質量%含有)100.0質量部と、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤”イルガキュアー184D”1.0質量部とを撹拌混合した後、真空脱泡してUV硬化性の接着性樹脂組成物を調製した。
次に、上記接着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして剥離強度測定用サンプルを作製し、剥離強度を測定したところ、(1)被着体が金処理フィルムの場合、剥離強度は43 N/mであり、(2)被着体がIZO処理PETフィルムの場合、剥離強度は25 N/mであり、(3)被着体がポリイミドフィルムの場合、剥離強度は78 N/mであり、(4)被着体が未処理のPETフィルムの場合、剥離強度は266 N/mであり、(5)被着体が易接着処理PETフィルムの場合、剥離強度は430 N/mであり、いずれの被着体に対しても、低い剥離強度を有していることが分かった。
なお、上記UV硬化性接着性樹脂組成物に用いたウレタンアクリレートオリゴマー(A−5)のウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)を、ウレタンアクリレートオリゴマーの数平均分子量5200、ポリエーテルポリオールの数平均分子量360、ポリイソシアネート(IPDI)の分子量222.28、アクリレート鎖(2-HEA)の分子量116.11を用いて計算したところ、
(5200−2×116.11−222.28)/(360+222.28)=8.1
であった。
Figure 0005410017
Figure 0005410017
以上の結果から、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー部を含み、該ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が10〜30のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、アクリロイルモルホリンを含む実施例の接着性樹脂組成物は、IZO等の金属酸化物、金等の金属、PET、ポリイミド等の樹脂に対する接着性に優れることが分かる。
一方、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー部を含むものの、該ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が10未満のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを用いた比較例の接着性樹脂組成物は、実施例の接着性樹脂組成物に比べ、各被着体に対する接着性が劣っていた。

Claims (5)

  1. 2官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)とモノマー成分(B)とを含む光硬化性又は電子線硬化性の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物であって、
    前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)は、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタンプレポリマー部を含み、該ウレタンプレポリマー部の繰り返し数(n)が10〜30であって、
    前記モノマー成分(B)がアクリロイルモルホリンを含むことを特徴とする接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物。
  2. 前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)のウレタンプレポリマー部の形成に用いるポリエーテルポリオールの数平均分子量が200〜4000であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物。
  3. 前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と前記モノマー成分(B)との総配合量中の前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)の割合が10〜80質量%で且つ前記アクリロイルモルホリンの割合が20〜90質量%であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物。
  4. 前記ポリイソシアネートが、水添ジフェニルメタンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物。
  5. 更に、光重合開始剤(C)を含むことを特徴とする請求項1に記載の接着剤用(但し、ポリオレフィンに用いるものを除く)樹脂組成物。
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