JP5409959B2 - バーナ装置及びこの種のバーナの振動減衰方法 - Google Patents

Description

本発明は、互いに分離された少なくとも２つの隣接するバーナを備えたバーナ装置であって、各バーナが少なくとも１つの燃焼室と１つの頭端部とを有し、その頭端部が少なくとも燃料噴射部と燃料・空気予混合部とを含み、各バーナがキャップ側面とキャップ上面とを備えたキャップを有し、少なくとも前記キャップ上面が流れ方向に見て前記頭端部の手前に配置されていることによって、前記キャップ上面と前記頭端部との間にバーナプレナムが形成されるバーナ装置に関する。

ガスタービン、航空機械エンジン、ロケットエンジン、暖房設備のような燃焼系では、熱音響的に誘起される燃焼振動が起きることがある。これは、燃焼火炎およびそれに伴う発熱と、音響的な圧力変動との相互作用によって発生する。音響励起によって、火炎の位置、火炎正面又は混合気組成が変動し、このことがまたもや発熱の変動をもたらす。構造的位相状態によっては正帰還および増幅が起こり得る。このようにして増幅された燃焼振動は、著しい騒音公害および振動による損傷を招き得る。

これらの熱音響的に引き起こされる不安定性は、燃焼空間の音響特性と、燃焼空間入口および燃焼空間出口ならびに燃焼空間壁における周辺条件とによって大きく影響される。その音響特性は、ヘルムホルツ共鳴器を組み込むことによって変化させ得る。

特許文献１には、ガスタービン設備の燃焼室での燃焼振動を抑制するための装置が示されている。ヘルムホルツ共鳴器が燃料供給管に流体技術的に接続されている。これによって、その供給管もしくは音響系全体の音響特性は、燃焼振動が抑制されるように変化される。もっとも、その対策は、振動抑制時にも燃料管での燃焼振動が起きることから、あらゆる運転状態において十分というわけではないことが判明している。

特許文献２には、燃焼室に開口するバーナを備えたガスタービンが示されており、この開口はヘルムホルツ共鳴器によって環状に取り囲まれている。これによって、燃焼振動が火炎に対する密接な接触によって効果的に減衰させられ、同時に温度不均一性が回避される。このへルムホルツ共鳴器には周波数適合化を生じさせる複数の細管が取り付けられている。

特許文献３には、バーナ領域内に複数の掃気式へルムホルツ共鳴器を有するガスタービン燃焼室が開示されている。これらの共鳴器は、燃焼室の端面において、バーナ間に交互に配置されている。これらの共鳴器によって、燃焼室において発生した燃焼振動の振動エネルギが吸収され、これにより燃焼振動が減衰させられる。

これらの共鳴器の各々は、機能上、燃焼室につながる開口を有し、その開口は定められた空気量によって遮断されなければならない。この空気量は、燃焼室壁に共鳴器が装着された際に、バーナの傍を通り過ぎるために、もはや燃焼のためには使用できない。従って火炎温度ならびにＮＯｘ放出が増大する。

国際公開第９３／１０４０１号パンフレット 国際公開第０３／０７４９３６号パンフレット 欧州特許出願公開第０５９７１３８号明細書

従って本発明の課題は、燃焼振動の減衰のために使用可能であって上述の問題を回避するバーナ装置を提供することにある。

本発明によれば、互いに分離された少なくとも２つの隣接するバーナを備えたバーナ装置であって、各バーナが少なくとも１つの燃焼室と１つの頭端部とを有し、その頭端部が少なくとも１つの燃料噴射部と１つの燃料・空気予混合部とを含むバーナ装置が提供される。このバーナ装置では、各バーナがキャップ側面とキャップ上面とを備えた１つのキャップを有し、少なくとも前記キャップ上面が流れ方向に見て前記頭端部の手前に配置されている。前記キャップ側面が少なくとも部分的に前記頭端部の周りに配置されていることによって、前記キャップ側面が半径方向において前記頭端部から隔てられている。それによって、前記キャップ上面と前記頭端部との間に１つのバーナプレナムが形成される。

管状燃焼室を使用した場合のガスタービンの出力は、この燃焼室における熱音響振動の発生によって制限されることが知られている。本発明によれば、今や、特に管状燃焼室の場合には、互いに分離された２つの隣接する燃焼室の音響的な相互作用が重要であることが認識された。この場合にはタービンの前における接続を介して一方の燃焼室から他方の燃焼室へ伝搬するモードが生じる。

音圧分布の音響分析から、この場合に互いに分離されたプレナムを含めて互いに分離された隣接する燃焼室が燃焼室の上流に向かって逆相振動するモード形態が生じることが分かった。本発明によれば、少なくとも２つのバーナプレナムが１つの音響結合部を有する。

隣接する燃焼室もしくはそれらのプレナムの適切に構成された１つの音響結合部によって、上述したモード形態の形成可能性を抑制および防止することができる。それゆえ、熱音響振動を減衰させることができ、あるいはそれどころか大々的に防止することができる。

好ましい実施形態においては、前記キャップ側面および前記頭端部によって通路が形成されている。この通路を通して圧縮機空気が前記プレナムに導かれる。従って、この圧縮機空気は燃焼室の外面を冷却し、それにより燃焼室の過熱を低減する。理想的には安定な燃焼が行なわれ得るように圧縮機空気が予熱される。

前記音響結合部が、バーナプレナムを接続する管、特に環状に形成された管又は通路であるとよい。この結合部は構造的に特に簡単に実施することができる。

バーナプレナムを有する各バーナが、各々隣接するバーナもしくはバーナプレナムへの音響結合部を有するとよい。それにより、存在する全てのバーナのモード形態の形成を最適に抑制することができる。

ガスタービンがこのようなバーナ装置を含むと有利である。

方法に関する課題は、互いに分離された少なくとも２つの隣接するバーナを備えたバーナ装置の振動を減衰させるための方法を提供することによって解決される。この方法では、各バーナが少なくとも１つの燃焼室と１つの頭端部とを有し、その頭端部が少なくとも１つの燃料噴射部と１つの燃料・空気予混合部とを有し、各バーナがキャップ側面とキャップ上面とを備えた１つのキャップを有し、少なくとも前記キャップ上面が流れ方向に見て前記頭端部の手前に配置されていて、それによって前記キャップ上面と前記頭端部との間に１つのバーナプレナムが形成され、２つの隣接するバーナプレナムの間の１つの音響結合部によって隣接するバーナおよびそれらのバーナプレナムの逆相振動が回避される。

この方法によって、簡単に熱音響振動がほとんど阻止され、もしくはそれどころか回避される。従って、従来技術と違って、種々の発生周波数を減衰させることができる。

添付図面を参照する以下における実施例の説明から本発明の他の特徴、特性および利点を明らかにする。

ガスタービンを部分縦断面図で概略的に示す。 キャップを有する管状燃焼室を示す。 バーナプレナム間の本発明による接続を概略的に示す。

図１は部分縦断面図でガスタービン１を模範的に示す。

ガスタービン１は、内部に、回転軸により回転軸線２を中心として回転可能に支持されたロータ３を有し、このロータはタービンロータとも呼ばれる。

ロータ３に沿って順次、吸込ケーシング４と、圧縮機５と、同軸に配置された複数のバーナ７を備えたトーラス状の燃焼室６、特に管状又は環状燃焼室と、タービン８と、排ガスケーシング９とが続いている。

燃焼室６は、例えば環状の高温ガス通路１１に連通している。そこにおいて、例えば直列接続された４つのタービン段１２が前記タービン８を形成している。

各タービン段１２は、例えば２つの翼輪から形成されている。高温ガス通路１１内においては、作動媒体１３の流れ方向に見て、静翼列１５に続いて、動翼２０から成る動翼列２５が設けられている。

ガスタービン１の運転中には、圧縮機５によって吸込ケーシング４を通して空気３５が吸い込まれて圧縮される。圧縮機５のタービン側端部に供給された圧縮空気はバーナ７に導かれ、そこで燃料と混合される。その混合気は作動媒体１３を形成して燃焼室６内で燃焼させられる。そこから作動媒体１３は高温ガス通路１１に沿って静翼３０および動翼２０の脇を流れる。作動媒体１３が膨張して衝撃を動翼２０に伝達することによって、動翼２０がロータ３を駆動し、ロータがこれに連結された作業機械を駆動する。

バーナ７は好ましくは、いわゆる管状燃焼室６（図２）に結合されて使用される。この場合にガスタービン１は互いに分離され環状に配置された複数の管状燃焼室６を有し、それらの管状燃焼室の下流側開口は環状の高温ガス通路１１のタービン入口側に開口している。好ましくはこれらの管状燃焼室の各々には、複数個の、例えば６又は８個のバーナ７が、管状燃焼室６の下流側開口に対向する側の端部において、１つのパイロットバーナの周りに、大抵は環状に配置されている。

図２は部分的に１つの管状バーナ７を概略的に示す。このバーナ７は、１つの頭端部５１と、１つの移行通路（移送部）５２と、その中間の１つのライナ５３とを含む。頭端部５１と呼ばれているのは、主としてバーナの燃料噴射部５５と燃料・空気予混合部５６の部分区間である。ライナ５３はその頭端部から移行部５２へ任意の形態で延びている。ライナ５３および流れカバー６０によって、燃焼・冷却用空気が流入する環状通路５７が形成される。燃料噴射部５５もしくは燃料・空気予混合部５６の手前の空間はバーナプレナム１００と呼ばれる。バーナ７は、キャップ側面１５０およびキャップ上面１７０を備えた１つのキャップ１１０を有する。この場合に少なくともキャップ上面１７０は流れ方向に見て頭端部５１の手前に配置されており、これによってキャップ上面１７０と頭端部５１との間に１つのバーナプレナム１００が形成される。キャップ１１０は燃焼室側の面１４０と燃焼室とは反対側の面１２０を有する（図３）。この場合キャップ１１０のキャップ側面１５０はほとんど機械の外側に配置されている。

図３は、互いに分離された２つの隣接するバーナ７を備え、各バーナが１つの管状燃焼室６および１つの頭端部５１を有する本発明によるバーナ装置を示す。各バーナ７はキャップ側面１５０とキャップ上面１７０とを備えた１つのキャップ１１０を有する。少なくともキャップ上面１７０は、流れ方向に見て頭端部５１の手前に配置されており、それによってキャップ上面１７０と頭端部５１との間に１つのバーナプレナム１００が形成される。２つの隣接するバーナプレナム１００の間に１つの音響結合部１３０が存在する。この場合に、この音響結合部は環状であるのが有利であり、従ってガスタービン全体のバーナ７の各々隣接するバーナプレナム１００が互いに結合されている。この環状の結合部は、例えば、１つの管により実現することができ、この管が個々のバーナプレナム１００を互いに結合する。プレナム１００の領域において、このような結合部１３０が大きな構造費用なしに実現可能である。従って、この環状の結合部は、それの始まるバーナプレナム１００において終わる。それゆえ、複数の燃焼室をそれらのプレナムと共に逆相振動させるような、タービンの手前での結合を介して一方の燃焼室から他方の燃焼室へ伝搬するモードはもはや生じない。音響結合部１３０がこのようなモード形態の形成を抑制し防止する。

１ ガスタービン
２ 回転軸線
３ ロータ
４ 吸込ケーシング
５ 圧縮機
６ 燃焼室
７ バーナ
８ タービン
９ 排ガスケーシング
１１ 高温ガス通路
１２ タービン段
１３ 作動媒体
１５ 静翼列
２０ 動翼
２５ 動翼列
３０ 静翼
５１ 頭端部
５２ 移行通路
５３ ライナ
５５ 燃料噴射部
５６ 燃料・空気予混合部
５７ 環状通路
６０ 流れカバー
６５ 燃焼・冷却用空気
１００ バーナプレナム
１１０ キャップ
１３０ 音響結合部
１５０ キャップ側面
１７０ キャップ上面

Claims (6)

1. 互いに分離された少なくとも２つの隣接するバーナ（７）を備えたバーナ装置であって、各バーナが少なくとも１つの燃焼室（６）と１つの頭端部（５１）とを有し、その頭端部が少なくとも１つの燃料噴射部（５５）と１つの燃料・空気予混合部（５６）とを有し、各バーナ（７）がキャップ側面（１５０）とキャップ上面（１７０）とを備えた１つのキャップ（１１０）を有し、少なくとも前記キャップ上面（１７０）が流れ方向に見て前記頭端部（５１）の手前に配置されていることによって、前記キャップ上面（１７０）と前記頭端部（５１）との間にバーナプレナム（１００）が形成され、前記キャップ側面（１５０）が少なくとも部分的に前記頭端部（５１）の周りに配置されており、前記キャップ側面（１５０）が半径方向（ｒ）において前記頭端部（５１）から隔てられているバーナ装置において、
   少なくとも２つのバーナプレナム（１００）が１つの音響結合部（１３０）を有し、その音響結合部（１３０）がそれらのバーナプレナム（１００）を接続する管であること特徴とするバーナ装置。
2. 前記キャップ側面（１５０）および前記頭端部（５１）によって通路（１２５）が形成されていることを特徴とする請求項１記載のバーナ装置。
3. 前記音響結合部（１３０）が環状であることを特徴とする請求項１乃至２の１つに記載のバーナ装置。
4. 前記音響結合部（１３０）が前記バーナプレナム（１００）を接続する通路であることを特徴とする請求項１乃至３の１つに記載のバーナ装置。
5. バーナプレナム（１００）を有する各バーナ（７）が、各々隣接するバーナ（７）もしくはバーナプレナム（１００）への音響結合部（１３０）を有することを特徴とする請求項１乃至４の１つに記載のバーナ装置。
6. 圧縮機と、タービンと、請求項１乃至５の１つに記載のバーナ装置とを備えたガスタービン。

Images