JP5409816B2 - 中空糸膜型血液浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、中空糸膜型血液浄化装置に関する。
従来から、体外血液循環の技術分野、例えば血液透析、開心手術中の血液への酸素付与、あるいは血漿分離等においては、選択的透過膜を用いた中空糸膜型血液処理装置が広く使用されている。
特に透析膜、ガス交換膜、及び血液成分分離膜等の血液処理膜分野においては、ポリスルホン系樹脂(以下、ポリスルホンと略称)を構成材料とする血液処理膜が広く利用されている。
しかしながら、ポリスルホンのみでは疎水性が高く、十分な血液適合性が得られないため、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子との複合体を血液処理膜の構成材料として用いることが一般的とされている。
また、近年においては、血液処理膜が単に分離膜としての機能だけでなく、長期透析患者において顕在化する酸化ストレスを緩和する機能を有するものとするための試みもなされている。例えば、分離膜を利用して酸化ストレスの原因物質である過酸化物を消去することや、生体の抗酸化効果を回復することが挙げられる。具体的には、生体内抗酸化作用、生体膜安定化作用、血小板凝集抑制作用等の種々の生理作用を有するビタミンEを透析膜の表面に被覆した中空糸膜型血液浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、中空糸膜型血液浄化装置は、その用途を考慮して、通常、実際の使用の際には密封包装状態で滅菌処理が施される。
中空糸膜型血液浄化装置の滅菌処理方法としては、例えば、エチレンオキサイドガス等によるガス滅菌法、高圧蒸気滅菌法及びγ線や電子線等の放射線滅菌法等が知られている。
しかし、エチレンオキサイドガスを用いたガス滅菌法においては、エチレンオキサイドガスの残留による人体への有害性が問題となる。
また、高圧蒸気滅菌法においては、中空糸膜型血液浄化装置を構成する材質によっては、滅菌時にその性能が著しく低下するおそれがある。また、ビタミンEが固定化されているポリスルホン膜に対して高圧蒸気滅菌を施すと、ビタミンEが局所的な凝集を起こしてポリスルホン膜にクラックが発生し、その結果、血液リークを招来するおそれがある(例えば、特許文献2参照。)。
一方、放射線滅菌法は、上述したエチレンオキサイドガス残留の問題や、クラックの発生による血液リークの問題も生じず、好ましい滅菌方法である。
ところで、中空糸膜型血液浄化装置は、中空糸膜の内部や中空糸膜と容器との隙間が水性媒体で満たされているウェットタイプと、これらが水性媒体で満たされていないドライタイプとに大別される。
前記ドライタイプのうち、中空糸膜の含水率が数パーセント以下と低いタイプ(狭義のドライタイプ)の中空糸膜型血液浄化装置に対して放射線滅菌処理を施すと、中空糸膜を構成する親水性高分子が劣化・溶出するため、血液適合性が低下してしまうことが知られている。
このような血液適合性の低下を防止するため、中空糸膜を湿潤保護剤で保護しつつ、中空糸膜周辺の酸素濃度を制御した状態で放射線滅菌処理を施す方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。なお、前記湿潤保護剤としては、水や多価アルコール等が提案されている。このように、湿潤保護剤によって一定程度、中空糸膜が湿潤化されている中空糸膜型血液浄化装置は、狭義のドライタイプと区別してセミドライタイプ、あるいはハーフウェットタイプと呼ばれることがあるが、ウェットタイプに比べて製品重量が軽く、しかも湿潤剤を含むものは低温条件下で凍結しにくいという、運搬や保管等の流通面において狭義のドライタイプと共通の優れた特性を有しているため、本明細書においては、両者を合わせてドライタイプと呼称する。
上述したように、ドライタイプの中空糸膜型血液浄化装置は、運搬や保管等の流通面で優れた特性を有するものの、血液適合性を良好とするためには中空糸膜を湿潤保護剤で保護しつつ、かつ酸素濃度を制御した状態で放射線滅菌処理を施すことが必要となるため、装置としての生産性が低いという問題を有している。
特開平7−178166号公報 特開2006−296931号公報 特開2008−93228号公報
そこで本発明においては、高いレベルの血液適合性を有し、優れた抗酸化性能を示し、放射線滅菌処理時における酸素濃度制御が不要で、生産性が高い中空糸膜型血液浄化装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、表面に特定量の脂溶性ビタミンを固定化した中空糸膜を、特定量の親水性化合物水溶液又は水で保護することが有効であることを見出した。これにより、高いレベルの血液適合性を有し、かつ優れた抗酸化性能を示し、放射線滅菌処理時における酸素濃度制御が不要で生産性が高い、中空糸膜型血液浄化装置を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
ポリスルホン系樹脂、親水性高分子、及び脂溶性ビタミンを含有する中空糸膜を具備す
る中空糸膜型血液浄化装置であって、前記中空糸膜表面における前記脂溶性ビタミンの存
在量が、前記中空糸膜1gあたり0.5mg以上25mg以下であり、前記中空糸膜は、
当該中空糸膜の乾燥重量に対して60%以上〜飽和含液率以下の、親水性化合物水溶液によって覆われており、前記親水性化合物水溶液は、水と多価アルコールとの混合物であり、水に対する多価アルコールの重量割合が1.3倍以上4.8倍以下であり、放射線滅菌処理が施されている中空糸膜型血液浄化装置。
〔2〕
前記中空糸膜表面における前記脂溶性ビタミンの存在量が、前記中空糸膜1gあたり1
.5mg以上18mg以下である前記〔1〕に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
〔3〕
前記親水性化合物水溶液を構成する水の前記中空糸膜への付着率が、前記中空糸膜の乾
燥重量に対して40%以上100%未満であり、多価アルコールの前記中空糸膜への付着
率が、前記中空糸膜の乾燥重量に対して20%以上300%以下である前記〔1〕又は〔2〕に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
本発明によれば、高いレベルの血液適合性を有し、かつ優れた抗酸化性能を示す中空糸膜型血液浄化装置が得られる。
さらに放射線滅菌処理時における酸素濃度を低減する必要が無いので製造工程が簡略化でき、生産合理性にも優れた中空糸膜型血液浄化装置が得られる。
親水性化合物水溶液被覆前の中空糸膜のモデル図である。 従来技術における親水性化合物水溶液被覆後の中空糸膜のモデル図である。 本発明の実施例における親水性化合物水溶液被覆後の中空糸膜のモデル図である。 中空糸膜表面における脂溶性ビタミン存在量とLDHの関係を表した図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、図を参照して説明する。
なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、さらに図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
〔中空糸膜型血液浄化装置〕
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置は、ポリスルホン系樹脂、親水性高分子、及び脂溶性ビタミンを含有する中空糸膜を具備し、前記中空糸膜表面における前記脂溶性ビタミンの存在量が、前記中空糸膜1gあたり0.5mg以上25mg以下であり、前記中空糸膜は、当該中空糸膜の乾燥重量に対して60%以上〜飽和含液率以下の、親水性化合物水溶液又は水によって覆われており、放射線滅菌処理が施されている中空糸膜型血液浄化装置である。
(中空糸膜)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する中空糸膜は、ポリスルホン系樹脂、親水性高分子、及び脂溶性ビタミンを含有する。
<ポリスルホン系樹脂>
ポリスルホン系樹脂(以下、PSfと称することがある。)とは、スルホン結合を有する高分子化合物の総称であり、例えば、繰り返し単位が、下記式(1)〜(5)で示されるポリスルホン系高分子が挙げられる。
下記式(1)〜(5)中、nは、10以上であることが好ましい。
下記式(1)のビスフェノール型ポリスルホン高分子は、ソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ社より、「ユーデル」の商品名で、また、ビー・エー・エス・エフ社より「ウルトラゾーン」の商品名で市販されており、重合度に応じて複数種類が存在するが、特に限定するものではない。
<親水性高分子>
親水性高分子としては、ポリビニルピロリドン(以下PVPと称することがある。)、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、紡糸の安定性や、上述したPSfとの親和性の観点から、PVPが好ましく用いられる。
PVPについても、重合度によっていくつかの種類が存在し、例えば、アイ・エス・ピー社より、「プラスドン」の商標名で、K−15、30、90等の分子量違いのものが存在するが、いずれも用いることができる。
<脂溶性ビタミン>
脂溶性ビタミンとは、一般に、水に溶けにくく、アルコールや油脂に溶けるビタミンである。
例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK及びユビキノン等が挙げられ、特にビタミンEが好ましい。
ビタミンEとしては、例えば、α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、α−ニコチン酸トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等が挙げられる。特にα−トコフェロールは、生体内抗酸化作用、生体膜安定化作用、血小板凝集抑制作用等の種々の生理作用を有するため好ましい。
脂溶性ビタミンは、長期透析患者で顕在化する酸化ストレスを緩和する機能、具体的には、酸化ストレスの原因物質である過酸化物の消去や、生体の抗酸化効果を回復する機能を有する。本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置においては、血液と接触する中空糸膜表面に脂溶性ビタミンが存在することで、これらの効果が発現される。
〔中空糸膜型血液浄化装置の製造方法〕
(中空糸膜の製造方法)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する中空糸膜は、公知の乾湿式製膜技術を利用することにより製造できる。
先ず、ポリスルホン系高分子と親水性高分子とを、共通溶媒に溶解し、紡糸原液を調製する。
共通溶媒としては、親水性高分子がPVPの場合、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMACと称する。)、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒が挙げられる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
なお、目的とする中空糸膜の孔径制御のため、紡糸原液には水等の添加物を加えてもよい。
中空糸膜を製膜するに際しては、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、紡糸口金のオリフィスから紡糸原液を、チューブから該紡糸原液を凝固させる為の中空内液と同時に空中に吐出させる。
中空内液としては、水、又は水を主体とした凝固液が使用でき、目的とする中空糸膜の透過性能に応じてその組成等を決定する。一般的には、紡糸原液に使用した溶剤と水との混合溶液が好ましい。例えば、0〜65質量%のDMAC水溶液等が用いられる。
紡糸口金から中空内液とともに吐出された紡糸原液は、空走部を走行させ、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入、浸漬して凝固を完了させ、洗浄工程等を経て、湿潤状態の中空糸膜巻き取り機で巻き取り、中空糸膜の束を得、その後乾燥処理を行う。あるいは、上記洗浄工程を経た後、乾燥機内にて乾燥を行い、中空糸膜の束を得てもよい。
(中空糸膜型血液浄化装置の製造工程)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置は、上述した中空糸膜の束を、最終的に得られる中空糸膜型血液浄化装置において処理される血液の出入口を具備する筒状容器に挿入し、両束端にポリウレタン等のポッティング剤を注入してポッティング層を形成して両端をシールし硬化後、余分なポッティング剤を切断除去して端面を開口させ、所定のヘッダーを取り付けることにより製造できる。
(中空糸膜表面における脂溶性ビタミンの添加工程)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置においては、中空糸膜が脂溶性ビタミンを含有しており、中空糸膜表面における前記脂溶性ビタミンの存在量は、中空糸膜1gあたり0.5mg以上25mg以下である。
中空糸膜への脂溶性ビタミンの添加方法は、製膜時に製膜原液に脂溶性ビタミンを添加することにより中空糸膜全体に脂溶性ビタミンを含有させる方法、中空内液に脂溶性ビタミン及び界面活性剤を添加して、中空糸膜内表面に脂溶性ビタミンを含有させる方法(例えば、特許第4038583号参照。)、モジュール組み立て後に、脂溶性ビタミン及び当該脂溶性ビタミンの溶媒からなる脂溶性ビタミン溶液を中空糸膜の中空部に流入することにより脂溶性ビタミンを中空糸膜内表面に付着させる方法(例えば、特開2006−296931号公報参照。)等、様々な方法が挙げられるが、いずれの方法を用いてもよく、また、その他の方法も含め、これらに限定されるものではない。
(親水性化合物水溶液又は水により中空糸膜を覆う工程)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する中空糸膜は、その乾燥重量に対して60%以上〜飽和含液率以下の、親水性化合物水溶液又は水によって覆われている。
親水性化合物水溶液とは、親水性の物質の水溶液である。
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する所定の入口及び出口を通じて、親水性化合物水溶液又は水を供給及び排出することにより、中空糸膜を親水性化合物水溶液又は水により覆うことができる。
血液適合性を向上させる観点からは、中空糸膜の内表面を親水性化合物水溶液又は水により覆えば十分だが、その他の中空糸膜の外表面や、中空糸膜厚部の細孔部の細孔表面も、同様に覆ってもよい。
親水性化合物水溶液又は水は、中空糸膜の細孔の内部を満たしてもよいが、中空内部(中空糸の中空部)については、重量増加や液漏れの原因になるため、これを満たさない方が好ましい。
(放射線滅菌処理工程)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置は放射線滅菌されている。
これは前述したように、エチレンオキサイドガス法では、エチレンオキサイドガスの残留による人体への有害性が懸念され、また高温高湿条件を伴うオートクレーブ法では、脂溶性ビタミン固定化ポリスルホン膜にオートクレーブ法滅菌を施すと、脂溶性ビタミンが局所的に凝集することに起因する血液リークが起こるおそれがあるのに対し、放射線滅菌法は、上記問題を有していないためである。
放射線滅菌法には、電子線、ガンマ線、エックス線等を用いることができるが、いずれを用いてもよい。
放射線の照射線量は、電子線の場合は通常5〜50kGyであるが、20〜40kGyの線量範囲で照射することが好ましい。
放射線滅菌処理を施すことにより、中空糸膜を構成する親水性高分子は部分架橋され、良好な血液適合性を維持したまま親水性高分子の溶出を抑制することができる。
〔中空糸膜型血液浄化装置の特性〕
(血液適合性)
近年、血液浄化装置における血液適合性は改良が進んでいるが、未だ抗凝固剤の併用が必須であったり、長期の繰り返し使用により様々な合併症を併発したりする等、改良の余地を残しているのが現状である。
本発明者らは血液適合性の更なる改良の指標として、従来の血液適合性試験に対してより厳しい長時間インキュベーションを課す試験方法を開発した。従来技術として、脂溶性ビタミンを含有しない親水性高分子を含むポリスルホン中空糸膜を、「湿潤保護剤」として例示されるグリセリン水溶液で覆い、さらに電子線滅菌を行って得られた膜の血液適合性を、前記新たに開発した血液適合性試験方法により評価したところ、血液適合性には未だ改良の余地を有していることが分かった。
なお、以下の記載においては、血液適合性について、本発明者らが新たに開発したより厳しい試験方法で識別できる「改良の余地がある」レベルを「不十分」と表現することがあるが、これはより高いレベルの血液適合性を目指したことによる。
本発明者らはさらに研究を進めた結果、驚くべきことに、脂溶性ビタミンを含有する中空糸膜を親水性化合物水溶液で覆って電子線滅菌を施した中空糸膜は、良好な血液適合性を示すことを見出した。
さらに驚くべきことに、脂溶性ビタミンを含有する中空糸膜は、水単独で覆って放射線照射を施しても、良好な血液適合性を有することが分かった。
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置において得られるこれらの効果は、これまでの知識からは想像もできないことである。すなわち、例えば上記特許文献3は、「湿潤保護剤」としてグリセリン水溶液やビタミンEをそれぞれ単独で例示するものの、それらの組み合わせについては例示も示唆もしていない。さらに、上記特許文献3においては、血液適合性に必要なのは「湿潤保護剤」のラジカル種の捕捉能力であると記載しているが、既にラジカル種の捕捉能力の十分なビタミンEを含む中空糸膜に、むしろ捕捉能力の劣るグリセリン水溶液や、そもそも捕捉能力を持たない単独の水を添加することは、当業者であっても思いもよらないことである。
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する特定量の脂溶性ビタミンを含有する中空糸膜を、親水性化合物水溶液又は水で覆って、さらに放射線滅菌を施すことにより、高い血液適合性を得られることに関しては、脂溶性ビタミンや親水性化合物水溶液又は水のラジカル種捕捉能力のみに起因するものではない。
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置において、優れた血液適合性が発揮される仕組みを、以下に説明する。
図1に示すように、中空糸膜を構成するポリスルホンと親水性高分子とのブレンド膜の表面は、疎水性のポリスルホン膜基材1に、親水性高分子2が突き出すように存在した構成となっている。
次に、中空糸膜中に脂溶性ビタミンが含有されていない場合のモデル図を図2に示し、中空糸膜中に脂溶性ビタミンが含有されている場合のモデル図を図3に示す。
脂溶性ビタミンは疎水性であるため、図3に示すように、膜基材表面に油膜5となって形成される。
親水性化合物水溶液を付与する際に、疎水性の脂溶性ビタミンによる油膜5が形成されていると、親水性化合物水溶液は、同じく膜表面近傍に存在する親水性高分子2に選択的に付着し、図3に示すように、親水性化合物水溶液3を図2の場合に比して多く担持した親水性高分子6が形成される。
一方、脂溶性ビタミンが含有されていない場合は、図2に示すように、親水性化合物水溶液3がポリスルホン膜基材1にも保持されることとなり、親水性高分子2に対する親水性化合物水溶液3の担持量は、上記図3中に示した親水性化合物水溶液を担持した親水性高分子6の場合よりも少なくなる。
すなわち、親水性化合物水溶液3と脂溶性ビタミン5とを同時に存在させた場合には、親水性化合物水溶液単独で使用する場合と比較して、親水性高分子2の親水性化合物水溶液の担持量をより多くすることができる。そして、親水性高分子2の劣化を効果的に防止できる。また、使用開始初期における濡れ性が高まる結果、血液への親和性の改善効果も得られる。
このように考えると、脂溶性ビタミン5を含有しない中空糸膜を、親水性化合物水溶液で覆った場合は、親水性高分子2の溶液保持が十分でなかったためにラジカル種からの保護効果が十分に発揮されなかったためであると考えられ、矛盾なく説明できる。
(中空糸膜表面における脂溶性ビタミンの存在量)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置においては、中空糸膜表面における前記脂溶性ビタミンの存在量が、中空糸膜1gあたり0.5mg以上25mg以下である。
脂溶性ビタミンの中空糸膜表面における存在量が0.5mg未満であると、放射線滅菌時における親水性高分子の劣化や架橋反応の制御が困難になるため、良好な血液適合性が得られない。よって、脂溶性ビタミンの中空糸膜表面における存在量は、0.5mg以上が必要であり、好ましくは1.0mg以上、より好ましくは1.5mg以上である。
また、脂溶性ビタミンの中空糸膜表面における存在量が25mgを超えると、脂溶性ビタミン自身の疎水性の影響が強まるため、抗血栓性が低下し、血液と接触させたときに中空糸内で血液が凝固する、いわゆる残血が発生することがある。よって脂溶性ビタミンの中空糸膜表面における存在量の上限値は25mg以下、好ましくは24mg以下、さらに好ましくは23mg以下、さらにより好ましくは18mg以下である。
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する中空糸膜表面に存在する脂溶性ビタミンの存在量は、アルコール水溶液で中空糸膜表面の脂溶性ビタミンを抽出した後、液体クロマトグラフィーで定量し、評価することができる。
なお、本明細書において、中空糸膜表面とは、中空糸膜の内表面と外表面ならびに膜厚部の細孔部の細孔表面をいずれも含む。
中空糸膜型血液浄化装置を構成する中空糸膜の表面に存在する脂溶性ビタミンの存在量の具体的な測定方法の例を下記に示す。なお、脂溶性ビタミンの存在量の測定方法は、下記の例に限定されるものではなく、採取量、抽出溶液の濃度や量、温度、時間、通液流量、測定装置等により適宜調整することができる。
先ず、中空糸膜型血液浄化装置を分解し、中空糸膜を採取し、水洗した後、乾燥処理を施す。
続いて、乾燥後の中空糸膜を、例えば、4gガラス瓶に秤取し、例えば75v/v%エタノール水溶液を例えば80mL加え、室温で60分間、超音波振動を加えながら脂溶性ビタミンの抽出を行う。
次に、液体クロマトグラフ法により、脂溶性ビタミン標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、抽出液の脂溶性ビタミン量を求める。例えば、高速液体クロマトグラフ装置(ポンプ:日本分光PU−1580、検出器:島津RID−6A、オートインジェクター:島津SIL−6B、データ処理:東ソーGPC−8020、カラムオーブン:GL Sciences556)に、カラム(Shodex Asahipak社製ODP−506E packed column for H PLC)を取り付け、カラム温度40℃ において、移動相である高速液体クロマトグラフィー用メタノールを、例えば流量1mL/minで通液し、紫外部の吸収ピークの面積から脂溶性ビタミン濃度を求める。この濃度から、抽出効率を100%として、1gあたりの中空糸膜の表面に存在している脂溶性ビタミンの重量(mg/g)を求める。
なお、放射線滅菌処理により、脂溶性ビタミンは一部失活する。
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置において規定する「中空糸膜表面ににおける脂溶性ビタミンの存在量」とは、放射線滅菌処理により失活したものを含めた中空糸膜表面の脂溶性ビタミンの存在量である。
これに対し、後述する「抗酸化能力」は、放射線滅菌処理により失活していない中空糸膜の表面における脂溶性ビタミン存在量を指標として評価する。
(中空糸膜を覆う親水性化合物水溶液又は水の付着率)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する中空糸膜は、その乾燥重量に対して60%以上〜飽和含液率以下の、親水性化合物水溶液又は水によって覆われている。
中空糸膜が親水性化合物水溶液によって覆われている場合は、親水性化合物水溶液は、病院での使用時には、容易に洗浄及び除去されるように付着していることが好ましい。
なお、ここでいう洗浄及び除去とは、使用前に行う一般的なプライミング操作により、中空糸膜を覆っている親水性化合物水溶液の少なくとも95%以上が洗浄され、中空糸膜表面を再現させることをいう。
前記中空糸膜を覆う親水性化合物水溶液としては、例えば、グリセリン、マンニトール、グリコール類等の多価アルコール類を水や生理的溶液に溶解した溶液が挙げられる。これらの親水性化合物水溶液は、中空糸膜表面を斑なく覆いやすく、しかも洗浄されやすい。
さらにラジカル種からの親水性高分子の保護の観点から多価アルコールの水溶液が好ましく、特に、中空糸膜の孔径保持剤や表面改質剤として実績がある点で、グリセリン又はポリエチレングリコールの水溶液がより好ましく、グリセリン水溶液がさらに好ましい。
親水性化合物水溶液又は水には、所定の添加剤が混合されていてもよい。
添加剤としては、例えば、ビタミンC(及びその誘導体ならびに酢酸トコフェロール及びα−トコトリエノール等の塩)等の、水溶性ビタミン類、グルコース、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、トレハロース等の糖類等が挙げられる。
上述したように、本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置の中空糸膜は、その乾燥重量に対して60%以上〜飽和含液率以下の、親水性化合物水溶液又は水で覆われている。
血液透析膜として一般的な、透水性能が200mL/hr・mmHgmである中空糸膜では、飽和含液率は400%程度であるため、以下の例においては、飽和含液率を400%として説明するが、本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置は、以下の例に限定されるものではない。なお、「飽和含液量」とは、親水性化合物水溶液又は水が滴り落ちることのない最大の含液率をいうものとする。
「飽和含液量」は、具体的には以下の方法等により測定することができる。
室温にて中空糸膜型血液浄化装置内部に完全に親水性化合物水溶液又は水を充填し、次に、中空糸内部のみ0.15MPaの圧縮空気を10秒間ブローすることにより中空部を排水する。このとき、中空糸外側である血液浄化装置の内部空間に通じるノズルには栓をして、膜厚部に存在する液体が抜け出さないようにする。ついで中空糸の外側のみ同様に圧縮空気のブローにより血液浄化装置の内部空間部分を排水する。このようにすれば中空糸膜の膜厚部と中空糸同士の隙間とに水溶液又は水が保持される状態を再現でき、その重量を測定することにより飽和含液率を求めることができる。
この例における中空糸膜に対する親水性化合物水溶液又は水の付着率が400%より多くなると、中空糸膜型血液浄化装置の重量が過度に重くなり、ドライタイプの利点が損なわれる。また、一般的に保管され、流通される20〜40℃程度の室温付近では、血液浄化装置を構成する容器内壁や滅菌袋内に液滴が付着しやすくなり、製品としての外観が悪化する。また、中空糸膜を束の状態で親水性化合物水溶液又は水の付着率を調整して組み立てる場合、中空糸膜の外表面がベタついて中空糸膜同士が固着しやすくなり、ポッティング剤の侵入が妨げられてリークの原因となる。さらに、組み立て後に親水性化合物水溶液又は水の付着率を調整する場合においても固着が生じ、透析効率に支障をきたすおそれがある。さらにまた、中空糸膜の一部分が高密度化して放射線の透過力が弱まるため、最低限、滅菌に必要な照射線量を確保しようとして多量に放射すると、中空糸膜血液浄化装置の線量分布が大きくなり、これにより局所的な材料劣化を招来し、溶出物が増加するという不都合を生じる。
従って、中空糸膜は、その乾燥重量に対して60%以上〜飽和含液率以下の、親水性化合物水溶液又は水で覆われているものであることが必要であり、上記例においては、上限は400%以下である必要があり、好ましくは350%以下、さらに好ましくは300%以下である。
一方、中空糸膜を構成する親水性高分子の保護の観点から、下限値としては60%以上の付着率が必要であり、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%以上である。
中空糸膜に対する親水性化合物水溶液又は水の付着率は、中空糸膜の乾燥重量に対する親水性化合物水溶液又は水の総重量の割合として算出される。
親水性化合物水溶液又は水の付着率の測定方法については、特に限定されるものではないが、親水性化合物水溶液の場合、例えば、下記のような方法で測定できる。
先ず、中空糸膜型血液処理装置から5g分の中空糸膜を取り出し、乾燥前の中空糸膜の重量(A)を正確に測定する。
その後、真空乾燥機にて水のみ除去し、乾燥後の中空糸膜の重量(B)を測定する。
その後、水のみを除去した上記乾燥後の中空糸膜試料を用い、中空糸膜試料全量を細かく裁断した後、純水300mLを加え、栓をして60分間、超音波洗浄装置にて洗浄することにより、付着している親水性化合物、すなわち多価アルコールを抽出する。
多価アルコールは、裁断された中空糸膜試料を超音波洗浄装置にて抽出した後の抽出液を用いて液体クロマトグラフ法により定量を行い、標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて、抽出液中の多価アルコールの重量(C)を求める。
さらに前記抽出液から裁断された中空糸膜試料のみを取り出し、真空乾燥機にて乾燥後、乾燥した裁断された中空糸膜試料の重量を測定し、これを多価アルコール及び水分が付着されていない中空糸膜の重量(D)とする。
以上の測定値に基づいて、下記の式(I)から算出される値が水の付着率であり、下記式(II)から算出される値が多価アルコールの付着率である。
後述する実施例、比較例においては、水の付着率は、下記式(I)により、多価アルコール(グリセリン、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール)の付着率は下記式(II)により、親水性化合物水溶液の付着率はこれらを合計することにより、それぞれ求めた。
水の付着率(%)=[(A−B)/D]×100 ・・・(I)
多価アルコールの付着率(%)=(C/D)×100 ・・・(II)
(中空糸膜を覆う親水性化合物水溶液の成分割合)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する中空糸膜に付着している親水性化合物水溶液が多価アルコール水溶液である場合、水に対する多価アルコールの重量割合は、0.2倍以上7.5倍以下であることが好ましい。
水に対する多価アルコールの重量割合が7.5倍より多くなると、中空糸膜の表面や中空糸膜の内部に付着している多価アルコールの局所的な濃度が高まって、付着部位が粘稠になる結果、被覆状態が不均一になりやすいので、後述する放射線照射からの保護効果が却って不十分になる傾向にある。さらに、多価アルコール水溶液の凝固点が上昇し、中空糸膜の細孔中に含まれる水溶液が凍結しやすくなるので、中空糸膜の構造変化を伴うダメージを起こしやすくなる。従って、水に対する多価アルコールの重量割合は7.5倍以下であることが好ましい。特に多価アルコールがグリセリンの場合、より好ましくは、グリセリン水溶液の凝固点が−10℃以下になる5.7倍以下であり、さらに好ましくは、グリセリン水溶液の凝固点が−30℃以下になる3倍以下である。
一方、実用上十分な保護効果を確保する観点から、下限値としては0.2倍であることが好ましい。
特に多価アルコールがグリセリンの場合、より好ましくは、グリセリン水溶液の凝固点が−10℃以下となる0.5倍以上であり、さらに好ましくは、グリセリン水溶液の凝固点が−30℃以下となる1.2倍以上である。
水に対する多価アルコールの重量割合は下記式(III)により求められる。
水に対する多価アルコールの重量割合=多価アルコールの重量(g)/水の重量(g)・・・(III)
(中空糸膜を覆う多価アルコールの付着率)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置の中空糸膜を覆う親水性化合物水溶液が多価アルコール水溶液である場合、中空糸膜型血液浄化装置内の中空糸膜には、その乾燥重量に対し20%以上300%以下の多価アルコールが付着していることが好ましい。なお、中空糸膜に対する多価アルコールの付着率は、多価アルコールが水溶液として付着している場合は、その水成分を除外した多価アルコールの正味の重量の、中空糸膜の乾燥重量に対する比率であり、上記式(II)により算出できる。
中空糸膜の乾燥重量に対する多価アルコールの重量の比率(多価アルコールの付着率)が300%より多くなると、中空糸膜型血液浄化装置の重量が重くなり、ドライタイプとしての利点が損なわれ、取扱性に欠ける。また、一般的に保管され流通される室温付近(例えば、20〜40℃程度)では、血液浄化装置を構成する容器内壁や滅菌袋内に液滴が付着する傾向が高まり、製品としての外観が悪くなる。さらに、中空糸膜表面や中空糸膜内部に付着している多価アルコールの局所的な濃度が高まって、付着部位が粘稠になる結果、被覆状態が不均一になりやすいので、後述する放射線照射からの保護効果が却って不十分になる。
従って、多価アルコールの付着率は300%以下であることが好ましく、より好ましくは250%以下、さらに好ましくは200%以下である。
一方において、実用上十分な中空糸膜の保護効果を確保する観点から、親水性化合物水溶液が多価アルコール水溶液である場合、中空糸膜型血液浄化装置内の中空糸膜には、その乾燥重量に対し20%以上の多価アルコールが付着していることが好ましい。
多価アルコールの付着率を低くすると、中空糸膜の束全体の密度が低下するため、放射線滅菌処理を行う際の、放射線の線量分布をより小さくできる。
また、使用前のプライミング操作において、多価アルコールをより手早く確実に除去できるという利点も得られる。しかし中空糸膜の劣化保護効果を実用上十分に確保する観点から、上記のように中空糸膜の乾燥重量に対し20%以上の多価アルコールが付着していることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。
(中空糸膜を覆う水分の付着率)
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置を構成する中空糸膜においては、多価アルコールの付着率が前記数値範囲であると同時に、中空糸膜の乾燥重量に対する水分量の比率、すなわち水の付着率が40%以上100%未満であることが好ましい。
中空糸膜の乾燥重量に対する水の付着率が40%以上であれば、血液との初期接触の段階における血小板の活性化を抑制できる。これは、中空糸膜の表面が適度に湿潤した状態になると親水性高分子が水和状態となり、使用開始初期における濡れ性が高まり、血液への親和性が良好になるためであると考えられ、ドライタイプの血液浄化装置をプライミングして直ちに使用する必要がある場合、非常に重要な特徴となる。
しかし、中空糸膜の乾燥重量に対する水の付着率が100%以上になると、たとえ中空糸膜の周囲に水分が無い状態であっても、特に低温条件下においては、中空糸膜の細孔中に含まれる水分が凍結するおそれがあるため、中空糸膜の構造変化を伴うダメージを起こしやすくなる。また、中空糸膜の乾燥重量に対する水の付着率が100%を超えると、過剰な水分が水滴となって容器内壁や滅菌袋内に付着し、製品としての外観の悪化を招来する原因となる。
さらに、中空糸膜の乾燥重量に対する水分量の比率(水の付着率)は、40%以上であることが好ましい。前記水の付着率が40%未満であると、血液との初期接触の段階で血小板が活性化し、血液適合性が低下するおそれがある。これは、中空糸膜表面が極度に乾燥した状態であると、親水性高分子の分子運動性が低下しているため、使用時に親水性高分子が水に濡れて水和状態へと変化するために時間がかかることに起因するものであると考えられる。
特に、親水性化合物水溶液が多価アルコールの場合には、当該多価アルコール水溶液の粘度が高くなることが原因で中空糸膜への水の付着率のバラツキが大きくなるため、親水性が極めて低い中空糸膜が現れやすくなり、結果として血液適合性の低下を引き起こす傾向となる。よって水の付着率は40%以上を確保することが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置において、中空糸膜に対する親水性化合物水溶液の付着率、あるいは多価アルコールの付着率及び水の付着率を、上記の範囲に設定する方法は、特に限定されない。
例えば、中空糸膜に高濃度の親水性化合物水溶液を接触させた後、通水することにより、親水性化合物水溶液、多価アルコール、及び水の付着率を、上述した所定の範囲に調節する逐次的な方法が挙げられる。また、他の方法としては、例えば、親水性化合物水溶液を中空糸膜に接触させる際の接触時間や、当該溶液の濃度、中空糸膜内への注入圧力、親水性化合物水溶液を吹き飛ばすためのエアフラッシュ条件等を適正化して一段階で行う方法が挙げられる。後者の方がプロセス的な煩雑性は低く、また、高濃度の水溶液を使う必要がないため、より均一に被覆しやすいという利点がある。特に、エアフラッシュ法は、親水性化合物水溶液の残余を吹き飛ばす効果があり、例えば粘性のある親水性化合物水溶液を中空糸膜の内表面に伸展させることができ、より均一に被覆する効果も得られる。
上述した中空糸膜に対する親水性化合物水溶液の付着率、多価アルコールの付着率及び水の付着率を、上記の範囲に設定する方法は、製膜工程の一部に取り入れて中空糸膜毎に行ってもよく、製膜後に集束した束の状態で行ってもよい。
中空糸膜毎に行う場合には、製膜ラインに親水性化合物水溶液の浴を設けて中空糸膜を浸漬すればよく、製膜後に集束した束の状態で行う場合には、中空糸膜の束を親水性化合物水溶液の浴に浸漬するか、中空糸膜の束の端部から親水性化合物水溶液のシャワーをかければよい。
また、中空糸膜型血液浄化装置の半製品、すなわち組み立てる途中の、ヘッダーを取り付けていない状態で、ポッティング部の中空糸膜開口部から親水性化合物水溶液を通液する方法、中空糸膜内部に通じる流体出入口を有するヘッダーを取り付けた後、ヘッダーの流体出入口から通液する方法、筒状容器の流体出入口(例えば、血液透析器なら透析液出入口)から通液する方法も適用できる。これらの中では、高粘度の液であっても、血液との接触面である中空内部に確実に通液できることから、血液浄化装置の半製品の中空糸膜開口部又は血液浄化装置のヘッダーの流体出入口から通液する方法が好ましい。
(抗酸化能力の経時的安定性)
ところで、近年、血液浄化療法は広い地域で利用されており、多種多様な環境下で使用されるモジュールは、今後一層、高い保管安定性が要求される。
従来においては、通常、常温常湿の条件下で3年間の保管安定性を有していれば、実用上十分であるとされていた。
そこで、本発明者は、モジュールの保管安定性としての各種性能のうち、特に抗酸化能力に着目し、長期保管にわたるモジュールの抗酸化能力の経時的安定性を獲得するという新たな課題に着目し、モジュール内中空糸膜の最適な構成を見出すべく鋭意研究を行った。 すなわち、上述した血液適合性に加え、本発明のさらなる解決課題は、長期保管にわたるモジュールの抗酸化能力の経時的安定性を獲得することである。
長期保管にわたるモジュールの抗酸化能力の経時的安定性は、経時加速試験によって評価する。例えば、60℃の環境下で3週間加熱処理した後、モジュールの抗酸化能力を測定することにより評価することができる。
モジュールの抗酸化能力を担う脂溶性抗酸化剤(脂溶性ビタミン)は、本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置においては、中空糸膜表面に存在しているが、中空糸膜を被覆する親水性化合物水溶液が多価アルコール水溶液である場合、水に対する多価アルコールの重量割合を一定比率以上に特定することによって、経時加速処理後の血液浄化装置でも有効な抗酸化能力を保持し得る。
常識的に考えれば、脂溶性抗酸化剤(脂溶性ビタミン)と多価アルコールを共存させた場合、より抗酸化能力の高い脂溶性抗酸化剤(脂溶性ビタミン)が先に酸化されていき、これにより多価アルコールの酸化が防止されることが想定される。
しかしながら、本実施形態の中空糸膜型血液浄化装置においては、上記想定とは異なる挙動を示すことが可能である。すなわち、脂溶性抗酸化剤(脂溶性ビタミン)が、その疎水性により疎水性高分子であるポリスルホン膜に吸着するため、結果として多価アルコール水溶液のみが外気に接するようになる。そのために、酸素(あるいは活性酸素)が脂溶性抗酸化剤に到達する前に、多価アルコール水溶液が酸化されることにより酸素が消費される。このような原理に基けば、多価アルコールによって酸素を消費させるようにすることにより、過酷な条件下においても優れた抗酸化性能を発揮できるようになる。このような観点から、多価アルコール水溶液における、水に対する多価アルコールの重量割合は1.3倍以上が好ましく、2.3倍以上がより好ましい。
一方で、水に対する多価アルコールの重量割合が高すぎても保管安定性が悪化する。すなわち、多価アルコールがラジカル捕捉剤として働く際に、多価アルコール自身はラジカルに変換されるが、このラジカルは比較的安定(それゆえにラジカル捕捉剤として有用)であり、その結果寿命も長い。言い換えれば多価アルコール濃度が高いということは、滅菌時に発生したラジカル、あるいは過酷環境下での保管に伴う酸素の侵入、熱、光等によって発生したラジカルが蓄積されやすくなることを意味する。特に多価アルコール濃度が高いと、脂溶性ビタミンが酸化されてしまい、上記のような抗酸化性能を阻害する原因となる。上述した観点から、水に対する多価アルコールの重量割合は4.8倍以下とすることが好ましい。
以下、具体的な実施例と、これとの比較例を挙げて説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例に用いた各種測定方法について説明する。
〔中空糸膜表面における脂溶性ビタミンの存在量〕
中空糸膜表面における脂溶性ビタミンの存在量の具体的な測定方法について説明する。
先ず、中空糸膜型血液浄化装置を分解して中空糸膜を採取し、水洗後、40℃で真空乾燥した。
乾燥後の中空糸膜4gをガラス瓶に秤取し、75v/v%エタノール水溶液を80mL加え、室温で60分間、超音波振動を加えながら脂溶性ビタミンの抽出を行った。
定量操作は液体クロマトグラフ法により行い、脂溶性ビタミン標準溶液のピーク面積から得た検量線を用いて抽出液の脂溶性ビタミン量を求めた。
すなわち、高速液体クロマトグラフ装置(ポンプ:日本分光PU−1580、検出器:島津RID−6A、オートインジェクター:島津SIL−6B、データ処理:東ソーGPC−8020、カラムオーブン:GL Sciences556)に、カラム(Shodex Asahipak社製 ODP−506E packed column for HPLC)を取り付け、カラム温度40℃において、移動相である高速液体クロマトグラフィー用メタノールを流量1mL/minで通液し、紫外部の吸収ピークの面積から脂溶性ビタミン濃度を求めた。
この脂溶性ビタミン濃度から、抽出効率を100%として、中空糸膜表面に存在する中空糸膜1gあたりの脂溶性ビタミンの重量を求め、脂溶性ビタミンの存在量(mg/g)とした。
〔抗酸化能力〕
放射線滅菌処理後の中空糸膜型血液浄化装置の抗酸化能力の具体的な測定方法について説明する。
先ず、塩化第二鉄6水和物を純水に溶解し、0.3w/v%(溶液100mL中の溶質の量(g))水溶液を調製した。
中空糸膜型血液浄化装置を分解して中空糸膜を採取し、水洗した後、40℃で真空乾燥した。
次に、乾燥後の中空糸膜1gと塩化第二鉄水溶液20mLとをガラス瓶に秤取し、60mmHgで10分間脱泡した後、振とう下で30℃×4時間インキュベートした(中空糸膜表面に存在する脂溶性ビタミンが鉄(III)イオンを還元し、鉄(II)が生じた。)。
インキュベートした水溶液を2.6mL、エタノール0.7mL、別途調製した0.5w/v%の2,2’−ビピリジルエタノール水溶液0.7mLを混合し、振とう下で30℃×30分間インキュベートした(鉄(II)とビピリジルとが錯体を形成し、呈色した)。
分光計を用いて、呈色した液の520nmにおける吸光度を測定した。
中空糸膜の代わりに、濃度既知の脂溶性ビタミンエタノール溶液を用いて、同様のインキュベーション、呈色反応、吸光度の測定を行って、検量線を作成し、中空糸膜1gが発現する抗酸化能力を、活性を有する脂溶性ビタミンの重量相当値として求めた。
中空糸膜1gあたりの中空糸膜表面に存在する、活性を有する脂溶性ビタミンの重量相当値が0.4mg以上の場合を抗酸化能力が良好であると判断して○、0.4mg未満の場合を抗酸化能力が実用上良好ではないと判断して×とした。
〔乳酸脱水素酵素(LDH)活性の測定〕
中空糸膜の血液適合性は、中空糸膜表面への血小板の付着性で評価し、中空糸膜に付着した血小板に含まれる乳酸脱水素酵素(LDH)の活性を指標として定量化した。
従来においても乳酸脱水素酵素(LDH)を指標とした血液適合性のモデル試験が行われていたが、試験用の試料と血液との接触は、短時間であった。
本測定方法においては、より高いレベルの血液適合性の検証をするため、試験用試料と血液とを長時間接触(循環)させることにより、より血小板の付着を生じさせやすくした苛酷な条件を採用した。
先ず、中空糸膜型血液浄化装置を分解して中空糸膜を採取し、これを、有効長15cm、膜内表面の面積が50mm(一例として内径185μmの中空糸であれば56フィラメント)となるように両端をエポキシ接着剤で接着してミニモジュールを作製した。
前記ミニモジュールに対し、生理食塩水(大塚製薬株式会社、大塚生食注)3mLを流速0.6mL/minで中空糸膜の内側に流し、洗浄した(以下、「プライミング」と称する)。
その後、ヘパリン加人血15mLを37℃に温調し、1.2mL/minでの流速で前記ミニモジュール内に4hr循環した。循環後、ミニモジュールの内側及び外側をそれぞれ、生理食塩水10mLを用いて洗浄した。
洗浄後のミニモジュールから56フィラメント、長さ7cmの中空糸膜を採取し、その後、これを細断してLDH測定用のスピッツ管に入れたものを測定用試料とした。
次に、燐酸緩衝溶液(PBS)(和光純薬工業(株)製)にTritonX−100(ナカライテスク社製)を溶解して得た0.5容量%のTritonX−100/PBS溶液をLDH測定用のスピッツ管に0.5mL添加後、遠心(2700rpm×5min)して中空糸膜を液中に沈め、振とう抽出を60分間行って中空糸膜に付着した細胞(主に血小板)を破壊し、細胞中のLDHを抽出した。この抽出液を0.05mL分取し、さらに0.6mMのピルビン酸ナトリウム溶液2.7mL、1.277mg/mLのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)溶液0.3mLを加えて反応させ、さらに37℃で1時間反応させた後に、340nmの吸光度を測定した。
同様に、血液と反応させていない中空糸膜(ブランク)についても吸光度を測定し、下記式(IV)により吸光度の差を算出した。
さらに下記式(IV)で得られた値を、有効膜面積で割った下記式(V)で得られた値によって、LDH活性を評価した。
本方法では、この減少幅が大きいほどLDH活性が高い、すなわち中空糸膜表面への血小板の付着量が多いことを意味するものとして評価した。
LDHが、0以上10未満を特に良好なものとして◎、10以上50未満を実用上良好なものとして○、50以上を実用上良好でないものとして×とした。
340nmの吸光度の差(Δ340nm)=サンプルの60分後吸光度−ブランクの60分後吸光度・・・(IV)
LDH活性=Δ340nm/有効中空糸膜面積 ・・・(V)
図4に、表面脂溶性ビタミン量、すなわち中空糸膜1gあたりの中空糸膜表面に存在する脂溶性ビタミン量と、LDH活性との関係を示す。
図4中、横軸の単位(mg/gHF)は、中空糸膜1gあたりの中空糸膜表面に存在する脂溶性ビタミン量を意味する。
脂溶性ビタミン量が中空糸膜1gあたり0.5mg以上25.0mg以下である場合は、LDHが良好であるのに対し、この範囲外の0.4mgもしくは26.2mgの場合は、LDHは良好ではないことが分かった。
〔製品外観〕
製品外観の評価は、容器及び製品袋内における、親水性化合物水溶液又は水の液滴の有無を目視で評価した。
具体的には、製品50本を評価し、液滴が全く確認できない場合を良好と判断した。
〔高温下あるいは長期にわたる保管のモデル試験(経時加速試験)〕
後述する実施例及び比較例の中空糸膜型血液浄化装置を、60℃の恒温槽の中で3週間加熱処理(経時加速試験)を行った。
加熱処理後の中空糸膜型血液浄化装置の抗酸化能力を、前述した〔抗酸化能力〕の測定方法により評価した。
〔実施例1〕
PSf(ソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ社製、P−1700)17質量部
PVP(アイ・エス・ピー社製、K−90)4質量部
α−トコフェロール0.5質量部
ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)79質量部
からなる均一な紡糸原液を調製した。
ここで、PSfはポリスルホン系樹脂、PVPはポリビニルピロリドンを表す。
また、実施例1においては、脂溶性ビタミン(α−トコフェロール)は、ブレンドにより中空糸膜に添加される。
中空内液には、DMACの42%水溶液を用い、紡糸原液とともに、紡糸口金から吐出させた。
その際、乾燥後の膜厚を45μm、内径を185μmとなるように、紡糸原液及び中空内液の吐出量を調整した。
吐出した紡糸原液を、紡糸口金の位置から50cm下方に設けた水よりなる60℃の凝固浴に浸漬し、30m/分の速度で凝固工程、水洗工程を行い、その後、乾燥機に導入し、120℃で2分間乾燥し、さらに160℃で0.5分間の加熱処理を行い、その後、クリンプを付与したポリスルホン系中空糸膜を巻き取った。
巻き取った10000本の中空糸膜の束を、中空糸膜の有効膜面積が1.5mとなるように設計したプラスチック製筒状容器に装填し、その両端部をウレタン樹脂で接着固定し、両端面を切断して中空糸膜の開口端を形成した。
開口端から濃度65.4%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に4.3秒間注入し、0.3MPaのエアーで10秒間フラッシュし、その後、両端部にヘッダーキャップを取り付けた。
血液流出入側ノズルに栓を施した後、電子線を20kGy照射して滅菌処理を行い、有効膜面積1.5mの中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の、多価アルコールであるグリセリン付着率は189.1%、水の付着率は64.5%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示した。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例2〕
PSf(ソルベイ・アドバンスド・ポリマーズ社製、P−1700)17質量部
PVP(アイ・エス・ピー社製、K−90)4質量部
ジメチルアセトアミド(以下、DMAC)79質量部
からなる均一な紡糸原液を調製した。
中空内液にはDMACの42%水溶液を用い、紡糸原液とともに、紡糸口金から吐出させた。
その際、乾燥後の膜厚を45μm、内径を185μmとなるように、紡糸原液及び中空内液の吐出量を調整した。
吐出した紡糸原液を、紡糸口金の位置から50cm下方に設けた水よりなる60℃の凝固浴に浸漬し、30m/分の速度で凝固工程、水洗工程を通過させた後に乾燥機に導入し、120℃で2分間乾燥し、さらに160℃で0.5分間の加熱処理を行い、その後、クリンプを付与したポリスルホン系中空糸膜を巻き取った。
巻き取った10000本の中空糸膜の束を、中空糸膜の有効膜面積が1.5mとなるように設計したプラスチック製筒状容器に装填し、その両端部をウレタン樹脂で接着固定し、両端面を切断して中空糸膜の開口端を形成した。
次に、イソプロパノール57質量%の水溶液にα−トコフェロールを0.23質量%溶解した被覆溶液を、血液浄化装置の血液導入ノズルから中空糸膜の内腔部に52秒通液してα−トコフェロールを接触させた。
実施例2においては、脂溶性ビタミン(α−トコフェロール)は、コートにより中空糸膜に添加される。
さらに、エアフラッシュして内腔部の残液を除去した後、24℃ の乾燥空気を30分間通気して溶媒を乾燥除去することにより、α−トコフェロールを被覆した。
さらに開口端から濃度63.1%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に4.4秒間注入し、0.3MPaのエアーで10秒間フラッシュした後、両端部にヘッダーキャップを取り付けた。
血液流出入側ノズルに栓を施した後、電子線を20kGy照射して有効膜面積1.5mの中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は190.5%、水の付着率は66.3%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例3〕
α−トコフェロールを0.3質量部にして、水洗処理後の乾燥を120℃で2分間乾燥後、さらに120℃で0.5分間の加熱処理を行った。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は178.4%、水の付着率は79.3%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例4〕
α−トコフェロールを1.0質量部にして、水洗処理後の乾燥を120℃で2分間乾燥後、さらに170℃で0.5分間の加熱処理を行った。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は165.5%、水の付着率は79.3%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例5〕
α−トコフェロールを1.5質量部にして、水洗処理後の乾燥を120℃で2分間乾燥後、さらに170℃で0.5分間の加熱処理を行った。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は166.9%、水の付着率は80.2%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例6〕
α−トコフェロールを2.5質量部にして、水洗処理後の乾燥を120℃で2分間乾燥後、さらに180℃で0.5分間の加熱処理を行った。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は166.2%、水の付着率は79.9%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔参考例1〕
濃度23.1%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に4.5秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリンの付着率は20.0%、水の付着率は40.0%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例8〕
濃度69.9%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に8.2秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリンの付着率は299.6%、水の付着率は100.4%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例9〕
濃度83.2%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に8.2秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリンの付着率は290.4%、水の付着率は45.4%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例10〕
濃度64.2%のポリエチレングリコール(片山化学工業(株)製、一級、PEG600)水溶液を中空糸膜内に4.6秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるポリエチレングリコールの付着率は153.1%、水の付着率は66.1%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例11〕
濃度61.8%のテトラエチレングリコール(和光純薬工業(株)製、Tetraethyleneglycol, 99%)水溶液を、中空糸膜内に4.2秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるテトラエチレングリコールの付着率は150.5%、水の付着率は67.2%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔参考例2〕
注射用水を中空糸膜内に7.6秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、この中
空糸膜型血液処理装置における水の付着率は378.4%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔参考例3〕
濃度9.3%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に4.6秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液のグリセリン付着率は25.2%、水の付着率は220.3%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1に示す。
なお、下記表1中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
〔実施例14〕
α−トコフェロールを0.5質量部にして、水洗処理後の乾燥を120℃で2分間の条件で行い、当該乾燥後、さらに130℃で0.5分間の加熱処理を行った。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は173%、水の付着率は75%であった。
諸性能を測定した結果を下記表1、表3に示す。
〔実施例15〕
濃度55%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に4.6秒間注入した。
その他の条件は、実施例14と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は145%、水の付着率は110%であった。
諸性能を測定した結果を下記表3に示す。
〔実施例16〕
電子線の照射線量を15kGyにした。その他の条件は、実施例1と同様として中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は190.5%、水の付着率は66.3%であった。
諸性能を測定した結果を下記表3、表5に示す。
〔実施例17〕
電子線の照射線量を50kGyにした。その他の条件は、実施例1と同様として中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は190.5%、水の付着率は66.3%であった。
諸性能を測定した結果を下記表5に示す。
〔実施例18〕
電子線に代えてガンマ線を25kGy照射した。その他の条件は、実施例1と同様として中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は190.5%、水の付着率は66.3%であった。
諸性能を測定した結果を下記表5に示す。
〔比較例1〕
α−トコフェロールを0.2質量部にして、水洗処理後の乾燥を120℃で2分間乾燥後、さらに120℃で0.5分間の加熱処理を行った。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるグリセリン付着率は177.9%、水の付着率は80.3%であった。
諸性能を測定した結果を下記表2に示す。
なお、下記表2中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
LDH活性が高く、良好な血液適合性が得られなかった。
〔比較例2〕
α−トコフェロールを3.0質量部にして、水洗処理後の乾燥を120℃で2分間乾燥後、さらに180℃で0.5分間の加熱処理を行った。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるグリセリン付着率は166.8%、水の付着率は81.9%であった。
諸性能を測定した結果を下記表2に示す。
なお、下記表2中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
LDH活性が高く、良好な血液適合性が得られなかった。
〔比較例3〕
濃度67.2%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に10.3秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液のグリセリン付着率は310.5%、水の付着率は105.3%であった。
これらの測定値を下記表2に示す。なお、下記表2中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
本比較例では、中空糸膜同士の間に液体が滲み出しており、ドライタイプの中空糸膜型血液浄化装置とはいえない状態であったため、諸性能の測定は取り止めた。
〔比較例4〕
濃度91.2%のグリセリン(和光純薬工業(株)製 特級)水溶液を中空糸膜内に8.9秒間注入した。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性化合物水溶液のグリセリン付着率は390.2%、水の付着率は45.5%であった。
これらの測定値を下記表2に示す。なお、下記表2中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
本比較例では、中空糸膜同士の間に液体が滲み出しており、ドライタイプの中空糸膜型血液浄化装置とはいえない状態であったため、諸性能の測定は取り止めた。
〔比較例5〕
紡糸原液中に、脂溶性ビタミンであるα−トコフェロールを添加しなかった。
その他の条件は、実施例1と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液処理装置におけるグリセリン付着率は180.5%、水の付着率は66.6%であった。
諸性能を測定した結果を下記表2に示す。なお、下記表2中の記載は、上記測定値の小数点1桁を四捨五入した。
LDH活性が高くなっているが、この原因としては、中空糸膜が脂溶性ビタミンを含有していないため、中空糸膜表面の親水性高分子溶液の保持が不十分なためである。
〔比較例6〕
グリセリン水溶液を注入しなかった。
その他の条件は、実施例1と同様とし中空糸膜型血液浄化装置を得た。
諸性能を測定した結果を下記表2に示す。
LDH活性が高くなっているが、この原因としては、中空糸膜表面の親水性高分子の溶液保持がなされていないためである。
〔参考例4〕
濃度53%のグリセリン水溶液を中空糸膜内に4.6秒間注入した。
その他の条件は、実施例14と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性
化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は136%、水の付着率は112
%であった。
諸性能を測定した結果を下記表4に示す。
参考例4は、通常の抗酸化能力については、実用上十分な特性が得られたが、上述した実施例14〜16に比較して経時加速試験において評価した抗酸化能力については、劣った結果となった。
この原因としては、中空糸膜を覆うグリセリン溶液における、水に対するグリセリンの
重量割合が少なく、苛酷環境下で脂溶性ビタミンを保護するためのグリセリンが十分に確
保できなかったためである。
〔参考例5〕
濃度83.5%のグリセリン水溶液を中空糸膜内に4.6秒間注入した。
その他の条件は、実施例14と同様とし、中空糸膜型血液浄化装置を得た。
この中空糸膜型血液浄化装置における中空糸膜の飽和含液率は400%であり、親水性
化合物水溶液の多価アルコールであるグリセリン付着率は293%、水の付着率は58%
であった。
諸性能を測定した結果を下記表4に示す。
参考例5は、通常の抗酸化能力については実用上十分であったが、上述した実施例14〜16に比較して経時加速試験において評価した抗酸化能力については、劣った結果となった。
この原因としては、中空糸膜を覆うグリセリン溶液における、水に対するグリセリンの
重量割合が多すぎ、電子線照射滅菌処理を行う際に発生したグリセリンに由来するラジカ
ルが多く発生及び残存することとなり、脂溶性ビタミンの酸化を亢進させ、多く失活して
しまったためである。
なお、乾燥前の中空糸膜の重量を(A)とし、乾燥処理を行い水のみを除去した中空糸膜の重量を(B)とし、中空糸膜から抽出された多価アルコールの重量を(C)とし、多価アルコール及び水分が付着していない中空糸膜の重量を(D)としたとき、表1中、「水の付着率(%)」とは、[(A−B)/D]×100、「多価アルコールの付着率(%)」とは、(C/D)×100により算出した値とする。また、「親水性化合物水溶液付着率(%)」とは、前記「水の付着率(%)」と前記「多価アルコールの付着率(%)」の合計値である。
さらに、TEGはテトラエチレングリコールであり、PEGはポリエチレングリコールを示す(表2においても同様とする。)。
なお、表1、表2、表3、表4、表5中、中空糸膜の表面の脂溶性ビタミン量の単位である「mg/gHg」は、測定対象である中空糸膜1gあたりの表面脂溶性ビタミンの重量(mg)を意味する。
表1に示すように、実施例1〜14の中空糸膜型血液浄化装置は、いずれも実用上良好な抗酸化性能を有し、血液適合性を有していることが分かった。
さらに表3に示すように、本発明の中空糸膜型血液浄化装置の中空糸膜に付着している親水性化合物水溶液の、水に対する多価アルコールの重量割合を1.3倍以上4.8倍以下の範囲に特定すると、より過酷な環境下においても優れた保管性、すなわち高い抗酸化能力を発揮することが分かった。
本発明の中空糸膜型血液浄化装置は、優れた抗酸化性能及び血液適合性を有するものであるため、血液体外循環療法に使用する血液浄化装置として産業上の利用可能性を有している。
1 PSf膜
2 親水性高分子
3 親水性化合物水溶液
4 親水性化合物水溶液を担持した親水性高分子
5 脂溶性ビタミン油膜
6 親水性化合物水溶液を多く担持した親水性高分子

Claims (3)

  1. ポリスルホン系樹脂、親水性高分子、及び脂溶性ビタミンを含有する中空糸膜を具備す
    る中空糸膜型血液浄化装置であって、
    前記中空糸膜表面における前記脂溶性ビタミンの存在量が、前記中空糸膜1gあたり0
    .5mg以上25mg以下であり、
    前記中空糸膜は、当該中空糸膜の乾燥重量に対して60%以上〜飽和含液率以下の、親
    水性化合物水溶液によって覆われており、
    前記親水性化合物水溶液は、水と多価アルコールとの混合物であり、水に対する多価アルコールの重量割合が1.3倍以上4.8倍以下であり、
    放射線滅菌処理が施されている中空糸膜型血液浄化装置。
  2. 前記中空糸膜表面における前記脂溶性ビタミンの存在量が、前記中空糸膜1gあたり1
    .5mg以上18mg以下である請求項1に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
  3. 前記親水性化合物水溶液を構成する水の前記中空糸膜への付着率が、前記中空糸膜の乾
    燥重量に対して40%以上100%未満であり、多価アルコールの前記中空糸膜への付着
    率が、前記中空糸膜の乾燥重量に対して20%以上300%以下である請求項1又は2に記載の中空糸膜型血液浄化装置。
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