JP2009022635A - ポリスルホン系血液処理膜、およびその製造方法 - Google Patents

ポリスルホン系血液処理膜、およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】抗酸化性に優れると同時に処理液へのエンドトキシン侵入の危険性が少なく、且つ実用強度を有し、なおかつ生産合理性の高い血液処理膜、ならびにその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリスルホン系樹脂、親水性高分子および脂溶性抗酸化剤からなる多孔質膜であって、該膜は1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有し、脂溶性抗酸化剤のTOF−SIMS規格化ピーク強度が膜内表面で1.4×10−4以上、膜外表面で1.8×10−4以上であることを特徴とする血液処理、および、ポリスルホン系樹脂と親水性高分子と脂溶性抗酸化剤からなる多孔質血液処理膜の製造方法であって、1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有する膜中間体を得た後、該膜中間体を乾燥状態で140〜180℃、0.1〜1分間加熱処理することを特徴とするポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリスルホン系血液処理膜、およびその製造方法に関する。特に、脂溶性抗酸化剤を含んで抗酸化性に優れ、且つ処理血液へのエンドトキシン侵入の危険性の少ないポリスルホン系血液処理膜、およびその製造方法に関するものである。
従来より、体外血液循環の分野、血液透析、開心手術中の血液への酸素付与あるいは血漿分離等には選択透過膜を用いた中空糸型血液処理器が広く使用され、近年、特に透析膜、ガス交換膜、血液成分分離膜等の血液処理膜分野においては、ポリスルホン製血液処理膜が広く利用されているが、単に分離膜としての役割だけでなく、長期透析患者で顕在化する酸化ストレスを緩和する試みもなされている。この試みの一つのアプローチとして酸化ストレス原因物質である過酸化物の消去や生体の抗酸化効果を回復することが挙げられ、例えば特許文献1には、生体内抗酸化作用、生体膜安定化作用、血小板凝集抑制作用などの種々の生理作用を有するビタミンEを、予め形成した膜の表面に被覆することにより得られた、抗酸化性に優れた血液処理膜が開示されている。
酸化ストレスを緩和する別のアプローチとして、透析中に惹起される酸化反応を予防する考えもあるが、その中でも、生体に対する毒性の強いエンドトキシンの透析液からの侵入を阻止することも有用であると考えられる。エンドトキシンが血液・体内に侵入すると、生体防御反応の一環として貪食細胞から酸素ラジカルが産生・放出されるためである。
この問題を解決するためには、エンドトキシンを吸着しやすい疎水性膜を用いるのが効果的ではあるが、単なる疎水性膜では血液適合性が悪く利用できない。そこで、例えば、ポリスルホンとポリアリレートのポリマーアロイからなる中空糸膜の内表面のみに親水性高分子を付着保持させることにより、疎水性の高い外表面でエンドトキシンを吸着除去しつつも内表面の抗血栓性を有する中空糸膜が開示されている(特許文献2)。しかしながら、この中空糸膜ではポリマーアロイの疎水性が高いため、透析液側からのエンドトキシンの侵入阻止に対しては効果的であるが、多孔部および外表面の疎水性が高すぎるためエアー抜けが悪く、膜を介した拡散透過性に影響を与えるものであった。また、エンドトキシン以外の酸化ストレス因に対しては全く効果がないものであった。さらに、湿式製膜時に開孔剤の役割を果たす親水性高分子が無いため、孔径の制御が困難であり、透過性の制御が困難であった。
ポリスルホンと親水性高分子からなる膜においては、製膜時から膜全体の親水性高分子の含有量を下げることにより、膜外表面の疎水性を確保してエンドトキシン吸着性を高め、血液適合性を付与するために膜内表面のみに抗血栓性を有するビタミンEなどを付与する中空糸膜の製造技術が開示されている(特許文献3)。しかしながら、この方法では膜外表面には親水性高分子が存在するため、エンドトキシンの透過率を一時的に低くできても吸着破瓜が起こりやい欠点があるばかりか、膜外表面の親水性高分子が少ないので依然としてエアー抜けは不十分であった。また、本発明者らの知見によれば、膜外表面の親水性高分子濃度が低くなるように製膜すると膜内表面の濃度も必然的に下がってしまい、抗血栓性の点で全く不十分なものであった。そのためか、より好ましい態様として、膜内表面にビタミンEを付与して血小板吸着性を改善することは記載されているが、付与したビタミンEの膜内分布や、それを利用してエンドトキシン吸着性を改善することについては何ら考慮されていなかった。
一方、製膜原液にビタミンEを添加することにより膜基材内部を含む膜全体にビタミンEを付与する血液処理膜、およびその製造方法が開示されている(特許文献4)。このような膜では、膜の全体にビタミンEを存在させることができるため、従来のポリスルホンと親水性高分子からなるポリマー同士のブレンド膜とは違った表面状態が得られ、うまく制御すればエンドトキシン吸着性を高くできることも期待できる。しかしながら、本発明者らの知見によれば、十分な疎水性を膜外表面に付与するために多量のビタミンEを含有させると、得られた血液処理膜は機械的強度が低くて実用に供しうるものにならず、逆に、実用強度を維持できるビタミンE含有量に留めると、十分な疎水性を膜外表面に付与できなかった。これは、基材ポリマーのミクロドメイン界面にビタミンEが偏析する結果、基材ポリマーの分子間相互作用に影響を与えるからであろうと思われる。なお、特許文献1のように、膜表面全体にビタミンEが被覆された膜では強度低下の問題は回避できるが、既に構造形成された膜に被覆等の後処理を加えると、被覆物による細孔径の低下や、表面堆積による表面状態の顕著な変化をもたらすことがあり、決して採用しやすいものではなかった。
このように、ポリスルホン系樹脂を基材ポリマーとする血液処理膜を脂溶性抗酸化剤で改質する際、得られた膜が、優れた抗酸化性と膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止に加えて、実用強度を具備することはきわめて困難であった。しかしながら、血液処理膜分野の中でも、ポリスルホン系樹脂を膜基材ポリマーとした血液処理膜の需要は高まる一方であり、したがって、前記特性を具備しつつ、なおかつ生産合理性の高いポリスルホン系の血液処理膜、およびその製造方法が強く望まれていた。
特開平7−178166号公報 特開平10−151196号公報 特開平2000−254222号公報 特開平9−66225号公報
本発明は、優れた抗酸化性と膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止に加えて実用強度を有し、なおかつ生産合理性の高いポリスルホン系血液処理膜、およびその製造方法を提供することを目的とする。
前述のとおり、中空糸膜内外表面の親水性/疎水性分布を極端にしたり、親水性高分子を中途半端に減量したところで、エンドトキシンの吸着性に問題があったり、その他の問題の併発を免れなかった。また、脂溶性抗酸化剤の被覆やブレンドでも種々の問題があるなど、いずれの分布構造でも目的を達するには不十分と思われた。
本発明者らは、脂溶性抗酸化剤の理想的な分布構造について検討するにあたり、ポリスルホン膜表面、特に外表面側に疎水性の高い脂溶性抗酸化剤を油膜のごとく高率にカバーさせ、その上方には、該疎水層を突き抜け、水和した親水性高分子鎖が膜全体を覆うように存在することができれば、親水性高分子の量を減らすことなくしかも表面の疎水性は高くできる、すなわち親水性と疎水性の相反する性質が一つの膜表面で具備することが可能であろうと着想した。そして、この様な表面は、既に構造形成されたポリスルホンと親水性高分子からなる膜の上から脂溶性抗酸化剤を被覆するのでなく、膜の形成時に、凝固しつつあるポリマー相の内側から染み出すように脂溶性抗酸化剤を配置することにより得られるのではないかと考えた。これが実現すれば、酸化ストレス低減に対する2つのアプローチを同時に実現する、臨床上効果が高い中空糸膜が得られると考えられる。
そこで、そのような血液処理膜と実用的な機械的強度を両立させるため、製膜原液に脂溶性抗酸化剤を添加して血液処理膜を製造するに際し、強度低下を生じない程度の脂溶性抗酸化剤を含有した血液処理膜、すなわち抗酸化性や膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止効果が不足気味の膜であっても、乾燥工程で特定の熱履歴を付与することによって脂溶性抗酸化剤を膜基材から滲み出させる、つまりマイグレーションさせることにより、膜表面に十分な量の脂溶性抗酸化剤を発現できることを見出した。そして、これにより得られる血液処理膜が上記の課題を解決できることを見いだし、本発明に到達した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)ポリスルホン系樹脂、親水性高分子および脂溶性抗酸化剤からなる中空糸型多孔質膜であって、該膜は1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有し、脂溶性抗酸化剤の膜表面濃度を示す指標であるTOF−SIMS規格化ピーク強度が、膜内表面で1.4×10−4以上、膜外表面で1.8×10−4以上であることを特徴とするポリスルホン系血液処理膜。
(2)脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである請求項1記載のポリスルホン系血液処理膜。
(3)ポリスルホン系樹脂と親水性高分子と脂溶性抗酸化剤からなる多孔質血液処理膜の製造方法であって、1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有する膜中間体を得た後、該膜中間体を乾燥状態で140〜180℃、0.1〜1分間加熱処理することを特徴とするポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(4)ポリスルホン系樹脂、親水性高分子、脂溶性抗酸化剤および溶剤を含む製膜原液から膜中間体を得る請求項3記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(5)膜中間体を束状態に巻き取った後、加熱処理することを特徴とする、(3)または(4)記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(6)膜中間体を加熱処理した後、束状態に巻き取ることを特徴とする、(3)または(4)記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(7)脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである(3)〜(6)のいずれかに記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
本発明によれば、脂溶性抗酸化剤を含むポリスルホン系血液処理膜において、従来は両立が困難であった優れた抗酸化性と膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止に加えて実用強度を具備するポリスルホン系血液処理膜が得られる。また、本発明のポリスルホン系血液処理膜は脂溶性抗酸化剤を含む製膜原液から得られるので、コーティング設備等の後処理工程を必要としないため、生産合理性にも優れている。
本発明におけるポリスルホン系樹脂(以下、PSf)とは、スルホン結合を有する高分子結合物の総称であり特に規定するものでないが、例を挙げると、下記式(1)〜(3)
(−Φ−SO−Φ−O−Φ−C(CH−Φ−O−) (1)
(−Φ−SO−Φ−O−) (2)
(−Φ−SO−Φ−O−Φ−Φ−O−) (3)
(−Φ−C(CH−Φ−O−CO−Φ−CO−O−) (4)
に示される繰り返し単位をもつPSfが広く市販されており、入手も容易なため好ましく用いられる。ここでΦは芳香環を、nはポリマーの繰り返し数を表す。前者の構造を持つPSfはソルベイ社より「ユーデル」の商標名で、またビー・エー・エス・エフ社より「ウルトラゾーン」の商標名で市販されており、重合度等によっていくつかの種類が存在する。なお、本発明では、式(2)に式(4)をブレンドしたポリマーアロイもポリスルホン系樹脂の範疇とする。
本発明の親水性高分子は、ポリビニルピロリドン(以下、PVP)、ポリエチレングリコール、ポリグリコールモノエステル、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロースなどの水溶性セルロース誘導体が使用できる。これらを組み合わせて使用することも可能だが、紡糸の安定性やPSfとの親和性の観点から、PVPかポリエチレングリコールが好ましく用いられ、なかでもPVPの使用が最も好ましい。PVPは、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、アイ・エス・ピー社より「プラスドン」の商標名で、また、ビー・エー・エス・エフ社より「コリドン」の商標名で市販されており、それぞれいくつかの分子量のものがある。
本発明における脂溶性抗酸化剤とは還元性を有し、且つ以下に例示する製膜原液の溶媒に可溶なものであれば特に限定されないが、生体に対する安全性、適用実績が豊富な点から脂溶性ビタミン類であることが好ましい。かかる脂溶性ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKおよびユビキノン等が挙げられるが、これらの中では、ビタミンEが好適である。ビタミンEとしては、α−トコフェロール、α−酢酸トコフェロール、α−ニコチン酸トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等が挙げられる。これらは単独で用いても良いが、混合物で用いてもよく、例えば市販のα−トコフェロールは上記ビタミンEの混合物である。さらに将来、天然物、人工物を問わず、生体に対する安全性の高い脂溶性抗酸化剤が出現すればそれを用いるのも本発明の範囲に属する。
以下、本発明のポリスルホン系血液処理膜について、製造方法も含めて説明する。
中空糸膜の製造方法は、ポリスルホン系樹脂(PSf)と親水性高分子と脂溶性抗酸化剤及び溶剤を含む製膜原液を中空内液とともに紡糸口金から吐出する工程、吐出した原液を凝固させる工程、凝固した中空糸膜を乾燥する工程を少なくとも含む。つまり、従来一般的に知られている技術である乾湿式製膜技術を応用する。
まず、PSfと親水性高分子と脂溶性抗酸化剤を共通溶媒に溶解し、製膜原液を調整する。特に、親水性高分子がPVPであり、脂溶性抗酸化剤がα−トコフェロールである場合、共通溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド(以下、DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の溶媒、あるいは上記2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。なお、孔径制御のため、製膜原液には水などの添加物を加えても良い。
製膜原液中のPSf濃度は、製膜可能で、かつ得られた膜が透過膜としての性能を有するような濃度の範囲であれば特に制限されず、5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%である。高い透水性能を達成するためには、ポリマー濃度は低い方がよく、10〜25重量%が好ましい。PVP濃度は、PSfに対するPVPの混和比率が27重量%以下、好ましくは18〜27重量%、さらに好ましくは20〜27重量%となるように調整する。PSfに対するPVPの混和比率が27重量%を超えると溶出量が増える傾向にあり、また18重量%未満では膜内表面のPVP濃度が低下し、患者の血液中の白血球濃度が急激に低下するロイコペニア症状が観察されるため好ましくない。このようにして得られた中空糸膜は膜内表面のPVP濃度が20%以上、50%以下、膜外表面のPVP濃度が30%以上、70%以下、好ましくは膜内表面のPVP濃度が30%以上、45%以下、膜外表面のPVP濃度が40%以上、65%以下、となっており、抗血栓性、生体適合性に優れ、蛋白、血小板等の膜面付着も軽微である。この膜は安定した除水能力を有しており血液透析、血液ろ過等の治療を安定に実施するために大きな効果を発揮するものである。
ところで、膜表面でのPVP濃度を20%以上とすることでなぜ安定した除水能力が得られるのかについての詳細は不明であるが、疎水性で蛋白等を吸着しやすいポリスルホンの表面部を親水性の高分子であるPVPが覆い隠すのに必要な存在率が20%以上であり、その結果として膜表面は充分に親水化されているので、膜表面への蛋白等の吸着性が弱められ安定した除水能力が得られるものと予想される。また、膜表面でのPVP濃度が50%より大きいと膜表面はより一層親水化されているので性能は安定しているのであるが、その反面、血液透析時等においてPVPが血液中に溶出してくる危険性を伴ない、安全性の上で問題がでてくる可能性があるので、PVP濃度は50%以下であることが好ましい。
なお本発明でいう膜表面でのPVP濃度とは血液が膜と接触する極表層部での存在率であり、実施例にて詳述するようにエックス線光量子スペクトル(X−ray photoelectron spectroscopy,以下XPS)により測定した値から計算することができる。
製膜原液における脂溶性抗酸化剤の濃度は、得られる血液処理膜中の脂溶性抗酸化剤の含有が一定の範囲となるように適宜調整する必要がある。後述するように、十分な抗酸化性や外表面からのエンドトキシン侵入の阻止能力を発現させる為に含量は膜1gあたり22mg以上必要であり、一方で、過剰に存在すると膜の機械的強度を激減させるので、76mg以下であることが必要である。
次に、チューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、該紡糸口金のオリフィスから製膜原液を、チューブから該製膜原液を凝固させる為の中空内液とを同時に空中に吐出させる。中空内液は水、または水を主体とした凝固液が使用でき、一般的には製膜原液に使った溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。例えば、0〜60重量%のDMAc水溶液などが用いられる。紡糸口金から中空内液とともに吐出された製膜原液は、空走部を走行させ、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ導入、浸漬して凝固を完了させる。
こうして得られた膜構造は中空糸内表面に緻密なスキン層を有し、スキン層から外表面の間に多孔質構造を有する。多孔質構造を有することは外表面から侵入するエンドトキシンを吸着除去する際に、吸着のための有効面積を拡大する上で好ましい。次いで水などによる洗浄を経て中空糸膜中間体を得る。さらに膜中間体を乾燥機に導入して乾燥し、中空糸膜を得る。ここで膜中間体は湿潤状態で切断し、束状とした後に乾燥しても良いし、連続走行させたままで乾燥を行っても構わない。この時、中空糸膜にクリンプを付与すると、血液透析に用いる時、拡散性能発現を効率的に行うことができて好ましい。
血液処理膜に対する脂溶性抗酸化剤の含有量は高いほど膜としての抗酸化性や膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止能は高まるが、一方で含有量の増加は機械的強度の漸減を伴い、ある程度以上の含有量を境に膜の機械的強度を激減させる。この理由は定かではないが、機械的強度の減少は主に破断伸度の低下により生じる。ここから導かれる仮説としては、膜基材ポリマーのミクロドメインの界面に脂溶性抗酸化剤(例えば、ビタミンE)が偏析して界面接着力を徐々に低下させていたものが、ある含有量でほぼ全ての界面を脂溶性抗酸化剤が占めるようになり、界面接着力が急激に消失した可能性が考えられる。
血液処理膜は使用に際し、容器に収納されてモジュール形態で用いられることが多いが、機械的強度が十分でないとモジュール製造、あるいは取り扱いの際に膜の破壊が生じる危険性がある。機械的強度は引っ張り試験から得られるタフネスで表すことが出来、血液処理膜が中空糸膜である場合、中空糸膜1本あたり1000gf・%のタフネスがあれば実用上十分である。なお、本発明でいうタフネスとは破断強力(gf)と伸度(%)を掛け合わせたものであり、測定方法については実施例の分析方法にて詳しく説明する。
本発明者らは鋭意研究した結果、ポリスルホン系樹脂を基材ポリマーとする膜の場合は、血液処理膜1g当たりの脂溶性抗酸化剤含有量が76mg以下であればタフネスが1000gf・%を上回ることを見出した。このため、血液処理膜1g当たりの脂溶性抗酸化剤は76mg以下であることが必要である。
本発明の血液処理膜において、その使用に際し抗酸化性を発揮するのは被処理液が接触する部分、即ち膜表面に存在する脂溶性抗酸化剤のみであり、膜基材に埋もれて被処理液と接触しない脂溶性抗酸化剤は血液成分への直接的な抗酸化効果には関与しない。ここで「膜表面」とは血液と直接接する中空糸内表面のみを指すものではなく、外表面や膜厚部の多孔質部分の表面も含む。血液成分のうち血球は内表面のみとしか接しないが、蛋白などの液性成分や活性酸素などの過酸化物質は拡散により膜厚部を行き来するため、多孔部や外表面に至る全ての膜表面が抗酸化作用に寄与するのである。このため、抗酸化能力においては全ての膜表面に存在する脂溶性抗酸化剤の総量が問題となる。
膜表面に存在する脂溶性抗酸化剤の量は、TOF−SIMS(飛行時間型2次イオン質量分析法)測定で得られる親マスピークの規格化ピーク強度を指標とすることができる。測定方法は実施例において詳細に説明するが、この方法での測定深さは極めて浅く(数〜数十オングストローム)、表面に露出している脂溶性抗酸化剤のみを検出していると考えて良い。一方で、この方法では膜内表面、膜外表面を独立して測定することができるが、多孔質部分の脂溶性抗酸化剤の存在量を測定するのは困難である。しかしながら、少なくとも内表面近傍の多孔質部分の測定値は内表面の測定値とほぼ同等であると見なし得ると考えられるので、これで代表させる。
本発明者らが行った人新鮮血と血液処理膜との接触実験によれば、通常の血液処理膜に対して本発明の血液処理膜が抗酸化作用において優位性を示すには、規格化ピーク強度の測定値として1.4×10−4以上が必要である。本発明における抗酸化性能の試験は実施例の分析方法にて詳しく説明する。
さらに本発明の血液処理膜において、その使用に際し、膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止能を発揮させるためには、膜外表面ならびに多孔質部分に一定以上の脂溶性抗酸化剤が存在することが必要である。膜外表面の脂溶性抗酸化剤もTOF−SIMS測定の規格化ピーク強度を指標とすることができる。膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止は膜外表面、および多孔質部分の表面が担う。このうち、多孔質部分の脂溶性抗酸化剤の存在量を測定するのは困難であるが、少なくとも外表面近傍の存在量は外表面の測定値とほぼ同等と見なし得ると考えられる。つまり、膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止能を発揮させるために必要なパラメータとしては、前述の膜外表面の規格化ピーク強度で代表させることができ、目的の機能を発揮するためには測定値として2.8×10−4以上が必要である。
一方で、膜表面における過剰の脂溶性抗酸化剤の存在は膜表面の過度の疎水化を招き、混入したエアーの除去や血液適合性の観点から望ましくない。しかしながら、本発明の血液処理膜における脂溶性抗酸化剤の含有量は、膜1gあたり22〜76mgに限定しているために、後に述べる加熱処理条件の範囲内であれば好ましくないほどの疎水化は生じない。例えば膜1gあたり76mgの脂溶性抗酸化剤を含む膜を乾燥状態で180℃、1分間過熱した場合、得られた膜の外表面における脂溶性抗酸化剤の規格化ピーク強度は1.0×10−2であるが、この程度であれば好ましくないほどの疎水化は生じない。
以上の点から、本発明の血液処理膜では脂溶性抗酸化剤の含有量が膜1gあたり22〜76mgであり、脂溶性抗酸化剤の規格化ピーク強度が膜内表面では1.4×10−4以上、膜外表面では1.8×10−4以上であることが必要である。
本発明では、血液処理膜の全体および表面に上述した範囲で脂溶性抗酸化剤とPVPが存在すれば、本来相反するはずの良好なエアー抜けや血液適合性などの親水性表面としての特性とエンドトキシン吸着除去という疎水性表面としての特性が両立する。その理由は定かでないが、ポリスルホン膜表面に脂溶性抗酸化剤の疎水層が油膜のごとくカバーし、その上方には水和した親水性高分子鎖が膜全体を覆うことにより親水性と疎水性の相反する性質が一つの膜表面で具備しているものと推測する。なお、特許文献1、3、4記載の完成した膜表面に脂溶性抗酸化剤を被覆することにより得られた血液処理膜は、本発明の分布構造にはなりえない。PVPは親水性である反面、エタノール等の脂溶性抗酸化剤の有機溶媒にも可溶性を有しているので、被覆溶媒中で脂溶性抗酸化剤と相溶する結果、PVPの一部〜大部分が脂溶性抗酸化剤の被覆層に埋没してしまうからである。
この様な表面特性は、動的接触角測定装置を用い、血液処理膜の端を封じて測定した外表面の後退接触角と前進接触角で確認することができる。測定方法は実施例にて説明するが、後退接触角は水中(親水性雰囲気)での接触角を、前進接触角は空気中(疎水性雰囲気)での接触角を表す。ポリウレタンの様な疎水性表面にポリエチレングリコールのような運動性の高い親水性高分子鎖が存在すると、親水性雰囲気では親水性高分子鎖が、疎水性雰囲気では疎水性表面が支配的となるため、「後退接触角<前進接触角」となることが知られている(A.Takahara,N.J.Jo,T.Kajima,J.Biometer.Sci.Polymer Edn,Vol.1,No.1,pp17−29(1989))。
PSfとPVPのみからなる通常のポリスルホン系血液処理膜も、疎水性表面であるPSfと運動性の高い親水性高分子鎖であるPVPの組み合わせであり、本発明者らの行った実験によれば、「後退接触角<前進接触角」なる状態が観察される。ここで本発明の血液処理膜と、PSfとPVPのみからなる通常のポリスルホン系血液処理膜を比較すると、後退接触角は両者の間に差が無い。これは、本発明の血液処理膜の外表面が、親水性雰囲気では通常のPSf−PVP血液処理膜と同様の性質を有することを意味している。すなわち、本発明の血液処理膜は、通常のPSf−PVP血液処理膜と同様、表面親水性を発揮する、即ち表面に露出可能な十分な量のPVPを膜外表面に、親水性雰囲気における膜表面ではPVP鎖の性質が支配的になると推定される。その結果、特許文献2、3記載の血液処理膜とは違って、プライミング時のエアー抜けが従来のPSf−PVP膜に遜色ない程度に良好となると考えられる。
一方、前進接触角を比較すると、本発明の血液処理膜の方がPSfとPVPのみからなる通常のポリスルホン系血液処理膜よりも高い。これは、本発明の血液処理膜の外表面が、疎水性雰囲気では通常のPSf−PVP血液処理膜よりもさらに疎水性であることを意味している。すなわち、本発明の血液処理膜は、通常のPSf−PVP血液処理膜と同等のPVPを膜外表面に露出可能であるにもかかわらず、疎水性雰囲気になると、PVPに代わって疎水面が支配的になりやすいと推定される。その結果、水中にあっても、例えばエンドトキシンのような巨大分子の疎水面が膜外表面に接近することにより疎水性が支配的になりやすく、通常のPSf表面よりもさらに疎水性が高くなるため、エンドトキシン吸着能が一層高くなると考えられる。これは、被覆ではなく予め製膜原液中に存在する疎水性の脂溶性抗酸化剤が、後述する熱処理を経て、特に膜外表面に高率に滲み出すことによると思われる。
上記の動的接触角の知見に基づいて、本発明の血液処理膜の膜構造と作用効果のメカニズムをより概念的に説明すると以下のようになる。すなわち、特許文献2,3に記載のように、膜外表面の親水性高分子を減らすあるいは無くすことにより、ポリマー自身により疎水面が形成された場合はいわば硬い面となり、エンドトキシンは幾つかの点で接触して着地するかの如く結合する。それに対して、低分子の脂溶性抗酸化剤により疎水面が形成された場合は、いわば柔軟な油膜(油層)と考えられるから、エンドトキシンは生来グラム陰性菌の細胞膜(脂質二重膜)に埋め込まれていたのと同じように油膜(油層)埋め込まれる。結果として、本発明の血液処理膜はエンドトキシンの膜外表面への結合がより安定で、かつ強固になって、高いエンドトキシン保持能力を得ているものと考えられる。
次に、上記の膜構造を得る上でポイントとなる処理条件について説明する。
本発明者らは、ポリスルホン系血液処理膜が優れた抗酸化性と実用強度を具備するように鋭意研究を進めた結果、脂溶性抗酸化剤を含有する従来のポリスルホン系血液処理膜であっても、特定の乾燥状態で加熱処理することにより、膜全体の脂溶性抗酸化剤の含有量を変化させずに、すなわち実用強度を確実に維持しつつ、膜表面の存在量のみを増加させうることを見出した。なお、この方法により膜内表面の脂溶性抗酸化剤規格化ピーク1.4×10−4以上の抗酸化剤を膜表面に発現させ、且つ膜外表面の脂溶性抗酸化剤規格化ピーク1.8×10−4以上にするためには、血液処理膜1g当たり脂溶性抗酸化剤を22mg以上含む必要がある。
本発明で言う乾燥状態とは、少なくとも膜が飽和含水率以下、すなわち、膜の周囲が完全には水で満たされておらず、水分が滴らない状態にあることをいう。水分率は特に限定されるものではないが、好ましくは水分率0〜100%、より好ましくは水分率0〜50%の状態である。これよりも高い水分率では、外部から熱を加えても水の蒸発潜熱により血液処理膜自体の温度が上昇せず、水分が蒸散するまでの間、目的である脂溶性抗酸化剤の膜表面へのマイグレーションが遅延してしまう。
本発明における乾燥状態にある血液処理膜の加熱処理は、血液処理膜の製造を終了した後に別途行っても良いし、モジュールに組み立てた状態で行っても良いが、製膜装置の乾燥工程において乾燥に引き続き加熱処理を連続して行うことが生産合理性の面で好ましい。
加熱処理条件に関しては、処理温度が低温では脂溶性抗酸化剤の表面へのマイグレーションが進まず、高温では血液処理膜が軟化したり、抗酸化剤の酸化が進行してしまうため、140〜180℃の範囲が好ましく、140〜170℃の範囲がより好ましい。処理時間も同様に短時間ではマイグレーションが進まず、長時間では抗酸化剤の酸化が進行してしまうため、0.1〜1分間の範囲が好ましく、0.2〜0.8分間の範囲がより好ましい。
なお、製膜装置の乾燥工程において乾燥に引き続き加熱処理を連続して行う場合、水分を除去する乾燥と、脂溶性抗酸化剤を膜表面にマイグレーションさせる加熱処理を明確に区分出来ない場合もある。本発明の真意は血液処理膜の加熱処理、即ち膜基材の温度を上げることにある。よって、乾燥から加熱処理を連続して行う場合、減率乾燥域までを水分を除去する乾燥工程、恒率乾燥域以降を脂溶性抗酸化剤を表面にマイグレーションさせる加熱処理工程として区別すればよい。
以上述べたとおり、本発明の血液処理膜は、脂溶性抗酸化剤を含むポリスルホン系血液処理膜において、従来は両立が困難であった優れた抗酸化性と膜外表面からのエンドトキシン侵入の阻止に加えて実用強度を具備するポリスルホン系血液処理膜となっている。のみならず、本発明の血液処理膜のように、膜全体に脂溶性抗酸化剤が存在することは、血液処理膜の長期保管に際して、膜を構成する高分子の酸化分解に由来する人体に望ましくない低分子量物の溶出などを抑制するのにも効果がある。血液処理膜に用いられる高分子素材は十分な安全性が確認されているが、それでも過剰な溶出に対して生体の防御機構が作動し、酸化ストレス状態に導かれるリスクがあり得るからである。この点、特許文献1,3のように、表面以外の内部には脂溶性抗酸化剤が含まれない被覆型の膜では酸化分解に対する耐性が低かったが、この点も改善される。
以下に脂溶性抗酸化剤としてビタミンEを用いる実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず初めに、用いた原料と試薬ならびに測定方法について説明する。
[原料と試薬]
1.PSf:ソルベイ社製、P−1700
2.PVP:アイ・エス・ピー社製、K−90
3.ビタミンE(dl−α−トコフェロール):DSMニュートリションジャパン、局方
4.α−酢酸トコフェロール:和光純薬、試薬特級
5.プルロニックF−68:ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、旭電化工業
6.DMAc:キシダ化学、試薬特級
7.DMSO:キシダ化学、試薬特級
8.N、N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す):キシダ化学、試薬特級
9.1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す):東京化成、試薬特級
10.塩化第二鉄6水和物:和光純薬、試薬特級
11.エタノール:和光純薬、試薬特級
12.2,2’−ビピリジル:和光純薬、試薬特級
13.注射用水(純水):大塚製薬
14.抗酸化能測定キット:日研ザイル株式会社製、抗酸化能測定キットPAO
[血液処理膜全体のビタミンE含有量(以下、バルクVE量と略す)]
乾燥した血液処理膜をNMPに溶解(約3重量%)して測定液を調製した。液体クロマトグラフィー(カラム:イナートシルC8−3μm(4.6φ×250mm)+ODP−50 6E(4.6φ×250mm)、溶離液:NMP、流量:0.5ml/分、カラム温度40℃、UV検出器波長295nm)にて測定したビタミンEに対応するピーク面積と、濃度既知の標準液で別途作成した検量線を用いて測定液のビタミンE濃度を求めた。得られた濃度と希釈倍率から膜1g当たりのビタミンE含有量(mg)=バルクVE(mg/g)を求めた。
[膜外表面のビタミンE規格化ピーク強度]
血液処理膜を純水に12時間浸漬した後、凍結乾燥させた。乾燥した中空糸の膜外表面、あるいは中空糸の縦方向に切れ目を入れて開いて露出させた膜内表面をTOF−SIMS装置(TRIFTIII,Physical Electronics社製)を用いて測定した。測定条件は、一次イオンGa+、加速電圧15kV、電流600pA(DCとして)、分析面積200μm×200μm、積算時間5minで行ない、検出器により、負イオン(Massとして、ビタミンEは163)を検出イオンとして検出した。本測定装置の特性上、測定深さは表面から5nmまでの深さに相当する。得られたビタミンEピークのイオン強度(IV)を、プロトンのイオン強度IH、総イオン強度ITを用い、以下の式(5)によりビタミンEの規格化ピーク強度を計算した。
規格化ピーク強度=IV/(IT−IH) (5)
[血液処理膜のタフネス]
室温20〜25℃、湿度55〜60RH%の室内で、島津製作所製の引っ張り試験機(EZ Test series)を用い、乾燥した20cmの中空糸膜1本をチャックを用いて固定し、30cm/分の速度で引っ張り、破断したときの応力(gf)を測定した。
また、中空糸膜が破断したときの伸びを、測定前の中空糸膜の長さである20cmで除して100を掛けた値を伸度(%)として求め、以下の式(6)によりタフネスを計算した。
タフネス(gf・%)=破断応力(gf)×伸度(%) (6)
[抗酸化能]
血液処理膜2gを2〜3mm長に切断し、生理食塩水でプライミングした後、ヘパリン加血人新鮮血2mlを加えて、振とう下で37℃×4時間インキュベートした。1つの膜に対して3名の人血を別個に用いた(n=3試験)。次いで遠心分離により血漿を回収した。回収した血漿の抗酸化能力(PAO)を抗酸化能測定キットPAO(日研ザイル株式会社)を用いて測定した。血液が膜と接触することにより生体反応が惹起し、PAOが低下するが、抗酸化能を有する膜ではこのPAO低下が抑制されることから、得られたPAO値が高いほど血液処理膜の血液に対する抗酸化能が高いと言える。
[エンドトキシン侵入率(以下「ET透過率」と略す)]
血液処理膜9984本からなる糸束を、側面に上下2つのノズル(透析液側ノズル)を有する約280mm長の筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン部分を切断して中空糸膜が開口した端部に加工した。この両端部に液体導入(導出)用のノズル(血液側ノズル)を有するヘッダーキャップを装填し透析モジュールの形状に組み上げ、血液側ノズルが上下に向くように固定した。
汚染透析液の過酷モデル液として、エンドトキシン濃度97100EU/Lに調製した水道水をポンプを用いて500ml/minの流量で下側Dノズルから導入し、透析液側から血液側に逆ろ過を行うことにより上側Bノズルから20分間排出した。20分排出後のろ液をサンプリングしてエンドトキシン濃度を測定し、ろ過前の液のエンドトキシン濃度に対する割合として、ET透過率を小数点以下2桁まで百分率で求めた。エンドトキシン濃度の測定は、エンドトキシン測定機(和光純薬工業株式会社製、トキシノメーターET−2000)と同社の専用LAL試薬を用い、比色(時間分析)法にて行った。
[血液処理膜からのエアー抜け性の評価]
血液処理膜9984本からなる糸束を、約280mm長の筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン部分を切断して中空糸膜が開口した端部に加工した。この両端部に液体導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填しモジュールの形状に組み上げ、ノズルが上下に向くように固定した。ポンプを用いて注射用水を100ml/minの流量で下側のノズルから導入し、上側のノズルから排出してモジュール内の空気を注射用水に置換した。置換が終了したら注射用水を流しながら注射器を用いて下側のノズルから空気を10ml注入した。注射用水とともに上側のノズルから出た空気を捕集し、10分間後の捕集量の注入量に対する割合から空気回収率を求めた。空気回収率が低いほどエアー抜け性が劣ること、ならびに膜厚部〜外表面でのエアーたまりによる透過性への悪影響の可能性があることを意味する。
[表面PVP濃度の測定]
中空糸膜の表面PVP濃度は、X線光電子分光法(XPS)によって決定される。すなわち、外表面測定の場合は中空糸膜の試料を両面テープ上に数本並べたものを試料とし、内表面測定の場合は縦方向に切り開いて内面を露出させた中空糸を両面テープ上に数本並べたものを試料として、通常の方法で表面の元素濃度を測定した。得られたC1s、O1s、N1s、S2pスペクトルの面積強度より、装置付属の相対感度係数を用いて窒素の表面濃度(A)とイオウの表面濃度(B)を求め、以下の式(7)より内表面PVP濃度を算出した。
内表面PVP濃度={A×111/(A×111+B×C)}×100 (%) (7)
ここでCはPSfの繰り返し単位の「式量÷イオウの元素数」であり、(1)式のPSfの場合は442である。また、(7)式中の111はPVPの繰り返し単位の「式量÷窒素の元素数」である。
[外表面接触角度の測定]
DataPhysics Instruments GmbH製の動的接触角測定装置DataPhysics DCAT11と付属ソフトウェアを用い、末端を焼いたナイフで封じた中空糸膜の前進接触角と後退接触角を測定した。測定条件は以下のとおり。
浸漬液体:注射用水、水温:25℃、浸漬速度:0.10mm/sec、浸漬深さ:10.00mm、測定繰り返し回数:6回(1回目のデータは除き、残りのデータを平均)
[長期保存安定性に対するモデル試験]
血液処理膜を以下の操作により、血液透析モジュールに成型・組み立てした。即ち、9984本からなる糸束を、約280mm長の筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン部分を切断して中空糸膜が開口した端部に加工した。この両端部に液体導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填しモジュールの形状に組み上げ、300ppmのピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を封入し各ノズルを密栓した状態で25kGyのγ線を照射した。得られたモジュールを60℃の恒温庫の中で3週間加熱することにより、長期保管に相当する加速試験を実施した。加熱開始前と終了後のモジュールを解体して取り出した血液処理膜1.5gを70℃の純水150mlで1時間抽出した。抽出液の350nm〜220nmのUVスペクトルを測定し、最大吸収を示す吸光度をもって血液処理膜からの溶出物の量の代用指数とした。
[実施例1]
PSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール0.5重量部、DMAc79重量部からなる製膜原液を作成した。中空内液にはDMAC41重量%水溶液を用い、スリット幅50μmの紡糸口金から吐出させた。この際、吐出時の製膜原液の温度は60℃であった。吐出した原液をフードで覆った落下部を経て50cm下方に設けた水よりなる90℃の凝固浴に浸漬し、30m/分の速度で凝固、精錬を行った後、乾燥機に導入した。120℃で2分間減率乾燥後、さらに180℃で0.5分間の加熱処理を行った後、9984本の中空糸膜を巻き取った。なお、乾燥後の膜厚を45μm、内径を185μmに合わせるように製膜原液、中空内液の吐出量を調整した(以下の実施例、比較例も同様に膜厚、内径を調整)。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は22mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で1.4×10−4、外表面で1.8×10−4であった。人血試験によるPAO値は平均924(人血A:1087、人血B:735、人血C:951)であった。タフネスは1610gf・%であった。ET透過率は0.02%であった。内表面PVP量は36%、外表面PVP量は48%であり、外表面の後退接触角は15°、前進接触角は44°であった。
得られた中空糸膜束を血液透析モジュールに組み立て、長期保存安定性のモデル試験を行った結果、溶出液のUV吸光度は加熱前0.07、加熱後0.06であった。
[実施例2]
PSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール2重量部、DMAc 77重量部からなる製膜原液を用い、実施例1と同様に凝固、精錬、乾燥した後、170℃で1分間加熱処理を行った後、9984本の中空糸膜を巻き取った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は76mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で4.3×10−3、外表面で8.5×10−3、空気回収率は97%であった。人血試験によるPAO値は平均2625(人血A:2482、人血B:2829、人血C:2564)であった。タフネスは1125gf・%であった。ET透過率は0.01%であった。
[比較例1]
PSf17重量部、PVP4重量部、DMAc79重量部からなる製膜原液を用い、実施例1と同様に凝固、精錬、乾燥、加熱処理、巻き取りを行って中空糸膜束を得た。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は0mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で0.0、外表面で0.0、空気回収率は99%であった。人血試験によるPAO値は平均841(人血A:894、人血B:747、人血C:881)であった。タフネスは1265gf・%であった。ET透過率は0.24%であった。内表面PVP量は35%、外表面PVP量は47%であり、外表面の後退接触角は14°、前進接触角は32°であった。
得られた中空糸膜束を血液透析モジュールに組み立て、長期保存安定性のモデル試験を行った結果、溶出液のUV吸光度は加熱前0.06、加熱後0.19であった。
[比較例2]
PSf15重量部、PVP9重量部、α−トコフェロール0.5重量部、DMAc30重量部、DMSO46重量部からなる製膜原液と、DMAc30重量%、DMSO30重量%、水40重量%からなる中空内液を用い、実施例1と同様に凝固、精錬した後、9984本の中空糸膜を湿潤状態で巻き取った。
得られた中空糸束を80℃で420分間減率乾燥を行い、さらに同じ温度で240分間加熱処理を行った。得られた中空糸膜束のバルクVE量は24mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で8.9×10−5、外表面で8.8×10−5であった。人血試験によるPAO値は平均850(人血A:852、人血B:772、人血C:926)であった。タフネスは1131gf・%であった。ET透過率は0.19%であった。
[比較例3]
製膜原液としてPSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール0.4重量部、DMAc77重量部を用い、実施例1と同様に凝固、精錬、乾燥、加熱処理、巻き取り、を行って中空糸膜束を得た。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は20mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で1.0×10−4、外表面で1.4×10−4であった。人血試験によるPAO値は平均887(人血A:938、人血B:853、人血C:870)であった。タフネスは1140gf・%であった。ET透過率は0.15%であった。
[比較例4]
PSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール2.1重量部、DMAc76.9重量部からなる製膜原液を用い、実施例1と同様に凝固、精錬、乾燥、巻き取って中空糸膜束を得た。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は80mg/gであった。タフネスは950gf・%であった。
Figure 2009022635
上記表1の実施例1と比較例1、2を比較することにより、非ビタミンE含有血液処理膜である比較例1に対して有意に抗酸化性を示し、且つエンドトキシン侵入の阻止効果を示す為には、膜内表面のVE規格化ピーク強度が1.4×10−4以上、且つ膜外表面のVE規格化ピーク強度が2.8×10−4以上必要であることが分かる。さらに実施例1と比較例3を比較することにより、膜内表面のVE規格化ピーク強度を1.4×10−4以上とするためには、バルクVE量が20mg/g以上が必要であることが分かる。一方、実施例2と比較例4を比較することにより、タフネス1000gf・%以上を確保するためにはバルクVE量が76mg/g以下であることが必要であることが分かる。
また、比較例2は、従来技術である特許文献4の実施例2に記載の膜を追試したものであるが、この場合には機械的強度は十分であるものの、膜表面VE量が十分でなく、非ビタミンE含有膜である比較例1に対して抗酸化性に優位性は認められず、さらにエンドトキシン侵入の阻止効果も不十分であった。
[比較例5]
製膜原液としてPSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール1重量部、DMAc78重量部からなる製膜原液を用い、比較例2と同様に凝固、精錬を行った湿潤状態の中空糸束を100本巻き取ることにより得た湿潤状態の中空糸束を80℃で3時間乾燥を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は40mg/g、表面VE量は0.7mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で9.1×10−5、外表面で9.6×10−5、ET透過率は0.20%であった。以下同様に、主な処理条件と測定値を表2に示した。
[比較例6]
比較例6の中空糸束を130℃で1分間加熱処理を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は40mg/g、表面VE量は2.6mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で9.8×10−5、外表面で1.1×10−4、ET透過率は0.18%であった。
[実施例3]
比較例6の中空糸束を140℃で1分間加熱処理を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は40mg/g、表面VE量は3.6mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で1.8×10−4、外表面で2.3×10−4、ET透過率は0.01%であった。
[実施例4]
比較例6の中空糸束を180℃で0.1分間加熱処理を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は40mg/g、表面VE量は4.5mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で2.3×10−4、外表面で3.2×10−4、ET透過率は0.01%であった。
[比較例7]
比較例6と同じ製膜原液を実施例6と同様に凝固、精錬、乾燥した後、190℃で0.1分間加熱処理を行って巻き取ろうと試みたが中空糸が軟化し、巻き取ることが出来なかった。
Figure 2009022635
上記表2の実施例3と比較例6を比較することにより、表面へのビタミンEの十分なマイグレーションには140℃以上の温度が必要であることが分かる。さらに実施例4と比較例7を比較することにより、最低限の加熱時間0.5分間でも血液処理膜を安定的に製造するためには加熱温度180℃以下が必要であることが分かる。
[比較例8]
比較例4の中空糸束を110℃で1080分間加熱処理を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は80mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で6.2×10−3、空気回収率は79%であった。
Figure 2009022635
上記表3の実施例2と比較例8を比較することにより、内表面VE規格化ピーク強度が4.3×10−3を超えると空気回収率が顕著に低下することが分かる。
Figure 2009022635
表4に示すとおり、実施例1と比較例1の血液処理膜はいずれも膜外表面の後退接触角が同等でありながら、前進接触角は実施例1の膜の方が高くなった。後退接触角の同等性については、実施例1の膜は、外表面にビタミンEが存在するにも関わらず、ビタミンEを含まない膜と同等の親水性をPVP鎖により発揮していることになる。つまり、実施例1の膜では、外表面のPVPの殆どが機能を損なうことなく、親水性に寄与できている。一方、前進接触角の差異については、実施例1の膜の方が高値であることから、実施例1の膜は、疎水的雰囲気下ではPVP鎖ではなく、疎水面が支配的になることを示している。これは、外表面に高率に析出したVEの層によるものである。
それゆえ、実施例1の如き本発明の血液処理膜は、きわめて高濃度のエンドトキシン溶液を負荷しても、エンドトキシンの透過率はごくわずかである。このような高濃度のエンドトキシン溶液を用いた過酷試験においてさえエンドトキシンの透過がほとんど認められないということは、本発明の血液処理膜にはエンドトキシンへの吸着座が多数存在することと、しかも安定な吸着座であることを示唆している。
[比較例9]
PSf19重量部、PVP9重量部、DMF72重量部からなる製膜原液と、DMF60重量部、水40重量部の混合液に対して0.1重量部のα−酢酸トコフェロールと0.1重量部のプルロニックF−68を添加した中空内液を用い、実施例1と同様に凝固した後、60℃の温水を1L/分で1時間シャワー洗浄して9984本の中空糸膜を湿潤状態で巻き取った。さらに110℃の温水中1時間処理し、洗浄した。
得られた中空糸膜束のVE規格化ピーク強度は外表面で0.0であった。
得られた中空糸膜束を血液透析モジュールに組み立て、長期保存安定性のモデル試験を行った結果、溶出液のUV吸光度は加熱前0.06、加熱後0.17であった。
Figure 2009022635
比較例9は特許文献3の実施例2に相当する。上記表5の実施例1と比較例1、9を比較することにより、長期保存に相当する60℃、3週間の加熱によっても本発明の血液処理膜の溶出量は透析型人工腎臓装置承認基準(昭和58年6月20日薬発第494号薬 務局長通知)の範囲内である吸光度0.1以下であるが、脂溶性抗酸化剤を含まない比較例1や外表面〜膜厚部にかけて脂溶性抗酸化剤を含まない比較例9では基準を大幅に超過しており、本発明の血液処理膜の良好な長期保存安定性が分かる。
本発明の血液処理膜は血液と接触した時の生体内抗酸化作用に優れると同時に処理液へのエンドトキシン侵入の危険性が少なく、且つ製造過程あるいは使用時の膜破断など不意の事故を予防する実用強度を有し、さらに生産合理性の高いので、効果的で安全な血液透析など血液の体外循環処理に用いられる。

Claims (7)

  1. ポリスルホン系樹脂、親水性高分子および脂溶性抗酸化剤からなる中空糸型多孔質膜であって、該膜は1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有し、脂溶性抗酸化剤の膜表面濃度を示す指標であるTOF−SIMS規格化ピーク強度が、膜内表面で1.4×10−4以上、膜外表面で1.8×10−4以上であることを特徴とするポリスルホン系血液処理膜。
  2. 脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである請求項1記載のポリスルホン系血液処理膜。
  3. ポリスルホン系樹脂と親水性高分子と脂溶性抗酸化剤からなる多孔質血液処理膜の製造方法であって、1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有する膜中間体を得た後、該膜中間体を乾燥状態で140〜180℃、0.1〜1分間加熱処理することを特徴とするポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
  4. ポリスルホン系樹脂、親水性高分子、脂溶性抗酸化剤および溶剤を含む製膜原液から膜中間体を得る請求項3記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
  5. 膜中間体を束状態に巻き取った後、加熱処理することを特徴とする、請求項3または4記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
  6. 膜中間体を加熱処理した後、束状態に巻き取ることを特徴とする、請求項3または4記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
  7. 脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである請求項3〜6のいずれかに記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
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