JP2009022635A - ポリスルホン系血液処理膜、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリスルホン系樹脂、親水性高分子および脂溶性抗酸化剤からなる多孔質膜であって、該膜は1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有し、脂溶性抗酸化剤のTOF−SIMS規格化ピーク強度が膜内表面で1.4×10−4以上、膜外表面で1.8×10−4以上であることを特徴とする血液処理、および、ポリスルホン系樹脂と親水性高分子と脂溶性抗酸化剤からなる多孔質血液処理膜の製造方法であって、1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有する膜中間体を得た後、該膜中間体を乾燥状態で140〜180℃、0.1〜1分間加熱処理することを特徴とするポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
【選択図】なし
Description
(1)ポリスルホン系樹脂、親水性高分子および脂溶性抗酸化剤からなる中空糸型多孔質膜であって、該膜は1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有し、脂溶性抗酸化剤の膜表面濃度を示す指標であるTOF−SIMS規格化ピーク強度が、膜内表面で1.4×10−4以上、膜外表面で1.8×10−4以上であることを特徴とするポリスルホン系血液処理膜。
(2)脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである請求項1記載のポリスルホン系血液処理膜。
(3)ポリスルホン系樹脂と親水性高分子と脂溶性抗酸化剤からなる多孔質血液処理膜の製造方法であって、1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有する膜中間体を得た後、該膜中間体を乾燥状態で140〜180℃、0.1〜1分間加熱処理することを特徴とするポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(4)ポリスルホン系樹脂、親水性高分子、脂溶性抗酸化剤および溶剤を含む製膜原液から膜中間体を得る請求項3記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(5)膜中間体を束状態に巻き取った後、加熱処理することを特徴とする、(3)または(4)記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(6)膜中間体を加熱処理した後、束状態に巻き取ることを特徴とする、(3)または(4)記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(7)脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである(3)〜(6)のいずれかに記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
(−Φ−SO2−Φ−O−Φ−C(CH3)2−Φ−O−)n (1)
(−Φ−SO2−Φ−O−)n (2)
(−Φ−SO2−Φ−O−Φ−Φ−O−)n (3)
(−Φ−C(CH3)2−Φ−O−CO−Φ−CO−O−)n (4)
に示される繰り返し単位をもつPSfが広く市販されており、入手も容易なため好ましく用いられる。ここでΦは芳香環を、nはポリマーの繰り返し数を表す。前者の構造を持つPSfはソルベイ社より「ユーデル」の商標名で、またビー・エー・エス・エフ社より「ウルトラゾーン」の商標名で市販されており、重合度等によっていくつかの種類が存在する。なお、本発明では、式(2)に式(4)をブレンドしたポリマーアロイもポリスルホン系樹脂の範疇とする。
中空糸膜の製造方法は、ポリスルホン系樹脂(PSf)と親水性高分子と脂溶性抗酸化剤及び溶剤を含む製膜原液を中空内液とともに紡糸口金から吐出する工程、吐出した原液を凝固させる工程、凝固した中空糸膜を乾燥する工程を少なくとも含む。つまり、従来一般的に知られている技術である乾湿式製膜技術を応用する。
本発明者らは、ポリスルホン系血液処理膜が優れた抗酸化性と実用強度を具備するように鋭意研究を進めた結果、脂溶性抗酸化剤を含有する従来のポリスルホン系血液処理膜であっても、特定の乾燥状態で加熱処理することにより、膜全体の脂溶性抗酸化剤の含有量を変化させずに、すなわち実用強度を確実に維持しつつ、膜表面の存在量のみを増加させうることを見出した。なお、この方法により膜内表面の脂溶性抗酸化剤規格化ピーク1.4×10−4以上の抗酸化剤を膜表面に発現させ、且つ膜外表面の脂溶性抗酸化剤規格化ピーク1.8×10−4以上にするためには、血液処理膜1g当たり脂溶性抗酸化剤を22mg以上含む必要がある。
1.PSf:ソルベイ社製、P−1700
2.PVP:アイ・エス・ピー社製、K−90
3.ビタミンE(dl−α−トコフェロール):DSMニュートリションジャパン、局方
4.α−酢酸トコフェロール:和光純薬、試薬特級
5.プルロニックF−68:ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、旭電化工業
6.DMAc:キシダ化学、試薬特級
7.DMSO:キシダ化学、試薬特級
8.N、N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す):キシダ化学、試薬特級
9.1−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略す):東京化成、試薬特級
10.塩化第二鉄6水和物:和光純薬、試薬特級
11.エタノール:和光純薬、試薬特級
12.2,2’−ビピリジル:和光純薬、試薬特級
13.注射用水(純水):大塚製薬
14.抗酸化能測定キット:日研ザイル株式会社製、抗酸化能測定キットPAO
乾燥した血液処理膜をNMPに溶解(約3重量%)して測定液を調製した。液体クロマトグラフィー(カラム:イナートシルC8−3μm(4.6φ×250mm)+ODP−50 6E(4.6φ×250mm)、溶離液:NMP、流量:0.5ml/分、カラム温度40℃、UV検出器波長295nm)にて測定したビタミンEに対応するピーク面積と、濃度既知の標準液で別途作成した検量線を用いて測定液のビタミンE濃度を求めた。得られた濃度と希釈倍率から膜1g当たりのビタミンE含有量(mg)=バルクVE(mg/g)を求めた。
血液処理膜を純水に12時間浸漬した後、凍結乾燥させた。乾燥した中空糸の膜外表面、あるいは中空糸の縦方向に切れ目を入れて開いて露出させた膜内表面をTOF−SIMS装置(TRIFTIII,Physical Electronics社製)を用いて測定した。測定条件は、一次イオンGa+、加速電圧15kV、電流600pA(DCとして)、分析面積200μm×200μm、積算時間5minで行ない、検出器により、負イオン(Massとして、ビタミンEは163)を検出イオンとして検出した。本測定装置の特性上、測定深さは表面から5nmまでの深さに相当する。得られたビタミンEピークのイオン強度(IV)を、プロトンのイオン強度IH、総イオン強度ITを用い、以下の式(5)によりビタミンEの規格化ピーク強度を計算した。
規格化ピーク強度=IV/(IT−IH) (5)
室温20〜25℃、湿度55〜60RH%の室内で、島津製作所製の引っ張り試験機(EZ Test series)を用い、乾燥した20cmの中空糸膜1本をチャックを用いて固定し、30cm/分の速度で引っ張り、破断したときの応力(gf)を測定した。
また、中空糸膜が破断したときの伸びを、測定前の中空糸膜の長さである20cmで除して100を掛けた値を伸度(%)として求め、以下の式(6)によりタフネスを計算した。
タフネス(gf・%)=破断応力(gf)×伸度(%) (6)
血液処理膜2gを2〜3mm長に切断し、生理食塩水でプライミングした後、ヘパリン加血人新鮮血2mlを加えて、振とう下で37℃×4時間インキュベートした。1つの膜に対して3名の人血を別個に用いた(n=3試験)。次いで遠心分離により血漿を回収した。回収した血漿の抗酸化能力(PAO)を抗酸化能測定キットPAO(日研ザイル株式会社)を用いて測定した。血液が膜と接触することにより生体反応が惹起し、PAOが低下するが、抗酸化能を有する膜ではこのPAO低下が抑制されることから、得られたPAO値が高いほど血液処理膜の血液に対する抗酸化能が高いと言える。
血液処理膜9984本からなる糸束を、側面に上下2つのノズル(透析液側ノズル)を有する約280mm長の筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン部分を切断して中空糸膜が開口した端部に加工した。この両端部に液体導入(導出)用のノズル(血液側ノズル)を有するヘッダーキャップを装填し透析モジュールの形状に組み上げ、血液側ノズルが上下に向くように固定した。
血液処理膜9984本からなる糸束を、約280mm長の筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン部分を切断して中空糸膜が開口した端部に加工した。この両端部に液体導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填しモジュールの形状に組み上げ、ノズルが上下に向くように固定した。ポンプを用いて注射用水を100ml/minの流量で下側のノズルから導入し、上側のノズルから排出してモジュール内の空気を注射用水に置換した。置換が終了したら注射用水を流しながら注射器を用いて下側のノズルから空気を10ml注入した。注射用水とともに上側のノズルから出た空気を捕集し、10分間後の捕集量の注入量に対する割合から空気回収率を求めた。空気回収率が低いほどエアー抜け性が劣ること、ならびに膜厚部〜外表面でのエアーたまりによる透過性への悪影響の可能性があることを意味する。
中空糸膜の表面PVP濃度は、X線光電子分光法(XPS)によって決定される。すなわち、外表面測定の場合は中空糸膜の試料を両面テープ上に数本並べたものを試料とし、内表面測定の場合は縦方向に切り開いて内面を露出させた中空糸を両面テープ上に数本並べたものを試料として、通常の方法で表面の元素濃度を測定した。得られたC1s、O1s、N1s、S2pスペクトルの面積強度より、装置付属の相対感度係数を用いて窒素の表面濃度(A)とイオウの表面濃度(B)を求め、以下の式(7)より内表面PVP濃度を算出した。
内表面PVP濃度={A×111/(A×111+B×C)}×100 (%) (7)
ここでCはPSfの繰り返し単位の「式量÷イオウの元素数」であり、(1)式のPSfの場合は442である。また、(7)式中の111はPVPの繰り返し単位の「式量÷窒素の元素数」である。
DataPhysics Instruments GmbH製の動的接触角測定装置DataPhysics DCAT11と付属ソフトウェアを用い、末端を焼いたナイフで封じた中空糸膜の前進接触角と後退接触角を測定した。測定条件は以下のとおり。
浸漬液体:注射用水、水温:25℃、浸漬速度:0.10mm/sec、浸漬深さ:10.00mm、測定繰り返し回数:6回(1回目のデータは除き、残りのデータを平均)
血液処理膜を以下の操作により、血液透析モジュールに成型・組み立てした。即ち、9984本からなる糸束を、約280mm長の筒状容器に充填して両端部をウレタン樹脂で包埋後、硬化したウレタン部分を切断して中空糸膜が開口した端部に加工した。この両端部に液体導入(導出)用のノズルを有するヘッダーキャップを装填しモジュールの形状に組み上げ、300ppmのピロ亜硫酸ナトリウム水溶液を封入し各ノズルを密栓した状態で25kGyのγ線を照射した。得られたモジュールを60℃の恒温庫の中で3週間加熱することにより、長期保管に相当する加速試験を実施した。加熱開始前と終了後のモジュールを解体して取り出した血液処理膜1.5gを70℃の純水150mlで1時間抽出した。抽出液の350nm〜220nmのUVスペクトルを測定し、最大吸収を示す吸光度をもって血液処理膜からの溶出物の量の代用指数とした。
PSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール0.5重量部、DMAc79重量部からなる製膜原液を作成した。中空内液にはDMAC41重量%水溶液を用い、スリット幅50μmの紡糸口金から吐出させた。この際、吐出時の製膜原液の温度は60℃であった。吐出した原液をフードで覆った落下部を経て50cm下方に設けた水よりなる90℃の凝固浴に浸漬し、30m/分の速度で凝固、精錬を行った後、乾燥機に導入した。120℃で2分間減率乾燥後、さらに180℃で0.5分間の加熱処理を行った後、9984本の中空糸膜を巻き取った。なお、乾燥後の膜厚を45μm、内径を185μmに合わせるように製膜原液、中空内液の吐出量を調整した(以下の実施例、比較例も同様に膜厚、内径を調整)。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は22mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で1.4×10−4、外表面で1.8×10−4であった。人血試験によるPAO値は平均924(人血A:1087、人血B:735、人血C:951)であった。タフネスは1610gf・%であった。ET透過率は0.02%であった。内表面PVP量は36%、外表面PVP量は48%であり、外表面の後退接触角は15°、前進接触角は44°であった。
得られた中空糸膜束を血液透析モジュールに組み立て、長期保存安定性のモデル試験を行った結果、溶出液のUV吸光度は加熱前0.07、加熱後0.06であった。
PSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール2重量部、DMAc 77重量部からなる製膜原液を用い、実施例1と同様に凝固、精錬、乾燥した後、170℃で1分間加熱処理を行った後、9984本の中空糸膜を巻き取った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は76mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で4.3×10−3、外表面で8.5×10−3、空気回収率は97%であった。人血試験によるPAO値は平均2625(人血A:2482、人血B:2829、人血C:2564)であった。タフネスは1125gf・%であった。ET透過率は0.01%であった。
PSf17重量部、PVP4重量部、DMAc79重量部からなる製膜原液を用い、実施例1と同様に凝固、精錬、乾燥、加熱処理、巻き取りを行って中空糸膜束を得た。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は0mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で0.0、外表面で0.0、空気回収率は99%であった。人血試験によるPAO値は平均841(人血A:894、人血B:747、人血C:881)であった。タフネスは1265gf・%であった。ET透過率は0.24%であった。内表面PVP量は35%、外表面PVP量は47%であり、外表面の後退接触角は14°、前進接触角は32°であった。
得られた中空糸膜束を血液透析モジュールに組み立て、長期保存安定性のモデル試験を行った結果、溶出液のUV吸光度は加熱前0.06、加熱後0.19であった。
PSf15重量部、PVP9重量部、α−トコフェロール0.5重量部、DMAc30重量部、DMSO46重量部からなる製膜原液と、DMAc30重量%、DMSO30重量%、水40重量%からなる中空内液を用い、実施例1と同様に凝固、精錬した後、9984本の中空糸膜を湿潤状態で巻き取った。
得られた中空糸束を80℃で420分間減率乾燥を行い、さらに同じ温度で240分間加熱処理を行った。得られた中空糸膜束のバルクVE量は24mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で8.9×10−5、外表面で8.8×10−5であった。人血試験によるPAO値は平均850(人血A:852、人血B:772、人血C:926)であった。タフネスは1131gf・%であった。ET透過率は0.19%であった。
製膜原液としてPSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール0.4重量部、DMAc77重量部を用い、実施例1と同様に凝固、精錬、乾燥、加熱処理、巻き取り、を行って中空糸膜束を得た。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は20mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で1.0×10−4、外表面で1.4×10−4であった。人血試験によるPAO値は平均887(人血A:938、人血B:853、人血C:870)であった。タフネスは1140gf・%であった。ET透過率は0.15%であった。
PSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール2.1重量部、DMAc76.9重量部からなる製膜原液を用い、実施例1と同様に凝固、精錬、乾燥、巻き取って中空糸膜束を得た。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は80mg/gであった。タフネスは950gf・%であった。
また、比較例2は、従来技術である特許文献4の実施例2に記載の膜を追試したものであるが、この場合には機械的強度は十分であるものの、膜表面VE量が十分でなく、非ビタミンE含有膜である比較例1に対して抗酸化性に優位性は認められず、さらにエンドトキシン侵入の阻止効果も不十分であった。
製膜原液としてPSf17重量部、PVP4重量部、α−トコフェロール1重量部、DMAc78重量部からなる製膜原液を用い、比較例2と同様に凝固、精錬を行った湿潤状態の中空糸束を100本巻き取ることにより得た湿潤状態の中空糸束を80℃で3時間乾燥を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は40mg/g、表面VE量は0.7mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で9.1×10−5、外表面で9.6×10−5、ET透過率は0.20%であった。以下同様に、主な処理条件と測定値を表2に示した。
比較例6の中空糸束を130℃で1分間加熱処理を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は40mg/g、表面VE量は2.6mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で9.8×10−5、外表面で1.1×10−4、ET透過率は0.18%であった。
比較例6の中空糸束を140℃で1分間加熱処理を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は40mg/g、表面VE量は3.6mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で1.8×10−4、外表面で2.3×10−4、ET透過率は0.01%であった。
比較例6の中空糸束を180℃で0.1分間加熱処理を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は40mg/g、表面VE量は4.5mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で2.3×10−4、外表面で3.2×10−4、ET透過率は0.01%であった。
比較例6と同じ製膜原液を実施例6と同様に凝固、精錬、乾燥した後、190℃で0.1分間加熱処理を行って巻き取ろうと試みたが中空糸が軟化し、巻き取ることが出来なかった。
比較例4の中空糸束を110℃で1080分間加熱処理を行った。
得られた中空糸膜束のバルクVE量は80mg/g、VE規格化ピーク強度は内表面で6.2×10−3、空気回収率は79%であった。
それゆえ、実施例1の如き本発明の血液処理膜は、きわめて高濃度のエンドトキシン溶液を負荷しても、エンドトキシンの透過率はごくわずかである。このような高濃度のエンドトキシン溶液を用いた過酷試験においてさえエンドトキシンの透過がほとんど認められないということは、本発明の血液処理膜にはエンドトキシンへの吸着座が多数存在することと、しかも安定な吸着座であることを示唆している。
PSf19重量部、PVP9重量部、DMF72重量部からなる製膜原液と、DMF60重量部、水40重量部の混合液に対して0.1重量部のα−酢酸トコフェロールと0.1重量部のプルロニックF−68を添加した中空内液を用い、実施例1と同様に凝固した後、60℃の温水を1L/分で1時間シャワー洗浄して9984本の中空糸膜を湿潤状態で巻き取った。さらに110℃の温水中1時間処理し、洗浄した。
得られた中空糸膜束のVE規格化ピーク強度は外表面で0.0であった。
得られた中空糸膜束を血液透析モジュールに組み立て、長期保存安定性のモデル試験を行った結果、溶出液のUV吸光度は加熱前0.06、加熱後0.17であった。
Claims (7)
- ポリスルホン系樹脂、親水性高分子および脂溶性抗酸化剤からなる中空糸型多孔質膜であって、該膜は1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有し、脂溶性抗酸化剤の膜表面濃度を示す指標であるTOF−SIMS規格化ピーク強度が、膜内表面で1.4×10−4以上、膜外表面で1.8×10−4以上であることを特徴とするポリスルホン系血液処理膜。
- 脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである請求項1記載のポリスルホン系血液処理膜。
- ポリスルホン系樹脂と親水性高分子と脂溶性抗酸化剤からなる多孔質血液処理膜の製造方法であって、1g当たり脂溶性抗酸化剤を22〜76mg含有する膜中間体を得た後、該膜中間体を乾燥状態で140〜180℃、0.1〜1分間加熱処理することを特徴とするポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
- ポリスルホン系樹脂、親水性高分子、脂溶性抗酸化剤および溶剤を含む製膜原液から膜中間体を得る請求項3記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
- 膜中間体を束状態に巻き取った後、加熱処理することを特徴とする、請求項3または4記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
- 膜中間体を加熱処理した後、束状態に巻き取ることを特徴とする、請求項3または4記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
- 脂溶性抗酸化剤が脂溶性ビタミンである請求項3〜6のいずれかに記載のポリスルホン系血液処理膜の製造方法。
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