本発明の実施形態の成形装置の型締装置について、図1、図2を参照して説明する。射出成形装置11は、一側に設けられた型締装置12とその他側に設けられた射出装置13から基本的な部分が構成される。型締装置12について説明すると、ベース14上の略中央には、固定金型15が取付けられる固定プレート16が立設されている。またベース14上の固定プレート16よりも一側には型開閉方向に向けて複数のガイド部材17が固定されている。本実施形態ではガイド部材17は、リニアガイド30の案内レールであり、一方の操作側S1のベース14上に2本、他方の反操作側S2のベース14上に2本の合計4本がそれそれ型開閉方向に向けて平行に設けられている。なおベース14については、操作側S1の長手方向のベースと反操作側S2の長手方向のベース14に分割されていて、部材で接続されたものでもよく、一枚板のベースでもよい。またガイド部材17は、ベース14上の一方と他方に最低1本づつ配置される。
図3、図4に示されるように、一方のガイド部材17の案内レールには、それぞれリニアガイド30のスライダ31が複数取付けられている。本実施形態では案内レールは2本であり、1本の案内レールに対して一例として4個のスライダ31が取付けられているが、1本につき1個または複数個であればよい。リニアガイド30のスライダ31は公知のものであって、凹部溝内に長手方向に形成された複数の溝にそれぞれボールが回転自在に挿入されており、前記ボールの列が案内レールに当接されるようになっている。そして前記2列×4個のスライダ31の背面には第1のガイドブロック32が固定されている。従って第1のガイドブロック32は、一方の2列のガイド部材17に沿って移動自在に設けられている。また他方のガイド部材17の案内レールにも、同様にそれぞれリニアガイド30のスライダ31が複数取付けられ、スライダ31は第2のガイドブロック33に固定されている。従って第2のガイドブロック33は、他方の2列のガイド部材17に沿って移動自在に設けられている。第1のガイドブロック32と第2のガイドブロック33は、それぞれ型開閉方向が長手方向となる長方体しており、ガイド部材17と同様に両者が平行に設けられている。本実施形態では第1のガイドブロック32と第2のガイドブロック33は別個に設けられているが、何らかの梁や部材により連結されたものや1個のガイドブロックからなるものを除外するものではない。または2個以上のガイドブロックが1本のガイド部材に直列に、または3個以上のガイドブロックが各ガイド部材に並列に設けられたものでもよい。
第1のガイドブロック32と第2のガイドブロック33の一側(反固定プレート側)の上面には、移動プレートである型締プレート18が取付られている。従って第1のガイドブロック32と第2のガイドブロック33は、型締プレート18から前方(固定プレート側)に向けて一部が突出したような形となっている。(ガイド部材17、第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33、型締プレート18の関係については後で詳述する。)そしてそれぞれのガイドブロック32,33の前方の上面には滑り板34が敷設され、滑り板34の上をタイバ24にもガイドされて可動プレート21が型開閉方向に型締シリンダ22のストローク分だけ移動可能となっている。なおガイドブロック32,33の上面にリニアガイドの案内レールを設け、可動プレート21の下面側にそれぞれリニアガイドのスライダを設けるようにしてもよい。
型締プレート18は、ガイド部材17と同方向である移動方向の板厚が薄く、ガイド部材17に対して直交方向に長手方向Lが設けられ、長手方向Lに大面積の主面18aが形成されている。また型締プレート18のガイド部材17と対向するガイド部材側の面も長手方向Lに形成される。そして前記型締プレート18の主面18aに対して中央には型締シリンダ22が配設されている。また型締プレート18のガイド部材側の面の中央部18cを除く両側の部分18b,18bには、ガイド部材17に対して型締プレート18の変形を許容する機構(ガイド部材17等の破損を防止する機構)が設けられている。本実施形態では型締プレート18は、固定プレート16や可動プレート21と同様に鋳鉄によって形成され、型締時には僅かに反りが発生することが許容されている。
ベース14の一側(後方側)にはタイバ保持板19が立設されている。そして固定プレート16の四隅近傍には水平方向にタイバ24の一端が固定され、タイバ24は、可動プレート21の四隅近傍、型締プレート18の主面18aの四隅近傍、タイバ保持板19にそれぞれ挿通されている。タイバ24の中間よりも一側の部分には、複数の溝が形成された係止部24aが所定長さにわたって設けられている。そして型締プレート18の反可動プレート側の背面側の主面18aのタイバ24が挿通される孔の周囲にはハーフナット29が配設されている。ハーフナット29は、サーボモータを用いたハーフナット作動機構によりタイバ24と直交する方向に移動可能であり、係止部24aに対してハーフナット29が係脱されるようになっている。
ベース14上の一側の一方と他方にそれぞれ設けられたブラケットには型開閉機構25のサーボモータ27,27が固定されるとともに前記サーボモータ27,27により回転可能にボールネジ26,26が軸支されている。そしてボールネジ26,26の他側の端部は、ベース14の中央寄りに回転自在に軸支されている。また第1のガイドブロック32と第2のガイドブロック33の内側に設けられたブラケット58,58にはボールネジナット28,28が固定され、ボールネジナット28,28にはそれぞれ前記ボールネジ26,26が挿通されている。よってベース14および固定プレート16に対する型締プレート18の位置は、サーボモータ27に取付けられたロータリエンコーダにより検出可能となっている。型開閉機構25のボールネジナット28,28が第1のガイドブロック32と第2のガイドブロック33に取付けられることにより、ガイドブロック32,33と型締プレート18の間に型締プレート18の変形を許容する機構が設けられていても、型締プレート18にボールネジナットを取付ける場合と比較して、安定して型締プレート18や可動プレート21を移動させることができる。また型開閉機構25が第1のガイドブロック32と第2のガイドブロック33に取付けられ、ガイドブロック32,33と型締プレート18の間に型締プレート18の変形を許容する機構(本実施形態以外にバネ等を用いた変形を許容する機構でもよい)が設けられていることにより、型締時に型締プレート18に反りが発生しても、型開閉機構25に負荷がかかることがない。なお、型開閉機構25は、固定プレート16と型締プレート18の間などに設けられたものでもよく、型締プレート18等の側にサーボモータ27を取付けたものでもよい。更に型開閉機構25は、サーボモータ以外のアクチュエータを用いたものでもよい。
次に型締装置12の型締プレート18(プレート内)の中央には、型締シリンダ22が配置され、型締シリンダ22のラム23が可動プレート21の背面に固定されている。型締シリンダ22は復動型のシリンダであり、ピストン35の一側に型締の際に作動油が供給される型締側油室40aと主に可動プレート21を移動させる型締側小油室40cが設けられ、他側に強力型開の際に作動油が供給される型開側油室40bが設けられている。型締プレート18と可動プレート21の間には、型締プレート18に対する可動プレート21の位置を検出する位置センサが取付けられている。なお型締シリンダ22の数は1個に限定されない。
次に移動プレートである型締プレート18とガイドブロック32,33の関係について、図3ないし図5により説明する。操作側S1の第1のガイドブロック32の後方寄り内側の上面には一定の深さに円筒形の穴36が凹状に形成されている。そして前記穴の底部にはボルト穴37が形成されている。また第1のガイドブロック32の上面の後方寄りにおける前記穴よりも外側(操作側S1)には、複数(本実施形態では3個)のボルト穴39が型開閉方向に一列に形成されている。更に第1のガイドブロック32の後方寄りの上面は、MCプレート等の摩擦係数が低い低摩擦プレート41が張られている。そして第1のガイドブロック32の後方寄りの部分の上には、連接部である第1の型締プレート取付板42が取付けられている。第1の型締プレート取付板42は、型締プレート18のガイド部材側の面の中央部18cを除く両側の部分18b(下面)の一方にブラケット50に固定して設けられ、型締プレート18と第1のガイドブロック32を接続するための部材である。第1の型締プレート取付板42は、図5において下側のハッチングで示される部分であり、平面視は長方形をしており所定の厚みの部材である。第1の型締プレート取付板42は、型開閉方向の長さが型締プレート18の板厚と略同じであり、型開閉方向に直交する方向の長さが第1のガイドブロック32の短辺方向の幅と略同じとなっている。そして第1の型締プレート取付板42の内側寄りの部分には、第1のガイドブロック32の円筒状の穴36に対応する位置に上下方向に貫通孔43が形成されている。また第1の型締プレート取付板42において、第1のガイドブロック32のボルト穴39に対応する位置には上下方向に貫通孔44が形成されている。更に前記貫通孔43と貫通孔44の中間の部分には、型締プレート18を第1の型締プレート取付板42に固定するためのボルト52を挿通するボルト穴45が型開閉方向に一列に形成されている。
そして第1の型締プレート取付板42の上面の外側には型開閉方向に長手方向を有する長方体の取付用ブロック46が取付けられる。取付用ブロック46には、前記第1の型締プレート取付板42の外側の貫通孔44と同じ間隔の位置に上下方向に貫通孔47が形成されている。また取付用ブロック46の下面にはMCプレート等の摩擦係数の低い低摩擦プレート48が張られている。そして前記取付用ブロック46の貫通孔47の上方からワッシャ等を介して下方に向けて挿入されたショルダボルト等のボルト49は、第1の型締プレート取付板42の貫通孔44に挿通されて、第1のガイドブロック32のボルト穴39に係止される。その際に前記第1の型締プレート取付板42の貫通孔44の直径(内径)は、前期ボルト49の非ネジ部の直径(外径)よりも一定だけ大きくなっており、両者の間には間隙が形成されている。従って第1の型締プレート取付板42は、第1のガイドブロック32に対して水平方向への一定の移動が許容されるようになっている。
なお第1のガイドブロック32と型締プレート取付板42の間、型締プレート取付板42と取付用ブロック46の間に配設される低摩擦板等や潤滑方法は、前記のものに限定されない。例えば前記の例と異なるプレートやブロックの側に低摩擦板等を取付けるようにしてもよいし、低摩擦板等を挟み込んでもよい。または両者の摩擦係数を少なくするためグリース等の潤滑剤を塗布したものでもよい。更には支持軸53の外周面や貫通孔43の内周面についても低摩擦部材としてもよい。更にまた後述する反操作側S2の第2のガイドブロック33と型締プレート取付板54等についても、低摩擦部材は同様の部分に使用されており、切込部55の辺55a,56a、規制部材56の辺56b,56cの面等も低摩擦部材としてもよい。
型締プレート18には長手方向Lの外側に張り出した取付用ブラケット50が設けられ、取付用ブラケット50には上下方向に貫通孔51が形成されている。そして前記貫通孔51にボルト52を挿通し、第1の型締プレート取付板42のボルト穴45に係合することにより、型締プレート18と第1の型締プレート取付板42は強固に一体化されている。従って型締プレート18に固着された第1の型締プレート取付板42は、型締プレート18(移動プレート)の長手方向Lの中央部18cを除く両側の部分18bに設けられた連接部を構成する。このように型締プレート18から第1の型締プレート取付板42を分割可能に設けておくことには、リニアガイド30のスライダ31の取付や、リニアガイド30等のメンテナンスのために好都合である。しかし型締プレート取付板42等は、必須のものではなく、型締プレート18と同一部材から形成し、型締プレート18のガイド部材側の中央部18cを除く両側の部分18bの連接部に、第1の型締プレート取付板42と同様の加工を行ったものでもよい。また本実施形態ではガイド部材17および第1のガイドブロック32の一部分は、平面視して型締プレート18の側面18dより外側(操作側S1)に設置されているが、連接部を含むすべての機構が前記側面18dよりも完全に内側か或いは完全に外側の両側の部分18bに設置されるようにしてもよい。また連接部が側面18dよりも外側に設けられる場合は、ブラケット50は側面18dの最下部以外の部分に設けられたものでもよい。従って本発明において移動プレートの連接部は、ガイド部材側の中央部18c(移動プレートの長手方向Lの辺の1/5程度の長さを占める)以外の両側の部分に、移動プレートに直接、または移動プレートに固定された別部材を介して形成される。
第1の型締プレート取付板42の内側の貫通孔43と第1のガイドブロック32の内側の穴36は、上下方向に一致しており、貫通孔43と穴36との両方に挿通可能な直径の支持軸53が鉛直方向(ガイド部材17と長手方向Lの両方に対して直交方向)に挿入される。支持軸53には軸方向に貫通孔53aが形成されている。そして支持軸53は、前記貫通孔53aを介して第1のガイドブロック32のボルト穴37にボルト38を挿通することにより、第1のガイドブロック32と一体化されている。また支持軸53と第1の型締プレート取付板42の貫通孔43の関係は回動自在であって、両者の当接面は隙間なく摺動自在となっている。従って第1のガイドブロック32と連接部である第1の型締プレート取付板42の間の関係は、支持軸53を中心に回動可能となっている。
また反操作側S2の第2のガイドブロック33と型締プレート18の関係についても第1のガイドブロック32と型締プレート18の関係と共通する部分が多い。即ち連接部である第2の型締プレート取付板54を介して型締プレート18と第2のガイドブロック33が接続される点、型締プレート18と第2の型締プレート取付板54がボルト52により一体化され、両者により型締プレート18(移動プレート)が構成されている点、取付用ブロック46が設けられ、取付用ブロック46の貫通孔47、第2の型締プレート取付板54の貫通孔44を挿通して、第2のガイドブロック33にボルト49が挿通される点、支持軸53が第2のガイドブロック33から上方に向けて固定される点などは共通または近似している。また第2のガイドブロック33に対して、型締プレート取付板54や支持軸53が取付られる型開閉方向の位置も、操作側S1の第1のガイドブロック32の場合と同じ(射出成形装置11の長手方向の中心線に対して線対称)である。また第2のガイドブロック33の上面と第2の型締プレート取付板54の下面、第2の型締プレート取付板54の上面と取付用ブロック46の下面が摩擦係数が低くなるように処理されている点も共通している。更には第2の型締プレート取付板54を設けずに、型締プレート18と同一部材から形成し、型締プレート18のガイド部材側の反操作側S2寄りの部分18bの連接部に、支持軸53を中心にして少なくとも回動可能な加工を行ったものでもよい点も同じである。
本実施形態において、反操作側S2の第2のガイドブロック33と型締プレート18の関係について、操作側S1の第1のガイドブロック32と相違する部分は、第2の型締プレート取付板54と支持軸53の関係の部分である。図5に示されるように第2の型締プレート取付板54は中央の内側部分から平面視コ字状に切込部55が形成されている。そして切込部55の2辺55a,55bは、型締されていないときには型開閉方向と直交する方向となっている。前記切込部55には、規制部材56が前記2辺55a,55bに対して摺動自在に嵌め込まれている。規制部材56は、所定厚みを有する四角形の部材で、中央に上下方向に貫通孔56aが設けられ、前記貫通孔56aに第2のガイドブロック33に固定された支持軸53が挿入されている。そして貫通孔56aの内周面と支持軸53の外周面は隙間なく摺動自在となっている。また規制部材56の型開閉方向と直交する辺56b,56cの長さは、切込部55の型開閉方向の辺55a,55bの長さよりも短く設けられている。そして切込部55と規制部材56の辺56dとの間には、規制部材56が型開閉方向に直交する方向に相対的に移動できるように型締されていないときに間隙57が形成されるようになっている。
上記の構造により、移動プレートである型締プレート18は、一方のガイド部材側の連接部と第1のガイドブロック32との間が操作側S1の支持軸53を中心に回動可能(角度変更可能)に設けられる。また型締プレート18は、他方のガイド部材側の連接部と第2のガイドブロック33とが反操作側S2の支持軸53を中心に少なくとも回動可能(角度変更可能)に設けられる。(ただし型締されていない状態で、第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33と型締プレート18とが自在に回動可能な訳ではなく、型締時に型締プレート18の反りが発生した際に回動可能となる。)このように一枚の移動プレートの中央部18cを除く一方と他方の両側の部分18b,18bに設けられた連接部をそれぞれ軸芯が異なり平行に設けられた支持軸53,53を中心に回動可能とすることは、当業者が容易に予期できたことではない。なぜなら一つの部材(移動プレート)は、通常は一つの回転中心によってしか回転されない(回動されない)と考えるのが常識だからである。
次に本実施形態の射出成形装置11の型締装置12の作動方法、とりわけ型締時の型締プレート18と第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33の関係について、主に図4ないし図7を用いて説明する。まず型開閉機構25であるサーボモータ27,27によりボールネジ26,26を回転させて、第1のガイドブロック32、第2のガイドブロック33、型締プレート18、可動プレート21、および可動金型20を固定金型15に向けて高速で型閉移動させる。そしてタイバ24の係止部24aにハーフナット29が係止される係止位置に型締プレート18等が到達すると、サーボモータ27の回転駆動を停止させてサーボロックする。
そしてハーフナット29を係止部24aに係止するのと並行して、主に型締シリンダ22の型締側小油室40cに図示しないポンプから作動油を供給し、ラム23、可動プレート21、および可動金型20の前進を行う。その際に可動プレート21は、サーボロックされ停止されている第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33の上面の滑り板34の上を摺動し前進される。そして固定金型15に対して可動金型20が当接されると、更に型締シリンダ22の型締側油室35に作動油が供給され、ハーフナット29と係止部24aの隙間分だけ型締プレート18が僅かに後退してから型締がなされる。そして所定の型締状態となったことが確認されると次に射出充填工程が開始される。(または射出圧縮成形では、射出充填中または射出充填後に型締側が増圧される。)
型締がなされると型締シリンダ22のラム23は可動金型20を固定金型15に向けて押圧する。その際に増圧の反力をタイバ24が受けてタイバ24が伸びる。そしてタイバ24の固定位置は、型締プレート18の四隅近傍であるため、型締プレート18の四隅近傍部分が(ハーフナットの部分)が前方に向けて引っ張られる形に型締プレート18が撓んで変形する。そしてその型締プレート18の反りがそのまま第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33に伝達されると、型締プレート18のガイド部材側の両側の連接部に対して直角方向に取付けられた第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33の関係が平行ではなくなって「ハ字状」となることにより、リニアガイド30が破損してしまう可能性がある。
そこで本発明では、図7にも示されるように第1のガイドブロック32の支持軸53に対して型締プレート18が前記支持軸53を中心に回動(いずれの側にもある一定角度まで回転)することにより、型締プレート18の操作側S1の反り(連接部の角度変化)が第1のガイドブロック32に伝達されない構造となっている。この際に第1のガイドブロック32と第1の型締プレート取付板42の関係は、MCプレート等の低摩擦プレート41により摺動が容易となっている。またボルト49と貫通孔44との関係も一定の隙間が形成されているので、第1のガイドブロック32に対する第1の型締プレート取付板42の回動(第1のガイドブロック32上の回転方向の摺動)を許容する。
また反操作側S2の第2のガイドブロック33の側については、第2のガイドブロック33の支持軸53に対して型締プレート18が前記支持軸53を中心に回動(いずれの側にもある一定角度まで回転)することにより、型締プレート18の反操作側S2の反り(連接部の角度変化)が第2のガイドブロック33にまで伝達されない構造となっている。また同時に型締プレート18は型締シリンダ22を中心に反固定プレート側に膨らみ、型締プレート18の中央部18cの両側部分の連接部18dは、中央部18c側に向けて引っ張られる形になる。従って型締プレート18と固定される第2の型締プレート取付板54(連接部)は、プレートの変形に連動して第2のガイドブロック33に対して水平方向に摺動される。具体的には、第2のガイドブロック33に固定された支持軸53に対して、第2の型締プレート取付板54の規制部材56が回動しながら、規制部材56は支持軸53と共に同じ位置に留まる。そして第2の型締プレート取付板54の切込部55の辺55a,55bと規制部材56の辺56b,56cとが相対的に摺動しながら間隙57を埋めるように型締プレート取付板54が型締プレート18の中央方向に向けて移動され、当初と反対側の内側に平面視凹状の空間59が形成される形となる。そのために型締プレート18が反りによって連接部が中央部18cの方向に引っ張られる形となっても第2のガイドブロック33にまでは変形が伝達されることはない。なお型締シリンダ22による型締は、固定金型15に対して可動金型20が型閉された後に行われるので、反操作側S2だけで型締プレート18が中央へ引っ張られる形で移動されたとしても金型間のセンターのズレなどに繋がることはない。
また本実施形態の型締装置12では、型締プレート18の四隅近傍にハーフナット29が取付けられ、型締時に型締プレート18に反りが発生する構造となっているので、可動プレート21にはほとんど反りが発生しない。従って可動金型20にもほとんど影響がなく、金型の歪等によりパーティングラインからバリが形成されたり成形寸法精度が低下したりすることなどが起きにくい。そして型締が終了し、型締プレート18の反りが解消されると操作側S1の第1のガイドブロック32の支持軸53と第1の型締プレート取付板42(連接部)の関係、第2のガイドブロック33の支持軸53と第2の型締プレート取付板54(連接部)の関係、および第2の型締プレート取付板54と規制部材56の関係は、元の図5の状態に戻る。
次に上記の移動プレートの変形を許容する機構の変形例について記載する。第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33の双方と移動プレートである型締プレート18の各連接部との間がそれぞれ少なくとも支持軸53を中心に回動可能に設けられるものであれば上記には限定されない。上記の例では操作側S1の第1のガイドブロック32に対して型締プレート18の連接部との間が回動可能に設けられ、反操作側S2の第2のガイドブロック33に対して規制部材56を設け、型締プレート18の変形を許容して型締プレート18が回動可能かつ水平方向に摺動可能に設けられる例を記載したがその反対で反操作側S2を支持軸53を中心に回動のみするようにしてもよい。
また支持軸53は、型締プレート18や型締プレート取付板42,54の側に固定されたものでもよい。その場合、型締プレート18等の支持軸53に対して第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33が相対的に回動可能となる。(ただし第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33は、ガイド部材17にガイドされているから角度変更されず、型締プレート18の連接部の側が角度変更されることには変わりはない。)また第2のガイドブロック33の側の規制部材56を支持軸53の側に固定し、支持軸53を第2のガイドブロック33に対して回転可能としてもよい。更には強圧がかからないものでは規制部材56を設けずに支持軸53の両側が接触する長孔に対して支持軸53が摺動しながら移動するものでもよい。また支持軸53とガイドブロック32,33等の位置関係は、支持軸53,53が平面視して外側位置であって、固定用のボルト穴39などが平面視して内側位置でもよい。更には第2のガイドブロック33側の規制部材56と移動プレート取付板の間に板バネ等の弾発材や油圧シリンダや空気圧シリンダを入れたものでもよい。
また第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33の双方と型締プレート18のガイド部材側の連接部との間を回動可能および水平方向に摺動可能にしたものでもよい。一例としては、第1のガイドブロック32、第2のガイドブロック33の両方に規制部材56と弾発材を用いて支持軸53を型締プレート19に対して水平方向にも移動自在に設けたものでもよい。また型締プレート18の長手方向Lの中心部に対して型開閉方向にガイド部材17とガイド部材17に対して移動自在なガイドブロックを設ける。そして型締プレート18の中心に対応する連接部を設け、前記のガイドブロックと連接部との間を支持軸を中心に回動のみ可能か、または支持軸に対して固定的に接続する。そして両側の部分18bの連接部は、ガイドブロック32,33に対して回動可能および/または水平方向可能に設けてもよい。これらのタイプの機構は、移動プレートがかなり昇温して熱膨張するような成形(金型を加熱する成形等)の際に有利である。
更には前記のように第1のガイドブロック32と第2のガイドブロック33の双方と型締プレート18のガイド部材側の連接部との間を回動可能および水平方向に摺動可能にしたもの以外に、支持軸53,53を中心に第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33に対して型締プレート18を回動可能にのみ設けたもの(水平方向に摺動しないもの)でもよい。その場合は、型締プレート18の撓みが小さいかまたは支持軸53,53間の距離が比較的接近していて支持軸53に対する可動プレート18の水平移動がほとんど無視できる場合、または支持軸53と型締プレート18側の部材の間隙(あそび)の部分で水平移動が吸収される場合、支持軸53や型締プレート18の一部を弾性を有する部材(金属塊を含む)で構成する場合、などが考えられる。
更にまた移動プレートの変形を許容する機構としては、リニアガイドのスライダが直接ガイドブロックを構成し、スライダと移動プレート側の連接部との間が少なくとも回動可能に設けられたものでもよい。更にまた、支持軸53の代わりに球状や円弧状の部材を用いて移動プレートとガイドブロックとの間を回動可能に設けたものでもよい。一例としては、型締プレート18の連接部とガイドブロック32,33の間に、ボールローラと位置決めピンを設け、型締プレート18の型開閉移動などの際は、前記位置決めピンを挿入してガイドブロック32,33と型締プレート18とを固定をしておき、型締時には前記位置決めピンが外されて、ボールローラにより、型締プレート18の連接部とガイドブロック32,33の間が回動(角度変更)されるものでもよい。
また型締時の型締プレート18の反りは、図7に示される平面視方向以外にも上下方向にも発生する。本発明では、平面視方向の反りは、リニアガイドの損傷に繋がるので、第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33に対して、型締プレート18の変形が及ばないように上記機構が設けられているが、上下方向の反りにも対応できるようにしてもよい。即ち第1のガイドブロック32および第2のガイドブロック33の側と型締プレート18の側を、長手方向Lに設けられた支持軸により回動可能に接続することやまたは弾性部材を併用することにより上下方向の反りに対応することもできる。
次に本発明を図8に示されるような別の射出成形装置に用いる場合について説明する。図8に示される射出成形装置61は、射出装置62と型締装置63からなっている。射出装置62については、本発明の機構以外は、公知のものであって、固定的に設けられた固定プレート64に加熱筒65が固定されている。加熱筒65は内孔に図示しないスクリュ66が設けられ、加熱筒65の先端にノズル91が取付けられている。また固定プレート64の両側前部には射出用モータ67,67が固定され、ボールネジ68,68が後方に向けて平行に設けられている。また前記固定プレート64の後方には、前記固定プレート64と平行に移動プレート69(プッシャープレート)が設けられ、移動プレート69の両側には前記ボールネジ68が挿通されるボールネジナット70,70が固定されている。また移動プレート69の背面中央には、計量用モータ71が固定され、前記スクリュ66の軸に接続されるスクリュスリーブ等の部材を計量用モータ71により回転駆動可能となっている。また移動プレート69の下方には、基台上に設けられたガイド部材であるリニアガイドの案内レール72が複数列設けられている。
そしてそれぞれの案内レール72に対してスライダ(図示せず)が固定された第1のガイドブロック73と第2のガイドブロック74が移動自在に設けられている。また前記移動プレート69は、案内レール72,72と直交方向に長手方向L1が設けられている。そして長手方向L1の中央部を除く両側の部分に連接部が設けられている。そして第1のガイドブロック73および第2のガイドブロック74と移動プレート69の2箇所の連接部とがそれぞれ軸芯が異なる別の支持軸(図示せず)を中心に少なくとも回動可能に設けられ、上記の実施形態の型締装置12と同様の移動プレートの変形を許容する機構を設ける。なおこれらの機構は射出方向の直交する移動プレート69の長手方向L1の主面の面積および辺の長さが長く、リニアガイドの案内レール72の設置間隔が広い大型機の場合に有効である。
また図8において型締装置63については、固定金型81が取付けられる固定プレート82の四隅近傍に型締シリンダ83が設けられ、型締シリンダ83のラムがタイバ84となっている。そしてベース上には複数のガイド部材85,85が型開閉方向に平行に設けられ、少なくともガイド部材85,85にガイドされて可動金型86が取付けられる移動プレート87が移動自在に配置されている。移動プレート87は、ガイド部材85に直交方向に長手方向L2が設けられており、長手方向L2が金型取付面87aの一辺となっている。なおガイド部材85はリニアガイドの案内レールに限定されず、単にレールまたは溝に対して摺動するガイド部材85でもよい。そして固定プレート82またはベース上には型開閉機構88のアクチュエータである型開閉シリンダ89が取付けられ、移動プレート87にそのロッド90が固定されている。また移動プレート87の背面側のタイバ84の周囲にはハーフナット92が固定されている。前記構造の移動プレート87は、ガイド部材85にガイドされて移動自在に設けられる第1のガイドブロック93と第2のガイドブロック94が設けられている。そして前記ガイドブロック93,94と移動プレート87のガイド部材側の中央部を除く両側の部分に設けた連接部との間に、移動プレート87の型締時の反りをガイド部材85側に及ぼすことなく移動プレート87の変形を許容する機構が設けられる。
本発明を型締装置に用いる場合、図1等や図8に示される型締装置12,63のように、ハーフナット92が取付けられる側の移動プレート18,87に移動プレート18,87の変形を許容する機構(ガイド部材17等の破損を防止する機構)を設けることが、移動プレート18,87の反り対策として有効である。しかしトグル機構の移動プレート(可動プレートまたはリアプレート)に本発明を用いることも考えられる。即ちトグルリンクを移動プレートに取付ける位置が金型の取付位置やセンター位置よりも外側にある場合、移動プレートには反りが発生するので、本発明を適用することは有効である。そしてその場合も例えば型締力8,000kN〜60,000kNというような大型の型締装置の場合により有効である。またその他にも移動プレートにロータリテーブル等が取付けられる成形装置や、縦型成形装置であっても本発明を使用できる。