JP5409244B2 - スラッシュ成形用樹脂粉末組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車内装部品等に成形されるスラッシュ成形用樹脂粉末組成物に関するものである。
近年、自動車内装部品のインストルメントパネルは、スラッシュ成形品が使用されている。スラッシュ成形の低コスト化、ハイサイクル化、成形金型の高寿命化のために、低温成形が要望されている。一方、インストルメントパネル下に格納されたエアバックを展開させるために、インストルメントパネルには開裂口が設置されている。開裂口用の加工は、意匠性の点から、インストルメントパネルの裏面にカッターでスリットを入れる方法が実施されている。(特許文献1〜3を参照)
特開2007−283865号公報 特開2002−326241号公報 特開平8−1696号公報
しかし、スラッシュ成形時の低温成形を目的に、樹脂の分子量および/またはハードセグメント濃度および/またはハードセグメントの結晶性を低下させる等の樹脂中の分子間の結合力を低下させた良溶融性樹脂からなる表皮は、通常の実使用環境下では特に問題なく使用できるが、高温の使用環境下ではカッターで加工したスリットの切断面に粘着性が発現し、切断面が粘着力で密着し、経時で接着面の分子鎖が絡み合い融着する可能性があることがわかってきた。
このため、カッタースリット開裂口を設置するスラッシュ成形表皮には、上記良溶融性樹脂をそのままでは適用できない。
本発明が解決しようとする課題は、スラッシュ成形時の低温溶融性に優れ、かつ高温の使用環境下でのインストルメントパネルのエアバッグの展開性にも優れたスラッシュ成形用の樹脂粉末組成物を提供することである。
本発明者は鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至った。
本発明は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)と添加剤(L)を含有する樹脂粉末組成物であって、該樹脂粉末組成物の190℃の溶融粘度が100〜500Pa・s、かつ該樹脂粉末組成物の成形物の熱軟化温度が135〜155℃であることを特徴とするスラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)である。
本発明のスラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)をスラッシュ成形して得られる自動車内装材用樹脂成形品(T)は、高温の使用環境下でのインストルメントパネルのエアバッグの展開性により優れる。
樹脂粉末組成物(S)の190℃の溶融粘度は100〜500Pa・sであり、好ましくは100〜400Pa・s、さらに好ましくは100〜350Pa・sである。
樹脂粉末組成物(S)の190℃の溶融粘度が500Pa・sを越えると、樹脂粉末組成物 (S)の低温溶融性が悪化する。また、100Pa・s未満であると、樹脂粉末組成物(S)の熱軟化温度が低下する。
樹脂粉末組成物の成形物の熱軟化温度は135〜155℃、さらに好ましくは145〜155℃である。熱軟化温度が135℃未満であれば、高温環境下でのエアバック展開性が悪化する。また、155℃を越えると、樹脂粉末組成物の低温溶融性が悪化する。
樹脂粉末組成物(S)は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)と添加剤(L)を含有する樹脂粉末組成物である。
熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)としては、ポリエステルジオール(A)、直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)および直鎖脂肪族ジアミン(C)を反応させて得られ、(D)中のウレア基濃度が1.5〜2.5重量%である樹脂が好ましい。
ポリエステルジオール(A)の融点は、高温でのエアバック展開性及びウレタン化反応の容易さの観点から、45〜65℃が好ましく、48〜61℃がさらに好ましく、50〜60℃が特に好ましい。
融点は、示差走査熱量分析(DSC)で測定される。
ポリエステルジオール(A)のガラス転移温度は、樹脂成形品(T)の物性の観点から、
−70〜−55℃が好ましく、−70℃〜−58℃がさらに好ましく、−70〜−60℃が特に好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)で測定される。
ポリエステルジオール(A)としては、炭素数6〜12(好ましくは炭素数6〜10)の直鎖脂肪族ジカルボン酸と炭素数6〜10の直鎖脂肪族ジオールを反応させてなるポリエステルジオール等が挙げられる。
具体例としては、例えば、以下の(1)〜(3)が挙げられる。
(1)ポリヘキサメチレンアジペートジオール、融点:50℃、ガラス転移温度―61.5℃、数平均分子量(以下Mnと記す。)が1000
(2)ポリヘキサメチレンアジペートジオール、融点:55℃、ガラス転移温度―62.2℃、Mnが2000
(3)ポリヘキサメチレンセバシネートジオール、融点:60℃、ガラス転移温度:−60.5℃、Mnが1000
直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)は、炭素数4〜12のジイソシアネートが好ましく、炭素数6〜10のものがより好ましい。
(B)の炭素数が4以上であれば、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)からスラッシュ成形して得られる樹脂成形品(T)の高温環境下でのエアバック展開性が良好であり、12以下であれば、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)の低温溶融性が良好である。
直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)としては、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。これらジイソシアネート(B)は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中で好ましいものは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートである。
直鎖脂肪族ジアミン(C)は、炭素数4〜12である直鎖脂肪族ジアミンが好ましく、炭素数6〜10のものがより好ましい。
(C)の炭素数が4以上であれば、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)からスラッシュ成形して得られる樹脂成形品の高温環境下でのエアバック展開性が良好であり、12以下であれば、低温溶融性が良好である。
炭素数4〜12の直鎖脂肪族ジアミンとして、例えば1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン等が挙げられる。これらジアミン(C)は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中で好ましいものは1,6−ヘキサメチレンジアミンである。
熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)のウレア基濃度は、好ましくは1.5〜2.5重量%であり、より好ましくは1.7〜2.3重量%である。
ウレア基濃度が1.5重量%以上であれば、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)からスラッシュ成形して得られる樹脂成形品の高温環境下でのエアバック展開性が良好であり、2.5重量%以下であれば、低温溶融性が良好である。
ウレア基濃度は、核磁気共鳴装置(NMR)で測定することができる。
樹脂中のウレア基濃度が1.5〜2.5重量%である熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)を得るためには、例えばポリエステルジオール(A)の水酸基と直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)のイソシアネート基のモル比が、1:1.2〜1.6となるように反応させてウレタンプレポリマー(U)を得た後、直鎖脂肪族ジアミン(C)で伸長反応させる方法が挙げられる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記載)による重量平均分子量(以下、Mwと記載)は、好ましくは5万〜15万であり、さらに好ましくは7万〜12万である。
重量平均分子量が5万以上であれば、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)からスラッシュ成形して得られる樹脂成形品(T)の高温環境下でのエアバック展開性が良好であり、15万以下であれば、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)の低温溶融性が良好である。
添加剤(L)は、一般的にスラッシュ成形用樹脂粉末組成物に添加される添加剤であって、顔料、無機充填剤、可塑剤、離型剤、有機充填剤、分散剤、紫外線吸収剤(光安定剤)、酸化防止剤、粉体の流動性改質剤、ブロッキング防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が用いられ、場合により選択することができる。
これらの添加剤は、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物の重量に対して、1〜50重量%含有されることが好ましく、5〜30重量%含有されることがより好ましい。
本発明において、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)と添加剤(L)を含有した樹脂粉末組成物(S)は、例えば、以下の方法で得ることができる。
(1)ポリエステルジオール(A)と直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)から得られるイソシアネート含有ウレタンプレポリマー(U)を、水および分散安定剤存在下で、ブロックされた直鎖脂肪族ジアミン(C)(例えばケチミン化合物)で伸長反応させる。
(2)上記ウレタンプレポリマー(U)を、非極性有機溶媒および分散安定剤存在下で、鎖伸長剤(低分子ジオール、低分子ジアミン)で伸長反応させる。
(3)ポリエステルジオール(A)、直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)および直鎖脂肪族ジアミン(C)とを反応させることで熱可塑性ポリウレタン樹脂の塊状物を得る。ついで粉末化(例えば冷凍粉砕、溶融状態下に細孔を通し切断する方法)する。
上記方法において、添加剤(L)はポリエステルジオール(A)に添加してもよいし、ウレタンプレポリマー(U)製造工程中、又は得られた(U)に添加してもよい。また、添加剤(L)が可塑剤、離型剤、流動性改質剤、ブロッキング防止剤である場合は、熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる粉末にこれら添加剤を含浸、又は混合する方法が好ましい。
樹脂粉末組成物(S)を混合して生産するときに使用する混合装置としては、公知の粉体混合装置を使用でき、容器回転型混合機、固定容器型混合機、流体運動型混合機のいずれも使用できる。例えば固定容器型混合機としては高速流動型混合機、複軸パドル型混合機、高速剪断混合装置(ヘンシエルミキサー(登録商標)等)、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)や円錐型スクリュー混合機(ナウターミキサー(登録商標)等)を使ってドライブレンドする方法が良く知られている。これらの方法の中で、複軸パドル型混合機、低速混合装置(プラネタリーミキサー等)、および円錐型スクリュー混合機(ナウターミキサー(登録商標、以下省略)等)を使用するのが好ましい。
樹脂粉末組成物(S)の体積平均粒径は、好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは70〜300μmである。
本発明の樹脂粉末組成物(S)を成形して得られる樹脂成形品(T)は、樹脂粉末組成物(S)をスラッシュ成形して得られる。例えば、(S)が入ったボックスと加熱した金型を共に振動回転させ、(S)を型内で溶融流動させた後、冷却後、固化させ、表皮を製造する方法で好適に実施することができる。
上記金型温度は好ましくは200〜300℃、さらに好ましくは210〜280℃である。
樹脂成形品(T)の表皮厚さは、0.5〜1.5mmが好ましい。成形表皮は、表面を発泡型に接するようにセットし、ウレタンフォームを流し、裏面に5mm〜15mmの発泡層を形成させて、樹脂成形品とすることができる。
樹脂成形品(T)は、自動車内装材、例えばインストルメントパネル、ドアトリム等に好適に使用される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
<融点測定方法>
機器:RDC220ロボットDSC[セイコーインストルメンツ(株)製]
測定条件:サンプル量5mg。
(1)0℃から昇温速度10℃/minで120℃まで昇温し、120℃で10分保持。
(2)120℃から冷却速度−10℃/minで0℃まで冷却し、0℃で10分保持。
(3)0℃から昇温速度10℃/minで120℃まで昇温する。
解析方法:2度目の昇温時のDCS曲線の極小値を融点とする。
<ガラス転移温度測定方法>
機器:RDC220ロボットDSC[セイコーインストルメンツ(株)製]
測定条件:サンプル量5mg。
(1)−100℃から昇温速度20℃/minで100℃まで昇温し、100℃で10分保持。
(2)100℃から冷却速度−90℃/minで−100℃まで冷却し、−100℃で10分保持。
(3)−100℃から昇温速度20℃/minで100℃まで昇温する。
解析方法:2度目の昇温時のDCS曲線のピークの接線の交点をガラス転移温度とする。
<ウレア基濃度測定方法>
機器:AVANCEIII400型デジタルNMR[ブルカ−・バイオスピン(株)製]
測定条件:(1)サンプル量10mgをジメチルスルホキシド(DMSO)0.4mLをNMR試験管に加え、100℃のオイルバスで溶解させる。
(2)その後、試料を80℃のH測定を行う。
解析方法: 5.55ppm付近のウレア基のピークの面積比とモル量がわかっている2.30ppm付近のポリエステルジオール由来のピーク面積比から、ウレア基濃度を算出する。
製造例1
プレポリマー溶液の製造
温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に、数平均分子量(以下Mnと記す。)が1000のポリヘキサメチレンアジペートジオール(A1)(638.1部)(融点:50℃、ガラス転移温度―61.5℃)、酸化防止剤ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製; イルガノックス1010](1.28部)、体積平均粒径9.2μmのカオリン(18.6部)を仕込み、窒素置換した後、撹拌しながら110℃に加熱して溶融させ、60℃まで冷却した。続いて、1−オクタノール(6.06部)、ヘキサメチレンジイソシアネート(B1)(134.0部)、メチルエチルケトン(200部)、紫外線吸収剤2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール[チバスペシャリティーケミカルズ(株)社製; チヌビン571]( 1.91部)を投入し、90℃で5時間反応させた。その後、65℃まで冷却し、ブラック着色剤( 20.6部)を投入し2時間混合することでプレポリマー溶液(F1)を得た。(F1)のNCO含量は1.14%、(A1)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.25であった。
製造例2
ヘキサメチレンジアミンのMEK(メチルエチルケトン)ケチミン化物の製造
ヘキサメチレンジアミン(C1)と過剰のMEK(ジアミンに対して4倍モル量)を80℃で24時間還流させながら生成水を系外に除去した。その後減圧にて未反応のMEKを除去してヘキサメチレンジアミンのMEKケチミン化物(G1)を得た。
製造比較例1
イソフォロンジアミンのMEK(メチルエチルケトン)ケチミン化物の製造
イソホロンジアミン(C2)と過剰のMEK(ジアミンに対して4倍モル量)を80℃で24時間還流させながら生成水を系外に除去した。その後減圧にて未反応のMEKを除去してイソフォロンジアミンのMEKケチミン化物(G2)を得た。
製造例3
熱可塑性ポリウレタン樹脂粉末の製造
反応容器に、製造例1で得たプレポリマー溶液(F1)(100部)と製造例2で得たヘキサメチレンジアミンのMEKケチミン化合物(G1)(2.79部)を投入し、そこにジイソブチレンとマレイン酸との共重合体のNa塩を含む分散剤(三洋化成工業(株)製サンスパールPS−8)(1.3重量部)を溶解した水溶液304重量部を加え、ヤマト科学(株)製ウルトラディスパーサーを用いて9000rpmの回転数で1分間混合した。この混合物を温度計、撹拌機及び窒素吹込み管を備えた反応容器に移し、窒素置換した後、撹拌しながら50℃で10時間反応させた。反応終了後、濾別及び乾燥を行い、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D1)を含有する熱可塑性ポリウレタン樹脂粉末(E1)を製造した。(D1)のMwは10万、ウレア基濃度は2.0重量%、(E1)の体積平均粒径は150μmであった。
実施例1
スラッシュ成形用樹脂粉末組成物の製造
100Lのナウターミキサー内に、熱可塑性ポリウレタン樹脂粉末(E1)(100部)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(4.0部)、紫外線安定剤ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(混合物)[商品名:TINUVIN 765、チバ社製](0.3部)を投入し70℃で4時間含浸した。含浸4時間後、2種類の内添離型剤であるジメチルポリシロキサン[日本ユニカー(株)製;ケイL45−1000](0.06部)、カルボキシル変性シリコン[信越化学工業(株)製;X−22−3710](0.05部)、を投入し1時間混合した後室温まで冷却した。最後に、ブロッキング防止剤架橋ポリメチルメタクリレート[ガンツ化成(株);ガンツパールPM−030S](0.5部)を投入混合することでスラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S1)を得た。(S1)の体積平均粒径は152μmであった。
自動車内装用樹脂成形品の製造
以下のように低温でのスラッシュ成形を行った。予め210℃に加熱されたしぼ模様の入ったNi電鋳型にスラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S1)を充填し、10秒後余分な粉末樹脂粉末組成物を排出する。60秒放冷後、水冷してNi電鋳型から脱型することで、厚さ1mmの自動車内装材用表皮である樹脂成形品(T1)を得た。
実施例2
製造例1において、(A1)の代わりに、Mnが2000のポリヘキサメチレンアジペートジオール(A2)(685.4部)(融点:55℃、ガラス転移温度:−62.2℃)、(B1)の使用量を(84.6部)に変更する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F2)を得た。(F2)のNCO含量は1.14%、(A2)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.47であった。続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D2)を製造した。(D2)のMwは10万、体積平均粒径は145μm、ウレア基濃度は2.0重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S2)を得た。(S2)の体積平均粒径は147μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T2)を得た。
実施例3
製造例1において、(A1)の代わりに、Mnが1000のポリヘキサメチレンセバシネートジオール(A3)(638.1部)(融点:60℃、ガラス転移温度:−60.5℃)を使用する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F3)を得た。(F3)のNCO含量は1.14%、(A3)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.25であった。
続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D3)を得た。(D3)のMwは10万、体積平均粒径は152μm、ウレア基濃度は2.0重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S3)を得た。(S3)の体積平均粒径は154μmであった。続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T3)を得た。
実施例4
製造例1において、(A1)の代わりに、Mnが1000のポリヘキサメチレンアジペートジオール(476.7部)とMnが900のポリヘキサメチレンイソフタレートジオール(158.9部)からなる混合ポリエステルジオール(A4)(融点:49℃、ガラス転移温度:−55.2℃)、(B1)の使用量を(136.6部)に変更する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F4)を得た。(F4)のNCO含量は1.15%、(A4)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.25であった。続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D4)を製造した。(D4)のMwは10万、体積平均粒径は148μm、ウレア基濃度は2.0重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S4)を得た。(S4)の体積平均粒径は150μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T4)を得た。
実施例5
製造例1において、(A1)の使用量を(634.2部)に変更し、(B1)の使用量を(138.1部)に変更する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F5)を得た。(F5)のNCO含量は1.38%、(A1)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.29であった。続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D5)を製造した。(D5)のMwは10万、体積平均粒径は147μm、ウレア基濃度は2.5重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S5)を得た。(S5)の体積平均粒径は149μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T5)を得た。
実施例6
製造例1において、(A1)の使用量を(642.0部)に変更し、(B1)の使用量を(130.0部)に変更する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F6)を得た。(F6)のNCO含量は0.91%、(A1)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.21であった。続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D6)を製造した。(D6)のMwは10万、体積平均粒径は151μm、ウレア基濃度は1.6重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S6)を得た。(S6)の体積平均粒径は153μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T6)を得た。
実施例7
製造例1において、(A1)の代わりに、Mnが1000のポリヘキサメチレンアジペートジオール(319.1部)とMnが1000のポリブチレンアジペートジオール(319.1部)からなる混合ポリエステルジオール(A5)(融点:41℃、ガラス転移温度:−62.1℃)を使用する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F7)を得た。(F7)のNCO含量は1.14%、(A5)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.25であった。続いて製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D7)を製造した。(D7)のMwは10万、体積平均粒径は145μm、ウレア基濃度は2.0重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S7)を得た。(S7)の体積平均粒径は147μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T7)を得た。
比較例1
製造例1において、(A1)の代わりに、Mnが1000のポリブチレンアジペートジオール(638.1部)(A6)(融点:35℃、ガラス転移温度:−62.7℃)を使用する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F8’)を得た。(F8’)のNCO含量は1.14%、(A6)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.25であった。続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D8’)を製造した。(D8’)のMwは10万、体積平均粒径は145μm、ウレア基濃度は2.0重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S8’)を得た。(S8’)の体積平均粒径は147μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T8’)を得た。
比較例2
製造例1において、(A1)の使用量を(630.3部)に変更し、(B1)の使用量を(142.2部)に変更する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F9’)を得た。(F9’)のNCO含量は1.62%、(A1)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.34であった。続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D9’)を製造した。(D9’)のMwは10万、体積平均粒径は145μm、ウレア基濃度は2.8重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S9’)を得た。(S9’)の体積平均粒径は147μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T9’)を得た。
比較例3
製造例1において、(A1)の使用量を(644.7部)に変更し、(B1)の使用量を(127.1部)に変更する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F10’)を得た。(F10’)のNCO含量は0.74%、(A1)の水酸基と(B1)のイソシアネート基のモル比が、1:1.17であった。続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D10’)を製造した。(D10’)のMwは10万、体積平均粒径は155μm、ウレア基濃度は1.3重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S10’)を得た。(S10’)の体積平均粒径は157μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T10’)を得た。
比較例4
製造例1において、(B1)の代わりに、イソフォロンジイソシアネート(B2)(134.1部)を使用する以外は製造例1と同様にしてプレポリマー溶液(F11’)を得た。(F11’)のNCO含量は1.14%、(A1)の水酸基と(B2)のイソシアネート基のモル比が、1:0.95であった。続いて、製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D11’)を製造した。(D11’)のMwは10万、体積平均粒径は142μm、ウレア基濃度は2.0重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S11’)を得た。(S11’)の体積平均粒径は144μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T11’)を得た。
比較例5
製造例3において、(G1)の代わりに、イソフォロンジアミンのMEKケチミン化合物(G2)(3.67部)を使用する以外は製造例3と同様にして、熱可塑性ポリウレタン樹脂(D12’)を製造した。(D12’)のMwは10万、体積平均粒径は150μm、ウレア基濃度は2.0重量%であった。続いて、実施例1と同様にして、スラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S12’)を得た。(S12’)の体積平均粒径は152μmであった。
続いて、実施例1と同様に成形を行い、厚さ1mmの自動車内装用樹脂成形品(T12’)を得た。
実施例1〜7の樹脂粉末組成物(S1)〜(S7)、及び比較例1〜5の樹脂粉末組成物(S8’)〜(S12’)について下記に示す方法で、190℃の溶融粘度の測定を行った。また、実施例1〜7の自動車内装用樹脂成形品(T1)〜(T7)、及び比較例1〜5の自動車内装用樹脂成形品(T8’)〜(T12’)について下記に示す方法で、裏面溶融性の確認、熱軟化温度測定および熱接着試験を行った。結果を表1、表2に示した。
Figure 0005409244
ポリヘキサメチレンセバシネートジオール:HSD
ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール:HID
ポリブチレンアジペートジオール:BAD
ヘキサメチレンジイソシアネート:HDI
ヘキサメチレンジアミン:HDA
イソフォロンジアミン:IPDA
Figure 0005409244
<190℃の溶融粘度測定方法>
機器:キャピラリーレオメーターCFT−500D[(株)島津製作所製]
測定条件:サンプル量1.50g、開始温度100℃、昇温速度5.0℃/min、
予熱時間300s、シリンダ圧力4.903×10Pa、ダイ穴径0.5mm、ダイ長さ1.0mm、せん断応力6.129×10Pa。
解析方法:測定データの190℃の溶融粘度を読み取る。
<熱軟化温度測定方法>
機器:熱機械分析装置TMA/SS6100
データ処理装置EXSTAR6000[エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製]
測定条件:測定温度範囲25〜250℃、昇温速度5℃/min、荷重5g、針直径0.5mm。
解析方法:TMAチャートにおいて、「JIS K7121−1987、P.5、図3階段状変化」の方法に準じて、TMA曲線の接線の交点を求め、熱軟化温度とする。
<裏面溶融性>
成形表皮裏面中央部を目視で観察し、以下の判定基準で溶融性を評価する。
5:均一で光沢がある。
4:一部未溶融のパウダーが有るが、光沢がある。
3:裏面全面に凹凸があり、光沢はない。表面に貫通するピンホールはない。
2:裏面全面にパウダーの形状の凹凸があり、かつ表面に貫通するピンホールがある。
1:パウダーが溶融せず、成形品にならない。
<熱融着試験>
縦6.0cm、横9.5cmの大きさの成形表皮の裏面に、コールドカッター(刃の厚み0.3mm)で表面に対しておよそ直角に深さ0.4〜0.6mm、長さ6.0cmの切り目を入れ、そのシートを離型紙に挟み離型紙の上から重量95〜100g、寸法が縦10cm×横10cm×厚み1.2mmの鉄板を離型紙が隠れるように乗せ、空気中、常圧下130℃で100時間静置した後、上記シートの切り目が融着していないかどうかを目視で観察する。
以下の基準で評価した。
○:カッターの切り目が融着していない。
×:カッターの切り目が融着している。
実施例1〜7の自動車内装用樹脂成形品(T1)〜(T7)は、比較例1〜5の(T8’)〜(T12’)と比べて、裏面溶融性、熱軟化温度および熱融着試験の全てにおいて優れている。このことより、実施例1〜7の自動車内装用樹脂成形品(T1)〜(T7)は、低温溶融性及び高温の使用環境下でのインストルメントパネルのエアバッグの展開性に優れていることがわかる。
本発明のスラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)をスラッシュ成形して得られる自動車内装材用樹脂成形品は、インストルメントパネル、ドアトリムの表皮として好適に使用される。

Claims (6)

  1. 熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)と添加剤(L)を含有する樹脂粉末組成物であって、該樹脂粉末組成物の190℃の溶融粘度が100〜500Pa・s、かつ該樹脂粉末組成物の成形物の熱軟化温度が135〜155℃であることを特徴とするスラッシュ成形用樹脂粉末組成物(S)。
  2. 熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)が、ポリエステルジオール(A)、直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)および直鎖脂肪族ジアミン(C)を反応させて得られ、(D)中のウレア基濃度が1.5〜2.5重量%である請求項1に記載の組成物(S)。
  3. ポリエステルジオール(A)が、炭素数6〜12の直鎖脂肪族ジカルボン酸と炭素数6〜10の直鎖脂肪族ジオールを反応させて得られる請求項2に記載の組成物(S)。
  4. 直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)の炭素数が4〜12、及び直鎖脂肪族ジアミン(C)の炭素数が4〜12である請求項2又は3に記載の組成物(S)。
  5. 熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)が、ポリエステルジオール(A)の水酸基と直鎖脂肪族ジイソシアネート(B)のイソシアネート基のモル比が、1:1.2〜1.6となるように反応させて得られるウレタンプレポリマーを直鎖脂肪族ジアミン(C)で伸長反応させて得られるものである、請求項2〜4のいずれか1項に記載の組成物(S)。
  6. 熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量平均分子量が、5〜15万である請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物(S)。
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