以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る回転検出装置10の磁気抵抗効果素子ユニット39及び磁石40と歯車1とを示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態1に係る回転検出装置10の構成を示すブロック図であり、図3は図2の比較回路25の構成を示すブロック図である。さらに、図4は、図2の2値化回路20の動作を示すタイミングチャートである。
ここで、詳細後述するように、回転検出装置10は、歯車1の回転を検出して検出信号Vdeを発生する回転検出回路30と、検出信号Vdeと、入力されるオフセット信号Vcnとを加算することにより、加算結果を示すオフセット検出信号Voffを発生する加算器21と、オフセット検出信号Voffの平均値を示す平均値信号Vavを発生する平均値信号発生回路2と、所定のスライス電圧Vslを発生するスライス電圧発生器29と、平均値信号Vavの信号電圧をスライス電圧Vslと比較し、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより大きいときにはオフセット信号Vcnの信号電圧を減少させる一方、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより小さいときにはオフセット信号Vcnの信号電圧を増加させるように、オフセット信号Vcnを発生して加算器21に出力するオフセット信号発生回路3と、オフセット検出信号Voffをスライス電圧Vslと比較することにより、オフセット検出信号Voffを2値化して出力するコンパレータ28とを備えたことを特徴としている。
また、オフセット信号発生回路3は、平均値信号Vavの信号電圧をスライス電圧Vslと比較し、比較結果を示す比較結果信号S51を発生するコンパレータ51と、比較結果信号S51に基づいて、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより大きいときにはカウント値CNを1だけデクリメントする一方、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより小さいときにはカウント値CNを1だけインクリメントして、カウント値CNを出力するカウンタ回路26と、カウント値CNをオフセット信号Vcnにデジタル/アナログ変換して加算器21に出力するデジタル/アナログ変換器27とを備えたことを特徴としている。
図1において、磁性材料にてなる歯車1は、自動車のエンジンのクランクシャフト軸に設けられ、回転軸1Aに対して回転方向1Rに回転している。歯車1の回転軸1Aの方向に着磁された磁石40は、歯車1に対向しかつ歯車1との間に所定の間隔を有するように配置され、バイアス磁界を発生して磁気抵抗効果素子ユニット39に印加する。磁気抵抗効果素子ユニット39は、歯車1と対向しかつ磁石40及び歯車1との間に所定の間隔をそれぞれ有するように配置される。磁気抵抗効果素子ユニット39の表面には、歯車1の回転方向1Rに沿って所定の間隔を有するように磁気抵抗効果素子32及び33が配置される。
図2において、回転検出装置10は、図1の歯車1の回転を検出して検出信号Vdeを発生して出力する回転検出回路30と、検出信号Vdeを2値化して2値化信号Vbiとして出力する2値化回路20とを備えて構成される。
図2において、回転検出回路30は、磁気抵抗効果素子ユニット39と、磁石40と、バッファ35とを備えて構成される。ここで、磁気抵抗効果素子ユニット39は、磁気抵抗効果素子32,33を備えたブリッジ回路31を備える。磁気抵抗効果素子32,33は、正の電源VDDと接地との間に接続点34を介して直列接続され、接続点34はバッファ回路35の入力端子に接続される。さらに、バッファ回路35からの出力信号は、検出信号Vdeとして、2値化回路20に出力される。
図1において、歯車1が回転すると、歯車1の歯の部分と谷の部分が交互に磁気抵抗効果素子ユニット39に対向するので、磁石40から当該磁気抵抗効果素子ユニット39に印加されるバイアス磁界が変化し、これに応答して、磁気抵抗効果素子31,32の各抵抗値が変化する。磁気抵抗効果素子31,32の各抵抗値の変化に応答して、回転検出回路30は、歯車1の回転数と歯車1の山又は谷の数とを乗じた値の周波数を有する正弦波信号成分を含む検出信号Vdeを発生して、2値化回路20に出力する。
図2において、2値化回路20は、加算器21と、平均値信号発生回路2と、オフセット信号発生回路3と、コンパレータ28と、スライス電圧発生器29と、クロック信号発生器90とを備えて構成される。ここで、平均値信号発生回路2は、ピークホールド回路22と、ボトムホールド回路23と、平均値演算回路24とを備え、オフセット信号発生回路3は、比較回路25と、カウンタ回路26と、D/A変換器(以下、デジタル/アナログ変換をD/A変換という。)27とを備える。また、図3に示すように、比較回路25は、コンパレータ51を備えて構成される。
図2において、スライス電圧発生器29は、所定のスライス電圧Vslを発生して、コンパレータ28の非反転入力端子及び比較回路25のコンパレータ51の非反転入力端子に出力する。また、クロック信号発生器90は、所定の周期Δtで周期的に繰り返すパルス形状を有するクロック信号CLを発生して、ピークホールド回路22、ボトムホールド回路23及びカウンタ回路26に出力する。
また、図2において、加算器21は、回転検出回路30からの検出信号VdeとD/A変換器27からのオフセット信号Vcnとを加算して、オフセット信号Vcnの信号電圧だけオフセットされた検出信号(以下、オフセット検出信号という。)Voffを発生し、コンパレータ28の反転入力端子と、ピークホールド回路22と、ボトムホールド回路23とに出力する。コンパレータ28は、オフセット検出信号Voffの信号電圧とスライス電圧Vslとを比較し、オフセット検出信号Voffの信号電圧がスライス電圧Vslよりも大きいときにはローレベルの2値化信号Vbiを発生して出力する一方、オフセット検出信号Voffの信号電圧がスライス電圧Vslよりも小さいときにはハイレベルの2値化信号Vbiを発生して出力する。
さらに、図2において、ピークホールド回路22は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでリセットされ、オフセット検出信号Voffの最大値を検出して、検出結果の最大値信号Vpを平均値演算回路24に出力する。一方、ボトムホールド回路23は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでリセットされ、オフセット検出信号Voffの最小値を検出して、検出結果の最小値信号Vbを平均値演算回路24に出力する。平均値演算回路24は、最大値信号Vpと最小値信号Vbの平均値を算出することにより平均値信号Vavを発生して、比較回路25のコンパレータ51の反転入力端子に出力する。
図3において、コンパレータ51は、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧Vslとを比較し、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも大きいときにはローレベルの比較結果信号S51を発生してカウンタ回路26に出力する一方、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも小さいときにはハイレベルの比較結果信号S51を発生してカウンタ回路26に出力する。図2において、カウンタ回路26は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでコンパレータ51の比較結果信号S51の信号レベルを検出し、ハイレベルの比較結果信号S51に応答して所定のビット数のカウント値CNを1だけインクリメントする一方、ローレベルの比較結果信号S51に応答してカウント値CNを1だけデクリメントし、カウント値CNをD/A変換器27に出力する。D/A変換器27は、入力されるカウント値CNを、所定の出力電圧範囲を有するアナログ信号にD/A変換して、オフセット信号Vcnとして加算器21に出力する。ここで、カウント値CNが1ビットだけ変化したときのオフセット信号Vcnの変化量ΔVcnは、D/A変換器27の出力電圧範囲をカウント値CNのビット数で除した電圧値を有する。
次に、図4を参照して、以上のように構成された2値化回路20の動作を説明する。図4において、クロック信号CLの立ち上がりエッジのタイミングt0で、ピークホールド回路22及びボトムホールド回路23はそれぞれリセットされる。そして、ピークホールド回路22は、オフセット検出信号Voffの最大値の検出を開始して、最大値信号Vpを発生して平均値演算回路24に出力する。また、ボトムホールド回路23は、オフセット検出信号Voffの最小値の検出を開始し、最小値信号Vbを発生して平均値演算回路24に出力する。タイミングt2から、クロック信号のCLの次の立ち上がりエッジのタイミングt6までの期間において、平均値信号Vavの信号電圧はスライス電圧Vslよりも大きいので、コンパレータ51はローレベルの比較結果信号S51を発生してカウンタ回路26に出力する。また、2値化信号Vbiのハイレベルの各期間t0−t1,t2−t3,t4−t5の各長さは、ローレベルの各期間t1−t2,t3−t4,t5−t6の各長さよりも短い。すなわち、タイミングt0からタイミングt6までの期間において、デューティ比が50%より小さい2値化信号Vbiが発生される。
次に、タイミングt6において、カウンタ回路26は、ローレベルの比較結果信号S51に応答して、カウント値CNを1だけデクリメントして、当該カウント値CNをD/A変換器27に出力する。これに応答して、オフセット信号Vcnの信号電圧は、変化量ΔVcnだけ減少する。その結果、加算器21からのオフセット検出信号Voff及び平均値信号Vavの各信号電圧はそれぞれ変化量ΔVcnだけ減少する。その結果、図4に示すように、タイミングt8からクロック信号のCLの次の立ち上がりエッジのタイミングt12までの期間において、平均値信号Vavはスライス電圧Vslと等しくなり、2値化信号Vbiのハイレベルの各期間t6−t7,t8−t9,t10−t11の各長さは、ローレベルの各期間t7−t8,t9−t10,t11−t12の各長さと等しくなる。すなわち、タイミングt6からタイミングt12までの期間において、デューティ比が50%である2値化信号Vbiが発生される。さらに、タイミングt6において、ピークホールド回路22及びボトムホールド回路23はそれぞれリセットされ、オフセット検出信号Voffの最大値及び最小値の検出をそれぞれ開始する。
本実施の形態に係る2値化回路20及び回転検出装置10によれば、回転検出回路30からの検出信号Vdeをオフセット信号Vcnの信号電圧だけオフセットさせることによりオフセット検出信号Voffを発生し、クロック信号CLの周期Δt毎に、当該オフセット検出信号Voffの時間期間Δtにおける平均値を算出して平均値信号Vavを発生し、当該平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslに等しくなるようにオフセット信号Vcnの信号電圧を変化させる。従って、デジタルデータを含まない検出信号Vdeを、従来技術に比較して正確に2値化して2値化信号Vbiを発生できる。また、環境温度の変化などによって検出信号Vdeの電圧レベルが変動しても、デューティ比が50%である2値化信号Vbiを、従来技術に比較して確実に発生できる。また、加算器21において検出信号Vdeに加算されるオフセット信号Vcnの信号電圧は、平均値信号Vavとスライス電圧Vslとの差の大きさに関わらず、時間期間Δt毎に所定の変化量ΔVcnだけしか変化しない。従って、検出信号Vdeにスパイクノイズのような比較的短周期で大振幅のノイズが重畳しても、オフセット検出信号Voffの信号電圧は当該スパイクノイズの振幅よりも小さい変化量ΔVcnしか変動せず、従来技術に比較して確実に2値化信号Vbiを発生できる。さらに、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧VslAとの比較結果に基づいてオフセット信号Voffの信号電圧を変化させるので、検出信号Vdeの信号レベル及び周波数が変化しても、従来技術に比較して確実に2値化信号Vbiを発生できる。
なお、ピークホールド回路22,ボトムホールド回路23及びカウンタ回路26に入力されるクロック信号CLの周期Δtは、検出信号Vdeの周期に比較して十分長い周期に設定される。好ましくは、クロック信号CLの周期Δtは検出信号Vdeの周期の3倍に設定される。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る回転検出装置10Aの構成を示すブロック図であり、図6は、図5の比較回路25Aの構成を示すブロック図である。
実施の形態2に係る回転検出装置10Aは、実施の形態1に係る回転検出装置10に比較して、オフセット信号発生回路3に代えて、比較回路25Aと、カウンタ回路26Aと、D/A変換器27とを備えたオフセット信号発生回路3Aを備える。
ここで、比較回路25Aは、所定の時間期間2Δtだけ連続して平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより大きいときに、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより大きいことを示すカウントダウン信号Sdを発生する一方、所定の時間期間2Δtだけ連続して平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより小さいときに、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより小さいことを示すカウントアップ信号Suを発生することを特徴としている。
図5において、回転検出装置10Aは、回転検出回路30と2値化回路20Aとを備えて構成される。2値化回路20Aは、加算器21と、平均値信号発生回路2と、オフセット信号発生回路3Aと、コンパレータ28と、スライス電圧発生器29と、クロック信号発生器90とを備えて構成される。ここで、平均値信号発生回路2は、ピークホールド回路22と、ボトムホールド回路23と、平均値演算回路24とを備える。また、オフセット信号発生回路3Aは、比較回路25Aと、カウンタ回路26Aと、D/A変換器27とを備える。
図5において、スライス電圧発生器29は、所定のスライス電圧Vslを発生して、コンパレータ28の非反転入力端子及び比較回路25Aに出力する。また、クロック信号発生器90は、所定の周期Δtで周期的に繰り返すパルス形状を有するクロック信号CLを発生して、ピークホールド回路22、ボトムホールド回路23、比較回路25A及びカウンタ回路26Aに出力する。
また、図5において、加算器21は、回転検出回路30からの検出信号VdeとD/A変換器27からのオフセット信号Vcnとを加算して、オフセット検出信号Voffを発生し、コンパレータ28の反転入力端子と、ピークホールド回路22と、ボトムホールド回路23とに出力する。コンパレータ28は、オフセット検出信号Voffの信号電圧とスライス電圧Vslとを比較し、オフセット検出信号Voffの信号電圧がスライス電圧Vslよりも大きいときにはローレベルの2値化信号Vbiを発生して出力する一方、オフセット検出信号Voffの信号電圧がスライス電圧Vslよりも小さいときにはハイレベルの2値化信号Vbiを発生して出力する。
さらに、図5において、ピークホールド回路22は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでリセットされ、オフセット検出信号Voffの最大値を検出して、検出結果の最大値信号Vpを平均値演算回路24に出力する。一方、ボトムホールド回路23は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでリセットされ、オフセット検出信号Voffの最小値を検出して、検出結果の最小値信号Vbを平均値演算回路24に出力する。平均値演算回路24は、最大値信号Vpと最小値信号Vbの平均値を算出することにより平均値信号Vavを発生して、比較回路25Aに出力する。
図6において、比較回路25Aは、コンパレータ51と、遅延型フリップフロップ(以下、Dフリップフロップという。)52,53と、インバータ54と、3個の入力端子をそれぞれ有するアンドゲート55,56とを備えて構成される。クロック信号発生器90からのクロック信号CLは、Dフリップフロップ52,53の各クロック入力端子に入力される。また、スライス電圧発生器29からのスライス電圧Vslはコンパレータの非反転入力端子に入力される一方、平均値演算回路24からの平均値信号Vavはコンパレータ51の反転入力端子に入力される。コンパレータ51は、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧Vslとを比較し、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも大きいときにはローレベルの比較結果信号S51を発生する一方、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも小さいときにはハイレベルの比較結果信号S51を発生する。コンパレータ51からの比較結果信号S51は、Dフリップフロップ52の入力端子Dと、アンドゲート55の第1の入力端子と、インバータ54とに出力される。
Dフリップフロップ52は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングで、入力される比較結果信号S51の信号電圧を検出して、検出結果を示す出力信号S52Qを発生して、Dフリップフロップ53の入力端子D及びアンドゲート55の第2の入力端子に出力する。さらに、Dフリップフロップ52は、出力信号S52Qの反転信号である出力信号S52Qbを発生して、アンドゲート56の第1の入力端子に出力する。
Dフリップフロップ53は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングで、入力される信号S52Qの信号電圧を検出して、検出結果を示す出力信号S53Qを発生して、アンドゲート55の第3の入力端子に出力する。さらに、Dフリップフロップ53は、出力信号S53Qの反転信号である出力信号S53Qbを発生して、アンドゲート56の第2の入力端子に出力する。また、インバータ54は、入力される比較結果信号S51を反転することにより出力信号S54を発生して、アンドゲート56の第3の入力端子に出力する。
従って、アンドゲート55には、コンパレータ51からの比較結果信号S51と、比較結果信号S51を遅延時間Δtだけ遅延させた信号S52Qと、比較結果信号S51を遅延時間2Δtだけ遅延させた信号S53Qとが入力される。そして、アンドゲート55からの出力信号はカウントアップ信号Suとしてカウンタ回路26Aに出力される。また、アンドゲート56には、コンパレータ51からの比較結果信号S51を反転した信号S54と、信号S54を遅延時間Δtだけ遅延させた信号S52Qbと、信号S54を遅延時間2Δtだけ遅延させた信号S53Qbとが入力される。そして、アンドゲート56からの出力信号はカウントダウン信号Sdとしてカウンタ回路26Aに出力される。
図5において、カウンタ回路26Aは、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでカウントアップ信号Su及びカウントダウン信号Sdの各信号レベルを検出し、ハイレベルのカウントアップ信号Suに応答して所定のビット数のカウント値CNを1だけインクリメントする一方、ハイレベルのカウントダウン信号Sdに応答してカウント値CNを1だけデクリメントする。また、カウントアップ信号Su及びカウントダウン信号Sdがそれぞれローレベルの時には、カウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。カウント値CNはD/A変換器27に出力され、D/A変換器27は、入力されるカウント値CNを、所定の出力電圧範囲を有するアナログ信号にD/A変換して、オフセット信号Vcnとして加算器21に出力する。
次に、図7、図8(a)及び図8(b)を参照して、以上のように構成された2値化回路20の動作を説明する。
図7は、図5の2値化回路20Aの動作を示すタイミングチャートである。図7において、各タイミングt20〜t28はそれぞれ、クロック信号CLの立ち上がりエッジのタイミングである。図7において、各タイミングt20及びt21において、ローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。従って、各タイミングt20及びt21において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化しない。次に、各タイミングt22,t23,t24において、ハイレベルのカウントアップ信号Suに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNを1だけインクリメントする。従って、各タイミングt22,t23,t24において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcnずつ増加する。
さらに、各タイミングt25及びt26において、ローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。従って、各タイミングt25及びt26において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化しない。次に、タイミングt27において、ハイレベルのカウントダウン信号Sdに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNを1だけデクリメントする。従って、タイミングt27において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcnだけ減少する。さらに、タイミングt28において、ローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。従って、タイミングt28において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化しない。
次に、図8(a)及び図8(b)を参照して、本実施の形態に係る2値化回路20Aの動作と実施の形態1に係る2値化回路20の動作とを比較する。
図8(a)は、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧Vslの差の大きさがオフセット信号Vcnの変化量ΔVcnよりも小さいときの、図2の実施の形態1に係る2値化回路20の動作を示すタイミングチャートである。図8(a)において、各タイミングt30〜38はそれぞれ、クロック信号CLの立ち上がりエッジのタイミングである。
図8(a)に示すように、各タイミングt30,t31,t32において、平均値信号Vavの信号電圧はそれぞれ、Vsl+ΔV+2ΔVcn,Vsl+ΔV+ΔVcn,Vsl+ΔVであり、スライス電圧Vslよりも大きいので、カウンタ回路26にはローレベルの比較結果信号S51が入力され、これに応答してカウンタ回路26はカウント値CNを1ずつデクリメントする。従って、各タイミングt30,t31,t32において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcnずつ減少する。その結果、平均値信号Vavの信号電圧も変化量ΔVcnずつ減少し、タイミングt33において、平均値信号Vavの信号電圧はVsl−ΔVになる。ここで、図8(a),(b)において、ΔV=ΔVcn/2である。
タイミングt33において、平均値信号Vavの信号電圧Vsl−ΔVはスライス電圧Vslよりも小さいので、カウンタ回路26にはハイレベルの比較結果信号S51が入力され、これに応答してカウンタ回路26はカウント値CNを1だけインクリメントする。従って、タイミングt33において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcnだけ増加する。その結果、平均値信号Vavの信号電圧も変化量ΔVcnだけ増加し、タイミングt34において、平均値信号Vavの信号電圧はVsl+ΔVになる。その後、タイミングt32,t33と同様に、各タイミングt34,t35,…,t38において、カウンタ回路26はカウント値CNのデクリメントとインクリメントとを時間間隔Δtで交互に繰り返すので、平均値信号Vavの信号電圧は、Vsl−ΔVとVsl+ΔVとの間で交互に変化する。
従って、図8(a)に示すように、実施の形態1に係る2値化回路20によれば、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧Vslの差の大きさがオフセット信号Vcnの変化量ΔVcnよりも小さいときに、オフセット信号Vcnの信号電圧が、時間間隔Δtで増加と減少を繰り返す。従って、2値化回路20が誤作動し2値化信号Vbiのノイズの原因になる。
図8(b)は、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧Vslの差の大きさがオフセット信号Vcnの変化量ΔVcnよりも小さいときの、図5の実施の形態2に係る2値化回路20Aの動作を示すタイミングチャートである。図8(b)において、各タイミングt40〜48はそれぞれ、クロック信号CLの立ち上がりエッジのタイミングである。
図8(b)において、各タイミングt40,t41において、平均値信号Vavの各信号電圧は(Vlsl+ΔV+2ΔVcn)であり、ローレベルのカウントアップ信号及びローレベルのカウントダウン信号Sdが発生される。これに応答して、カウンタ回路26Aはカウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。この結果、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化しないので、平均値信号Vavの信号電圧も(Vlsl+ΔV+2ΔVcn)のまま変化しない。
タイミングt40,t41,t42において、平均値電圧Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも大きいので、タイミングt42において、ハイレベルのカウントダウン信号Sdが発生され、これに応答してカウンタ回路26Aはカウント値CNを1だけデクリメントする。従って、タイミングt42において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcnだけ減少する。その結果、平均値電圧Vavの信号電圧も変化量ΔVcnだけ減少し、タイミングt43において、平均値電圧VavはVsl+ΔV+ΔVcnになる。
各タイミングt43,t44において、タイミングt42と同様に、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcnずつ減少する。その結果、平均値電圧Vavの信号電圧も変化量ΔVcnずつ減少し、タイミングt45において、平均値電圧Vavの信号電圧は(Vsl−ΔV)になる。
次に、各タイミングt45,t46において、ローレベルのカウントアップ信号及びローレベルのカウントダウン信号Sdが発生される。これに応答して、カウンタ回路26Aはカウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。この結果オフセット信号Vcnの信号電圧は変化しないので、平均値信号Vavの信号電圧も(Vsl−ΔV)のまま変化しない。
各タイミングt45,t46,t47において平均値電圧Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも小さいので、タイミングt47において、ハイレベルのカウントアップ信号Suが発生され、これに応答してカウンタ回路26Aはカウント値CNを1だけインクリメントする。従って、タイミングt47において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcnだけ増加する。その結果、平均値電圧Vavの信号電圧も変化量ΔVcnだけ増加し、タイミングt48において、平均値電圧VavはVsl+ΔVになる。
以上詳述したように、本実施の形態に係る2値化回路20Aによれば、比較回路25Aは、(a)時間期間2Δtにわたって、平均値電圧Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも小さいときに、ハイレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生し、(b)時間期間2Δtにわたって、平均値電圧Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも大きいときに、ローレベルのカウントアップ信号Su及びハイレベルのカウントダウン信号Suを発生し、(c)上記(a),(b)以外の時にはローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生する。従って、図8(b)に示すように、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧Vslの差の大きさがオフセット信号Vcnの変化量ΔVcnよりも小さいときに、実施の形態1に係る2値化回路20に比較して、オフセット信号Vcnの信号電圧の増加と減少の頻度を減らすことができ、安定して動作する。
なお、本実施の形態において、比較回路25Aを、コンパレータ51と、インバータ54と、(M+1)個の入力端子を有する第1及び第2のアンドゲートと、M個(M≧1)のDフリップフロップとを備えるように構成してもよい。このとき、クロック信号CLは各Dフリップフロップの各クロック入力端子に出力され、コンパレータ51からの比較結果信号S51は1番目のDフリップフロップの入力端子D及びインバータ54に出力される。さらに、m(m=1,2,…,M−1)番目のDフリップフロップの非反転出力端子Qからの各出力信号は(m+1)番目のDフリップフロップの入力端子D及び第1のアンドゲートに出力される。また、インバータ54からの出力信号及びm番目のDフリップフロップの反転出力端子
からの各出力信号は、第2のアンドゲートに出力される。また、M番目のDフリップフロップの非反転出力端子Qからの出力信号は第1のアンドゲートに出力される。第1のアンドゲートからの出力信号はカウントアップ信号Suとしてカウンタ回路26Aに出力され、第2のアンドゲートからの出力信号はカウントダウン信号Sdとしてカウンタ回路26Aに出力される。これにより、比較回路25Aは、(a)時間期間MΔtにわたって、平均値電圧Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも小さいときに、ハイレベルのカウントアップ信号Suを発生し、(b)時間期間MΔtにわたって、平均値電圧Vavの信号電圧がスライス電圧Vslよりも大きいときに、ハイレベルのカウントダウン信号Suを発生し、(c)上記(a),(b)以外の時にはローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生する。
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3に係る2値化回路20Aの比較回路25Bの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る2値化回路20Aは、図5の実施の形態2に係る2値化回路20Aに比較して、比較回路25Bを備えたことを特徴としている。以下、実施の形態2との相違点を説明する。
ここで、比較回路25Bは、平均値信号Vavをデジタル平均値信号S58にアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換器58と、スライス電圧Vslをデジタルスライス電圧S57にアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換器57と、デジタル平均値信号S58の信号電圧がデジタルスライス電圧S57より大きいときに、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより大きいことを示すカウントダウン信号Sdを発生する一方、デジタル平均値信号S58の信号電圧がデジタルスライス電圧S57より小さいときに、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより小さいことを示すカウントアップ信号Suを発生する比較論理回路59とを備えたことを特徴としている。
図9において、比較回路25Bは、アナログ/デジタル変換器(以下、アナログ/デジタル変換をA/D変換という。)57,58と、比較論理回路59とを備えて構成される。A/D変換器57は、スライス電圧発生器29からのスライス電圧Vslを所定のサンプリング周波数でデジタルスライス電圧信号S57に変換して、比較論理回路59の入力端子aに出力する。また、A/D変換器58は、平均値演算回路24からの平均値信号Vavを所定のサンプリング周波数でデジタル平均値信号S58に変換して、比較論理回路59の入力端子bに出力する。ここで、A/D変換器57,58の各サンプリング周波数、分解能、及び出力電圧範囲は互いに等しく設定される。また、A/D変換器57,58からの各出力信号の1ビット当たりの信号電圧ΔVadは、D/A変換器27(図5参照)からのオフセット信号Vcnの変化量ΔVcnと等しい電圧値に設定される。
図9において、比較論理回路59は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングで、入力されるデジタルスライス電圧信号S57の信号電圧とデジタル平均値信号S58の信号電圧とを比較する。そして、デジタルスライス電圧信号S57の信号電圧がデジタル平均値信号S58の信号電圧より大きいときにはハイレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生し、デジタルスライス電圧信号S57の信号電圧がデジタル平均値信号S58の信号電圧より小さいときにはローレベルのカウントアップ信号Su及びハイレベルのカウントダウン信号Sdを発生し、デジタルスライス電圧信号S57の信号電圧とデジタル平均値信号S58の信号電圧とが等しいときにはローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生し、カウンタ回路26Aに出力する。
図10は、図9の比較回路25Bを備えた2値化回路20Aの動作を示すタイミングチャートである。図10において、各タイミングt50〜t58はそれぞれ、クロック信号CLの立ち上がりエッジのタイミングである。図10に示すように、各タイミングt50,t51,t52において、デジタル平均値信号S58の信号電圧はそれぞれ、Vsl+3ΔVad,Vsl+2ΔVad,Vsl+ΔVadであり、スライス電圧Vslをデジタル化した信号S59の信号電圧よりも大きいので、比較論理回路59はハイレベルのカウントダウン信号Sdを発生してカウンタ回路26Aに出力する。これに応答してカウンタ回路26Aはカウント値CNを1ずつデクリメントする。従って、各タイミングt50,t51,t52において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcn(=ΔVad)ずつ減少する。その結果、平均値信号Vavの信号電圧も変化量ΔVcnずつ減少し、タイミングt53において、デジタル平均値信号S58の信号電圧は、スライス電圧Vslをデジタル化した信号S59の信号電圧と同じになる。
タイミングt53において、デジタル平均値信号S58の信号電圧はスライス電圧Vslをデジタル化した信号S59の信号電圧と等しいので、比較論理回路59はローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生してカウンタ回路26Aに出力する。これに応答して、カウンタ回路26Aはカウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。従って、オフセット信号Vcnは変化せず、タイミングt54において、デジタル平均値信号S58の信号電圧は、スライス電圧Vslをデジタル化した信号S59のまま変化しない。以下同様に、各タイミングt54〜t58において、カウンタ回路26Aはカウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。従って、タイミングt55以降の各タイミングにおいて、オフセット信号Vcnは変化せず、デジタル平均値信号S58の信号電圧は、スライス電圧Vslをデジタル化した信号S59のまま変化しない。
本実施の形態によれば、スライス電圧発生器22からのスライス電圧VslをA/D変換器57を用いてA/D変換したデジタルスライス電圧信号S57の信号電圧と、平均値演算回路24からの平均値信号VavをA/D変換器58を用いてA/D変換したデジタル平均値信号S58の信号電圧とを比較して、デジタルスライス電圧信号S57及びデジタル平均値信号S58の各信号電圧が互いに等しいときにはローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生してカウンタ回路26Aに出力する。従って、スライス電圧Vslと平均値信号Vavの信号電圧の差の大きさが、A/D変換器57,58からの各出力信号の1ビット当たりの信号電圧ΔVadよりも小さいときには、カウンタ回路26Aはカウント値CNをインクリメント又はデクリメントせず、オフセット信号Vcnは変化しない。このため、本実施の形態に係る比較回路25Bを備えた2値化回路は、実施の形態1及び実施の形態2に比較して、安定して動作する。
実施の形態4.
図11は、本発明の実施の形態4に係る2値化回路20Aの比較回路25Cの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る2値化回路20Aは、図5の実施の形態2に係る2値化回路20Aに比較して、比較回路25Cを備えたことを特徴としている。以下、実施の形態2との相違点を説明する。
ここで、比較回路25Cは、クロック信号CL2の立ち上がりエッジのタイミングである第1のタイミングでスライス電圧Vslを出力する一方、クロック信号CL2の立ち下がりエッジのタイミングである第2のタイミング平均値信号Vavを出力するように切り換えるスイッチ64と、第1のタイミングで、スイッチ64から出力されるスライス電圧Vslをデジタルスライス電圧にアナログ/デジタル変換し、かつ第2のタイミングで、スイッチ64から出力される平均値信号Vavをデジタル平均値信号にアナログ/デジタル変換するアナログ/デジタル変換器と、デジタル平均値信号の信号電圧がデジタルスライス電圧より大きいときに、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧Vslより大きいことを示すカウントダウン信号Sdを発生する一方、デジタル平均値信号の信号電圧がデジタルスライス電圧より小さいときに、平均値信号Vabの信号電圧がスライス電圧Vslより小さいことを示すカウントアップ信号Suを発生する比較論理回路59とを備えたことを特徴としている。
図11において、比較回路25Cは、スイッチ64と、A/D変換器57と、Dフリップフロップ65−1,65−2,…,65−Nと、比較論理回路59と、分周器61と、遅延器62,63とを備えて構成される。
分周器61は、クロック信号発生器90からのクロック信号CLの周波数1/Δtを1/2倍して、周期2Δtで周期的に繰り返すパルス形状を有するクロック信号CL1を発生して、遅延器62、比較論理回路59及びカウンタ回路26Aに出力する。遅延器62は、入力されるクロック信号CL1を遅延時間Δt/2だけ遅延させてクロック信号CL2を発生して、遅延器63及びスイッチ64の制御端子に出力する。さらに、遅延器63は、入力されるクロック信号CL2を遅延時間Δt/2だけ遅延させてクロック信号CL3を発生して、Dフリップフロップ65−1,65−2,…,65−Nの各クロック入力端子に出力する。
スライス電圧発生器29からのスライス電圧Vslはスイッチ64の接点aに出力され、平均値演算回路24からの平均値信号Vavはスイッチ64の接点bに出力される。スイッチ64は、ハイレベルのクロック信号CL2に応答して接点aに切り換えられる一方、ローレベルのクロック信号CL2に応答して接点bに切り換えられる。
A/D変換器57は、スイッチ64から入力されるアナログ信号S64を、所定のサンプリング周波数で、N個の信号S57−n(n=1,2,…,N)を含むNビットのデジタル信号S57に変換する。ここで、A/D変換器57からの各出力信号の1ビット当たりの信号電圧ΔVadは、D/A変換器27(図5参照)のオフセット信号Vcnの変化量ΔVcnと等しい電圧値に設定される。A/D変換器57からの各信号S57−nは、比較論理回路59の各入力端子b−n及びDフリップフロップ65−nの各入力端子Dにそれぞれ出力される。さらに、各Dフリップフロップ65−nは、クロック信号CL3の各立ち上がりエッジのタイミングで、入力される信号S57−nの信号電圧を検出し、検出結果の出力信号S65−nを発生し、比較論理回路59の入力端子a−nに出力する。以下、記述の簡略化のために、A/D変換器57からの信号S57−1,S57−2,…,S57−Nを、A/D変換器57からの出力信号S57と総称する。また、比較論理回路59の入力端子a1,a2,…,aN及び入力端子b1,b2,…,bNを、それぞれ入力端子a及びbと総称する。さらに、Dフリップフロップ65−1,65−2,…,65−NをDフリップフロップ65と総称し、Dフリップフロップ65−1,65−2,…,65−Nからの出力信号S65−1,S65−2,…65−Nを、Dフリップフロップ65からの出力信号S65と総称する。
比較論理回路59は、クロック信号CL1の立ち上がりエッジのタイミングで、入力される信号S57の信号電圧と信号S65の信号電圧とを比較する。そして、信号S57の信号電圧が信号S65の信号電圧より小さいときにはハイレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生し、信号S57の信号電圧が信号S65の信号電圧より大きいときにはローレベルのカウントアップ信号Su及びハイレベルのカウントダウン信号Sdを発生し、信号S57の信号電圧と信号S65の信号電圧とが等しいときにはローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生し、カウンタ回路26Aに出力する。
カウンタ回路26Aは、クロック信号CL1の立ち上がりエッジの各タイミングで、カウントアップ信号Su及びカウントダウン信号Sdの各信号レベルを検出し、ハイレベルのカウントアップ信号Suに応答して所定のビット数のカウント値CNを1だけインクリメントする一方、ハイレベルのカウントダウン信号Sdに応答して所定のビット数のカウント値CNを1だけデクリメントする。また、カウントアップ信号Su及びカウントダウン信号Sdがそれぞれローレベルの時には、カウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。カウント値CNは、D/A変換器27に出力される。
図12は、図11の比較回路25Cを備えた2値化回路20Aの動作を示すタイミングチャートである。図12において、各タイミングt62,t66,t70,t74は、クロック信号CL1の立ち上がりエッジのタイミングである。また、各タイミングt61,t65,t69,t73はクロック信号CL2の立ち下がりエッジのタイミングであり、各タイミングt63,t67,t71,t75はクロック信号CL2の立ち上がりエッジのタイミングである。さらに、各タイミングt60,t64,t68,t72,t76は、クロック信号CL3立ち上がりエッジのタイミングである。
図12において、タイミングt60において、ハイレベルのクロック信号CL2に応答してスイッチ64は接点aに切り換えられており、スライス電圧Vslは、スイッチ64の接点aを介してA/D変換器57に出力され、デジタルスライス電圧信号S57に変換された後に、Dフリップフロップ65に出力されている。Dフリップフロップ65は、クロック信号CL3立ち上がりエッジのタイミングt60で、デジタルスライス電圧信号S57の信号電圧を検出して、検出結果の出力信号S65を発生して比較論理回路59の入力端子aに出力する。ここで、タイミングt60において、平均値信号Vavの信号電圧はVsl+3ΔVadである。
次に、タイミングt61において、ローレベルのクロック信号CL2に応答して、スイッチ64は接点bに切り換えられる。これにより、平均値信号Vavはスイッチ64の接点bを介してA/D変換器57に出力され、デジタルスライス電圧信号S57に変換された後に、比較論理回路59の入力端子bに出力される。
次に、タイミングt62において、比較論理回路59は、入力端子bを介して入力されるデジタルスライス電圧信号S57及び入力端子aを介して入力される信号S65の各信号電圧を比較する。すなわち、タイミングt62における、デジタル化された平均値信号Vavの信号電圧と、タイミングt60における、デジタル化されたスライス電圧Vslとが比較される。図12に示すように、タイミングt62における、デジタル化された平均値信号Vavの信号電圧は、タイミングt60における、デジタル化されたスライス電圧Vslより大きいので、ローレベルのカウントアップ信号Su及びハイレベルのカウントダウン信号Sdが発生されて、カウンタ回路26Aに出力される。これに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNを1だけデクリメントする。従って、タイミングt62において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcn(=ΔVad)だけ減少する。その結果、平均値信号Vavの信号電圧も変化量ΔVcnだけ減少し、Vsl+2ΔVadになる。
次に、タイミングt63において、ハイレベルのクロック信号CL2に応答して、スイッチ64は接点aに切り換えられ、スライス電圧Vslは、スイッチ64の接点aを介してA/D変換器57に出力され、デジタルスライス電圧信号S57に変換された後に、Dフリップフロップ65に出力される。
さらに、タイミングt64において、タイミングt60と同様に、Dフリップフロップ65は、入力されるデジタルスライス電圧信号S57の信号電圧を検出して、検出結果の出力信号S65を発生して比較論理回路59の入力端子aに出力する。
そして、タイミングt65において、タイミングt61と同様に、ローレベルのクロック信号CL2に応答して、スイッチ64は接点bに切り換えられる。これにより、平均値信号Vavはスイッチ64の接点bを介してA/D変換器57に出力され、デジタル信号S57に変換された後に、比較論理回路59の入力端子bに出力される。
タイミングt66において、タイミングt62と同様に、比較論理回路59は、入力端子bを介して入力されるデジタル信号S57及び入力端子aを介して入力される信号S65の各信号電圧を比較する。すなわち、タイミングt66における、デジタル化された平均値信号Vavの信号電圧と、タイミングt64における、デジタル化されたスライス電圧Vslとが比較される。図12に示すように、タイミングt66における、デジタル化された平均値信号Vavの信号電圧は、タイミングt64における、デジタル化されたスライス電圧Vslより大きいので、ローレベルのカウントアップ信号Su及びハイレベルのカウントダウン信号Sdが発生されて、カウンタ回路26Aに出力される。これに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNを1だけデクリメントする。従って、タイミングt66において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcn(=ΔVad)だけ減少する。その結果、平均値信号Vavの信号電圧も変化量ΔVcnだけ減少し、Vsl+ΔVadになる。
以下同様に、タイミングt70において、タイミングt70における、デジタル化された平均値信号Vavの信号電圧と、タイミングt68における、デジタル化されたスライス電圧Vslとが比較される。図12に示すように、タイミングt70における、デジタル化された平均値信号Vavの信号電圧は、タイミングt68における、デジタル化されたスライス電圧Vslより大きいので、ローレベルのカウントアップ信号Su及びハイレベルのカウントダウン信号Sdが発生されて、カウンタ回路26Aに出力される。これに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNを1だけデクリメントする。従って、タイミングt70において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化量ΔVcn(=ΔVad)だけ減少する。その結果、平均値信号Vavの信号電圧も変化量ΔVcnだけ減少し、スライス電圧Vslと等しくなる。
さらに、タイミングt74において、タイミングt74における、デジタル化された平均値信号Vavの信号電圧と、タイミングt72における、デジタル化されたスライス電圧Vslとが比較される。図12に示すように、タイミングt74における、デジタル化された平均値信号Vavの信号電圧は、タイミングt72における、デジタル化されたスライス電圧Vslと等しいので、ローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdが発生されて、カウンタ回路26Aに出力される。これに応答して、カウンタ回路26Aは、カウント値CNをインクリメント及びデクリメントしない。従って、タイミングt74において、オフセット信号Vcnの信号電圧は変化せず。その結果、平均値信号Vavの信号電圧もスライス電圧Vslのまま変化しない。
本実施の形態によれば、スライス電圧発生器22からのスライス電圧VslをA/D変換器57を用いてA/D変換したデジタルスライス電圧信号S57の信号電圧と、平均値演算回路24からの平均値信号VavをA/D変換器57を用いてA/D変換したデデジタル平均値信号S58の信号電圧とを比較して、デジタルスライス電圧信号S57及びデジタル平均値信号S58の各信号電圧が互いに等しいときにはローレベルのカウントアップ信号Su及びローレベルのカウントダウン信号Sdを発生してカウンタ回路26Aに出力する。従って、スライス電圧Vslと平均値信号Vavの信号電圧の差の大きさが、A/D変換器57,58からの各出力信号の1ビット当たりの信号電圧ΔVadよりも小さいときには、カウンタ回路26Aはカウント値CNをインクリメント又はデクリメントせず、オフセット信号Vcnは変化しない。このため、スライス電圧Vslの時間的な変動の周期がクロック信号CLの周期Δtに比較して十分に長いときには、本実施の形態に係る比較回路25Bを備えた2値化回路は、実施の形態1及び実施の形態2に比較して、安定して動作する。
さらに、スライス電圧Vsl及び平均値信号Vavを、1つのA/D変換器57をもちいて、交互にデジタル信号に変換するので、実施の形態3に係る比較回路25Bに比較して、A/D変換器の数を1だけ少なくできるので、2値化回路20A及び回転検出装置10Aの各回路規模を小さくできる。
実施の形態5.
図13は、本発明の実施の形態5に係る回転検出装置10Bの構成を示すブロック図である。また、図14は、図13の2値化回路20Bの動作を示すタイミングチャートである。
ここで、回転検出装置10Bは、歯車1の回転を検出して検出信号Vdeを発生する回転検出回路30と、検出信号Vdeの平均値を示す平均値信号Vavを発生する平均値信号発生回路2と、入力されるスライス電圧VslAを平均値信号Vavの信号電圧と比較し、当該スライス電圧VslAが平均値信号Vavの信号電圧より大きいときには当該スライス電圧VslAを減少させて出力する一方、当該スライス電圧VslAが平均値信号Vavの信号電圧より小さいときには当該スライス電圧VslAを増加させて出力するスライス電圧発生回路4と、検出信号Vdeをスライス電圧発生回路4からのスライス電圧VslAと比較することにより、検出信号Vdeを2値化して出力するコンパレータ28とを備えたことを特徴としている。
また、スライス電圧発生回路4は、スライス電圧VslAを平均値信号Vavの信号電圧と比較し、比較結果を示す比較結果信号S51Aを発生するコンパレータ51Aと、比較結果信号S51Aに基づいて、スライス電圧VslAが平均値信号Vavの信号電圧より大きいときにはカウント値CNを1だけデクリメントする一方、スライス電圧VslAが平均値信号Vavの信号電圧より小さいときにはカウント値CNを1だけインクリメントして、カウント値CNを出力するカウンタ回路26と、カウント値CNをスライス電圧VslAにデジタル/アナログ変換して、コンパレータ28,51Aに出力するデジタル/アナログ変換器27とを備えたことを特徴としている。
図13において、回転検出装置10Bは、図1の歯車1の回転を検出して検出信号Vdeを発生して出力する回転検出回路30と、検出信号Vdeを2値化して2値化信号Vbiとして出力する2値化回路20Bとを備えて構成される。回転検出回路30は、実施の形態1と同様に正弦波信号成分を含む検出信号Vdを発生して、2値化回路20Bに出力する。
図13において、2値化回路20Bは、平均値信号発生回路2と、スライス電圧発生回路4と、コンパレータ28と、クロック信号発生器90とを備えて構成される。ここで、平均値信号発生回路2は、ピークホールド回路22と、ボトムホールド回路23と、平均値演算回路24とを備える。また、スライス電圧発生回路4は、コンパレータ51Aと、カウンタ回路26と、D/A変換器27とを備える。
図13において、クロック信号発生器90は、所定の周期Δtで周期的に繰り返すパルス形状を有するクロック信号CLを発生して、ピークホールド回路22、ボトムホールド回路23及びカウンタ回路26に出力する。
また、図13において、回転検出回路30からの検出信号Vdeは、コンパレータ28の反転入力端子と、ピークホールド回路22と、ボトムホールド回路23とに出力される。ピークホールド回路22は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでリセットされ、検出信号Vdeの最大値を検出して、検出結果の最大値信号Vpを平均値演算回路24に出力する。一方、ボトムホールド回路23は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでリセットされ、検出信号Vdeの最小値を検出して、検出結果の最小値信号Vbを平均値演算回路24に出力する。平均値演算回路24は、最大値信号Vpと最小値信号Vbの平均値を算出することにより平均値信号Vavを発生して、コンパレータ51Aの非反転入力端子に出力する。
さらに、図13において、D/A変換器27からの出力信号は、スライス電圧VslAとして、コンパレータ28の非反転入力端子及びコンパレータ51Aの反転入力端子に出力される。コンパレータ51Aは、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧VslAとを比較し、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧VslAよりも大きいときにはハイレベルの比較結果信号S51Aを発生してカウンタ回路26に出力する一方、平均値信号Vavの信号電圧がスライス電圧VslAよりも小さいときにはローレベルの比較結果信号S51Aを発生してカウンタ回路26に出力する。
カウンタ回路26は、クロック信号CLの各立ち上がりエッジのタイミングでコンパレータ51Aの比較結果信号S51Aの信号レベルを検出し、ハイレベルの比較結果信号S51Aに応答して所定のビット数のカウント値CNを1だけインクリメントする一方、ローレベルの比較結果信号S51Aに応答してカウント値CNを1だけデクリメントし、カウント値CNをD/A変換器27に出力する。D/A変換器27は、入力されるカウント値CNを、所定の出力電圧範囲を有するアナログ出力信号VslAにD/A変換する。ここで、カウント値CNが1ビットだけ変化したときのアナログ出力信号VslAの変化量ΔVdaは、D/A変換器27の出力電圧範囲をカウント値CNのビット数で除した電圧値を有する。
コンパレータ28は、検出信号Vdeの信号電圧とスライス電圧VslAとを比較し、検出信号Vdeの信号電圧がスライス電圧VslAよりも大きいときにはローレベルの2値化信号Vbiを発生して出力する一方、検出信号Vdeの信号電圧がスライス電圧VslAよりも小さいときにはハイレベルの2値化信号Vbiを発生して出力する。
次に、図14を参照して、以上のように構成された2値化回路20Bの動作を説明する。図14において、クロック信号CLの立ち上がりエッジのタイミングt80で、ピークホールド回路22及びボトムホールド回路23はそれぞれリセットされる。そして、ピークホールド回路22は、検出信号Vdeの最大値の検出を開始して、最大値信号Vpを発生して平均値演算回路24に出力する。また、ボトムホールド回路23は、検出信号Vdeの最小値の検出を開始し、最小値信号Vbを発生して平均値演算回路24に出力する。タイミングt82から、クロック信号のCLの次の立ち上がりエッジのタイミングt86までの期間において、スライス電圧VslAは平均値信号Vavの信号電圧よりも小さいので、コンパレータ51Aはハイレベルの比較結果信号S51Aを発生してカウンタ回路26に出力する。また、2値化信号Vbiのハイレベルの各期間t80−t81,t82−t83,t84−t85の各長さは、ローレベルの各期間t81−t82,t83−t84,t85−t86の各長さよりも短い。すなわち、タイミングt80からタイミングt86までの期間において、デューティ比が50%より小さい2値化信号Vbiが発生される。
次に、タイミングt86において、カウンタ回路26は、ハイレベルの比較結果信号S51Aに応答して、カウント値CNを1だけインクリメントして、当該カウント値CNをD/A変換器27に出力する。これに応答して、D/A変換器27の出力信号VslAの信号電圧は、変化量ΔVdaだけ減少する。その結果、図14に示すように、タイミングt88からクロック信号のCLの次の立ち上がりエッジのタイミングt92までの期間において、スライス電圧VslAは平均値信号Vavの信号電圧と等しくなり、2値化信号Vbiのハイレベルの各期間t86−t87,t88−t89,t90−t91の各長さは、ローレベルの各期間t87−t88,t89−t90,t91−t92の各長さと等しくなる。すなわち、タイミングt86からタイミングt92までの期間において、デューティ比が50%である2値化信号Vbiが発生される。さらに、タイミングt86において、ピークホールド回路22及びボトムホールド回路23はそれぞれリセットされ、検出信号Vdeの最大値及び最小値の検出をそれぞれ開始する。
本実施の形態に係る2値化回路20B及び回転検出装置10Bによれば、クロック信号CLの周期Δt毎に、回転検出回路30からの検出信号Vdeの時間期間Δtにおける平均値を算出して平均値信号Vavを発生し、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧VslAとを比較し、当該比較結果に基づいて、当該平均値信号Vavの信号電圧に等しくなるようにスライス電圧VslAを変化させる。従って、デジタルデータを含まない検出信号Vdeを、従来技術に比較して正確に2値化して2値化信号Vbiを発生できる。また、環境温度の変化などによって検出信号Vdeの電圧レベルが変動しても、デューティ比が50%である2値化信号Vbiを、従来技術に比較して確実に発生できる。また、スライス電圧VslAは、平均値信号Vavとスライス電圧VslAとの差の大きさに関わらず、時間期間Δt毎に所定の変化量ΔVdaだけしか変化しない。従って、検出信号Vdeにスパイクノイズのような比較的短周期で大振幅のノイズが重畳しても、スライス電圧VslAは当該スパイクノイズの振幅よりも小さい変化量ΔVdaしか変動せず、従来技術に比較して確実に2値化信号Vbiを発生できる。また、平均値信号Vavの信号電圧とスライス電圧VslAとの比較結果に基づいてスライス電圧VslAの信号電圧を変化させるので、検出信号Vdeの信号レベル及び周波数が変化しても、従来技術に比較して確実に2値化信号Vbiを発生できる。
なお、ピークホールド回路22,ボトムホールド回路23及びカウンタ回路26に入力されるクロック信号CLの周期Δtは、検出信号Vdeの周期に比較して十分長い周期に設定される。好ましくは、クロック信号CLの周期Δtは検出信号Vdeの周期の3倍に設定される。
本実施の形態において、コンパレータ51A及びカウンタ回路26に代えて、実施の形態2の比較回路25A(図6)及びカウンタ回路26Aを用いてもよい。このとき、平均値信号Vavは比較回路25Aのコンパレータ51の非反転入力端子に出力され、スライス電圧VslAはコンパレータ51の反転入力端子に出力される。
また、本実施の形態において、コンパレータ51A及びカウンタ回路26に代えて、実施の形態3の比較回路25B(図9)及びカウンタ回路26Aを用いてもよい。このとき、平均値信号Vavは比較回路25AのA/D変換器57に出力され、スライス電圧VslAは比較回路25AのA/D変換器58に出力される。
さらに、本実施の形態において、コンパレータ51A及びカウンタ回路26に代えて、実施の形態4の比較回路25C(図11)及びカウンタ回路26Aを用いてもよい。このとき、平均値信号Vavはスイッチ64の接点aに出力され、スライス電圧VslAはスイッチ64の接点bに出力される。
実施の形態6.
図15は、本発明の実施の形態6に係る回転検出装置10Cの磁気抵抗効果素子ユニット39A及び磁石40と歯車1とを示す斜視図であり、図16は、本発明の実施の形態6に係る回転検出装置10Cの構成を示すブロック図である。また、図17は、図15の歯車1が一定の回転速度で回転しているときの図16の2値化回路20Cの動作を示すタイミングチャートであり、図18は、図15の歯車1の回転数が減少しているときの図16の2値化回路20Cの動作を示すタイミングチャートである。さらに、図19は、図16のレベル比較回路105におけるカウント値C1,C2,C3の比較結果とカウントアップ信号SuA,カウントダウン信号SdA,歯車1の状態,2値化信号Vbi及びスライス電圧VslBとの関係を示す表である。
ここで、詳細後述するように、回転検出装置10Cは、歯車1の回転を検出して検出信号VdeAを発生する回転検出回路30Aからの検出信号VdeAとスライス電圧VslBとを比較することにより、検出信号VdeAを2値化してハイレベルである第1のレベル又はローレベルである第2のレベルを有する2値化信号Vbiとして出力するコンパレータ101と、第1のレベルを有する2値化信号Vbiの第1の期間の第1の期間長と、第1の期間に連続しかつ第2のレベルを有する2値化信号Vbiの第2の期間の第2の期間長と、第2の期間に連続しかつ第1のレベルを有する2値化信号Vbiの第3の期間の第3の期間長とを検出するハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160と、検出された第1乃至第3の期間長を互いに比較し、(a)検出された第1の期間長が検出された第2の期間長より長くかつ検出された第2の期間長が検出された第3の期間長より長いとき、もしくは(b)検出された第1の期間長が検出された第2の期間長より短くかつ検出された第2の期間長が検出された第3の期間長より短いときには、スライス電圧VslBの信号電圧を変化させないようにスライス電圧VslBを発生してコンパレータ101に出力し、(c)検出された第1の期間長が検出された第2の期間長より長くかつ検出された第2の期間長が検出された第3の期間長より短いときには、スライス電圧VslBの信号電圧を増加させるようにスライス電圧VslBを発生してコンパレータ101に出力し、(d)検出された第1の期間長が上記検出された第2の期間長より短くかつ検出された第2の期間長が検出された第3の期間長より長いときには、スライス電圧VslBの信号電圧を減少させるようにスライス電圧VslBを発生してコンパレータ101に出力するスライス電圧発生回路4Aとを備えたことを特徴としている。
図15において、磁性材料にてなる歯車1は、自動車のエンジンのクランクシャフト軸などに設けられ、回転軸1Aに対して回転方向1Rに回転している。歯車1の回転軸1Aの方向に着磁された磁石40は、歯車1に対向しかつ歯車1との間に所定の間隔を有するように配置され、バイアス磁界を発生して磁気抵抗効果素子ユニット39Aに印加する。磁気抵抗効果素子ユニット39Aは、歯車1と対向しかつ磁石40及び歯車1との間に所定の間隔をそれぞれ有するように配置される。磁気抵抗効果素子ユニット39Aの表面には、歯車1の回転方向1Rに沿って所定の間隔を有するように磁気抵抗効果素子301及び302並びに磁気抵抗効果素子303,304が配置される。
図16において、回転検出装置10Cは、図1の歯車1の回転を検出してセンサ信号VdeAを発生して出力する回転検出回路30Aと、センサ信号VdeAを2値化して2値化信号Vbiを出力する2値化回路20Cとを備えて構成される。
図16において、回転検出回路30Aは、磁気抵抗効果素子ユニット39Aと差動バッファ回路305とを備えて構成される。ここで、磁気抵抗効果素子ユニット39Aは、磁気抵抗効果素子301,302,303,304を備えたブリッジ回路を備える。磁気抵抗効果素子301及び302は、接続点305を介して直列接続され、接続点305は差動バッファ回路305の第1の入力端子に接続される。また、磁気抵抗効果素子303及び304は、接続点306を介して直列接続され、接続点306は差動バッファ回路305の第2の入力端子に接続される。さらに、差動バッファ回路305からの出力信号は、センサ信号VdeAとして、2値化回路20Cのコンパレータ101の非反転入力端子に出力される。
図16において、歯車1が回転すると、歯車1の歯の部分と谷の部分が交互に磁気抵抗効果素子ユニット39Aに対向するので、当該磁気抵抗効果素子ユニット39Aに印加されるバイアス磁界が変化し、これに応答して、磁気抵抗効果素子301,302,303,304の各抵抗値が変化する。磁気抵抗効果素子301,302,303,304の各抵抗値の変化に応答して、回転検出回路30Aは、歯車1の回転数と歯車1の山又は谷の数とを乗じた値の周波数を有する正弦波信号成分を含むセンサ信号VdeAを発生して、2値化回路20Cに出力する。
図16において、2値化回路20Cは、コンパレータ101と、ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160と、スライス電圧発生回路4Aとを備えて構成される。ここで、ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160は、エッジ検出回路102と、カウンタ回路103と、クロック信号発生器90と、記憶回路140とを備えて構成される。また、エッジ検出回路102は、立ち上がりエッジ検出回路111と、立ち下がりエッジ検出回路112と、オアゲート113とを備え、記憶回路104は記憶回路104aと記憶回路104bとを備える。また、スライス電圧発生回路4Aは、レベル比較回路105と、アップダウンカウンタ回路106と、D/A変換器107とを備える。
図16において、歯車1の回転に伴って、コンパレータ101の非反転入力端子に正弦波状のセンサ信号VdeAが入力され、コンパレータ101は、センサ信号VdeAの電圧がスライス電圧VslBよりも大きいときにはハイレベルの2値化信号Vbiを発生する一方、センサ信号VdeAの電圧がスライス電圧VslBよりも小さいときにはローレベルの2値化信号Vbiを発生する。2値化信号Vbiは、2値化回路20Cの外部に出力されるとともに、立ち上がりエッジ検出回路111及び立ち下がりエッジ検出回路112に出力される。ここで、出力される2値化信号Vbiの繰り返し周波数は、入力されるセンサ信号VdeAの繰り返し周波数と同じである。立ち上がりエッジ検出回路111は、入力される2値化信号Vbiの各立ち上がりエッジのタイミングで立ち上がるパルス信号S111を発生してオアゲート113の第1の入力端子に出力し、立ち下がりエッジ検出回路112は、入力される2値化信号Vbiの各立ち下がりエッジのタイミングで立ち上がるパルス信号S112を発生してオアゲート113の第2の入力端子及びレベル比較回路105に出力する。オアゲート113は、立ち下がりエッジ検出回路111及び立ち下がりエッジ検出回路112からの各パルス信号S111及びS112に基づいて、2値化信号Vbiの立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジの各タイミングで立ち上がるリセットパルス信号S113を発生して、カウンタ回路103、記憶回路104a及び記憶回路104bに出力する。
カウンタ回路103は、クロック信号発生器90からのクロック信号CLのクロックパルスをカウントし、当該カウント結果のカウント値をオアゲート113からのリセットパルス信号S113の各立ち上がりエッジのタイミングでリセットするとともにリセット時のカウント値をカウント値C1として記憶回路104a及びレベル比較回路105に出力する。これにより、オアゲート113は、リセットパルス信号S113の各立ち上がりエッジのタイミングで、2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応するカウント値C1とローレベルの期間の長さに対応するカウント値C1とを交互に出力する。また、記憶回路104aは、カウンタ回路103からのカウント値C1を格納するとともに、リセットパルス信号S113の各立ち上がりエッジのタイミングで、格納されたカウント値C1をカウント値C2として記憶回路104b及びレベル比較回路105に出力する。さらに、記憶回路104aは、記憶回路104aからのカウント値C2を格納するとともに、リセットパルス信号S113の各立ち上がりエッジのタイミングで、格納されたカウント値C2をカウント値C3としてレベル比較回路105に出力する。
レベル比較回路105は、図19を参照して詳細後述するように、入力されるカウント値C1,C2及びC3に基づいて、カウントアップ信号SuA及びカウントダウン信号SdAを発生する。さらに、レベル比較回路105は、立ち下がりエッジ検出回路112からのパルス信号S112に基づいて、パルス信号S112の2つのパルス毎に立ち上がるパルス信号を発生し、当該発生されたパルス信号の各立ち上がりエッジのタイミングでカウントアップ信号SuA及びカウントダウン信号SdAをアップダウンカウンタ回路106に出力する。アップダウンカウンタ回路106は、ハイレベルのカウントアップ信号SuAに応答して所定のビット数のカウント値C106を1だけインクリメントする一方、ハイレベルのカウントダウン信号SdAに応答してカウント値C106を1だけデクリメントする。また、カウントアップ信号SuA及びカウントダウン信号SdAがそれぞれローレベルの時には、カウント値C106をインクリメント及びデクリメントしない。カウント値C106はD/A変換器107に出力され、D/A変換器107は、入力されるカウント値C106を、所定の出力電圧範囲を有するアナログ信号にD/A変換して、スライス電圧VslBとしてコンパレータ101の反転入力端子に出力する。ここで、カウント値C106が1だけ変化したときのスライス電圧VslBの変化量ΔVslBは、D/A変換器107の出力電圧範囲をカウント値C106のビット数で除した電圧値を有する。
図19において、歯車1の回転速度の変化に応じて、以下のようにスライス電圧VslBが発生される。
(1)歯車1が減速中であるとき(以下、第1のケースという。)。
このとき、カウント値C1はカウント値C2よりも大きく、かつ、カウント値C2がカウント値C3よりも大きくなる。これに応答して、レベル比較回路105は、ローレベルのカウントアップ信号SuA及びローレベルのカウントダウン信号SdAを発生して、アップダウンカウンタ回路106に出力する。これに応答して、アップダウンカウンタ回路106はカウント値C106をインクリメントもデクリメントもせずにD/A変換器107に出力し、D/A変換器107は、スライス電圧VslBのレベルを固定して変化させずにコンパレータ101の反転入力端子に出力する。
(2)歯車1が一定の回転速度で回転中であり、2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さがハイレベルの期間の長さよりも短いとき(以下、第2のケースという。)。
このとき、カウント値C1はカウント値C2よりも大きく、かつ、カウント値C2がカウント値C3よりも小さくなる。これに応答して、レベル比較回路105は、ハイレベルのカウントアップ信号SuA及びローレベルのカウントダウン信号SdAを発生して、アップダウンカウンタ回路106に出力する。これに応答して、アップダウンカウンタ回路106はカウント値C106を1だけインクリメントしてD/A変換器107に出力し、D/A変換器107は、スライス電圧VslBのレベルを変化量ΔVslBだけ上げてコンパレータ101の反転入力端子に出力する。
(3)歯車1が一定の回転速度で回転中であり、2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さがハイレベルの期間の長さよりも長いとき(以下、第3のケースという。)。
このとき、カウント値C1はカウント値C2よりも小さく、かつ、カウント値C2がカウント値C3よりも大きくなる。これに応答して、レベル比較回路105は、ローレベルのカウントアップ信号SuA及びハイレベルのカウントダウン信号SdAを発生して、アップダウンカウンタ回路106に出力する。これに応答して、アップダウンカウンタ回路106はカウント値C106を1だけデクリメントしてD/A変換器107に出力し、D/A変換器107は、スライス電圧VslBのレベルを変化量ΔVslBだけ下げてコンパレータ101の反転入力端子に出力する。
(4)歯車1が加速中であるとき(以下、第4のケースという。)。
このとき、カウント値C1はカウント値C2よりも小さく、かつ、カウント値C2がカウント値C3よりも小さくなる。これに応答して、レベル比較回路105は、ローレベルのカウントアップ信号SuA及びローレベルのカウントダウン信号SdAを発生して、アップダウンカウンタ回路106に出力する。これに応答して、アップダウンカウンタ回路106はカウント値C106をインクリメントもデクリメントもせずにD/A変換器107に出力し、D/A変換器107は、スライス電圧VslBのレベルを固定して変化させずにコンパレータ101の反転入力端子に出力する。
次に、図17を参照して、歯車1が一定の回転速度で回転しているときの図16の2値化回路20Cの動作を説明する。図17において、立ち上がりエッジ検出回路111は、2値化信号Vbiの各立ち上がりエッジのタイミングT1,T3,…,T15,…において立ち上がるパルス信号S111を発生してオアゲート113の第1の入力端子に出力し、立ち下がりエッジ検出回路112は、2値化信号Vbiの各立ち下がりエッジのタイミングT0,T2,…,T16,…において立ち上がるパルス信号S112を発生してオアゲート113の第2の入力端子及びレベル比較回路105に出力する。これに応答して、オアゲート113は、2値化信号Vbiの各立ち上がりエッジのタイミングT1,T3,…,T15,…及び各立ち下がりエッジのタイミングT0,T2,…,T16,…において立ち上がるリセットパルス信号S113を発生してカウンタ回路103及び記憶回路104a,104bに出力する。
カウンタ回路103は、タイミングT1でカウント値をリセットし、タイミングT1からタイミングT2までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間(図17の第3の期間)に、クロック信号発生器90からのクロック信号CLのクロックパルスをカウントすることにより上記ハイレベルの期間の長さを検出し、タイミングT2において上記ハイレベルの期間の長さに対応するカウント値m2を記憶回路104aに格納するとともにレベル比較回路105に出力し、カウンタ回路103のカウント値をリセットする。また、記憶回路104aは、タイミングT2において、タイミングT0からタイミングT1までの2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さに対応するカウント値n1を記憶回路104bに格納するとともにレベル比較回路105に出力する。さらに、記憶回路104bは、タイミングT2において、タイミングT0までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応するカウント値m1をレベル比較回路105に出力する。
次に、カウンタ回路103は、タイミングT2からタイミングT3までの2値化信号Vbiのローレベルの期間(図17の第2の期間)に、クロック信号CLのクロックパルスをカウントすることにより上記ローレベルの期間の長さを検出し、タイミングT3において上記ローレベルの期間の長さに対応するカウント値n2を記憶回路104aに格納するとともにレベル比較回路105に出力し、カウンタ回路103のカウント値をリセットする。また、記憶回路104aは、タイミングT3において、タイミングT1からタイミングT2までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応するカウント値m2を記憶回路104bに格納するとともにレベル比較回路105に出力する。さらに、記憶回路104bは、タイミングT3において、タイミングT0からタイミングT1までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応するカウント値n1をレベル比較回路105に出力する。
以下同様に、タイミングT4において、タイミングT3からタイミングT4までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間(図17の第1の期間)の長さに対応するカウント値m3を記憶回路104aに格納するとともに、タイミングT2からタイミングT3までの2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さに対応するカウント値n2を記憶回路104bに格納する。
レベル比較回路105では、カウント値C1,C2,C3に基づいてカウントアップ信号SuA及びカウントダウン信号SdAを発生し、2値化信号Vbiの2つの立ち下がりエッジのタイミングT0,T4,T8,T12,…毎にアップダウンカウンタ回路106に出力する。例えば、タイミングT4においてカウント値C1,C2,C3はそれぞれm3,n2,m2であり、m3>n2かつn2<m2であるので(図19の第2のケースである。)、スライス電圧VslBのレベルは変化量ΔVslBだけ上がる。以下、同様に、各タイミングT4,T8,T12において、スライス電圧VslBのレベルは変化量ΔVslBだけ上がる。
次に、図18を参照して、歯車1の回転速度が減少しているときの図16の2値化回路20Cの動作を説明する。図18において、立ち上がりエッジ検出回路111は、2値化信号Vbiの各立ち上がりエッジのタイミングT21,T23,T25,T27,…において立ち上がるパルス信号S111を発生してオアゲート113の第1の入力端子に出力し、立ち下がりエッジ検出回路112は、2値化信号Vbiの各立ち下がりエッジのタイミングT20,T22,T24,T26,T28,…において立ち上がるパルス信号S112を発生してオアゲート113の第2の入力端子及びレベル比較回路105に出力する。これに応答して、オアゲート113は、2値化信号Vbiの各立ち上がりエッジのタイミングT21,T23,T25,T27,…及び各立ち下がりエッジのタイミングT20,T22,T24,T26,T28,…において立ち上がるリセットパルス信号S113を発生してカウンタ回路103及び記憶回路104a,104bに出力する。
カウンタ回路103は、タイミングT21でカウント値をリセットし、タイミングT21からタイミングT22までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間(図18の第3の期間)に、クロック信号発生器90からのクロック信号CLのクロックパルスをカウントすることにより上記ハイレベルの期間の長さを検出し、タイミングT22において上記ハイレベルの期間の長さに対応するカウント値m2を記憶回路104aに格納するとともにレベル比較回路105に出力し、カウンタ回路103のカウント値をリセットする。また、記憶回路104aは、タイミングT22において、タイミングT20からタイミングT21までの2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さに対応するカウント値n1を記憶回路104bに格納するするとともにレベル比較回路105に出力する。さらに、記憶回路104bは、タイミングT22において、タイミングT20までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応するカウント値m1をレベル比較回路105に出力する。
次に、カウンタ回路103は、タイミングT22からタイミングT23までの2値化信号Vbiのローレベルの期間(図18の第2の期間)に、クロック信号CLのクロックパルスをカウントすることにより上記ローレベルの期間の長さを検出し、タイミングT23において上記ローレベルの期間の長さに対応するカウント値n2を記憶回路104aに格納するとともにレベル比較回路105に出力し、カウンタ回路103のカウント値をリセットする。また、記憶回路104aは、タイミングT23において、タイミングT21からタイミングT22までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応するカウント値m2を記憶回路104bに格納するするとともにレベル比較回路105に出力する。さらに、記憶回路104bは、タイミングT23において、タイミングT20からタイミングT21までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応するカウント値n1をレベル比較回路105に出力する。
以下同様に、タイミングT24において、タイミングT23からタイミングT24までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間(図18の第1の期間)の長さに対応するカウント値m3を記憶回路104aに格納するとともに、タイミングT22からタイミングT23までの2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さに対応するカウント値n2を記憶回路104bに格納する。
レベル比較回路105では、カウント値C1,C2,C3に基づいてカウントアップ信号SuA及びカウントダウン信号SdAを発生し、2値化信号Vbiの2つの立ち下がりエッジのタイミングT20,T24,T28,…毎にアップダウンカウンタ回路106に出力する。例えば、タイミングT24においてカウント値C1,C2,C3はそれぞれm3,n2,m2であり、m3>n2かつn2>m2であるので(図19の第1のケースである。)、スライス電圧VslBのレベルは固定されて変化しない。以下、同様に、各タイミングT24,T28において、スライス電圧VslBのレベルは固定されて変化しない。
以上詳述したように、スライス電圧発生回路4Aは、2値化信号Vbiの第1乃至第3の期間(図17及び図18参照。)の第1乃至第3の期間長にそれぞれ対応するカウント値C1,C2,C3を互いに比較し、(a)カウント値C1がカウント値C2より大きくかつカウント値C2がカウント値C3より大きいとき(図19のケース番号1)、もしくは(b)カウント値C1がカウント値C2より小さくかつカウント値C2がカウント値C3より小さいとき(図19のケース番号4)には、スライス電圧VslBの信号電圧を変化させないようにスライス電圧VslBを発生してコンパレータ101に出力し、(c)カウント値C1がカウント値C2より大きくかつカウント値C2がカウント値C3より小さいとき(図19のケース番号2)には、スライス電圧VslBの信号電圧を増加させるようにスライス電圧VslBを発生してコンパレータ101に出力し、(d)カウント値C1がカウント値C2より小さくかつカウント値C2がカウント値C3より大きいときには、スライス電圧VslBの信号電圧を減少させるようにスライス電圧VslBを発生してコンパレータ101に出力する。従って、本実施の形態によれば、検出信号VdeAの周波数が変化せず2値化信号Vbiの繰り返し周波数が変化しないときには、検出信号VdAの信号レベルが変動してもデューティ比が50%の2値化信号Vbiを従来技術に比較して確実に発生できる。さらに、検出信号VdeAの周波数が増加又は減少して2値化信号Vbiの繰り返し周波数が増加又は減少していることをカウント値C1,C2,C3に基づいて検出して2値化信号Vbiの繰り返し周波数が増加又は減少しているときにはスライス電圧VslBを変化させないので、従来技術に比較して確実に検出信号をVdeAを2値化でき、誤作動しない。
なお、実施の形態6において、図17及び図18の第1の期間及び第3の期間はそれぞれ2値化信号Vbiがハイレベルである期間でありかつ第2の期間は2値化信号Vbiがローレベルである期間であったが、本発明はこれに限られず、第1の期間及び第3の期間において2値化信号Vbiがローレベルでありかつ第2の期間において2値化信号Vbiがハイレベルであってもよい。
実施の形態7.
図20は、本発明の実施の形態7に係る回転検出装置10Dの構成を示すブロック図であり、図21は、図20のカウント値判別回路152の動作を示すグラフであり、2値化信号Vbiの1周期の長さとカウント値C151との関係を示すグラフである。
実施の形態7に係る回転検出装置10Dの2値化回路20Dは、実施の形態6に係る回転検出装置10Cの2値化回路20Cに比較して、ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160に代えてハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160Aを備える。ここで、ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160Aは、ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160に比較して、クロック信号発生器90に代えて、セレクタ153とカウント値判定回路152と加算器151とを備えたクロック切換回路150と、クロック信号発生器90Aとを備える。
本実施の形態に係る回転検出装置10Dにおいて、ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160Aは、2値化信号Vbiの各立ち上がりエッジ及び各立ち下がりエッジを検出し、上記検出された各立ち上がりエッジ及び各立ち下がりエッジのタイミングを示すリセットパルス信号S113を発生して出力するエッジ検出回路102と、入力されるクロック信号C150をカウントし上記カウントされたカウント値C1をリセットパルス信号S113でリセットすることにより、2値化信号Vbiの第1乃至第3の期間(図17及び図18参照。)の各長さをそれぞれ示す第1乃至第3のカウント値C1,C2,C3を発生して出力するカウンタ回路103と、カウンタ回路103からのカウント値C1及びC2を加算して出力する加算器151と、互いに異なる周波数を有する複数のクロック信号CLd1〜CLdMのうちの1つのクロック信号C150を選択してカウンタ回路103に出力するセレクタ153と、加算器151からの加算結果のカウント値C151をカウント値Ctlとカウント値Cthとの間の値にするように、複数のクロック信号CLd1〜CLdMのうちの1つのクロック信号を選択し、上記選択されたクロック信号を選択するようにセレクタ手段153を制御するカウント値判定回路152とを備えたことを特徴としている。
図20において、クロック信号発生器90Aは、互いに異なる周波数をそれぞれ有する複数M個のクロック信号CLd1,CLd2,…,CLdMを発生してセレクタ153に出力する。一方、加算器151は、カウンタ回路103からのカウント値C1と記憶回路104aからのカウント値C2とを加算し、加算結果のカウント値C151をカウント値判定回路152に出力する。ここで、カウント値C1が2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応しているときにはカウント値C2は2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さに対応しており、カウント値C1が2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さに対応しているときにはカウント値C2は2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応しているので、カウント値C1及びC2を加算して得られるカウント値C151は、カウント値C1及びC2が加算器151に入力されるタイミングの直前の2値化信号Vbiの1周期の長さに対応している。例えば、図17のタイミングT2では、カウント値C1(=m2)はタイミングT1からタイミングT2までの2値化信号Vbiのハイレベルの期間の長さに対応しており、カウント値C2(=n1)はタイミングT0からタイミングT1までの2値化信号Vbiのローレベルの期間の長さに対応している。従って、カウント値C151(=n1+m1)は、タイミングT0からタイミングT2までの2値化信号Vbiの1周期の長さに対応している。
カウント値判定回路152は、カウント値C151に基づいて、カウント値C151をしきい値Ctlとしきい値Cth(Ctl<Cth)との間の値にするように、クロック信号CLd1〜CLdMのうちの1つのクロック信号を選択し、当該選択されたクロック信号選択してクロック信号C150としてカウンタ回路103に出力するようにセレクタ153を制御する。図21を参照して、カウント値判定回路152の動作を説明する。
始めに、2値化信号Vbiの1周期の長さがTbi0でありかつカウント値C151がCbi0である動作点P0(以下、動作点P0(Tbi0,Cbi0)のように記載する。)で歯車1が回転しており、このとき、セレクタ153によって周波数f0を有するクロック信号が選択されているとする。その後、歯車1の回転速度が減少して動作点が動作点P1(Tbi1,Cbi1)に移動したとする(Cbi0<Cbi1かつTbi0<Tbi1である。)。このときカウント値判定回路152は、カウント値Cbi1をしきい値Cth及びCtlと比較する。図21において、カウント値Cbi1がしきい値Cthよりも大きいので、カウント値判定回路152は、動作点P0において選択されていたクロック信号C150の周波数f0の半分の周波数f0/2を算出し、周波数f0/2に最も近い周波数を有するクロック信号を選択してクロック信号C150としてカウンタ回路103に出力するようにセレクタ153を制御する。これにより、動作点は動作点P2(Tbi1,Cbi2)に移動する(ただし、Cbi2>Ctl)。
また、歯車1の回転速度が増加して動作点P0(Tbi0,Cbi0)から動作点P3(Tbi3,Cbi3)に移動したとする(Cbi3<Cbi0かつTbi3<Tbi0である。)。このときカウント値判定回路152は、カウント値Cbi3をしきい値Cth及びCtlと比較する。図21において、カウント値Cbi3がしきい値Ctlよりも小さいので、カウント値判定回路152は、動作点P0において選択されていたクロック信号C150の周波数f0の倍の周波数2×f0を算出し、周波数2×f0に最も近い周波数を有するクロック信号を選択してクロック信号C150としてカウンタ回路103に出力するようにセレクタ153を制御する。これにより、動作点は動作点P4(Tbi3,Cni4)に移動する(ただし、Cbi4<Cth)。
実施の形態7に係る回転検出装置10Aを自動車のエンジンなどの回転を検出する回転検出装置に適用する場合、2値化信号Vbiの隣り合った周期では、繰り返し周波数の変化は少ないため、2値化信号Vbiの繰り返し周波数に追従して、2値化信号Vbiの繰り返し周期に対応するカウント値C151を所定のしきい値範囲内にするようにカウンタ回路103でカウントするクロック信号C150の周波数を切り換えることにより、第6の実施形態に比較してカウンタ回路103のビット数を削減することができる。例えば、カウンタ回路103でカウントするクロック信号の周波数が10MHzであるときには、数十kHzの周波数を有する検出信号VdeAを2値化する場合にはカウンタ回路103の必要とされる分解能は8ビット程度ある一方、数Hzの周波数を有する検出信号VdeAを2値化する場合にはカウンタ回路103の必要とされる分解能は20ビット以上になる。このため、実施の形態6において、カウンタ回路103の分解能は20ビット以上である必要がある。一方、本実施の形態では、例えば、十kHzの周波数を有する検出信号VdeAを2値化する場合には10MHz程度の周波数を有するクロック信号を選択する一方、数Hzの周波数を有する検出信号VdeAを2値化する場合には1kHz程度周波数を有するクロック信号を選択するようにセレクタ153を制御するので、カウンタ回路103の分解能は8ビット程度でよい。このため、本実施の形態に係る回転検出装置10Dは、実施の形態6に係る回転検出装置10Cに比較してカウンタ回路103のビット数を削減できる。
なお、実施の形態7において、加算器151はカウント値C1及びC2を加算したが、本発明はこれに限られず、カウント値C2及びC3を加算してもよい。
実施の形態8.
図22は、本発明の実施の形態8に係る回転検出装置10Eの構成を示すブロック図である。図22の回転検出装置10Eは、実施の形態7に係る回転検出装置20Dに比較して、ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160Aに代えてハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160Bを備える。ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160Bは、ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路160Aに比較して、カウント値判定回路152に代えて、加算器151からのカウント値C151が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、カウント値C151が所定のしきい値以上であるときには、レベル比較回路105をローレベルのカウントアップ信号AuA及びローレベルのカウントダウン信号SdAを発生することにより、スライス電圧VslBの信号電圧を変化させないように制御するカウント値判定回路152Aを備えたクロック切換回路150Aを含む。
本実施の形態8に係る回転検出装置10Eにおいて、カウント値判定回路152Aは、加算器151からの加算結果のカウント値C151が所定のしきい値以上であるか否かを判断し、カウント値C151が所定のしきい値以上であるときには、スライス電圧発生回路4Aのスライス電圧VslBの信号電圧を変化させないように制御することを特徴としている。
一般に、自動車のエンジンなどの回転数を検出するために本実施形態に係る回転検出装置10Cを適用する場合には、歯車1が比較的高速に回転しているときには2値化信号Vbiの繰り返し周期は急激には変化せず、隣り合った周期では1周期の長さの差は比較的少ないが、歯車1が極低速回転してほぼ停止しそうなときには、2値化信号Vbiの繰り返し周期は歯車1の高速回転時に比較して1周期の長さの差は大きくなることがあるので、誤作動するおそれがある。本実施の形態では、カウント値判定回路152Aにおいて、2値化信号Vbiの1周期の長さに対応するカウント値C151を所定のしきい値と比較し、カウント値C151が所定のしきい値より大きいときに、ローレベルのカウントアップ信号AuA及びローレベルのカウントダウン信号SdAを発生するようにレベル比較回路105を制御する。これにより、歯車1が極低速回転しているときにスライス電圧VslBのレベルを変化させないので、実施の形態7に比較して歯車1の極低速回転時の誤動作を確実に防止できる。
なお、実施の形態6〜実施の形態8において、記憶回路104a及び104bにカウンタ回路103からのカウント値C1を順次格納した。しかしながら、本発明はこれに限られず、記憶回路104bに、カウンタ回路103からのカウント値C1と記憶回路104aに格納されたカウント値C2とを比較し、当該比較結果のみを格納するように構成してもよい。これにより、記憶回路104bのビット数は1ビットで済む。具体的には、図17のタイミングT2でカウンタ回路103からのカウント値m2を記憶回路104aに格納し、タイミングT3でカウンタ回路103からのカウント値n2と記憶回路104aに格納したカウント値m2とを比較し、当該比較結果(n2<m2)を示すデータを記憶回路104bに格納するとともに、カウンタ回路103からのカウント値n2を記憶回路104aに格納する。さらに、タイミングT4では、カウンタ回路103からのカウント値m3と記憶回路104aに格納したカウント値n2と、記憶回路104bに格納したカウント値n2とカウント値m2との比較結果(n2<m2)に基づいて、m3>n2,n2<m2であることから、図19の第2のケースを検出できる。このように、記憶回路104bに上記比較結果のみを格納することにより、記憶回路104bのビット数を1ビットに削減することができる。さらに、記憶回路104bを設けずに、レベル比較回路105に上記比較結果を格納してもよい。
変形例.
一般に、自動車のエンジンなどの回転数を検出するために本実施形態に係る回転検出装置10Cを適用する場合には、歯車1が比較的高速に回転しているときには2値化信号Vbiの繰り返し周期は急激には変化せず、隣り合った周期では1周期の長さの差は比較的少ないが、歯車1が極低速回転してほぼ停止しそうなときには、2値化信号Vbiの繰り返し周期は歯車1の高速回転時に比較して1周期の長さの差は大きくなることがあるので、誤作動するおそれがある。従って、実施の形態6及び7において、レベル比較回路105は、各カウント値C1,C2,C3をそれぞれ所定のしきい値と比較し、各カウント値C1,C2,C3がそれぞれ上記所定のしきい値より大きいときに、ローレベルのカウントアップ信号SuA及びローレベルのカウントダウン信号SdAを発生するようにレベル比較回路105を制御してもよい。これにより、歯車1が極低速回転数しているときにスライス電圧VslBのレベルを変化させないので、歯車1の極低速回転時の誤動作を確実に防止できる。
1 歯車、2 平均値信号発生回路、3,3A オフセット信号発生回路、4,4A スライス電圧発生回路、10,10A,10B,10C,10D,10E 回転検出装置、20,20A,20B,20C,20d,20E 2値化回路、21 加算器、22 ピークホールド回路、23 ボトムホールド回路、24 平均値演算回路、25,25A,25B,25C 比較回路、26,26A カウンタ回路、27 D/A変換器、28,101 コンパレータ、29 スライス電圧発生器、30,30A 回転検出回路、31 ブリッジ回路、32,33,301〜304 磁気抵抗効果素子、35 バッファ、39,39A 磁気抵抗効果素子ユニット、40 磁石、51 コンパレータ、52,53 Dフリップフロップ、54 インバータ、55,56 アンドゲート、57,58 A/D変換器、59 比較論理回路、61 分周器、62,63 遅延器、64 スイッチ、65−1,65−2,…,65−N Dフリップフロップ、90,90A クロック信号発生器、305 差動バッファ、102 エッジ検出回路、103 カウンタ回路、104,104a,104b 記憶回路、105 レベル比較回路、106 アップダウンカウンタ回路、107 D/A変換器、111 立ち上がりエッジ検出回路、112 立下りエッジ検出回路、113 オアゲート、150,150A クロック切換回路、151 加算器、152,152A カウント値判定回路、153 セレクタ、160,160A,160B ハイレベル期間長及びローレベル期間長検出回路。