JP5408536B2 - 積層成形装置による発泡成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金型内に溶融樹脂を充填して発泡させてなる樹脂の発泡成形品の成形方法に係り、表面が緻密で、特に成形の立ち上がり時においても発泡倍率、気泡径や製品肉厚にバラツキのない高品質な発泡成形品を得るための積層成形装置による発泡成形方法に関する。
樹脂の内部に多数存在する気泡により軽量性、断熱性、吸音性等の物性に優れた効果を有する発泡成形品は、古くから様々な分野で使用されている。特に近年は、製品に対する樹脂の使用量を減らして軽量化するために樹脂を発泡させる手法が用いられ、軽量化はコストの低減につながることもあいまって発泡成形品の分野を更に広げている。
そして、発泡ガスのスキン層への巻き込みによる表面性の低下を防止して表面が緻密で肌荒れの少ない成形方法として、発泡剤を含む溶融樹脂を金型キャビティ(”金型キャビティ”は本明細書の”製品キャビティ”と同義。)にフル充填し表面層が固化してスキン層が形成された後、金型キャビティを拡大することにより樹脂を発泡させる高圧法が知られている。この高圧法では、金型キャビティの拡大量は成形品の発泡倍率、気泡径や製品肉厚等に影響を及ぼす重要な因子であり、高精度に再現性高く制御することが要求される。
この高圧法における金型キャビティの拡大量の高精度制御に、複数のリンクから構成されるトグル式型締機構を用いた型締装置(”型締装置”は本明細書の”型締機構”と同義。)が適していることはよく知られている。これは、トグル式型締機構を駆動させるクロスヘッドの位置が1mm変動しても、トグル式型締機構で駆動される可動盤の位置変動は1/10mm以下であり、この可動盤の位置制御によって極めて高精度で、且つ、再現性の高い金型キャビティ拡大量の制御を実現することができるものである。しかしながら、金型キャビティ拡大量の高精度制御において、トグル式型締機構を構成する複数のリンク節を結合するトグルピンとリンクのピン孔との間のわずかな隙間や、金型厚みに合わせてトグル式型締機構の位置調節を行う型厚調節機構のわずかな機械的隙間が問題となる。
この問題を解決するために、本発明の出願人は特許文献1(特開2006−334793号公報)の発泡成形品の射出成形装置を出願している。すなわち、型締め後、トグル式型締機構を駆動させるクロスヘッドの位置を高精度で制御し、所定の型開量だけ型開き方向に可動盤を型開きさせ、金型キャビティを拡大させたとしても、特許文献1の図8に示すように、各リンク節を結合するトグルピンとリンクのピン孔との間にはわずかな隙間があるため、トグルピンが、ピン穴に対して型閉め方向に寄った状態にあり、各リンク節のトグルピンとピン穴との間の型開き方向に可動盤リンク節隙間δ4(デルタ4)を生じている。このため、所定の型開量だけ型開き方向に可動盤を型開きさせる位置にクロスヘッドを停止させたとしても、金型キャビティに充填された発泡剤を含む溶融樹脂の発泡圧力により、可動盤リンク節隙間δ4の合計隙間に相当する寸法だけ、可動盤が型開き方向に移動し、金型キャビティの容積が大きくなり、発泡倍率、気泡径や成形品肉厚がバラつき、高品質な発泡成形品が得られないといった問題を有していた。
また、トグル式型締機構を用いた型締装置は、リンクが伸びきった状態で型締力が発生するため、金型厚みに合わせてトグル式型締機構の位置調整を行う型厚調節機構を備えている。この型厚調節機構は、例えば、特許文献1の図9に示すように、リアプラテン4に回転自在に設けられタイバー7に螺合するタイバーナット5と、タイバーナット5を回転駆動する駆動装置等から構成されている。タイバーナット5とタイバー7のねじ部と、および、タイバーナット5とリアプラテン4との間には、それぞれ回転摺動のための隙間を有しており、金型キャビティの拡大後は、タイバーナット5とタイバー7のねじ部との隙間δ5が型開き方向、および、タイバーナット5とリアプラテン4との隙間δ6が型閉め方向に発生した状態にある。このため、トグルピンとピン穴との間の可動盤リンク節隙間δ4と同様に、金型キャビティに充填された発泡剤を含む溶融樹脂の発泡圧力により、隙間δ5とδ6の合計隙間に相当する寸法だけ、リアプラテン4と可動盤を連結するトグル式型締機構全体が型開き方向に移動し、金型キャビティの容積が大きくなり同様の問題の要因となっていた。
可動盤リンク節隙間δ4については、予め、この可動盤リンク節隙間δ4の合計隙間を計測しておき、所定の型開量からその合計隙間を差し引いた量で、金型キャビティの拡大量の制御を行う射出成形装置や発泡成形方法も考案されている。しかしながら、その場合においても、溶融樹脂の温度や金型温度が安定していない成形立ち上がり時においては、発泡剤の熱分解によって発生する発泡ガスの量や圧力が安定せず、可動盤に型開き方向に作用する樹脂発泡圧力を十分に得ることができないため、予め差し引いた合計隙間の量に相当する金型キャビティの拡大量を得ることができず、発泡倍率、気泡径や成形品肉厚がバラつき、高品質な発泡成形品が得られないといった問題を有していた。
更に、型厚調節機構のタイバーナット5とタイバー7のねじ部との隙間δ5、および、タイバーナット5とリアプラテン4との隙間δ6も、可動盤に型開き方向に作用する樹脂発泡圧力を十分に得ることができない場合は、リアプラテンと可動盤を連結するトグル式型締機構全体の型開き方向への移動量が安定せず、前記問題の要因になっていた。
これらの問題を解決するために、特許文献1の発泡成形品の射出成形装置は、特許文献1の図4に示すように、金型キャビティを拡大して成形する発泡成形品の射出成形装置において、固定盤と可動盤との間に複数の圧流体シリンダーを設け、金型キャビティの拡大に連動して可動盤を押動するキャビティ拡大機構を設けている。発泡成形における金型キャビティの拡大に連動して、キャビティ拡大機構で可動盤を押動することにより、特許文献1の図5に示すように、トグル式型締機構の各リンク節のトグルピンとピン穴との間の型開き方向の可動盤リンク節隙間δ4を0にするとともに、特許文献1の図6に示すように、型厚調節機構の型開き方向の隙間δ5およびδ6を0にすることで、金型キャビティの樹脂発泡圧力の変動に影響されることなく、リンク節や型厚調節機構の隙間の影響を解消して、確実な金型キャビティの拡大が可能で、発泡倍率、気泡径や製品肉厚にバラつきのない高品質な発泡成形品を得ることができる。
特開2006−334793号公報
しかしながら、特許文献1の特開2006−334793号公報の発泡成形品の射出成形装置は、固定盤と可動盤との間に複数の圧流体シリンダーを設け、金型キャビティの拡大に連動して可動盤を押動するキャビティ拡大機構が必要である。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、その目的はキャビティ拡大機構を必要とせず、同様の効果を得ることのできる積層成形装置による発泡成形方法を提供することにある。ここで、本発明の出願人は本発明の出願の前に、従来の積層成形装置の問題を解決する積層成形装置および積層成形方法を出願している。(特願2009−128509/出願日:2009年5月28日)
この積層成形装置は、少なくとも2個の射出ユニットと、前記射出ユニットが脱着可能に配設され、それぞれの前記射出ユニットから、少なくとも2種類の製品キャビティに樹脂遮断開放切替弁を有する独立した樹脂流路が形成された製品コア金型と、前記製品コア金型が取り付けられた固定盤と、前記固定盤から突設された複数のタイバーと、ダミープレートが取り付けられ、前記タイバーに案内され、型締機構により前記固定盤に対して型開閉方向に進退自在に配設された可動盤と、からなり、
前記製品コア金型と前記ダミープレートとに相対する面に、異なる形状を有した製品キャビ金型がそれぞれ取り付けられ、前記固定盤と前記可動盤間で、前記可動盤の型開閉方向に前記可動盤の型開閉動作と連動した移動動作と、任意の移動位置での停止と、前記任意の移動位置での回転動作と、が可能な回転盤を有し、
前記型締機構による前記可動盤の型開閉動作と、これに連動する前記回転盤の移動動作と、前記回転盤の任意の位置における回転動作と、による、少なくとも2種類の異なる前記製品キャビティの切替えと、少なくとも2個の前記射出ユニットからそれぞれの前記製品キャビティに溶融樹脂を射出充填することと、により、少なくとも2種類の樹脂を積層成形させ、
前記可動盤と前記回転盤とを連結可能な機構により一体化し、
前記回転盤の移動動作を、前記可動盤が前記固定盤に対して進退する型開閉ストローク範囲内で、独立した駆動装置で行い、前記任意の移動位置における前記回転盤の回転動作を独立した駆動装置で行う形態を含む積層成形装置である。
本発明の出願人は、前記本発明の出願人の出願による積層成形装置の一形態に基づき、これら問題を解決する積層成形装置による発泡成形方法を提供するものである。
本発明の請求項1に係る積層成形装置による発泡成形方法は、少なくとも2個の射出ユニットと、前記射出ユニットが脱着可能に配設され、それぞれの前記射出ユニットから、少なくとも2種類の製品キャビティに樹脂遮断開放切替弁を有する独立した樹脂流路が形成された製品コア金型と、前記製品コア金型が取り付けられた固定盤と、前記固定盤から突設された複数のタイバーと、ダミープレートが取り付けられ、前記タイバーに案内され、型締機構により前記固定盤に対して型開閉方向に進退自在に配設された可動盤と、からなり、
前記製品コア金型と前記ダミープレートとに相対する面に、異なる形状を有した製品キャビ金型がそれぞれ取り付けられ、前記固定盤と前記可動盤間で、前記可動盤の型開閉方向に前記可動盤の型開閉動作と連動した移動動作と、任意の移動位置での停止と、前記任意の移動位置での回転動作と、が可能な回転盤を有し、
前記型締機構による前記可動盤の型開閉動作と、これに連動する前記回転盤の移動動作と、前記回転盤の任意の位置における回転動作と、による、少なくとも2種類の異なる前記製品キャビティの切替えと、少なくとも2個の前記射出ユニットからそれぞれの前記製品キャビティに溶融樹脂を射出充填することと、により、少なくとも2種類の樹脂を積層成形させ、
前記可動盤と前記回転盤とを連結可能な機構により一体化し、
前記回転盤の移動動作を、前記可動盤が前記固定盤に対して進退する型開閉ストローク範囲内で、独立した駆動装置で行い、前記任意の移動位置における前記回転盤の回転動作を独立した駆動装置で行う積層成形装置において、
前記製品キャビティに発泡剤を含む溶融樹脂を充填し、前記充填後に前記回転盤と前記可動盤とを一体で型開き方向に移動させて前記製品キャビティを拡大して成形する発泡成形品の成形時において、
前記製品キャビティの拡大に連動して、前記回転盤の移動動作を行う前記独立した駆動装置により、前記回転盤で前記可動盤を押動することを特徴としている。
本発明の請求項2に係る積層成形装置による発泡成形方法は、請求項1において、前記積層成形装置の型締機構がトグル式型締機構であることを特徴としている。
本発明の積層成形装置による発泡成形方法によれば、専用のキャビティ拡大機構を必要とせず、製品キャビティの拡大に連動して、回転盤の移動動作を行う独立した駆動装置により、回転盤で可動盤を押動することにより、製品キャビティの樹脂発泡圧力の変動に影響されることなく、型締機構等が有する機械的隙間の影響を解消して、確実な製品キャビティの拡大が可能で、発泡倍率、気泡径や製品肉厚にバラつきのない高品質な発泡層を有する積層成形品を得ることができる。
また、積層成形装置の型締機構がトグル式型締機構であれば、トグルを構成する各リンク節を結合するトグルピンとリンクのピン孔との間の隙間や、型厚調節機構の隙間の影響を解消して、確実な製品キャビティの拡大が可能で、発泡倍率、気泡径や製品肉厚にバラつきのない高品質な発泡層を有する積層成形品を得ることができる。
本発明の実施例1の積層成形装置の型開き状態の全体主要構造を示す図である。 本発明の実施例1の成形工程を示す平面図である。 本発明の実施例1の成形工程を示す平面図の図2(b)のA矢視図である。 本発明の実施例1の型厚調節機構の製品キャビティ拡大時の状態を示す縦断側面図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
以下、図1乃至図4を参照しながら本発明の実施例1を詳細に説明する。
図1乃至図4を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1は本発明の実施例1の積層成形装置の型開き状態の全体主要構造を示す図である。図1(a)は平面図であり、図1(b)は縦断側面図である。図2は本発明の実施例1の成形工程を示す平面図である。図3は本発明の実施例1の成形工程を示す平面図の図2(b)のA矢視図である。図4は本発明の実施例1の型厚調節機構の製品キャビティ拡大時の状態を示す縦断側面図である。
本発明の実施形態である積層成形装置1の構成について説明する。図1において、2はベッド、3は固定盤、4は回転盤、5は可動盤、6はダミープレート、7はリンク駆動機構、9はタイバー、10はリアプラテン、11は回転盤回転機構、12は回転盤移動機構、14はトグル式型締機構、15は回転盤連結機構、16は型厚調節機構、17は1次射出ユニット、18は2次射出ユニット、19は1次側製品キャビ金型、20は2次側製品キャビ金型、21は製品コア金型である。固定盤3はベッド2に固定され製品コア金型21が取り付けられている。そして、1次射出ユニット17と2次射出ユニット18とが製品コア金型21に脱着可能に配設されている。ここで、製品コア金型21には、1次射出ユニット17と2次射出ユニット18とから、この製品コア金型21と回転盤4の1次側製品キャビ金型19もしくは2次側製品キャビ金型20と組み合わされて形成される2種類の製品キャビティそれぞれに、樹脂遮断開放切替弁を有する独立した図示しない樹脂流路が形成されている。固定盤3の四隅から突設されたタイバー9は、それぞれ可動盤5を貫通しており、可動盤5はタイバー9に案内され、リンク駆動機構7によって駆動されるトグル式型締機構14により固定盤3に対して進退自在に配設されている。発泡成形において、型締機構は型開量が高精度で制御可能なトグル式型締機構であることが望ましく、型締機構を駆動させる駆動装置は油圧シリンダー等でも良いが、より高精度な制御が可能な電動サーボモータであることが望ましい。また可動盤5にはダミープレート6が、回転盤4の1次側製品キャビ金型19と2次側製品キャビ金型20とに相対する位置に取り付けられている。リアプラテン10は、型厚調節機構16により、その四隅をタイバー9に固定されていると共に、金型厚みに応じて、固定盤3に対してその位置を型開閉方向に調節可能に配設されている。ここで、型厚調節機構16は、図4に示すように、リアプラテン10に回転自在に設けられ、タイバー9に螺合されるタイバーナット9aと、図示しない駆動装置と、により構成されており、金型厚みに応じて、タイバーナット9aを図示しない駆動装置により回転させて、リアプラテンと可動盤を連結するトグル式型締機構全体の位置を型開閉方向に調節するものである。
回転盤4の、固定盤3の製品コア金型21と可動盤5のダミープレート6とに相対する面には、異なる形状を有する1次側製品キャビ金型19と2次側製品キャビ金型20とがそれぞれ取り付けられており、回転盤4は、回転盤4を回転させる回転盤回転機構11を介して、回転盤移動機構12上に配設されている。回転盤連結機構15は、可動盤5のダミープレート6と回転盤4の1次側製品キャビ金型19もしくは2次側製品キャビ金型20とが型合わせされた状態で、可動盤5と回転盤4とを連結する位置に、可動盤5の上部あるいは側面から、油圧や電動サーボモータ等で先端部を進退させるノックピン等の連結機構を支持させたものであり、可動盤5のダミープレート6と回転盤4の1次側製品キャビ金型19もしくは2次側製品キャビ金型20とが型合わせされた状態で、可動盤5と回転盤4とを連結し一体化するものである。この回転盤連結機構15は、可動盤5と回転盤4とのいずれに設けても良いし、可動盤5のダミープレート6もしくは回転盤4の1次側製品キャビ金型19と2次側製品キャビ金型20とに、油圧等で駆動されるクランプ機構等の連結機構を設ける形態でも良い。
回転盤移動機構12は、ボールネジとボールネジナットと直動ガイドとの組合せ等で構成される直線状のガイド機構を有し、回転盤連結機構15により可動盤5と回転盤4とを一体化した状態で、可動盤5の型開閉動作により、回転盤4を型開閉方向に型開閉動作と連動させて型開閉ストローク範囲を移動させ、回転盤連結機構15を解除して、任意の移動位置で停止させ、その位置を保持する。更に、回転盤移動機構12は、電動サーボモータ等の独立した駆動装置を有し、可動盤5の型開閉動作によらず型開閉方向に移動させることが可能である。また、回転盤回転機構11は、1次側製品キャビ金型19と2次側製品キャビ金型20とを含む回転盤4の荷重を支持し、回転させることができる円周状のガイド等で構成された支持機構を有し、電動サーボモータ等の独立した駆動装置により任意の移動位置で回転盤4を回転させる。
また、図1(a)の全開状態において、可動盤5は使用される金型厚みに対応した型開き限位置にある。回転盤4は、回転盤4が1次側製品キャビ金型19と2次側製品キャビ金型20を取り付けた状態で回転可能で、かつ固定盤3の製品コア金型21と回転盤4の2次側製品キャビ金型20(積層成形品の成形完了時、回転盤4の2次側製品キャビ金型20が、固定盤3の製品コア金型21側に位置している。図2(f)参照。)間に、図示しない製品取出装置を挿入させ、固定盤3の製品コア金型21から図示しない製品押出し機構により押出された積層成形品を取出し可能な”任意の移動位置”にある。また、回転盤4を停止させる前記”任意の移動位置”は、使用される金型厚み等に合わせて適宜、適切な位置に設定されるものである。
図2乃至図4を参照しながら、実施例1の成形工程を説明する。図1(a)の全開状態から図2(a)に示すように、可動盤5と回転盤4とを固定盤3方向に型閉めさせる。まず、トグル式型締機構14により可動盤5を、回転盤移動機構12により前記”任意の移動位置”に保持されている回転盤4まで型閉めさせて、可動盤5のダミープレート6を2次側製品キャビ金型20に型合わせさせる。型合わせ後、回転盤連結機構15により可動盤5と回転盤4とを一体化させてから、回転盤移動機構12による回転盤4の保持を解除する。次に、一体化した可動盤5と回転盤4とをトグル式型締機構14により型閉めさせて、回転盤4の1次側製品キャビ金型19を固定盤3の製品コア金型21に型合わせさせる。この間、回転盤移動機構12の独立した駆動装置は駆動力を発生せず、可動盤5と回転盤4とを一体化した型閉め動作を阻害しない。
すべての型合わせが完了した後、トグル式型締機構14で回転盤4の1次側製品キャビ金型19と固定盤3の製品コア金型21、および可動盤5のダミープレート6と回転盤4の2次側製品キャビ金型20とを型締めする。その状態で、回転盤4の1次側製品キャビ金型19と固定盤3の製品コア金型21とで形成される製品キャビティに、製品コア金型21に形成された、樹脂遮断開放切替弁を有する独立した樹脂流路を介して、1次射出ユニット17から予め設定された射出充填パターンに応じて発泡性溶融樹脂を1次射出充填する。
1次射出充填後、図2(b)に示すように、トグル式型締機構14により可動盤5と回転盤4とを一体で所定量α(アルファ)だけ型開きさせ、形成された製品キャビティに発泡性溶融樹脂を発泡膨張させ、表面が非発泡のスキン層で、内部に微細発泡セルを有する1次材料発泡層43を成形する。図2(b)の下部の左右の図は製品キャビティ部の発泡膨張行程を示しており、左側が1次射出充填後の発泡膨張前の状態を示している。この状態から1次製品キャビ金型19を所定量αだけ型開きさせると、右側に示す1次材料発泡層43が成形された発泡膨張後の状態となる。この型開き動作に連動させて、回転盤移動機構12の独立した駆動装置により回転盤4で可動盤5を矢印45に示す型開き方向に押動させる。
この回転盤4の押動動作(矢印45)により、図3に示すように、可動盤5を型開き方向にトグルピン14aとリンクのピン孔14bとの間の隙間δ1分だけ、トグルピン14aが、ピン穴14bに対して型開き方向に寄った状態まで移動させることにより、製品キャビティの樹脂発泡圧力の変動に影響されることなくリンク節の隙間の影響を解消して、確実な製品キャビティの拡大が可能となり、特許文献1のキャビティ拡大機構と同様の効果を奏する。また、図4に示すように、この押動動作(矢印45)は、可動盤5とトグル式型締機構14を介して、リアプラテン10にも作用し、リアプラテン10を型開き方向に押動させ、タイバーナット9aとタイバー9のねじ部との隙間δ5、および、タイバーナット9aとリアプラテン10との隙間δ6を解消して、特許文献1のキャビティ拡大機構と同様の効果を奏する。
所定の冷却固化時間経過後、図2(c)に示すように、1次材料発泡層43が固定盤3の製品コア金型21に付着した状態で可動盤5と回転盤4を固定盤3から離間する方向に型開きさせる。まず、一体化している可動盤5と回転盤4とをトグル式型締機構14により、回転盤4が前記”任意の移動位置”に到達するまで型開きさせる。次に、回転盤4が前記”任意の移動位置”に到達した時点で、回転盤移動機構12で回転盤4を停止させ、同時に回転盤連結機構15を解除する。そして、回転盤4と分離された可動盤5はそのまま型開き限位置までトグル式型締機構14で型開きされる。この間、回転盤移動機構12の独立した駆動装置は駆動力を発生せず、可動盤5と回転盤4との一体化した型閉め動作を阻害しない。型開き後、回転盤4を前記”任意の移動位置”において回転盤回転機構11により回転させ、回転盤4の2次側製品キャビ金型20を固定盤3の製品コア金型21に相対する位置に切替える。
次に図2(d)に示すように、再び、可動盤5と回転盤4とを型閉めさせて、回転盤4の2次側製品キャビ金型20を、1次材料発泡層43が付着した状態の固定盤3の製品コア金型21に型合わせさせる。可動盤5と回転盤4との型閉め動作は図2(a)で説明したとおりである。すべての型合わせが完了した後、トグル式型締機構14で回転盤4の2次側製品キャビ金型20と固定盤3の製品コア金型21、および可動盤5のダミープレート6と回転盤4の1次側製品キャビ金型19とを型締めする。その状態で、回転盤4の2次側製品キャビ金型20と固定盤3の製品コア金型21に付着した1次材料発泡層43の表面とで形成される製品キャビティに、製品コア金型21に形成された、樹脂遮断開放切替弁を有する独立した樹脂流路を介して、2次射出ユニット18から予め設定された射出充填パターンに応じて発泡性溶融樹脂を2次射出充填する。
2次射出充填後、図2(e)に示すように、トグル式型締機構14により可動盤5と回転盤4とを一体で所定量β(ベータ)だけ型開きさせ、形成された製品キャビティに発泡性溶融樹脂を発泡膨張させ、1次材料発泡層43の表面の一部あるいは全面に、表面が非発泡のスキン層で、内部に微細発泡セルを有する2次材料発泡層44を成形する。図2(e)の下部の左右の図は製品キャビティ部の発泡膨張行程を示しており、左側が2次射出充填後の発泡膨張前の状態を示している。この状態から2次製品キャビ金型20を所定量βだけ型開きさせると、右側に示す2次材料発泡層44が成形された発泡膨張後の状態となる。1次材料発泡層の成形時と同様に、この型開き動作に連動させて、回転盤移動機構12の独立した駆動装置により回転盤4で可動盤5を矢印45に示す型開き方向に押動させることにより、特許文献1のキャビティ拡大機構と同様の効果を奏し、製品キャビティの樹脂発泡圧力の変動に影響されることなく、リンク節や型厚調節機構の隙間の影響を解消して、確実な製品キャビティの拡大が可能となる。
所定の冷却固化時間経過後、図2(f)に示すように、可動盤5と回転盤4を型開きさせる。可動盤5と回転盤4の型開き動作は図2(c)で説明したとおりである。型開き後、固定盤3の製品コア金型21に付着した、1次材料発泡層43と2次材料発泡層44とから成る発泡積層成形品を、図示しない製品取出装置により取り出す。その後、回転盤4を回転盤回転機構11により回転させ、回転盤4の1次側製品キャビ金型19を固定盤3の製品コア金型21に相対する位置に切替えれば、再び図1(a)の状態となる。このようにして、以後、図1(a)の状態から図2(f)の状態に至る成形サイクルを繰り返すことにより、積層成形品が連続的に成形される。
なお実施例1は、1次射出充填および2次射出充填ともに発泡成形させるものであるが、これに限らず1次射出充填のみ、あるいは2次射出充填のみ発泡成形させることも選択は自由である。また、実施例1は、型締機構としてトグル式型締機構を採用しているが、この理由は実施例1中にも記載した、型開量が高精度で制御可能であるトグル式型締機構が発泡成形におけるキャビティ拡大のための型開動作に適している点に加えて、型締機構等が有する機械的隙間の影響を解消する本発明の発泡成形方法の説明が、他の型締機構に比べてわかりやすく説明できる点であり、トグル式型締機構が他の型締機構に比べて機械的隙間が多いことを意図するものではない。このように、本発明は実施例1に限定されるものではない。
以上のように、本発明に係る積層成形装置による発泡成形方法は、独立した駆動装置で移動可能な回転盤を有する積層成形装置による発泡成形方法に利用することができる。
1…積層成形装置、2…ベッド、3…固定盤、4…回転盤、5…可動盤、6…ダミープレート、7…リンク駆動機構、9…タイバー、9a…タイバーナット、10…リアプラテン、11…回転盤回転機構、12…回転盤移動機構、14…トグル式型締機構、14a…トグルピン、14b…ピン孔、15…回転盤連結機構、16…型厚調節機構、17…1次射出ユニット、18…2次射出ユニット、19…1次側製品キャビ金型、20…2次側製品キャビ金型、21…製品コア金型、43…1次材料発泡層、44…2次材料発泡層。45…回転盤移動機構12の独立した駆動装置により回転盤4で可動盤5を押す押動動作

Claims (2)

  1. 少なくとも2個の射出ユニットと、前記射出ユニットが脱着可能に配設され、それぞれの前記射出ユニットから、少なくとも2種類の製品キャビティに樹脂遮断開放切替弁を有する独立した樹脂流路が形成された製品コア金型と、前記製品コア金型が取り付けられた固定盤と、前記固定盤から突設された複数のタイバーと、ダミープレートが取り付けられ、前記タイバーに案内され、型締機構により前記固定盤に対して型開閉方向に進退自在に配設された可動盤と、からなり、
    前記製品コア金型と前記ダミープレートとに相対する面に、異なる形状を有した製品キャビ金型がそれぞれ取り付けられ、前記固定盤と前記可動盤間で、前記可動盤の型開閉方向に前記可動盤の型開閉動作と連動した移動動作と、任意の移動位置での停止と、前記任意の移動位置での回転動作と、が可能な回転盤を有し、
    前記型締機構による前記可動盤の型開閉動作と、これに連動する前記回転盤の移動動作と、前記回転盤の任意の位置における回転動作と、による、少なくとも2種類の異なる前記製品キャビティの切替えと、少なくとも2個の前記射出ユニットからそれぞれの前記製品キャビティに溶融樹脂を射出充填することと、により、少なくとも2種類の樹脂を積層成形させ、
    前記可動盤と前記回転盤とを連結可能な機構により一体化し、
    前記回転盤の移動動作を、前記可動盤が前記固定盤に対して進退する型開閉ストローク範囲内で、独立した駆動装置で行い、前記任意の移動位置における前記回転盤の回転動作を独立した駆動装置で行う積層成形装置において、
    前記製品キャビティに発泡剤を含む溶融樹脂を充填し、前記充填後に前記回転盤と前記可動盤とを一体で型開き方向に移動させて前記製品キャビティを拡大して成形する発泡成形品の成形時において、
    前記製品キャビティの拡大に連動して、前記回転盤の移動動作を行う前記独立した駆動装置により、前記回転盤で前記可動盤を押動することを特徴とする積層成形装置による発泡成形方法。
  2. 前記積層成形装置の型締機構がトグル式型締機構であることを特徴とする請求項1記載の積層成形装置による発泡成形方法。
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