JP5408418B2 - 有機elデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、有機ELデバイスに関する。
近年、直流低電圧での駆動および薄型化が可能なことから、表示装置や発光装置として有機EL(エレクトロルミネッセンス)デバイスが注目されている。有機ELデバイスは、陽極と陰極の間に有機材料層(電荷輸送層および有機発光層)を挟んだ構造を有した有機EL素子を含んでいる。
このような有機EL素子は、水分または酸素により輝度や発光効率等が著しく低下する場合がある。そのため有機EL素子をデバイス内に密封して酸素や水分の進入を遮断すると共に、デバイス内に水分または酸素の捕捉剤を配置し、デバイス内部を低湿度・低酸素環境に保つ技術が検討されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
特開平9−148066号公報 特開2003−142256号公報 特開2003−338366号公報 特開2005−230818号公報 特開2006−68729号公報 特表2008−518399号公報
しかしながら、特許文献1ないし6に記載のデバイスにおける水分または酸素の捕捉剤は、長期間のデバイスの使用を考慮した場合、吸湿・吸酸素容量が不十分となる可能性があった。また、吸湿容量や吸酸素容量が良好な捕捉剤は、水分または酸素を物理的に吸着することにより捕捉作用を示すものや、水分または酸素と捕捉剤が化学的に反応することにより捕捉作用を示すものとがある。しかしながら、水分または酸素と吸収剤が化学的に反応することにより捕捉作用を示す捕捉剤では、吸湿等により水分または酸素の捕捉剤が分解されて発生する成分(以下、「分解生成物」ともいう。)がデバイス内に拡散して、デバイスを構成する材料やデバイス内に存在する空隙の体積膨張を起こすおそれがあった。この場合は、デバイスにピンホールなどの欠陥が発生し、水分または酸素の進入が促進されてデバイスの寿命が短くなるおそれがあった。さらに、分解生成物の発生によるデバイスを構成する材料やデバイス内に存在する空隙の体積膨張により、素子やデバイスが変形して破壊されてしまうおそれもあった。
特に、水分または酸素の捕捉剤が有機金属化合物や金属アルコキシドである場合、発生する分解生成物(アルコールやアルカンなど)は、デバイス内の有機成分(電荷輸送層、有機発光層およびバインダー等)との親和性が高いため、これらの有機成分へ吸収されやすい。その結果、デバイスの使用環境において、デバイス内の有機成分が体積膨張や不透明化を来したり、熱流動して変形してしまったり、有機EL素子の発光効率が低下するなどの問題があった。
したがって、本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、デバイス内の水分および酸素の量が長期間にわたって十分に低く抑えられ、長寿命で信頼性の高い有機ELデバイスを提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明にかかる有機ELデバイスの一態様は、
対向して配置された第1基板および第2基板の間に設けられた有機EL素子と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられ、水分および酸素の少なくとも一方を捕捉する第1吸収部と、
前記第1基板および前記第2基板の間に設けられ、前記第1吸収部から発生する化合物を捕捉する第2吸収部と、
を備えた、有機ELデバイス。
このような有機ELデバイスは、デバイス内の水分および酸素の量を長期間にわたって十分に低く抑えることができる。これにより、上記適用例の有機ELデバイスは、長寿命で信頼性が高く、長期間安定して高品質の発光または表示を行うことができる。
[適用例2]
適用例1において、
前記第1吸収部は、下記一般式(1)で表される化合物を含有することができる。
(R)nM …(1)
(式(1)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、アルコキシル基、カルボキシル基およびアミノ基から選択される1種であって、複数存在するRは同一または異なってもよい。nは2または3であり、Mの原子価に等しい。Mは2価または3価の金属原子であり、少なくとも1つのC−M結合を有する。)
[適用例3]
適用例2において、
前記一般式(1)の前記Mは、アルミニウムであることができる。
[適用例4]
適用例3において、
前記一般式(1)で表される化合物は、トリドデシルアルミニウム、トリヘキサデシルアルミニウム、トリステトラメチルヘキサデシルアルミニウム、トリ(1−フィチル)アルミニウム、およびトリ(3−シクロドデシルプロピル)アルミニウムから選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例5]
適用例2ないし適用例4のいずれか一項において、
前記第2吸収部は、前記一般式(1)中のRで表される基に由来する化合物を捕捉することができる。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一項において、
前記第1吸収部および前記第2吸収部は、いずれも透明であることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一項において、
前記第1吸収部は、前記有機EL素子を覆うように配置されることができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか一項において、
前記第2吸収部は、前記有機EL素子を覆うように配置されることができる。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか一項において、
前記第2吸収部は、共役ジエン系共重合体、水添型共役ジエン系共重合体、および(メタ)アクリル系重合体の少なくとも一種を含有することができる。
本発明にかかる有機ELデバイスは、デバイス内の水分および酸素の量を長期間にわたって十分に低く抑えることができる。すなわち、第1吸収部によって水分および酸素の少なくとも一方を捕捉し、第1吸収部が水分および酸素の少なくとも一方を捕捉することによって発生する分解生成物を第2吸収部によって吸収または除去(トラップ)することができる。これにより、本発明にかかる有機ELデバイスは、長期間安定して高品質の発光または表示を行うことができる。
実施形態にかかる有機ELデバイス100の要部の断面の模式図。 変形例にかかる有機ELデバイス120の要部の断面の模式図。 変形例にかかる有機ELデバイス140の要部の断面の模式図。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
図1は、実施形態にかかる有機ELデバイス100の要部の断面の模式図である。図2および図3は、それぞれ、変形例にかかる有機ELデバイス120および有機ELデバイス140の要部の断面の模式図である。
本実施形態の有機ELデバイス100は、第1基板10と、第2基板20と、有機EL素子30と、第1吸収部40と、第2吸収部50と、を含む。そして、有機EL素子30、第1吸収部40、および第2吸収部50は、第1基板10および第2基板20の間に設けられる。本実施形態では、第1基板10および第2基板20の間に、密閉空間60が形成された有機ELデバイス100、120、140を例示して説明するが、本発明の有機ELデバイスは、密閉空間60を必須の構成とするものではない。
1.第1基板
第1基板10は、有機ELデバイス100の基体となる基板である。第1基板10は、平板状、フィルム状、シート状等の形状を有する。第1基板10は、複数の基板の積層体であってもよい。第1基板10は、たとえば、半導体基板や配線基板を含んで構成されてもよい。第1基板10には、第2基板20と対向する面に凹凸(図示せず)が設けられていてもよい。また、第1基板10には、密閉空間60を形成する場合に利用できるような凹部(図示せず)が設けられていてもよい。
第1基板10は、有機EL素子30を駆動するためのトランジスタ(たとえばTFT)や、制御用のIC、および配線層などを有してもよい。第1基板10にTFT等が設けられる場合は、第2基板20側にTFT等を配置する必要がないため、有機EL素子30からの発光を第2基板20側に取り出す効率を高めることができる。このような構造を採る有機ELデバイスは、いわゆるトップエミッション型に分類される。
第1基板10は、透明であっても不透明であってもよい。第1基板10が透明である場合は、有機ELデバイス100は、第1基板10側にも光を取り出すことができる。また、第1基板10は、有機EL素子30の発光を反射する反射層を含んでもよい。反射層としては、たとえば、アルミニウム等の金属の蒸着膜などを挙げることができる。第1基板10に反射層が形成されると、第2基板20側からの光の取り出し効率を高めることができる。第1基板10の厚みは、特に限定されないが、たとえば1μm以上2mm以下とすることができる。
第1基板10の材質としては、特に限定されず、金属、ガラス、シリコン等の無機物や、(メタ)アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、脂環式オレフィン樹脂、ポリカーボネートなどの高分子材料などとすることができる。また、第1基板10は、複数の異なる材質の基板が積層されたものであってもよい。図1に示す例では、第1基板10は、ガラス基板12および半導体基板14の積層構造となっている。第1基板10は、水分や酸素等の気体の分子を透過しにくい材質を含んで形成されることがより好ましい。
2.第2基板
第2基板20は、第1基板10と対向して配置される。第2基板20は、第1基板10と平行に配置することができる。第2基板20は、平板状、フィルム状、シート状等の形状を有する。第2基板20は、有機EL素子30を駆動するためのトランジスタ(たとえばTFT)や、制御用のIC、および配線層などを有してもよい。このような構造を採る有機ELデバイスは、いわゆるボトムエミッション型に分類される。このような有機ELデバイスの一例として、図2に示した変形例の有機ELデバイス120は、第2基板20側に半導体層22が形成されている。
第2基板20には、たとえば、有機EL素子30から放射される光を拡散させたり集光させたりするための凹凸や、密閉空間60を形成する場合に利用可能な凹部等が形成されていてもよい。また、第2基板20には、第1基板10と対向する面に凹凸(図示せず)が設けられていてもよい。第2基板20は、複数の基板の積層体であってもよい。第2基板20の厚みは、特に限定されないが、たとえば、1μm以上2mm以下とすることができる。
第2基板20は透明な材料で形成されることが好ましい。すなわち、第2基板20は、少なくとも有機EL素子30から発生される光(電磁波)の波長における吸収の少ない材質で形成されることが好ましい。第2基板20の透明度は、たとえば、有機EL素子30から発生される光が透過する割合として表す場合、90%以上99.999%以下とすることができる。これにより、有機EL素子30が発する光を第2基板20の上方側から取り出すことができる。
上記の透明度を有する場合の第2基板20の材質としては、ガラス等の無機物や、(メタ)アクリル樹脂、脂環式オレフィン樹脂、ポリカーボネートなどの高分子材料などを例示することができる。図1に示す例では、第1基板10は、ガラス基板となっている。第2基板20は、水分や酸素等の気体の分子を透過しにくい材質を含んで形成されることがより好ましい。
3.有機EL素子
有機EL素子30は、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に設けられる。図示の例では、第1基板10および第2基板20の間に形成された密閉空間60に隣接する位置に設けられている。有機EL素子30は、たとえば、下方から順に第1電極32、有機発光材料層34、第2電極36が積層された構造を有することができる。有機EL素子30の、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間における配置は、特に限定されない。たとえば、図1に示す有機ELデバイス100においては、有機EL素子30は、第1基板10に第1電極32が接するように配置されている。また、図2および図3に示す有機ELデバイス120、140では、有機EL素子30は、第2基板20の下面に第2電極36が接するように配置されている。
第1電極32は、有機EL素子30の一方の電極である。第1電極32は、複数の有機EL素子30の共通電極としてもよい。また、第1電極32は、複数の有機EL素子30にそれぞれ形成され、個別電極として機能してもよい。第1電極32を個別電極とする場合には、第1電極32は、たとえば、第1基板10に形成された配線やTFTに電気的に接続されることができる。第1電極32の機能の一つとしては、第2電極36と対になって、有機発光材料層34に対して電界(電流)を印加することが挙げられる。第2電極32の厚みとしては、たとえば、100nm以上500μm以下とすることができる。
第1電極32の材質は、導電性の物質であれば特に限定されない。第1電極32の材質としては、たとえば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、イリジウムなどの金属、それらの複数種の合金、インジウムおよび/またはスズの酸化物(ITO等)などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、導電性の炭素、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを挙げることができる。また、第1電極32は、必要に応じ、複数の異なる材質の層の積層体であってもよい。第1電極32に、ITOのような導電性および透明性を有する材質を用い、かつ、第1基板10を透明な材質で構成した場合には、第1基板10側から有機EL素子30の発光を取り出すことができ、デバイス100を両面発光デバイスとすることができる。
有機発光材料層34は、第1電極32および第2電極36によって挟持される。有機発光材料層34は、第1電極32および第2電極36を介して電気的エネルギーが印加されることにより発光することができる。有機発光材料層34は、電子と正孔の再結合によって蛍光および/または燐光を発する物質で形成されることができる。有機発光材料層34の材質としては、公知のものを用いることができる。また、有機発光材料層34は、(ダブル)ヘテロ構造等となっていてもよく、たとえば、正孔輸送層、発光材料層、および電子輸送層の積層体とすることができる。このような構成を採る場合においても、各層は、それぞれ、公知の材料によって形成されることができる。
第2電極36は、有機EL素子30の他方の電極である。第2電極36は、複数の有機EL素子30の共通電極としてもよい。また、第2電極36は、複数の有機EL素子30にそれぞれ形成され、個別電極として機能してもよい。第2電極36を個別電極とする場合には、第2電極36は、たとえば、第2基板20に形成された配線やTFTに電気的に接続されることができる。第2電極36の機能の一つとしては、第1電極32と対になって、有機発光材料層34に対して電界(電流)を印加することが挙げられる。第2電極36の厚みとしては、たとえば、100nm以上500μm以下とすることができる。
第2電極36は、導電性を有し、かつ、透明または半透明の材料で形成される。第2電極36の材質としては、たとえば、ITO等の透明導電性材料、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属、またはそれらの合金などを挙げることができる。第2電極36の材質として、これらのうちの、透明性の小さい材質を用いる場合は、導電性を損なわない範囲において、第2電極36を薄膜化することにより、透明または半透明なものとすることができる。また、第2電極36は、透明性または半透明性を損なわない範囲で、さらに、たとえば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属の薄膜を積層した構造であってもよい。
本明細書では、図1ないし図3に例示したように、第1電極32、有機発光材料層34および第2電極36が積層した構造を採っている部位を有機EL素子30と称する。図示のように、有機EL素子30は、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に配置されている。より詳しくは、有機ELデバイス100、120、140の例では、有機EL素子30は、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に形成された密閉空間60に隣接する位置に配置されている。第1電極32、有機発光材料層34および第2電極36は、図示のように有機EL素子30以外の部位に及んで形成されてもよい。
4.第1吸収部
第1吸収部40は、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に設けられる。第1吸収部40は、水分または酸素を捕捉しても、有機EL素子30への影響が生じにくいように配置されることが好ましい。第1吸収部40の形状は、特に限定されないが、層状の形状を有してもよい。また、第1吸収部40および後述の第2吸収部50の相対的な位置関係も特に限定されない。
第1吸収部40は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。下記一般式(1)で表される化合物と、水分または酸素とが化学的に反応するため、第1吸収部40は、良好な捕捉作用を示すことができる。
(R)nM …(1)
(式(1)中、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、アルコキシル基、カルボキシル基およびアミノ基から選択される1種であって、複数存在するRは同一または異なってもよい。nは2または3であり、Mの原子価に等しい。Mは2価または3価の金属原子であり、少なくとも1つのC−M結合を有する。)
上記一般式(1)で表される化合物の機能の一つとしては、成分中に存在するC−M結合(ただし、Cは炭素原子を表し、Mは2価または3価の金属原子を表す。)が水分または酸素と反応することにより、水分または酸素を捕捉することが挙げられる。したがって、第1吸収部40は、第1基板10および第2基板20のいずれか一方と、有機EL素子30との間に配置されていることがより望ましい。第1吸収部40をこのように配置すると、第1基板10および第2基板20のいずれか一方の側から侵入した水分および酸素を、より効率的に捕捉することができる。
上記一般式(1)におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、テトラメチルヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
上記一般式(1)におけるアルケニル基としては、プロペニル基、ブテニル基、オクテニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。上記一般式(1)におけるアルキニル基としては、プロピニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。上記一般式(1)における環式アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。上記一般式(1)におけるアリール基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。上記一般式(1)におけるアルコキシル基としては、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、いずれも、直鎖状であっても分岐していてもよい。
また、上記一般式(1)におけるRの炭素数は、1〜30が好ましく、6〜25がより好ましく、12〜20が特に好ましい。特にRの炭素数が6〜25であると、加水分解により発生するRに由来する分解生成物が気化にくく、デバイス内に拡散したとしても、デバイスを構成する材料やデバイス内に存在する空隙の体積膨張を起こすおそれが低く、また、後述するバインダー等と均一な混合物を形成しやすいため好ましい。
上記一般式(1)中、Mは2価または3価の金属原子である。このような金属原子としては、Al、B、Mg、Zn、Ti、Zr等が挙げられる。これらの中でも、吸湿性や吸酸素性に優れる観点から、AlまたはBが好ましく、水分や酸素を捕捉することにより分解した後、着色がなく透明性を保持できる観点から、Alがより好ましい。
上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、例えばトリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリシクロプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ‐t−ブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、トリヘキサデシルアルミニウム、トリステトラメチルヘキサデシルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジメチルフェニルアルミニウム、ジブチルフェニルアルミニウム、ジイソブチルフェニルアルミニウム、メチルジフェニルアルミニウム、エトキシジエチルアルミニウム、エトキシジ−n−オクチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−n−ドデシルボラン、トリフェニルボラン等が挙げられる。
上記一般式(1)で示される化合物の中でも、Rが炭素数6以上の基である化合物、例えばトリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−ドデシルアルミニウム、トリヘキサデシルアルミニウム、トリステトラメチルヘキサデシルアルミニウム等が好ましく、Rが炭素数12以上の基である化合物、例えばトリドデシルアルミニウム、トリ(3−シクロドデシルプロピル)アルミニウム(下記式(2)で示される化合物)、トリヘキサデシルアルミニウム、トリステトラメチルヘキサデシルアルミニウム、トリス(3,7,11,15−テトラメチルヘキサデシル)アルミニウム(以下、トリ(1−フィチル)アルミニウムともいう。下記式(3)で示される化合物)等が特に好ましい。これらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
Figure 0005408418
Figure 0005408418
第1吸収部40における上記一般式(1)で表される化合物の含有量は、第1吸収部40の全量を100質量%とした場合、10質量%以上80質量%以下となるように設定することができれば特に限定されないが、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。上記一般式(1)で表される化合物の含有量が前記範囲内であると、第1吸収部40に水分や酸素を捕捉する作用を効果的に発現させることができるため好ましい。さらに、上記一般式(1)で表される化合物の含有量が前記範囲内であると、第1吸収部40に対して適度な粘度を付与することができ、第1吸収部40を形成する際の作業性(塗布性等)が良好となる。
第1吸収部40は、上記一般式(1)で表される化合物の他に、たとえば、バインダー等を含んでもよい。この場合のバインダーとしては、高分子化合物を挙げることができる。この場合の高分子化合物としては、特に限定されない。第1吸収部40に配合することができる高分子化合物としては、たとえば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂など、広範な材料を選択することができる。これらのうち、第1吸収部40に配合されるバインダーとして、スチレン系共重合体、および(メタ)アクリル系重合体を使用すると、たとえば、後述する第2吸収部50との密着性を高めることができる。
第1吸収部40は、有機EL素子30の発光方向である透明な第2電極36側に設けられる場合には、透明であることが好ましい。第1吸収部40を透明または半透明とする場合には、上記一般式(1)で表される化合物と、バインダーとは、互いに相溶性の高い組み合わせとすることが好ましい。このような組み合わせの一例としては、上記一般式(1)で示される化合物として、上記例示したRが炭素数12以上の基である化合物と、(メタ)アクリル系重合体との組み合わせが挙げられる。
5.第2吸収部
第2吸収部50は、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に設けられる。図示の例では、第2吸収部50は、密閉空間60に隣接する位置に設けられている。第2吸収部50の配置は任意である。また、第1吸収部40および第2吸収部50の相対的な位置関係も任意である。
第2吸収部50は、第1吸収部40から発生する化合物(分解生成物など)を捕捉しても、有機EL素子30への影響が生じにくいように配置されることが好ましい。第2吸収部50の形状は、特に限定されないが、層状の形状を有してもよい。なお、第1吸収部40が水分または酸素を吸収することによって分解生成物を発生する場合には、分解生成物がデバイス内に拡散することなく、第2吸収部50が分解生成物を効率的に捕捉できる配置であることが好ましい。
第1吸収部40が上記一般式(1)で表される化合物を含有する場合、第1吸収部40が水分または酸素を捕捉すると上記一般式(1)中のRに由来する分解生成物が発生する。第2吸収部50の材質は、上記一般式(1)中のRで表される基に由来する化合物を吸収することができるように選択されることがより好ましい。
第2吸収部50の機能の一つとしては、第1吸収部40が水分または酸素を吸収することによって生じる分解生成物を捕捉することが挙げられる。これにより、分解生成物がデバイスを構成する材料やデバイス内に存在する空隙に拡散してデバイスを構成する材料やデバイス内の存在する空隙が体積膨張すること、およびそれに伴うピンホールなどの欠陥が発生すること、を抑制することができる。その結果、デバイス内への水分または酸素の進入を抑制することができる。さらに、分解生成物がデバイス内に拡散してデバイスを構成する材料やデバイス内の存在する空隙が体積膨張することを抑制することにより、有機EL素子30の構造の変形を抑制し、該素子の寿命を延ばすことができる。
さらに、第1吸収部40が水分または酸素を吸収することによって分解生成物を発生する場合には、第2吸収部50が分解生成物を捕捉して第1吸収部40から分解生成物を除去することができる。この作用により、第1吸収部40に分解生成物が蓄積することによって、第1吸収部40の形状が不安定となること(たとえば、層状の形状が変形したり、軟化してダレることなど)を抑制することができる。その結果、有機EL素子の構造の変形を抑制し、寿命を延ばすことができる。
また、第2吸収部50の機能の一つとしては、第1吸収部40に対して、上記一般式(1)で表される化合物を高濃度に配合させうることが挙げられる。すなわち、第2吸収部50は、第1吸収部40による水分または酸素の捕捉力を高める、および/または、第1吸収部40の許容範囲を超えた分解生成物を捕捉する、という機能を有している。このような第2吸収部50の機能は、たとえば、第1吸収部40が分解生成物を捕捉しうるバインダーを含んでいる場合でも発揮され、結果として、第1吸収部40の水分または酸素の捕捉能を高めることができ、第1吸収部40の分解生成物による劣化を抑えることができる。
特に、第1吸収部40が、上記一般式(1)で表される化合物を高濃度で含有する場合、第1吸収部40の水分または酸素の捕捉力を高めることができる。第1吸収部40が、上記一般式(1)で表される化合物を高濃度で含有する場合、第1吸収部40からは、Rに由来する分解生成物が大量に発生するため、体積膨張や不透明化を来したり、熱流動して変形するなど、長期間にわたって安定な膜質を維持することが困難である。しかしながら、有機ELデバイスに、第2吸収部50が配置されることにより、第1吸収部40で発生する分解生成物を、第1吸収部40から除去することが可能となり、長期にわたって安定な第1吸収部40の膜質を維持することができる。その結果、第1吸収部40の水分および酸素の少なくとも一方を捕捉する能力の向上を図ることが可能となる。
さらに、第2吸収部50の機能の一つとしては、第1吸収部40から発生する分解生成物の捕捉することだけではなく、有機ELデバイスを製造するときに残留する溶媒などの低分子量成分や、有機EL素子の経時劣化により発生する低分子成分を捕捉することが挙げられる。たとえば、有機EL素子は前述のように水分や酸素により劣化するため、外気へ解放しないように密閉されることが一般的である。有機EL素子と共にデバイス内に密閉された前述の低分子量成分はデバイス内に拡散して、デバイスを構成する材料やデバイス内に存在する空隙の体積膨張を起こすおそれがある。この場合、デバイスにピンホールなどの欠陥が発生し、水分または酸素の進入が促進されてデバイスの寿命が短くなるおそれがある。さらに、前述の低分子量成分はデバイスを構成する材料やデバイス内に存在する空隙の体積膨張により、有機EL素子やデバイスが変形して破壊されてしまうおそれもある。しかしながら、本実施形態の有機ELデバイスでは、第2吸収部50を有しており、該第2吸収部50が前述の低分子量成分を捕捉するため、このような問題を解決することができる。
上記一般式(1)中のRで表される基に由来する化合物とは、第1吸収部40に含有されている上記一般式(1)で表される化合物が、水分または酸素と反応した結果、生じる化合物の一部である。このような化合物としては、各種のアルカン、アルケン、アルコール、アルデヒド、アミン等が挙げられる。
第2吸収部50の材質としては、分解生成物を吸収する能力を有するかぎり限定されない。第2吸収部50の材質としては、たとえば、下記一般式(4)で示される繰り返し単位を含む重合体を挙げることができる。
Figure 0005408418
(式(4)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、環式アルキル基、アリール基、アルコキシル基、カルボキシル基、およびアミノ基から選択される1種である。)
このような重合体は、第1吸収部40で発生する分解生成物を吸収することができる。これらのうち、ポリ(メタ)アクリル酸またはポリ(メタ)アクリル酸エステルは、第2吸収部50の形成を容易化することができるとともに、分解生成物を吸収する効果が高く好適である。さらに、第2吸収部50の材質としては、共役ジエン系共重合体および水添型共役ジエン系共重合体を挙げることができる。共役ジエン系共重合体および水添型共役ジエン系共重合体は、分解生成物を吸収する効果が高いとともに、たとえば、第2吸収部50に、後述するような機能性の粒子を分散させる際に、より良好な分散を得ることができるため好適である。したがって、第2吸収部50の材質としては、たとえば、共役ジエン系共重合体および(メタ)アクリル系重合体の少なくとも一方とすることが好ましい。
共役ジエン系共重合体としては、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位を含むブロックと、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位を含むブロックと、を含むブロック共重合体であることが好ましい。
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
上記共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。これらのうち、1,3−ブタジエン、イソプレンおよび1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンがより好ましい。
共役ジエン系共重合体のさらに具体的な例としては、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・イソプレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、およびスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のスチレン系共重合体であることが好ましく、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体またはスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体であることがより好ましい。
共役ジエン系共重合体の重量平均分子量は、5万〜60万であることが好ましく、5万〜30万であることがより好ましい。共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が5万未満である場合、第2吸収部50を形成し難くなることがある。一方、共役ジエン系共重合体の重量平均分子量が60万を超える場合には、第2吸収部50を形成する際の塗工性、作業性が低下することがある。
水添型共役ジエン系共重合体としては、上記共役ジエン系共重合体に水素添加した重合体を挙げることができる。水添型共役ジエン系共重合体の水添の程度は、水分または酸素を吸収する能力や、粘性を考慮して適宜調節することができる。
また、第2吸収部50には、分解生成物を吸収するための粒子を配合することができる。このような粒子を配合することにより、第2吸収部50による分解生成物の吸収性をさらに高めることができる。このような粒子としては、たとえば、有機重合体粒子、および無機粒子の少なくとも一方を挙げることができる。
有機重合体粒子とは、少なくとも有機重合体から形成された粒子を含んでいればよく、例えば使用時において容易に分離しない程度に有機重合体粒子と無機粒子とが一体形成された有機無機複合粒子であってもよい。
有機重合体粒子としては、ポリメチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリエチレンおよびエチレン系共重合体、ポリ塩化ビニルおよび塩化ビニル系共重合体、ポリスチレンおよびスチレン系共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリイソブチレン、ポリアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂およびアクリル系共重合体等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体であることが好ましく、スチレンとブタジエンの乳化共重合または溶液重合で合成された架橋スチレン・ブタジエンゴム(SBR)が特に好ましい。
また、有機重合体粒子は、上述した有機重合体粒子と無機粒子とが使用時において容易に分離しない程度に一体形成された有機無機複合粒子であってもよい。有機無機複合粒子としては、その種類および構成等は特に限定されず、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等の重合体粒子の存在下で、アルコキシシラン、アルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド等を重縮合させ、前記重合体粒子の少なくとも表面に、ポリシロキサン、ポリアルミノキサン、ポリチタノキサン等の重縮合物が形成された複合粒子が挙げられる。かかる重縮合物は、重合体粒子の官能基に直接結合されていてもよいし、シランカップリング剤等を介して結合されていてもよい。
また、有機無機複合粒子は、上述した有機重合体粒子と、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子等の無機粒子と、を用いて形成してもよい。この場合、有機無機複合粒子は、ポリシロキサン、ポリアルミノキサン、ポリチタノキサン等の重縮合物を介して、重合体粒子の表面にシリカ粒子等が存在するように形成されていてもよいし、シリカ粒子等が有するヒドロキシル基等の官能基と、重合体粒子の官能基とが化学的に結合して形成されていてもよい。
有機重合体粒子の形状については、特に限定されず、球状、回転楕体状、角柱状、または不定形状であってもよい。また、有機重合体粒子は、多孔質粒子であってもよいし、内部が空洞化したコア・シェル粒子であってもよい。
有機重合体粒子の平均粒径は、好ましくは5〜3,000nmであり、より好ましくは5〜1,000nmであり、さらに好ましくは5〜500nmであり、特に好ましくは5〜100nmである。平均粒径が前記範囲内にあると、たとえば、第2吸収部50の熱流動による変形を防止することができる。特に平均粒径が5〜100nmであると、第2吸収部50の透明性を向上することができる。平均粒径が前記範囲内であると、第2吸収部50を形成する際の作業性(塗布性等)が良好となる。さらに、平均粒径が前記範囲内であると、有機重合体粒子が分解生成物を捕捉するための表面積が大きくなり、分解生成物を捕捉しやすくなるため好ましい。
また、有機重合体粒子の平均粒径は、たとえば、第2吸収部50を切断し、その切断面を電子顕微鏡等で観察することにより測定することができる。かかる方法で測定することにより、有機ELデバイスのような構造体が形成された後においても有機重合体粒子の平均粒径を測定することができる。
無機粒子とは、炭素原子を構造の基本骨格に有する有機化合物以外の化合物から形成された粒子をいい、炭素の同素体から形成された粒子も含まれる。
無機粒子の材質としては、金属酸化物であることが好ましい。金属酸化物としては、例えばシリカ(シリカゲルを含む)、スメクタイト、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア等が挙げられる。また、金属酸化物ではないが、活性炭を無機粒子として使用することもできる。これらの中でも、前記分解生成物の捕捉能の観点からシリカまたはスメクタイトであることが好ましく、シリカであることが特に好ましい。これらの無機粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子としては、疎水変性されているものがより好ましい。「疎水変性」とは、シリカ粒子に存在するシラノール基(−SiOH)の水素原子がアルキル基等の疎水基(−R)に置換されることをいう。シリカ粒子の疎水変性を行うことにより、たとえば上述の共役ジエン系共重合体と混合する際のシリカ粒子の分散性を向上させることができる。
無機粒子の形状については、特に限定されず、球状、回転楕体状、角柱状、または不定形状であってもよい。また、無機粒子は、多孔質粒子であってもよいし、内部が空洞化したコア・シェル粒子であってもよい。
無機粒子の平均粒径は、好ましくは5〜3,000nmであり、より好ましくは5〜1,000μmであり、さらに好ましくは5〜100nmである。平均粒径が全記範囲内にあると、第2吸収部50の熱流動による変形を防止することができる。特に平均粒径が5〜100nmであると、第2吸収部50の透明性を向上できる点で有利である。平均粒径が前記範囲内であると、第2吸収部50を形成する際の作業性(塗布性等)が良好となる。さらに、平均粒径が前記範囲内であると、無機粒子が分解生成物を捕捉するのに十分な表面積を有することになり、分解生成物の吸収能を向上させることができる。
また、無機粒子の平均粒径は、たとえば、第2吸収部50を切断し、その切断面を電子顕微鏡等で観察することにより測定することができる。かかる方法で測定することにより、有機ELデバイスのような構造体が形成された後においても無機粒子の平均粒径を測定することができる。
第2吸収部50中における有機重合体粒子および無機粒子の合計の含有量は、第2吸収部50の全質量を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。含有量が0.1質量%以上であると、第2吸収部50を熱流動によりさらに変形にくくすることできる。一方、含有量が20質量%以下であると、第2吸収部50を形成する際の作業性(塗布性等)が良好となる。
本実施形態の有機ELデバイスは、上述した第1基板10、第2基板20、有機EL素子30、第1吸収部40、および第2吸収部50の各構成の組を少なくとも一組有するものであるが、本実施形態の有機ELデバイスは、上述した各構成の少なくとも一部を複数有するものとしてもよい。たとえば、有機ELデバイスは、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に、複数の有機EL素子30を有するものとしてもよい。また、たとえば、有機ELデバイスは、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に、複数の第1吸収部40、複数の第2吸収部50を有するものとしてもよい。
これにより、本実施形態の有機ELデバイスは、たとえば、有機EL素子30を複数、平面的に配列したアレイ状の面発光デバイス、または、面表示デバイスとすることができる。すなわち、本実施形態の有機ELデバイスは、有機EL照明装置や、有機EL表示装置であることができる。
6.第1吸収部および第2吸収部の配置
本実施形態の有機ELデバイスにおいて、第1吸収部40および第2吸収部50は、上述したように、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に設けられていれば十分にデバイスを保護する効果を奏することができるが、さらに以下のような好ましい配置の態様が存在する。
第1吸収部40および第2吸収部50は、たとえば、図1ないし図3に例示した有機ELデバイスのように、層状に形成され、互いに積層して設けられることができる。このようにすると、第1吸収部40が水分等を吸収して発生する分解生成物を第2吸収部50によって、より効率的に吸収することができる。そのため、分解生成物が、対向して配置された第1基板10および第2基板の間へ、拡散することをさらに抑制することができる。
また、第1吸収部40は、上述の通り、水分または酸素を吸収する性質を有する。そのため、第1吸収部40によって有機EL素子30を覆うように配置することで、有機EL素子30への水分または酸素の接触をより効果的に抑制することができる。この場合において、さらに第2吸収部50を積層させる態様を採る場合は、有機EL素子30側から、第2吸収部50、第1吸収部の順に積層されることが好ましい。このようにすれば、有機EL素子30への水分や酸素の接触を抑えるとともに、分解生成物の接触をも抑制することができる。なお、第2吸収部50を積層させる態様を採る場合には、有機EL素子30側から、第1吸収部40、第2吸収部の順に積層することもできる。さらに、第1基板10および第2基板20の間に密閉空間60が存在する場合には、第2吸収部50に孔を設けること、および第2吸収部50を島状に形成すること、の少なくとも一方の形状で設けることがより好ましい。このようにすれば、密閉空間60に対して第1吸収部40を密閉空間60に対して露出させることができるとともに、効率よく分解生成物を第2吸収部50に吸収させることができる。
さらに、本実施形態の有機ELデバイスは、第2吸収部50を2層有することができる。この場合においては、有機EL素子30を覆うように第1吸収部40、および2層の第2吸収部50を積層して設けることができる。このような場合の各層の配置としては、たとえば、有機EL素子30側から、1層目の第2吸収部50、第1吸収部40、2層目の第2吸収部50の順に積層して配置することが特に好ましい。そして、第1基板10および第2基板20の間に密閉空間60が形成されている場合には、2層目の第2吸収部50を、上述したような第1吸収部40が密閉空間60に露出する形状とすることができる。このようにすれば、密閉空間60に対して第1吸収部40を露出させることができるとともに、さらに効率よく分解生成物を各第2吸収部50に吸収させることができる。そのため、有機EL素子30への水分や酸素、および分解生成物の接触を抑えるとともに分解生成物の密閉空間60への拡散を低減することができる。
7.密閉空間
本実施形態で例示した有機ELデバイス100、120、140では、第1基板10および第2基板20の間に、密閉空間60が形成されている。本発明の有機ELデバイスにおいて、密閉空間60は、必須の構成ではないが、密閉空間60を形成する場合には、以下のような態様をとることができる。
密閉空間60は、たとえば、第1基板10および第2基板20に設けられた凹部を利用して形成されることができる。また、密閉空間60は、図1に示すように、リブ70を第1基板10および第2基板20の間に配置することによって形成されてもよい。密閉空間60の壁面は、上述した第1基板10、第2基板20、リブ70などによって形成されることができるが、図1に示すように、各電極や吸収層などの他の部材によって形成されてもよい。密閉空間60内には、窒素や不活性ガスを充填してもよい。また、密閉空間60内の圧力は、大気圧より高くても低くてもよい。
有機ELデバイスに密閉空間60が形成される場合は、たとえば、以下のような効果を得ることができる。密閉空間60には気体が充填されるため、デバイスに水分あるいは酸素が侵入した場合には、密閉空間60内で水分あるいは酸素を迅速に拡散させることができる。これにより、第1吸収層40の広い領域で、水分や酸素を捕捉することができる。すなわち、水分や酸素が、第1吸収層40の特定の部位(たとえば、水分や酸素が侵入したデバイスの部位の近傍)のみによって捕捉されることを緩和することができる。その結果、第1吸収層40の水分または酸素を吸収する作用が部分的に劣化することを抑えることができるとともに、水分や酸素を捕捉する第1吸収層40の能力を、より高めることができる。
さらに、密閉空間60には気体が充填されるため、デバイス内に、分解生成物が発生した場合には、密閉空間60内で分解生成物を迅速に拡散させることができる。これにより、第2吸収層50の広い領域で、分解生成物を捕捉することができる。すなわち、分解生成物が、第2吸収層50の特定の部位(たとえば、水分や酸素が侵入したデバイスの部位の近傍)のみに捕捉されることを緩和することができる。その結果、第2吸収層50の分解生成物を吸収する作用が部分的に劣化することを抑えることができ、それとともに、分解生成物を捕捉する第2吸収層50の能力を、より高めることができる。
8.作用効果等
本実施形態の有機ELデバイスは、対向して配置された第1基板10および第2基板20の間に、第1吸収部40および第2吸収部50を有している。そのため、デバイス中に存在する、もしくは、デバイス中に外部から侵入する水分や酸素を、第1吸収部40によって吸収するとともに、発生する分解生成物を第2吸収部50によって吸収することができる。これにより、デバイス内の水分および酸素の量を長期間にわたって十分に低く抑えることができ、有機EL素子30を長期間安定して動作させることができる。また、第1吸収部40から発生した分解生成物を第2吸収部50によって吸収することができるため、分解生成物による各構成の劣化も抑制することができる。たとえば本実施形態の有機ELデバイスは、80℃を超えるような使用環境下においても、第1吸収部40が熱流動等により変形することが抑制される。さらに、有機ELデバイス作製時に残留する溶媒などの低分子量成分や、有機EL素子の経時劣化により発生する低分子成分を第2吸収部50によって吸収することができるため、低分子成分による各構成の劣化も抑制することができる。本実施形態の有機ELデバイスは、長寿命で信頼性が高く、長期間安定して高品質の発光または表示を行うことができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
本発明によれば、有機ELデバイスを長期間安定して動作させることができる。本発明の有機ELデバイスは、長寿命で信頼性が高く、長期間安定して高品質の発光または表示を行うことができる。
10…第1基板、12…ガラス基板、14…シリコン基板、20…第2基板、
22…半導体層、30…有機EL素子、32…第1電極、34…有機発光材料層、
36…第2電極、40…第1吸収部、50…第2吸収部、60…密閉空間、70…リブ、
100,120,140…有機ELデバイス

Claims (9)

  1. 対向して配置された第1基板および第2基板の間に設けられた有機EL素子と、
    前記第1基板および前記第2基板の間に設けられ、下記群(I)から選択される少なくとも1種の第1化合物と、(メタ)アクリル系重合体と、を含有する第1吸収層と、
    前記第1基板および前記第2基板の間に設けられ、共役ジエン系共重合体および水添型共役ジエン系共重合体の少なくとも一方を含有する第2吸収層と、
    を備え、前記第1吸収層および前記第2吸収層は、積層して配置された、有機ELデバイス。
    (I)トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリシクロプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ‐t−ブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、トリヘキサデシルアルミニウム、トリステトラメチルヘキサデシルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジメチルフェニルアルミニウム、ジブチルフェニルアルミニウム、ジイソブチルフェニルアルミニウム、メチルジフェニルアルミニウム、エトキシジエチルアルミニウム、エトキシジ−n−オクチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリブチルボラン、トリ−n−オクチルボラン、トリ−n−ドデシルボラン、トリフェニルボラン
  2. 請求項1において、
    前記第1化合物は、下記群(II)から選択される少なくとも1種である、有機ELデバイス。
    (II)トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリシクロプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ‐t−ブチルアルミニウム、トリ−2−メチルブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシ
    ルアルミニウム、トリヘキサデシルアルミニウム、トリステトラメチルヘキサデシルアルミニウム
  3. 請求項1または請求項において、
    前記第2吸収層は、前記第1化合物に含まれるアルミニウムおよびホウ素に結合する基に由来する化合物を捕捉する、有機ELデバイス。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記第1吸収層および前記第2吸収層は、いずれも透明である、有機ELデバイス。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記第1吸収層は、前記有機EL素子を覆うように配置された、有機ELデバイス。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記第2吸収層は、前記有機EL素子を覆うように配置された、有機ELデバイス。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    さらに、前記第2吸収層は、(メタ)アクリル系重合体を含有する、有機ELデバイス。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、
    前記共役ジエン系共重合体は、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位を含むブロックと、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位を含むブロックと、を含むブロック共重合体である、有機ELデバイス。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか一項において、
    さらに、前記第2吸収層は、有機重合体粒子および無機粒子の少なくとも一方を含有する、有機ELデバイス。
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