JP5407728B2 - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Description
この発明は、像を担持する像担持体と、該像担持体と当接して転写ニップを形成し、しかもその周面の一部に凹部を有する転写ローラーとを備える画像形成装置およびこれらを用いて画像を形成する方法に関するものである。
像担持体上に形成した像を記録材上に転写する画像形成装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。この装置は、トナー粒子とキャリア液とを含む液体現像剤により静電潜像を顕像化する、いわゆる液体現像方式の画像形成装置である。この装置では、押圧ローラー(転写ローラーに相当)の周面の一部に設けたグリッパ(把持部)によって記録材を把持し、該記録材を押圧ローラーに巻き付けるようにしてローラー状の中間転写体(像担持体)とのニップに通過させることにより、記録材上に像を転写している。
一方、特許文献2に記載の技術では、例えばオフセット印刷機のような印刷装置において、版胴に対し一定の押圧力で押圧されたゴム胴にベアラーを設けて、版胴とゴム胴との間隔を一定に保っている。この技術を特許文献1に記載の技術に適用すれば、転写ローラーと中間転写体との距離を一定に保つことが可能である。
上記した特許文献1に記載の技術では、転写ニップから離れた位置、より具体的には転写ローラーの回転方向における転写ニップの上流側位置でグリッパが記録材の把持を開始する。このとき、記録材を確実に把持するために把持開始位置において記録材を転写ローラーのグリッパに突き当てる必要があり、そのためには、転写ニップの延長線上よりも転写ローラー寄りに記録材を送り込む必要がある。このようにすると記録材が転写ローラー周面に巻き付けられるようにして転写ニップに案内されることとなるので、記録材にカールなどの永久変形を生じて、転写ニップ通過後の搬送等に支障を来たすおそれがある。特許文献2に記載の装置に把持部を設けた場合でも同様である。
この発明にかかるいくつかの態様は、像を担持する像担持体と、該像担持体と当接して転写ニップを形成し、しかもその周面の一部に凹部を有する転写ローラーとを備える画像形成装置およびこれらを用いて画像を形成する方法において、上記課題を解決して、記録材の変形を抑えつつ、記録材を確実に把持して転写ニップに送り込むことのできる技術を提供するものである。
この発明にかかる画像形成装置は、上記課題を解決するため、像を担持する像担持体と、周面の一部に凹部を有するとともに、前記凹部と異なる周面が記録材を介して前記像担持体と当接して前記像担持体との間に転写ニップを形成する転写ローラーと、前記凹部に配設され、前記像が転写される前記記録材を把持する把持部とを備え、前記凹部が前記像担持体と対向する時の前記転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離が、前記凹部と異なる周面と前記像担持体が前記転写ニップを形成する時の前記転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離よりも小さいことを特徴としている。
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記課題を解決するため、像担持体に像を担持させ、周面の一部に凹部を有し、前記凹部に記録材を把持する把持部が配設された転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離を第1の距離に位置した状態で前記記録材を慙愧把持部で把持し、前記記録材を把持した転写ローラーと前記像担持体とを当接させるとともに前記転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離を前記第1の距離よりも大きい第2の距離に位置させた状態で、前記像担持体に担持された前記像を前記記録材に転写することを特徴としている。
この明細書において、「転写ローラーの周面と像担持体とが当接する」との文言は、これらが互いに直接接触する場合のほか、転写ローラーの周面と像担持体とにより形成される転写ニップに通送される記録材が両者の間に介在している、つまり転写ローラーの周面が記録材を介して像担持体に当接する場合を含むものとする。
このように構成された発明では、転写ローラーの凹部が像担持体と対向する時に、転写ニップ形成時よりも転写ローラーが像担持体に接近した状態となる。より具体的には、転写ローラー周面のうちの凹部が像担持体に近接対向した状態となる。そして、記録材を把持する把持部は凹部に配設されている。したがって、記録材をより像担持体に近い経路で搬送しながらも把持部による記録材の把持を確実に行うことができる。これにより、転写ニップを通過する記録材の搬送経路をより直線に近づけることができ、記録材の変形を防止することができる。
この発明において、把持部は、凹部が像担持体に対向する時に記録材を把持することが好ましい。すなわち、転写ローラーが像担持体に接近した状態のときに把持部による記録材の把持を行うようにすることで、記録材の搬送経路を最も直線に近い状態として、記録材の変形を効果的に防止することができる。
上記した画像形成装置においては、例えば転写ローラーの回転軸を像担持体に対して近接もしくは離間移動させる調整部を備えるようにしてもよい。こうすることで、転写ローラーの回転軸と像担持体との間の距離を適正に維持し、転写ニップ形成時には両者間に適度な当接圧を与えることができる。
ここで、像担持体が像担持体ベルトであり、像担持体ベルトを巻き掛けるとともに像担持体ベルトを介して転写ローラーと当接するローラーを備える場合には、調整部は、転写ローラーの回転軸とローラーの回転軸との間の距離を調整するようにすることができる。また、像担持体が像担持体ドラムである場合には、調整部は、転写ローラーの回転軸と像担持体ドラムの回転軸との間の距離を調整するようにすることができる。像担持体としては無端ベルト状のものおよびドラム状のものが広く用いられているが、像担持体ベルトの場合は該ベルトを巻き掛けたローラーと転写ローラーとの回転軸間の距離を、また像担持体ドラムの場合は該ドラムと転写ローラーとの回転軸間の距離を調整することによって、いずれも本発明の効果を得ることが可能である。
また、調整部のより具体的な構成としては、例えば、転写ローラーを像担持体へ付勢する付勢部材と、付勢部材の付勢に抗して転写ローラーの回転軸と像担持体との間の距離を規制する規制部材とを有するものであってもよい。転写ローラーを像担持体へ付勢するとともにその回転軸と像担持体との距離を制御することで、転写ニップにおける当接圧の制御および当接開始時の負荷トルク増大の緩和を両立させることができる。なお、規制部材は転写ローラーの凹部が像担持体と対向しているときのみ機能するものであってもよい。
これらの発明において、凹部が像担持体に対向する時に、転写ニップに記録材を搬送する搬送部を備えることがより好ましい。こうすることで、凹部に配設されて像担持体との対向位置に位置する把持部に対して確実に記録材を送り込み把持させることができる。
図1は本発明を好適に適用可能な画像形成装置の構成例を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するコントローラー10に与えられると、このコントローラー10が装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録材RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される、感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光ユニット23と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、該トナー像を転写ユニット3の中間転写ベルト31に一次転写する一次転写ユニットと、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットと、クリーナーブレードとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
帯電器22は感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、この帯電器22には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤには負のワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。帯電器22によるコロナ放電で感光体ドラム21が帯電されることで、感光体ドラム21の表面の電位が略均一の電位に設定される。
露光ユニット23は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームにより感光体ドラム21表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。この露光ユニット23としては、半導体レーザからの光ビームをポリゴンミラーにより主走査方向に走査させるもの、あるいは発光素子を主走査方向に配列したラインヘッド等により構成することができる。
こうして形成された静電潜像に対して現像ユニット24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。なお、この画像形成装置1の現像ユニット24では、キャリア液内にトナーを概略重量比20%程度に分散させた液体現像剤を用いてトナー現像が行われる。この画像形成装置1では、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリア液とした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性の樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形粒子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
第1スクイーズ部25および第2スクイーズ部26にはスクイーズローラーがそれぞれ設けられている。そして、各スクイーズローラーが感光体ドラム21の表面と当接してトナー像の余剰キャリア液やカブリトナーを除去する。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26により余剰キャリア液やカブリトナーを除去しているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
スクイーズ部25、26を通過してきたトナー像は一次転写ユニットにより中間転写ベルト31に一次転写される。この中間転写ベルト31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34および35に掛け渡されている。このうちローラー32はベルト駆動モーターM3に機械的に接続されて、中間転写ベルト31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。図2に示すように、この画像形成装置ではベルト駆動モーターM3を駆動させるためにドライバー11が設けられており、ドライバー11は、コントローラー10から与えられる指令パルスに応じた駆動信号をベルト駆動モーターM3に出力する。これにより、ベルト駆動ローラー32は指令パルスに対応する周速度で回転し、中間転写ベルト31の表面は一定の速度で方向D31に周回移動する。なお、同図中の符号E3はベルト駆動モーターM3に取り付けられたエンコーダーであり、ベルト駆動モーターM3の回転に対応する信号をドライバー11に与え、これを受け取ったドライバー11は上記信号に基づきベルト駆動モーターM3をフィードバック制御する。
詳しくは後述するが、中間転写ベルト31を掛け渡されたローラー32ないし35のうち、モーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33、34および35は駆動源を有しない従動ローラーである。
一次転写ユニットは一次転写バックアップローラー271を有しており、一次転写バックアップローラー271は中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体21と中間転写ベルト31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写ベルト31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写ベルト31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写ベルト31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写ベルト31へのトナー像転写が行われる。
こうして中間転写ベルト31に転写されたトナー像は二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写ベルト31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写ローラー4が中間転写ベルト31を挟んで対向配置されており、中間転写ベルト31表面と転写ローラー4表面とが互いに当接して転写ニップNPを形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。二次転写ローラー4の回転軸421は、例えばバネのような弾性部材である押圧部45によって弾性的に、かつ中間転写ベルト31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
二次転写位置TR2においては、中間転写ベルト31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録材RMに転写される。なお、この実施形態では、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式現像方式でトナー像を形成しているので、良好な転写特性を得るために、転写ニップにおいては中間転写ベルト31に対し記録材RMが高い押圧力で押圧されることが望まれる。また、液体現像剤を介在させるため、記録材RMが中間転写ベルト31に貼り付きジャムとなる可能性が高い。そこで、この画像形成装置1では、後で詳述するように把持部を有する二次転写ローラー4が用いられている。
トナー像が二次転写された記録材RMは、二次転写ローラー4から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録材RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録材RMへのトナー像の定着が行われる。
図3は二次転写ローラーの全体構成を示す斜視図である。図1および図3に示すように、二次転写ローラー4は、円筒の外周面の一部を切り欠いてなる凹部41が設けられたローラー基材42を有している。このローラー基材42では、回転軸4210中心に方向D4に回転自在の回転シャフト421が二次転写バックアップローラー34の回転軸と平行または略平行に配置されるとともに、押圧部45により二次転写バックアップローラー34側に付勢されて所定の荷重(この実施形態では60kgf)が付加されている。
また、当該回転シャフト421の両端部に側板422、422がそれぞれ取り付けられている。より詳しくは、これらの側板422、422はいずれも円盤形状の金属プレートに対して切り欠き部422aを設けた形状を有している。そして、図3に示すように切欠部422a、422aが互いに対向しながら中間転写ベルト31の幅よりも少し長い距離だけ離間して回転シャフト421に取り付けられている。こうして、全体的にはドラム形状を有するものの、その外周面の一部に回転シャフト421と平行または略平行に延びる凹部41を有する、ローラー基材42が形成されている。
また、ローラー基材42の外周面、つまり金属プレート表面のうち凹部41の内部に相当する領域を除く表面領域にゴムや樹脂などの弾性層43が形成されている。この弾性層43はバックアップローラー34に巻き掛けられた中間転写ベルト31と対向して転写ニップNPを形成する。
また、凹部41の内部には、記録材RMを把持するための把持部44が配設されている。この把持部44は、凹部41の内底部からローラー基材42の外周面に立設されたグリッパ支持部材441と、グリッパ支持部材441の先端部に対して接離自在に支持されたグリッパ部材442とを有している。また、グリッパ部材442はグリッパ駆動部(図示省略)と接続されている。そして、コントローラー10からのアングリップ指令を受けてグリッパ駆動部が作動することでグリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部から離間して記録材RMの把持準備や把持開放を行う。一方、コントローラー10からのグリップ指令を受けてグリッパ駆動部が作動することでグリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部に移動して記録材RMを把持する。なお、把持部44の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、従来より公知の他の把持機構を採用してもよい。
二次転写ローラー4の両端部では、各側板422の外側面に支持部材46が取り付けられており、ローラー基材42と一体的に回転可能となっている。また、支持部材46には凹部41に対応して平面領域461が形成されている。そして、平面領域461に転写ローラー側度当て部材470がそれぞれ取り付けられている。度当て部材470では、基台部位471が支持部材46に取り付けられるとともに、基台部位471から度当て部位472が平面領域461の法線方向に延設されており、度当て部位472の先端部は凹部41の開口側端部の近傍まで延びている。つまり、回転シャフト421の端部からローラー基材42を見ると、度当て部材470が凹部41を塞ぐように配置されている。したがって、二次転写ローラー4の回転によって凹部41が中間転写ベルト31と対向する位置に到達した場合には、度当て部材470が二次転写バックアップローラー34の端部表面に当接する。
なお、図3に示す度当て部材470の形状は、後述する比較例のものであって、本実施形態のものとは異なっている。この明細書では、発明の理解を容易にするために、本実施形態の度当て部材の形状およびその作用を説明する前に、ベアラーとしてより一般的と考えられる形状の度当て部材を比較例として用いてその作用および装置全体の動作を説明する。度当て部材の形状については後に詳しく説明する。
図1に示すように、この画像形成装置1では、ローラー基材42の回転方向D4に沿った凹部41の開口部長さ(開口幅)W41は約105mmである。二次転写ローラー4の外周面のうち凹部41を除く領域に形成された弾性層43が中間転写ベルト31に対向する位置にあるとき、弾性層43が中間転写ベルト31に押し付けられて転写ニップNPが形成される。ローラー基材42の回転方向D4に沿った転写ニップNPの長さ(転写ニップ幅)Wnpは11mm程度であり、
(凹部41の開口幅W41)>(転写ニップNPでの転写ニップ幅Wnp)
の関係を有している。したがって、二次転写ローラー4の凹部41が中間転写ベルト31と対向した状態では、一時的に転写ニップが消失することになる。
(凹部41の開口幅W41)>(転写ニップNPでの転写ニップ幅Wnp)
の関係を有している。したがって、二次転写ローラー4の凹部41が中間転写ベルト31と対向した状態では、一時的に転写ニップが消失することになる。
また、ローラー基材42の回転方向D4に沿った弾性層43の長さは約495mmに設定されており、これは、この装置1において使用可能な記録材RMのうち最も大きなサイズのものを巻き付けることができるようにしたものである。すなわち、弾性層43の長さは、使用可能な記録材のうちローラー基材42の回転方向D4に沿った長さが最大であるものの長さよりも長くなるように定められている。
二次転写ローラー4の回転シャフト421に対して転写ローラー駆動モーターM4が機械的に接続されている。また、本実施形態では、転写ローラー駆動モーターM4を駆動させるためにドライバー12が設けられている。ドライバー12は、コントローラー10から与えられる指令に応じてモーターM4を駆動して二次転写ローラー4を図1紙面において時計回りの方向D4、つまりベルト移動方向D31に対しウィズ方向に回転駆動する。二次転写バックアップローラー34は、それ自身は駆動源を有しない従動ローラーである。モーター駆動される二次転写ローラー4に対向する二次転写バックアップローラー34を従動ローラーとすることで、転写ニップNPにおける二次転写ローラー4と中間転写ベルト31との間、あるいは中間転写ベルト31と二次転写バックアップローラー34との間での滑りを防止することができる。
本実施形態では、モーターM4としてACサーボモーターを用いるとともに、当該ACサーボーモーターをドライバー12により位置制御したり、トルク制御することができるように構成されている。すなわち、ドライバー12は位置制御回路およびトルク制御回路を有しており、位置制御およびトルク制御を選択的に実行可能となっている。このドライバー12に対し、コントローラー10は位置情報に関連する指令パルス、トルク情報に関連する指令トルクおよび制御切替信号を入力可能となっている。
なお、図2中の符号E4は転写ローラー駆動モーターM4に取り付けられたエンコーダーであり、転写ローラー駆動モーターM4の回転に対応する信号をドライバー12に与え、これを受け取ったドライバー12は上記信号に基づき当該モーターM4をフィードバック制御する。また、符号8は二次転写ローラー4の回転シャフト421の一方端部に連結された位相検出センサーであり、コントローラー10はこの位相検出センサー8の出力から、二次転写ローラー4の回転位相を把握することができる。
中間転写ベルト31を掛け渡されたローラーのうち、転写ニップNPを挟む位置に設けられたローラー33、35は、その回転軸がそれぞれバネ331、351によって弾性的に支持されて中間転写ベルト31の張力を調整するテンションローラーである。より詳しくは、テンションローラー33の回転軸は、略水平方向に伸縮自在のバネ331によって弾性的に支持されており、これにより、テンションローラー33は、中間転写ベルト31を巻き掛けられた状態で略水平方向に所定量移動自在となっている。
また、テンションローラー35の回転軸は、駆動ローラー32の外周面と二次転写バックアップローラー34の外周面との双方に接する仮想的な平面に略直交する方向に伸縮自在のバネ351によって弾性的に支持されており、これにより、テンションローラー35は、中間転写ベルト31を巻き掛けられた状態で同方向に所定量移動自在となっている。そして、定常状態では、ベルト駆動ローラー32と二次転写バックアップローラー34との間に張架された中間転写ベルト31を外側に向けて押し広げるように、テンションローラー35はバネ351によって付勢されている。
二次転写位置TR2においては、二次転写ローラー4の回転に伴って中間転写ベルト31と対向する二次転写ローラー4の表面が弾性層43から凹部41に切り替わるときや、これとは逆に凹部41から弾性層43に切り替わるときに、ベルト駆動ローラー32を駆動するベルト駆動モーターM3の負荷トルクが大きく変動する。弾性層43と中間転写ベルト31との間に高い押圧力が印加されている場合には特に変動が大きい。これに起因して中間転写ベルト31の速度変動や振動が生じ、ベルト31の張力が一時的に変化することが考えられる。
しかしながら、この実施形態では、中間転写ベルト31の張架方向に沿ってベルト駆動ローラー巻き掛け位置と二次転写位置TR2との間に設けられたテンションローラー35および二次転写位置TR2の下流で一次転写位置TR1yの上流側に設けられたテンションローラー33が、それぞれその回転軸を移動させることによって張力の変動を打ち消すように作用する。このため、二次転写位置TR2における中間転写ベルト31の速度変動や振動が各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kに対応する一次転写位置TR1に及ぶのが防止される。一次転写位置TR1における中間転写ベルト31の速度変動や振動は、画像形成ステーションから転写されるトナー像を乱し画像品質を低下させてしまうが、この実施形態ではこのような像形成への影響が未然に防止されている。
テンションローラー33、35はいずれも、中間転写ベルト31の内側、つまり中間転写ベルト31の像担持面である表面とは反対側の裏面側から中間転写ベルト31に当接している。その理由は以下の通りである。まず、像担持面の反対側に当接することにより、テンションローラー33、35が中間転写ベルト31に担持されるトナー像を乱したり、逆に中間転写ベルト31に残留付着するトナー等によって汚されることがない。また、テンションローラーによる張力の調整効果を大きくするためには中間転写ベルト31の巻き掛け角を大きく取ることが有効であるが、テンションローラーを像担持面に当接させ、しかも巻き掛け角を大きくしようとすると、中間転写ベルト31の表面に負の大きな曲率を持たせる必要があり、トナー像への影響が懸念され、構造的にも問題がある。これらの理由から、テンションローラー33、35は中間転写ベルト31の裏面に当接するようにしている。
また、この装置1では、ベルト移動方向D31においてテンションローラー33の下流からベルト駆動ローラー32の上流までの間で中間転写ベルト31の表面が略水平姿勢となるように、ベルト駆動ローラー32およびテンションローラー33を配置している。そして、各画像形成ステーションについての一次転写位置TR1が、いずれも中間転写ベルト31表面(より詳しくはトナー像が転写される下面)により形成される同一平面上に配置されるようにしている。さらに、テンションローラー33の回転軸の移動方向についても略水平方向となるようにしている。このため、速度変動や振動を吸収するためにテンションローラー33が動いたとしても中間転写ベルト31表面の水平は保たれており、像形成への影響を最小限に抑えることができる。なお、画像形成ステーションの近傍で中間転写ベルト31表面が水平であることは必須でないが、少なくとも、ベルト31表面の移動方向とテンションローラー33の移動方向とが同一または略同一であることが望ましい。
なお、テンションローラー35については、一次転写位置TR1との間にベルト駆動ローラー32が介在していることからその移動方向については像形成上の制約を受けない。そこで、駆動ローラー32の外周面と二次転写バックアップローラー34の外周面との双方に接する仮想的な平面に略直交する方向に移動するようにして、中間転写ベルト31の速度変動や振動を最も効果的に低減することができるようにしている。
また、テンションローラー33に巻き掛けられた中間転写ベルト31の近傍には、中間転写ベルト31表面に対して離当接自在に構成されたクリーナーユニット39が設けられている。クリーナーユニット39は中間転写ベルト31表面に残留するトナーを掻き落とすことで、中間転写ベルト31をクリーニングする。このクリーナーユニット39は、バネ331によって支持されたテンションローラー33の回転軸と一体的に支持されており、テンションローラー33の変位にしたがって変位する。このため、クリーナーユニット39と中間転写ベルト31との相対位置は変動しない。
図4は比較例における度当て部材の作用を説明する図である。より詳しくは、図4(a)は、凹部41が二次転写位置TR2に臨んでいるときの度当て部材470を軸方向から見た図であり、図4(b)はこれを軸方向に直交する方向から見た図である。図4(a)に示すように、度当て部材470の外周面の形状は、二次転写ローラー4の凹部41に臨む領域において二次転写ローラー4の回転中心4210を中心とする略円弧形状となっている。また、二次転写バックアップローラー34の端部には、該二次転写バックアップローラー34の直径よりも大きな外径を有し、二次転写バックアップローラー34と同軸でかつこれとは独立して回転自在のベアリング342が設けられている。そして、二次転写ローラー34の度当て部材470が二次転写ローラー34側に向いているときには、度当て部材470の外周面とベアリング342の外周面とが互いに当接することにより、押圧部45の付勢力に抗して二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31表面との間隔を規定している。
凹部41が二次転写位置TR2に位置し度当て部材470がベアリング342と当接しているときの二次転写ローラー4の回転中心4210から中間転写ベルト31までの間隔R0は、弾性層43が形成された二次転写ローラー4の半径Rrよりも若干小さくなるように設定されている。より厳密には、二次転写位置TR2に転写ニップNPが形成された状態における二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔と同じになるように、間隔R0が設定される。転写ニップNPが形成されているとき、弾性層43が押圧部45の押圧力により弾性変形するため、二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔は、押圧力が加わっていない状態における二次転写ローラー4の半径Rrよりも若干小さくなっている。
次に、上記のように構成された画像形成装置1の動作について図5および図6を参照しつつ説明する。図5は図1の画像形成装置の動作例を示すタイミングチャートである。また、図6は図1の画像形成装置の動作を模式的に示す図である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置からカラー画像を形成する旨の画像形成指令がコントローラー10に与えられると、このコントローラー10は図示を省略するメモリー内に記憶されているプログラムにしたがって装置各部を制御する。まず、ベルト駆動モーターM3および転写ローラー駆動モーターM4が作動して中間転写ベルト31および二次転写ローラー4をそれぞれ駆動する。
二次転写ローラー4に設けられた位相検出センサー8(図2)は、二次転写位置TR2において中間転写ベルト31に対向する二次転写ローラー4表面が弾性層43を有する円筒状の周面から凹部41に切り替わるとき、および、凹部41から弾性層43に切り替わるときのそれぞれに、一時的にHレベルの信号を出力する。コントローラー10は当該信号レベルの変化に基づきドライバー12による二次転写ローラー4の駆動制御態様を位置制御とトルク制御に交互に切り替える。より具体的には、二次転写ローラー4の凹部41が中間転写ベルト31に対向しているときには位置制御、弾性層43が中間転写ベルト31に対向して転写ニップNPが形成されているときにはトルク制御が行われる。なお、ベルト駆動モーターM3については常に位置制御が行われ、中間転写ベルト31の表面は所定の移動速度で周回移動する。
タイミングtA0で位相検出センサー8の出力が変化し、二次転写位置TR2に臨む二次転写ローラー4が凹部41から弾性層43に変化して転写ニップNPが形成されるとき、コントローラー10は制御切替信号によりドライバー12による駆動制御態様をトルク制御に切り替えるとともに指令トルクをドライバー12に与えて二次転写ローラー4をトルク制御する。また、当該タイミングtA0を露光開始起点とし、各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kでトナー像を形成し、中間転写ベルト31の表面にトナー像を一次転写していく。
つまり、図5に示すように、タイミングtA0から時間Taが経過すると、コントローラー10からの各種信号に基づき画像形成ステーション2Yで露光ユニット23による潜像形成が開始され、イエロートナーによるトナー像が形成される。また、イエロー用露光が開始されてから時間Tbが経過すると、マゼンタ用露光が開始され、またマゼンタ用露光開始から時間Tcが経過すると、シアン用露光が開始され、またシアン用露光開始から時間Tdが経過すると、ブラック用露光が開始される。こうして、各色のトナー像が形成されるとともに、中間転写ベルト31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像TIが中間転写ベルト31の表面上に形成される。
こうして各色のトナー像を形成している間に、二次転写ローラー4は回転方向D4にさらに1周回転し、いったん解消された転写ニップNPが再び形成される。このタイミングtA1から所定時間Teが経過すると、コントローラー10はゲートローラー51に接続されたゲートローラー駆動モーター(図示省略)を制御するドライバー(図示省略)に指令パルスを入力してゲートローラー駆動モーターを作動させる。これにより二次転写位置TR2への記録材RMの搬送が開始される(図6(a))。
また、二次転写位置TR2に臨む二次転写ローラー4が凹部41に変化して転写ニップが解消されると、当該タイミングtB2でコントローラー10は制御切替信号によりドライバー12による駆動制御態様をトルク制御から位置制御に切り替えるとともに指令パルスをドライバー12に与える。これにより、二次転写ローラー4が回転方向D4に回転して、所定の記録材把持位置(図6(b))に移動する。また、グリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部から離間させられて記録材RMの把持準備が完了する。そして、ゲートローラー51により送られてくる記録材RMの先端部がグリッパ部材442とグリッパ支持部材441との間に進入し、紙銜え動作が開始される(図6(b))。なお、ここでは説明の便宜上「紙銜え動作」と称しているが、記録材RMは紙に限定されないことは前記した通りである。
コントローラー10はタイミングtB2と同時または若干遅れてグリッパ駆動部(図示省略)に把持指令を与える。この把持指令を受けてグリッパ駆動部が作動してグリッパ部材442の先端部をグリッパ支持部材441の先端部に移動させる。これによって、記録材RMの先端部が把持され、「紙銜え動作」が完了する(図6(c))。なお、この「紙銜え動作」の完了時点では、図6(c)に示すようにトナー像TIは中間転写ベルト31表面の移動方向D31における二次転写位置TR2の上流側に位置している。
こうして記録材RMはその先端部を把持部44により把持されたまま二次転写ローラー4とともに回転方向D4に搬送される。そして、二次転写ローラー4表面の弾性層43が二次転写位置TR2に到達し転写ニップNPが形成開始されるタイミングtA2では、記録材RMは二次転写ローラー4の弾性層43と中間転写ベルト31表面との間の転写ニップNPに挟持され、これらの回転に伴って搬送される。これにより中間転写ベルト31に形成されたトナー像TIの記録材RMの下面(表面)への二次転写が開始される(図6(d))。また、このタイミングtA2でコントローラー10は制御切替信号によりドライバー12による駆動制御態様をトルク制御に切り替えるとともに指令トルクをドライバー12に与えて二次転写ローラー4をトルク制御する。
こうしてトルク制御されながら二次転写ローラー4は回転方向D4に回転し、それに伴って記録材RMは先端部を把持部44で保持された状態のまま転写ニップNPの間を通過してトナー像TIの二次転写が進行していく。そして、把持部44が搬送ローラー7の上流側端部(図1の右端側端部)の近傍位置まで移動してくると、この把持部44に保持されている記録材先端部は中間転写ベルト31から十分に分離されて搬送ローラー7の搬送入り口まで搬送されてきている。図6(e)に示すように、把持部44が搬送ローラー7の上流側端部の近傍に移動してきたタイミングでコントローラー10はグリッパ駆動部にリリース指令を与え、グリッパ部材442の先端部をグリッパ支持部材441の先端部から離間させて記録材RMの把持を解除する。これにより記録材RMの先端部は、中間転写ベルト31表面に貼り付くことなく確実に定着ユニット7に送り込まれる(図6(f))。そして、定着ユニット7によりカラートナー像TIの記録材RMへの定着が行われる。なお、リリース後については、記録材の先端側は搬送経路PTに沿って定着ユニット側に搬送されるとともに、記録材RMの後端側は転写ニップNPで二次転写ローラー4の弾性層43と中間転写ベルト31とで挟持搬送されながら二次転写処理が実行される。
この間、二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔はほぼ一定値R0に保たれる。つまり、二次転写ローラー4はその回転中心4210がほぼ同一位置を保った状態で回転する。しかしながら、図6(b)に示されるように、記録材把持位置にある二次転写ローラー4の把持部44に記録材RMの先端を送り込むためには、ゲートローラー51は記録材RMを本来の搬送経路PTから外れた、具体的には二次転写ローラー4側に寄った経路で記録材RMを搬送する必要がある。また、把持後の記録材RMは本来の搬送経路PTに引き込まれるが、図6(d)や図6(e)に示されるように、この際、記録材RMは二次転写ローラー4の周面に大きく巻き掛けられた状態で引っ張られることとなる。これにより記録材RMがカールしてしまうことがあり、その結果、把持解除後の記録材RMが図6(f)に示すようにまっすぐ定着ユニット7に向かわず、二次転写ローラー4に巻き付いてしまうおそれがある。
この問題に対して、この実施形態では、度当て部材の形状を上記とは異なるものとすることで、記録材の搬送経路PTをほぼ一直線状として記録材RMのカールを抑え、二次転写ローラー4への巻き付きを防止している。
図7はこの実施形態の度当て部材の形状を示す図である。この実施形態における度当て部材47は、図7(a)に示すように、基台部位471から立ち上がった度当て部位473の形状が比較例のものと異なっている。具体的には、比較例の度当て部材470の外周面470aは、二次転写ローラー4の回転中心4210を中心とする円弧状であり、回転中心4210から度当て部材470の外周面470aまでの距離Rbは外周面470aのどの位置においても一定である。これに対し、本実施形態の度当て部材47の外周面47aの形状は波打ったような形となっており、二次転写ローラー4の回転中心4210から度当て部材47の外周面47aまでの距離Raは、位置によって異なっている。より具体的には、二次転写ローラー4の回転方向D4における前方側(図において右側)、つまり二次転写ローラー4の回転に伴って最初にベアリング342と当接する側の端部は円弧470aから大きく後退した状態となっている。一方、二次転写ローラー4の回転方向D4における後方側(図において左側)、つまり二次転写ローラー4の回転に伴って最後にベアリング342と当接する側の端部では円弧からの後退量がより少なくなっており、部分的には円弧470aから若干突出していてもよい。
図7(b)に示すように、このような形状を有する度当て部材47の外周面47aがバックアップローラー34側のベアリング342の外周面と当接することにより、この実施形態では、二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔Rが規定されている。言い換えれば、二次転写ローラー4の回転中心4210と二次転写バックアップローラー34との軸間距離が規定されている。したがって両者の間隔Rは、一定ではなく二次転写ローラー4の回転に伴って変化してゆくこととなる。このようにする理由について以下に説明する。
図8はこの実施形態における度当て部材の作用を説明する図である。図8(a)に示すように、二次転写ローラー4の回転によって凹部41が二次転写位置TR2に差しかかった時にゲートローラー51から記録材RMの搬送が開始される。この時点での二次転写ローラー4の回転軸4210と中間転写ベルト31との間隔Rは、比較例と同様、転写ニップ形成時と同じ間隔R0である。
さらに二次転写ローラー4の回転が進むと、図8(b)に示すように、度当て部材47の外周面のうち円弧よりも後退した端部47bがベアリング342と当接する。したがってこのときの二次転写ローラー4の回転軸4210と中間転写ベルト31との間隔Rは、転写ニップ形成時の間隔R0よりも小さくなる。つまり、このとき二次転写ローラー4の回転軸4210は、押圧部45の付勢力によって、転写ニップ形成時よりも中間転写ベルト31に近づいた状態となっている。そのため、把持部44は比較例(図6(b))よりも中間転写ベルト31に近い位置で記録材RMを受け入れることができる。
こうして把持部44によって記録材RMが把持された後、二次転写ローラー4がさらに回転することにより、図8(c)、図8(d)に示すように、転写ニップNPが形成されるとともに記録材RMが転写ニップNPに案内されて二次転写処理が行われる。このとき、度当て部材47の外周面47aは次第に拡径しているため、二次転写ローラー4の回転軸4210と中間転写ベルト31との間隔Rが次第に広がり、転写ニップNPが形成された時点では元の値R0に戻されている。
その後、把持部44による記録材RMの把持が解除され(図8(e))、二次転写後の記録材RMは後工程へ送り出される(図8(f))。図6と図8との比較から明らかなように、本実施形態における記録材の搬送経路PTは、比較例のものと比べてより直線に近くなっている。したがって、記録材RMは二次転写ローラー4に巻き掛けられることなくほぼ直線的に搬送されるのでカールする可能性は極めて低く、二次転写ローラー4への巻き付きが防止される。
図9は二次転写ローラーと中間転写ベルトとの間隔の変化を示す図である。図6に示した比較例では、図9に破線で示すように、二次転写ローラー4と中間転写ベルト31との間隔は二次転写ローラー4の回転角度によらずほぼ一定値R0である。一方、本実施形態では、図9に実線で示すように、凹部41が二次転写位置TR2に移動してきて転写ニップNPが解消されると、二次転写ローラー4と中間転写ベルト31との間隔Rは転写ニップ形成時の値R0からいったん減少する。その後、再び緩やかに増加して、凹部41が二次転写位置TR2を通過して転写ニップNPが再形成される時点では元の間隔R0に戻るという変化を示す。
図7(b)および図9に示すように、二次転写ローラー4と中間転写ベルト31との間隔Rが最も小さな値Rminとなるときに、把持部44による記録材RMの把持が開始されるようにするのが好ましい。このようにすることで、記録材RMの搬送経路PTを最も直線に近づけることが可能となり、記録材のカールをほぼ完全に抑えることができる。
なお、度当て部材47の外周面47aの形状については、図7(a)に示すように回転方向D4における後方側端部47cが次第に拡径するような形状とすることで、以下のような効果も得られる。この実施形態では、凹部41が二次転写位置TR2を通過し終えて弾性層43が中間転写ベルト31に再び当接し転写ニップNPが再形成されるとき、弾性層43を押し潰すためのトルクが必要となるため、二次転写ローラー4を回転駆動する二次転写ローラー駆動モーターM4の負荷が急激に増加する。このような負荷トルクの急激な変動がフィードバック制御では吸収しきれない場合があり、これにより二次転写ローラー4や中間転写ベルト31の速度変動が引き起こされて像形成が乱されることがある。
この実施形態では、転写ニップNPが再形成されるのに先立って、二次転写ローラー4とバックアップローラー34との間に介在する度当て部材47を拡径させることで二次転写ローラー駆動モーターM4から見た負荷トルクを漸増させているため、弾性層43が中間転写ベルト31に再当接するときのトルク変動はより緩やかとなる。これにより、二次転写ローラー4や中間転写ベルト31の速度変動が抑えられ、像形成への影響を小さくすることが可能となる。
以上のように、この実施形態では、二次転写ローラー4の凹部41が二次転写位置TR2に位置して中間転写ベルト31と対向するとき、二次転写ローラー4の弾性層43が二次転写位置TR2に位置して中間転写ベルト31との間に転写ニップNPを形成しているときよりも、二次転写ローラー4の回転軸4210を中間転写ベルト31に近づけた状態としている。こうすることで、より中間転写ベルト31に近い位置で把持部44による記録材RMの把持を行うことができる。そのため、この実施形態では、記録材RMの搬送経路PTを直線に近いものとすることができ、二次転写ローラー4に記録材RMを巻き付ける必要がなくなるので、記録材RMのカールなどの永久変形を極めて小さくすることができる。これにより、この実施形態では、把持部44によって記録材RMを確実に転写ニップNPに送り込むことができるとともに、二次転写ローラー4への記録材RMの巻き付きやより下流側の搬送経路での搬送不良を防止することができる。
このような動作を実現するために、この実施形態では、二次転写ローラー4の側面に設けた度当て部材47の外周面47aの形状を新規なものとし、該度当て部材47の外周面47aを二次転写バックアップローラー34と同軸に設けたベアリング342の外周面に当接させる。具体的には、度当て部材47を図7(a)に示すように波型の外周面形状とする。このように度当て部材47の外周面形状を工夫することによって、二次転写ローラー4の回転軸4210と中間転写ベルト31表面との間隔変化を任意のプロファイルに制御することが可能である。また、二次転写位置TR2に対向する二次転写ローラー4の表面が凹部41から弾性層43に切り替わるとき、および弾性層43から凹部41にそれぞれ切り替わるときに二次転写ローラー4に生じる衝撃や急激なトルク変動を緩和することができる。
以上説明したように、この実施形態においては、中間転写ベルト31が本発明の「像担持体」として機能する一方、二次転写ローラー4が本発明の「転写ローラー」として機能している。この「像担持体」、すなわち中間転写ベルト31はベルト状像担持体であり、二次転写位置TR2において中間転写ベルト31を巻き掛けた二次転写バックアップローラー34が本発明の「ローラー」として機能している。また、把持部44が本発明における「把持部」として機能している。
また、この実施形態では、押圧部45が本発明の「付勢部材」として機能する一方、度当て部材47が本発明の「規制部材」として機能しており、これらが一体として本発明の「調整部」を構成している。また、この実施形態では、ゲートローラー51が本発明の「搬送部」として機能している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト31に対して二次転写ローラー4を近接・離間移動自在に構成しているが、本発明の原理上は、これとは逆に二次転写ローラー4に対して中間転写ベルト31を移動させるようにしても等価である。このようにした構成例について以下に説明する。なお、以下の変形例において上記実施形態と同一の形状および機能を有する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図10は図1の画像形成装置の第1の変形例の構成を示す図である。また、図11は図10の構成における動作を示す図である。この変形例では、二次転写ローラー4の回転軸4210が固定される一方、二次転写バックアップローラー34が、遥動軸3401に対して遥動自在の可動フレーム340に取り付けられる。可動フレーム340は例えばバネなどの弾性部材により構成された押圧部345によって、所定の付勢力で二次転写ローラー4側に付勢されている。また、ゲートローラー51も可動フレーム340に配設されており、可動フレーム340の遥動に伴って略上下方向に移動する。なお、図示を省略しているが、この変形例においても、二次転写ローラー4には度当て部材47が、二次転写バックアップローラー34にはベアリング342がそれぞれ設けられている。
このような構成によれば、転写ニップNPを通過する記録材に対して上記実施形態と同様に所定の押圧力を与えることができ、また図10に示すように、二次転写ローラー4周面の弾性層43が中間転写ベルト31に当接して転写ニップNPを形成しているときの記録材搬送経路PTをほぼ水平な一直線状とすることができる。
また図11に示すように、二次転写ローラー4の凹部41が二次転写位置TR2に位置しているときには、可動フレーム340とともに二次転写バックアップローラー34が上方へ移動し、これにより中間転写ベルト31が持ち上げられて、二次転写ローラー4の回転軸4210との間隔が小さくなる。したがって、把持部44による記録材の把持を中間転写ベルト31に近い位置で行うことができる。さらに、ゲートローラー51も連動して上下動することにより、搬送経路PT自体が上下に移動することになる。このとき、搬送経路PTをほぼ水平に保ったまま上下動させることができるので、記録材を略水平状態に維持しながら把持および転写ニップNPへ通送することが可能である。
また、上記実施形態は、ベルト状像担持体(像担持体ベルト)としての中間転写ベルト31を用いた画像形成装置であるが、ドラム状の像担持体(像担持体ドラム)を有する画像形成装置に対しても、本発明を好適に適用することが可能である。
図12は図1の画像形成装置の第2の変形例の構成を示す図である。この変形例では、上記実施形態における中間転写ベルト31に代えて円筒ドラム状の中間転写ドラム311が設けられており、その外周面に沿って複数の画像形成ステーション2が配設される。なお、図12では2組の画像形成ステーション2を示しているが、画像形成ステーションの数はこれに限定されず任意である。このように周面に沿って画像形成ステーションが設けられる関係上、中間転写ドラム311の回転軸については上下動させない。
中間転写ドラム311の回転方向D311において各画像形成ステーション2よりも下流側で、二次転写ローラー4が中間転写ドラム311の周面に当接して転写ニップNPを形成する。二次転写ローラー4の回転軸4210は上下動自在となっており押圧部45によって中間転写ドラム311側に付勢されている。転写ニップNPを挟む両側位置に、転写ニップNPを経由する搬送経路PTが一直線状となるように、ゲートローラー51および定着ユニット7がそれぞれ配設される。
二次転写ローラー4の凹部41側方には上記実施形態の度当て部材47と同一形状の度当て部材(図示省略)が取り付けられる一方、これと当接するベアリング312が二次転写位置TR2近傍に設けられる。このベアリング312は中間転写ベルト311とは同軸とする必要はない。大径の中間転写ドラム311と同軸にベアリングを設けるとすると非常に大型のものが必要となり現実的でない。図12に示すように、より二次転写位置TR2に近い位置に回転軸を有する小径のベアリング312を設けることが望ましい。
このように、中間転写ドラム311を有する画像形成装置においても、二次転写ローラー4の凹部41が二次転写位置TR2と対向しているときに回転軸4210を中間転写ドラム311に接近させることで、二次転写位置TR2に近い位置で把持部44に記録材を把持させることができ、記録材の搬送経路PTをほぼ一直線状として、記録材の変形に起因する二次転写ローラー4への巻き付きなどの搬送不良を防止することが可能である。
また、例えば上記実施形態では、中間転写ベルト31の張架方向に沿って4個の画像形成ステーションを一列に並べているが、画像形成ステーションの数や配置はこれに限定されるものではない。例えば画像形成ステーションを1個だけ備える画像形成装置にも本発明を適用することができる。
また、上記実施形態では、中間転写ベルト31、ベルト駆動ローラー32、二次転写バックアップローラー34、二次転写ローラー4およびテンションローラー33,35などが一体として転写ユニット3を構成している。この場合において、転写ローラーや駆動ローラーを駆動する駆動源が転写ユニットに含まれることは必須ではなく、例えば、転写ユニットが装着されたときに、装置本体側に固定されたモーターが転写ローラーや駆動ローラーと係合することで駆動源として機能するように構成されてもよい。
さらに、上記実施形態では、液体キャリア中にトナーを分散させた現像剤を用いる、いわゆる液体現像方式の画像形成装置であるが、本発明の適用対象は当該方式のものに限定されない。すなわち、現像方式に関わらず、図1に例示したように、円筒周面の一部が切り欠かれた表面形状を有する転写ローラーを中間転写ベルトに当接させる構造を有する画像形成装置全般に対して、本発明を適用することが可能である。
2Y,2M,2C,2K…画像形成ステーション、 4…二次転写ローラー(転写ローラー)、 10…コントローラー、 31…中間転写ベルト(像担持体、像担持体ベルト)、 32…ベルト駆動ローラー、 34…二次転写バックアップローラー(ローラー)、 41…凹部、 44…把持部、 45…押圧部(調整部、付勢部材)、 47…度当て部材(調整部、規制部材)、 51…ゲートローラー(搬送部)、 311…中間転写ドラム(像担持体ドラム)、 M3…ベルト駆動モーター、 M4…転写ローラー駆動モーター、 NP…転写ニップ、 RM…記録紙(記録材)、 TR1…一次転写位置、 TR2…二次転写位置
Claims (8)
- 像を担持する像担持体と、
周面の一部に凹部を有するとともに、前記凹部と異なる周面が記録材を介して前記像担持体と当接して前記像担持体との間に転写ニップを形成する転写ローラーと、
前記凹部に配設され、前記像が転写される前記記録材を把持する把持部と
を備え、
前記凹部が前記像担持体と対向する時の前記転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離が、前記凹部と異なる周面と前記像担持体が前記転写ニップを形成する時の前記転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離よりも小さい
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記把持部は、前記凹部が前記像担持体に対向する時に前記記録材を把持する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記転写ローラーの回転軸を前記像担持体に対して近接もしくは離間移動させる調整部を備える請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体は、像担持体ベルトであり、
前記像担持体ベルトを巻き掛けるとともに、前記像担持体ベルトを介して前記転写ローラーと当接するローラーを備え、
前記調整部は、前記転写ローラーの回転軸と前記ローラーの回転軸との間の距離を調整する請求項3に記載の画像形成装置。 - 前記像担持体は像担持体ドラムであり、
前記調整部は、前記転写ローラーの回転軸と前記像担持体ドラムの回転軸との間の距離を調整する請求項3に記載の画像形成装置。 - 前記調整部は、前記転写ローラーを前記像担持体へ付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢に抗して前記転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離を規制する規制部材とを有する請求項3ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記凹部が前記像担持体に対向する時に、前記転写ニップに前記記録材を搬送する搬送部を備える請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 像担持体に像を担持させ、
周面の一部に凹部を有し、前記凹部に記録材を把持する把持部が配設された転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離を第1の距離に位置した状態で前記記録材を前記把持部で把持し、
前記記録材を把持した転写ローラーと前記像担持体とを当接させるとともに前記転写ローラーの回転軸と前記像担持体との間の距離を前記第1の距離よりも大きい第2の距離に位置させた状態で、前記像担持体に担持された前記像を前記記録材に転写する
ことを特徴とする画像形成方法。
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