JP2011090178A - 画像形成装置および転写装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】像担持体と、周面に凹部を有する転写ローラーとを有する画像形成装置および転写装置において、記録材のニップ通過に起因する像の乱れを防止する。
【解決手段】画像形成ステーション2Y等で作像されるトナー像を、中間転写ベルト31を介して記録材RMに転写する。記録材RMについては、回転駆動された二次転写ローラー4周面の凹部41に設けた把持部44によって把持しながら中間転写ベルト31との転写ニップNPを通過させる。中間転写ベルト31の駆動は、二次転写ローラー4と対向するバックアップローラー34とは異なるローラーを回転駆動することによって行うとともに、バックアップローラー34はバネなどの押圧部45によって二次転写ローラー4側に付勢することで、所定の当接圧を与えるとともに例えば記録材がニップを通過する時に生じる衝撃を緩和する。
【選択図】図1
【解決手段】画像形成ステーション2Y等で作像されるトナー像を、中間転写ベルト31を介して記録材RMに転写する。記録材RMについては、回転駆動された二次転写ローラー4周面の凹部41に設けた把持部44によって把持しながら中間転写ベルト31との転写ニップNPを通過させる。中間転写ベルト31の駆動は、二次転写ローラー4と対向するバックアップローラー34とは異なるローラーを回転駆動することによって行うとともに、バックアップローラー34はバネなどの押圧部45によって二次転写ローラー4側に付勢することで、所定の当接圧を与えるとともに例えば記録材がニップを通過する時に生じる衝撃を緩和する。
【選択図】図1
Description
この発明は、ベルト状の像担持体と、周面に凹部を有する転写ローラーとを有する画像形成装置および転写装置に関するものである。
像担持体上に形成した像を記録材上に転写する画像形成装置としては、例えば特許文献1および2に記載のものがある。これらに記載の装置は、トナー粒子とキャリア液とを含む液体現像剤により静電潜像を顕像化する、いわゆる液体現像方式の画像形成装置である。これらの装置では、押圧ローラー(転写ローラーに相当)の周面の一部に設けたグリッパ(把持部)によって記録材を把持し、該記録材を押圧ローラーに巻き付けるようにしてドラム状の中間転写体(像担持体)とのニップに通過させることにより、記録材上に像を転写している。
上記した従来技術では、感光体ドラム上に形成された画像は、中間転写体に一次転写された後、押圧ローラーと中間転写体との当接によって形成されたニップ(転写ニップ)に通送される記録材に二次転写される。このように、ドラム状の中間転写体に対して感光体と押圧ローラーとが共に当接する構造においては、記録材が転写ニップに進入する時やその転写ニップ通過の間、転写ニップにおいて生じた振動や速度変動が感光体に伝達されて像形成が乱され、画像品質が劣化する可能性がある。特に、押圧ローラー周面に把持部を配設するための凹部を設けている場合、この問題が顕著である。
この発明にかかるいくつかの態様は、像担持体と、周面に凹部を有する転写ローラーとを有する画像形成装置および転写装置において、上記課題を解決して、記録材のニップ通過に起因する像の乱れを防止することのできる技術を提供するものである。
この発明にかかる画像形成装置は、上記課題を解決するため、像を担持するベルト状の像担持体と、前記像担持体に第1の像を転写する第1の作像部と、前記第1の作像部により前記像を転写された前記像担持体に、第2の像を転写する第2の作像部と、前記像担持体を巻き掛けて、前記像担持体を周回駆動させる駆動ローラーと、前記像担持体を巻き掛けるローラーと、周面の一部に凹部を有するとともに、前記周面が前記ローラーに巻き掛けられた前記像担持体と記録材を介して当接する転写ローラーと、前記転写ローラーを回転駆動させる駆動部と、前記凹部に配設され、前記記録材を把持する把持部とを備えることを特徴としている。
この明細書において、「転写ローラーの周面と像担持体とが当接する」との文言は、これらが互いに直接接触する場合のほか、転写ローラーの周面と像担持体とにより形成される転写ニップに通送される記録材が両者の間に介在している、つまり転写ローラーの周面が記録材を介して像担持体に当接する場合を含むものとする。
このように構成された発明では、ベルト状の像担持体を用いているため、像担持体と転写ローラーとが当接してなるニップを記録材が通過するときに生じる振動や速度変動の影響は、ドラム状の像担持体を用いる場合よりも緩和される。一方、転写ローラーの周面に把持部が配設される凹部が設けられるため、転写ローラーの回転に伴って振動が像担持体に生じやすい。特に、像担持体を周回移動させるために、駆動部によって駆動される転写ローラーと対向するローラーを駆動した場合には、該ローラーの負荷が転写ローラーの回転位相や記録材の通過の有無に応じて大きく変動するため、像担持体の速度変動を生じやすい。
そこで、この発明では、第1および第2の作像部により第1および第2の像が転写された像担持体に駆動ローラーを巻き掛けることにより、像転写後の像担持体を駆動して転写ローラーとの当接位置に送り込むようにしている。また、像担持体を周回駆動する駆動ローラーは、転写ローラーと当接する像担持体を巻き掛けたローラーとは別体である。このため、像担持体に生じる速度変動が抑えられる。また、転写ローラーとの当接位置で像担持体に生じる振動は駆動ローラーへの巻き掛けによって遮断され、第1および第2の作像部による像担持体への像転写に振動が及ぶのを回避することができる。これらの構成により、この発明では、像担持体と転写ローラーとの当接位置を記録材が通過したり転写ローラーが凹部を有することに起因する像の乱れを防止することができる。特に、複数の作像部によって形成された像が像担持体上で互いにずれるのを効果的に防止することができる。
上記したように、この発明では、像が転写された後の像担持体が駆動ローラーに巻き掛けられて駆動され、転写ローラーとの当接位置に送り込まれるとの構成を採っている。言い換えれば、駆動ローラーは、第2の像が転写された像担持体を巻き掛ける位置に配設されるとともに、ローラーは駆動ローラーに巻き掛けられて駆動された像担持体を巻き掛ける位置で、像担持体を巻き掛けている。すなわち、第1および第2の作像部により像が転写される位置、駆動ローラーの巻き掛け位置、転写ローラーと対向するローラーの巻き掛け位置が、像担持体の移動方向に沿ってこの順番で並んでいる。第1および第2の作像部からの像転写位置と、記録材への像転写位置との間で駆動ローラーに像担持体を巻き掛けることにより、この発明では、像担持体に生じる振動が第1および第2の作像部による像転写に影響を及ぼすことが防止されている。
この発明では、転写ローラーの凹部と異なる周面の周長は記録材の記録材の搬送方向長さよりも長くするとともに、像担持体を巻き掛けたローラーを転写ローラーへ付勢する付勢部を備えてもよい。ローラーを転写ローラーに向けて付勢することにより、像担持体と転写ローラーとの間を通過する記録材に高い押圧力を与えて像の転写効率を高めることができる。また、像担持体と転写ローラーとの間を通過する記録材の搬送方向に沿った長さよりも、像担持体の凹部と異なる周面の周長を長くすることにより、記録材が通過する間、一定の押圧力を記録材に与えることができる。
記録材の長さよりも長い周長を有する転写ローラーは必然的に大径となるのに対し、像担持体を巻き掛けるローラーについてはより小径のものを用いることが可能である。したがって、大径で重量のある駆動ローラーに付勢部を設けるよりも、より小径のローラーを付勢することで押圧力を得るのが構造上も現実的であり、またローラーの動きに起因する振動も小さくすることができる。また、こうすることで転写ローラーの回転軸を遥動させる必要がなくなるので、駆動部から転写ローラーへの駆動力の伝達機構の構成も簡素化することができる。
また、凹部の転写ローラー回転方向の開口幅が、転写ローラーの周面が像担持体と記録材を介して当接して形成される転写ニップの転写ローラー回転方向のニップ幅よりも広い場合には、凹部が像担持体と対向する時に、転写ローラーと像担持体との間の距離を規制する規制部材を備えるようにしてもよい。転写ニップのニップ幅よりも広く開口する凹部を有する転写ローラーと像担持体とが互いに当接する構成では、凹部と異なる周面が像担持体に押圧されて転写ニップを形成した状態と、凹部が像担持体に対向し転写ニップが解消された状態との間で、転写ローラーと像担持体との間の距離が異なることがある。特に上記したように付勢部材を有する構成においてはこの問題が顕著であり、大きな振動を生じることがある。このような場合には、凹部が像担持体と対向する時に転写ローラーと像担持体との間の距離を規制する規制部材を設けることによって、像担持体と転写ローラーとの距離を一定に維持し振動の発生を抑えることができる。
また、駆動ローラーが像担持体を巻き掛ける巻き掛け位置と、ローラーが像担持体を巻き掛ける巻き掛け位置との間で、像担持体に当接して該像担持体の張力を調整するテンションローラーを備えてもよい。こうすることで、転写ローラーとの当接位置で像担持体に生じて駆動ローラーの巻き掛け位置に到達する振動がテンションローラーによって減衰されるので、第1および第2の作像部による像担持体への像転写に振動の影響が及ぶのをより確実に防止することができる。
また、像担持体の移動方向上流側における、ローラーに巻き掛けられた像担持体の張架方向は、転写ローラーと像担持体との当接位置における転写ローラー表面の接線方向と一致または略一致するように構成されてもよい。言い換えれば、転写ローラーと像担持体との当接位置からみて像担持体の移動方向上流側では、像担持体が当該当接位置における転写ローラーの接線方向またはこれと略同一の方向に向かって延びるように、像担持体を張架した構成としてもよい。このようにすると、像担持体がほぼ平面状態を保ったまま転写ローラーとの当接位置に送り込まれるので、像担持体の屈曲に起因する像担持体上の像の歪みがない状態で像が記録材に転写され、さらに像の品質を向上させることができる。
また、この発明にかかる転写装置は、上記課題を解決するため、像が転写されるベルト状の像担持体と、前記像が転写された前記像担持体を巻き掛けて、前記像担持体を周回駆動する駆動ローラーと、前記駆動ローラーにより駆動される前記像担持体を巻き掛けるローラーと、周面の一部に凹部を有するとともに、前記周面が前記ローラーに巻き掛けられた前記像担持体と記録材を介して当接して駆動する転写ローラーと、前記凹部に配設され、前記像が転写される前記記録材を把持する把持部とを備えている。このように構成された発明では、上記した画像形成装置の発明と同様に、像担持体に生じる振動が像担持体への像転写に影響を及ぼすことが防止される。
図1は本発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するコントローラー10に与えられると、このコントローラー10が装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録材RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される、感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成する露光ユニット23と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像ユニット24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、該トナー像を転写ユニット3の中間転写ベルト31に一次転写する一次転写ユニットと、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットと、クリーナーブレードとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
帯電器22は感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、この帯電器22には、従来周知慣用のコロナ帯電器を用いることができる。コロナ帯電器にスコロトロン帯電器を用いた場合には、スコロトロン帯電器のチャージワイヤには負のワイヤ電流が流されるとともに、グリッドには直流(DC)のグリッド帯電バイアスが印加される。帯電器22によるコロナ放電で感光体ドラム21が帯電されることで、感光体ドラム21の表面の電位が略均一の電位に設定される。
露光ユニット23は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームにより感光体ドラム21表面を露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。この露光ユニット23としては、半導体レーザからの光ビームをポリゴンミラーにより主走査方向に走査させるもの、あるいは発光素子を主走査方向に配列したラインヘッド等により構成することができる。
こうして形成された静電潜像に対して現像ユニット24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。なお、この画像形成装置1の現像ユニット24では、キャリア液内にトナーを概略重量比20%程度に分散させた液体現像剤を用いてトナー現像が行われる。この画像形成装置1では、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)をキャリア液とした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性の樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形粒子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
第1スクイーズ部25および第2スクイーズ部26にはスクイーズローラーがそれぞれ設けられている。そして、各スクイーズローラーが感光体ドラム21の表面と当接してトナー像の余剰キャリア液やカブリトナーを除去する。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26により余剰キャリア液やカブリトナーを除去しているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
スクイーズ部25、26を通過してきたトナー像は一次転写ユニットにより中間転写ベルト31に一次転写される。この中間転写ベルト31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。このうちローラー32はベルト駆動モーターM3に機械的に接続されて、中間転写ベルト31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。図2に示すように、この画像形成装置ではベルト駆動モーターM3を駆動させるためにドライバー11が設けられており、ドライバー11は、コントローラー10から与えられる指令パルスに応じた駆動信号をベルト駆動モーターM3に出力する。これにより、ベルト駆動ローラー32は指令パルスに対応する周速度で回転し、中間転写ベルト31の表面は一定の速度で方向D31に周回移動する。なお、同図中の符号E3はベルト駆動モーターM3に取り付けられたエンコーダーであり、ベルト駆動モーターM3の回転に対応する信号をドライバー11に与え、これを受け取ったドライバー11は上記信号に基づきベルト駆動モーターM3をフィードバック制御する。
詳しくは後述するが、中間転写ベルト31を掛け渡されたローラー32ないし35のうち、モーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写ベルト31を巻き掛けている。
一次転写ユニットは一次転写バックアップローラー271を有しており、一次転写バックアップローラー271は中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体21と中間転写ベルト31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写ベルト31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写ベルト31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写ベルト31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写ベルト31へのトナー像転写が行われる。
こうして中間転写ベルト31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写ベルト31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写ローラー4が中間転写ベルト31を挟んで対向配置されており、中間転写ベルト31表面と転写ローラー4表面とが互いに当接して転写ニップNPを形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写ベルト31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
二次転写位置TR2においては、中間転写ベルト31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録材RMに転写される。なお、この実施形態では、液体現像剤を用いてトナー像を形成する湿式現像方式でトナー像を形成しているので、良好な転写特性を得るために、転写ニップにおいては中間転写ベルト31に対し記録材RMが高い押圧力で押圧されることが望まれる。また、液体現像剤を介在させるため、記録材RMが中間転写ベルト31に貼り付きジャムとなる可能性が高い。そこで、この画像形成装置1では、後で詳述するように把持部を有する二次転写ローラー4が用いられている。
トナー像が二次転写された記録材RMは、二次転写ローラー4から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録材RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録材RMへのトナー像の定着が行われる。
図3は二次転写ローラーの構成を示す図である。より詳しくは、図3(a)は二次転写ローラー4の全体構成を示す斜視図であり、図3(b)は度当て部材47の形状を説明するための図である。図1および図3(a)に示すように、二次転写ローラー4は、円筒の外周面の一部を切り欠いてなる凹部41が設けられたローラー基材42を有している。このローラー基材42では、回転軸4210中心に方向D4に回転自在の回転シャフト421が二次転写バックアップローラー34の回転軸と平行または略平行に配置されている。
また、当該回転シャフト421の両端部に側板422、422がそれぞれ取り付けられている。より詳しくは、これらの側板422、422はいずれも円盤形状の金属プレートに対して切り欠き部422aを設けた形状を有している。そして、図3に示すように切欠部422a、422aが互いに対向しながら中間転写ベルト31の幅よりも少し長い距離だけ離間して回転シャフト421に取り付けられている。こうして、全体的にはドラム形状を有するものの、その外周面の一部に回転シャフト421と平行または略平行に延びる凹部41を有する、ローラー基材42が形成されている。
また、ローラー基材42の外周面、つまり金属プレート表面のうち凹部41の内部に相当する領域を除く表面領域にゴムや樹脂などの弾性層43が形成されている。この弾性層43はバックアップローラー34に巻き掛けられた中間転写ベルト31と対向して転写ニップNPを形成する。転写ニップNPでは、バックアップローラー34が押圧部345により二次転写ローラー4側に付勢されて、二次転写ローラー4とバックアップローラー34に巻き掛けられた中間転写ベルト31との間に所定の荷重(この実施形態では60kgf)が付加されている。
また、凹部41の内部には、記録材RMを把持するための把持部44が配設されている。この把持部44は、凹部41の内底部からローラー基材42の外周面に立設されたグリッパ支持部材441と、グリッパ支持部材441の先端部に対して接離自在に支持されたグリッパ部材442とを有している。また、グリッパ部材442はグリッパ駆動部(図示省略)と接続されている。そして、コントローラー10からのアングリップ指令を受けてグリッパ駆動部が作動することでグリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部から離間して記録材RMの把持準備や把持開放を行う。一方、コントローラー10からのグリップ指令を受けてグリッパ駆動部が作動することでグリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部に移動して記録材RMを把持する。なお、把持部44の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、従来より公知の他の把持機構を採用してもよい。
二次転写ローラー4の両端部では、各側板422の外側面に支持部材46が取り付けられており、ローラー基材42と一体的に回転可能となっている。また、支持部材46には凹部41に対応して平面領域461が形成されている。そして、平面領域461に転写ローラー側度当て部材470がそれぞれ取り付けられている。度当て部材470では、基台部位471が支持部材46に取り付けられるとともに、基台部位471から度当て部位472が平面領域461の法線方向に延設されており、度当て部位472の先端部は凹部41の開口側端部の近傍まで延びている。つまり、回転シャフト421の端部からローラー基材42を見ると、度当て部材470が凹部41を塞ぐように配置されている。したがって、二次転写ローラー4の回転によって凹部41が中間転写ベルト31と対向する位置に到達した場合には、度当て部材470が二次転写バックアップローラー34の端部表面に当接する。
また、度当て部位472の先端周面は、図3(b)に示すように、先端側の周面中央部の曲率Rctが両端部の曲率Rrs、Rlsよりも大きくなるように形成されている。例えば本実施形態では、弾性層43を含めたローラー基材42のローラー外径は約191mmに設定されるのに対し、曲率Rctは88.2mmに設定され、両端部の曲率Rrs、Rlsはともに22.4mmに設定されている。度当て部位47の中央部の曲率中心CCはローラー基材42の回転軸、つまり回転シャフト421の中心軸4210に配置されており、また中央部の角度範囲αは凹部41の開口範囲(60゜)よりも若干広い63゜に設定されている。このため、二次転写ローラー4が回転した際に当該角度範囲αにわたって凹部41が駆動ローラー32に巻き掛けられた中間転写ベルト31に対向する。
また、ローラー基材42の回転方向D4に沿った凹部41の開口部長さ(開口幅)W41は、
191×π×(60/360)≒100mm
である。一方、角度範囲β(=360゜−60゜)で次に説明するようにして弾性シート43が上記中間転写ベルト31に対向してニップNPを形成し、ローラー基材42の回転方向D4に沿った弾性層43の長さは、
191×π×{(300/360}≒500mm
に設定されている。これは、この装置1において使用可能な記録材RMのうち最も大きなサイズのものを巻き付けることができるようにしたものである。すなわち、弾性層43の長さは、使用可能な記録材のうちローラー基材42の回転方向D4に沿った長さが最大であるものの長さよりも長くなるように定められている。
191×π×(60/360)≒100mm
である。一方、角度範囲β(=360゜−60゜)で次に説明するようにして弾性シート43が上記中間転写ベルト31に対向してニップNPを形成し、ローラー基材42の回転方向D4に沿った弾性層43の長さは、
191×π×{(300/360}≒500mm
に設定されている。これは、この装置1において使用可能な記録材RMのうち最も大きなサイズのものを巻き付けることができるようにしたものである。すなわち、弾性層43の長さは、使用可能な記録材のうちローラー基材42の回転方向D4に沿った長さが最大であるものの長さよりも長くなるように定められている。
なお、この実施形態では、ローラー基材42の回転方向D4に沿ったニップNPの長さ(ニップ幅)Wnpは11mm程度であり、
(凹部41の開口幅W41)>(ニップNPでのニップ幅Wnp)
の関係を有している。したがって、二次転写ローラー4の凹部41が中間転写ベルト31と対向した状態では、一時的に転写ニップが消失することになる。
(凹部41の開口幅W41)>(ニップNPでのニップ幅Wnp)
の関係を有している。したがって、二次転写ローラー4の凹部41が中間転写ベルト31と対向した状態では、一時的に転写ニップが消失することになる。
このこと、および、二次転写バックアップローラー34が二次転写ローラー4に対して近接および離間移動可能に構成されていることから、二次転写ローラー4の凹部41が中間転写ベルト31と対向した状態では二次転写ローラー34が二次転写ローラー4側に変位してしまう可能性がある。度当て部材47はこのような二次転写ローラー34の変位を規制する作用を有している。
図4はこの実施形態における度当て部材の作用を説明する図である。より詳しくは、図4(a)は、凹部41が二次転写位置TR2に臨んでいるときの度当て部材47を軸方向から見た図であり、図4(b)はこれを軸方向に直交する方向から見た図である。図4(a)に示すように、度当て部材47の外周面の形状は、二次転写ローラー4の凹部41に臨む領域において二次転写ローラー4の回転中心4210を中心とする略円弧形状となっている。一方、二次転写バックアップローラー34の端部には、該二次転写バックアップローラー34の直径よりも大きな外径を有し、二次転写バックアップローラー34と同軸でかつこれとは独立して回転自在のベアリング342が設けられている。そして、二次転写ローラー34の度当て部材47が二次転写ローラー34側に向いているときには、度当て部材47の外周面とベアリング342の外周面とが互いに当接することにより、押圧部345の付勢力に抗して二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31表面との間隔を規定している。
凹部41が二次転写位置TR2に位置し度当て部材47がベアリング342と当接しているときの二次転写ローラー4の回転中心4210から中間転写ベルト31までの間隔R0は、弾性層43が形成された二次転写ローラー4の半径Rrよりも若干小さくなるように設定されている。より厳密には、二次転写位置TR2に転写ニップNPが形成された状態における二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔と同じになるように、間隔R0が設定される。転写ニップNPが形成されているとき、弾性層43が押圧部345の押圧力により弾性変形するため、二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔は、押圧力が加わっていない状態における二次転写ローラー4の半径Rrよりも若干小さくなっている。この状態、つまり転写ニップNPが形成された状態における二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔がR0である。したがって、この実施形態では、二次転写ローラー4の回転位相に関わりなく、二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔はほぼ一定値R0に保持される。
二次転写ローラー4の回転シャフト421に対して、転写ローラー駆動モーターM4が機械的に接続されている。また、本実施形態では、転写ローラー駆動モーターM4を駆動させるためにドライバー12が設けられている。ドライバー12は、コントローラー10から与えられる指令に応じてモーターM4を駆動して二次転写ローラー4を図1紙面において時計回りの方向D4、つまりベルト移動方向D31に対しウィズ方向に回転駆動する。二次転写バックアップローラー34は、それ自身は駆動源を有しない従動ローラーである。モーター駆動される二次転写ローラー4に対向する二次転写バックアップローラー34を従動ローラーとすることで、転写ニップNPにおける二次転写ローラー4と中間転写ベルト31との間、あるいは中間転写ベルト31と二次転写バックアップローラー34との間での滑りを防止することができる。
本実施形態では、モーターM4としてACサーボモーターを用いるとともに、当該ACサーボーモーターをドライバー12により位置制御したり、トルク制御することができるように構成されている。すなわち、ドライバー12は位置制御回路およびトルク制御回路を有しており、位置制御およびトルク制御を選択的に実行可能となっている。このドライバー12に対し、コントローラー10は位置情報に関連する指令パルス、トルク情報に関連する指令トルクおよび制御切替信号を入力可能となっている。
なお、図2中の符号E4は転写ローラー駆動モーターM4に取り付けられたエンコーダーであり、転写ローラー駆動モーターM4の回転に対応する信号をドライバー12に与え、これを受け取ったドライバー12は上記信号に基づき当該モーターM4をフィードバック制御する。また、符号8は二次転写ローラー4の回転シャフト421の一方端部に連結された位相検出センサーであり、コントローラー10はこの位相検出センサー8の出力から、二次転写ローラー4の回転位相を把握することができる。
図1に戻って、装置構成の説明を続ける。中間転写ベルト31を掛け渡されたローラーのうち、ベルト駆動ローラー32と二次転写バックアップローラー34との間、つまりベルト移動方向D31においてベルト駆動ローラー32の巻き掛け位置よりも下流側で、かつ二次転写バックアップローラー34の巻き掛け位置よりも上流側に設けられた従動ローラー33は、その回転軸がバネ331によって弾性的に支持されて中間転写ベルト31の張力を調整するテンションローラーである。より詳しくは、テンションローラー33の回転軸は、駆動ローラー32の外周面と二次転写バックアップローラー34の外周面との双方に接する仮想的な平面に略直交する方向に伸縮自在のバネ331によって弾性的に支持されており、これにより、テンションローラー33は、中間転写ベルト31を巻き掛けられた状態で同方向に所定量移動自在となっている。そして、定常状態では、ベルト駆動ローラー32と二次転写バックアップローラー34との間に張架された中間転写ベルト31を外側に向けて押し広げるように、テンションローラー33はバネ331によって付勢されている。
二次転写位置TR2においては、二次転写ローラー4の回転に伴って中間転写ベルト31と対向する二次転写ローラー4の表面が弾性層43から凹部41に切り替わるときや、これとは逆に凹部41から弾性層43に切り替わるときに、ベルト駆動ローラー32を駆動するベルト駆動モーターM3の負荷トルクが大きく変動する。弾性層43と中間転写ベルト31との間に高い押圧力が印加されている場合には特に変動が大きい。これに起因して中間転写ベルト31の速度変動や振動が生じ、ベルト31の張力が一時的に変化することが考えられる。
しかしながら、この実施形態では、中間転写ベルト31の張架方向に沿ってベルト駆動ローラー巻き掛け位置と二次転写位置TR2との間に設けられたテンションローラー33が、その回転軸を移動させることによって張力の変動を打ち消すように作用する。このため、二次転写位置TR2における中間転写ベルト31の速度変動や振動が各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kに対応する一次転写位置TR1に及ぶのが防止される。一次転写位置TR1における中間転写ベルト31の速度変動や振動は、画像形成ステーションから転写されるトナー像を乱し画像品質を低下させてしまう。例えば、各色のトナー像が互いにずれた位置で重ね合わされてしまうと色ずれの原因となる。しかしながら、この実施形態ではこのような像形成への影響が未然に防止されている。
テンションローラー33は、中間転写ベルト31の内側、つまり中間転写ベルト31の像担持面である表面とは反対側の裏面側から中間転写ベルト31に当接している。その理由は以下の通りである。まず、像担持面の反対側に当接することにより、テンションローラー33が中間転写ベルト31に担持されるトナー像を乱したり、逆に中間転写ベルト31に残留付着するトナー等によって汚されることがない。また、テンションローラーによる張力の調整効果を大きくするためには中間転写ベルト31の巻き掛け角を大きく取ることが有効であるが、テンションローラーを像担持面に当接させ、しかも巻き掛け角を大きくしようとすると、中間転写ベルト31の表面に負の大きな曲率を持たせる必要があり、トナー像への影響が懸念され、構造的にも問題がある。これらの理由から、テンションローラー33は中間転写ベルト31の裏面に当接するようにしている。
また、中間転写ベルト31の搬送方向D31における二次転写位置TR2の下流側に設けられたローラー35、36のうち一方のローラー36に対向して、ベルトクリーニングユニット39が設けられている。より詳しくは、ベルトクリーニングユニット39は、ローラー36に巻き掛けられた中間転写ベルト31の表面に当接して残留キャリア液やトナーなどの付着物を除去するためのベルトクリーニングローラー391と、該ベルトクリーニングローラー391の付着物を掻き取るブレード392とを備えている。さらに、クリーニングローラー391よりも下流位置には、中間転写ベルト31に離当接自在に構成され、ベルトクリーニングローラー391が除去しきれなかった残留物を最終的に除去するベルトクリーニングブレード393が設けられている。
ベルトクリーニングローラー391には、トナーの帯電極性(正極性)と反対極性である負極性のバイアス電位、例えば(−400)〜(−600)V程度の負電位が印加されている。この電位の作用により、ベルトクリーニングローラー391は、二次転写位置TR2において記録材RMに転写されず中間転写ベルト31上に残留した正帯電トナーを静電的に吸着する。
次に、上記のように構成された画像形成装置1の動作について図5および図6を参照しつつ説明する。図5は図1の画像形成装置の動作例を示すタイミングチャートである。また、図6は図1の画像形成装置の動作を模式的に示す図である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置からカラー画像を形成する旨の画像形成指令がコントローラー10に与えられると、このコントローラー10は図示を省略するメモリー内に記憶されているプログラムにしたがって装置各部を制御する。まず、ベルト駆動モーターM3および転写ローラー駆動モーターM4が作動して中間転写ベルト31および二次転写ローラー4をそれぞれ駆動する。
二次転写ローラー4に設けられた位相検出センサー8(図2)は、二次転写位置TR2において中間転写ベルト31に対向する二次転写ローラー4表面が弾性層43を有する円筒状の周面から凹部41に切り替わるとき、および、凹部41から弾性層43に切り替わるときのそれぞれに、一時的にHレベルの信号を出力する。コントローラー10は当該信号レベルの変化に基づきドライバー12による二次転写ローラー4の駆動制御態様を位置制御とトルク制御に交互に切り替える。より具体的には、二次転写ローラー4の凹部41が中間転写ベルト31に対向しているときには位置制御、弾性層43が中間転写ベルト31に対向して転写ニップNPが形成されているときにはトルク制御が行われる。なお、ベルト駆動モーターM3については常に位置制御が行われ、中間転写ベルト31の表面は所定の移動速度で周回移動する。
タイミングtA0で位相検出センサー8の出力が変化し、二次転写位置TR2に臨む二次転写ローラー4が凹部41から弾性層43に変化して転写ニップNPが形成されるとき、コントローラー10は制御切替信号によりドライバー12による駆動制御態様をトルク制御に切り替えるとともに指令トルクをドライバー12に与えて二次転写ローラー4をトルク制御する。また、当該タイミングtA0を露光開始起点とし、各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kでトナー像を形成し、中間転写ベルト31の表面にトナー像を一次転写していく。
つまり、図5に示すように、タイミングtA0から時間Taが経過すると、コントローラー10からの各種信号に基づき画像形成ステーション2Yで露光ユニット23による潜像形成が開始され、イエロートナーによるトナー像が形成される。また、イエロー用露光が開始されてから時間Tbが経過すると、マゼンタ用露光が開始され、またマゼンタ用露光開始から時間Tcが経過すると、シアン用露光が開始され、またシアン用露光開始から時間Tdが経過すると、ブラック用露光が開始される。こうして、各色のトナー像が形成されるとともに、中間転写ベルト31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像TIが中間転写ベルト31の表面上に形成される。
こうして各色のトナー像を形成している間に、二次転写ローラー4は回転方向D4にさらに1周回転し、いったん解消された転写ニップNPが再び形成される。このタイミングtA1から所定時間Teが経過すると、コントローラー10はゲートローラー51に接続されたゲートローラー駆動モーター(図示省略)を制御するドライバー(図示省略)に指令パルスを入力してゲートローラー駆動モーターを作動させる。これにより二次転写位置TR2への記録材RMの搬送が開始される(図6(a))。
また、二次転写位置TR2に臨む二次転写ローラー4が凹部41に変化して転写ニップが解消されると、当該タイミングtB2でコントローラー10は制御切替信号によりドライバー12による駆動制御態様をトルク制御から位置制御に切り替えるとともに指令パルスをドライバー12に与える。これにより、二次転写ローラー4が回転方向D4に回転して、所定の記録材把持位置(図6(b))に移動する。また、グリッパ部材442の先端部がグリッパ支持部材441の先端部から離間させられて記録材RMの把持準備が完了する。そして、ゲートローラー51により送られてくる記録材RMの先端部がグリッパ部材442とグリッパ支持部材441との間に進入し、紙銜え動作が開始される(図6(b))。なお、ここでは説明の便宜上「紙銜え動作」と称しているが、記録材RMは紙に限定されないことは前記した通りである。
コントローラー10はタイミングtB2と同時または若干遅れてグリッパ駆動部(図示省略)に把持指令を与える。この把持指令を受けてグリッパ駆動部が作動してグリッパ部材442の先端部をグリッパ支持部材441の先端部に移動させる。これによって、記録材RMの先端部が把持され、「紙銜え動作」が完了する(図6(c))。なお、この「紙銜え動作」の完了時点では、図6(c)に示すようにトナー像TIは中間転写ベルト31表面の移動方向D31における二次転写位置TR2の上流側に位置している。
こうして記録材RMはその先端部を把持部44により把持されたまま二次転写ローラー4とともに回転方向D4に搬送される。そして、二次転写ローラー4表面の弾性層43が二次転写位置TR2に到達し転写ニップNPが形成開始されるタイミングtA2では、記録材RMは二次転写ローラー4の弾性層43と中間転写ベルト31表面との間の転写ニップNPに挟持され、これらの回転に伴って搬送される。これにより中間転写ベルト31に形成されたトナー像TIの記録材RMの下面(表面)への二次転写が開始される(図6(d))。また、このタイミングtA2でコントローラー10は制御切替信号によりドライバー12による駆動制御態様をトルク制御に切り替えるとともに指令トルクをドライバー12に与えて二次転写ローラー4をトルク制御する。
こうしてトルク制御されながら二次転写ローラー4は回転方向D4に回転し、それに伴って記録材RMは先端部を把持部44で保持された状態のまま転写ニップNPの間を通過してトナー像TIの二次転写が進行していく。そして、把持部44が搬送ローラー7の上流側端部(図1の右端側端部)の近傍位置まで移動してくると、この把持部44に保持されている記録材先端部は中間転写ベルト31から十分に分離されて搬送ローラー7の搬送入り口まで搬送されてきている。図6(e)に示すように、把持部44が搬送ローラー7の上流側端部の近傍に移動してきたタイミングでコントローラー10はグリッパ駆動部にリリース指令を与え、グリッパ部材442の先端部をグリッパ支持部材441の先端部から離間させて記録材RMの把持を解除する。これにより記録材RMの先端部は、中間転写ベルト31表面に貼り付くことなく確実に定着ユニット7に送り込まれる(図6(f))。そして、定着ユニット7によりカラートナー像TIの記録材RMへの定着が行われる。なお、リリース後については、記録材の先端側は搬送経路PTに沿って定着ユニット側に搬送されるとともに、記録材RMの後端側は転写ニップNPで二次転写ローラー4の弾性層43と中間転写ベルト31とで挟持搬送されながら二次転写処理が実行される。
このように、この実施形態では、複数の画像形成ステーション2Y,2M,2C,2Kで作像された像を複数のローラー32〜36に掛け渡された中間転写ベルト31に一次転写して重ね合わせ、これらの画像形成ステーションによる作像位置(すなわち一次転写位置TR1)とは異なる位置で、中間転写ベルト31に二次転写ローラー4を当接させて形成した転写ニップNPに記録材RMを通過させることにより、像を記録材RMに二次転写している。
この間、二次転写ローラー4の回転中心4210と中間転写ベルト31との間隔はほぼ一定値R0に保たれる。ただし、中間転写位置TR2に位置する二次転写ローラー4の表面が凹部41から弾性層43に切り替わるタイミング、これとは逆に弾性層43から凹部41に切り替わるタイミングおよび記録材RMの後端部が転写ニップNPを通過するタイミングについては、二次転写ローラー4が当接する対象が変化することになる。また、中間転写位置TR2に位置する二次転写ローラー4の表面が凹部41から弾性層43に切り替わる際には二次転写ローラー4を回転させるトルクに加えて弾性層43を弾性変形させるためのトルクが必要となる。一方、逆に弾性層43から凹部41に切り替わる際には弾性層43を変形させるトルクが不要となる。これらの要因のため、二次転写ローラー駆動モーターM4の負荷トルクに変動が生じることは避けられない。
また、中間転写ベルト31から見れば、その表面に二次転写ローラー4の弾性層43が当接している間は二次転写ローラー駆動モーターM4の駆動力が二次転写ローラー4を介して間接的に伝達されているのに対し、二次転写ローラー4の凹部41が対向する時にはその力の伝達が遮断される。これらに起因して、上記各タイミングでは、複数のローラー32〜36に掛け渡された中間転写ベルト31に振動が生じることがある。このような振動が一次転写位置TR1に伝達されてしまうと、一次転写位置TR1における像形成が乱される可能性がある。
特に、二次転写ローラー4と対向する位置にある二次転写バックアップローラー34を中間転写ベルト32を周回駆動するための駆動ローラーとしたときには、二次転写ローラー4と二次転写バックアップローラー34との僅かな速度差(より厳密には二次転写ローラー4と中間転写ベルト31との表面の周速差)であっても中間転写ベルト31の滑りや振動の原因となりうる。二次転写ローラー4表面に設けた弾性層43および中間転写ベルト31自身が弾性変形することから、二次転写ローラー4と中間転写ベルト31との周速差を完全になくすことは極めて困難である。
互いに対向する二次転写ローラーとバックアップローラーとを独立して駆動すると、両者が互いに干渉したり二次転写ローラーと中間転写ベルトとの間で滑りを生じるおそれがある。また、転写ニップNPに記録材RMが存在する時としない時との間で、摩擦係数の違いに起因する速度ムラが発生しうる。これに対し、バックアップローラー以外のローラーをベルト駆動ローラーとすれば、このような問題を回避することができる。そこで、この実施形態では、二次転写バックアップローラー34は従動ローラーとし、これとは異なるローラー32をベルト駆動ローラーとしている。
また、一次転写位置TR1と二次転写位置TR2との間で中間転写ベルト31をベルト駆動ローラー32に巻き掛けることにより、二次転写位置TR2で生じる中間転写ベルト31の振動をベルト駆動ローラー32への巻き掛けによって抑え込み、一次転写位置TR1に伝達されるのを防止することが可能である。すなわち、モーターM3によって駆動されるベルト駆動ローラー32は、二次転写位置TR2で生じた振動を遮断する機能も有する。
また、この実施形態では、二次転写ローラー4の回転軸を固定する一方、二次転写バックアップローラー34の回転軸を二次転写ローラー4に向けて付勢しておくことにより、中間転写ベルト31に当接する二次転写ローラー4の表面が凹部41と弾性層43との間で切り替わるときや記録材RMが転写ニップNPを抜けるときの衝撃を、バックアップローラー34の変位によって吸収することができる。
なお、二次転写バックアップローラー34ではなく二次転写ローラー4の回転軸を揺動させることによっても、原理的には衝撃を吸収することは可能である。しかしながら、二次転写ローラー4はその周長が記録材RMの長さ以上を必要とするので大型で必然的に重くなり、このような重量物を変位させることは装置全体に振動を生じさせる可能性がある。またモーターの駆動力を伝達するための機構を連結する必要もあることから、二次転写ローラー4の回転軸を揺動させることは現実的でない。
これに対して、このような寸法上の制約がなくより小径に構成することができ、また駆動機構を持たない従動ローラーである二次転写バックアップローラー34の回転軸を揺動させることにより、このような大規模な振動の発生を抑えることが可能となる。
前述した従来技術のようにドラム状の中間転写体を用いる構成においては、転写ローラー、中間転写ドラムいずれも大型となり、また中間転写ドラムの振動は直接像形成に影響を及ぼすことになるため、このような構成は取り得ない。
なお、二次転写バックアップローラー34の回転軸を揺動させる本実施形態の構成では、その揺動が直接中間転写ベルト31を振動させることにもなり得る。この実施形態では一次転写位置TR1と二次転写位置TR2との間で中間転写ベルト31にベルト駆動ローラー32を当接させることで振動を遮断するほか、中間転写ベルト31をベルト駆動ローラー32に巻き掛けた巻き掛け位置と二次転写位置TR2との間で中間転写ベルト31にテンションローラー33を当接させることで、二次転写位置TR2での振動がベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置に伝わること自体を抑えるようにしている。
また、ベルト移動方向D31における二次転写位置TR2の下流側では、最も上流側に位置する画像形成ステーション2Yに対応する一次転写位置TR1yまでのベルト周長を長く取るとともに、その間に2個の従動ローラー35、36を設けることにより、振動の遮断を図っている。
次に、この発明にかかる画像形成装置の第2実施形態について、図7を参照して説明する。この実施形態では、上記した第1実施形態の装置と大きく異なっている点が後述するように2点ある。ただし、これらの点を除けば、基本的な構成および動作は同じである。そこで、以下では、第1実施形態とは相違する第2実施形態の特徴について主に説明し、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図7はこの発明にかかる画像形成装置の第2実施形態を示す図である。この実施形態の装置1aにおいて第1実施形態と異なる第1の特徴は、第1実施形態において二次転写位置TR1の下流側に設けられていた従動ローラー35が省かれている点である。そして、第2の特徴は、中間転写ベルト31をベルト駆動ローラー32に巻き掛けた巻き掛け位置と二次転写位置TR2との間に、テンションローラー33に代えて通常の従動ローラー37が設けられ、しかもその配設位置が変更されている点である。
従動ローラー37は、ベルト搬送方向D31における転写ニップNPの上流側での中間転写ベルト31の張架方向が、転写ニップNP、特にそのうちの上流側端部における二次転写ローラー4周面の接線Ltの方向と一致または略一致する方向となるように配設される。言い換えれば、中間転写ベルト31表面のうち、従動ローラー37と二次転写バックアップローラー34とに掛け渡された間の範囲Raがなす平面は、転写ニップNPの上流側端部における二次転写ローラー4周面の接平面と一致または略一致している。このような関係となるように、従動ローラー37の配設位置が設定される。
このようにすると、中間転写ベルト31は略平面状態を維持したまま転写ニップNPに送り込まれてくることとなるので、ベルト31上に担持されるトナー像がベルトの屈曲に起因して歪んでしまうことが防止される。そのため、歪みのないトナー像を記録材に転写することが可能となり、記録材上の画像品質をより向上させることが可能となる。
一方、二次転写バックアップローラー34への中間転写ベルト31の巻き掛け量を大きく取って転写ニップNPを通過する記録材に十分な圧力を加えるとの見地から、二次転写位置TR2の下流側では、中間転写ベルト31の張架方向をより二次転写ローラー4から遠ざかる方向とする必要があり、このために第1実施形態の従動ローラー35に相当するローラーを省いている。
このような構成によれば、前述した第1実施形態の効果に加えて、上記のように画像品質の向上を図ることが可能となる。なお、図7の構成では、ベルト搬送方向D31における転写ニップNPの上流側での中間転写ベルト31の張架方向が略水平となるようにしているが、このことは必須の要件というわけではない。
以上説明したように、上記各実施形態においては、中間転写ベルト31が本発明の「像担持体」として機能する一方、二次転写ローラー4が本発明の「転写ローラー」として機能している。また、ベルト駆動ローラー32および二次転写バックアップローラー34がそれぞれ本発明の「駆動ローラー」および「ローラー」として機能している。また、転写ローラー駆動モーターM4が本発明の「駆動部」として機能している。また、画像形成ステーション2Y,2M,2C,2Kが本発明における「第1および第2の作像部」として機能している。
また、これらの実施形態では、把持部44が本発明における「把持部」として機能しており、第1実施形態におけるテンションローラー33が本発明の「テンションローラー」として機能している。また、これらの実施形態では、押圧部45が本発明の「付勢部」として機能する一方、度当て部材47が本発明の「規制部材」として機能している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1実施形態ではローラー33をテンションローラーとする一方、第2実施形態ではローラー37をテンションローラーでない通常の従動ローラーとしているが、第1実施形態におけるローラー33をテンションローラーでないものとしたり、第2実施形態におけるローラー37をテンションローラーとしてもよい。また、その他の従動ローラー35、36についても、必要に応じてテンションローラーとしてもよい。
また、例えば上記各実施形態では、中間転写ベルト31の張架方向に沿って4個の画像形成ステーションを一列に並べているが、画像形成ステーションの数や配置はこれに限定されるものではなく、2個以上の画像形成ステーションを備える画像形成装置全般に対して本発明を適用することができる。
また、上記各実施形態では、中間転写ベルト31、ベルト駆動ローラー32、二次転写バックアップローラー34、二次転写ローラー4およびテンションローラー33,35などが一体として本発明の「転写装置」たる転写ユニット3を構成している。この場合において、転写ローラーや駆動ローラーを駆動する駆動源が転写ユニットに含まれることは必須ではなく、例えば、転写ユニットが装着されたときに、装置本体側に固定されたモーターが転写ローラーや駆動ローラーと係合することで駆動源として機能するように構成されてもよい。
さらに、上記各実施形態では、液体キャリア中にトナーを分散させた現像剤を用いる、いわゆる液体現像方式の画像形成装置であるが、本発明の適用対象は当該方式のものに限定されない。すなわち、現像方式に関わらず、図1に例示したように、円筒周面の一部が切り欠かれた表面形状を有する転写ローラーを中間転写ベルトに当接させる構造を有する画像形成装置全般に対して、本発明を適用することが可能である。
2Y,2M,2C,2K…画像形成ステーション(第1,第2の作像部)、 4…二次転写ローラー(転写ローラー)、 10…コントローラー、 31…中間転写ベルト(像担持体)、 32…ベルト駆動ローラー(駆動ローラー)、 34…二次転写バックアップローラー(ローラー)、 41…凹部、 44…把持部、 47…度当て部材(規制部材)、 M3…ベルト駆動モーター、 M4…転写ローラー駆動モーター(駆動部)、 NP…転写ニップ、 RM…記録材、 TR1…一次転写位置、 TR2…二次転写位置
Claims (6)
- 像を担持するベルト状の像担持体と、
前記像担持体に第1の像を転写する第1の作像部と、
前記第1の作像部により前記像を転写された前記像担持体に、第2の像を転写する第2の作像部と、
前記像担持体を巻き掛けて、前記像担持体を周回駆動させる駆動ローラーと、
前記像担持体を巻き掛けるローラーと、
周面の一部に凹部を有するとともに、前記周面が前記ローラーに巻き掛けられた前記像担持体と記録材を介して当接する転写ローラーと、
前記転写ローラーを回転駆動させる駆動部と、
前記凹部に配設され、前記記録材を把持する把持部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記駆動ローラーは、前記第2の像が転写された前記像担持体を巻き掛ける位置に配設されるとともに、
前記ローラーは前記駆動ローラーに巻き掛けられて駆動された前記像担持体を巻き掛ける位置に配設される請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記転写ローラーの前記凹部と異なる周面の周長は前記記録材の搬送方向の長さよりも長く、
前記ローラーを前記転写ローラーへ付勢する付勢部を備える請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記凹部の前記転写ローラーの回転方向の開口幅は、前記転写ローラーの前記周面が前記像担持体と前記記録材を介して当接して形成される転写ニップの前記転写ローラーの回転方向のニップ幅よりも広く、
前記凹部が前記像担持体と対向する時に、前記転写ローラーと前記像担持体との間の距離を規制する規制部材を備える請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記駆動ローラーが前記像担持体を巻き掛ける巻き掛け位置と、前記ローラーが前記像担持体を巻き掛ける巻き掛け位置との間で、前記像担持体に当接して該像担持体の張力を調整するテンションローラーを備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 像が転写されるベルト状の像担持体と、
前記像が転写された前記像担持体を巻き掛けて、前記像担持体を周回駆動する駆動ローラーと、
前記駆動ローラーにより駆動される前記像担持体を巻き掛けるローラーと、
周面の一部に凹部を有するとともに、前記周面が前記ローラーに巻き掛けられた前記像担持体と記録材を介して当接して駆動する転写ローラーと、
前記凹部に配設され、前記像が転写される前記記録材を把持する把持部と
を備えることを特徴とする転写装置。
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