JP5407493B2 - がんもどきの製造法 - Google Patents
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Description
(1)粉末状大豆蛋白素材、液体油及び水を含む原料を混練して大豆蛋白生地を調製し、成形後フライしてがんもどきを製造する方法において、大豆蛋白生地の原料として冷凍豆腐を使用し、かつ、フライを生地が膨化しない条件下で行うことを特徴とする、未膨化タイプのがんもどきの製造法、
(2)冷凍豆腐が、生地中5〜30重量%含まれる前記(1)記載の製造法、
(3)粉末状大豆蛋白素材、液体油、水及び冷凍豆腐を混練し、乳化させた後に、固形脂をさらに混合する前記(1)記載の製造法、
(4)魚肉すり身をさらに含む、前記(1)記載の製造法、である。
本発明のがんもどきは、未膨化タイプのがんもどきである。ここで本発明における「膨化」とは、がんもどきの生地がフライによって膨張し、スポンジ状の組織に変化することをいう。したがって、未膨化か否かは、生地がスポンジ状の組織に変化していないか否かにより区別される。更に詳しくは、生地の膨化度(フライ前の生地の厚みに対するフライ後の生地の厚みの割合)で表すことができ、本発明においては膨化度が100〜110%、好ましくは100〜105%、最も好ましくは100%である。生地の膨化度が100%を超えていても、110%以下の程度であれば生地はスポンジ状の組織にまでは変化していない。
本発明のがんもどきは大豆蛋白生地が主体として構成されるものであり、これを所望の形状・大きさに成形した後、フライ油でフライして得る。ここで大豆蛋白生地とは、粉末状大豆蛋白素材とこれを水和するのに十分な水(大豆蛋白原料のおよそ2.5〜8重量倍)と、さらに適当な重量倍の油脂とを均一に混練し、乳化させた乳化物を主体とするものである。
大豆蛋白生地に配合する粉末状大豆蛋白素材としては、脱脂大豆から得られ、固形分あたりの蛋白質含量が60%以上である濃縮大豆蛋白や分離大豆蛋白が好ましく、蛋白質含量が85%以上である分離大豆蛋白がより好ましい。
1.液体油
大豆蛋白生地に配合する油脂としては、大豆蛋白と水との乳化状態を形成させるために液体油が必須である。本発明において液体油とは、生地の調製時の温度において液体状態にある油脂を意味するものとする。より詳しくは、該温度においてSFC(Solid Fat Content:固体脂含量)が10%以下の油脂を意味する。したがって、同じ油脂であっても生地温度によって液体油に該当する場合と該当しない場合もある。生地の調製は、製造条件にもよるが通常は5〜30℃の範囲で行われる。このような温度範囲のいずれかで液体状態にある油脂としては、例えば大豆油、コーン油、綿実油、サフラワー油、ヒマワリ油、ナタネ油、オリーブ油、米油、パーム分別油などが挙げられる。
大豆蛋白生地に含有させる油脂として、さらに固形脂を加えることがより好ましい。これによって生地に適度な硬さを付与しつつ、がんもどきの食感にさらに滑らかさを付与することができる。ここで固形脂とは、生地の調製時の温度(上述)においてSFCが30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上の油脂を意味する。例えばパーム油、ヤシ油、パーム核油、カカオ脂、牛脂、豚脂などが挙げられ、さらに上記液体油を水素添加により硬化した硬化油や、マーガリンやショートニング等の加工油脂も含まれる。
本発明では、大豆蛋白生地に冷凍豆腐を用いることが重要である。これによって、大豆蛋白生地から得られるがんもどきに絹ごし豆腐的な密な組織を実現し、ソフトで滑らかな食感を安定的に付与することができる。
豆腐の水分は大豆蛋白生地の成形性に影響し、水分が多すぎると生地が柔らかくなりすぎ、フライ時に成形した生地が散って得られるがんもどきの形状が欠け、剥がれなどにより不良となる。また水分が少なすぎるとがんもどきの食感が硬いものとなる。
本発明において、大豆蛋白生地にさらにタラ類やイワシ等の魚肉すり身を配合することがより望ましい。これによって製造されるがんもどきをだし汁等で煮込んだ際の煮込み耐性が強化され、得られるがんもどきを調理時に煮込んだときに、がんもどきの形状が壊される煮崩れが生じにくくなる。
本発明において、大豆蛋白生地にさらにオカラを配合することがより望ましい。これによって大豆蛋白生地をフライした際に生地が膨化するのをより抑制することができ、未膨化タイプに特徴的な豆腐的な密な食感の実現が容易となる。使用するオカラとしては、丸大豆から豆腐を製造する際に副生するものや、脱脂大豆から分離大豆蛋白を製造する際に副生するものを用いることができる。
生地中へのオカラの配合量は0.5〜2重量%が好ましい。オカラの配合量が多すぎるとぼそつき感、喉通り悪くなり、逆に少なすぎるとフライ中に膨化しやすい傾向である。
大豆蛋白生地中にはその他の副材料としてとろろいも等の芋類、人参やごぼう等の根菜類、ごま、その他の野菜、海藻類、糖類、調味料等を適宜加えることができる。
上記原料をサイレントカッター等の混練機で均一に混練し、乳化させて大豆蛋白生地を得る。得られた生地を成形機で所望の大きさと形状に成形した成形物を得る。次いでこれをフライ工程に供する。
本発明においては、大豆蛋白生地を膨化させることなくフライすることが重要である。生地を膨化させないことにより、豆腐的な密な組織を有する、未膨化タイプのがんもどきを得ることができる。フライ条件としては生地が膨化しない限り特に限定されず、通常は90〜180℃程度の温度範囲で7〜15分程度行えば良く、適宜製造者が膨化しにくいフライ条件を設定すればよい。
以上により、豆腐的な密な組織を有し、ソフトで滑らかな食感が付与された未膨化タイプのがんもどきを得ることができる。
大豆蛋白原料として分離大豆蛋白「フジプロ」(不二製油(株)製)を15部、液体油としてナタネ油(25℃におけるSFC0%)を15部、市販の冷凍豆腐を凍結状態のままで15部、水40部をサイレントカッターに投入して、約15℃で混練し、均一に乳化させ、乳化物を調製した。この乳化物に調味料0.5部、おから1部、小麦粉1部を加えさらにダイス状のにんじん5部、枝豆6部を加え混合し生地を得た。
生地を成型機で直径58mm、厚み13mm、1個35gに成形した。これを低温部(98°〜135℃)8分、高温部(155〜180℃)30秒のフライ加熱を行い、空冷後、−35℃で急速凍結を行い、冷凍がんもどきを得た(テスト1)。
得られたがんもどきをフライ加熱後、その中心部を切断し、生地の膨化度合いを目視で観察したところ、スポンジ状の組織ではない、密な組織を有しており、全く膨化していなかった。なお、冷凍豆腐としては、市販の「トーフリーズ」(不二製油(株)製)を使用した。この冷凍豆腐は豆乳に保水性付与原料としての加工澱粉と、凝固剤を添加して豆腐を作製し、これを凍結させた製品である。
次に、テスト2として冷凍豆腐の配合量を半分に変更し、テスト1と同様に冷凍がんもどきを得た。
次に、テスト3、4として冷凍豆腐の代わりに市販の木綿豆腐をテスト1、2と同量配合して冷凍がんもどきを得た。
テスト1〜4で得られた冷凍がんもどきを解凍し、これをだし汁で15分間煮込んだ後の食感を評価した。また、解凍したがんもどきの中心部を切断して中心部の厚み(X)を測定し、フライ前の成形生地の厚み(Y)に対する膨化率(X/Y×100)(%)を算出した。結果を表1に示した。
テスト3,4で用いた木綿豆腐の水分は87%であったが、この木綿豆腐の水分を乾燥と加水により調整し、水分80%及び92%の豆腐を2点用意し、これらをテスト3と同様の配合でがんもどきをそれぞれ調製した。
その結果、水分80%の豆腐を用いたがんもどきはテスト3よりも硬くぼそついた食感となり好ましくなかった。一方、水分92%の豆腐を用いたがんもどきの場合、逆に食感が柔らかくなったものの、フライ時に生地が散ってしまい、不良な形状となったがんもどきがいくつか見受けられた。
以上のように、豆腐の水分が振れることにより、最終に得られるがんもどきの品質は大きく異なるものであった。豆腐の水分は保管条件や輸送条件等によりかなりばらつきが大きいことに鑑みれば、大規模な製造ラインにおいて安定的な生産が困難であることが懸念された。
表2の通り、冷凍豆腐の配合量を変更し、水の量を調整する以外は、実施例1のテスト1と同様にして冷凍がんもどきを製造した。
表3の通り、大豆蛋白生地に固形脂としてパーム分別脂「ユニショートMJ」(不二製油(株)製、15℃におけるSFC約60%)を添加量を種々変更して添加する以外は、実施例1のテスト1と同様にして冷凍がんもどきを得た。この際、固形脂は10℃で冷蔵保存していたものを同温度の冷蔵庫内のチョッパーで砕いたものを、実施例1において乳化物を調製した後に、調味料等と同時に加えた。
実施例1のテスト1の配合に対し、さらにタラ2級すり身を4重量%添加する以外は、実施例1と同様にして未膨化タイプのがんもどきを得た。これを実施例1のテスト1で得たがんもどきとの比較で、だし汁で10分間煮込んだところ、テスト1よりも魚肉すり身を加えた実施例4のがんもどきの方が煮崩れが少なく、煮込み耐性に優れていた。
Claims (5)
- 粉末状大豆蛋白素材、液体油及び水を含む原料(ただし鶏卵を除く。)を均一に混練して大豆蛋白生地を調製し、成形後フライしてがんもどきを製造する方法において、大豆蛋白生地の原料として保水性付与原料を含有する冷凍豆腐を使用し、かつ、フライを生地が膨化しない条件下で行うことを特徴とする、未膨化タイプのがんもどきの製造法。
- 冷凍豆腐が、生地中10〜30重量%含まれる請求項1記載の製造法。
- 粉末状大豆蛋白素材、液体油及び水を混練し、乳化させた後に、固形脂をさらに混合する請求項1又は2に記載の製造法。
- 魚肉すり身をさらに含む、請求項1〜3の何れか記載の製造法。
- オカラをさらに含む、請求項1〜4の何れか記載の製造法。
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