以下、本発明の各種実施形態を図に基づき説明する。
図1〜図15に本発明運動インストラクション装置の第1実施形態を示す。運動インストラクション装置1は、利用者Aの腰部に装着する携帯型本体2と、利用者Aの頭部に装着するヘッドホン型のレシーバ3により構成される。携帯型本体2とレシーバ3は無線で接続されるものであり、携帯型本体2の発信した電波をレシーバ3で受け、音声に変換して利用者Aの耳に届かせる。
図2に携帯型本体2とレシーバ3のブロック構成を示す。携帯型本体2においてブロック構成の中心となるのはCPUを含む制御部10であり、これに解析部11、電源部12、入力部13、メモリ部14、送信部15、画像表示部16が接続される。解析部11には生体情報測定部17が接続される。生体情報測定部17は加速度センサを含む。レシーバ3においてブロック構成の中心となるのはCPUを含む制御部20であり、これに受信部21、電源部22、音声部23が接続される。
図3〜5に携帯型本体2の外観形状を示す。30は携帯型本体2のハウジング、31はハウジング30にヒンジ32で結合した可動ウィングである。可動ウィング31には画像表示部16の一部をなす液晶画面33が設けられる。ヒンジ32は図示しない節動機構を備え、可動ウィング31に、ハウジング30に二つ折りの形で重なる0゜位置(図3参照)、ハウジング30に対し直角に起き上がった90゜位置(図4参照)、ハウジング30と一直線になるように開いた180゜位置(図5参照)の3位置をとらせることができる。ハウジング30の裏面にはこれを利用者Aの腰ベルトに取り付けるためのベルトクリップ34が形設されている。
ハウジング30の裏面には図5に見られるような操作パネル部35を設ける。操作パネル部35には入力部13の構成要素である各種押しボタンを配置する。36は操作パネル部35を覆う開閉自在な蓋である。蓋36は利用者Aが携帯型本体2を身につけるときスイッチが不用意に押されないようにするためのものである。可動ウィング31の正面にも操作パネル部35を補完する操作パネル部37を設ける。
操作パネル部35には次の押ボタンを配置する。すなわち電源ボタン40、ゲーム選択ボタン41、測定尺度ボタン42、運動量設定ボタン43、ピッチ設定ボタン44、コース選択ボタン45、音声切替ボタン46、データインポートボタン47、上スクロールボタン48、下スクロールボタン49、左スクロールボタン50、右スクロールボタン51、決定ボタン52、及びクリアボタン53である。
上記ボタンの機能は次の通りである。電源ボタン40は、これを押すたびに電源ONと電源OFFが切り替わる。ゲーム選択ボタン41はシミュレーションゲームの種類を選択するときに押す。測定尺度ボタン42は運動量の測定尺度を選択するときに押す。運動量設定ボタン43は運動量を設定するときに押す。ピッチ設定ボタン44は走行/歩行のピッチを設定するときに押す。コース選択ボタン45は仮想コースのコースを選択するときに押す。音声切替ボタン46は音声方式を選択するときに押す。データインポートボタン47はシミュレーションゲームのデータを外部から取り込むときに押す。上下左右のスクロールボタン48、49、50、51は液晶画面33のカーソル位置を動かすのに用いる。決定ボタン52は液晶画面33に表示された選択肢を選択するときに押す。クリアボタン53は入力した条件をクリアするときに押す。
操作パネル部37には次の押ボタンを配置する。すなわちスタート/ストップボタン54、音量アップボタン55、音量ダウンボタン56、ピッチ音ボタン57、運動量確認ボタン58である。
上記ボタンの機能は次の通りである。スタート/ストップボタン54は生体情報の測定と運動量の算出をスタートさせ、またストップさせる。音量アップボタン55と音量ダウンボタン56はレシーバ3の発する音のボリュームを上げ下げする。ピッチ音ボタン57は走行/歩行のテンポを示すピッチ音を発生、あるいは発生を停止させる。運動量確認ボタン58はスタートからその時点まで累計運動量を液晶パネル33に表示させる。
続いて運動インストラクション装置1の使い方を説明する。まず、携帯型本体2のセッティングを行う。セッティングにあたっては、図5のように可動ウィング31を180゜位置に起こし、蓋36を開ける。続いて電源ボタン40を押し、携帯型本体2を電源ON状態にする。電源ON状態になると液晶パネル33に画像表示が現れる。
次にゲーム選択ボタン41を押すと図6に示すシミュレーションゲームの選択肢が液晶画面33に一覧表示される。表示しきれない分は画面の上又は下に隠れる。カーソル位置の行が色変わり又はハイライト表示となる。上スクロールボタン48又は下スクロールボタン49を押し、目的の行までカーソル位置を移動させる。
図6の中で、一群のマラソンシミュレーションゲームに「ウォームアップ・クールダウンあり」とあるのはシミュレーションゲームの始まりと終わりにウォームアップとクールダウンの時間帯が設けられていることを示す。「競争あり」とあるのは仮想ライバルであるバーチャルランナーを出現させることを示す。
ここでは「マラソンシミュレーションゲーム(ウォームアップ・クールダウンあり)(競争あり)」を選択するものとする。「マラソンシミュレーションゲーム(ウォームアップ・クールダウンあり)(競争あり)」の行にカーソルを移動させ、決定ボタン52を押すとこのゲームが選択される。選択とともに液晶画面33の隅に「マラソンシミュレーションゲーム(ウォームアップ・クールダウンあり)(競争あり)」の名称又はそのアイコンが現れ、シミュレーションゲームの選択肢の一覧表示は消える。
続いて測定尺度ボタン42を押すと図7に示す測定尺度の選択肢が液晶画面33に一覧表示される。上スクロールボタン48又は下スクロールボタン49と決定ボタン52により「時間」を選択するとその文字又はアイコンが液晶画面33の隅に現れ、測定尺度の選択肢の一覧表示は消える。
続いて運動量設定ボタン43を押すと図8に示す運動量の選択肢が一覧表示される。測定尺度として「時間」を選択していたので「時間」をパラメータとする選択肢のみが現れる。「時間」をパラメータとする運動量の選択肢の中から例えば「30分」を選択すると、その数値が設定運動量として液晶画面33の隅に現れ、運動量選択肢の一覧表示は消える。
選択された測定尺度が「消費カロリー」であれば「消費カロリー」をパラメータとする運動量選択肢のみが、「歩数」であれば「歩数」をパラメータとする運動量選択肢のみが、「距離」であれば「距離」をパラメータとする運動量選択肢のみが、それぞれ一覧表示される。なお同一パラメータの運動量選択肢間の数値インターバルは測定尺度毎に適宜決定されるものである。
続いてピッチ設定ボタン44を押すと図9に示すピッチの選択肢が一覧表示される。ピッチは1分間あたりの歩数である。ピッチの選択肢の中からいずれかを選択すると選択した数値が設定ピッチとして液晶画面33の隅に現れ、ピッチ選択肢の一覧表示は消える。
続いてコース選択ボタン45を押すとコース選択肢の一覧表示が現れる。マラソンシミュレーションゲームを選択していれば図10に示すマラソンコースの選択肢が一覧表示される。登山シミュレーションゲームを選択していれば図11に示す山の選択肢が一覧表示される。旅行シミュレーションゲームを選択していれば図12に示す徒歩旅行の選択肢が一覧表示される。この場合選択していたのはマラソンシミュレーションゲームなので図10のマラソンコースの選択肢が現れる。その中から「10キロマラソン」を選択したとするとその表示が液晶画面33の隅に現れ、マラソンコース選択肢の一覧表示は消える。
続いて音声切替ボタン46を押すと図13に示す音声方式の選択肢が一覧表示される。「主音声」には次のようなものが該当する。すなわちマラソンシミュレーションゲームであれば利用者への指示、アナウンサーによるマラソンの中継放送、コーチによる指示等である。登山シミュレーションゲームであれば登山ガイドによる利用者への指示、風景の説明等である。旅行シミュレーションゲームであれば旅行ガイドによる利用者への指示、通過地点の故事来歴、風景の説明とか、その地に関係の深い和歌、俳句、漢詩の朗唱等である。
「副音声」には次のようなものが該当する。マラソンシミュレーションゲームであれば仮想の観衆の声援やざわめき等である。登山シミュレーションゲームであれば同行者あるいは行き交う登山者のあいさつや話し声である。峰をわたる風の音や谷川のせせらぎ、小鳥の鳴き声等も含む。旅行シミュレーションゲームであれば同行者あるいは行き交う旅人のあいさつや話し声である。風の音、川のせせらぎ、鳥や動物の鳴き声等も含む。
選択したコースが日本国内のコースであれば音声方式は「主音声・副音声とも日本語」に固定される。従って音声切替ボタン46を押す意味もない。選択したコースが海外のものであれば「主音声・副音声とも日本語」「主音声は日本語・副音声は外国語」「主音声・副音声とも外国語」の3通りの音声方式の中からいずれかを選択することができる。選択を行うと選択した音声方式の表示あるいはアイコンが液晶画面33の隅に現れ、音声方式の選択肢の一覧表示は消える。なお音声方式のデフォルトは「主音声・副音声とも日本語」である。
以上で操作パネル部35によるセッティングは終了した。なお決定ボタン52を押して選択を行った直後にクリアボタン53を押すと、消えた一覧表示が復活する。選択した選択肢が色変わり又はハイライト表示となっているので、上スクロールボタン48又は下スクロールボタン49を押してカーソル行を移動させ、新しい選択肢を選べばよい。クリアボタン53を長押し(2秒程度)すると、今回入力した条件はすべてクリアされ、デフォルト状態に戻る。
上記のようにセッティングを終えた後、蓋36を閉じ、携帯型本体2を利用者Aの腰ベルトに取り付ける。可動ウィング31は90゜位置又は0゜位置にする。利用者Aの頭部にはレシーバ3を装着し、レシーバ3の電源スイッチ(図示せず)をONにして受信態勢を整える。こうしておいてスタート/ストップボタン54を押すと、マラソンシミュレーションゲームが開始される。音声信号は携帯型本体2の送信部15から電波で発信され、レシーバ3の受信部21がこれを受信した後音声部23で音波に変換され、利用者Aの耳に届く。
「ウォームアップ・クールダウンあり」のコースを選択していたので、最初、次のような指示がレシーバ3から流される。「まず、ウォーミングアップを行います。ピッチ音に従ってゆっくりと走りはじめてください。」そして設定ピッチより遅いピッチでピッチ音が流れ始めるので、利用者Aはそのピッチ音に従ってジョギングを開始する。利用者Aの体が動くのにともない、生体情報測定部17の加速度センサが信号を発する。信号とピッチ音との間のずれを解析部11で分析し、ずれが大きければ画像表示部16(液晶画面33)及び音声部23から「もっと速く」とか「もっと遅く」といった警告メッセージが発される。音量は音量アップボタン55又は音量ダウンボタン56で調整する。
ピッチ音がうるさければ、ピッチ音ボタン57を押してピッチ音を無音化することができる。これにより、利用者Aの耳にはピッチ音は聞こえなくなる。ただし携帯型本体2の内部でのピッチ音信号の発生は継続し、生体情報測定部17の発する信号との比較が続けられる。
数分間のウォームアップ期間後、レシーバ3から次のような指示が流される。「ウォーミングアップを終了しました。これから10キロマラソンを開始します。ピッチ音に従って走ってください。」そして、ピッチ音を無音化していなければ、設定ピッチのピッチ音が流れ始める。ここから10キロマラソンのシミュレーションゲームが始まる。
シミュレーションゲームが始まると、液晶画面33に図14のような仮想の10キロマラソンコースが表示される。利用者Aのアイコンと、この場合「競争あり」なので、競争相手となるバーチャルランナーのアイコンも表示される。利用者Aのアイコンには目立つ色を使用する。利用者Aのアイコンとバーチャルランナーのアイコンはスタート地点から仮想マラソンコース上を動き始める。
運動量の設定が「30分」であった場合、ウォームアップ時間とクールダウン時間を差し引いた残りの20数分間でゲームの結末を迎えるようシミュレーションゲームが進行する。ピッチ音に忠実に走っていれば最後には優勝するというストーリーである。走っている間、時々副音声で仮想観衆の声援がとぶ。また、図14に示すような途中経過のメッセージが定期的に液晶画面33に現れ、主音声でも流される。その時点での速度も主音声で報知される。
ジョギングの途中でその時点までの運動量を確認することができる。運動量確認ボタン58を押すと「時間」「消費カロリー」「歩数」「速度」「距離」をパラメータとする運動量が順次液晶画面33に表示される。「時間」は制御部10の中のクロック部によりもたらされ、「消費カロリー」「歩数」「速度」「距離」は生体情報測定部17の中の加速度センサからの信号を解析部11が解析して得られる。画像表示だけでなく主音声による報知もなされる。
設定ピッチより足取りが遅れれば、バーチャルランナーの迫り来る足音あるいは抜き去る足音や呼吸音が副音声で流れ、主音声からは仮想コーチの「ピッチを上げろ」との指示がとぶ。設定ピッチを取り戻せば、抜いていったバーチャルランナーを抜き返しはじめる。抜いた時点で副音声から拍手と歓声が流れる。利用者Aとバーチャルランナーの位置と順序は液晶画面33上の表示にリアルタイムで反映される。
設定ピッチより足取りが速まれば、主音声で仮想コーチの「ピッチを落とせ。ばてるぞ」との指示がとぶ。指示を無視していれば「ばて」がきたものと見なされ、バーチャルランナーが抜いて行く。設定ピッチを取り戻せば、「ばて」を回復したという想定のもと、抜いていったバーチャルランナーを抜き返しはじめる。
設定ピッチより遅い方向であっても速い方向であっても、設定ピッチからずれていた時間が短かければ最後に優勝するというストーリーに復帰できる。ずれていた時間が長ければそれは適わなくなり、ずれを生じていた時間に比例する着順に甘んじることになる。
利用者Aが優勝者として仮想ゴールに到着した場合には主音声から仮想アナウンサーの興奮したアナウンスが流れ、副音声からも仮想観衆の優勝者を称える歓声が上がる。着順が下がればアナウンスと歓声はそれなりのものになる。
利用者Aがゴールに到着し、シミュレーションゲームが終了すると、クールダウン期間に入る。利用者Aが優勝者としてゴールインしていた場合には「ウィニングランをしてください」との指示が主音声から流れ、副音声からは仮想観衆の歓声が流れる。優勝者でなかった場合には「クールダウンを行います。ピッチ音に従ってゆっくりと走ってください。」との指示であり、仮想観衆の歓声はない。いずれの場合でも、設定ピッチより遅いピッチで一定時間ピッチ音が流れるので、利用者Aはそのピッチ音に従って走り、クールダウンを行う。
クールダウンが終了すると、液晶画面33には走行距離、合計歩数、歩数揺らぎの大きさ、走行時間等が表示される。このデータは普段の運動管理に利用することができる。データをパーソナルコンピュータに取り込み、精密な分析を行うこともできる。
ジョギングの途中で走りを中断せざるを得ないような状況が生じたとき、例えば赤信号に引っかかったとか、踏切の遮断機が下りたような場合には、スタート/ストップボタン54を押し、シミュレーションゲームの進行を中断する。走れるようになったらもう一度スタート/ストップボタン54を押し、シミュレーションゲームの進行を再開する。中断期間中は生体情報測定部17の発する信号とピッチ音信号との比較は停止しており、着順に影響はない。仮想コーチから叱声がとぶようなこともない。
上記の説明例では「ウォームアップ・クールダウンあり」の設定だったので設定運動量の最初と最後の部分がウォームアップとクールダウンによって占められたが、「ウォームアップ・クールダウンなし」の設定であれば設定運動量のすべてがシミュレーションゲームで占められることになる。また「競争あり」の設定だったので仮想マラソンコース上にバーチャルランナーのアイコンが出現したが、「競争なし」の設定であれば利用者Aのアイコンのみとなり、主音声と副音声からもバーチャルランナーに関するものは消える。
測定尺度として「消費カロリー」を設定していれば、運動量として設定した消費カロリーの値(「ウォームアップ・クールダウンあり」の設定であればウォームアップとクールダウンの期間中に消費するカロリーを差し引いた値)を消費するまでシミュレーションゲームが続くことになる。生体情報測定部17の中の加速度センサによって得られる加速度波形を解析部11で時間積分して運動量を算出し、この運動量に基づき消費カロリーを計算する。
測定尺度として「歩数」を設定していれば、運動量として設定した歩数(「ウォームアップ・クールダウンあり」の設定であればウォームアップとクールダウン期間中の歩数〈時間×ピッチ〉を差し引いた歩数)がカウントされるまでシミュレーションゲームが続く。生体情報測定部17の中の加速度センサによって得られる加速度波形を解析部11で解析し、歩数をカウントする。
測定尺度として「距離」を設定していれば、運動量として設定した距離(「ウォームアップ・クールダウンあり」の設定であればウォームアップとクールダウン期間中の走行距離を差し引いた距離)を走りきるまでシミュレーションゲームが続く。距離は、生体情報測定部17の中の加速度センサによって得られる加速度波形を解析部11で時間積分して速度を得、さらに速度を積分することによって求めることができる。
コース選択で地名を冠した著名なマラソン大会のコースを選択していれば、液晶画面33にはそのマラソン大会のコース(コースが毎年変わるようであれば特定年のコース)を模したコース表示が現れる。シミュレーションゲーム開始後、主音声で仮想アナウンサーがそのマラソン大会の臨場感を盛り上げるアナウンスをする。音声方式の選択で「主音声は日本語・副音声は外国語」を選択すれば仮想観衆の声援や歓声が現地語のものに変わる。「主音声・副音声とも外国語」を選択していれば仮想アナウンサーのアナウンスも現地語に変わる。
主音声・副音声とも多数の短い音声要素(指示、アナウンス、声援、歓声、環境音等)の中から仮想現実の状況にふさわしいものを適宜ピックアップして流す。設定した運動量に応じてピックアップする音声要素の個数を増減する。これにより、設定運動量が「30分」、選択したコースが「フルマラソン」といったような場合でも、30分という設定時間の終わりに合わせてゴールを迎えさせることができる。仮想コース上のアイコンの移動の調整は仮想時間軸を伸ばしたり縮めたりして行う。
利用者Aの設定したピッチを単なる目安ととらえ、シミュレーションゲーム中多少ピッチの起伏をつけることも可能である。例えば「ボストンマラソン」を選択していた場合など、ゴールより少し手前で「いよいよ心臓破りの丘です。頑張って」とのメッセージを入れるとともにピッチを少し早め、心拍数が多くなるよう誘導することもできる。
また、設定ピッチを守ることにより良い成績が得られるというゲーム設定でなく、設定ピッチ以上のピッチで走ってはじめてバーチャルランナーを追い抜くことができ、順位が向上するというゲーム設定にすることもできる。
また、バーチャルランナーの人数とレベル(強いランナーか弱いランナーか)を利用者A自身が決める設定とすることもできる。
なおピッチ設定の時点で「自由ペース」を選択しておけばピッチ音は鳴らず、気ままなペースで走ることができる。設定した運動量を達成すればゴールに到着したということになり、拍手と歓声が流れる。ただし一定ピッチで走ることは強制されないものの、あるピッチ以上で走るか走らないかによりバーチャルランナーを抜いたり抜かれたりするという、バーチャルレースを楽しむようにすることはできる。
生体情報測定部17の構成要素として、加速度センサに代え振動センサを用いることも可能である。ただしその場合、解析内容は限定される。
登山、トレッキング、ハイキングを趣味とする人はマラソンシミュレーションゲームに代え登山シミュレーションゲームを選択してウォーキングを行うことができる。図6のシミュレーションゲームの選択肢の中で登山シミュレーションゲームを選択した後、測定尺度の選択と運動量の設定をマラソンシミュレーションゲームの場合と同様に行い、コース選択ボタン45を押す。登山シミュレーションゲームを選択しているので図11に示す山の選択肢が一覧表示される。
最初に表示されるのは図11の表中左側コラムの「日本百名山」「ヒマラヤ」といった大区分である。上スクロールボタン48又は下スクロールボタン49を操作して目的の区分にカーソルを移動させた後、右スクロールボタン51を押すと、その区分に属する個々の山の選択肢が一覧表示される。ここで再び上スクロールボタン48又は下スクロールボタン49を操作し、目的の山にカーソルを合わせた後、決定ボタン52を押せばよい。他の区分の山も見てみようということになれば、左スクロールボタン50を押し、左側の大区分のコラムに戻る。
前述の通り音声方式のデフォルトは「主音声・副音声とも日本語」であるが、仮想登山の対象として海外の山を選んだときは、音声切替ボタン46を押して図13に示す音声表示の選択肢を一覧表示させ、「主音声は日本語・副音声は外国語」又は「主音声・副音声とも外国語」を選択することもできる。
上記のようにセッティングを終えた後、携帯型本体2を利用者Aの腰ベルトに装着し、レシーバ3を利用者Aの頭部に装着し、スタート/ストップボタン54を押して登山シミュレーションゲームを開始する。液晶画面33には選択した山の登山ルートの略図と、利用者Aのアイコンが現れる。そして「これから○○山への登山を開始します。ペースを守って歩いてください」との仮想登山ガイドの声が流れ、ピッチ音が始まるので、ピッチ音に従って歩き出す。ピッチ音の無音化や音量調整の要領はマラソンシミュレーションゲームのところで説明したのと同じである。
仮想登山の間、選択した山の現実の登山ルートの状況に合わせて「五合目に着きました」「お花畠を通っています」「雪渓を渡ります」「稜線に出ます」「頂上が見えてきました」といった仮想登山ガイドのメッセージや、そのルートを攻略するためのアドバイスが適宜画像表示と主音声で流される。これにより、登山家は登山のイメージトレーニングを行うことができる。
また副音声からは谷川や滝の音とか小鳥のさえずり等が、これも現実の登山ルートの状況に合うような形で流される。液晶画面33では利用者Aのアイコンが登山ルートに沿って動いて行く。
マラソンシミュレーションゲームの場合と同様、ウォーキングのピッチが設定ピッチとずれていないかどうかの監視が行われ、ずれていれば「もう少し速く歩きましょう」とか「ペースを落としてください」といった仮想登山ガイドの指示が流れる。設定ピッチを守って歩き、設定運動量を達成すれば、登頂に成功したということになり、「頂上に着きました。空は快晴。素晴らしい展望です。万歳」といった仮想登山ガイドのメッセージが流れる。設定ピッチからずれたとしても、その時間が短かければ「登頂成功ストーリー」で終わる。ずれていた時間が長ければ頂上の手前の地点でタイムアウトということになる。どの地点でタイムアウトになるかはずれていた時間の長さによって定まる。
ピッチ設定で「自由ペース」を選択しておけば、ピッチを気にせず自由にウォーキングを楽しむことができる。この場合、設定した運動量に達すれば自動的に「登頂成功」ということになる。
循環器系の問題や膝の疾患でジョギングはできないが、さりとて登山に興味もないという人は、旅行シミュレーションゲームをしながらウォーキングをすることができる。セッティングの要領は登山シミュレーションゲームの場合と同様である。旅行シミュレーションゲームの選択肢は図12のようなもので、古来より散策の場所として有名な地や、徒歩又は騎馬で往来が行われた著名な旅行ルートが集められている。
旅行シミュレーションゲームがスタートすると液晶画面33に選択した旅行ルートの略図と、利用者Aのアイコンが現れる。そして「これから○○への旅行を開始します。ペースを守って歩いてください」との仮想旅行ガイドの声が流れ、ピッチ音が始まるので、ピッチ音に従って歩き出す。
仮想旅行の間、沿道の風景や通過地点の故事来歴等が適宜仮想旅行ガイドの声で説明される。「大和古寺巡礼」であれば所々に万葉和歌の朗詠が挟まる。「奥の細道」では芭蕉の俳句が紹介される。副音声からは木の葉のざわめきや小川のせせらぎ、大河のとうとうと流れる音、あるいは行き交う旅人の話し声、市場の賑わいといった効果音が流れる。
この場合にもウォーキングのピッチが設定ピッチとずれていないかどうかの監視が行われ、ずれていれば「もう少し速く歩きましょう」とか「ペースを落としてください」といった仮想旅行ガイドの指示が流れる。設定ピッチを守って歩き、設定運動量を達成すれば、最終目的地に無事到着したということになり、土地の娘の「ここが○○です。ようこそ」といった歓迎の言葉が主音声で流れる。設定ピッチからずれたとしても、その時間が短かければ「無事到着ストーリー」で終わる。ずれていた時間が長ければ最終目的地の手前の地点でタイムアウトということになる。どの地点でタイムアウトになるかはずれていた時間の長さによって定まる。
この場合もピッチ設定で「自由ペース」を選択しておけば、ピッチを気にせず自由にウォーキングを楽しむことができる。設定した運動量に達すれば自動的に「最終目的地に到着」ということになる。
マラソンシミュレーションゲーム、登山シミュレーションゲーム、旅行シミュレーションゲームとして様々な種類、コースを用意することができるが、その全てを携帯型本体2のメモリ部14に記憶させることはできない。そこで、大記憶容量のサーバーに多様なゲームデータを蓄え、その中から必要なものを取り出して携帯型本体2にダウンロードできるようにする。図15にその概念構成を示す。
図15において、100はインターネットに代表される通信ネットワーク、101は通信ネットワーク100に接続したサーバー、102は同じく通信ネットワーク100に接続したパーソナルコンピュータである。利用者は自分のパーソナルコンピュータ102からサーバー101に接続し、所望のシミュレーションゲームデータをダウンロードする。そしてパーソナルコンピュータ102と携帯型本体2とをケーブルで接続し、携帯型本体2のデータインポートボタン47を操作して携帯型本体2にデータを落とし込む。サーバー101は「歩行健康サイト」の中に用意しておくことができる。
なお、携帯型本体2をPDAとして構成し、直接通信ネットワーク100経由でサーバー101にアクセスするようにすることもできる。
図16、17に本発明運動インストラクション装置の第2実施形態を示す。なおこの実施形態を含む以下の実施形態において、第1実施形態と共通の構成要素あるいは同等の機能を有する構成要素には前に使用したのと同じ符号を付し、説明は省略するものとする。
第2実施形態の運動インストラクション装置1aは据置型のトレッドミル60と、利用者の腰に装着する携帯部61により構成される。トレッドミル60は斜面部62に走行用無端ベルト及びその駆動装置(図示せず)と、ハンドレール63を備える。斜面部62の頂部に続く平坦部64にはポール65が立ち上がり、その頂部に操作コンソール66が設置されている。操作コンソール66は第1実施形態でレシーバ3が備えていた次の構成要素を備える。すなわち制御部20、受信部21、電源部22、音声部23である。また、第1実施形態で携帯型本体2が有していた次の構成要素を備える。すなわち解析部11、入力部13、メモリ部14、及び画像表示部16である。加えてベルト制御部67を備える。
携帯部61は第1実施形態で携帯型本体2の備えていた次の構成要素を備える。すなわち制御部10、電源部12、送信部15、及び生体情報測定部17である。
次に作用を説明する。入力部13を通じ操作コンソール66でシミュレーションゲームの選択と各種設定を行い、携帯部61を電源ONとし、入力部13のスタート/ストップスイッチを押すと、無端ベルトが設定に応じたスピードで動き出し、シミュレーションゲームがスタートする。利用者Aはシミュレーションゲームの種類に応じ無端ベルトの上でランニング又はウォーキングを行う。利用者Aの体が動くと生体情報測定部17が信号を発し、そのデータは送信部15より無線で受信部21に転送される。受信部21の受け取ったデータを解析部11が解析し、その結果に基づきシミュレーションゲームが進行する。ゲーム進行中の音声は操作コンソール66の音声部23から流され、画像は同じく操作コンソール66の画像表示部16に映し出されるものである。
この実施形態の場合、第1実施形態に比べ制御部20の処理すべきタスクが多く、制御部10の処理すべきタスクは少ない。そこで、制御部20と制御部10のCPUには処理すべきタスク量に見合った能力のものを選定する。あるいは、トレッドミル60に高性能のパーソナルコンピュータを接続してこれに演算処理を行わせ、高度な画像表示がなされるようにしてもよい。
携帯部61から操作コンソール66へのデータ転送は無線でなく例えばUSBなどのケーブルで行ってもよい。
図18に本発明運動インストラクション装置の第3実施形態を示す。この実施形態の運動インストラクション装置1bは、トレッドミル60と、生体情報測定部17を備えた携帯部61とにより構成される点は第2実施形態と同様であるが、トレッドミル60の平坦部64に、操作コンソール66に代え大型の表示部70を設置した点が第2実施形態にない特徴となっている。第2実施形態で操作コンソール66に設けられていた構成要素はトレッドミル60又は表示部70に移され、入力部13は表示部70の正面に配置される。ただし、操作コンソール66と同様のものを手の届きやすい箇所、例えばハンドレール63に、配置することを妨げるものではない。表示部70は大画面のリヤプロジェクション装置またはプラズマディスプレイを備え、ここに画像を表示する。また利用者Aの周囲にはサラウンドスピーカーが配置される。
この実施形態の場合、実写の、あるいはコンピュータグラフィックで作成した画像を利用者Aの前に大画面で映し出すことができる。シミュレーションゲームの内容に即した光景を目の前に置き、またサラウンドスピーカーの発する臨場感あふれる音響に取り囲まれ、利用者Aはバーチャルリアリティーの世界にひたってシミュレーションゲームを楽しむことができる。
図19、20に本発明運動インストラクション装置の第4実施形態を示す。この実施形態の運動インストラクション装置1cも第3実施形態と同様、トレッドミル60の上に大型の表示部70を備えている。ただし生体情報が無線経由でなく利用者Aの身体から直接トレッドミル60に伝えられる点が第3実施形態と異なる。すなわちハンドレール63に絶縁体のスリーブ80をかぶせ、このスリーブ80の表面に、生体情報測定部17の構成要素である1対の電極81、82を装着する。利用者Aがスリーブ80を握りしめ、電極81、82を短絡すると、利用者Aが運動実行態勢にあるとの信号が解析部11に伝えられ、その解析結果に基づきシミュレーションゲームが進行する。
トレッドミル60のブロック構成は図20に示す通りである。無線を使用しないので送信部や受信部は存在しない。この実施形態の場合、電極81、82を握って運動を行うので、ランニングには適さない。ゆっくりとしたウォーキング、あるいはリハビリテーションの歩行訓練に適する。なお生体情報測定部17で心拍数をキャッチすることも可能である。その場合、測定尺度に「心拍数」を加えることができる。
図21、22に本発明運動インストラクション装置の第5実施形態を示す。この実施形態の運動インストラクション装置1dはトレッドミル60に第2実施形態と同様の操作コンソール66を備え、他方ハンドレール63には第4実施形態と同様のスリーブ80と電極81、82を備えている。すなわち生体情報測定部17はトレッドミル60の側に存在する。そして利用者AはVR(バーチャルリアリティー)ゴーグル90をかけて運動を行う。
操作コンソール66とVRゴーグル90のブロック構成は図22に示す通りである。操作コンソール66の送信部15から画像と音声のデータを送信し、VRゴーグル90の受信部21でそれを受信する。VRゴーグル90は利用者Aの眼前に仮想現実の光景を出現させる。なおこのブロック構成ではVRゴーグル90がヘッドホンを兼ねることになっているが、トレッドミル60の側にサラウンドスピーカーを配置して、より臨場感あふれるサウンドを楽しめるようにしてもよい。また操作コンソール66からVRゴーグル90へのデータ転送を無線でなくケーブルで行ってもよい。
以上、本発明の各種実施形態につき説明したが、この他、発明の主旨を逸脱しない範囲で更に種々の変更を加えて実施することができる。
本発明では、運動インストラクション装置の携帯型本体の中に、加速度センサもしくは振動センサを構成要素として含む生体情報測定部と、生体情報測定部の測定結果に基づき運動量を算出する解析部と、解析部の算出結果を報知する音声部及び画像表示部を備え、前記生体情報測定部の測定結果に基づき、前記音声部から、仮想の競争を行うバーチャルランナーとの、少なくとも前後関係及び遠近差に関する音を流すことにより、音のみででも仮想コースに沿った移動をリアルタイムで仮想体験させることとしたから、現実の運動を行うと生体情報測定部の測定結果に基づき運動量が算出され、運動量が的確に把握されるとともに、仮想コースに沿っての移動を仮想体験できるシミュレーションがリアルタイムで進行するので、利用者はシミュレーションの進行を楽しみながら運動量を効率よく知り、シミュレーションが結末を迎えるまで運動を継続するという、運動継続の動機を与えられるものである。
このように本発明の運動インストラクション装置は、現実の運動を行うことにより仮想コースに沿っての移動を仮想体験できるものであるから、ジョギングやウォーキングといった走行系あるいは歩行系の運動と非常に親和性が高い。現実の運動と算出結果の表示との間に観念のずれが少なく、利用者としては運動達成度を把握しやすい。運動のペースを守らせるのも容易である。1回の運動に1回のシミュレーションを対応させることができ、同じシミュレーションを繰り返さなくて済むので利用者を飽きさせない。
また本発明では、バーチャルランナーとの仮想の競争を行い得るから、バーチャルランナーと競いつつトレーニングを楽しんで行うことができる。さらに、音声部は主音声の選択と副音声の選択が可能であることとしたから、主音声として、マラソンシミュレーションゲームであれば利用者への指示、アナウンサーによるマラソンの中継放送、コーチによる指示等を流し、登山シミュレーションゲームであれば登山ガイドによる利用者への指示、風景の説明等を流し、旅行シミュレーションゲームであれば旅行ガイドによる利用者への指示、通過地点の故事来歴、風景の説明とか、その地に関係の深い和歌、俳句、漢詩の朗唱等を流すことができる。副音声として、マラソンシミュレーションゲームであれば仮想の観衆の声援やざわめき等を流し、登山シミュレーションゲームであれば同行者あるいは行き交う登山者のあいさつや話し声、峰をわたる風の音や谷川のせせらぎ、小鳥の鳴き声等を流し、旅行シミュレーションゲームであれば同行者あるいは行き交う旅人のあいさつや話し声、風の音、川のせせらぎ、鳥や動物の鳴き声等を流すことができる。
また本発明では、シミュレーションの選択肢を複数個用意したから、その日の運動プログラムに適応したシミュレーションを実行することができることになり、便益性が高まる。さらに、予め設定した運動量に合わせてシミュレーションが結末を迎えるようにしたから、予め設定した運動をやり通すという動機づけがなされる。
また本発明では、生体情報測定部が加速度センサもしくは振動センサを構成要素として含むことから、解析部において運動量が正確に算出され、自己の運動量を具体的に知ることができる。また、解析部の算出した運動量が、「消費カロリー」「歩数」「距離」のいずれかのパラメータで報知されるものとしたから、運動量を容易に確認することができる。
シミュレーションがマラソンシミュレーションの形で行われることとすれば、ジョギングをしながらマラソンをしているような気分にひたり、バーチャルランナーと競いつつ毎日のトレーニングを楽しんで行うことができる。
シミュレーションが登山シミュレーションの形で行われることとすれば、ウォーキング、あるいはリハビリテーションのための歩行訓練をしながら登山をしているような気分にひたり、登山家をはじめ多くの人に山に関する知識と、歩く楽しみを与えることができる。
シミュレーションを行うためのデータが通信ネットワーク経由でサーバーより配信される環境を整えることにより、マラソン大会のコースや登山対象の山に関する大きなデータベースを整備し、その中から、実際に参加したいマラソン大会や登ってみたい山を選んでイメージトレーニングを行うことが可能になる。そして本発明では、携帯型本体は通信ネットワーク経由でサーバーにアクセスしてシミュレーションデータをダウンロードすることが可能であるものとしたから、多種多様なシミュレーションの選択が可能になる。