JP5406600B2 - 伸びフランジ性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
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本発明者らは、前記析出Mg量の比率が5%以上と多量に析出する場合、まず粒界析出物は、前記伸びフランジ性が優れる微細な状態であろうと、前記伸びフランジ性が劣る粗大な状態であろうと、後述する模式図である図1の通り、粒界の長さ全域に亙って存在することを知見した。即ち、目視的には殆ど粒界上の互いの切れ目がない(切れ目が判別できない)状態で、平面的には細長い針状あるいは棒状の形状、立体的には板状の形状にて存在する。
このような事情は、前記析出Mg量の比率が5%以上と多量に析出する場合の、粒内析出物も同様であって、粒内析出物は、前記伸びフランジ性が優れる微細な状態であろうと、前記伸びフランジ性が劣る粗大な状態であろうと、後述する模式図2の通り、殆ど同じ長さの、平面的には細長い針状あるいは棒状の形状あるいは立体的には板状の形状にて粒内に存在する。
前記特許文献3で規定する粒内析出物の平均粒径は、前記した針状の形状における針の長軸の長さ(径)である。この点、前記針状の形状における粒内析出物の長軸の長さ(径)を平均粒径で100nm以下に微細化させるためには、粒内析出物の数(平均密度)自体を少なくして、完全な固溶状態に近づける必要がある。したがって、この特許文献3は、粒内析出物の析出(存在)は必然であるとしながらも、その量は平均密度で0.1〜103 個/μm2 程度の、ごく少ない析出量の範囲でしか存在させていない。
後述する実施例の発明例5の板厚中心部の結晶粒組織における、粒界に析出した析出物を図1に示し、粒内に析出した析出物を図2に各々示す。この図1、2は各々本発明の板組織を模式的に示す説明図である。具体的には、後述する実施例表2の発明例2を、前記したように観察試料を傾斜させた特定の条件下に観察した(観察できた)組織の写真(2万倍のFE−TEM写真) を模式的に図面化したものである。即ち、この組織写真自体はそのままでは煩雑で、目視によって析出物が判別しにくいために、粒界と粒内に析出した析出物の特徴的なものを選択して模式的に図面化したものである。
本発明では、以上のような粒内析出物と粒界析出物とを有する前記高MgのAl−Mg系アルミニウム合金板において、先ず、この板のMg含有量に対する析出Mg量の比率を規定する。この析出Mg量の比率は、この板の比抵抗と、この板のMgが完全に固溶した状態の比抵抗との比から換算することによって、比較的簡便に求められる。この析出Mg量を板のTEMやSEMによる組織観察によって直接求めることも可能ではあるが、ミクロな分析となるため、マクロな板の特性との相関性や再現性を持たせるためには、多数の分析量が必要となり、煩雑な割に、却って前記相関性や再現性が劣る。したがって、本発明では、析出Mg量の比率は、前記比抵抗値からの換算によって求める。
本発明では、前記高MgのAl−Mg系アルミニウム合金板の板厚中心部における2万倍の透過型電子顕微鏡により観察される結晶粒組織として、観察試料を傾斜させて粒界面が観察方向に平行になるようにした場合に観察される粒界析出物の平均厚みが5nm以上、50nm以下とする。前記した図1の通り、粒界析出物は立体的には板状の形状をしており、粒界析出物の平均厚みとはこの板における平均的な厚みtである。
本発明では、また、前記高MgのAl−Mg系アルミニウム合金板の板厚中心部における2万倍の透過型電子顕微鏡により観察される結晶粒組織として、観察試料を傾斜させ電子回折像より判断して観察面が(002)面になるようにした場合に観察される粒内析出物の短軸方向の平均径が5nm以上、30nm以下であることとする。前記した図2の通り、粒内析出物は立体的には板状の形状をしており、粒内析出物の短軸方向の平均径とは、この板幅方向における平均的な板幅dである。
粒界析出物、粒内析出物とも、高MgのAl−Mg系合金板の板厚中心部から試料を採取し、試料表面を0.05〜0.1mm機械研磨した後、電解エッチングしてTEM用薄膜試料を作成する。この試料表面 (板厚方向でも板の長手方向でもどちらでも良い) を、2万倍のFE−TEM (透過型電子顕微鏡) により観察する。
本発明アルミニウム合金板における化学成分組成の、各合金元素の意義及びその限定理由について以下に説明する。本発明アルミニウム合金板組成は、強度−伸びバランスなどを向上させるために、質量%で、Mg:6.0〜15.0%を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl−Mg系アルミニウム合金板とする。なお、各元素量の表示%は全て質量%である。
Mgはアルミニウム合金板の強度、延性を高める重要合金元素である。Mg含有量が少な過ぎると、伸びフランジ性の劣化の問題はないが、強度、延性バランスが劣化して、高MgのAl−Mg系アルミニウム合金の特徴が出ず、成形性が不足する。一方、Mg含有量が多過ぎると、製造方法や条件の制御を行なっても、粒界や粒内の析出物量が多すぎることになる。この結果、やはり成形性が著しく低下する。また、加工硬化量が大きくなり、冷間圧延性も低下させる。したがって、強度、延性のバランスを向上させるためにも、Mgは6.0〜15.0%の範囲、好ましくは8%を超え14%以下の範囲とする。
Fe、Siは、Al−Mg−(Fe、Si)などから成る析出物となって生成する。これらの析出物量が過大となると破壊靱性や成形性を大きく阻害する。この結果成形性が著しく低下する。したがって、Fe、Siは溶解時に必然的に混入しやすいものの、少ない方が好ましい。このため、Fe:1.0%以下、好ましくは0.5%以下、Si:0.5%以下、好ましくは0.3%以下に各々に抑制した上で、各々含むことを許容する。
Mn、Cr、Zr、Vなどの遷移元素は、β相の核生成サイト(駆動力)となって、粒界や粒内へのβ相析出を促進する効果がある。結晶粒内のこれら遷移元素系の析出物が、結晶粒内の電位を下げて、結晶粒内と結晶粒界の電位差(組織における電位の不均一さ)を極力小さくし、腐食環境下で耐応力腐食割れ性を向上させる効果もある。しかし、含有量が多くなると、破壊靱性や成形性を大きく阻害するので、少ない方が好ましい。このため、Mn:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、に抑制した上で、各々含むことを許容する。
Cuは耐応力腐食割れ性を低下させる。通常のMg含有量が6%未満の規格Al−Mg系アルミニウム合金板では、耐応力腐食割れ性を向上させるために、Cuを添加する場合がある。しかし、本発明のように高Mg化させたAl−Mg系アルミニウム合金板では、応力腐食割れ性の挙動が異なり、Cuを積極的に含有させた場合には、逆に、応力腐食割れ感受性がより鋭敏となって、耐応力腐食割れ性が低下する。このため、Cu:1.0%以下、好ましくは0.5%以下に抑制した上で、含むことを許容する。
Tiには鋳造板 (鋳塊) 組織の微細化効果などの効果もあるが、化合物を形成して破壊靱性や成形性を阻害するので含有量は少ない方が良い。このため、Ti:0.1%以下、好ましくは0.05%以下に抑制した上で、含むことを許容する。
Znは強度を向上させる効果もあるが、耐応力腐食割れ性や成形性などを阻害するので、含有量は少ない方が良い。このため、Zn:1.0%以下、好ましくは0.5%以下に抑制した上で、含むことを許容する。
以下に、本発明におけるAl−Mg系アルミニウム合金板の製造方法につき説明する。
注湯温度:
DC鋳造法や双ロール式などの薄板連続鋳造法において、アルミニウム合金溶湯を注湯する際の注湯温度(鋳造前溶湯温度)は、粗大なAl−Mg系の初晶化合物の生成を抑制するために、液相線温度以上である630℃以上、Mg含有量が多くなるにつれて、好ましくは680℃以上とする。この鋳造前溶湯温度が低過ぎる場合、粗大なAl−Mg系の初晶化合物が生成して、結晶粒内や粒界に析出する析出物が不足し、強度伸びバランスを低下させる。
DC鋳造法や双ロール式などの薄板連続鋳造法において、粗大な初晶化合物が生成を抑制して、結晶粒内や粒界に析出する析出物量を確保するためには、鋳造時の平均冷却速度は50℃/s以上、望ましくは100℃/s以上とし、凝固後の室温までの平均冷却速度が0.01〜0.1℃/sの範囲となるような徐冷を行う。
薄板連続鋳造方法としては、双ロール式の他に、ベルトキャスター式、プロペルチ式、ブロックキャスター式などがある。しかし、高MgのAl−Mg系アルミニウム合金板鋳造の際の冷却速度を速くするためには、双ロール式連続鋳造が好ましい。
双ロール式の場合、回転する一対の双ロールの周速は0.2m/min以上とすることが好ましい。双ロールの周速が0.2m/min未満では、溶湯と鋳型 (双ロール) との接触時間が長くなり、凝固がロールキス点よりもより手前で完了するため、大きなロール荷重が必要となり、ロールが破損またはロールがストップし鋳造ができなくなる。双ロールの周速は、2m/min以下、好ましくは1m/min以下、0.5m/min以下がさらに好ましい。双ロールの周速が2m/min以下であれば、湯漏れやチギレといった現象がおこらず安定した鋳造が可能であり、1m/min以下であれば、より一層割れやリップルがない表面品質に優れた鋳造が可能である。さらに、双ロールの周速を0.5m/min以下にすることにより、板状鋳塊の内部偏析も抑制できるため、一層好ましい。
前記双ロールに注湯後に、必要に応じて、双ロール間で凝固しつつある板状鋳塊に対して、双ロールによって、板状鋳塊の長さ1m当たりにつき300トン以上、即ち、300トン/m以上の圧下荷重を負荷しつつ鋳造しても良い。この圧下荷重の負荷によって、注湯時や凝固中に発生したガスが、板状鋳片内から外部に放出されやすくなる。このため、凝固温度範囲が約100℃と広い高MgのAl−Mg系アルミニウム合金であっても、ガスの鋳片組織内での滞留がなくなり、これに起因する空隙が抑制される。そして、その後の冷間圧延との相乗効果で、空隙などの鋳造欠陥を、製造された板の伸びなどの成形特性に影響の無い範囲まで抑制することが可能である。
双ロールにより連続鋳造する場合の鋳造薄板の板厚は1〜13mm、好ましくは1〜5mmの範囲とすることが好ましい。板厚1mm未満の連続鋳造は、双ロール間への注湯や、双ロール間のロールギャップ制御などの鋳造限界から困難である。他方、鋳造薄板の板厚が厚過ぎた場合、鋳造の冷却速度が著しく遅くなり、Al−Mg系のなどの金属間化合物全般が粗大化したり、多量に晶出する傾向がある。この結果プレス成形性が著しく低下する可能性が高くなる。
以下に、本発明に規定する粒内、粒界の析出物組織として冷間圧延性を改善するための、DC鋳造法や双ロール式などの薄板連続鋳造法に共通する、均質化熱処理(均熱処理とも言う)の条件の説明をする。
DC鋳造などで鋳造した鋳塊は、均質化熱処理後に、熱間圧延温度まで冷却されるか、そのまま熱間圧延される。この熱間圧延条件は常法で良い。一方、双ロール式連続鋳造方法による板状鋳塊は、オンラインでもオフラインでも熱間圧延せずに、冷間圧延される。
冷間圧延では、双ロール式連続鋳造方法による板状鋳塊が、また、DC鋳造などで鋳造した鋳塊では、上記熱間圧延された熱延板が、製品板の板厚0.5〜3mmに冷間圧延されて、鋳造組織が加工組織化される。
冷延後の前記製品板厚とされたアルミニウム合金薄板について、伸びフランジ性向上が、冷間圧延性のためだけで良く、製品板のプレス成形などにおいて、特に伸びフランジ性向上が要求されない場合には、400℃〜液相線温度で最終焼鈍する。焼鈍温度が400℃未満では溶体化効果が得られない可能性が高い。但し、この比較的高温の焼鈍によって、溶体化効果による成形性は向上するものの、冷間圧延前に確保されていた前記本発明組織は一旦消去される。
析出Mg量:
前記測定用試料の比抵抗(平均)と、この試料を500℃×10時間加熱した後に、水焼入れして急冷し、Mgが完全に固溶した状態の比抵抗(平均)とを各々測定した。
これらの比抵抗値から、測定用試料の固溶Mg量(質量%)及び完全に固溶した状態のMg量(質量%)は、便宜的に以下の式を用いて求めた。
[完全に固溶した状態のMg量(質量%)]=([Mgが完全に固溶した状態の比抵抗(μΩ・cm)]−2.826)/0.54
ここで、上記式のうち、2.826はJIS1050規格の純アルミニウムの導電率:61%IACSから求めた比抵抗値(μΩ・cm)である。
また、0.54は、単位Mg量(単位Mg濃度)当りの比抵抗(μΩ・cm/mass%)で、Alマトリックス中にMgが固溶状態で存在した際の比抵抗増加量(単位濃度あたり)である(出典:Edited by Kent R. Van Horn,American Society for Metals, ALUMINUM, Vol.I(1967),p.174)。
この完全に固溶した状態のMg量は、Mgの添加によって基本的には比抵抗が増大するので、その添加したMgが全て固溶していたと仮定した場合に、比抵抗の増大量(μΩ・cm)を、単位Mg濃度あたりの比抵抗増大量(0.54μΩ・cm/mass%)で割ることで、Mg固溶量(mass%)になる。
[測定用試料の固溶Mg量(質量%)]=[完全に固溶した状態のMg量(質量%)]−{([Mgが完全に固溶した状態の比抵抗(μΩ・cm)]−[測定用試料の比抵抗(μΩ・cm)])/(0.54−0.22)}
ここで、上記式のうち、0.54は、前記した通り、単位Mg量(単位Mg濃度)当りの比抵抗(μΩ・cm/mass%)で、Alマトリックス中にMgが固溶状態で存在した際の比抵抗増加量(単位濃度あたり)である。
また、0.22は、Mgが析出状態で存在した場合の比抵抗増加量(単位濃度当り:μΩ・cm/mass%)である(出典:Edited by Kent R. Van Horn,American Society for Metals, ALUMINUM, Vol.I(1967),p.174)。実際の試料においては、Mgの存在状態として、固溶したMgと析出したMgが混在しているが、Mgが固溶している場合でも、析出している場合でも、純アルミに対しては比抵抗を増大させる方向に働く。但し、Mgが析出状態で存在した場合の単位Mg濃度あたりの比抵抗増大量は上記のように既知(0.22μΩ・cm/mass%)であり、Mgが固溶状態で存在した場合の単位Mg濃度あたりの比抵抗増大量(0.54μΩ・cm/mass%)よりも増大量としては小さい。従って、Mgが完全固溶している状態と比較すれば、Mgが析出することによって、比抵抗としては低下する。その比抵抗の低下分が、Mgが固溶状態で存在した場合の単位Mg濃度あたりの比抵抗増大量(0.54μΩ・cm/mass%)と、Mgが析出状態で存在した場合の単位Mg濃度あたりの比抵抗増大量(0.22μΩ・cm/mass%)の差に相当するため、Mgが完全固溶状態で存在する場合のMg濃度からの減少分を求めることができる。
2万倍の透過型電子顕微鏡により観察される結晶粒組織として、前記測定用試料より、前記要領にて作成した観察試料を傾斜させて粒界面が観察方向に平行になるようにし、粒界析出物の平均厚みを観察、測定した。
2万倍の透過型電子顕微鏡により観察される結晶粒組織として、前記測定用試料より、前記要領にて作成した観察試料を観察試料を傾斜させて、電子回折像(ディフラクションパターン)より判断して、観察面が(002)面になるようにし、粒内析出物の短軸方向の平均径を観察、測定した。なお、これら析出物の観察には、日立製作所製電界放射型透過電子顕微鏡:HF−2000の、FE−TEMを用いた。
引張試験はJIS Z 2201にしたがって行うとともに、試験片形状はJIS5号試験片で行い、試験片長手方向が圧延方向と一致するように作製した。また、クロスヘッド速度は5mm/分で、試験片が破断するまで一定の速度で行った。
伸びフランジ性の評価としてバーリング試験を行った。バーリング試験は、1辺が100mmの正方形の前記測定用試料に直径10mmの孔を打ち抜く。そして、直径25mmの60°円錐ポンチを用いて、バリを上面(ダイス面)側とし潤滑油として防錆油を用いて、しわ押さえ力4.0トン、ポンチ速度10m/min.でバーリング試験を行い、前記打ち抜き孔の縁に破断が発生した段階でポンチを止め、破断後の孔内径(ds )と成形試験前の初期孔径(d0 )から下記式によってバーリング率(λ%)を求めた。
λ:(ds −d0 )/d0 ×100(%)
前記採取した測定用試料(双ロールの場合は前記均熱処理後の鋳造薄板、DC鋳造の場合は前記均熱処理後の熱延板)を各例とも10枚、板厚1.0mmまで各々冷間圧延した。なお、これらの冷間圧延中の中間焼鈍は行なわなかった。そして端部割れの発生状態を目視観察し、大きな端部割れ発生によって板厚1.0mmまで冷間圧延できなかった例が出た場合を×、端部割れが発生したが小さく、10枚とも板厚1.0mmまで冷間圧延できた例を△、端部割れを発生せずに10枚とも板厚1.0mmまで冷間圧延できた例を○、と3段階で評価した。
比較例20の合金である表1のQはFe含有量が多過ぎる。
比較例21の合金である表1のRはSi含有量が多過ぎる。
Claims (7)
- 質量%で、Mg:6.0〜15.0%を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl−Mg系アルミニウム合金板であって、この板のMg含有量に対する析出Mg量の比率が5〜10%の範囲であり、かつ、この板の板厚中心部における2万倍の透過型電子顕微鏡により観察される結晶粒組織として、観察試料を傾斜させて粒界面が観察方向に平行になるようにした場合に観察される粒界析出物の平均厚みが5nm以上、50nm以下であるとともに、観察試料を傾斜させ電子回折像より判断して観察面が(002)面になるようにした場合に観察される粒内析出物の短軸方向の平均径が5nm以上、30nm以下であることを特徴とする伸びフランジ性に優れた高Mg含有Al−Mg系アルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板の、前記Mg以外の元素を、質量%で、Fe:1.0%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Cu:1.0%以下、Zn:1.0%以下、に各々抑制した請求項1に記載の伸びフランジ性に優れた高Mg含有Al−Mg系アルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板が冷間圧延前の板である請求項1または2に記載の伸びフランジ性に優れた高Mg含有Al−Mg系アルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板が冷間圧延後の板である請求項1または2に記載の伸びフランジ性に優れた高Mg含有Al−Mg系アルミニウム合金板。
- 質量%で、Mg:6.0〜15.0%を含むとともに、Fe:1.0%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.0%以下、Cr:0.3%以下、Zr:0.3%以下、V:0.3%以下、Ti:0.1%以下、Cu:1.0%以下、Zn:1.0%以下、に各々抑制し、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl−Mg系アルミニウム合金鋳塊を、400℃以上液相線温度以下で均質化熱処理を行い、この均質化熱処理温度から室温までの平均冷却速度が0.01〜0.1℃/sの範囲となるような徐冷を行って、その後冷間圧延を行って薄板とすることを含み、前記均質化熱処理後で前記冷間圧延前かあるいは前記冷間圧延後の板の、Mg含有量に対する析出Mg量の比率を5〜10%の範囲とし、かつ、板厚中心部における2万倍の透過型電子顕微鏡により観察される結晶粒組織として、観察試料を傾斜させて粒界面が観察方向に平行になるようにした場合に観察される粒界析出物の平均厚みを5nm以上、50nm以下とするとともに、観察試料を傾斜させ電子回折像より判断して観察面が(002)面になるようにした場合に観察される粒内析出物の短軸方向の平均径が5nm以上、30nm以下としたことを特徴とする伸びフランジ性に優れた高Mg含有Al−Mg系アルミニウム合金板の製造方法。
- 前記アルミニウム合金鋳塊が薄板連続鋳造法で鋳造されたものであり、このアルミニウム合金鋳塊を熱間圧延せずに前記均質化熱処理を行い、その後冷間圧延を行って薄板とする請求項5に記載の伸びフランジ性に優れた高Mg含有Al−Mg系アルミニウム合金板の製造方法。
- 前記アルミニウム合金鋳塊がDC鋳造法で鋳造されたものであり、前記アルミニウム合金鋳塊を熱間圧延した後に前記均質化熱処理を行い、その後冷間圧延を行って薄板とする請求項5に記載の伸びフランジ性に優れた高Mg含有Al−Mg系アルミニウム合金板の製造方法。
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