JP5405523B2 - 切換スイッチ及び絶縁抵抗測定装置 - Google Patents

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本発明は、電気設備など複数のケーブルを有する配線設備の絶縁抵抗測定などで使用する、ケーブルをつなぎ換えることなく任意の一対のケーブルを複数選択可能な切換スイッチ及び絶縁抵抗測定装置に関する。本発明において、ケーブルには、電線、動力線、通信線、回線が含まれる。
電気設備など複数のケーブルを有する配線設備の絶縁抵抗測定は、通常、絶縁抵抗計(メガー)を用いて行われる。図4に示す遮断器100に接続する3相電源の場合、絶縁抵抗測定は、(1)線間の絶縁抵抗、(2)相間の絶縁抵抗、(3)大気間の絶縁抵抗について行われる。線間の絶縁抵抗は、一のケーブル(心線)と他のケーブルとの間の絶縁抵抗であり、図4の場合、例えばケーブル101とケーブル102、ケーブル101とケーブル103との間の絶縁抵抗である。相間の絶縁抵抗は、同じ相の出力側ケーブルと入力側ケーブルとの絶縁抵抗であり、図4の場合、例えばケーブル103とケーブル105との間の絶縁抵抗である。大気間の絶縁抵抗は、ケーブルと接地(アース)との間の絶縁抵抗であり、図4の場合、例えばケーブル103と接地線104との間の絶縁抵抗である。
電気設備など複数のケーブルを有する配線設備の絶縁抵抗の測定箇所は、図4の3相電源の例からも分かるように非常に多く、測定箇所に応じて絶縁抵抗計を順次つなぎ換えながら測定することは大変手間のかかる作業である。このような測定は、複数のケーブルを切換スイッチに接続し、切換スイッチを用いて回路を順次切換えることで、ケーブルのつなぎ換えの手間を省くことができる。このような考え方に基づく絶縁抵抗測定装置もこれまでにいくつか提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
実開平5−75681号公報 特開平10−170571号公報
特許文献1に記載の絶縁抵抗測定装置は、複数回線の心線の絶縁抵抗を測定するための装置であり、複数の回線の内の特定の回線の心線と同一回線の残りの心線、及び他の回線の各心線との間の絶縁抵抗を一括して測定することができる。一方で、任意の回線毎に絶縁抵抗を測定することはできない。特許文献2に記載の装置は、絶縁抵抗の他、導通状態も測定することを目的とした装置であり、導通状態と絶縁状態を連続して測定することができるが、測定箇所が複数ある場合には、都度、測定リード線の接続変更が必要であり、回路を順次切換えながら連続して測定することができない。
電気設備の絶縁抵抗測定のように複数のケーブルを有する配線設備の状態を確認する作業又は試験は、通信設備においても行われるが、通信設備においても電気設備と同様の課題が指摘されている。特許文献1、2に記載の絶縁抵抗測定装置等を含め、これまで開示されている複数のケーブルに接続し回路を切換る装置は、任意の回路を選択することができない、さらにはケーブルの接続変更を行うことなく順次、連続的に回路を切換えることができないなど使い勝手が十分とは言い難い。
本発明の目的は、複数のケーブルを有する配線設備に接続し、ケーブルをつなぎ換えることなく任意の一対のケーブルを複数選択可能な、使い勝手のよい切換スイッチ及び絶縁抵抗測定装置を提供することである。
本発明は、複数のケーブルを有する配線設備に接続し、ケーブルをつなぎ換えることなく任意の一対のケーブルを複数選択可能な、ロータリスイッチを用いた切換スイッチであって、前記ケーブルと接続する複数の固定接点、前記固定接点に択一的に当接する可動接点及び前記可動接点と導通する共通端子を備えるロータリスイッチを2つ備え、前記ロータリスイッチが同心円上に配置され、かつ前記2つのロータリスイッチの固定接点が共用であることを特徴とする切換スイッチである。
また本発明は、前記切換スイッチと、前記2つのロータリスイッチの共通端子に接続する絶縁抵抗計と、を含むことを特徴とする絶縁抵抗測定装置である。
本発明に係る切換スイッチは、2つのロータリスイッチを備えるので、ケーブルを一度つなぎ込めば、ケーブルをつなぎ換えることなく複数のケーブルの中から任意の一対のケーブルを選択することができる。このとき2つのロータリスイッチの固定接点が共用であるので、同一のケーブルを選択することが可能であり、短絡させた回路も容易に形成することができる。また2つのロータリスイッチが同心円上に配置されているので、選択する2つのケーブルが一目で分かり、選択の誤りを防止することができる。また2つのロータリスイッチが同心円上に配置されているので装置をコンパクトにすることができる。
本発明に係る絶縁抵抗測定装置は、前記切換スイッチとそれに接続する絶縁抵抗計とを含むので、複数の測定箇所がある電気設備等の絶縁抵抗測定を簡単かつ迅速に行うことができる。また絶縁抵抗計で絶縁抵抗を測定する際には、絶縁抵抗計のゼロ点確認が必要であり、そのためには回路を短絡させる必要があるが、ここで使用する切換スイッチは、固定接点が共用である2つのロータリスイッチからなるので回路の短絡も簡単に行える。
本発明の第1実施形態としての切換スイッチ1の外観図である。 図1の切換スイッチ1の構造を示す断面図である。 本発明の第2実施形態としての絶縁抵抗測定装置2の概略構成を示す模式図である。 従来から使用されている一般的な3相電源用の遮断器100の絶縁抵抗の測定要領を説明するための図である。
図1は、本発明の第1実施形態としての切換スイッチ1の外観図、図2は、切換スイッチ1の構造を示す断面図である。
まず切換スイッチ1の概要を説明する。切換スイッチ1は、複数ケーブルを備える電気設備等に接続し、複数ケーブルの中から任意の2つのケーブルを選択するための装置であり、同心円上に配置された2つのロータリスイッチ11、12を有する。ロータリスイッチ11、12は、筐体13の中央部に、内側にロータリスイッチ11、それを囲むようにロータリスイッチ12が配置されている。ロータリスイッチ11、12は、各々摘み14、15を有し、番号1〜7の固定接点番号16を任意に選択することが可能であり、同じ固定接点番号、例えば共に1番の固定接点番号16を選択することもできる。
摘み14、15は共に細長い矩形形状を有しており、摘み14は、ロータリスイッチ11の回転板31の直径と同じ長さ、摘み15は、ロータリスイッチ12のリング部43と同じ幅である。ロータリスイッチ11、12が同じ固定接点番号16を選択すると、摘み14、15は一直線上に並ぶので、同じ固定接点番号を選択していることが直ちに分かる。図1では、摘み14、15が筐体の表面17から突出するように設けられているが、いずれか1方又は両方の摘み14、15を筐体の表面17から突出しないように設けてもよい。
ロータリスイッチ11、12の固定接点には、接続リード線18〜24が接続し、共通端子には、出力リード線25、26が接続する。接続リード線18〜24、出力リード線25、26の先端部にはワニ口クリップが取付けられており、接続リード線18〜24を電気設備等のケーブルに接続することで、出力リード線25、26と任意の2本のケーブルとを連絡させることができる。
次に図2を用いて切換スイッチ1の構造を説明する。ロータリスイッチ11は、円板形状の絶縁体からなる回転板31を有し、回転板31の上面には摘み14(図示省略)が設けられている。回転板31の底面には、局部的に突出した突出部33を有する薄い円板形状の導電板32が取付けられており、突出部33は、突出部33の下方に配置された固定リング51と接触する可動接点である。導電板32の底面中心部には、中空の回転軸34が取付けられており、回転軸34は、上部筐体62に設けられた軸受部35に回転自在に嵌り込んでいる。これにより回転軸34、導電板32及び回転板31は、一体となって左右に回動することができる。導電板32の底面中心には、固定された導電体36が当接するように配置されており、この導電体36には、出力リード線25が接続する。この固定された導電体36が、ロータリスイッチ11の共通端子となる。
ロータリスイッチ12は、中心部に軸受部35が貫通する貫通孔44を有する円盤部42と、円盤部42の外周部と径を同じくし円盤部42に上方に位置するリング部43とを有する絶縁体からなる回転体41を有する。リング部43の上面には摘み15(図示省略)が設けられている。この回転体41は、リング部43が、ロータリスイッチ11の回転板31を囲み、円盤部42は、ロータリスイッチ11の回転板31の下方に位置するように配置されている。円盤部42には、同じ厚さのリング状の導電体45が嵌め込まれている。導電体45には局所的に突出した突出部46が設けられており、突出部46は、突出部46の上方に配置された固定リング51と接触する可動接点である。回転体41の底面は、筐体13に設けられた段差部69に載置し、回転体41は、この段差部69で支持され左右に回動することができる。導電体45の底面には、固定された導電体47が当接するように配置されており、この導電体47には、出力リード線26が接続する。この固定された導電体47が、ロータリスイッチ12の共通端子となる。
固定リング51は、中心部に回転軸34が貫通する貫通孔(図示省略)を有する絶縁性の円板53を有し、この円板53に対して円周方向に等間隔で7つの導電性の金属板54が嵌め込まれている。固定リング51は、ロータリスイッチ11の導電板32とロータリスイッチ12の円盤部42との間に位置し、中心部をロータリスイッチ11の回転軸34が貫通し、回転軸34が嵌り込む軸受部35に固定されている。各金属板54には、各々接続リード線18〜24が接続する。この金属板54がロータリスイッチ11、12の固定接点となる。
筐体13は、絶縁性材料で形成されている。筐体13は、2重構造となっており、上部筐体62がロータリスイッチ11、12を支持する。下部筐体63は、上部筐体62に接続し、上部筐体62と下部筐体63との間には接続リード線18〜24、出力リード線25、26を通すための空間部64が形成されている。上部筐体62の底面65及び下部筐体63の側面66には、接続リード線18〜24、出力リード線25、26を通すための貫通孔67、68が設けられている。接続リード線18〜24、出力リード線25、26は、下部筐体63の側面の貫通孔68、空間部64、上部筐体62の底面の貫通孔67を通り、それぞれ導電体36、47及び金属板54に接続する。
上記切換スイッチ1は、ロータリスイッチ11の回転板31を回転させると、突出部33が順次、固定リング51の金属板54に接触し、任意の接続リード線18〜24と出力リード線25とを導通させることができる。同様にロータリスイッチ12の回転体41を回転させると、突出部46が順次、固定リング51の金属板54に接触し、任意の接続リード線18〜24と出力リード線26とを導通させることができる。このとき固定リング51は、ロータリスイッチ11及びロータリスイッチ12の共用部材であるため、ロータリスイッチ11及びロータリスイッチ12は、同じ固定接点、接続リード線18〜24を選択することができる。
図3は、本発明の第2実施形態としての絶縁抵抗測定装置2の概略構成を示す模式図である。以下、遮断器100の絶縁抵抗を測定する場合を例に取り、絶縁抵抗測定装置2の構成を説明する。なお、図1及び図2に示す切換スイッチ1に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
絶縁抵抗測定装置2は、絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗計3と、測定回路を切換えるための切換スイッチ1とを備える。絶縁抵抗計3は、指示計4、レンジ切換スイッチ5、測定ボタン6を備える公知の絶縁抵抗計(メガー)である。絶縁抵抗計3は特定の絶縁抵抗計に限定されるものではなく、公知の絶縁抵抗計を使用することができる。切換スイッチ1は、図1及び図2に示す切換スイッチ1と基本的構成は同じであるが、ワニ口クリップの代わりに、接続リード線18〜24、出力リード線25、26の先端部に接続端子78〜86が設けられており、この接続端子78〜86が筐体13の側面に取付けられている。絶縁抵抗計3の入力端子(図示省略)は測定リード線7、8を介してロータリスイッチ11及びロータリスイッチ12の共通端子と接続する接続端子85、86に接続する。遮断器100の出力側ケーブル(心線)101、102、103、接地線104、入力側ケーブル(心線)105、106、107は、それぞれ接続リード線108〜114を介して、接続端子78〜84と接続する。
このような絶縁抵抗測定装置2は、切換スイッチ1を介して任意の回路を選択し、線間、相間、大気間の接地抵抗を測定することができる。測定に際しては、一度ケーブル接続を行えば、ケーブルのつなぎ換えをすることなく、順次、測定回路を変更しながら絶縁抵抗を測定することができる。絶縁抵抗計3を用いた絶縁抵抗測定時には、測定リード線7及び測定リード線8を接触させ回路を短絡させたゼロ点確認が必要となる。この絶縁抵抗測定装置2では、切換スイッチ1を構成するロータリスイッチ11及びロータリスイッチ12の固定接点が共用であるので、同じ固定接点を選択することで簡単に回路を短絡させることができる。
第1実施形態及び第2実施形態に示す切換スイッチ1は、ロータリスイッチ11、12が同心円上に配置されているので装置をコンパクトにすることができる。またロータリスイッチ11、12の固定端子が共用であるので、回路の短絡も容易に行うことができる。回路を短絡させることは、危険な場合もあり、一般的に取扱いに注意が必要である。本切換スイッチ1は、回路を選択する2つのロータリスイッチ11、12が同心円上に配置されているので、同じ回路を選択すると摘み14、15が一直線上に並ぶ。このため同じ回路が選択され、回路が短絡状態であることが一目で分かる。2つのロータリスイッチ11、12を左右、又は上下に並べた場合には、2つのロータリスイッチ11、12を見比べる必要があり、選択した回路の視認の容易性では同心円上の配置が勝る。
本発明に係る切換スイッチ1及び絶縁抵抗測定装置2は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変形することができる。上記絶縁抵抗測定装置2では、筐体13の側面に接続端子を設ける例を示したが、接続端子に代え、第1実施形態の切換スイッチ1のようにワニ口クリップを用いてもよい。また上記絶縁抵抗測定装置2では、3相電源の遮断器100を示したが、切換スイッチ1に接続可能なケーブル数、つまり固定接点の数は7つに限定されるものではなく、更に多くても逆に少なくてもよいことは当然である。また切換スイッチ1の構造も図2に示されるものに限定される必要はなく、要すれば2つのロータリスイッチ11、12を同心円上に配置することが可能で、かつ2つのロータリスイッチ11、12の固定接点を共用化できる構造であればよい。またロータリスイッチ11、12もケーブルと接続する複数の固定接点、回動し固定接点に択一的に当接する可動接点及び可動接点と導通する共通端子を備えるロータリスイッチであれば、図2に示すロータリスイッチ11、12以外のロータリスイッチを使用することもできる。
1 切換スイッチ
2 絶縁抵抗測定装置
3 絶縁抵抗計
7、8 測定リード線
11 ロータリスイッチ
12 ロータリスイッチ
14 摘み
15 摘み
16 固定接点
18、19、20、21、22、23、24 接続リード線
25、26 出力リード線
100 遮断器
101、102、103 出力側ケーブル(心線)
104 接地線
105、106、107 入力側ケーブル(心線)
108、109、110、111、112、113、114 接続リード線

Claims (2)

  1. 複数のケーブルを有する配線設備に接続し、ケーブルをつなぎ換えることなく任意の一対のケーブルを複数選択可能な、ロータリスイッチを用いた切換スイッチであって、
    前記ケーブルと接続する複数の固定接点、前記固定接点に択一的に当接する可動接点及び前記可動接点と導通する共通端子を備えるロータリスイッチを2つ備え、前記ロータリスイッチが同心円上に配置され、かつ前記2つのロータリスイッチの固定接点が共用であることを特徴とする切換スイッチ。
  2. 請求項1に記載の切換スイッチと、
    前記2つのロータリスイッチの共通端子に接続する絶縁抵抗計と、
    を含むことを特徴とする絶縁抵抗測定装置。
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