JP5403658B2 - クロロシラン類を使用するクローズド系の洗浄方法 - Google Patents

クロロシラン類を使用するクローズド系の洗浄方法 Download PDF

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本発明は、クロロシラン類を使用し且つ外気から遮断されたクローズド系の洗浄方法に関し、より詳しくは、新規設備の設置や、そのクローズド系の部分改修、オーバーホールなどのために運転を停止した後の運転再開に先立つ洗浄に適したクローズド系の洗浄方法に関する。
半導体原料や太陽電池として使用される高純度の多結晶シリコンは、シーメンス法と呼ばれる気相成長法により製造されている。この製造システムは、クロロシラン類を使用するクローズド系である。高純度多結晶シリコンの製造に使用されるクローズド系を図1により説明する。図1は特許文献1の図1に対応するものである。なお、クロロシラン類とはトリクロロシラン、四塩化硅素、ジクロシランなどである。
まず、金属シリコン、四塩化珪素(STC:SiCl4 )及び水素ガスを原料として転化炉によりトリクロロシラン(TCS:SiHCl3 )が製造される(塩化工程)。製造されたトリクロロシランは、バージン蒸留系に送られ、ここで複数の蒸留塔に通されて高純度のトリクロロシランに精製される(精留工程)。この高純度のトリクロロシランは、後述する未反応蒸留系で精製された高純度のトリクロロシラン及び水素と共に還元炉に供給される。
還元炉では、トリクロロシラン及び水素を原料とする還元反応により、加熱されたシード表面に多結晶シリコンが気相析出する(還元工程)。この反応に伴って、還元炉からは、未反応のトリクロロシラン及び水素、並びに反応生成物である四塩化珪素などからなる排ガスが排出される。この排ガスは、水素回収工程に送られる。この工程では、排ガスを−10℃以下に冷却して、排ガス中のトリクロロシラン及び四塩化珪素を液化し、水素から分離する(第1回収工程)。この工程で回収分離された水素は、還元炉に原料ガスとして供給される。
一方、液化したトリクロロシラン及び四塩化珪素を主成分とするクロロシラン液は、未反応蒸留系に送られる。未反応蒸留系では、クロロシラン液を蒸留塔に通し、トリクロロシランを四塩化珪素及び不純物から分離する(第2回収工程)。塔頂部から取り出される高純度のトリクロロシランは、還元炉に原料ガスとして供給される。塔底部から取り出される不純物を含む四塩化珪素は、前述した転化工程に送られる。塔頂部と塔底部の間からサイドカットにより高純度の四塩化珪素を製品として取り出す場合もある。
このように、高純度多結晶シリコンの製造システムは、クロロシラン類を使用し且つ外気から遮断されたクローズド系である。このようなクローズド系では、新規設備の設置の他、各部で性能向上のための改造(増設も含む)や、低下した性能を回復させるためのオーバーホールが頻繁に行われる。具体的には、バージン蒸留系における蒸留塔や未反応蒸留系における蒸留塔などの改造工事、オーバーホール工事が多く、その他、系内の図示されないタンク類、パイプ類の改造工事、オーバーホール工事も多い。
このようなクローズド系の改造工事、オーバーホール工事に際しては、まず運転を停止し、クローズド系におけるクロロシラン類等の流通物質の循環を停める。この状態で工事を行う箇所の上流側及び下流側を遮断し、クロロシラン類等の流通物質を除去後、工事を行う。改造工事、オーバーホール工事に伴ってそれらの工事箇所は大気開放され、機器や部材の交換などが行われる。前述した蒸留塔や各種容器の改造、オーバーホールは代表的な大気開放工事である。
ところで、高純度多結晶シリコンの製造に使用されるクロロシラン類は高純度であることが求められる。例えば半導体用なら11ナイン、太陽電池用でも7ナインという高純度のクロロシラン類が要求される。このため、クロロシラン類の製造、再生に使用されるクローズド系も同程度に清浄であることが求められる。ところが、クローズド系の一部を改修、オーバーホールすると、その工事箇所が大気開放される。更には新しい機器、部材が設置される。これらのため、運転再開にあたってはその工事箇所を洗浄することが必要となる。
高純度多結晶シリコンの製造に使用されるクローズド系の洗浄方法として代表的なのは、流通物質と同じ物質で洗浄するいわゆる共洗いである。例えばトリクロロシラン容器であれば、その容器を運転開始前に、収容物と同じ高純度のトリクロロシラン液で洗浄するのが共洗いである。この共洗いは例えば特許文献2に示されている。しかしながら、共洗いによる洗浄作業の場合、要求される清浄度を確保しようとすると、洗浄回数が非常に多くなり、液コスト、作業工数の両面から洗浄コストが非常に高くなる。
この運転開始前の洗浄に要するコストが、前記新規設備の設置やクローズド系の改造工事、オーバーホール工事における大きな問題の一つとなっている。
特許第3584235号公報 特許第3952281号公報
本発明の目的は、クロロシラン類を使用するクローズド系の運転開始に際して行う洗浄作業を効率化して、運転開始に伴うコストの引き下げを可能とするクローズド系の洗浄方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者は、クロロシラン類を使用するクローズド系の各種工事後の運転開始に先立つ洗浄法として、共洗い法から水分除去法への転換、乃至は水分除去法の併用を考えた。すなわち、高純度多結晶シリコン製造システムのようなクロロシラン類を使用するクローズド系の部分的な改造工事、オーバーホール工事後の工事箇所における主たる汚染源は水分である。なぜなら、改造工事にしろ、オーバーホール工事にしろ、交換された機器、部材は既に十分な水洗いを受けており、液体を使用した流動洗浄による異物除去の必要性は少なく、むしろその異物除去のための水洗いや大気開放に伴う空気中の水分による残留水分が主たる汚染源となっているのである。このため、乾燥した不活性ガスなどによる水分除去が効果的であり、その結果、共洗いの回数を大幅に少なくすることができ、洗浄に要するトータールコストを著しく小さくすることができるのである。
高純度多結晶シリコンの製造においては、水分が汚染源となること自体は知られている。すなわち、クローズド系内に水分が残留していると、その水分がクロロシラン類と反応して塩化水素を生成し、機器、部材を構成するステンレス鋼や炭素鋼を腐食させることによりリン、ボロンといった汚染物質を発生させるのである。この結果、特に運転開始直後の製品の品質が低下する。高純度多結晶シリコン製造のためのクローズド系の部分的な改造工事、オーバーホール工事後の工事箇所における汚染源は様々な異物が主体と考えられていたが、実際は水分が殆どであり、その結果として、乾燥した不活性ガスなどによる水分除去操作の有効性が高くなるということは、本発明者による知見事項である。
そして、本発明者は次に、効率的な水分除去法について比較検討した。その結果、意外なことに、一般的な不活性ガスの流通では、流通後の不活性ガスの露点が低くなるまで長時間ガス流通を続けても水分の残存が避けられず、その結果、相当回数の共洗いが必要となって、共洗いのみによる場合と比べて経済的なメリットが得られないことが判明した。そこで通常の不活性ガス流通に代わる新たな水分除去法の開発を企画し、研究を続けた結果、水分を除去すべき特定箇所内を不活性ガスで一度置換した後、その不活性ガスを一旦、静止状態に保持する静止置換、特に加圧状態で静止保持する加圧置換、及びその繰り返しが有効ななことが明らかとなった。
加圧置換が有効な理由としては、高純度多結晶シリコンの製造に使用されるクローズド系では様々な形状の機器が配管で接続され、流通経路の形状が複雑なため、一般的な不活性ガス流通の場合、その複雑な形状やその形状による乱流の発生によって、不活性ガスが到達しない死角が必然的に生じ、その箇所で水分残留が避けられないのに対し、静止置換、特に加圧置換であると不活性ガスが流通経路の形状に関係なく隅々まで行き届くことにより、特定箇所での水分残留が回避され、水分除去効率が大幅に向上することが考えられる。
本発明のクローズド系の洗浄方法は、かかる知見を基礎として完成されたものであり、クロロシラン類を使用し且つ外気から遮断されると共に、各種の機器、部材が接続されて複雑形状の流通経路を形成するクローズド系の前記流通経路内に配置された凝縮器の運転開始前に前記凝縮器内へクロロシラン類を充填するに当たって前記凝縮器内の水分を除去するクローズド系の洗浄方法であって、前記凝縮器内へクロロシラン類を充填するに当たり、前記凝縮器内を不活性ガスで加圧置換し、その加圧置換から1時間以上経過した時点の前記凝縮器内ガスの露点が−20℃以下であることを確認した後に、前記凝縮器内へのクロロシラン類の充填を開始するものである。
本発明のクローズド系の洗浄方法においては、クローズド系内のクロロシラン類を充填する箇所、特に各種の機器、部材が接続されて形成された複雑形状の流通経路内においてクロロシラン類を充填する箇所、具体的には前記凝縮器内を事前に不活性ガスで加圧置換し、その加圧置換から1時間以上経過した時点の不活性ガスの露点が−20℃以下であることを確認した後に、その箇所へのクロロシラン類の充填を開始する。
加圧置換を複数回繰り返す場合は、最後の加圧置換から1時間以上経過した時点の不活性ガスの露点が−20℃以下であることを確認した後に、その箇所へのクロロシラン類の充填を開始する。
加圧置換とは、クローズド系内の所定箇所に注入した不活性ガスを加圧状態に保持し、その後に不活性ガスを放出して大気圧に戻す置換法であり、不活性ガスの加圧注入と減圧放出とを繰り返すのがより好ましい。置換ガスを加圧状態にすると、そのガスが所定箇所内の隅々まで行き渡り、水分除去効果が高まる。これを繰り返せば、更に水分除去効果が高まる。加圧置換における圧力は大気圧超であればよく、その上限は特に定めないが、加圧の目的が不活性ガスを隅々へ行き渡らせることにあるので、極端な高圧は不要であり、設備コストの点からも必要以上の高圧は回避するのが望ましい。一般的な加圧力は大気圧+0.2〜1.0MPaである。
一方、不活性ガス放出時の圧力(減圧圧力)は大気圧以上が好ましい。大気圧未満(負圧)まで減圧することも可能であり、これにより置換効果が上がるのは事実であるが、その一方ではクローズド系内を負圧にすることにより外部からクローズド系内に大気が侵入するおそれがある。また、無駄なポンプ能力が必要となる。このようなことから不活性ガス放出時の圧力(減圧圧力)は大気圧以上の方が好ましい。
置換操作完了から1時間以上経過した後の置換ガスの露点が−20℃以下であると、対象箇所から水分が十分に除去されたと判断される。すなわち、置換操作完了から1時間以上経過した後の置換ガスの露点が−20℃超であれば、残留水分が多いと判断され、置換ガスの露点が−20℃以下であっても、置換操作完了から1時間以上経過していなければ、まだ水分放出によって露点が上がる可能性があり、水分除去が完了したとは判定できない。置換操作完了から1時間以上経過した後の置換ガスの露点は、−20℃以下の範囲内で低いほど好ましいことは言うまでもない。当初露点の低い不活性ガスの使用や加圧置換回数の増加、通気置換時間の延長を実施すれば、1時間以上経過した後の露点も当然、低くなるが、いずれもコスト増を招く。必要以上にコストをかけるのは得策ではないので、この露点の下限については−50℃以上が好ましい。
加圧置換に使用する不活性ガスは当初露点が−20℃未満の乾燥ガスであることは言うまでもない。クロロシラン類を充填する箇所に水分が残留していると、その水分が、置換された不活性ガス中へ徐々に移行し、不活性ガス中の水分量が時間経過と共に増加しいく。すなわち、不活性ガスの露点が時間経過と共に上昇する。加圧置換から1時間以上経過してもなお露点が−20℃以下であれば、置換箇所の水分は各部から十分に除去されているということであり、また雰囲気中の水分量も少ないので、クロロシラン類を充填しても塩化水素の生成、これによる製品汚染の問題は回避される。
加圧置換に使用する不活性ガスの種類としては、例えばアルゴンガス、ヘリウムガスなどの希ガス、又は窒素ガスである。その置換前の当初露点としては、低いほど乾燥効果が高く好ましいが、極端に露点が低い不活性ガスは高価となる。これらの点から、置換前の当初露点の上限については−30℃以下が望ましく、−50℃以下が更に望ましく、−60℃以下が最も望ましい。一方、当初露点の下限については−90℃以上が望ましい。
本発明のクローズド系の洗浄方法は、図1に示した高純度多結晶シリコンの製造に使用されるクローズド系内の特に各種の機器、部材が接続されて形成された複雑形状の流通経路、具体的にはその流通経路内の凝縮器の洗浄に特に適する。このクローズド系が塩化工程、精留工程、還元工程、第1回収工程、第2回収工程からなることは前述したとおりである。
本発明におけるクロロシラン類はトリクロロシラン、四塩化硅素、ジクロシランの少なくとも一つを指す。高純度多結晶シリコンの製造に使用されるクローズド系では、水素回収工程から還元炉へ戻る水素ガス経路を除けば、トリクロロシラン、四塩化硅素、ジクロシランの少なくとも一つは流通している。
本発明のクロロシラン類を使用するクローズド系の洗浄方法は、各種の機器、部材が接続されて形成された複雑形状の流通経路内のクロロシラン類を充填する箇所、具体的には凝縮器内を不活性ガスで予め加圧置換し、その加圧置換から1時間以上経過した時点の不活性ガスの露点が−20℃以下であることを確認した後に、その箇所へのクロロシラン類の充填を開始することにより、クロロシラン類の充填箇所が、各種の機器、部材が接続されて形成された複雑形状の流通経路内の凝縮器であるにもかかわらず、その充填箇所から水分を事前に効果的に除去することができる。これにより塩化水素の発生を抑え、高い製品品質を維持することができる。また、共洗いの必要性を低減し、共洗い回数を減少させることにより、洗浄コストの大幅低減を可能にする。
気相成長法による多結晶シリコンの製造フロー図である。
以下に本発明の実施形態を、図1に示す高純度多結晶シリコン製造用クローズド系を例にとって説明する。
図1に示す高純度多結晶シリコン製造システムが、クロロシラン類を使用するクローズド系であり、塩化工程(転化炉)、精留工程(バージン蒸留系)、還元工程(還元炉)、第1回収工程(水素回収工程)、第2回収工程(未反応蒸留系)からなることは前述したとおりである。
すなわち、還元炉での多結晶シリコンの製造に伴う排ガスが第1回収工程(水素回収工程)に送られ、凝縮器で冷却される。これにより、排ガス中のクロロシラン類(主にトリクロロシラン及び四塩化硅素)が水素ガスから凝縮分離される。水素ガスは還元炉に原料ガスとして戻される。凝縮分離された液状のクロロシラン類は、第2回収工程(未反応蒸留系)に送られ、蒸留塔でトリクロロシランと四塩化硅素に分離される。トリクロロシランは還元炉に原料ガスとして導入され、四塩化硅素は塩化工程(転化炉)へ原料ガスとして導入される。塩化工程(転化炉)で製造されたトリクロロシランは、精留工程(バージン蒸留系)を経て還元工程(還元炉)へ送られる。
今、第1回収工程(水素回収工程)における凝縮器をオーバーホールする場合を考える。この凝縮器では、前述したように、還元炉での多結晶シリコンの製造に伴う排ガスが導入され、−10℃以下に冷却されることにより、クロロシラン類(主にトリクロロシラン及び四塩化硅素)が水素ガスから凝縮分離される。水素ガスは還元炉に戻され、液状のクロロシラン類は第2回収工程(未反応蒸留系)へ送られる。
この凝縮器をオーバーホールする場合、まず多結晶シリコンの製造を停止し、凝縮器に接続される排ガス導入管、水素ガス導出管、クロロシラン液導出管を閉止し、これらから凝縮器を切り離す。この状態で凝縮器を取り外し、オーバーホールした後、再度、凝縮器を設置する。或いは凝縮器の取り外し後、予めオーバーホールした凝縮器を直ちに設置する。設置された凝縮器の内部は予め純水による洗浄処理を受けている。
オーバーホール後の凝縮器の設置が終わると、その排ガス通過部、クロロシラン液通過部を乾燥窒素ガスで置換する。置換された窒素ガスを所定圧に加圧し、所定時間経過後、大気圧に戻して新たな乾燥窒素ガスと置換し、所定圧に加圧する。排ガス通過部、クロロシラン液通過部に残る水分が窒素ガス中に移行し、これらの部分の乾燥が進む。この加圧置換を所定回数繰り返し、最後の加圧置換から1時間経過後に、置換された窒素ガスの露点が−20℃以下になったことを確認して、プロセスガスの水素に置換し、しかる後に配管を開き、多結晶シリコンの製造を再開する。乾燥窒素ガスの加圧置換による乾燥の後、必要に応じて高純度のクロロシラン液又は四塩化硅素液により共洗いを行う。
多結晶シリコンの製造を再開に伴い、凝縮器への排ガスの導入、凝縮器からの水素ガス及びクロロシラン液の排出が始まる。凝縮器内の排ガス通過部、クロロシラン液通過部に水分が残留していると、クロロシラン類と反応して塩化水素が生成され、凝縮器を構成するステンレス鋼などが腐食してリン、ボロンなどの汚染物質が発生するが、乾燥窒素ガスの加圧置換の繰り返しにより、その水分が除去されているので、汚染物質の発生が阻止される。その結果、還元炉で製造される多結晶シリコン中の不純物量が少なくなり、ひいてはその多結晶シリコンから製造されるシリコン単結晶の品質が上がる。
同程度の清浄度を共洗いだけで確保しようとすると、その回数は数十回に達する。また、乾燥窒素ガスを流通させ続けるだけの置換と比べて、水分除去効果が上り、乾燥窒素ガス使用量も少なくなる。
他の機器、部材についても同様にして水分除去による洗浄を行うことができる。
前述した多結晶シリコン製造用クローズド系において、第1回収工程(水素回収工程)における凝縮器をオーバーホールする場合を例にとって、本発明の洗浄方法の効果を定量的に明らかにする。
本発明の洗浄方法では、オーバーホールを終え設置を終えた前記凝縮器内を露点が−50℃の乾燥窒素ガスで加圧置換した。加圧置換での加圧力は大気圧に対して+0.6MPaとした。加圧置換を複数回実施する場合は60分に1回の頻度とした。そして置換操作完了から1.5時間放置した後、必要に応じてトリクロロシラン液により共洗いを実施し、操業を再開した。比較のために、90分間、60分間の通気置換も実施した。
置換操作完了からの経過時間と置換ガスの露点変化との関係を表1に示す。また、共洗いを実施した場合のその洗い回数、製造された多結晶シリコンからサンプリングした材料でFZ法により試験的に製造したシリコン単結晶中のリン濃度及びボロン濃度も合わせて表1に示す。リン濃度は0.1ppba以下、ボロン濃度は0.01ppba以下を合格とする。
Figure 0005403658
従来例では、凝縮器内に乾燥窒素ガスを90分間流通させることにより、凝縮器内を乾燥窒素ガスで置換した。置換操作が終了してから1時間経過後に置換ガスの露点が−25℃となった。1.5時間経過してもこの露点は−20℃であった。1.5時間経過後、凝縮器内をトリクロロシラン液により10回、共洗いを実施することにより、シリコン品質を合格レベルに到達させた。すなわち、シリコン品質を合格レベルまで高めるために共洗いを10回必要とした。このときの洗浄コストを100として他の例とのコスト比較を行う。
実施例1では、加圧置換を1回実施した。置換操作が終了してから1時間経過後に置換ガスの露点が−20℃となった。1.5時間経過してもこの露点は変化しなかった。1.5時間経過後、凝縮器内をトリクロロシラン液により2回、共洗いを実施することにより、シリコン品質を合格レベルに到達させた。乾燥窒素ガスの使用量が減り、共洗い回数も更に減少しため、洗浄コストは従来例より減少した。
実施例2では、加圧置換を3回実施した。置換操作が終了してから1時間経過後に置換ガスの露点が−25℃となった。1.5時間経過してもこの露点は変化しなかった。1.5時間経過後、凝縮器内をトリクロロシラン液により1回、共洗いを実施することにより、シリコン品質を合格レベルに到達させた。乾燥窒素ガスの使用量が若干増加したものの、共洗い回数が更に減少しため、洗浄コストは実施例1より更に減少した。
実施例3では、加圧置換を5回実施した。置換操作が終了してから1時間経過後に置換ガスの露点が−30℃となった。1.5時間経過してもこの露点は変化しなかった。1.5時間経過後、トリクロロシラン液による共洗いを実施せずに操業を再開した。共洗いを省略したにもかかわらず、シリコン品質は合格レベルに到達した。乾燥窒素ガスの使用量が若干増加したものの、共洗いが不要となったため、洗浄コストは実施例2より更に減少した。
比較例1では、凝縮器内に乾燥窒素ガスを流通させる時間を従来例より短い60分とした。置換操作が終了してから45分経過後に置換ガスの露点が−20℃となり、1時間経過後に−18℃となり、1.5時間経過しても−15℃のままであった。1.5時間経過後、凝縮器内をトリクロロシラン液により従来例と同じ10回、共洗いを実施した。洗浄コストは従来例より若干低下したが、シリコン品質は合格レベルに到達しなかった。
比較例2では、比較例1と同じガス置換を実施した。ただし、シリコン品質を合格レベルに到達させるために、共洗いを13回に増やした。従来例より更に洗浄コストが増加した。
本発明の実施例の洗浄コスト低減に与える効果が大であることは表1の比較試験より明らかである。

Claims (4)

  1. クロロシラン類を使用し且つ外気から遮断されると共に、各種の機器、部材が接続されて複雑形状の流通経路を形成するクローズド系の前記流通経路内に配置された凝縮器の運転開始前に前記凝縮器内へクロロシラン類を充填するに当たって前記凝縮器内の水分を除去するクローズド系の洗浄方法であって、前記凝縮器内へクロロシラン類を充填するに当たり、前記凝縮器内を不活性ガスで加圧置換し、その加圧置換から1時間以上経過した時点の前記凝縮器内ガスの露点が−20℃以下であることを確認した後に、前記凝縮器内へのクロロシラン類の充填を開始することを特徴とするクロロシラン類を使用するクローズド系の洗浄方法。
  2. 請求項1に記載のクローズド系の洗浄方法において、前記加圧置換を複数回繰り返し、最後の加圧置換から1時間以上経過した時点の前記凝縮器内ガスの露点が−20℃以下であることを確認した後に、前記凝縮器内へのクロロシラン類の充填を開始するクローズド系の洗浄方法。
  3. 請求項1又は2に記載のクローズド系の洗浄方法において、クローズド系が多結晶シリコン製造系であるクローズド系の洗浄方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の洗浄方法において、前記流通経路内の運転停止中に大気開放された前記凝縮器にのみ不活性ガス置換を行い、クロロシラン類の再充填を行うクローズド系の洗浄方法。
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