JP5402988B2 - 液相拡散接合管継手及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、実際の操業時、特に施工現場における接合では、負荷される面圧が不安定になり、また、接合面の部位によっては面圧が低くなり、十分な接合強度が得られない場合が散見された。
さらに、金属管の形状が楕円であったり、偏肉が存在していたりすると、実際の接合面が被接合管の断面積よりも減少し、接合強度が低下する場合がある。
(1)金属管の端部に、管軸方向の押圧により、該金属管の内径を拡径しつつ圧入されて、該端部と緊密に係合する先細り傾斜部と、該先細り傾斜部に続き、金属管の端面を液相拡散接合で接合する接合面部を備える金属継手、及び、端部が、上記先細り傾斜部の傾斜面に沿って拡径された状態で、上記先細り傾斜部に緊密に係合し、かつ、端面が、上記接合面部に液相拡散接合で接合されている金属管からなり、前記拡径された状態で、前記先細り傾斜部に緊密に係合している金属管の端部の厚さが、金属管本体の厚さ以上であることを特徴とする液相拡散接合管継手。
(2)前記金属管の初期内径が、前記先細り傾斜部の最小外径より大きく、かつ、最大外径より小さく、前記金属管の下記式で表される拡径率が、2〜10%であることを特徴とする前記(1)の液相拡散接合管継手。
拡径率(%)={(拡径後の最大内径−初期内径)/初期内径}×100
(3)前記金属管が鋼管であることを特徴とする前記(1)又は(2)の液相拡散接合管継手。
(4)前記金属継手が、金属構造体に形成されたものであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかの液相拡散接合管継手。
(5)前記金属構造体が内部に管路を備え、かつ、前記金属継手が、該管路と金属管を連通させる管路を備えていることを特徴とする前記(4)の液相拡散接合管継手。
(6)前記金属継手が、金属管と接合する別の金属管の端部に形成されたものであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかの液相拡散接合管継手。
(7)前記金属継手が、中央に接合面部を備え、該接合面部に続き、両側に、先細り傾斜部を備える金属継手管であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかの液相拡散接合管継手。
(8)前記先細り傾斜部と接合面部の成す角度が70〜110°であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかの液相拡散接合管継手。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかの液相拡散接合管継手を製造する方法において、
(i)金属管の端部に、該金属管の内径を拡径しつつ圧入されて、該端部と緊密に係合する先細り傾斜部と、該先細り傾斜部に続き、金属管の端面を液相拡散接合で接合する接合面部を備える金属継手の先細り傾斜部を、管軸方向の押圧により、金属管の端部に、該金属管の内径を上記先細り傾斜部の傾斜面に沿って拡径しつつ圧入するとともに、拡径された金属管の端面と金属継手の接合面部を、インサート材を介して当接させ、
(ii)管軸方向の押圧により、上記インサート材を含む当接部にて面圧を維持しながら、該当接部を、インサート材が溶融する温度に加熱し、前記金属管の端部を造肉させて、該金属管の端面と上記接合面部を液相拡散接合で接合することを特徴とする液相拡散接合管継手の製造方法。
(10)前記金属管の初期内径が、前記先細り傾斜部の最小外径より大きく、かつ、最大外径より小さく、前記先細り傾斜部の傾斜面に沿って拡径された前記金属管の下記式で表される拡径率が2〜10%であることを特徴とする前記(9)の液相拡散接合管継手の製造方法。
拡径率(%)={(拡径後の最大内径−初期内径)/初期内径}×100
(11)前記金属管が鋼管であることを特徴とする前記(9)又は(10)の液相拡散接合管継手の製造方法。
(12)前記面圧が5〜20MPaであることを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれかの液相拡散接合管継手の製造方法。
なお、本発明において、金属継手とは、金属管を接合するための部品又は部材を指すものとし、2つの金属管を繋ぎ合わせるための部品又は部材に限定されるものではない。また、金属継手管とは、金属継手のうち、2つの金属管を繋ぎ合わせるための部品又は部材を指すものとする。また、液相拡散接合管継手とは、前記の金属継手又は金属継手管と1つ以上の金属管を液相拡散接合により接合した部品及び部材を指すものとする。
金属継手2は、外面に金属管3の端面8が当接する環状の接合面部5と、該接合面部5から端面方向に縮径しながら延伸する先細り傾斜部6を有している。図1に示した液相拡散接合管継手1における液相拡散接合部(以下、接合部ともいう。)は、接合面部5と金属管3の端面8との間の部分である。
一方、金属継手2の外面に先細り傾斜部6がない場合は、接合面部5と金属管3の端面8との接合部に、管体と同様の単軸引張に近い応力が作用した状態になる。この場合、接合面の近傍には、接合ままの形状不整が残るので、管体の引張強度以下で継手破断がおき易い。
これは、加熱された状態で押圧を付与することによって、金属管3の端部が増肉し、その結果、金属管3の端面8と接合面部5との接合面積が増大して、接合強度が高まるためである。以上のような変形の拘束効果と増肉効果により、液相拡散接合管継手1は、接合ままの状態でも、金属管3の管体強度以上の接合強度を備える。
接合面部5にインサート材9を貼付し、金属管3を拡径し先細り傾斜部6に圧入した後、加熱により接合面部5と金属管3の端面8を液相拡散接合する。
また、図2に示すように、金属構造体21の内部に管路23を形成し、金属継手2に、該管路23と金属管3を連通する管路24を形成することもできる。図2では、管路23は、回転対称軸4に対して回転対称となっているが、管路23は、これに限定されるものではない。
液相拡散接合管継手1は、接合面部5bにインサート材9を貼付し、金属管3aを拡径し先細り傾斜部6bに圧入した後、加熱により接合面部5bと金属管3aの端面8aを液相拡散接合することで、得られる。
図4に示す例では、金属継手は、中央に接合面部5を備え、接合面部5に続き、両側に、先細り傾斜部6を備える金属継手管2aである。
そして、金属継手管2aの両側から、端部が拡径された金属管3が先細り傾斜部6に圧入され、金属管3の端面8が、インサート材9を介して、金属継手管2aの接合面部5に当接され、加熱により、接合面部5と金属管3の端面8を液相拡散接合することで、液相拡散接合管継手1が得られる。
図5に、金属継手管2aに薄肉金属管3aと厚肉金属管3bとを両側から圧入した液相拡散接合管継手1を示す。
図5に示したように、金属継手管2aの薄肉金属管3a側の端部外面に、端部に向かって縮径する先細り傾斜部6aが形成されており、該先細り傾斜部6aの拡径する方向には、薄肉金属管3aの端面8aが当接する接合面部5aが形成されている。
肉厚の異なる金属管3a、3bを、金属継手管2aを介して同時に液相拡散接合するとき、薄肉金属管3a及び厚肉金属管3bには、同等の管軸方向の押圧が発生する。
一方、同厚の厚肉金属管3b同士の接合に十分な管軸方向の押圧を加えると、薄肉金属管3aが座屈し適正な継手が得られない。
しかし、上記式(1)の関係が成立すれば、すなわち、薄肉金属管3a側の先細り傾斜部6aの傾斜角を、厚肉金属管3b側の先細り傾斜部6bの傾斜角よりも大きくすれば、薄肉金属管3aの拡径に伴う変形抵抗が大きくなり、厚肉金属管3bの接合に必要な面圧を得ることができ、薄肉金属管3aが座屈せず、厚肉金属管3b側の接合部の接合強度の低下を防止できる。
上記式(1)の値が上限値1.2を超えた場合、厚肉金属管3bで座屈が生じる傾向が強まる。また、座屈が生じない場合であっても、引張試験で、厚肉金属管3bの接合部が破断する。これに対して、上記式(1)の値が下限値0.8未満の場合には、薄肉金属管3aで座屈が生じる傾向が強まる。また、座屈が生じない場合であっても、引張試験で、薄肉金属管3aの接合部が破断する。
図6に、大径の薄肉金属管から成る小断面金属管3aと、小径の厚肉金属管からなる大断面金属管3bとを、金属継手管2aの両側から圧入した液相拡散接合管継手1を示す。
通常、このような場合も、小断面金属管3aの断面積A1が、大断面積金属管3bの断面積A2よりも小さくなる。そのため、図5に示した同径、異厚の金属管同士を接合する液相拡散接合管継手と同様、小断面金属管3aの座屈や、大断面金属管3b側の接合部の接合強度の低下を防止するためには、上記式(1)を満足することが好ましい。
このように、先細り傾斜部6と接合面部5が成す角度θを70〜110°に設定すると、接合時に、大きな押圧を管軸方向に負荷することができる。θが110°よりも大きい場合は、図9に示すように、金属管3の端部が接合面部5よりも大きく拡径されることがある。また、θが70°よりも小さい場合は、図10に示すように、金属管3の端部が座屈することがある。
金属管3を金属継手2に圧入する際には、金属管3の端部の内面は、金属継手2の先細り傾斜部6の傾斜面7に沿って拡径される。なお、インサート材9は、金属管3の端面8に貼付してもよいが、金属管3の端部が拡径された際に、インサート材9が剥がれる可能性があるので、接合面部5に貼付することが好ましい。
また、先細り傾斜部6に圧入する前の金属管3の断面形状が真円でなく、例えば、楕円形状であっても、先細り傾斜部6によって金属管3の端部が拡径されるので、楕円形状が矯正されて、接合面部5と金属管3の端面8を確実に衝合させることができる。
接合部の冷却は、空冷、ファン冷却等の強制空冷、水冷やミスト冷却等の制御冷却のいずれを採用してもよい。冷却後の継手の強度を確保するためには、冷却速度が速いほうが望ましいが、水冷やミスト冷却には制御冷却装置が必要になるので、強制空冷が好ましい。
また、図16では、接合面部5に、あらかじめインサート材9を貼付しているが、インサート材9を金属管3の端面8に貼付してもよい。ただし、インサート材9を金属管3の端面8に貼付すると、金属管3の端部が拡径された際に、インサート材9が剥がれる可能性があるため、接合面部5に貼付することが好ましい。
図19に示したように、管軸方向の変位が増加すると、まず、金属管3の端部の内面が先細り傾斜部6の外面に接触する。その後は、摩擦力が生じるので、軸方向への変位に対する管軸方向の押圧力の増加が大きくなり、直線の傾きが大きくなる。
接合面部5と金属管3の端面8とが当接した後、管軸方向の押圧を解除すると、接合面部5と金属管3の端面8との当接部の面圧は、若干低下するものの、傾斜面7と金属管3の内面との摩擦によって維持される。
インサート材9を溶融させるための接合面の加熱は、例えば、誘導加熱方式以外に、炉加熱、電気抵抗加熱、通電加熱を採用することができる。
2本の金属管の厚さが異なる場合であっても、同様に、式(1)の関係を満たすようにして、液相拡散接合管継手を製造することが、接合に必要な面圧を得るために好ましい。
外径76.3mm、肉厚4mm、材質STKM13の鋼管からなる金属管を、金属継手の両端から、拡径率2.5〜10%、断面積比1.05〜1.19として金属継手に圧入し、液相拡散接合管継手を製造し、引張試験に供した。結果を最大強度(継手強度)と、金属管の端部の拡径率との関係を、図20に示す。図20中の比較例は、鋼管を拡径及び増肉させずに液相拡散接合した継手である。
本実施形態に係る液相拡散接合管継手では金属管の管体から破断したが、比較例に係る拡径及び増肉させない継手では、すべて、鋼管の端面と接合面部との接合部より破断した。
また、本実施形態に係る継手において管体破断したときは、比較例に係る継手において接合部破断したときよりも、最大荷重が大きく、継手強度が高いことが確認できた。
なお、面圧が5、10MPaになるように、鋼管の端面の管軸方向の押圧を負荷し、解除した後、1200℃まで加熱して10分間保持し、その後冷却した。加熱温度の1200℃は、接合部を溶融させるための温度、すなわち、インサート材の液相線よりも高く、被接合材である金属管の融点よりも低い温度の一例である。
継手B(比較例)は、材質及び外径の最大値は継手Aと同じであるが、金属継手管の両端に先細り傾斜部を設けずに円筒状とし、当接部における金属継手管の外径を鋼管の内径と略同一にしたものである。
継手C(比較例)は、金属継手管を使用せず、鋼管同士の突合せ部にインサート材を介在させた例である。
以上のように、接合面圧、温度履歴が同一であっても、本発明の実施形態に係る液相拡散接合管継手は高い接合強度を有することが実証できた。
さらに、両側から圧入される金属管の外径が異なる場合、例えば、図25、及び、図26に示すように接合面部5a、5bでの外径が異なっていても、圧入時に金属管3a、3bが拡管されれば本発明の技術的範囲に含まれる。
面圧は、図19に示したように、金属継手の接合面部と金属間の端面とが当接したときの管軸方向の押圧に対し、更に負荷した管軸方向の押圧の増加分を、当接部の面積で除して求めた。
面圧を22MPaとすると、接合温度が1200℃に達する前に、荷重が低下し始め、管端部に座屈を生じた。面圧を5〜20MPaにすると、引張試験では、すべて管体部より破断し、面圧が4MPa以下では、引張試験の結果、接合面より破断した。この結果から、面圧は5〜20MPaの範囲とすることが好ましいことが分かる。
また、当接部の加熱開始のタイミングは、特に限定されるものではなく、加熱開始後に管軸方向に押圧を与えてもよいが、金属継手の接合面部と金属管の端面とを当接させた後に加熱を開始することにより、接触面における酸化を最小限にすることができる。
さらに、加熱温度は、特に限定されるものではないが、1150〜1250℃が好ましい。
インサート材は、特に限定されるものではないが、金属継手及び金属管が鋼管である場合は、Ni基又はFe基の非晶質合金が好ましい。Ni基又はFe基の非晶質合金の例として、原子%で、2〜10%のSi、2〜10%のB、2〜10%のV、2〜5%のP、2〜5%のCの1種又は2種以上を含み、残部がNi又はFeからなり、急冷凝固法で製造された箔を挙げることができる。
また、インサート材は、当接部のみに介在させても十分に接合強度に優れた液相拡散接合管継手が得られるが、傾斜面と金属管の内面との間に介在させても良い。傾斜面と金属管の内面との間にインサート材を介在させる場合、インサート材は、摺動によって剥がれないよう、めっきであることが好ましい。
金属継手2の接合面部5には、インサート材9として、Ni基非晶質金属(Si:3.5原子%、B:3.0原子%、残部:Ni及び不可避的不純物。以下、Ni基1。表中において同じ。)を貼付し保持した。
金属管3を先細り傾斜部に圧入する際の拡径率は2、又は5%とした。金属管3の端面8を接合面部5に相当する壁面に当接して5〜20MPaの面圧を付与した後、誘導加熱により接合面近傍を1100℃、又は、1200℃に加熱し、液相拡散接合管継手1を製造した。
示す。
製造した液相拡散接合管継手のうち、試験体A1〜A3を引張試験に供したところ、いずれも、金属管3の管体で破断した。また、試験体A4〜A6を曲げ試験に供したところ、いずれも金属管3の管体が座屈した。
比較のために、金属管3を拡径することなく、先細り傾斜部6に圧入し、インサート材9を用いて、液相拡散接合管継手1を製造した。結果を、表1の試験体B1〜B6に示す。
表1中の試験体B3、B5、及び、B6は、金属管3を拡径することなく、金属管3の端面8を、接合部面5に相当する壁面にインサート材9を介し、直接、当接した例である。その後、管軸方向の位置を固定し、5〜20MPaの面圧を付与した後、誘導加熱により接合面近傍を1100℃、又は、1200℃に加熱した。
試験体11は加熱中に金属管3が座屈を起こし、液相拡散接合管継手1を製造することができなかった。
試験体7〜9を引張試験に供したところ、いずれの試験体も接合面から破断した。また、試験体10、12を曲げ試験に供したところ、両試験体とも、接合面から破断した。
金属継手2の接合面部5には、インサート材9として、Ni基非晶質金属(Si:3.0原子%、B:3.0原子%、V:2.5原子%、残部:Ni及び不可避的不純物。以下、Ni基2。表中において同じ。)を貼付し保持した。
金属管3を先細り傾斜部に圧入する際の拡径率は2.5、又は5%とした。金属管3の端面8を接合面部5に相当する壁面に当接して5〜20MPaの面圧を付与した後、誘導加熱により接合面近傍を1200℃に加熱し、液相拡散接合管継手1を製造した。
製造した液相拡散接合管継手のうち、試験体C1〜C3の金属管3の管端部をねじ加工し、引張試験のための治具を取付け、引張試験に供した。その結果、すべての試験体でねじ部から破断した。
比較のために、金属管3を拡径することなく、先細り傾斜部6に圧入し、インサート材9を用いて、液相拡散接合管継手1を製造した。結果を、表2の試験体D1〜D3に示す。
その後、管軸方向の位置を固定し、5〜20MPaの面圧を付与した後、誘導加熱により接合面近傍を1100℃、又は1200℃に加熱し、液相拡散接合管継手1を製造した。
試験体D1〜D3に引張試験のためのねじ加工を施し、引張試験に供したところ、いずれの試験体も接合面から破断した。
金属継手2の接合面部5には、インサート材9として、Ni基1を貼付し保持した。金属管3を先細り傾斜部に圧入する際の拡径率は2%、又は、5%とした。
金属管3の端面8を接合面部5に相当する壁面に当接して15MPa、又は、20MPaの面圧を付与した後、誘導加熱により接合面近傍を1150℃、又は、1200℃に加熱し、液相拡散接合管継手1を製造した。
製造した液相拡散接合管継手のうち、試験体E1及びE2の金属管3の管端部をねじ加工し、引張試験のための治具を取付け、引張試験に供した。その結果、どちらの試験体でも、ねじ部から破断した。
比較のために、金属管3を拡径することなく、先細り傾斜部6に圧入し、インサート材9を用いて、液相拡散接合管継手1を製造した。結果を、表3の試験体F1、F2に示す。
その後、管軸方向の位置を固定し、15MPa、又は、20MPaの面圧を付与した後、誘導加熱により接合面近傍を1150℃、又は1200℃に加熱し、液相拡散接合管継手1を製造した。
試験体F1及びF2に引張試験のためのねじ加工をし、引張試験に供したところ、どちらの試験体でも接合面から破断した。
表4、及び、表6に、金属管3、金属継手管2の特性、及び、液相拡散接合管継手1の製造条件を示す。表4の試験体G1〜G29、及び、表6の試験体I1〜I12は、本発明に係る実施例であり、図21Aに示した継手Aに相当する。
金属管3は、外径が76.3〜318.5mm、材質がSTKM13A、S45C、SCM4、SM490、SUS304のいずれかの鋼管である。金属継手管2の先細り傾斜部6のテーパー形状は1/16〜1/4であり、金属継手管2の外面には、金属管3の肉厚と同等以上の幅を有する、接合面部5を設けた。
拡径率(%)={(拡径後の最大内径−初期内径)/初期内径}×100 …(2)
拡径率及び肉厚比は、拡散接合後に、管外径と、超音波厚み計などにより測定した肉厚より算出した。肉厚比は、拡散接合時の温度と接合面に面圧を付与するときの管軸方向の押圧によって変化させた。
金属継手管2の接合面部5には、インサート材9としてNi基1、Ni基2、Fe基非晶質金属(Si:2.5原子%、B:3.5原子%、残部:Fe及び不可避的不純物。以下、Fe基。表中において同じ。)のいずれかを貼付し、保持した。
その後、金属管3の端面8を金属継手管2の接合面部5に当接して、誘導加熱により接合面近傍を、1050℃〜1300℃に加熱し、液相拡散接合管継手1を製造した。
比較例として、図21Bに示した継手B、及び、図21Cに示した継手Cに相当する液相拡散接合管継手1を製造した。表5中の試験体H4〜H9、及び表6中の試験体J4〜J6が、継手Bであり、表5中の試験体H10〜H12が、継手Cである。
これらは、金属管3を拡径することなく、金属管3の端面8を、金属継手管2の接合面部5又は金属管3の端面8に当接した。その後、軸方向の位置を固定し、誘導加熱により接合面近傍を、1200℃又は1250℃に加熱し、液相拡散接合管継手1を製造した。
これらの液相拡散接合管継手1は、金属管3の端部の内径を、金属継手管2の先細り傾斜部6の外径よりもやや大きくしており、金属管3を拡径することなく金属継手管2の先細りテーパー部6に圧入し、インサート材9を用いて接合した。
以上の試験結果より、本発明の実施例に係る、試験体G1〜G29、I1〜I12では、金属管3の端部を先細り傾斜部6に圧入して拡径させ、金属管3の管端の肉厚を管体の平均の肉厚よりも増加させているので、引張荷重や曲げ荷重負荷時にも、液相拡散接合部の接合強度を、金属管3の管体の強度以上にできることが実証された。
これに対して、比較例に係る試験体H1〜H12、及び、J1〜J6は、金属管3の端部を拡径させておらず、金属管3の管端の肉厚もほとんど増加していないので、本発明の実施例と比べ、液相拡散接合部の強度が大幅に低くなった。
加熱時の面圧の維持には、管軸方向の押圧を負荷して、厚肉金属管3bの接合面部5に薄肉金属管3bの端面8bを当接した後、軸方向の変形を拘束して、加熱による熱膨張を利用した。
薄肉金属管3aの端面8aを厚肉金属管3bの接合面部5に当接して、誘導加熱により接合面近傍を1200〜1250℃に加熱した。得られた液相拡散接合管継手1を引張試験に供したところ、すべての試験体K1〜K10で、薄肉金属管3aの管体から破断した。
比較例に係る試験体L1〜L6は、薄肉金属管3aの端部を拡径させておらず、薄肉金属管3aの管端の肉厚もほとんど増加していないので、実施例に比べて液相拡散接合部の継手強度が大幅に低いといえる。
表8中の試験体M1〜M9が本発明の実施例であり、外径76.3mm又は177.8mm、肉厚4mm又は10.3mm、材質SCM4又はSTKM13Aの金属管3を、金属継手管2を用いて接合した例である。
金属継手管2には種々の先細り傾斜部6を加工によって設け、接合面部5にインサート材9を貼付した。ここで、接合面部5と先細り傾斜部6が成す角度θは、70〜110°とした。
金属管3は拡径率を5%として先細り傾斜部6に圧入し、金属管3の端面8を接合面部5に当接して管軸方向の位置を固定し、誘導加熱により接合面近傍を1050〜1250℃に加熱した。肉厚比は、拡散接合時の温度と接合面5に面圧を付与するときの管軸方向の押圧によって変化させた。
比較例として、接合面部5と先細り傾斜部6が成す角度θが60°、65°、及び、115°である金属継手管2を用いて、金属管3を先細り傾斜部6に圧入して拡径し、インサート材9を用いて、誘導加熱により接合面近傍を、1050〜1250℃に加熱し製造した液相拡散接合管継手1を、表8に試験体N1〜N7として示す。
θが115°の金属継手管2を用いた例では、液相拡散接合管継手1製造時の管軸方向の押圧を加えている段階で、金属管3の端部が、図9に示すようなラッパ形の形状に変形し、適切な液相拡散接合管継手1の成形ができなかった。
θが65°以下の場合では、液相拡散接合管継手1の成形はできたが、接合面部5に著しい変形を生じ、試験体を引張試験に供した結果、接合面から破断した。
比較例に係る試験体N1〜N7は、接合面部5と先細り傾斜部6が成す角度θが適正範囲を外れるため、接合時に金属管3の管端や、金属継手管2の接合面部に不適切な変形が生じるので、実施例に比べて、液相拡散接合部の接合強度が低くなる、又は、適切な液相拡散接合継手1の形成が不能となる。
よって、本発明は、産業上の利用可能性が大きいものである。
2 金属継手
2a 金属継手管
3、3a、3b 金属管
4 回転対称軸
5、5a、5b 接合部面
6、6a、6b 先細り傾斜部
7、7a、7b 傾斜面
8、8a、8b 端面
9 インサート材
21 壁(金属構造体)
22 壁面
23 金属構造体内部の管路
24 金属構造体内部の管路と金属管を連通させる管路
41 インダクションヒータ
Claims (12)
- 金属管の端部に、管軸方向の押圧により、該金属管の内径を拡径しつつ圧入されて、該端部と緊密に係合する先細り傾斜部と、該先細り傾斜部に続き、金属管の端面を液相拡散接合で接合する接合面部を備える金属継手、及び、端部が、上記先細り傾斜部の傾斜面に沿って拡径された状態で、上記先細り傾斜部に緊密に係合し、かつ、端面が、上記接合面部に液相拡散接合で接合されている金属管からなり、前記拡径された状態で、前記先細り傾斜部に緊密に係合している金属管の端部の厚さが、金属管本体の厚さ以上であることを特徴とする液相拡散接合管継手。
- 前記金属管の初期内径が、前記先細り傾斜部の最小外径より大きく最大外径より小さく、前記先細り傾斜部の傾斜面に沿って拡径された金属管の下記式で表される拡径率が、2〜10%であることを特徴とする請求項1に記載の液相拡散接合管継手。
拡径率(%)={(拡径後の最大内径−初期内径)/初期内径}×100 - 前記金属管が鋼管であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液相拡散接合管継手。
- 前記金属継手が、金属構造体に形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液相拡散接合管継手。
- 前記金属構造体が内部に管路を備え、かつ、前記金属継手が、該管路と金属管を連通させる管路を備えていることを特徴とする請求項4に記載の液相拡散接合管継手。
- 前記金属継手が、金属管と接合する別の金属管の端部に形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液相拡散接合管継手。
- 前記金属継手が、中央に接合面部を備え、該接合面部に続き、両側に、先細り傾斜部を備える金属継手管であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液相拡散接合管継手。
- 前記先細り傾斜部と接合面部の成す角度が70〜110°であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液相拡散接合管継手。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の液相拡散接合管継手を製造する方法において、
(i)金属管の端部に、該金属管の内径を拡径しつつ圧入されて、該端部と緊密に係合する先細り傾斜部と、該先細り傾斜部に続き、金属管の端面を液相拡散接合で接合する接合面部を備える金属継手の先細り傾斜部を、管軸方向の押圧により、金属管の端部に、該金属管の内径を上記先細り傾斜部の傾斜面に沿って拡径しつつ圧入するとともに、拡径された金属管の端面と金属継手の接合面部を、インサート材を介して当接させ、
(ii)管軸方向の押圧により、上記インサート材を含む当接部にて面圧を維持しながら、該当接部を、インサート材が溶融する温度に加熱し、前記金属管の端部を造肉させて、該金属管の端面と上記接合面部を液相拡散接合で接合することを特徴とする液相拡散接合管継手の製造方法。 - 前記金属管の初期内径が、前記先細り傾斜部の最小外径より大きく最大外径より小さく、前記先細り傾斜部の傾斜面に沿って拡径された前記金属管の下記式で表される拡径率が2〜10%であることを特徴とする請求項9に記載の液相拡散接合管継手の製造方法。
拡径率(%)={(拡径後の最大内径−初期内径)/初期内径}×100 - 前記金属管が鋼管であることを特徴とする請求項9又は10に記載の液相拡散接合管継手の製造方法。
- 前記面圧が5〜20MPaであることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の液相拡散接合管継手の製造方法。
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